JP2007118313A - 液吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 混色を防止する。
【解決手段】
吐出口34aと圧力発生素子31aが設けられた液室35に供給された液体iを圧力発生素子31aで液滴の状態にして吐出口34aから吐出させる液体吐出ヘッド23の液滴を吐出する複数の吐出口が列をなした吐出口列37を少なくとも1列形成された吐出面34bに、吐出口列37を挟むように、吐出口列37の両側に液体iを隔離するための液体隔離用突起部38を設け、液体隔離用突起部38を液体との接触角が60°以上の材料で形成する
【選択図】図5
【解決手段】
吐出口34aと圧力発生素子31aが設けられた液室35に供給された液体iを圧力発生素子31aで液滴の状態にして吐出口34aから吐出させる液体吐出ヘッド23の液滴を吐出する複数の吐出口が列をなした吐出口列37を少なくとも1列形成された吐出面34bに、吐出口列37を挟むように、吐出口列37の両側に液体iを隔離するための液体隔離用突起部38を設け、液体隔離用突起部38を液体との接触角が60°以上の材料で形成する
【選択図】図5
Description
本発明は、液体を吐出する複数の吐出口が設けられた吐出面を備える液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
インクジェット記録方法は、情報処理装置の出力手段であるプリンタ装置の記録方法として利用されている。このインクジェット記録方法を適用したプリンタ装置は、インクを微小な液滴としてノズルより吐出することによって、被記録媒体上に文字や画像等を印刷するもので、高精細な画像の出力、高速記録の手段として優れている。
プリンタ装置に備わるインクジェット記録方法を適用したインク吐出ヘッドは、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路(液室)と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての発熱体とが一般的に設けられている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。
プリンタ装置は、このインク吐出ヘッドを着脱自在に又は固定して搭載することによって、インクを微小な液滴として被記録媒体上に吐出して印刷をおこなうことができる。
このプリンタ装置は、インクリボンをピン等でたたきつけることにより被記録媒体に印刷をおこなうインパクト型のプリンタ装置と異なり、物理的な衝撃を与えないノンインパクト型のプリンタ装置であることから、騒音が少なく、多色のインクを使うことによってカラー画像も容易に印刷することができ、装置本体の小型化や画像の高密度化も容易であること等の特徴を有する。したがって、このプリンタ装置に用いられているインクジェット記録方法は、近年、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに捺染装置等の産業用システムにまで急速に普及しつつある。
プリンタ装置では、上述したようなインク吐出ヘッドを記録紙の幅方向に移動させながら印刷を行うシリアル型の場合、インク吐出ヘッドの移動方向と同方向に並設された吐出口からインクを吐出する。プリンタ装置では、インク吐出ヘッドの吐出口が設けられている吐出面の吐出口の近傍に吐出されたインクと一緒に吐出されたインク、いわゆるインクサテライトが付着してしまう。また、プリンタ装置では、インクの表面張力が低いため、インクを吐出した後、吐出口近傍がインクで濡れてしまう。
プリンタ装置では、吐出面の吐出口近傍にインクが付着していると、その付着したインクの表面張力によって、次に吐出されるインクが吐出口からでてくる際に吐出口の近傍に付着しているインクに引っ張られてしまう。これにより、プリンタ装置では、所定の方向にインクが吐出されず、吐出方向が変わってしまう。プリンタ装置では、インクの吐出方向が変わることによって、画像に白抜けが生じ、画像の品位が低下してしまう。
このような問題を解決するために、プリンタ装置には、吐出面に付着しているインクを払拭するための手段として弾性部材で薄板状に形成されたクリーニングブレードが設けられている。クリーニングブレードは、吐出面に押し当てられて摺動することにより、吐出面に付着しているインクを払拭する。このクリーニングブレードは、例えば下記の特許文献3に記載されているように、プリンタ装置に複数のインク吐出ヘッドが並設されている場合、インク吐出ヘッド毎に設けられる。このようなプリンタ装置では、インク吐出ヘッド毎に吐出面をクリーニングする。
また、プリンタ装置では、複数のインク吐出ヘッドが並設されている場合、1枚のクリーニングブレードですべてのインク吐出ヘッドの吐出面をクリーニングする場合がある。このプリンタ装置では、並設された複数の吐出面を1枚のクリーニングブレードで払拭すると、装置の小型化により他の色の吐出口との間隔が狭くなっているため、クリーニングブレードによって移動した吐出面に付着している不要なインクが隣接する他の色のインクの吐出口上を通過したり、吐出面上で他の色のインクと混ざり合ってしまう。
例えば、プリンタ装置では、2色のインクを吐出する場合、2つのインク吐出ヘッドが並設され、図12に示すように、各インク吐出ヘッドのノズルシート200,201が並設されている。このようなプリンタ装置では、この2つのノズルシート200,201の吐出面200a,201aを1枚のクリーニングブレード202で吐出口列203,204に沿って払拭する。このような場合には、一方のインク吐出ヘッドの吐出面200aに付着している不要なインク205と、他方のインク吐出ヘッドの吐出面201aに付着している不要なインク206とが混ざり合ったインク207ができ、吐出面200a,201a上で混色が生じる。これにより、このようなプリンタ装置では、吐出面200a,201aのノズル近傍に付着している混色したインク207が吐出されるインクと共に吐出されてしまい、画像の品位が低下してしまう。このようなプリンタ装置では、クリーニングブレード202が吐出面200a,201aを払拭した後、混色したインクを吐出するための空吐出を行ったりする。このため、このようなプリンタ装置では、インクの消費量が多くなってしまう。
本発明は、吐出面をクリーニングする際に、吐出面上で液体が混ざり合うことを防止することができる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、吐出口と圧力発生素子とが設けられた液室に供給された液体を上記圧力発生素子で液滴の状態にして上記吐出口から吐出させるものであり、液滴を吐出する複数の吐出口が列をなした吐出口列を少なくとも1列有し、吐出口列が形成された吐出面に、吐出口列を挟むように、吐出口列の両側に液体を隔離するための液体隔離用突起部が設けられ、液体隔離用突起部は、液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出し、被記録媒体上に着弾させることで記録を行うものであり、吐出口と圧力発生素子とが設けられた液室に供給された液体を圧力発生素子で液滴の状態にして吐出口から吐出させる液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドの吐出口が設けられた吐出面をクリーニングするクリーニング手段とを備え、液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数の吐出口が被記録媒体の幅方向に亘って略ライン状に列をなした吐出口列を少なくとも1列有し、吐出口列が形成された吐出面に、吐出口列を挟むように、吐出口列の両側に液体を隔離するための液体隔離用突起部が設けられ、液体隔離用突起部は、液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることを特徴する。
また、本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出し、被記録媒体上に着弾させることで記録を行うものであり、吐出口と圧力発生素子とが設けられた液室に供給された液体を圧力発生素子で液滴の状態にして吐出口から吐出させる液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドが着脱可能に又は固定して搭載され、液体吐出ヘッドを被記録媒体の幅方向に亘って移動させるキャリッジと、被記録媒体を搬送する搬送手段と、液体吐出ヘッドの吐出口が設けられた吐出面をクリーニングするクリーニング手段とを有し、液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数の吐出口がキャリッジの移動方向と同方向に列をなした吐出口列を少なくとも1列有し、吐出口列が形成された吐出面に、吐出口列を挟むように、吐出口列の両側に液体を隔離するための液体隔離用突起部が設けられ、液体隔離用突起部は、液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることを特徴する。
