JP2007119521A - 水性接着剤 - Google Patents

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宗和 林
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、優れた初期接着強さ及び常態接着強さを維持し、かつ基材に対するレベリング性に優れ、オープンタイムも十分に長く、低臭気で、固化後に白化しない水性接着剤を提供することである。
【解決手段】本発明はポリオールとポリイソシアネートとを必須成分として反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子(A)、及びビニル重合体粒子(B)が水に分散してなり、前記ビニル重合体粒子(B)が、前記ビニル重合体粒子(B)全体に対して(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上有することを特徴とする水性接着剤に関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、プラスチック、天然皮革、人工皮革、合成皮革、ゴム、発泡体、繊維製品、紙、ガラス、金属、木材などの様々な材質からなる基材を貼り合せる際に適用可能な水性接着剤に関する。
靴やサンダル等の履物は、一般的に、ソール(靴底)やミッドソール(中底)等の比較的複雑な形状を有する基材から構成されている。これらを貼り合せる際に使用可能な接着剤としては、従来より有機溶剤系接着剤が知られているが、近年の環境保護の推進及び作業環境の改善の観点から、有機溶剤系接着剤から水性接着剤への代替が急速に進んでいる。
前記したような用途に使用可能な接着剤には、特に
(イ)貼り合わせ直後の接着強さ、いわゆる初期接着強さが十分であること、
(ロ)乾燥後に形成される接着皮膜が透明であること
(ハ)オープンタイム(貼り合せ可使時間)が十分に長いこと、
(ニ)複雑な形状を有する基材に対するレベリング性に優れること、
(ホ)臭気がないこと、
の特性が求められている。
なかでも初期接着強さは、接着剤にとって重要な特性の1つである。初期接着強さの十分でない接着剤を用いて複雑な形状を有する基材同士を貼り合せた場合、一般に基材の復元力の影響で接着部分の剥離が生じ、履物等の製品の品質低下を引き起こす場合がある。かかる問題を解消する方法としては、それらが十分な接着強さをもって接着されるまで、圧締し続ける方法が知られている。しかし、圧締に要する時間は、一般に履物等の製品の生産効率を向上するうえで、できる限り短時間であることが望ましい。したがって、前記接着剤には、基材を貼り合せた後の圧締時間が短い場合であっても、基材の復元力による接着部分の剥離が生じにくいレベルの初期接着強さが求められている。
また、前記接着剤に透明性が求められるのは、前記基材を貼り合せた際に履物等の製品の外側から認識可能な接着皮膜が白色等に着色してしまうと、製品の意匠性が損なわれるためである。
また、前記接着剤に、ある程度十分な長さのオープンタイムが求められるのは、基材の貼り合せ工程で生じた基材間のズレを、貼り合せ後一定時間内であれば修正可能とするためである。基材の貼り合せ作業は、通常、接着剤を基材に塗布し、その塗布面を熱活性させた直後に、もう一方の基材を該塗布面に貼り合せることによって行われるが、貼り合せの際に基材間でズレが生じる場合がある。前記接着剤のオープンタイムが短いと、接着剤の固化が急速に進行するため、貼り合せ後に基材間のズレを修正することができないという問題がある。したがって、前記接着剤を熱活性させた後一定時間内であれば、基材の再貼り合せが可能なレベルのオープンタイムを有する接着剤が求められている。なお、接着剤に求められているオープンタイムは、接着剤が使用される分野によって異なるものの、例えば前記履物を製造する場合で言えば概ね数秒〜数分程度である。
また、一般的に、前記貼り合せ作業は、刷毛などを用いて基材に接着剤を塗布した後、溶媒を揮発させ、その後、貼り合せるという人手を中心とした作業である場合が多い。したがって、前記接着剤には、基材の形状が複雑であっても、また人手中心の貼り合せ作業であっても、基材表面に接着剤を均一に塗布することが可能なレベルのレベリング性が求められている。
また、前記接着剤には、作業環境の改善等の観点からも、臭気を低減することが従来より求められている。
前記したような各種特性に優れた接着剤の開発は、これまで各種検討されており、なかでも、ポリウレタン樹脂の水溶液又は水分散体を用いた水性接着剤が、ほぼ完全に接着した後の接着強さ(いわゆる常態接着強さ)だけでなく、初期接着強さも比較的良好であることから、産業界から注目されている。
例えば、70℃より低い形成温度を有するポリマーの水性分散物とオレフィン系不飽和モノマーに基づく70℃より高い軟化点を有するポリマーの水性分散物とを必須成分として含有する混合物、具体的にはその実施例に記載されているようなα−メチルスチレン及びアクリロニトリルの共重合体と、ポリウレタン樹脂との水分散体が、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂からなる基材(ABS基材)に対する接着性に優れた接着剤として使用可能であることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記α−メチルスチレン及びアクリロニトリルの共重合体と、ポリウレタン樹脂との水分散体は、スチレン由来の臭気があるため、作業環境の改善等という観点からも好ましいと言えるものではなかった。また、前記ポリウレタン樹脂と前記共重合体とは、前記用途で使用するうえで十分なレベルの相溶性を有していないため、前記水分散体を接着剤に使用した場合には、得られる接着剤層が白化するという問題があった。また、前記水分散体は、基材に塗布する際のレベリング性が十分でないという問題を有していた。
特開平5−009391号公報
本発明が解決しようとする課題は、優れた初期接着強さ及び常態接着強さを維持し、かつ基材に対するレベリング性に優れ、オープンタイムも十分に長く、低臭気で、固化後に白化しない水性接着剤を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を進めるなかで、ポリウレタン樹脂と相溶性に優れた重合体粒子を、前記ポリウレタン樹脂と併用して使用することにより、固化後の白化を防止できるのではないかと考え検討を進めた。その結果、得られた接着剤は、優れた初期接着強さや常態接着強さを損なうことなく、固化後の白化を防止できるだけにとどまらず、低臭気で、十分なレベルのオープンタイムを有し、かつレベリング性にも優れることを見出すに及んで、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はポリオールとポリイソシアネートとを必須成分として反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子(A)、及びビニル重合体粒子(B)が水に分散してなり、前記ビニル重合体粒子(B)が、前記ビニル重合体粒子(B)全体に対して(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上有することを特徴とする水性接着剤に関するものである。
