JP2023046691A - 液体吐出装置及び液体吐出装置のメンテナンス方法 - Google Patents

液体吐出装置及び液体吐出装置のメンテナンス方法 Download PDF

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敦仁 吉澤
Atsuhito Yoshizawa
新祐 辻
Shinsuke Tsuji
裕子 西脇
Hiroko Nishiwaki
悠平 清水
Yuhei Shimizu
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Abstract

【課題】液体吐出部に付着した付着物を効率的に除去することを目的とする。【解決手段】液体吐出装置は、液体吐出部と、前記液体吐出部に当接する当接面を備えるワイパーブレードと、前記液体吐出部と前記ワイパーブレードとの少なくとも一方を移動方向に移動させることで前記当接面を前記液体吐出部に当接させる移動手段と、を備え、前記当接面には、前記ワイパーブレードにおける移動方向に対して傾斜して形成された凹部が形成されている。【選択図】図7

Description

本開示は、液体吐出装置及び液体吐出装置のメンテナンス方法に関する。
特許文献1には、ブレード(以下、「ワイパーブレード」と呼ぶ。)に鋸刃部を設けることで記録ヘッドのフェイス面(以下、「吐出面」と呼ぶ。)を掻き取ることができるインクジェット記録装置(以下、「液体吐出装置」と呼ぶ。)が記載されている。
特開2005-35251号公報
しかしながら、特許文献1に係るワイパーブレードでは、掻き取ったインクが鋸刃部の溝に詰まることで、ワイパーブレードと、吐出面と、の当接圧が下がってしまい、ワイパーブレードの拭き取り性が低下するおそれがあった。
係る課題を解決すべく本開示に係る技術は、液体吐出部に付着した付着物を効率的に除去することを目的とする。
係る目的を達成するため、本開示に係る液体吐出装置は、液体吐出部と、前記液体吐出部に当接する当接面を備えるワイパーブレードと、前記液体吐出部と前記ワイパーブレードとの少なくとも一方を移動方向に移動させることで前記当接面を前記液体吐出部に当接させる移動手段と、を備える液体吐出装置であって、前記当接面には、前記ワイパーブレードにおける移動方向に対して傾斜して形成された凹部が形成されている、ことを特徴とする。
本開示に係る技術によれば、液体吐出部に付着した付着物を効率的に除去することができる。
液体吐出装置の主要部の一例を模式的に示す斜視図。 キャリッジに搭載可能な記録ヘッドの一構成例を示す斜視図。 ヘッドユニットの一構成例を示す分解斜視図。 吐出口付近の構造を部分的に破断して示す模式的な斜視図。 吐出面浄化機構の一例を模式的な側面図である。 拭き取り動作を説明するための模式的な断面図。 拭き取り動作時におけるワイパーブレードの模式的な平面図。 凹部が複数形成されているワイパーブレードの一例を示す図。 複数の吐出口列を拭き取るワイパーブレードを示す模式的な平面図。 ワイパーブレードが備える当接面の模式図。 ワイパーブレードが備える当接面の模式図。 ワイパーブレードを移動方向と対向する方向から見た場合の模式図。 実施例で用いたワイパーブレード及び記録ヘッドの模式図。 ワイパーブレードNo.1の模式図。 ワイパーブレードNo.2の模式図。 ワイパーブレードNo.3の模式図。 ワイパーブレードNo.4の模式図。 ワイパーブレードNo.5の模式図。 ワイパーブレードNo.6の模式図。 ワイパーブレードNo.7の模式図。 ワイパーブレードNo.8の模式図。 ワイパーブレードNo.9の模式図。 ワイパーブレードNo.10の模式図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状等は、あくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
また、本明細書で説明する液体の例として、インク(例えば、顔料インク等)が挙げられるが、液体の例は、インクに限られない。
<実施形態1>
<ディメンションについて>
まず、図中のディメンションについて説明する。各図面に示したX方向は、本実施形態に係る液体吐出装置1(図1参照)が備えるキャリッジ10の移動方向(つまり、主走査方向)を示す。図1における右方向を+X方向と呼び、その反対方向(つまり、図1における左方向)を-X方向と呼ぶ。続いて、Y方向について説明する。Y方向は、X方向に対して、平面上で直交する方向を示す。図1の奥側を+Y方向と呼び、その反対方向(つまり、図1の手前側)を-Y方向と呼ぶ。つまり、-Y方向は、本実施形態に係る記録媒体Sの搬送方向である。続いて、Z方向について説明する。Z方向は、X方向及びY方向に対して直交する方向を示す。本実施形態では、重力方向を-Z方向と呼び、その反対方向(つまり、反重力方向)を+Z方向と呼ぶ。以上が、図中のディメンションについての説明である。
<液体吐出装置1>
図1は、液体吐出装置1の主要部の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示す様に、本実施形態に係る液体吐出装置1は、キャリッジ10と、ガイドシャフト20と、リニアエンコーダー30と、無端ベルト40とメンテナンス機構50と、を備える。無端ベルト40は、プーリー41を備える。キャリッジ10は、無端ベルト40に固定され、且つ、ガイドシャフト20に沿って移動可能である。無端ベルト40は、一対のプーリー41に巻回され、一方のプーリー41にはキャリッジ駆動モータ(不図示)の駆動軸が連結されている。従って、キャリッジ10は、モーターの回転駆動に伴いガイドシャフト20に沿って図1の左右方向(つまり、X方向)に往復主走査される。キャリッジ10には、液体収容体200を着脱可能に保持するカートリッジ形態の記録ヘッド170が備えられている。液体収容体200を着脱可能なヘッドユニット110(図2参照)は、更に記録ヘッド170を駆動するための信号等を受容するためのコネクタ(不図示)を備える。そして、受容した電気信号に従って、記録ヘッド170が備えるヒーター151(図4参照)を駆動することで、液体吐出装置1は、液体を吐出することができる。
<搬送>
記録媒体Sは、キャリッジ10の移動方向(つまり、X方向)と直交する方向(つまり、-Y方向)に間欠的に搬送される。記録媒体Sは、搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ設けた一対のローラユニット(不図示)により支持され、一定の張力が付与されている。記録媒体Sは、液体を吐出する吐出口152(図4参照)に対する平坦性を確保した状態で搬送される。そして、キャリッジ10の移動に伴う、ヘッドユニット110が備える吐出口152の配列幅に対応した幅の記録と、記録媒体Sの搬送と、を交互に繰り返しながら、記録媒体S全体に対する記録が行われる。また、液体吐出装置1には、キャリッジ10の主走査方向上の移動位置を検出する等の目的でリニアエンコーダー30が設けられている。