本発明によれば、吐出口列の両側にその吐出口列を挟むように、液体を隔離するための液体隔離用突起部が形成されており、この液体隔離突起部が液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることによって、液体隔離用突起部に液体が接すると液体をはじくようになる。これにより、本発明では、吐出面をクリーニングした際に液体が移動しても、吐出口列の両側に設けられた液体隔離用突起部によって液体がはじかれ、塞き止められるため、並設されている他の吐出口列まで液体が移動しないようになり、吐出面上で混色が発生することを防止できる。
以下、本発明が適用されたインク吐出ヘッド及びプリンタ装置について、図面を参照して説明する。図1に示すように、プリンタ装置1は、液体として例えばインクiを被記録媒体として記録紙Pに対して吐出して文字や画像を印刷する。プリンタ装置1は、インクiを吐出するヘッドカートリッジ2と、このヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3とを備える。このプリンタ装置1は、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にノズルを略ライン状に色毎に並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ2が装置本体3に対して着脱可能である。
なお、被記録媒体としては、特に限定されず、従来から使用されているコピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙を好適に用いることができる。また、被記録媒体としては、インクジェットプリント用に特別に作製したコート紙やOHP用透明フィルムも好適に使用でき、また一般の上質紙や光沢紙も好適に用いることができる。
先ず、ヘッドカートリッジ2について説明する。ヘッドカートリッジ2は、例えば圧力発生素子として電気熱変換式を用いた発熱抵抗体を用いてインクiを吐出させ、記録紙Pの主面にインクiを着弾させる。ヘッドカートリッジ2には、図2及び図3に示すように、インクiが収容されたインクタンク11が装着される。インクタンク11は、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクの色毎に、イエローインクのインクタンク11y、マゼンタインクのインクタンク11m、シアンインクのインクタンク11c、ブラックインクのインクタンク11kを備える。
インクタンク11は、記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法をなす略矩形状に形成されている。インクタンク11には、底面の略中央に収容しているインクiをヘッドカートリッジ2に供給するインク供給部12が設けられている。インク供給部12は、略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ2の接続部25に嵌合される。インクタンク11は、インク供給部12をヘッドカートリッジ2の接続部25に嵌合することによって、ヘッドカートリッジ2と接続し、インクiをヘッドカートリッジ2に供給することができる。
ここで、インクタンク11に充填されるインクiについて説明する。インクiは、公知の染料及び水、水溶性有機溶剤を用いた水系のインクである。染料としては、直接染料、酸性染料、反応性染料などに代表される水溶性染料である。また、インクiには、各種顔料を適宜使用することもできる。染料や顔料等の着色剤の添加量は、着色剤の種類、溶媒成分の種類、インクiに対し要求されている特性などに依存して決定する。
具体的に、イエロー系直接染料としては、C.I.ダイレクトイエロー1、同8、同11、同12、同24、同26、同27、同28、同33、同39、同44、同50、同58、同85、同86、同87、同88、同89、同98、同100、同110等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
マゼンタ系の直接染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、同2、同4、同9、同11、同13、同17、同20、同23、同24、同28、同31、同33、同37、同39、同44、同46、同62、同63、同75、同79、同80、同81、同83、同84、同89、同95、同99、同113、同197、同201、同218、同220、同224、同225、同226、同227、同228、同229、同230、同321等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
シアン系の直接染料としては、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同8、同15、同22、同25、同41、同71、同76、同77、同78、同80、同86、同90、同98、同106、同108、同120、同158、同160、同163、同165、同168、同192、同193、同194、同195、同196、同199、同200、同201、同202、同203、同207、同225、同226、同236、同237、同246、同248、同249等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
ブラック系の直接染料としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同56、同62、同71、同74、同75、同77、同94、同105、同106、同107、同108、同112、同113、同117、同118、同132、同133、同146が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
イエロー系の酸性染料としては、C.I.アシッドイエロー1、同3、同7、同11、同17、同19、同23、同25、同29、同36、同38、同40、同42、同44、同49、同59、同61、同70、同72、同75、同76、同78、同79、同98、同99、同110、同111、同112、同114、同116、同118、同119、同127、同128、同131、同135、同141、同142、同161、同162、同163、同164、同165等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
マゼンタ系の酸性染料として、C.I.アシッドレッド1、同6、同8、同9、同13、同14、同18、同26、同27、同32、同35、同37、同42、同51、同52、同57、同75、同77、同80、同82、同83、同85、同87、同88、同89、同92、同94、同97、同106、同111、同114、同115、同117、同118、同119、同129、同130、同131、同133、同134、同138、同143、同145、同154、同155、同158、同168、同180、同183、同184、同186、同194、同198、同199、同209、同211、同215、同216、同217、同219、同249、同252、同254、同256、同257、同262、同265、同266、同274、同276、同282、同283、同303、同317、同318、同320、同321、同322等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
シアン系の酸性染科としては、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同27、同29、同40、同41、同43、同45、同54、同59、同60、同62、同72、同74、同78、同80、同82、同83、同90、同92、同93、同100、同102、同103、同104、同112、同113、同117、同120、同126、同127、同129、同130、同131、同138、同140、同142、同143、同151、同154、同158、同161、同166、同167、同168、同170、同171、同175、同182、同183、同184、同187、同192、同199、同203、同204、同205、同229、同234、同236等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
ブラック系の酸性染科として、C.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同29、同31、同44、同48、同50、同51、同52、同58、同60、同62、同63、同64、同67、同72、同76、同77、同94、同107、同108、同109、同110、同112、同115、同118、同119、同121、同122、同131、同132、同139、同140、同155、同156、同157、同158、同159、同191等が挙げられる。これらのうち、一種又は複数種を混合して用いることができる。
着色剤として染料を使用する場合、染料の含有量は、インクi全体に対して0.5〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.7〜10重量%である。含有量が0.5重量%以上の場合には、最低限の印字濃度を得ることができる。一方、含有量が15重量%以下の場合には、他の添加剤と合わせて印字可能な粘度に調整し易く、使用しやすい。したがって、染料の含有量は、インクi全体に対して0.5重量%以上、15重量%以下とする。