本発明の水性接着剤は、優れた初期接着強さ及び常態接着強さを維持し、かつ基材に対するレベリング性に優れ、オープンタイムも十分に長く、低臭気で、固化後に白化しないことから、建築分野や食品包装材等の分野で、ポリ塩化ビニル(PVC)を代表とするプラスチックや、天然皮革、合成皮革、人工皮革、ゴム、発泡体、繊維製品、紙、金属、及びガラス等の貼り合せに使用可能な極めて有用なものである。
以下に、発明を実施するための最良の形態について詳述する。
本発明の水性接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを必須成分として反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子(A)、ビニル重合体粒子(B)、及びその他必要に応じて各種添加剤等を含有してなり、前記ビニル重合体粒子(B)が、前記ビニル重合体粒子(B)全体に対して(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上有するものである。
本発明の水性接着剤は、ポリウレタン樹脂粒子(A)とビニル重合体粒子(B)とが実質的に化学結合を形成しないことが好ましく、乾燥、固化後には、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が形成したマトリックス中に前記ビニル重合体粒子(B)がドメインを形成した、いわゆる海島型のミクロ相分離構造を形成する。接着皮膜が前記ミクロ相分離構造を形成することによって、該接着皮膜の弾性率が向上し、その結果、剥離強さが向上する。
はじめに、本発明で使用するポリウレタン樹脂粒子(A)について説明する。
本発明で使用するポリウレタン樹脂粒子(A)は、ポリオールとポリイソシアネートとを周知慣用の方法で反応させることによって得られる。
前記ポリウレタン樹脂粒子(A)は、本発明の水性接着剤中では水に分散した状態である。本発明では、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を水に分散させることを目的として、各種界面活性剤を使用してもよいが、界面活性剤を使用することによって引き起こされうる接着皮膜の耐水性の低下を防止する観点から、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等のアニオン性基、及びそれらが中和された官能基を有するポリウレタン樹脂粒子(A)を使用することが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用するポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及び分子量300以下の低分子量ポリオール等を単独で使用または2種以上併用して使用することができる。なかでも、各種基材に対する初期接着強さ及び常態接着強さを向上させるうえで、前記ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、得られる水性接着剤の基材に対する初期接着強さ及び常態接着強さを向上させるうえで、10〜350の範囲の水酸基価を有するものを使用することが好ましく、20〜300の範囲の水酸基価を有するものを使用することが特に好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸と低分子量ポリオールとを周知慣用の方法で反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、それらのエステル化物、及びそれらの酸無水物等を使用することができる。
また、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能な低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールS、ハイドロキノン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、それらのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール等を使用することができる。また、前記したポリオールに、ε−カプロラクトンやγ−バレロラクトン等の環状エステルを開環付加重合させて得られるポリオールも使用することもできる。
また、前記ポリエステルポリオールを製造する際には、前記ポリカルボン酸と前記低分子量ポリオールの他に、本発明の効果を損なわない範囲でヒドロキシカルボン酸を使用することができる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸やそれらのエステル化物を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、初期接着強さに優れた水性接着剤を得るうえで脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。なかでもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールと、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、及びセバシン酸からなる群より選ばれる1種以上のポリカルボン酸とを反応して得られる、直鎖状の脂肪族ポリエステルポリオールを使用することがより好ましい。また、前記脂肪族ポリエステルポリオールは、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用するポリオール、ポリイソシアネート、及びその他使用可能な原料の全量に対して55質量%〜85質量%の範囲であることが、優れた初期接着強さ及び常態接着強さを損なうことなく、熱活性性を発現可能な水性接着剤を得るうえで好ましい。
また、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用するポリオールとして使用可能なポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子含有化合物の存在下で、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドラフランまたはエピクロルヒドリン等の環状エーテル化合物を開環重合して得られるものを使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、及びポリテトラメチレンポリオールなどを使用することができる。
また、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用するポリオールとして使用可能なポリカーボネートポリオールとしては、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチエレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオールと、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネートやエチレンカーボネート等の環式カーボネートとを反応させえて得られる、公知のポリカーボネートポリオールを使用することができる。
また、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用するポリオールとして使用可能な分子量300以下の低分子量ポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能な低分子量ポリオールとして例示したものと同様のものを使用することができる。
