JP2007119364A - ホスフィン内包型両親媒性デンドリマー、その製造方法、ホスフィン配位子及びその配位構造を有する含パラジウム錯体触媒 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) 一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマーであることを特徴とするホスフィン内包型両親媒性デンドリマー。
(2) 一般式(III)
で表される基である]
で表されるホスフィンオキシド内包型デンドリマーを、溶媒中で還元することを特徴とする一般式(V)
で表されるホスフィン内包型両親媒性デンドリマーの製造方法。
(3) 一般式(VI)
で表される基である]
で表されるホスフィン内包型デンドリマーを、溶媒中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて加水分解し、場合によりさらに酸と反応させることを特徴とする一般式(VIII)
で表される基である]
で表されるホスフィン内包型両親媒性デンドリマーの製造方法。
(4) 前記(1)記載のホスフィン内包型両親媒性デンドリマーからなるホスフィン配位子。
(5) 前記(4)記載のホスフィン配位子を含む配位構造を有する一般式(X)
で表される基、L1はハロゲン化物イオン、硝酸イオン又は酢酸イオン、gは1又は2を示す]
及び一般式(XI)
で表される基、L2及びL3はそれぞれ異なって、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン又はアリルアニオンを示し、hは1又は2を示すが、L2及びL3の何れかがアリルアニオンの場合、hは1を示す]
で表される両親媒性デンドリマー固定型パラジウム(II)ホスフィン錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる含パラジウム錯体触媒。
で表される基である]
(1)R1、R2、R3及びR4は2価炭化水素基を示すが、この基には、2価脂肪族基や2価芳香族基が包含される。2価脂肪族基には鎖状及び環状のものが包含される。2価芳香族基にはアリーレン基及びアラルキレン基が包含される。
2価脂肪族基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基等)や、炭素数3〜8、好ましくは5〜6のシクロアルキレン基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等)が挙げられる。
2価芳香族基としては、炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)や、炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキレン基、例えば一般式(XII)で表される基等が挙げられる。
−(R6)y−Ar−(R7)z− (XII)
(式中、Arはアリーレン基を示し、R6及びR7は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキレン基を示し、y及びzは1又は0で、これらのいずれか一方は1である)
(2)Y及びZはO、S、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO2−)、アミド基[−NRCO−、−CONR−(Rは水素原子又はアルキル基)]又はカルボニル基(−CO−)を示すが、好ましくはO、S又はスルホニル基(−SO2−)である。
(3)p、q、r、s及びtはそれぞれ0又は1を示すが、好ましくはp、q及びrが1でs及びtは0、あるいはpが1でq、r、s及びtは0である。
(4)mは0以上の整数で好ましくは0〜50である。Xは水素原子、カルボキシル基(CO2H)、リチウムカルボキシレート基(CO2Li)、ナトリウムカルボキシレート基(CO2Na)又はカリウムカルボキシレート基(CO2K)を示す。但しmが0の場合、Xは水素原子以外の上記官能基に限定される。mが1以上の場合、Xは水素原子が好ましい。
(5)繰り返し構造の世代数nは1以上の整数を示すが、好ましくは1〜6である。
(6)d、e及びfのうち、少なくとも2つが1、残りは0を示す。
符号Gで表わされる基の一例として、d、e及びfのうち、いずれか2つが1でn=3の場合について示すと次のとおりである。
−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(R1)p−(Y)q−(R2)r−(Z)s−(R3)t−C6H3−[O−(CH2CH2O)m−R4−X]2]2]2
この繰り返し構造として好ましくは、化16中の各符号について、d、f及びpが1、e、q、r、s及びtが0、R1がアルキレン基であるものが挙げられる。
i)一般式(II)においてXが水素原子であるものについては、一般式(III)
で表される基である]
で表されるホスフィンオキシド内包型デンドリマーを、溶媒中で還元することにより製造することができる。