着色剤等を溶解、分散させる溶媒としては、低粘度であること、安全性に優れること、取り扱いが容易であること、コストが安いこと、臭気が無いことなどの理由より主に水やインクi中に不要なイオンの混入を防止するためイオン交換水が用いられる。
また、溶媒としては、水やイオン交換水の他に、水溶性有機溶媒が用いられる。水溶性有機溶剤としては、脂肪族一価アルコールや多価アルコール、多価アルコール誘導体が挙げられる。
脂肪族一価アルコールとしては、メチルアルコール,エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコールが挙げられる。このような脂肪族一価アルコールは、インクiの表面張力を調整し、普通紙、専用紙等の記録紙への浸透性、ドット形成性、印刷された画像の乾燥性を向上する効果が高いため、溶媒として好ましい。また、脂肪族一価アルコールのうち、エチルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等が好ましい。これらの脂肪族一価アルコールは、単独又は混合して用いられる。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、チオジグリコール等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールジメチルエーテル等の上述した多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エチレングリコールジアセテート等の上述した多価アルコールの低級カルボン酸エステル類等が挙げられる。この多価アルコール及びその誘導体を使用した場合には、蒸発しにくいこと、インクiの氷点を下げることから、インクiの保存安定性を高め、ノズル34aの目詰まりを防止する等の効果がある。これらの多価アルコールは、単独又は混合して用いられる。
また、インクiには、脂肪族一価アルコールや多価アルコール、多価アルコール誘導体などの水溶性有機溶剤以外に界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤などの添加剤を任意に使用することができる。
さらに、インクiには、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のエステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド等の含窒素類等をポリオキシエチレンアセチレングリコール類と併用することもできる。
さらにまた、インクiには、諸特性の向上を目的として、一価アルコールや多価アルコール以外に、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、及びケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、γ―ブチルラクトン、グリセリン、1.2.6−ヘキサントリオール等の3価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの含窒素複素環化合物などを添加することもできる。これらの有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
また、インクiには、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤としてゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を添加してもよい。これらのうち、1種又は2種類以上を混合して用いることができる。
インクタンク11が装着されるヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体21を有する。カートリッジ本体21は、インクタンク11が装着される装着部22と、インクiを吐出する液体吐出ヘッドとなるインク吐出ヘッド23と、インク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24とを備える。ヘッドカートリッジ2は、装置本体3のヘッドカートリッジ装着部61に着脱可能に装着される。なお、ヘッドカートリッジ2は、ヘッドカートリッジ装着部61に固定されてもよい。
装着部22の長手方向略中央には、装着部22に装着されたインクタンク11のインク供給部12と接続する接続部25が設けられている。この接続部25は、装着部22に装着されたインクタンク11のインク供給部12からカートリッジ本体21の底面に設けられたインクiを吐出するインク吐出ヘッド23にインクiを供給するインク供給路となる。接続部25は、インクタンク11からインク吐出ヘッド23へのインクiの供給を弁機構で調整している。
接続部25からインクiが供給されるインク吐出ヘッド23は、カートリッジ本体21の底面に沿って配設されている。インク吐出ヘッド23は、接続部25から供給されるインクiを吐出する吐出口である後述するノズル34aが記録紙Pの幅方向、すなわち図3中矢印W方向に略ライン状にインクiの4色の色毎に並設されている。インク吐出ヘッド23は、インクiを吐出する際に、記録紙Pの幅方向に移動することなく、後述するノズル列37毎にインクiを吐出する。そのため、プリンタ装置1では、記録紙Pの幅方向に移動して印刷するシリアル型のプリンタ装置と比べて印刷速度が速くなっている。
インク吐出ヘッド23は、図4に示すように、発熱抵抗体31aが設けられた回路基板31とフィルム32とからなるヘッドチップ33を有する。インク吐出ヘッド23は、ノズル34aが形成されたノズルシート34にヘッドチップ33が貼り合わされて形成される。インク吐出ヘッド23には、回路基板31とフィルム32とノズルシート34とで囲まれたインク液室35が形成されている。インク液室35には、発熱抵抗体31aによって加熱されるインクiが充填される。また、インク吐出ヘッド23には、インクiが収容されたインクタンク11からインクiをインク液室35に供給するためのインク流路36が形成されている。
ヘッドチップ33は、図5に示すように、インク吐出ヘッド23の長辺方向、即ち記録紙Pの幅方向に亘って、色毎に千鳥状に並設されている。
ヘッドチップ33を構成する回路基板31は、図4に示すように、例えばシリコン基板であり、シリコン基板上にロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路が形成されている。また、回路基板31には、圧力発生素子として、制御回路により制御されてインクiを加熱する発熱抵抗体31aが設けられている。
回路基板31の発熱抵抗体31aが設けられた面に積層されるフィルム32は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストである。フィルム32は、上述したインク流路36と連通される部分を除いて、1つの発熱抵抗体31aを囲むように回路基板31上にフォトリソプロセスによって形成される。フィルム32は、回路基板31及びノズルシート34と共に、インク液室35を構成する。また、フィルム32には、回路基板31とは反対側の面にノズルシート34が貼り合わされる。
ノズルシート34は、図4に示すように、厚みが10μm〜15μm程度のシート状部材である。ノズルシート34には、図5に示すように、貼り合わされるヘッドチップ33の発熱抵抗体31aと対向する位置に、インクiを吐出するためのノズル34aが千鳥状に数万個形成されている。このノズルシート34は、例えばニッケルを主成分とする電解めっき層で形成されている。ノズル34aは、インクiが吐出される吐出面34bに向かって縮径するように形成されている。なお、吐出面34bには、撥水処理が施されていないが、後述するインク隔離用突起部38により、色の異なる不要なインクi同士が混ざり合うことを防止できる。
ノズルシート34には、インクiを色毎に吐出するため、図5に示すように、色毎に複数のノズル34aが記録紙Pの幅方向(図5中W方向)に千鳥状に並設されたノズル列37が形成されている。具体的に、ノズルシート34には、インクタンク11が並列している順に対応して、装置本体3の背面側から前面側に向かってイエローインクを吐出するイエローのノズル列37y、マゼンタインクを吐出するマゼンタのノズル列37m、シアンインクを吐出するシアンのノズル列37c、ブラックインクを吐出するブラックのノズル列37kが並設されている。
また、ノズルシート34には、図5に示すように、吐出面34bに各色のノズル列37を挟むように両側にインク隔離用突起部38が設けられている。このインク隔離用突起部38は、吐出面34bに付着した色の異なるインクi同士が混ざり合わないように、ノズル列37毎に吐出面34bに付着したインクiを隔離する。このインク隔離用突起部38は、例えばノズル列37に沿って略平行に設けられている。このインク隔離用突起部38の高さは、100μm〜200μm程度である。