本発明で使用するポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用するポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ないしは1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名イソホロンジイソシアネート;IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2−ないしは4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−ないしは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ないしは1,4−α,α,α’α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−ないしは2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2’−、2,4’−ないしは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−ないしはm−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどを使用することができる。得られる水性接着剤が固化し形成された接着皮膜の機械的強度等の向上を図る場合には、芳香族ジイソシアネートを使用することが望ましく、また、水性接着剤が固化し形成された接着皮膜の耐久性や耐光性の向上を図る場合には、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネートを使用することが望ましい。
また、前記ポリイソシアネートは、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際に使用する前記ポリオール、前記ポリイソシアネート、及びその他必要に応じて使用可能な各種原料の全量に対して、8〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。前記ポリイソシアネートを前記範囲だけ使用することによって優れた初期接着強さ及び常態接着強さを発現可能な水性接着剤を得ることが可能である。
前記ポリウレタン樹脂粒子(A)としては、水に分散することを目的としてアニオン性基やノニオン性基等の親水性基を有しているものを使用することが好ましい。前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等が挙げられる。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を有するポリウレタン樹脂粒子を得るうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られる水性接着剤が形成する接着皮膜の耐水性を損なうことなく、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の水分散安定性を向上する観点から、前記アニオン性基の物質量に対して[塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3.0(モル比)]の範囲であることが好ましく、0.9〜2.0(モル比)の範囲であることがより好ましい。
前記アニオン性基を有するポリウレタン樹脂粒子は、例えば、前記アニオン性基を有するポリオール及び前記した各種その他のポリオールを含むポリオールと、前記ポリイソシアネートとを反応させることによって製造することができる。
また、 前記アニオン性基を有するポリウレタン樹脂粒子は、例えば、前記アニオン性基を有さない前記したような各種のポリオールを含むポリオールと、前記ポリイソシアネートとを反応させることによって分子末端にイソシアネート基を含有するプレポリマーを製造し、次いで前記プレポリマーと、アニオン性基を有する低分子量ポリオールやポリアミン等とを反応させて鎖伸長(高分子量化)させることによって製造することができる。
前記アニオン性基を含有するポリオールとしては、例えばカルボキシル基含有ポリオールや、スルホン酸基含有ポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基含有ポリオールとしては、例えば2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸等を使用することができる。また、前記カルボキシル基含有ポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールも使用することもできる。
前記スルホン酸基含有ポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、各種ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
前記アニオン性基は、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)全体に対して50〜1000mmol/kgの範囲で存在することが好ましい。前記ポリウレタン樹脂粒子(A)中に存在する前記アニオン性基の量は、ポリウレタン樹脂粒子(A)の粒子径と相関性を有することから、前記範囲のアニオン性基を有するポリウレタン樹脂粒子(A)であれば、本発明の水性接着剤が形成する接着皮膜の耐水性を損うことなく、長期間にわたる水分散安定性を発現することができる。
前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が有する親水性基としては、前記アニオン性基の他にノニオン性基を使用することができる。前記ノニオン性基としては、例えばエチレンオキサイド等の繰り返し単位を有する官能基が挙げられる。
前記ノニオン性基を有する前記ポリウレタン樹脂粒子は、例えばエチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を含むポリオールと、前記ポリイソシアネートとを反応させることによって製造することができる。前記ポリアルキレングリコールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を前記ポリアルキレングリコール全体に対して30〜100質量%有するものを使用することが好ましい。また、前記ポリアルキレングリコールとしては、300〜10000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
前記ノニオン基は、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)全体に対して0〜10質量%の範囲で存在することが好ましい。前記範囲のノニオン性基を有するポリウレタン樹脂粒子(A)であれば、本発明の水性接着剤が形成する接着皮膜の耐水性を損なうことなく、良好な水分散安定性を発現することができる。
