JP2007118781A - 上り坂での一時停止時に後滑りを抑止される車輌 - Google Patents
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Abstract
【課題】オートマチックトランスミッションのクリープ作動を伴う原動機の駆動力と制動装置の制動力による上り坂での車輌一時停止時の後滑り抑止に於ける長所と短所に鑑みて更に改良された車輌を提供する。
【解決手段】上り坂に於ける一時停止中、駆動力制御装置により制御された駆動力と制動力制御装置により制御された制動力とにより後滑りが抑止されるとき、後滑り抑止用制動力の大きさに上限を設定する。上限値は上り坂勾配が大きい程大きくされ、また上り坂勾配が大きい程駆動力による抑止力を大きくさせるよう設定されてよい。
【選択図】図2
【解決手段】上り坂に於ける一時停止中、駆動力制御装置により制御された駆動力と制動力制御装置により制御された制動力とにより後滑りが抑止されるとき、後滑り抑止用制動力の大きさに上限を設定する。上限値は上り坂勾配が大きい程大きくされ、また上り坂勾配が大きい程駆動力による抑止力を大きくさせるよう設定されてよい。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車等の車輌であって、上り坂での一時停止時に自動制御により後滑りが抑止される車輌に係る。
自動車等の車輌が上り坂で一時停止されたとき、エンジン回転数が所定値以下であるように低く、オートマチックトランスミッションによるクリープ力では車輌の後滑りを抑えきれないとき、制動装置を作動させ、車輌の走行開始が検出されたとき制動装置の作動を解除するようにすることが下記の特許文献1に記載されている。また車輌が上り坂にて一時停止されたとき、ブレーキペダルが解除されたことが検出されたときには電動機を作動させて車輌の後滑りを抑止することをハイブリッド車に於いて行うことが下記の特許文献2に記載されている。この特許文献2には、更に電動機による前進方向の駆動トルクを上り坂の勾配に応じて設定することも記載されている。
特開平11-310119
特開2005-33866
上記の特許文献2に於ける如く上り坂で一時停止された車輌の後滑りを電動機により抑止する場合には、電動機は力を発生するだけで回転しなくてもよいので、理論的には動力を消費せず、電動機に於ける電磁漏洩損失による電力消費を除いて、エネルギの消費は生じない。しかし、上記の特許文献1に於ける如く内燃機関等の原動機の運転を続け、オートマチックトランスミッションのクリープ作動を伴って車輌の後滑りを抑止する場合には、エネルギが消費される。
これに対し、上り坂上での車輌の後滑りの抑止を制動装置により行う場合には、エネルギの消費は制動装置のオンオフの切り換えに要するのみであり、制動の持続中には理論上エネルギの消費は生じないという利点がある。しかし、この場合、車輌の発進に当たっての制動解除のタイミングが微妙であり、それが的確に行われないと、車輌の後ずさり或は制動下での発進による発進性の不良や制動装置の摩擦係合部に於ける摩耗の増大を生ずる。
本発明は、オートマチックトランスミッションのクリープ作動を伴う原動機の駆動力と制動装置の制動力による上り坂での車輌の一時停止時の後滑り抑止に於ける上記の如き長所と短所に鑑み、この点に関し改良された車輌を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、駆動力制御装置により制御された駆動力にて車輪を駆動する駆動装置と、制動力制御装置により制御された制動力にて車輪を制動する制動装置とを有し、上り坂に於ける一時停止中、前記駆動力制御装置により制御された駆動力と前記制動力制御装置により制御された制動力とにより後滑りが抑止されるとき、前記後滑り抑止用制動力の大きさに上限を設定するようになっていることを特徴とする車輌を提案するものである。
前記上限の値は上り坂の勾配に応じて該勾配が大きい程大きくされるようになっていてよい。
前記上限の値は上り坂の勾配に応じて該勾配が大きい程前記後滑り抑止用駆動力が大きくなるように設定されてよい。
上記の如く車輌が駆動力制御装置により制御された駆動力にて車輪を駆動する駆動装置と、制動力制御装置により制御された制動力にて車輪を制動する制動装置とを有し、前記駆動力制御装置により制御された駆動力と前記制動力制御装置により制御された制動力とにより上り坂に於ける一時停止時に後滑りを抑止されるとき、前記後滑り抑止用制動力の大きさに上限を設定するようになっていれば、かかる上限値を適切に設定することにより、車輌発進時の発進性の不良や制動装置の摩擦係合部に於ける摩耗の増大を生じない最大限度まで制動装置を作動させ、それでも車輌の後滑りを抑止する力が不足であれば、その分を駆動力により補って、上り坂に於ける車輌一時停止時の後滑りを抑止することができる。