インク隔離用突起部38は、インクiとの接触角θが60°以上となる材料で形成されている。インク隔離用突起部38を形成する材料としては、例えばシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等である。シリコーン系樹脂としては、例えばRTVシリコーン等の脱アルコール湿気硬化型を用いることができる。フッ素系樹脂としては、例えばテフロン(登録商標)等を用いることができ、旭硝子社のサイトップ(商品名)、ダイキン工業株式会社製のオプツール(商品名)等も用いることができる。
また、インク隔離用突起部38は、ディスペンサやスクリーン印刷することができる樹脂であれば、インク隔離用突起部38を形成する樹脂の形態や種類は特に限定されない。また、ディスペンスできる樹脂で、使用するインクiと形成する接触角θが60°以下であっても、例えば、フッ素系界面活性剤などを添加することによって、インクiとの接触角θが60°以上になれば使用可能である。
ディスペンスできる樹脂としては、例えばRTVシリコーン等の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いることができる。この脱アルコール湿気硬化型のシリコーン樹脂は、ノズルシート34との接着性が良好であるため好ましい。
脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂としては、例えばGE東芝シリコーン株式会社製のTSE3975、TSE3941MやTSE3971等を用いることができる。
また、脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂中の低分子シロキサンの含有量は、300ppm以上であることがさらに好ましい。低分子シロキサンは、シリコーン樹脂が硬化する際に飛散するものであり、撥水性を示す。この低分子シロキサンは、脱アルコール型の樹脂の場合、樹脂を硬化させる際に、約2、3wt%のアルコールが発生し、そのアルコールの揮散に伴い、広範囲に低分子シロキサンが揮散する。これにより、飛散した低分子シロキサンが吐出面34bに付着する。これにより、吐出面34bは、低分子シロキサンによって撥水処理が施される。したがって、脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂は、インク隔離用突起部38として機能する以外に、吐出面34bを撥水処理することができ、吐出面34bに不要なインクiが付着しにくくするため、好ましい。
ここで、インク隔離用突起部38を形成する材料とインクiとの接触角θとは、図6に示すように、インク隔離用突起部38を形成する材料で試験片39を作製し、この試験片39上にインクiの液滴40を静置させ、試験片39とインクiの液滴40とが接する位置からインクiの液滴40の曲面に接線Lを引いたときの接線Lと試験片39のなす角度をいう。この接触角θを測定する際には、測定機として、例えば協和界面科学株式会社製の接触角計CA−Xを用いた。
インク隔離用突起部38は、このインク隔離用突起部38を形成する材料で試験片39を作製して、この試験片39上に静置させたインクiの液滴40との接触角θが60°以上の材料を用いて形成することによって、吐出面34b上でも同様にインクiとの接触角θは60°となる。
ノズルシート34では、吐出面34bに付着した不要なインクiを後述するクリーニングローラ53で払拭し、ノズル34a近傍に付着したインクiを除去することによって、インクiを安定に吐出することができる。ノズルシート34では、クリーニングローラ53で吐出面34bをクリーニングする際に、図5中矢印A方向、即ちノズル列37と直交方向にクリーニングローラ53が移動することによって吐出面34bに付着した不要なインクiがクリーニングローラ53に吸収されながら払拭され、吐出面34bがクリーニングされる。
ノズルシート34では、クリーニングローラ53の移動により、矢印A方向に移動した不要なインクiが各ノズル列37の矢印A方向の側に設けられ、インクiとの接触角θが60°以上のインク隔離用突起部38によってはじかれ、塞き止められる。これにより、ノズルシート34では、各ノズル列37の領域に付着している不要なインクiが他のノズル列37の領域に移動することを防止できる。また、ノズルシート34では、各ノズル列37に設けられたインク隔離用突起部38で塞き止められた不要なインクiをクリーニングローラ53で吸収することができる。これらのことから、ノズルシート34では、吐出面34b上で混色が発生することを防止できる。
なお、インク隔離用突起部38は、各吐出口列37の両側に設けることに限定されず、ノズル列37の間に設けてもよい。また、インク隔離用突起部38は、ノズル列35に沿って平行に設けることに限定されず、ハの字状に形成したり、L字状に形成してもよい。
また、インク吐出ヘッド23には、上述したヘッドチップ33及びノズルシート34の他に、図4に示すように、インクタンク11からインクiを各ノズル34aへ導くインク流路36を形成する流路板41と、ノズルシート34を保持するフレーム42とが設けられている。
流路板41は、記録紙Pの幅に相当する長さに亘って形成されたインク流路36を内部に有する流路部41aと、この流路部41aの上面に設けられ、接続部25からのインクiをインク流路36に供給するインク供給管41bとを有する。この流路板41は、インク供給管41bが接続部25と接続され、接続部25から供給されたインクiがインク供給管41bを介して、インク流路36にインクiが供給され、各ノズル34aにインクiを供給する。
この流路板41は、インクiの色毎に設けられ、例えば金属など、容易に変形しない剛性及び収容されるインクiに対して耐インク性を備えた材料で形成される。流路部41aには、インク供給管41bが設けられている面とは反対側の面に、ヘッドチップ33が配置される。
フレーム42は、ヘッドチップ33及び流路板41が嵌め込まれる開口部42aを有する。このフレーム42のヘッドチップ33が挿入された側の面には、ノズルシート34が貼り合わされる。フレーム42は、ノズル34aと発熱抵抗体31aとが対向するようにノズルシート34がヘッドチップ33のフィルム32及び流路板41と貼り合わされるようにノズルシート34を支持する。
以上のような構成からなるインク吐出ヘッド23は、次のようにして製造する。先ず、別工程で作製したノズルシート34上に、ノズル34aがフレーム42に設けた開口部42aと対向するようにフレーム42を載せ、ノズルシート34とフレーム42とを熱硬化型のシート接着剤で貼り合わせる。
次に、フレーム42の開口部42aに回路基板31及びフィルム32を配置し、フィルム32を熱硬化させることによって、ヘッドチップ33とノズルシート34とを貼り合わせる。ヘッドチップ33とノズルシート34とを貼り合わせることによって、ヘッドチップ33及びノズルシート34で囲まれたインク液室35が形成される。
次に、別の工程で組み立てた流路板41の流路部41aをフレーム42の開口部42aに挿入し、流路部41aの底面とヘッドチップ33の回路基板31とを接着剤で接着する。
次に、ノズルシート34の吐出面34bにノズル列37を挟むように、各ノズル列37に沿って両側に例えばRTVシリコーンをディスペンスにより高さ100〜200μm程度となるように塗布し、RTVシリコーンを硬化させる。これにより、ノズルシート34の吐出面34bには、各ノズル列37の両側にインク隔離用突起部38が形成され、インク吐出ヘッド23が得られる。なお、ノズルシート34の吐出面34bには、インク隔離用突起部38にRTVシリコーンを用いているため、このRTVシリコーンを硬化させた際に飛散した低分子シロキサンによって撥水処理が施される。これにより、ノズルシート34の吐出面34bには、不要なインクiが付着しにくくなる。
なお、インク隔離用突起部38を形成する際には、スクリーン印刷によりインク隔離用突起部38を形成してもよい。
上述したインク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24は、図2及び図7に示すように、インク吐出ヘッド23の吐出面34b側に設けられノズル34a内のインクiを乾燥等から保護している。このヘッドキャップ24は、ヘッドカートリッジ2の底面を覆うことができる大きさで、ヘッドカートリッジ2の底面側が開口した略箱状に形成されている。ヘッドキャップ24は、図2及び図7中矢印A及び矢印B方向に移動可能であり、インクiを吐出していないとき、短辺方向の両端に設けられたカバー保持片51がヘッドカートリッジ2の底面に設けられたガイド溝52に係合され、ヘッドカートリッジ2の底面に保持される。一方、インクiを吐出するときには、ノズル34aが外部に臨むように、カバー保持片51がガイド溝52に沿って移動し、ヘッドカートリッジ2の底面から、図7に示すように、矢印A方向に装置本体3の前面側に移動する。
このヘッドキャップ24の内部には、図2及び図7に示すように、吐出面34bに付着した不要なインクiを払拭するクリーニング手段となるクリーニングローラ53が設けられている。クリーニングローラ53は、図2に示すように、略円柱棒状の回転軸53aにインクiを吸収する吸収体53bが取り付けられている。