本発明で使用するポリウレタン樹脂粒子(A)としては、例えば前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで該ウレタンプレポリマーを、一般的に鎖伸長剤として知られている、例えばポリアミンを用いて高分子量化したものを使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えばN−(2−スルホエチル)エチレンジアミンの金属塩や2−(β−アミノアルキル−アミノプロピオンアミド)−アルカンスルホン酸塩等のジアミノスルホネート等、また、エチレンジアミン等の脂肪族1級ジアミンと(メタ)アクリル酸等のα−オレフィン系カルボン酸の付加物などのアニオン性基を有するポリアミン;1,2−ジアミノエタン、1,2−ないしは1,3−ジアミノプロパン、1,2−又は1,3−又は1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−ないしは1,4−ジアミノシクロヘキサン又は1,3−ジアミノプロパン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン、更にはヒドラジン、又はアジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン誘導体、などのアニオン性基を有さないポリアミンを使用することができる。
また、鎖伸長剤としては、前記したものの他にアミノアルコールを使用することができる。かかるアミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエチレンアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等も使用することができる。
前記イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを鎖伸長させて高分子量化する場合、ポリアミンの使用量としては、前記イソシアネート基に対して、アミン当量として好ましくは1.9当量比以下であり、より好ましくは0.6〜1.0当量比の範囲である。かかる範囲でポリアミンを使用し鎖伸長を行えば、得られる水性接着剤が形成する接着皮膜の耐久性及び耐光性を向上させることができる。
本発明では、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が水に分散した水分散体を使用する。前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の水分散体は、従来より知られている各種の方法で製造することができる。例えば有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させて得られたポリウレタン樹脂溶液と、界面活性剤を含む水性媒体とを混合し、次いで必要に応じて有機溶剤を公知の方法で留去する方法によって製造することができる。
また、前記方法で得られた有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂が前記したアニオン性基やノニオン性基を有する場合には、該ポリウレタン樹脂溶液と水とを混合することで転相乳化し、次いで必要に応じて有機溶剤を留去することによって製造することもできる。
しかし、前記界面活性剤は、本発明の水性接着剤の基材に対する接着強さの低下を引き起こす場合があることから、親水性基を有するポリウレタン樹脂を転相乳化する方法で製造することが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン含有炭化水素、などが挙げられる。これらを単独または混合して使用することができる。なかでも、150℃以下の沸点を有する有機溶剤を使用することが好ましく、ポリウレタン樹脂粒子(A)に対する溶解性の高いアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルを使用することがより好ましい。
また、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の水分散性を向上させる観点から、必要に応じてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤を、ポリウレタン樹脂粒子(A)の高分子量化を阻害しない範囲で使用することができる。
前記ポリオールとポリイソシアネートとは、[前記ポリオールが有する水酸基:前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基=0.9:1〜1.1:1]の当量割合で反応させることが好ましい。また、後述する鎖伸長剤を用いてポリウレタン樹脂粒子を高分子量化する場合には、前記当量割合が1.2:1〜2:1の範囲であることが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂粒子(A)を製造する際には、必要に応じてウレタン化触媒を使用することができる。ウレタン化触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、及びN−メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、及びオクチル酸錫等の金属塩、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物などを使用することができる。
また、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の水分散体を製造する際に使用可能な界面活性剤としては、特に限定しないが、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤等を使用することができるが、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)と前記ビニル重合体粒子(B)とが凝集することを防止する観点からアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩等を使用することができる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレンジオール系界面活性剤等を使用することができる。
前記界面活性剤は、前記ビニル重合体粒子(B)樹脂の全量に対して0.1〜10質量%以下、より好ましくは0.1〜5質量%以下の範囲で使用することが好ましい。かかる範囲であれば、耐水性を損なうことなくビニル重合体粒子(B)の安定な水分散性を得ることが可能となる。
また、前記カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム塩等を使用することができる。また、前記両性イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等を使用することができる。
また、本発明では、前記した界面活性剤の他に、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤や、一般に反応性乳化剤と証される重合性不飽和基を有する界面活性剤を使用することもできる。