その場合、前記上限の値が上り坂の勾配に応じて該勾配が大きい程大きくされるようになっていれば、上り坂の勾配が大きくなれば車輌一時停止時の後滑りを抑止するに要する力は必然的に大きくなる状況下にて、制動力に対する要求度の増大と車輌発進時の発進性の不良や制動装置の摩擦係合部に於ける摩耗の増大を回避する観点からの制動力の上限を合理的に設定し、その間の適切な調和を図ることができる。
また前記上限の値が上り坂の勾配に応じて該勾配が大きい程後滑り抑止用駆動力が大きくなるように設定されれば、上り坂勾配が大きい程車輌の後滑りを抑止するに要する力のより多くの部分を駆動力により賄うようにし、上り坂勾配の増大に伴う制動力の増大を適切に抑え、急な上り坂で於いても車輌発進時の発進性の不良や制動装置の摩擦係合部に於ける摩耗の増大よりよく回避することができる。この場合、前記上限の値を上り坂の勾配が大きい程後滑りを抑止する駆動力を大きくすることを、後滑り抑止力中に占める駆動力の割合を大きくしつつ行えば、前記上限の値を上り坂の勾配が大きい程大きくする条件のも適うようにすることができる。
図1は、内燃機関により駆動される通常の乗用車10が傾斜角θの上り坂12上にて一時停止された状態を示す概略図である。図示の例では、後輪14が内燃機関16、トランスミッション18、プロペラシャフト20を含む駆動装置により駆動されるようになっている。一方、後輪14と前輪22とは油圧制御弁を含む油圧回路24、油圧導管26,28を含む制動装置により制動されるようになっている。
駆動装置の作動は、内燃機関16およびトランスミッション18の作動が図には示されていないアクセルペダルの踏み込みおよびシフトレバーの切換え操作に応じて制御されるほか、マイクロコンピュータを組み込んだ電子制御装置(ECU)30によっても制御されることにより、制御されるようになっている。
同様に、制動装置の作動は、油圧回路24に含まれる油圧制御弁や油圧切換弁の作動が図には示されていないブレーキペダルの踏込み操作に応じて制御されることにより制御されるほか、電子制御装置30によっても制御されることにより、制御されるようになっている。
32は車輌の前後方向の加速度を検出する加速度センサであり、その検出値は電子制御装置30へ送られるようになっている。
図2は、発明による車輌の上り坂に於ける一時停止中に主として電子制御装置30により行われる駆動装置と制動装置の制御の態様を一つの実施の形態について示すフローチャートである。かかるフローチャートに沿った制御は、一般の制動力或いは駆動力の制御による車輌挙動制御に於ける数10〜数100ミリセカンドの周期より短い5ミリセカンド程度の周期にて繰り返されるのが好ましい。
制御が開始されると、図には示されていない各種のセンサ等により検出されたデータに基づき、車速Vが0以上であるか否かが判断される。答がイエス(Y)であるときには、車輌は一時停止中ではないので、制御は後述のステップ160へ進み、後述のFbt、Fdt、Fが0にリセットされ、この回の制御は終了する。答がノー(N)であるときには、制御はステップ20へ進む。尚、このステップ10に於ける車速Vの判断は、ΔVを或る適当な正の微小値として、V>ΔV?として行われてもよい。
ステップ20に於いては、アクセル開度Thがある所定の下限値Tho以上であるか否かが判断される。この下限値Thoは、アクセル開度がこれ以上なら、たとえ車輌が上り坂にて一時停止されていても、運転者は車輌の後滑りを念頭に置いて意識的にアクセルペダルを踏んでおり、本発明による後滑り制御の必要はないようなアクセル開度の値である。答がイエスであれば、このときも制御はステップ160へ進む。答がノーであれば、制御はステップ30へ進む。
ステップ30に於いては、ブレーキ油圧Pbがある所定の下限値Pbo以上であるか否かが判断される。この下限値Pboも、ブレーキ油圧がこれ以上なら、たとえ車輌が上り坂にて一時停止されていても、運転者は車輌の後滑りを念頭に置いて意識的にブレーキペダルを踏んでおり、本発明による後滑り制御の必要はないようなブレーキ油圧の値である。答がイエスであれば、このときにも制御はステップ160へ進む。答がノーであれば、制御はステップ40へ進む。