<メンテナンス方法>
キャリッジ10は、記録開始時又は記録中に必要に応じて、メンテナンス機構50に対向する位置である、ホームポジションで停止する。ホームポジション付近には、キャップ、後述するワイパー機構60等を含むメンテナンス機構50が備えられている。キャップは昇降可能に支持されており、上昇位置では、ヘッドユニット110が備える吐出面171(図5参照)をキャッピングし、非記録動作時等において吐出面171の保護を行ったり、吸引回復を行ったりすることが可能である。キャップは、記録動作時にはヘッドユニット110との干渉を避ける下降位置に設定され、また吐出面171との対向によって予備吐出を受けることが可能である。また、ワイパー機構60は、記録ヘッド170の吐出面171に付着した付着物を拭き取ってメンテナンスを行う。
<記録ヘッド170>
図2は、キャリッジ10に搭載可能な記録ヘッド170の一構成例を示す斜視図である。本実施形態に係る記録ヘッド170は、液体を吐出する吐出口152(図4参照)の配列を有したヘッドユニット110と、液体を収容し、ヘッドユニット110に液体を供給する液体収容体200と、を備えている。記録ヘッド170は、ヘッドユニット110に備えられた第1の吐出口列152a及び第2の吐出口列152b(図4参照)が記録媒体Sと対向し、且つ、上記配列方向が主走査方向と異なるようにキャリッジ10に搭載される。例えば、記録ヘッド170は、ヘッドユニット110に備えられた第1の吐出口列152a及び第2の吐出口列152bが記録媒体Sと対向し、且つ、記録媒体Sの搬送方向である副走査方向に一致するようにキャリッジ10に搭載される。尚、記録媒体Sの一例として、シート等が挙げられる。液体吐出口列及び液体収容体200の組は、使用する液体の色に対応した個数を備えることができる。図示した例では、6色(例えばブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、淡シアン(PC)、及び淡マゼンタ(PM))に対応して6組備えられている。図示した記録ヘッド170では、各色独立の液体収容体200が用意されており、液体収容体200の各々が、ヘッドユニット110に対して着脱自在である。なお、記録ヘッド170は、図示した例に限定されず、任意の記録ヘッド170を用いてもよい。また、カラーのインクではなくモノクロのインクのみを用いる記録ヘッド170を用いてもよい。
図3は、記録ヘッド170が備えるヘッドユニット110の一構成例を示す分解斜視図である。図3に示す様に、ヘッドユニット110は、カートリッジホルダー111、流路形成部材120、第1のプレート130、第2のプレート140、記録素子基板150、及び電気配線基板160を備える。各液体の吐出口列を有する記録素子基板150は、酸化アルミニウム(Al23)を材料とする第1のプレート130の上に接着固定されている。そして、第1のプレート130には、記録素子基板150に液体を供給するための液体供給口131が形成されている。更に、第1のプレート130には、開口部を有する第2のプレート140が接着固定されている。第2のプレート140は、液体を吐出するための電気信号を印加する電気配線基板160と、記録素子基板150と、が電気的に接続されるように電気配線基板160を保持している。一方、ヘッドユニット110を脱着可能に保持するカートリッジホルダー111には、流路形成部材120が超音波溶着され、上述の液体収容体200から第1のプレート130にわたる液体流路(不図示)を形成している。
図4は、吐出口152付近の構造を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図4に示す様に、記録素子基板150は、ヒーター151と、吐出口152と、基材153と、吐出口プレート155と、流路壁156と、被膜層157と、を備える。また、同種類の液体を吐出する吐出口152の列を吐出口列と呼ぶ。本実施形態に係る記録素子基板150には、液体を吐出する吐出口152が並んだ第1の吐出口列152aと、第1の吐出口とは異なる液体を吐出する吐出口152が並んだ第2の吐出口列152bと、が形成されている。ヒーター151は、液体を吐出するために利用されるエネルギーとして通電に応じ、液体に膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生する電気熱変換体として機能する。吐出口プレート155には、上述のヒーター151に対向した状態で吐出口152が形成されている。吐出口プレート155は、樹脂等で形成された被膜層157を介して基材153の上に備えられる。更に、吐出口プレート155の表面(つまり、記録媒体Sと対向する吐出面171)は、撥水処理が施された撥水面となっていてもよい。
<撥水処理>
吐出口152が形成された吐出面171を撥水処理して、撥水面を形成するための方法の例として、撥水性材料をスプレーで塗布する方法、真空蒸着又はプラズマ重合により撥水性材料を付着させる方法等が挙げられる。撥水面は、撥水性材料からなる一様な膜として形成されていることが好ましい。また、形成された撥水面の撥水性は、その部材の表面における水滴の接触角を測定することにより特定することができる。水との接触角が70度以上である場合は、撥水性を有する。水との接触角は、90度以上である場合が好ましい。尚、水との接触角は、純水(イオン交換水)を用い、一般的な接触角計を使用して測定することができる。接触角計の例として、例えば、自動接触角測定機等が挙げられる。撥水性材料の好ましい例として、例えば、フッ素樹脂系の化合物が挙げられる。特に、フッ素樹脂系の化合物からなる一様な樹脂膜として撥水面が形成されていることが好ましい。そして、この樹脂膜には、ニッケル等の金属が含まれないことが好ましい。フッ素樹脂系化合物の例としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、環状構造を有するフッ素樹脂、等が挙げられる。他の例として、その他のフッ素原子を含有する樹脂、例えば、フッ素化エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、フッ素化ウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂及びそれらの変性樹脂等が挙げられる。また、撥水性材料として、珪素原子を含む化合物又はシリコーン系樹脂等を用いてもよい。その中でも、高度な撥水性及び耐久性が得られるため、撥水性材料として、フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、及び、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物の縮合物を用いることが好ましい。また、この縮合物を、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化させた樹脂を用いてもよい。これらの加水分解性シラン化合物は、その分子構造中に加水分解性基を有する。加水分解性基の例として、アルコキシ基が挙げられる。また、カチオン重合性基の例として、環状エーテル基、環状ビニルエーテル基等が挙げられる。