前記反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテムルS−180」(花王(株)製)、「エレミノールJS−2、RS−30」(三洋化成工業(株)製)等;硫酸基及びその塩を有する「アクアロンHS−10、HS−20」(第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープSE−10、SE−20」(旭電化工業(株)製)等;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」(第一工業製薬(株)製)等;非イオン性親水基を有する「アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50」(第一工業製薬(株)製)等を単独で使用または2種以上併用することができる。
また、本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種の分散安定剤を使用してもよい。前記分散安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、繊維素エーテル、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂等や、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性アクリル樹脂、等を単独で使用または2種以上併用して使用することができる。これらは、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の製造途中に添加し使用してもよく、反応終了後に混合してもよい
次に、本発明の水性接着剤を構成するビニル重合体粒子(B)について説明する。
ビニル重合体としては、一般にアクリル系ポリマー、ジエン系ポリマー、ビニルベンゼン系ポリマー等が知られているが、本発明で使用するビニル重合体粒子(B)は、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上有することに特徴を有するものである。(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上有するビニル重合体粒子(B)は、前記したポリウレタン樹脂粒子(A)との相溶性に優れることから、本発明の水性接着剤が形成する接着皮膜の白化を防止し、良好な外観を有する接着皮膜を形成することが可能である。前記(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量割合は、70質量%〜100質量%の範囲であることが好ましく、80質量%〜100質量%の範囲であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位の質量割合が前記範囲内であるビニル重合体粒子(B)は、ウレタン樹脂との相溶性が更に良好となり、接着皮膜が白化することなく、好適な外観の接着皮膜を形成することが可能となる。また、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位が70質量%以上のビニル重合体粒子(B)を使用すれば、一般に臭気を発生させるスチレン系単量体の使用が限られるため、低臭気の水性接着剤を得ることが可能である。
前記ビニル重合体粒子(B)は、本発明の水性接着剤中では水に分散した状態である。本発明では、前記ビニル重合体粒子(B)を水に分散させることを目的として、各種界面活性剤を使用、またはカルボキシル基やスルホン酸基等のアニオン性基及びそれらが中和された官能基を有するビニル重合体粒子(B)を使用することができる。
前記ビニル重合体粒子(B)は、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル単量体を周知慣用の方法により重合することによって製造することができる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、t−ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド/テトラヒドロフラン共重合体の(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体の(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸エステル等と併用して使用可能なその他のビニル単量体としては、公知のビニル単量体を使用することができるが、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等を使用することができる。
前記ビニル重合体粒子(B)として前記したようなアニオン性基を有するビニル重合体粒子(B)を使用する場合には、例えば前記その他のビニル単量体としてアニオン性基含有ビニル単量体を使用することができる。
前記アニオン性基含有ビニル単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレートおよびこれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のビニルスルホン酸類又はその塩、アリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸等のアリル基含有スルホン酸類又はその塩、(メタ)アクリル酸2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸2−スルホプロピル等の(メタ)アクリレート基含有スルホン酸類又はその塩、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド基含有スルホン酸類又はその塩、リン酸基を有する「アデカリアソープPP−70、PPE−710」(旭電化工業(株)製)等を単独で使用または2種以上併用することができる。
また、前記アニオン性基は、前記ビニル重合体粒子(B)の、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)との凝集を抑制する観点から、前記ビニル重合体粒子(B)全体に対して0〜3000mmol/kgの範囲で存在することが好ましい。
また、前記その他のビニル単量体としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニル単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のメチロールアミド基又はそのアルコキシ化物含有ビニル単量体;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩等のシリル基含有ビニル単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェノールもしくはメチルエチルケトオキシム付加物等のイソシアナート基含有ビニル単量体またはブロック化イソシアナート基含有ビニル単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロペンテニル基含有ビニル単量体;アリル(メタ)アクリレート等のアリル基含有ビニル単量体;アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有ビニル単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基含有ビニル単量体等の反応性基を有するビニル単量体を使用することができる。