クリーニングローラ53は、ヘッドキャップ24が吐出面34bと対向する位置に配置され、吐出面34bを保護している状態から、ヘッドキャップ24が装置本体3の前面側に即ち図7矢印A方向に移動して、インクiを吐出できる状態にする際に、ヘッドキャップ24と共にノズル列37と直交方向に吐出面34b上を従動回転する。クリーニングローラ53は、図5に示すように、図5中矢印A方向に移動することによって、装置本体3の最も背面側に位置するイエローインクのノズル列37yをクリーニングし、次にマゼンタインクのノズル列37mをクリーニングし、次にシアンインクのノズル列37cをクリーニングし、次にブラックインクのノズル列37kをクリーニングする。クリーニングローラ53は、各色のノズル列37に対して直交方向に吐出面34b上を移動し、吐出面34bに付着している不要なインクiを吸収しながら、払拭する。
吐出面34bをクリーニングローラ53でクリーニングした際には、上述したようにノズル列37に対して直交方向に移動するクリーニングローラ53によって、各ノズル列37の領域で、矢印A方向に移動した不要なインクiがインク隔離用突起部38にはじかれ、塞き止められる。
具体的に、クリーニングローラ53は、先ず、イエローインクのノズル列37yの領域を図5中矢印A方向に移動しながら、ノズル列37yの領域内に付着している不要なイエローインクを吸収、払拭し、ノズル列37yの領域内をクリーニングする。この際に、クリーニングローラ53によって移動した不要なイエローインクは、マゼンタインクのノズル列37mとの間に設けられているインク隔離用突起部38にはじかれ、このインク隔離用突起部38を越えることなく、塞き止められる。これにより、不要なイエローインクは、マゼンタインクのノズル列37mやシアンインクのノズル列37c、ブラックインクのノズル列37kの領域に移動することなく、ノズル列37mの領域に付着している不要なマゼンタインクやノズル列37cの領域に付着している不要なシアンインク、ノズル列37kに付着している不要なブラックインクと混ざり合うことがない。これにより、インク吐出ヘッド23では、吐出面34b上で不要なイエローインクと混色が発生することを防止できる。
同様に、クリーニングローラ53がさらに図5中矢印A方向に進み、マゼンタインクのノズル列37mやシアンインクのノズル列37c、ブラックインクのノズル列37kをクリーニングする際にも、各色の不要なインクiが隣接するノズル列37に移動することを防止できる。また、インク吐出ヘッド23では、インク隔離用突起部38で各ノズル列37の領域内に塞き止められた不要なインクiをクリーニングローラ53で吸収することができる。これらのことから、インク吐出ヘッド23では、クリーニングローラ53で吐出面34bをクリーニングしても吐出面34b上で混色が発生することを防止できる。また、インク吐出ヘッド23では、インク隔離用突起部38によって塞き止められた不要なインクiをクリーニングローラ53で吸収することができる。これらのことから、インク吐出ヘッド23では、混ざり合ったインクiが吐出されることなく、高品位な文字や画像を形成することができ、ノズル34a近傍に付着した混色したインクiを吐出するための空吐出を行う回数を減らすことができる。
なお、クリーニングローラ53は、印刷後、ヘッドキャップ24がヘッドカートリッジ2の底面に戻る際に吐出面34bに付着しているインクiや塵埃等を払拭するようにしてもよい。
以上のようなヘッドカートリッジ21が装着される装置本体3は、図1及び図8に示すように、上面側に設けられたヘッドカートリッジ装着部61にヘッドカートリッジ21が装着される。装置本体3には、内部にヘッドキャップ24を移動させるヘッドキャップ移動機構62と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構63とを備える。
ヘッドキャップ移動機構62は、ヘッドキャップ24を吐出面34bと対向させて、吐出面34bを閉塞する閉塞位置と、装置本体3の前面側に待機させて、吐出面34bを開放する位置との間を移動させる。
給排紙機構63は、装置本体3の外部から記録紙Pを内部に取り込み、インク吐出ヘッド23の吐出面34bと対向する位置に搬送し、印刷終了後、装置本体3の内部から外部に排紙する。
プリンタ装置1は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき印刷を行う。即ち、プリンタ装置1では、装置本体3に設けられた操作ボタン3aの操作により、ヘッドキャップ移動機構62と給排紙機構63とが駆動する。プリンタ装置1では、ヘッドキャップ移動機構62が図7に示すように駆動し、給排紙機構63が図8に示すように駆動して、印刷可能な状態となる。
具体的に、プリンタ装置1では、ヘッドキャップ移動機構62が駆動し、ヘッドカートリッジ本体21の底面に配置され、吐出面34bを保護しているヘッドキャップ24が図7中矢印A方向に移動し、吐出面34bに設けられたノズル34aが外部に露出するようにする。
プリンタ装置1では、ヘッドキャップ24を吐出面34bと対向する位置から装置本体3の前面側に移動させる際に、吐出面34b上をクリーニングローラ53が各色のノズル列37を直交方向に移動する。プリンタ装置1では、クリーニングローラ53が吐出面34b上に付着した不要なインクiを吸収しながら、払拭することで吐出面34bをクリーニングする。
ここで、プリンタ装置1では、図5に示すように、各ノズル列37の両側にインク隔離用突起部38が設けられており、このインク隔離用突起部38がインクiとの接触角θが60°以上の材料で形成されていることから、インクiがインク隔離用突起部38と接するとインクiをはじくようになる。これにより、プリンタ装置1では、吐出面34bをクリーニングした際に、クリーニングローラ53によって移動した不要なインクiがインク隔離用突起部38によってはじかれ、このインク隔離用突起部38の越えることなく、各ノズル列37の領域内に塞き止められる。また、プリンタ装置1では、各ノズル列37の領域内に塞き止められた不要なインクiをクリーニングローラ53で吸収することができる。これらのことから、プリンタ装置1では、クリーニングローラ53で吐出面34bをクリーニングした際に吐出面34b上で混色が生じることを防止できる。
また、プリンタ装置1は、装置本体3の給排紙機構63が駆動し、トレイ71の下側に設けられた給紙部71aから給紙ローラ72で記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ73a,73bで給紙部71aから1枚だけ記録紙Pを引き出す。プリンタ装置1は、分離ローラ73a,73bで引き出した記録紙Pを反転ローラ74でヘッドカートリッジ21側に反転し、吐出面34bと対向する位置に設けられた搬送ベルト75上に記録紙Pを搬送する。記録紙Pは、ヘッドカートリッジ21の吐出面34bと対向するプラテン板76に保持され、吐出面34bと対向するようになる。
次に、プリンタ装置1では、印刷データに基づいてインク吐出ヘッド23に設けられた発熱抵抗体31aを駆動し、ヘッドカートリッジ21の吐出面34bと対向する位置に搬送した記録紙Pに対してノズル34aよりインクiが吐出し、文字や画像等を印刷する。プリンタ装置1では、吐出面34b上での混色が防止されているため、色の混ざったインクiが吐出されることなく、高品位な文字や画像等を印刷することができる。
具体的に、プリンタ装置1では、回路基板31の制御回路が発熱抵抗体31aを駆動制御し、選択された発熱抵抗体31aに対して、パルス電流を供給し、発熱抵抗体31aを急速に加熱する。すると、インク吐出ヘッド23では、発熱抵抗体31aと接するインク液室35内のインクiに気泡が発生する。そして、インク吐出ヘッド23は、このインク液室35内において、気泡が膨張しながらインクiを押圧し、押し退けられたインクiを液滴状態にしてノズル34aから吐出し、吐出されたインクiの量と同量のインクiをインクタンク11から補充する。
次に、プリンタ装置1では、印刷後の記録紙Pを搬送ベルト75の端部と対向するように設けた排紙ローラ77でトイレ71の上側に設けられた排紙部71bに排紙する。
プリンタ装置1では、以上の動作を繰り返して、記録紙Pに印刷を行う。プリンタ装置1では、印刷後、装置本体3の前面側に待機しているヘッドキャップ24を吐出面34bと対向する位置に移動させ、吐出面34bを閉塞し、ノズル34a内のインクiを乾燥から保護する。
以上のように動作するプリンタ装置1では、吐出面34bに各ノズル列37を挟むように両側に、インクiとの接触角θが60°以上である材料からなるインク隔離用突起部38が設けられていることによって、混色の発生を防止できる。これにより、プリンタ装置1では、吐出面34b上で混色が発生しないため、色の混ざったインクiが吐出されることなく、高品位な文字や画像を印刷することができる。また、プリンタ装置1では、吐出面34b上で混色を防止することができるため、ノズル34a近傍に付着したインクiを除去するために行う空吐出の回数を減らすことができる。
なお、上述したプリンタ装置1では、吐出面34bを開放する際に吐出面34bのクリーニングを行ったが、このことに限定されず、ヘッドキャップ24で吐出面34bを閉塞する際にもクリーニングローラ53で吐出面34bをクリーニングするようにしてもよい。この際にも、各ノズル列37の両側に形成したインク隔離用突起部38によって、混色を防止することができる。