還元操作は、好ましくはトリエチルアミン等の三級アミン存在下トリクロロシランやヘキサクロロジシランを還元剤に用い、また反応条件については、反応温度は、通常室温〜150℃の範囲で選ばれ、また反応時間は、反応温度や使用する溶媒等のその他の条件により異なり、一概に定めることはできないが、好ましくは6〜72時間程度である。また溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素が好ましい。
で表される基である]
で表されるホスフィン内包型デンドリマーを、溶媒中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて加水分解し、場合によりさらに酸、例えば塩酸または硫酸を用い中和反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、これらの塩基化合物を溶解させる、メタノールやエタノール等のアルコールやジオキサン、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合溶媒や、これらと水との混合溶媒が好ましい。
加水分解操作は、通常室温〜100℃の温度で行われる。中和反応は、通常室温で行われる。
加水分解操作の反応時間は使用する溶媒等のその他の条件により異なり、一概に定めることはできないが、好ましくは2〜12時間程度である。中和反応は、多くの場合反応速度は速く、反応時間は30分以内程度である。
この場合、原料となる一般式(VI)で表されるホスフィン内包型デンドリマーは、対応するホスフィンオキシド内包型デンドリマーを、前記i)の場合と同様に還元することにより製造される。
で表される基である]
で表される、ホスフィンオキシド内包型両親媒性デンドリマーは、一般式(XVI)
で表される含水酸基ホスフィンオキシドと、一般式(XVII)
で表される含ハロゲンデンドロンを、溶媒中で塩基存在下、加熱することにより製造することができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
加熱温度は、通常室温から150℃の範囲で選ばれるが、50℃から100℃が好ましい。また、反応中、反応液は攪拌するのがよい。
脱酸素雰囲気下、前記配位子としてのホスフィン内包型両親媒性デンドリマーと一般式(XVIII)又は(XIX)
Pd(L1)2 (XVIII)
PdL2L3 (XIX)
(式中L1、L2、及びL3は、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、アリルアニオンC3H5 -を示し、またL2及びL3はそれぞれ異なる。但しアリルアニオンはL2又はL3に適用される)
の組成で表されるパラジウム(II)化合物とを溶媒中でそれぞれ反応させ、一般式(X)
や一般式(XI)
で表される、デンドリマーコア部のホスフィン骨格を配位子とする両親媒性デンドリマー固定型パラジウム(II)ホスフィン錯体を製造することができる。
また反応は、格別加熱することなく、室温程度で進行させることができるが、加熱により促進させるようにしてもよい。また、反応中、反応液は攪拌するのがよい。
反応終了後、溶媒の減圧留去により反応生成物が得られ、その1H−NMR及び31P−NMRの測定より目的物の生成が確認される。
前記触媒としてのパラジウム(II)ホスフィン錯体の存在下に、一般式
で表されるホウ酸誘導体と、一般式
で表される有機化合物を、水中で反応させ、一般式
で表される炭化水素を製造することができる。
また反応は、室温程度で進行させることもできるが、加熱により反応を促進させるのが好ましい。反応中、反応液は攪拌するのがよい。
反応終了後反応液を抽出し、分離精製、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー等でのそれにより目的物質を得ることができる。
なお、実施例において、脱酸素無水キシレン溶液、脱酸素無水ベンゼン溶液、脱酸素水溶液等における脱酸素溶媒は、アルゴンで脱気させて調製されたものである。
このようにして得られた反応液に、0℃にて水酸化ナトリウム400mgの水溶液(1ml)を滴下し15分攪拌した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=15:1)で精製した(無色油状、収量624.5mg、収率87.9%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,C6D6)δ/ppm 7.42(t,6H,J=8.2Hz),6.89(d,6H,J=8.2Hz),6.65(s,6H),6.54(s,3H),4.70(s,6H),3.79(t,12H,J=4.7Hz),3.54−3.46(m,48H),3.34(t,12H,J=4.9Hz),3.13(s,18H)
31P−NMR(202MHz,C6D6)δ/ppm −9.7
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