また、前記その他のポリオールとしては、本発明の水性接着剤の耐熱性を向上させる目的で、1分子内にビニル基を2つ以上有するビニル単量体を使用することができる。前記1分子内にビニル基を2つ以上有するビニル単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。前記したその他のビニル単量体は、ビニル重合体粒子(B)を製造する際に使用するビニル単量体の全量に対して30質量%以下で使用することが、接着皮膜の優れた透明性を維持するうえで好ましい。
また、本発明で使用するビニル重合体粒子(B)は、70℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましく、ホモポリマーが高Tgであるビニル単量体、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、フェニルメタクリレートを主成分とするビニル単量体混合物を重合して得られるビニル重合体を使用することが好ましい。なかでも(メタ)アクリル酸メチルを重合して得られるビニル重合体粒子を使用することが、得られる水性接着剤からなる接着皮膜の透明性を向上でき、かつ高い硬度のビニル重合体粒子(B)が前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が形成した皮膜中に均一に微分散することにより、接着皮膜の剛性が向上し、初期接着強さ及び常態接着強さに優れ、高い耐熱性を発現可能な水性接着剤を得るうえで好ましい。
本発明では、前記ビニル重合体粒子(B)が水に分散した水分散体を使用する。前記ビニル重合体粒子(B)の水分散体は、公知の方法で製造できるが、例えば、有機溶剤の存在下に前記ビニル単量体を一括供給または逐次供給することでビニル重合体の有機溶剤溶液を製造し、次いで、該有機溶剤溶液と、界面活性剤を含む水性媒体とを混合した後、必要に応じて有機溶剤を公知の方法で留去する方法により製造することができる。
また、前記方法で得られたビニル重合体粒子(B)が前記したようなアニオン性基等の親水性基を有する場合には、該有機溶剤溶液と水とを混合することで転相乳化し、次いで必要に応じて有機溶剤を公知の方法で留去することによって製造することもできる。
前記ビニル重合体粒子(B)を製造する際の重合温度は、使用するビニル単量体や重合開始剤の種類などにより異なるため特に限定しないが、単一で開始剤を使用する場合には通常30〜100℃の範囲であり、レドックス系重合開始剤を使用する場合には通常20〜80℃の範囲であり、また、それらを逐次添加する場合には通常30〜95℃の範囲である。なお、使用する反応容器が高圧密閉系であれば、安全上問題のない範囲で100℃を越えて反応しても問題ない。また、反応容器内の雰囲気は特に限定しないが、重合反応を速やかに行わせるためには、窒素ガス等の不活性ガスで反応開始前から置換しておくことが好ましい。
前記水性媒体としては、特に限定しないが、水を単独で使用してもよく、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。前記水溶性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤などを、単独で使用又は2種以上併用することができる。
前記重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類、過酸化水素等を使用することができる。また、重合開始剤としては、前記した過酸化物と、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等の還元剤とを併用して使用することができる。また、前記重合開始剤としては、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を使用することができる。
前記ビニル重合体粒子(B)を製造する際には、必要に応じて分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリセリン等のメルカプタン類、又はα−メチルスチレン・ダイマー等を使用することができる。
前記ビニル重合体粒子(B)として、前記アニオン性基を有するビニル重合体粒子を使用する場合、かかるアニオン性基の一部または全部が塩基性化合物によって中和されていることが、良好な水分散性を有するビニル重合体粒子(B)を得るうえで好ましい。前記塩基性化合物としては、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)がアニオン性基を有する場合に、それらを中和する際に使用可能な塩基性化合物として例示したものと同様のものを使用することができる。
一方で、前記ビニル重合体粒子(B)として前記アニオン性基等の親水性基を有さないビニル重合体粒子を使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、ビニル重合体粒子(B)を製造する途中で使用しても良く、またビニル重合体粒子(B)を製造して得られたビニル重合体粒子(B)の水分散液と混合して使用してもよい。
前記界面活性剤としては、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の水分散体を製造する際に使用可能なものとして例示した界面活性剤と同様のものを使用することができる。
本発明の水性接着剤は、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の水分散体及び前記ビニル重合体粒子(B)の水分散体を混合することによって製造することができる。
本発明の水性接着剤は、前記ビニル重合体粒子(B)が水中で、できるだけ均一に分布し、かつ独立していることが望ましい。したがって、本発明の水性接着剤中における前記ポリウレタン樹脂粒子(A)と前記ビニル重合体粒子(B)との質量割合(A)/(B)は、95/5〜70/30の範囲であることが好ましい。前記ポリウレタン樹脂粒子(A)とビニル重合体粒子(B)との質量割合が前記範囲内であれば、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)の熱活性性を損なうことなく、初期接着強さ及び常態接着強さや、耐熱性等に優れた水性接着剤を得ることができる。
本発明の水性接着剤は、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)、及び前記ビニル重合体粒子(B)の他に、必要に応じて、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)ラテックス樹脂やその他のアクリル樹脂粒子を含んでいてもよい。
更に、本発明の水性接着剤には、前記したものの他に、本発明の水性接着剤の凝集性を阻害しない範囲で、通常の接着剤に使用される副資材及び添加剤、例えば、可塑剤、粘着付与剤(ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂石油樹脂、クマロン樹脂等)、充填剤、顔料、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防腐剤等を使用することも可能である。
本発明の水性接着剤には、得られる接着皮膜の耐久性をさらに向上させることを目的として、アミノ樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、ポリイソシアネートなどの2個以上の反応性官能基を有する化合物を架橋剤として使用することもできる。なかでも、ポリイソシアネートが好ましく、ポリウレタン樹脂に対して0〜50質量%の範囲で使用できる。