ステップ40に於いては、トランスミッション制御用シフトレバーがDレンジ、2レンジ等の前進駆動レンジにシフトされているか否かが判断される。シフトレバーがニュートラル位置に設定されていたり、パーキング位置或いはリバース位置に設定されていたのでは、本発明による制御は行えない。従って答がノーであるときには、制御はステップ160へ進む。答がイエスであれば、制御はステップ50へ進む。
ステップ50に於いては、フラグFが1にセットされているか否かが判断される。フラグFは制御が後述のステップ110に至ったとき1にセットされるものであり、それ迄は毎回の運転開始時に0にリセットされているので、制御が最初にこのステップに至ったときには、一先ず答はノーであり、制御はステップ60へ進む。
ステップ60に於いては、車速Vが0であるか否かが判断される。車輌の運行中に車輌が停止され、ステップ10の答がノーになり、ステップ20および30の答がノーであり、ステップ40の答がイエスであり、ステップ50の答がノーであって制御がこのステップに至ったときには、一度は必ずこの答はイエスとなる筈である。(但し、ステップ10の判断が上述の通りV>ΔV?とされるときには、ステップ60はV=ΔV?とされてもよい。)そのとき制御はステップ70へ進む。
ステップ70に於いては、上記の加速度センサ32により検出された車輌前後方向の加速度αが0より大きいか否かが判断される。車輌が平地ないし下り坂にて停止したのであれば、αは0ないし負となるが、車輌が上り坂にて停止したときにはαの値は正の値となる筈である。即ち、車輌が図1に示されている如く傾斜角θの上り坂にて停止していれば、加速度センサ32には重力加速度をgとしてg・sinθの加速度が作用する。そこで、ステップ70の答がイエスであれば、制御はステップ80へ進み、上り坂の傾斜角θをsin-1(α/g)して算出する上り坂の勾配算出が行われる。
次いで制御はステップ90へ進み、車輌を上り坂上にて一時停止状態に維持するに当っての制動力の目標値Fbtがθを変数とする関数fb(θ)の値として算出される。これはθの値に基づいて図3に例示する如きマップ(実線)を参照して行われてよい。この目標制動力Fbtが後滑り抑止用制動力の上限値であり、電子制御装置30の自動制御判断による後滑り抑止用制動力は上り坂の傾斜角θの値に応じてこの目標制動力Fbtまで増大される。
次いで、制御はステップ100へ進み、車輌をこの上り坂上に停止状態に維持するに必要な力より上に算出された制動力を差し引いて駆動力の目標値Fdtが算出される。即ち、車輌をこの上り坂上に停止状態に維持するに必要な力は、車輌の質量をMとすれば、M・g・sinθであるので、Fdt=M・g・sinθ−Fbtとされる。ここで制御はステップ110へ進み、フラグFを1にセットし、更にステップ120へ進む。また、これ以後は、ステップ50に至った制御は、これよりステップ60〜110をバイパスしてステップ120へ進む。
ステップ120に於いては、上に算出された目標制動力Fbtに基づいてかかる制動力を発生するよう制動装置の制御が実行される。
次いで、制御はステップ130 へ進み、車速Vが負であるか否か、即ち車輌が後退しているか否かが判断される。もし答がイエスであれば、それは車輌を上り坂にて停止状態に維持する力が不足していることを意味する。この場合、上記の通り上に算出された目標制動力Fbtは制動力の上限値であり、これ以上は増大されない。そこで、ステップ130の答がイエスのときには、制御はステップ140へ進み、駆動力の目標値Fdtをフローの1サイクル当たり或る微小値ΔFdずつ増大させることが行われる。これは車輌の後退が止まり、ステップ130の答がイエスからノーに転ずるまで続けられる。ステップ130の答が初めからノーであり、或いはイエスからノーに転じた後は、ステップ140はパイパスされる。
次いで、制御はステップ150へ進み、上に算出された目標駆動力Fdtに基づいてかかる駆動力を発生するよう駆動装置の制御が実行される。
以上のことから明らかな通り、当初から上り坂での一時停止状態ではなく、ステップ10の答がイエスであるとき、或いは上り坂での一時停止状態であっても運転者がアクセルペダル或いはブレーキペダルをある程度以上の深さに踏み込んでおり、ステップ20または30の答がイエスであるとき、或いはトランスミッションが前進駆動レンジにシフトされておらず、本発明による制御が行えないとき、または車輌が上り坂上にて停止され、目標制動力Fbtおよび目標駆動力Fdtが算出されて制動力および駆動力を発生させる制御が行われた後、運転者が車輌を発進させるべくアクセルペダルを踏み込むことによりステップ10または20の答がイエスとなったときには、制御はステップ160 へ進む。そして、制御がここに進んだときには、目標駆動力Fbt、目標制動力Fdt、フラグFは、その値が何であっても、0にリセットされ、次回の制御への備えがなされる。