<ワイパー機構60>
次に、本実施形態におけるワイパー機構60について図5~図7を用いて説明する。図5は、本実施形態に係るワイパー機構60の一例を示す模式的な側面図であり、図1に示した+X方向から見たワイパー機構60を示す。図5に示す様に、ヘッドユニット110は、キャリッジ10に液体収容体200を搭載しており、液体収容体200から供給された液体を吐出する記録ヘッド170を下方側に備える。上述の通り、記録ヘッド170が備える吐出面171には、液体が付着していることがある。他方、ワイパー機構60は、ワイパーホルダー61と、凹部63(つまり、溝)が形成されたワイパーブレード62と、ワイパー移動手段(不図示)、及び、吸収体64(図6参照)を備える。ワイパーホルダー61は、ワイパーブレード62を固定することができる。ワイパー移動手段が駆動することによって、ワイパーホルダー61は、ワイパーブレード62を固定した状態で移動することができる。尚、ワイパーホルダー61は、複数のワイパーブレード62を固定した状態で移動してもよい。
<ワイパーブレード62>
ワイパーブレード62は、弾性部材(例えば、ゴム等)を素材として作られている。従って、ワイパーブレード62は、可撓性を有する。本実施形態に示した例では、ワイパーホルダー61は、記録ヘッド170の主走査方向に対して直交する方向(つまり、Y方向)に移動可能である。つまり、本実施形態に係るワイパーホルダー61は、前述の第1の吐出口列152a及び第2の吐出口列152bに沿って移動することができる。従って、本実施形態に係るワイパーブレード62が移動して、記録ヘッド170にぶつかると、折れ曲がりながら吐出面171に形成された吐出口152を拭き取ることができる。ワイパーブレード62が備える面であって、且つ、吐出面171を拭き取る面を「当接面」と呼ぶ。また、ワイパーブレード62が吐出面171を拭き取る動作を「拭き取り動作」と呼ぶ。尚、凹部63及び吸収体64の詳細は、図6を用いて後述する。
<拭き取り動作>
図6は、拭き取り動作を説明するための模式的な断面図である。図6(a)は、拭き取り動作を行っているワイパーブレード62の模式的な断面図である。図6(a)に示すように、拭き取り動作時において、ワイパーブレード62は、移動しながら、当接面の一部を吐出面171に摺接させて吐出面171を拭き取る。図示した様に、記録ヘッド170の背面側から(つまり、+Y方向から)、複数の吐出口列を拭き取ると、一方の吐出口例が備える吐出口152から排出されたインクミストが他方の吐出口例が備える吐出口152に入り込むこと(所謂、混色)を抑制できる。尚、ワイパーブレード62は、記録ヘッド170の正面側から(つまり、-Y方向側から)、拭き取り動作を行ってもよい。この場合においても、混色を抑制することができる。また、ワイパーブレード62によって拭き取られた付着物(例えば、液体)は、凹部63を介して排出されて落下した後、吸収体64によって吸収される。
図6(b)は、拭き取り動作時におけるワイパーブレード62を模式的に示した平面図である。説明の便宜上、記録ヘッド170の記載は省略している。そして、平面視において、見ることができない凹部63を破線で示している。図6(b)に示す様に、本実施形態に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が斜めに形成されている。当接面に凹部63が形成されていると、吐出面171と、ワイパーブレード62と、の接触面積が減り、当接圧が上昇して拭き取り性が向上する。本実施形態では、ワイパーブレード62は+Y方向から-Y方向に移動する。従って、拭き取られた付着物は、凹部63に入り込むと、+X方向から-X方向に流れることとなる。また、凹部63は斜めに形成されているため、拭き取り動作時において、吐出面171に先に当たる側の端部と、後に当たる端部と、が存在するが、以下、吐出面171に先に当たる凹部63の端部を「上端部」と呼ぶ。他方、拭き取り動作時において、吐出面171に後に当たる凹部63の端部を「下端部」と呼ぶ。また、凹部63の「上端部」が位置する側を「上流側」と呼ぶ。他方、凹部63の「下端部」が位置する側を「下流側」と呼ぶ。凹部63の下端部が、ワイパーブレード62の一端(つまり、周縁)に到達していると、上流側から下流側に流れる付着物を凹部63の外側に排出することができる。また、ワイパーブレード62の下方側には、凹部63の下端から排出されて流れ落ちた付着物を吸収するための吸収体64が配置されている。
<吸収体64>
凹部63の下端部から排出された付着物は、ワイパーブレード62の下方(つまり、-Z方向)に流れ落ちる。凹部63の下端部から流れ落ちる付着物をそのままにしておいたのでは、印字中の記録媒体Sに付着物が飛び散って、記録媒体Sを汚してしまうおそれがある。そこで、凹部63の下端部から流れ落ちる付着物の落下地点には、流れ落ちた付着物を吸収するための吸収体64(図6参照)を配置することが好ましい。吸収体64の素材は、凹部63の下端部から流れ落ちた付着物を吸収することができれば何でもよいが、例えば、スポンジ、不織布等を用いて吸収体64を作製することができる。また、吸収体64の配置位置は、凹部63の下端部から付着物が落下する可能性がある地点であればどこでもよい。落下してくる付着物を効率よく吸収するためには、吸収体64は、凹部63の下端部側の下方(つまり、-Z方向側)に配置されるとよい。勿論、落下してくる付着物を吸収する確率を上げるために、ワイパーブレード62の下方側全体をカバーする様に吸収体64を配置してもよい。例えば、図6(b)に示す様に、凹部63がワイパーブレード62の両端部に渡って形成されている場合は、凹部63の上端部側にも吸収体64が配置されているとよい。係る構成によれば、仮に、付着物が、凹部63の上端側から流れ落ちた場合であっても、当該付着物を吸収できる可能性が高くなる。勿論、ワイパーブレード62の当接面における短手側の端部の直下に吸収体64が配置されてもよい。この場合、ワイパーブレード62の移動経路の直下全体に吸収体64が配置されることとなる。このため、ワイパーブレード62のどこから付着物が落下したとしても、吸収体64を用いて付着物を吸収することができる。即ち、吸収体64が配置されることにより、印字中の記録媒体Sに付着物が落下して、当該記録媒体を汚してしまうことを抑制することができる。