本発明の水性接着剤は、初期接着強さ、常態接着強さ、及び基材に対するレベリング性に優れ、オープンタイムも実用上十分に長く、臭気も少なく、乾燥後は透明な接着皮膜を形成することが可能となる。そのため、本発明の水性接着剤は、例えば、プラスチック、天然皮革、人工皮革、合成皮革、ゴム、発泡体、繊維製品、紙、ガラス、金属、木材などの様々な材質からなる基材を貼り合せる際に使用することが可能であるが、なかでも皮革類、ゴム、発泡体に使用することが好ましい。
以下、本発明を実施例により、一層、具体的に説明する。
[合成例1]ポリウレタン樹脂(A−1)の水分散体の調製
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された反応容器中で、5−スルホソジウムイソフタル酸ジメチル(DMS)1480質量部、1,6−ヘキサンジオール1240質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を、180〜190℃で加熱し反応物の酸価が1になるまで反応させた後、更に210℃で2時間反応させた。
得られた反応物を100℃に冷却した後、前記反応容器中に更にε−カプロラクトン2280質量部を仕込み、180℃で3時間開環重合反応させることによって、水酸基価120の芳香族スルホン酸金属塩を有する芳香族ポリエステルポリオール(1)を得た。
前記芳香族ポリエステルポリオール(1)30質量部と、メチルエチルケトン60質量部とを混合、撹拌し、次いでイソホロンジイソシアネート38質量部を混合し80℃で3時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン95質量部を加え60℃に冷却した後、1,4−ブチレングリコール5質量部と、1,4−ブチレングリコール及びアジピン酸を反応させて得られる脂肪族ポリエステルポリオール(2)(水酸基価37)160質量部とを加え、反応物全体に対して残存するイソシアネート基の質量割合が0.66質量%以下になるまで、80℃で反応させた。
反応終了後、反応容器を50℃に冷却し、水280質量部を加え十分に攪拌することで、ポリウレタン樹脂の分散体を得た。次いで、得られた分散体にピペラジンの10質量%水溶液25.0質量部を加えることで、水等中に分散したポリウレタン樹脂粒子を鎖伸長させた。分散体からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分が50質量%のポリウレタン樹脂(A−1)の水分散体を得た。
[合成例2]ポリウレタン樹脂(A−2)の水分散体の調製
1,4−ブチレングリコール及びアジピン酸を反応させて得られた脂肪族ポリエステルポリオール(2)(水酸基価:37)100質量部と、1,4−ブチレングリコール及びアジピン酸を反応させて得られた脂肪族ポリエステルポリオール(3)(水酸基価56)50質量部と、ネオペンチルグリコール5質量部と、メチルエチルケトン132質量部とを十分に混合、攪拌したものに、トリレンジイソシアネート36質量部を混合、攪拌し、80℃で3時間反応させた。
次いで、反応容器を60℃に冷却した後、2,2−ジメチロールプロピオン酸7質量部を加え、得られる反応物全体に対して残存するイソシアネート基の質量割合が1.24質量%以下になるまで、75℃で反応させた。
反応終了後、反応容器を50℃に冷却し、トリエチルアミン5.3質量部を加えることで前記反応物が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、次いで水350質量部を加え十分に攪拌することによりポリウレタン樹脂の分散体を得た。
次いで、得られた分散体に、ピペラジンの10質量%水溶液39.7質量部を加えることで、水等中に分散したポリウレタン樹脂粒子を鎖伸長させた。得られた分散体からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のポリウレタン樹脂(A−2)の水分散体を得た。
Figure 2007119521
[合成例3]ビニル重合体(B−1)の水分散体の調製
コンデンサー、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び撹拌器を装着したフラスコに、水85質量部及びラテムルE−118B(花王(株)製の界面活性剤)0.2質量部を入れ、前記フラスコ内を十分に窒素置換した後、フラスコ内を80℃にした。
次に、メチルメタクリレート95質量部、ブチルアクリレート5質量部、ラテムルE−118Bを7.8質量部、及び水19質量部を含有する水溶液(a)の一部(3.8質量部)を、前記フラスコ内に加え、15分間撹拌した後、過硫酸カリウムの3質量%水溶液(b)を3.3質量部加え、更に20分攪拌した。次いで、前記フラスコ内に前記水溶液(a)123質量部と、過硫酸カリウムの3質量%水溶液(b)6.7質量部とを3時間かけて滴下した後、80℃で2時間攪拌し、アンモニアを滴下してpH約7に調整することによって、ガラス転移温度(Tg)が92℃である、不揮発分45質量%のビニル重合体(B−1)の水分散体を得た。なお、前記ガラス転移温度は、得られたビニル重合体(B−1)の水分散体を乾燥して得られた乾燥皮膜を、示差走査熱量計(TAインスツルメント株式会社製のDSC Q100)を用いて10℃/分で昇温することにより測定した。後述する各種ビニル重合体のガラス転移温度も、前記と同様の方法で測定した。
[合成例4]ビニル重合体(B−2)の水分散体の調製
コンデンサー、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び撹拌器を装着したフラスコに水148質量部、及びラテムルE−118Bの0.2質量部を入れ、前記フラスコ内を十分に窒素置換した後、フラスコ内を80℃にした。
次に、メチルメタクリレート67質量部、ブチルアクリレート18質量部、アクリル酸15質量部、ラテムルE−118Bの7.8質量部、及び水19質量部を含有する水溶液(c)の一部(3.8質量部)を前記フラスコ内に加え、15分間撹拌した後、過硫酸カリウムの3質量%水溶液(b)を3.3質量部加え、更に20分攪拌した。次いで、前記フラスコ内に前記水溶液(c)123質量部と、過硫酸カリウムの3質量%水溶液(b)6.7質量部とを3時間かけて滴下した後、80℃で2時間攪拌し、アンモニアを滴下してpHを約4に調整することによって、ガラス転移温度(Tg)が61℃である、不揮発分35質量%のビニル重合体(B−2)の水分散体を得た。
[合成例5]ビニル重合体(B−3)の水分散体の調製
メチルメタクリレートの使用量95質量部を50質量部に変更すること、及びα―メチルスチレン45質量部を使用すること以外は、合成例4と同様にして、ガラス転移温度(Tg)が124℃である、不揮発分45質量%のビニル重合体(B−3)の水分散体を得た。
[合成例6]ビニル重合体(B−4)の水分散体の調製
コンデンサー、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び撹拌器を装着したフラスコに水85質量部、及びネオペレックス F−25(花王(株)製の界面活性剤)0.4質量部を入れ、前記フラスコ内を十分に窒素置換した後、前記フラスコ内を80℃にした。