また、プリンタ装置1では、記録紙1枚、又は複数枚印刷する毎に吐出面34bのクリーニングを行い、混色を防止するようにしてもよい。また、上述したプリンタ装置1では、吐出面34bをクリーニングするクリーニング手段としてクリーニングローラ53を備えているが、このことに限定されず、クロロプレンゴム、ウレタンゴム等といった樹脂製弾性体からなる板状のクリーニングブレードを備えていてもよい。
また、本発明を適用した他のインク吐出ヘッド及びプリンタ装置について図面を参照して説明する。図9に示すプリンタ装置100は、上述したプリンタ装置1と異なり、インク吐出ヘッド101が記録紙Pの幅方向に移動しながらインクiを吐出することで、記録紙Pの幅方向に亘って印刷を行うシリアル型のプリンタ装置である。なお、インクiについては、上述したプリンタ装置1で用いたインクiと同じものであり、詳細な説明を省略する。
プリンタ装置100は、図9に示すように、インクiを吐出するインク吐出ヘッド101と、装置本体102とを備える。プリンタ装置100には、2色のインクiを吐出することができるように、インク吐出ヘッド101が2つ並設されている。装置本体102には、インク吐出ヘッド101を記録紙Pの幅方向に移動させるキャリッジ103と、記録紙Pを搬送する搬送機構104と、インク吐出ヘッド101の吐出面111bをクリーニングするクリーニング手段となるクリーニングブレード105とを備える。
各インク吐出ヘッド101は、発熱抵抗体110aに対して直交方向にノズル111aが設けられているものである。インク吐出ヘッド101は、図10に示すように、発熱抵抗体110aが設けられた回路基板110と、回路基板110上に貼り合わされたノズルシート111とからなる。
回路基板110は、例えばシリコン基板であり、シリコン基板上にロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路が形成されており、上述した回路基板31と同様な構成からなる。また、回路基板110には、外部からのリード116を接続するためのめっき又はボールバンプ等の接続部110bが設けられている。
ノズルシート111は、図10に示すように、発熱抵抗体110aと対向する位置にインクiを吐出するノズル111aが数百個設けられている。このノズルシート111は、基板110上にパターンニングして形成される。なお、吐出面111bには、撥水処理を行うようにしている。
ノズルシート111の吐出面111bには、図10及び図11に示すように、ノズル列112を挟むように両側に吐出面111aに付着した不要なインクiが他の色の不要なインクiと混ざらないように隔離するインク隔離用突起部113が設けられている。このインク隔離用突起部113は、例えばノズル列112に沿って略平行に設けられている。インク隔離用突起部113は、インクiとの接触角θが60°以上の材料で形成されている。なお、このインク隔離用突起部113は、上述したプリンタ装置1のインク隔離用突起部38と同じ部材であるため、詳細な説明を省略する。
また、各インク吐出ヘッド101には、基板110とノズルシート111とで挟まれて形成されたインク液室114を有する。このインク液室114には、発熱抵抗体110aを備え、室内のインクiが発熱抵抗体110aによって加熱される。
各インク吐出ヘッド101では、インク隔離用突起部113がインクiとの接触角θが60°以上である材料で形成されているため、インク隔離突起部113にインクiが接するとインクiをはじくようになる。各インク吐出ヘッド101では、後述するクリーニングブレード105で吐出面111bに付着している不要なインクiを除去する。
各インク吐出ヘッド101では、図11に示すように、クリーニングブレード105がノズル列112に沿って移動することによって、クリーニングブレード105によって払拭された不要なインクiがインク隔離用突起部113にはじかれ、塞き止められる。各インク吐出ヘッド101では、インク隔離用突起部113がノズル列112の両側に設けられているため、不要なインクiが隣接するノズル列112の領域に移動することを防止でき、混色の発生を防止することができる。また、各インク吐出ヘッド101では、吐出面111b上で混色を防止することができるため、ノズル34a近傍に付着したインクiを除去するために行う空吐出の回数を減らすことができる。
また、このインク吐出ヘッド101では、図10に示すように、インク隔離様突起部113が回路基板115上まで設けられているため、回路基板115上の電気的絶縁性も向上し、回路基板115の信頼性が向上する。
このようなインク吐出ヘッド101は、次のようにして作製する。先ず、図10に示すシリコン基板(Si基板)115上に発熱抵抗体110a及びこの発熱抵抗体110aに電力を供給するための配線導体(図示せず)を形成した回路基板110を作製する。
次に、回路基板110上に、インク液室114を形成する部分にレジストをパターニングする。レジストとしては、インク供給口を形成した後の工程で除去することが可能なものを用いる。
次に、回路基板110上及びレジスト上にノズルシート111となる樹脂層をレジストを変形させないようなもので形成し、ノズル111aを形成する部分を遮蔽するようにマスクを介してパターン露光を行い、樹脂層を硬化する。
次に、このインク吐出ヘッド101では、回路基板110の発熱抵抗体110aが設けられている面とは反対側の裏面側からインクiをインク液室114に供給するため、Si基板115にインク供給口となる開口部を形成する。
次に、開口部からインク液室114を形成する部分に設けたレジストと、ノズル111a部分の樹脂層を除去しインク液室114及びノズル111aを形成する。また、レジスト及び樹脂層を除去する際に、ノズル列112から離れた位置、即ちインク隔離用突起部113を形成する位置の樹脂層を除去する。樹脂層を除去する部分は、インク吐出ヘッド101との吐出面111bをクリーニングする際に、クリーニングブレード105が動く方向に対して直交方向に、ノズル列113の両側とする。
次に、回路基板110上にめっき又はボールバンプで接続部110bを形成し、所定の大きさに切断する。
次に、外部から電力供給のために、回路基板110に形成した接続部110bに外部からのリード116をTAB接合する。TAB接合したリード116の電気的絶縁とTAB接合部分の強度向上のために封止樹脂117をディスペンスする。この封止樹脂117は、上述したインク隔離用突起部113を形成する樹脂と同じ樹脂を用いる。このとき、前述のノズルシート111を形成する樹脂層を除去した部分にもインク隔離用突起部113となるRTVシリコーン樹脂を高さ10μm程度となるようにディスペンスする。そして、150℃の炉内でRTVシリコーン樹脂を硬化してインク吐出ヘッド101が得られる。
なお、インク隔離用突起部113を形成する際に、RTVシリコーン樹脂をスクリーン印刷によって高さ10μm程度となるように塗布し、インク隔離用突起部113を形成してもよい。
また、インク隔離用突起部113は、ノズル列112と平行に設けたが、このことに限定されず、ハ字状に設けたり、又は払拭されたインクiが別の方向へ流れるように略L字状にノズル列112の一方に設けるようにしてもよい。
以上のような構成のインク吐出ヘッド101が搭載される装置本体102について説明する。装置本体102には、詳細を図示しないがインクiが充填されているインクタンクとインク吐出ヘッド101が一体となって取り付けられる。装置本体102は、図9に示すように、インク吐出ヘッド101が搭載されるキャリッジ103と、記録紙Pを搬送する搬送機構104、インク吐出ヘッド101の吐出面111bをクリーニングするクリーニングブレード105とを備える。
装置本体102にインク吐出ヘッド101が取り付けられたプリンタ装置100は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき、インク吐出ヘッド101を搭載したキャリッジ103がホームポジションから記録紙Pの幅方向、すなわち主走査方向(図9中矢印C方向)に移動しながらインクiを吐出することによって、記録紙Pの幅方向に亘って印刷を行う。そして、プリンタ装置100では、記録紙Pの幅方向に亘って印刷を行った後、キャリッジ103が図9中矢印D方向に移動し、ホームポジションに戻り、記録紙Pが所定の幅だけ搬送され、再び印刷を行う。プリンタ装置100では、これを繰り返し行うことによって、1枚の記録紙を印刷する。
プリンタ装置100では、駆動モータの121の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア122,123を介してリードスクリュー124が回転する。
プリンタ装置100では、キャリッジ軸125及びリードスクリュー124に支持され、リードスクリュー124のら線溝126に対して係合するピン(不図示)を有したキャリッジ103がリードスクリュー124の回転に伴って、図9中矢印C及び矢印D方向に往復移動する。また、プリンタ装置100では、ホームポジションに設けられたフォトカプラ127,128でキャリッジ103がホームポジションにあるかどうかを確認する。プリンタ装置100では、このフォトカプラ127,128の確認によって、駆動モータ121の回転方向の切換を行う。