このようにして得られた反応液に、0℃にて水酸化ナトリウム97mgの水溶液(0.5ml)を滴下し15分攪拌した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:エタノール=30:1)で精製した(無色油状、収量321.3mg、収率79.9%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,C6D6)δ/ppm 7.44(t,6H,J=8.4Hz),6.92(d,6H,J=8.4Hz),6.77(d,6H,J=2.2Hz),6.74(t,3H,J=2.2Hz),6.69(d,12H,J=2.4Hz),6.56(t,6H,J=2.4Hz),4.77(s,12H),4.74(s,6H),3.83(t,24H,J=4.9Hz),3.56(t,24H,J=4.9Hz),3.50−3.46(m,72H),3.35(t,24H,J=4.9Hz),3.13(s,36H)
31P−NMR(202MHz,C6D6)δ/ppm −9.6
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
このようにして得られた反応液に、0℃にて水酸化ナトリウム230mgの水溶液(1ml)を滴下し15分攪拌した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=15:1)で精製した(無色油状、収量826.6mg、収率86.1%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,C6D6)δ/ppm 7.43(dd,6H,J=7.7,7.0Hz),6.90(d,6H,J=8.2Hz),6.66(d,6H,J=2.1Hz),6.56(t,3H,J=2.1Hz),4.72(s,6H),3.81(t,12H,J=4.9Hz),3.55(t,12H,J=4.9Hz),3.48−3.45(m,84H),3.36−3.34(m,12H),3.13(s,18H)
31P−NMR(202MHz,C6D6)δ/ppm −9.7
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
反応後、反応液を減圧下で溶媒留去し、得られた油状物質を1mol/l塩酸(50ml)に滴下して目的生成物を沈降させ、これを濾別し、40℃で16時間真空乾燥した(白色粉体、410.5mg、収率83.7%)。
この生成物の核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,CD3SOCD3)δ/ppm 8.00(d,12H,J=8.2Hz),7.59(d,12H,J=8.2Hz),7.19(t,6H,J=8.2Hz),7.06(d,6H,J=8.2Hz),6.77(s,6H),6.71(s,3H),5.22(s,12H),5.07(s,6H)
31P−NMR(202MHz,CD3SOCD3)δ/ppm −10.8
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
このようにして得られた反応液を減圧下で溶媒留去し、30℃で1時間真空乾燥し、目的生成物48.5mgを得た。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析結果は次の通りである。
1H−NMR(500MHz,C6D6)δ/ppm 7.75(t,6H,J=8.8Hz),6.89(d,6H,J=8.8Hz),6.64(d,6H,J=1.8Hz),6.52(s,6H),5.08−4.98(m,1H),4.69(s,6H),3.79(t,12H,J=4.7Hz),3.53(t,12H,J=4.9Hz),3.50−3.45(m,38H),3.34(t,12H,J=4.7Hz),3.12(s,18H),2.43(bs,2H)
31P−NMR(202MHz,C6D6)δ/ppm 18.9
これらの分析結果より、この生成物は式(XX)
反応終了後、反応液をジエチルエーテルで4回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で分離、精製して以下の構造式
Claims (5)
- 一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマーであることを特徴とするホスフィン内包型両親媒性デンドリマー。 - 一般式(VI)
で表される基である]
で表されるホスフィン内包型デンドリマーを、溶媒中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて加水分解し、場合によりさらに酸と反応させることを特徴とする一般式(VIII)
で表される基である]
で表されるホスフィン内包型両親媒性デンドリマーの製造方法。 - 請求項1記載のホスフィン内包型両親媒性デンドリマーからなるホスフィン配位子。
- 請求項4記載のホスフィン配位子を含む配位構造を有する一般式(X)
で表される基、L1はハロゲン化物イオン、硝酸イオン又は酢酸イオン、gは1又は2を示す]
及び一般式(XI)
で表される基、L2及びL3はそれぞれ異なって、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン又はアリルアニオンを示し、hは1又は2を示すが、L2及びL3の何れかがアリルアニオンの場合、hは1を示す]
で表される両親媒性デンドリマー固定型パラジウム(II)ホスフィン錯体の中から選ばれた少なくとも1種からなる含パラジウム錯体触媒。
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