次に、α―メチルスチレン72質量部、アクリロニトリル28質量部、ネオペレックス F−25 9.6質量部、及び水19質量部を含有する水溶液(d)の一部(3.8質量部)を前記フラスコ内に加え、15分間攪拌した後、過硫酸カリウムの3質量%水溶液(b)を3.3質量部加え、更に20分攪拌した。次いで、前記水溶液(d)123質量部と、過硫酸カリウムの3質量%水溶液(b)6.7質量部を3時間かけて滴下した後、80℃で2時間攪拌し、アンモニアを滴下してpHを約7に調整することによって、ガラス転移温度(Tg)が164℃である、不揮発分45質量%のビニル重合体(B−4)の水分散体を得た。
Figure 2007119521
[実施例1]
ポリウレタン樹脂粒子(A−1)の水分散体160質量部と、ビニル重合体(B−1)の水分散体44.4質量部とを混合し、次いで前記ポリウレタン樹脂粒子(A−1)と前記ビニル重合体(B−1)の合計100質量部に対してSN−シックナー A−812(サンノプコ(株)社製の増粘剤)を2質量部を添加し増粘させ、更に前記ポリウレタン樹脂粒子(A−1)と前記ビニル重合体(B−1)の合計100質量部に対してCR−60N(大日本インキ化学工業(株)製のポリイソシアネート系架橋剤)10質量部を混合して水性接着剤を調製した。
[実施例2]
ポリウレタン樹脂(A−1)の水分散体の使用量を160質量部から120質量部に変更すること、及びビニル重合体(B−1)の水分散体の使用量を44.4質量部から88.9質量部に変更すること以外は、全て実施例1と同様にして水性接着剤を調製した。
[実施例3]
ビニル重合体(B−1)の水分散体44.4質量部の代わりにビニル重合体(B−2)の水分散体を57.1質量部使用すること以外は、全て実施例1と同様にして水性接着剤を調製した。
[実施例4]
ポリウレタン樹脂(A−1)の水分散体160質量部の代わりにポリウレタン樹脂(A−2)の水分散体を200質量部を使用すること以外は、全て実施例1と同様にして水性接着剤を調製した。
[比較例1]
ビニル重合体(B−1)の水分散体を使用しないこと、及びポリウレタン樹脂(A−1)水分散体を200質量部使用すること以外は、実施例1と同様にして水性接着剤を調製した。
[比較例2]
ビニル重合体(B−1)の水分散体44.4質量部の代わりビニル重合体(B−3)の水分散体44.4質量部を使用すること以外は、全て実施例1と同様にして水性接着剤を調製した。
[比較例3]
ビニル重合体(B−1)の水分散体44.4質量部の代わりにビニル重合体(B−4)の水分散体44.4質量部を使用すること以外は、全て実施例1と同様にして水性接着剤を調製した。
本発明の水性接着剤の諸物性は、下記に示す方法で評価した。
[初期接着強さの評価方法]
厚さ2mm×幅20mm×長さ300mmの、バフ加工及び塩素系化合物によるプライマー処理の施された2枚の基材(スチレン ブタジエン ゴム製)表面に、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた水性接着剤を刷毛で40g/mになるように塗布した後、熱風循環乾燥器を用いて70℃で4分間乾燥することで該塗布面を活性化した。乾燥終了後、前記基材を熱風循環乾燥器から取り出し、室温下で1分、または4分放置した後(オープンタイム)、該水性接着剤の塗布面同士を貼り合せ、ゴムローラーを用いて圧締することにより剥離試験片を作製した。圧締から2分後、前記剥離試験片のT型剥離強さを、引張試験機(引張速度100mm/分、島津製作所製;オートグラフAGS−1KNG型)を用いて測定し、初期接着強さを評価した。前記初期接着強さは、該水性接着剤の使用される用途によって異なるものの、概ね40N/cm以上であることが好適である。
[常態接着強さの評価方法]
前記「初期接着強さの評価方法」の欄に記載した方法と同様の方法で作製した剥離試験片を用いて、ゴムローラーを用いて圧締してから1時間後の前記剥離試験片のT型剥離強度を、前記同様の方法で測定し、常態接着強さを評価した。前記状体接着強さは、該水性接着剤の使用される用途によって異なるものの、概ね50N/cm以上であることが好適である。
[レベリング性の評価]
本発明の水性接着剤を、バフ加工及び塩素系化合物によるプライマー処理の施された基材(スチレン ブタジエン ゴム製)表面に、刷毛を用いて40g/m塗布した後、該接着剤層の厚みの均一性の良否を目視で評価した。
○;基材表面に均一な厚みで接着剤層が形成された状態。
△;基材表面にほぼ均一な厚みで接着剤層が形成された状態。
×;基材表面の接着剤層の厚みにムラが形成された状態。
[臭気の評価]
本発明の水性接着剤の臭気を嗅覚にて評価した。
○;殆ど臭気がない。
△;僅かに特異臭がある。
×;強い特異臭がある。
[接着剤層の外観評価]
本発明の水性接着剤を、バフ加工及び塩素系化合物によるプライマー処理の施された基材(スチレン ブタジエン ゴム製)表面に刷毛を用いて40g/m塗布し、70℃で4分間乾燥することによって基材表面に形成された接着剤層の外観を目視にて評価した。
○;接着剤層がほぼ透明である。
△;接着剤層が僅かに白い。
×;接着剤層が白い。
Figure 2007119521
Figure 2007119521

Claims (7)

  1. ポリオールとポリイソシアネートとを必須成分として反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子(A)、及びビニル重合体粒子(B)が水に分散してなり、前記ビニル重合体粒子(B)が、前記ビニル重合体粒子(B)全体に対して(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上有することを特徴とする水性接着剤。
  2. 前記ビニル重合体粒子(B)が、前記ビニル重合体粒子(B)全体に対して(メタ)アクリル酸メチル由来の構造単位を70質量%以上有し、かつ70℃以上のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の水性接着剤。
  3. 前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が、前記ポリウレタン樹脂粒子(A)全体に対して脂肪族ポリエステルポリオール由来の構造単位を55〜85質量%有する、請求項1に記載の水性接着剤。
  4. 前記脂肪族ポリエステルポリオールが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種の低分子量ポリオールと、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸とを反応させて得られるものである、請求項3に記載の水性接着剤。
  5. 前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、及びスルホネート基からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の水性接着剤。
  6. 前記ポリウレタン樹脂粒子(A)が、芳香族スルホン酸金属塩を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の水性接着剤。
  7. 前記ポリウレタン樹脂粒子(A)と前記ビニル重合体粒子(B)との質量割合が、[(A)/(B)]=95/5〜70/30の範囲である、請求項1〜6のいずれかに記載の水性接着剤。

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