<凹部63>
図7は、拭き取り動作時におけるワイパーブレード62の模式的な平面図である。尚、説明の便宜上、図7においても、図6(b)と同様に、凹部63を破線で示している。図7に示す様に、ワイパーブレード62が備える当接面に形成された凹部63は、ワイパーブレード62の端部に対して、傾斜して形成されている。図示した例では、凹部63は、ワイパーブレード62における長手方向の端部に対して直交する仮想線L1に対して、所定の角度θ、傾斜して形成されている。つまり、凹部63は、仮想線L1に対して斜めに形成されている。以下、凹部63が斜めに形成されている理由を説明する。仮に、凹部63が、ワイパーブレード62の移動方向に対して直交する方向(つまり、ワイパーブレード62の短手側の端部と平行)に形成されていたとする。この場合、ワイパーブレード62が、拭き取り動作を何度も繰り返すと、拭き取った付着物が凹部63に溜まってしまう。このため、ワイパーブレード62の当接圧が低下し、拭き取り性が低下するおそれがある。これに対し、凹部63が斜めに形成されていれば、ワイパーブレード62が移動しながら拭き取った付着物は、凹部63において吐出面171に先に当たった側の端部から後に当たった側の端部に向かってと流れていくこととなる。つまり、凹部63が斜めに形成されていれば、ワイパーブレード62が移動しながら拭き取った付着物は、凹部63における図7に示した+X方向側(上流側)の端部から-X方向側(下流側)の端部に向かって流れていくこととなる。
本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、拭き取った付着物は、凹部63の上流側から下流側に向かって流れていく。このため、拭き取った付着物が凹部63に溜まってしまうことを抑制することができ、ワイパーブレード62における拭き取り性の低下を抑制することができる。つまり、本実施形態に係るワイパーブレード62を備える液体吐出装置1によれば、液体吐出部に付着した付着物を効率的に除去することができる。
また、凹部63は、吐出面171の拭き取りと、拭き取った付着物の排出と、を両立できる角度で形成されているとよい。仮に、凹部63が仮想線L1に対して10度未満(つまり、ワイパーブレード62の移動方向に対してほぼ直交する角度)で形成されていたとする。この場合、凹部63に入り込んだ付着物(液体)の流れを強くすることができるが、拭き取り動作が何度も繰り返されると、拭き取った付着物は凹部63に溜まってしまう。反対に、凹部63が仮想線L1に対して45度を超える角度(つまり、ワイパーブレード62の移動方向に対して平行に近い角度)で形成されていたとする。この場合、凹部63に入り込んだ付着物(液体)を流しやすくなるが、当該付着物は凹部63からすり抜けやすくなる。このため、吐出面171を拭き残すおそれがある。従って、例えば、凹部63が、仮想線L1に対して10度以上45度以下で形成されている場合、吐出面171の拭き取りと、拭き取った付着物の排出と、を両立することができる。
<まとめ>
以上、説明した様に、本実施形態に係るワイパーブレード62を備える液体吐出装置1によれば、拭き取った付着物が凹部63に溜まってしまうことを抑制することができ、拭き取り性の低下を抑制することができる。つまり、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、吐出面171の付着物を効率的に除去することができる。また、顔料系インクは、元来固体である色材を、分散剤及び顔料表面又はこれらのうち一方に官能基を導入する等して水中に分散させてなるものである。従って、吐出面171上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、吐出面171に堆積しやすく、拭き取って除去することが難しい場合が多い。しかしながら、本実施形態に係るワイパーブレード62によれば、液体吐出装置1が吐出する液体が顔料インクであっても、吐出面171に付着した顔料インク及び顔料インクの堆積物を効率的に除去することができる。
<実施形態2>
本実施形態では、吐出面171に付着した付着物をより効率的に除去することを目的とする。本実施形態に係るワイパーブレード62の当接面には凹部63が複数形成されており、少なくとも1つの凹部63の下端部がワイパーブレード62の一端に到達している点が実施形態1とは異なる。以下、図8を参照して、本実施形態について説明する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図8は、凹部63が複数形成されているワイパーブレード62の一例を示す図である。図8に示した例では、ワイパーブレード62の当接面には、ワイパーブレード62の移動方向を基準として前方から、第1凹部63aと、第2凹部63bと、第3凹部63cと、が形成されている。
これらの凹部63が備える下端部のうち、どの下端部がワイパーブレード62の一端に到達していても凹部63の外側に付着物を排出することができる。例えば、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方側(つまり、最後尾)に位置する第3凹部63cの下端部がワイパーブレード62の一端に到達しているとよい。図8に示した例では、第1凹部63a及び第2凹部63bの下端部は、ワイパーブレード62の端部に到達していない。このため、第1凹部63a及び第2凹部63bが拭き取った付着物は、ワイパーブレード62の当接面に溢れて排出される。そして、ワイパーブレード62の当接面に排出された付着物は、ワイパーブレード62の移動方向において最後尾に形成された第3凹部63cによって拭き取られ、第3凹部63c下端部からまとめて排出されることとなる。これにより、拭き取り性を向上させつつ、凹部63の詰まりを抑制することができる。
<実施形態3>
液体吐出装置1は、フルカラー印刷を行うために、同一の吐出面171に複数の吐出口列を備え、吐出口列毎に異なる種類の液体を吐出することがある。従って、本実施形態では、混色を抑制することができる液体吐出装置1を提供することを目的とする。