また、プリンタ装置100では、キャリッジ103と対向するように設けられたプラテンローラ129で、装置本体102の背面側からキャリッジ103側に記録紙Pを供給する。供給された記録紙Pは、紙押さえ板130によってプラテンローラ129に押圧される。
そして、プリンタ装置100では、インク吐出ヘッド101がキャリッジ103によって、記録紙Pの幅方向(図9中矢印C方向)に移動しながら、インクiを記録紙Pに吐出して、印刷を行う。インクiを吐出する方法は、上述したインク吐出ヘッド23と同じように、印刷データに基づき、回路基板110の制御回路が発熱抵抗体110aを駆動制御し、選択された発熱抵抗体110aに対して、パルス電流を供給し、発熱抵抗体110aを急速に加熱する。インク吐出ヘッド101では、発熱抵抗体110a上に気泡が発生し、発生した気泡により、インク液室114内のインクiが押圧され、ノズル111aよりインクiを吐出し、印刷を行う。
プリンタ装置100では、記録紙Pの幅方向に亘って印刷を行ったインク吐出ヘッド101がホームポジションに戻ってきた際に、クリーニングブレード105で吐出面111bをノズル列113に沿って払拭する。このクリーニングブレード105は、プラテンローラ129のホームポジション側に並設され、装置本体102の前後方向に移動可能とするブレード移動部131に取り付けられており、吐出面111bをクリーニングする際には装置本体103の前側に押し出す。
プリンタ装置100では、吐出面111bをクリーニングした後、ノズル111a内のインクiを乾燥から保護するため、インク吐出ヘッド101にヘッドキャップ132に取り付ける。このヘッドキャップ132は、支持部材133により支持されている。プリンタ装置100では、ヘッドキャップ132に並設した吸引手段134でヘッドキャップ132内を吸引し、インク吐出ヘッド101の吸引回復を行う。
次に、プリンタ装置100では、再び記録紙Pの幅方向に亘って、インク吐出ヘッド101を移動させながら、インクiを吐出して印刷を行う。プリンタ装置100では、これを繰り返し行い、1枚の記録紙Pに対して印刷を行い、記録紙Pがインク吐出ヘッド101とプラテンローラ129との間から排出される。
以上のようにプリンタ装置100では、記録紙Pの幅方向に亘って印刷を行い、ホームポジションに戻ってきたインク吐出ヘッド101の吐出面111bをクリーニングブレード105でクリーニングした際に、クリーニングブレード105によってノズル列113の両側に移動した不要なインクiをインク隔離用突起部113がはじくようになる。プリンタ装置100では、インク隔離用突起部113が不要なインクiをはじき、インク隔離用突起部113を越えず、不要なインクiを塞き止めることによって、不要なインクiが互いに隣接するノズル列112の領域に移動せず、吐出面11b上で不要なインクiが混ざり合い混色が発生することを防止できる。また、プリンタ装置100では、吐出面111b上で混色が発生することを防止できるため、ノズル111a近傍に付着したインクiを除去するために行う空吐出の回数を減らすことができる。
なお、プリンタ装置100では、クリーニングブレード105をノズル列112と平行に移動させたが、このことに限定されず、ノズル列112と直交方向にクリーニングブレード105を移動させて、吐出面111bをクリーニングしてもよく、インク隔離用突起部113によって不要なインクiがはじかれ、塞き止められることによって混色を防止することができる。
また、上述したプリンタ装置1,100には、インク吐出ヘッド23,101に発熱抵抗体とは別に、ピエゾ素子等の圧電素子を備えていてもよい。
上述したプリンタ装置1,100では、インク吐出ヘッド23,101が装置本体3,102に着脱可能に取り付けられているが、このことに限定されず、装置本体にインク吐出ヘッド23,101が固定されていたり、インクタンク11と一体となっていてもよい、
上述したプリンタ装置1,100には、吸引手段等の回復手段や発熱抵抗体31a,110aの他に別の圧力発生素子からなる予備加熱手段を備えていてもよい。
上述したプリンタ装置1,100には、吸引手段等の回復手段や発熱抵抗体31a,110aの他に別の圧力発生素子からなる予備加熱手段を備えていてもよい。
上述したプリンタ装置1,100では、設けられるインク吐出ヘッド23,101の個数について、単色のインクに対応して1個のみ設けられていたり、色や濃度の異なるインクに対応して複数設けるようにしてよい。
本発明は、上述したプリンタ装置1,100の他に、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書、米国特許第4313124号明細書に記載されているインクジェット方式のプリンタ装置にも適用することができる。
また、本発明は、例えば米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書、特開昭59−123670号公報、特開昭59−138461号公報に記載されているインク吐出ヘッドの構成にも適用することができる。
また、本発明は、記録紙に文字や画像を印刷するプリンタ装置1,100のインク吐出ヘッド23,101を例に挙げて説明したが、微少量の液体を吐出する他の装置のインク吐出ヘッドにも広く適用することができる。例えば、本発明は、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−34560号公報)やプリント配線基板の微細な配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置のインク吐出ヘッドに適用することで、吐出面で異なる液体が混合することを防止できる。
以下に、比較例及び実施例を挙げて本発明を適用したインク吐出ヘッドについて説明する。先ず、使用するインクについて説明する。
〈インク1〉
インク1は、染料としてダイレクトブルー199を3wt%、溶媒としてジエチレングリコールを5wt%、グリセリンを10wt%、界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学社製)を1wt%、水を81wt%となるようにして混合し作製した。
インク1は、染料としてダイレクトブルー199を3wt%、溶媒としてジエチレングリコールを5wt%、グリセリンを10wt%、界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学社製)を1wt%、水を81wt%となるようにして混合し作製した。
〈インク2〉
インク2は、染料としてダイレクトブルー199を3wt%、溶媒としてジエチレングリコールを5wt%、グリセリンを10wt%、界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学社製)を0.5wt%、水を81.5wt%となるようにして混合し作製した。
インク2は、染料としてダイレクトブルー199を3wt%、溶媒としてジエチレングリコールを5wt%、グリセリンを10wt%、界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学社製)を0.5wt%、水を81.5wt%となるようにして混合し作製した。
〈インク3〉
インク3では、染料としてダイレクトブルー199を3wt%、溶媒としてジエチレングリコールを5wt%、グリセリンを10wt%、界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学社製)を0.3wt%、水を81.7wt%となるようにして混合し作製した。
インク3では、染料としてダイレクトブルー199を3wt%、溶媒としてジエチレングリコールを5wt%、グリセリンを10wt%、界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学社製)を0.3wt%、水を81.7wt%となるようにして混合し作製した。
次に、インク隔離用突起部を形成する材料が異なるインク吐出ヘッドを作製した。
〈サンプル1〉
サンプル1では、上述したプリンタ装置1に設けられたインク吐出ヘッド23のようにライン型であり、上述した3つのインクを吐出できるように、各インクを吐出するノズルが記録紙Pの幅方向に亘って設けられたノズル列が3列並設されたインク吐出ヘッドを作製した。作製したインク吐出ヘッドの吐出面には、各色のノズル列の両側に、ノズル列と略平行にインク隔離用突起部を設けた。インク隔離用突起部は、TSE3975(GE東芝シリコーン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を吐出面にディスペンスして形成した。
サンプル1では、上述したプリンタ装置1に設けられたインク吐出ヘッド23のようにライン型であり、上述した3つのインクを吐出できるように、各インクを吐出するノズルが記録紙Pの幅方向に亘って設けられたノズル列が3列並設されたインク吐出ヘッドを作製した。作製したインク吐出ヘッドの吐出面には、各色のノズル列の両側に、ノズル列と略平行にインク隔離用突起部を設けた。インク隔離用突起部は、TSE3975(GE東芝シリコーン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を吐出面にディスペンスして形成した。