また図3のマップより理解される通り、このマップの例ではFbtの値を与えるfb(θ)の値即ち、制動力の上限値は、上り坂上に於いて車輌を停止状態に維持するに必要な力がFbt+Fdtであるとして、θの増大に応じて大きくされ、またθの増大に連れて駆動力Fdtを増大させるような値に設定されている。
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
10…乗用車、12…上り坂、14…後輪、16…内燃機関、18…トランスミッション、20…プロペラシャフト、22…前輪、24…油圧回路、26,28…油圧導管、30…電子制御装置(ECU)、32…加速度センサ
Claims (3)
- 駆動力制御装置により制御された駆動力にて車輪を駆動する駆動装置と、制動力制御装置により制御された制動力にて車輪を制動する制動装置とを有し、上り坂に於ける一時停止中、前記駆動力制御装置により制御された駆動力と前記制動力制御装置により制御された制動力とにより後滑りが抑止されるとき、前記後滑り抑止用制動力の大きさに上限を設定するようになっていることを特徴とする車輌。
- 前記上限の値は前記上り坂の勾配に応じて該勾配が大きい程大きくされるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車輌。
- 前記上限の値は前記上り坂の勾配に応じて該勾配が大きい程前記後滑り抑止用駆動力が大きくなるように設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の車輌。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005313793A JP2007118781A (ja) | 2005-10-28 | 2005-10-28 | 上り坂での一時停止時に後滑りを抑止される車輌 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005313793A JP2007118781A (ja) | 2005-10-28 | 2005-10-28 | 上り坂での一時停止時に後滑りを抑止される車輌 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007118781A true JP2007118781A (ja) | 2007-05-17 |
Family
ID=38143096
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005313793A Pending JP2007118781A (ja) | 2005-10-28 | 2005-10-28 | 上り坂での一時停止時に後滑りを抑止される車輌 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007118781A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008136291A1 (ja) | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Canon Kabushiki Kaisha | 現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 |
CN104002696A (zh) * | 2014-05-15 | 2014-08-27 | 苏州汇川技术有限公司 | 车辆防溜坡驱动控制器、系统及驱动控制方法 |
CN111186309A (zh) * | 2020-01-02 | 2020-05-22 | 广汽蔚来新能源汽车科技有限公司 | 电动汽车防溜坡控制系统、方法、计算机设备和存储介质 |
-
2005
- 2005-10-28 JP JP2005313793A patent/JP2007118781A/ja active Pending
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