図9は、複数の吐出口列を備える液体吐出装置1と、複数の吐出口列を拭き取るワイパーブレード62と、を示す模式的な平面図である。尚、図9では、説明の便宜上、吐出面171、第1の吐出口列152a及び第2の吐出口列152bを記録ヘッド170の上面側から示している。また、ワイパーブレード62については、吐出面171に接触していないが、移動方向において後方側(つまり、+Y方向側)に屈曲させて当接面を示している。図9に示す様に、本実施形態に係る記録ヘッド170が備える吐出面171には、液体を吐出する第1の吐出口列152aと、第1の吐出口列152aから吐出される液体とは異なる種類の液体を吐出する第2の吐出口列152bと、が形成されている。例えば、明度の高いイエローのインクが第1の吐出口列152aから吐出され、明度の低いシアンのインクが第2の吐出口列152bから吐出される。また、拭き取り動作時において、ワイパーブレード62は、一方向に移動して同じ吐出面171に形成されている第1の吐出口列152a及び第2の吐出口列152bを、一回の拭き取り動作によって拭き取る。図示した例では、ワイパーブレード62は、+Y方向側から-Y方向側に移動する。そして、ワイパーブレード62は、凹部63を用いて第1の吐出口列152a及び第2の吐出口列152bを、1回でまとめて拭き取る。この場合、記録ヘッド170が備える吐出面171において、凹部63の上端側に明度の高い液体を吐出する第1の吐出口列152aを形成し、凹部63の下端側に明度の低い液体を吐出する第2の吐出口列152bを形成することが好ましい。第1の吐出口列152aが明度の高いイエローのインクを吐出し、第2の吐出口列152bが明度の低いシアンのインクを吐出する場合を例に挙げて説明する。この場合、拭き取り動作が行われると、拭き取られた付着物は、上述の通り、凹部63の上端側から下端側(つまり、+X方向側から-X方向側)に流れていく。そのため、先に拭き取ったイエローのインクが下端側へ流れ、第1の吐出口列152aよりも下端側に位置し、シアンのインクを吐出する、第2の吐出口列152bの内部にイエローのインクが入り込んでしまうおそれがある。つまり、第2の吐出口列152bの内部で混色が生じるおそれがある。しかし、仮に混色が生じたとしても、明度の高い液体(つまり、明るい色の液体)が明度の低い液体(つまり、暗い色の液体)を吐出する吐出口152に入る方が、明度の低い液体が明度の高い液体を吐出する吐出口152に入り込むよりも悪影響が少ない。このため、本実施形態に係る記録ヘッド170が備える吐出面171において、凹部63が先に当たる側に第1の吐出口列152aを配置し、凹部63が後に当たる側に第2の吐出口列152bを配置することが好ましい。このように、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、吐出面171の拭き取り時における混色を抑制することができる。
<実施形態4>
本実施形態では、吐出面171に付着した付着物をより効率的に除去することを目的とする。本実施形態に係るワイパーブレード62の当接面には凹部63があえて形成されていない領域が存在し、凹部63を使わずに付着物を拭き取る点が実施形態1とは異なる。以下、図10を参照して、本実施形態について説明する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる点を中心に説明する。異なる種類の液体を吐出する吐出口列を同一のワイパーブレード62を用いて拭き取る場合、あえて凹部63を形成しない領域を設けた方が好ましいこともある。つまり、ワイパーブレード62の一部分にのみ凹部63を形成し、当接圧が低い部分と、高い部分と、を同時に形成することが好ましいこともある。
図10は、本実施形態に係るワイパーブレード62が備える当接面の模式図である。尚、図10においても、図9と同様に、説明の便宜上、記録ヘッド170の上面側から吐出面171を示し、ワイパーブレード62を屈曲させて当接面を示している。図10に示す様に、本実施形態に係る記録ヘッド170が備える吐出面171は、無機顔料インクを吐出する無機顔料吐出口152cと、有機顔料インクを吐出する有機顔料吐出口152dと、を備える。例えば、無機顔料吐出口152cは、カーボンブラック等の無機顔料インクを吐出する。他方、有機顔料吐出口152dは、キナクリドン顔料等の有機顔料インクを吐出する。また、本実施形態に係るワイパーブレード62が備える当接面において、無機顔料吐出口152cを拭く側の領域には凹部63が形成されていないが、有機顔料吐出口152dを拭く側の領域には凹部63が形成されている。以下、ワイパーブレード62が備える当接面において、有機顔料吐出口152dを拭く側の領域を「形成領域」と呼び、無機顔料吐出口152cを拭く側の領域を「非形成領域」と呼ぶ。つまり、凹部63が形成されている側の領域「形成領域」と呼び、凹部63をあえて形成していない側の領域を「非形成領域」と呼ぶ。以下、本実施形態に係るワイパーブレード62が備える当接面に「形成領域」と、「非形成領域」と、が存在する理由を説明する。上述の有機顔料は、比較的柔らかく、且つ、吐出面171に強固に付着しやすい。このため、有機顔料吐出口152dを拭く際は、強い当接圧で拭き取る必要がある。他方、上述の無機顔料は、比較的硬く、且つ、吐出面171には付着しにくい。このため、無機顔料吐出口152cを拭く際は、弱い当接圧でも十分に拭き取ることができる。また、無機顔料吐出口152cを拭く際、強い当接圧で拭き取り作業を繰り返してしまうと、硬い無機顔料が研磨剤のような役割を果たしてしまい、吐出面171に形成された撥水膜を削ってしまう場合がある。そのため、本実施形態に係るワイパーブレード62が備える当接面には、「形成領域」と、「非形成領域」と、が存在する。従って、本実施形態に係るワイパーブレード62によれば、当接圧が強い「形成領域」を用いて有機顔料吐出口152dを拭き取り、当接圧が弱い「非形成領域」を用いて無機顔料吐出口152cを拭き取ることができる。即ち、本実施形態に係るワイパーブレード62によれば、有機顔料インクを拭き取る際の拭き取り性を担保することができる。一方、無機顔料インクを拭き取る際は、撥水膜を削ってしまうことを抑制することができる。よって、本実施形態に係るワイパーブレード62によれば、より効率的に吐出面171に付着した付着物を効率的に除去することができる。
<実施形態5>