〈サンプル2〉
サンプル2では、インク隔離用突起部を形成する際に、TSE3941M(GE東芝シリコーン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
サンプル2では、インク隔離用突起部を形成する際に、TSE3941M(GE東芝シリコーン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
〈サンプル3〉
サンプル3では、インク隔離用突起部を形成する際に、TSE3971(GE東芝シリコーン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
サンプル3では、インク隔離用突起部を形成する際に、TSE3971(GE東芝シリコーン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
〈サンプル4〉
サンプル4では、インク隔離用突起部を形成する際に、TB1530(スリーボンド株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
サンプル4では、インク隔離用突起部を形成する際に、TB1530(スリーボンド株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
〈サンプル5〉
サンプル5では、インク隔離用突起部を形成する際に、SX720W(セメダイン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
サンプル5では、インク隔離用突起部を形成する際に、SX720W(セメダイン株式会社製)の脱アルコール湿気硬化型シリコーン樹脂を用いて形成したこと以外はサンプル1と同様に作製した。
以下の表1に各サンプルで用いたインク隔離用突起部を形成する材料と、作製したインク1〜インク3とのそれぞれの接触角を示す。なお、ここでは、インク隔離用突起部を形成する材料とインク1〜3との接触角の調整は、インク中の界面活性剤の含有量を変えて、インクの表面張力を調整することによって行っている。
作製したインク吐出ヘッドに各インクを充填し、インクを吐出した後、インク隔離用突起部に対して直交方向にクリーニングブレードを移動させてクリーニングし、吐出面上での混色を確認した。用いたクリーニングブレードは、所謂ゴムからなる。例えば、ブチルゴムやEPDM等であり、インク等の耐性から、EPDM等が好ましく使用できる。吐出面上の混色状態を確認した結果を表2に示す。
表2において、各色間とも、他の色による混色が確認されなかった場合には、○印で示し、混色が確認された場合には、×印で示した。
表2に示す結果から、サンプル1〜サンプル3と各インクとの関係、サンプル4及びサンプル5とインク3との関係では、インク隔離用突起部を形成する材料と、インクとの接触角が60°以上であるため、クリーニングブレードで吐出面をクリーニングした際に、クリーニングブレードによって移動した吐出面に付着している不要な各インクがノズル列の両側に設けられたインク隔離用突起部にはじかれ、このインク隔離用突起部を越えなかった。これにより、サンプル1〜サンプル3と各インクとの関係、サンプル4及びサンプル5とインク3との関係では、移動した不要な各インクがインク隔離用突起部に塞き止められ、隣接する他のインクの吐出面に移動することが防止され、混色が発生しなかった。
一方、サンプル4〜サンプル5とインク1〜インク2との関係では、インク隔離用突起部を形成する材料と、インクとの接触角が60°よりも小さいため、インク隔離用突起部がクリーニングブレードによって移動した不要なインクをはじかず、このインク隔離用突起部を越えて不要なインクが隣接する他のインクの吐出面まで移動してしまい混色が生じた。
1 プリンタ装置、2 ヘッドカートリッジ、3 装置本体、11 インクタンク、12 インク供給部、23 インク吐出ヘッド、24 ヘッドキャップ、31 回路基板、31a 発熱抵抗体、32 フィルム、33 ヘッドチップ、34 ノズルシート、34a ノズル、34b 吐出面、37 ノズル列、38 インク隔離用突起部、53 クリーニングローラ、62 ヘッドキャップ移動機構、63 給排紙機構
Claims (6)
- 吐出口と圧力発生素子とが設けられた液室に供給された液体を上記圧力発生素子で液滴の状態にして上記吐出口から吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、
上記液滴を吐出する複数の吐出口が列をなした吐出口列を少なくとも1列有し、上記吐出口列が形成された吐出面に、上記吐出口列を挟むように、上記吐出口列の両側に液体を隔離するための液体隔離用突起部が設けられ、
上記液体隔離用突起部は、液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 上記液体隔離用突起部は、上記吐出口列に沿って略平行に設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
- 上記液体隔離用突起部を形成する材料は、シリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
- 上記液体隔離用突起部を形成する材料は、湿気硬化型シリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項2記載の液体吐出ヘッド。
- 液体を吐出し、被記録媒体上に着弾させることで記録を行う液体吐出装置において、
吐出口と圧力発生素子とが設けられた液室に供給された液体を上記圧力発生素子で液滴の状態にして上記吐出口から吐出させる液体吐出ヘッドと、
上記液体吐出ヘッドの上記吐出口が設けられた吐出面をクリーニングするクリーニング手段とを備え、
上記液体吐出ヘッドは、上記液滴を吐出する複数の吐出口が上記被記録媒体の幅方向に亘って略ライン状に列をなした吐出口列を少なくとも1列有し、上記吐出面に、上記吐出口列を挟むように、上記吐出口列の両側に液体を隔離するための液体隔離用突起部が設けられ、
上記液体隔離用突起部は、液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることを特徴する液体吐出装置。 - 液体を吐出し、被記録媒体上に着弾させることで記録を行う液体吐出装置において、
吐出口と圧力発生素子とが設けられた液室に供給された液体を上記圧力発生素子で液滴の状態にして上記吐出口から吐出させる液体吐出ヘッドと、
上記液体吐出ヘッドが着脱可能に又は固定して搭載され、上記液体吐出ヘッドを上記被記録媒体の幅方向に亘って移動させるキャリッジと、
上記被記録媒体を搬送する搬送手段と、
上記液体吐出ヘッドの上記吐出口が設けられた吐出面をクリーニングするクリーニング手段とを備え、
上記液体吐出ヘッドは、上記液滴を吐出する複数の吐出口が上記キャリッジの移動方向と同方向に列をなした吐出口列を少なくとも1列有し、上記吐出口列が形成された吐出面に、上記吐出口列を挟むように、上記吐出口列の両側に液体を隔離するための液体隔離用突起部が設けられ、
上記液体隔離用突起部は、液体との接触角が60°以上の材料で形成されていることを特徴する液体吐出装置。
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JP2005311735A JP2007118313A (ja) | 2005-10-26 | 2005-10-26 | 液吐出ヘッド及び液体吐出装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012245774A (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-13 | Brother Industries Ltd | インクジェット記録装置及びこれが有するインクジェットヘッドの製造方法 |
JP2014097639A (ja) * | 2012-11-15 | 2014-05-29 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド及びその製造方法 |
JP2015020311A (ja) * | 2013-07-18 | 2015-02-02 | コニカミノルタ株式会社 | インクジェット記録装置 |
JP2015085579A (ja) * | 2013-10-30 | 2015-05-07 | キヤノン株式会社 | 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 |
JP2017121792A (ja) * | 2016-01-08 | 2017-07-13 | キヤノン株式会社 | 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 |
-
2005
- 2005-10-26 JP JP2005311735A patent/JP2007118313A/ja not_active Withdrawn
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