本実施形態では、効率的に付着物を除去することができるワイパーブレード62を安価に作製することを目的とする。実施形態4では、1つの当接面に「形成領域」と「非形成領域」が存在する例を示した。これに対して、本実施形態に係るワイパーブレード62は複数の当接面を備え、1つの当接面には凹部63が形成され、他の当接面には凹部63が形成されていない点が、実施形態3に係るワイパーブレード62とは異なる。以下、図11及び図12を参照して、本実施形態について説明する。以下の説明において、実施形態3と同様の構成については、同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図11は、本実施形態に係るワイパーブレード62が備える当接面の模式図である。尚、図11においても、図9及び図10と同様に、説明の便宜上、記録ヘッド170の上面側から吐出面171を示し、ワイパーブレード62を屈曲させて当接面を示している。図11に示す様に、本実施形態に係る記録ヘッド170は、有機顔料吐出口152dを備える有機顔料吐出面171aと、無機顔料吐出口152cを備える無機顔料吐出面171bと、を備える。また、本実施形態に係るワイパーブレード62は、有機顔料吐出面171aを拭き取る有機顔料当接面62aと、無機顔料吐出面171bを拭き取る無機顔料当接面62bと、を備える。そして、有機顔料当接面62aには凹部63が形成されているが、無機顔料当接面62bには凹部63が形成されていない。
この場合、凹部63を形成したワイパーブレード62を用いて有機顔料吐出面171aを拭き取り、凹部63を形成していないワイパーブレード62を用いて無機顔料吐出面171bを拭くことが考えられる。つまり、ワイパーブレード62を2つ用いることが考えられる。しかしながら、1つの弾性部材(例えば、ゴムシート等)を切り出して、それぞれ異なる種類の液体を吐出する吐出面171を拭き取るワイパーブレード62を作製する方が、部品点数の削減に資する。続いて、本実施形態に係るワイパーブレード62を移動方向と対向する方向に見ながら(つまり、-Y方向から+Y方向側に見ながら)説明する。
図12は、本実施形態に係るワイパーブレード62を移動方向と対向する方向から見た場合の模式図である。図12に示す様に、本実施形態に係るワイパーブレード62は、凹部63が形成された有機顔料当接面62aと、凹部63が形成されていない無機顔料当接面62bと、を備える。係る構成によれば、1つの弾性部材から異なる複数の当接面(つまり、有機顔料当接面62a及び無機顔料当接面62b)を備えるワイパーブレード62を安価に作製することができる。つまり、本実施形態によれば、効率的に付着物を除去することができるワイパーブレード62を安価に作製することができる。
<その他の実施形態>
実施形態1では、ワイパーブレード62が、キャリッジ10の移動方向に対して直交する方向(つまり、Y方向)に移動して、拭き取り動作を行っていたが、キャリッジ10と相対的に対向する方向に移動して拭き取り動作を行ってもよい。つまり、キャリッジ10が+X方向に移動する場合、ワイパーブレード62を-X方向に移動させてもよい。勿論、キャリッジ10が-X方向に移動する場合、ワイパーブレード62を+X方向に移動させてもよい。尚、この場合、混色を抑制するために、凹部63を形成する方向も吐出口列に沿う方向(つまり、Y方向)に形成することが好ましい。
また、ワイパーホルダー61を固定し、止まっているワイパーブレード62が位置する方向に記録ヘッド170を移動させてもよい。この場合、ワイパーブレード62を移動させるための駆動手段を別途用意する必要がないため、コストを削減できる。更に、ワイパー機構60も小型化することができる。
[実施例]
以下、図13乃至23を用いて、実施例及び比較例を挙げて本開示に係る技術を更に詳細に説明するが、本開示は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。以下の説明において、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図13は、実施例で用いたワイパーブレード62の模式図である。図13に示した、吐出面171からワイパーブレード62の上面までの長さをL2と表記する。また、図13に示した例では、凹部63の個数は1つであるが、各比較例、及び各実施例によって、凹部63の個数は異なる。以下、各実施例及び各比較例の共通事項について説明する。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水溶性樹脂であるスチレン/アクリル酸共重合体(組成(モル)比=33:67)を酸価と等モルの水酸化カリウムで中和するとともに、イオン交換水に溶解させ、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。この水溶性樹脂の重量平均分子量は10,000であり、酸価は200mgKOH/gである。顔料(C.I.ピグメントレッド122)15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、及び水55.0部の混合物をサンドグラインダーに入れ、1時間分散処理した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した後、適量のイオン交換水を加えて顔料分散液1を得た。得られた顔料分散液1の顔料の含有量は10.0%、樹脂分散剤の含有量は3.0%であった。
(顔料分散液2)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤の含有量が6.0%の顔料分散液2を得た。
(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤の含有量が6.0%の顔料分散液3を得た。
(染料分散液1)
C.I.アシッドレッド249の10.0%水溶液を染料分散液1とした。
<インクの調製>
表1に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、各インクを調製した。
表1に示す「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。ポリエチレングリコールの数平均分子量は1,000であった。
Figure 2023046691000002
<評価プリンター>
評価にはcanon製、Maxify iB4130を改造して用いた。Maxify iB4130は顔料インクの拭き取り性向上を目的としてワイパーブレード62にヘッド用液体を転写してから吐出面171の浄化を行うが、本開示に係る技術の効果をより明確にするために、ヘッド用液体の供給部を除去した。また、Maxify iB4130のカラーインクを吐出する吐出口列は各色2列ずつ形成されている。例えば、マゼンタインクを供給するタンクは一つであるが、記録ヘッド170内で流路が分岐していて、マゼンタを吐出する吐出口列が2列存在する。本実施例では、単純化のため、片方の吐出口列からは吐出させずに、各色とも1列の吐出口列のみ使用した。
<ワイパーブレード62>
本実施例、比較例、及び参考例に用いたワイパーブレード62は、以下の通りである。
ワイパーブレード62の素材として、厚み1.0mmのウレタンゴムを用いた。凹部63は、レーザー加工により形成し、幅100μm、深さ100μmとした。また、吐出面171からワイパーブレード62の上面までの長さ(つまり、図13に示したL2)は、1.3mmとした。
<評価方法>
表2に示す評価条件に沿って改造したMaxify iB4130を使用した。調製した各インクをそれぞれインク収容部に充填した後、ポンプを使用して記録ヘッド170に送液した。1/600インチ×1/600インチの単位領域へのインク付与量が11ngとなる条件で記録した画像の記録デューティを100%と定義する。記録ヘッド170が備えるキャリッジ移動方向18cm×紙送り方向2cmのベタ画像及びノズルチェックパターンを記録した。また、画像を1枚記録する毎に1回、吐出面171の拭き取り作業を行う条件で、30,000枚の画像を記録した。即ち、吐出面171の拭き取り作業を30,000回行った。記録媒体Sとしては、光沢紙(商品名「光沢ゴールド GL-101」、キヤノン製)を用いた。記録条件は、温度15℃、相対湿度10%とした。
<評価基準>
(拭き取り性)
30,000枚の画像を記録した後(つまり、30,000回のクリーニングをした後)に記録したノズルチェックパターンの目視確認と、吐出面171の顕微鏡観察と、を行い、以下に示す評価基準に従って拭き取り性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
AA:吐出面171への顔料付着が認められず、ノズルチェックパターンによれがなく、良好に記録されている(1枚目の画像と同等)。
A:吐出面171に僅かに顔料付着が認められるが、ノズルチェックパターンによれがなく、良好に記録されている(1枚目の画像と同等)。
B:吐出面171に顔料付着が認められ、ノズルチェックパターンの一部によれが生じている(全吐出口の10%以上50%以下)
C:吐出面171に顔料付着が認められ、ノズルチェックパターンの一部によれが生じている(全吐出口の50%以上)
(インクの飛び散り)
30,000枚の画像を記録した後(つまり、30,000回のクリーニングをした後)にワイパーブレード62の下部へのインクの飛び散りを目視で評価を行った。評価結果を表2に示す。
AA:インクの飛び散りは認められなかった。
A:一部インクの飛び散りは認められたものの、画像への顕著な影響は認められなかった。
(混色影響)
シアンインク及びイエローインクを同時に印字後、吐出面171の拭き取り作業を行い、ノズルチェックパターンを印字し、目視による混色影響の評価を行った。
また、一般的に吐出面171の拭き取り作業を行った後は、混色影響を排除するためにキャップユニット上に捨て印字を行う、所謂、予備吐を行うことが多い。しかし、本実施例においては、混色の影響を明確にするために、予備吐出は行わなかった。
AA:混色の影響は、殆ど確認できなかった。
A:混色の影響が、ごく僅かに確認できた。
Figure 2023046691000003
以下、各実施例の詳細について、図面を用いて説明する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
図14は、実施例1に係るワイパーブレード62の模式図である。図14に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して20度で形成されている。更に、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の上端部及び下端部は、ワイパーブレード62の長手方向側の両端部と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「AA」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図15は、実施例2に係るワイパーブレード62の模式図である。図15に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して10度で形成されている。更に、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の上端部及び下端部は、ワイパーブレード62の長手方向側の両端部と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「AA」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図16は、実施例3に係るワイパーブレード62の模式図である。図16に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して45度で形成されている。更に、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の上端部及び下端部は、ワイパーブレード62の長手方向側の両端部と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「AA」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図17は、実施例4に係るワイパーブレード62の模式図である。図17に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して5度で形成されている。更に、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の上端部及び下端部は、ワイパーブレード62の長手方向側の両端部と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「A」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図18は、実施例5に係るワイパーブレード62の模式図である。図18に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して50度で形成されている。また、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の上端部は、ワイパーブレード62における長手方向側の一端と接していない。他方、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の下端部は、ワイパーブレード62における長手方向側の他端側と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「A」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図19は、実施例6に係るワイパーブレード62の模式図である。図19に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が1本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して20度で形成されている。また、凹部63の両端部は、ワイパーブレード62における長手方向側の両端と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「A」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図20は、実施例7に係るワイパーブレード62の模式図である。図20に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して20度で形成されている。また、各凹部63の上端部は、ワイパーブレード62における長手方向側の一端と接している。他方、各凹部63の下端部は、ワイパーブレード62における長手方向側の他端側と接していない。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「A」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図21は、実施例8に係るワイパーブレード62の模式図である。図21に示す様に、本実施例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して20度で形成されている。更に、ワイパーブレード62の移動方向において最も前方に形成されている凹部63の上端部及び下端部は、ワイパーブレード62の長手方向側の両端部と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「AA」であった。そして、インク飛び散りに係る評価結果は、「AA」であった。
図22は、比較例1に係るワイパーブレード62の模式図である。図22に示す様に、本比較例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が形成されていない。本比較例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「C」であった。
図23は、比較例2に係るワイパーブレード62の模式図である。図23に示す様に、本比較例に係るワイパーブレード62の当接面には、凹部63が3本形成されている。
そして、凹部63の形成角度は、仮想線L1に対して0度で(つまり、平行に)形成されている。更に、ワイパーブレード62の移動方向において最も後方に形成されている凹部63の上端部及び下端部は、ワイパーブレード62の長手方向側の両端部と接している。本実施例に係るワイパーブレード62を用いて拭き取り作業を行った結果、拭き取り性に係る評価結果は、「B」であった。

Claims (10)

  1. 液体吐出部と、前記液体吐出部に当接する当接面を備えるワイパーブレードと、前記液体吐出部と前記ワイパーブレードとの少なくとも一方を移動方向に移動させることで前記当接面を前記液体吐出部に当接させる移動手段と、を備える液体吐出装置であって、
    前記当接面には、前記ワイパーブレードにおける移動方向に対して傾斜して形成された凹部が形成されている、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記凹部は、前記ワイパーブレードの移動方向に対して直交する線に対して10度以上45度以下の角度で傾斜している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記凹部は、複数形成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記凹部が備える端部のうち、前記ワイパーブレードの移動方向を基準として後方側に位置する端部が、前記ワイパーブレードの一端に到達している、
    ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記当接面に複数の凹部が形成されている場合、前記ワイパーブレードの移動方向を基準として最も後方に形成された凹部が備える端部が、前記ワイパーブレードの一端に到達している、
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記ワイパーブレードは、更に、前記凹部を介して排出した液体を吸収する吸収体を備え、
    前記吸収体は、前記凹部に入り込んだ付着物を排出する側の端部が位置する側、且つ、前記ワイパーブレードの下方に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記液体吐出部は、
    明度の高い液体を吐出する第1の吐出口と、
    明度の低い液体を吐出する第2の吐出口と、を備え、
    前記凹部は、前記第1の吐出口に当接した後、前記第2の吐出口に当接する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記当接面は、
    前記凹部が形成されていない非形成領域、を含み、
    前記非形成領域は、無機顔料を吐出する無機顔料吐出口に当接する、
    ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 前記当接面は、更に、
    前記凹部が形成された形成領域、を含み、
    前記形成領域は、有機顔料を吐出する有機顔料吐出口に当接する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. 液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に付着した付着物を移動しながら拭き取るワイパーブレードと、を備える液体吐出装置のメンテナンス方法であって、
    前記ワイパーブレードが前記移動をする方向に対して斜めに形成された凹部を前記液体吐出部に摺接させながら拭き取るステップと、
    前記ワイパーブレードが拭き取った付着物を、前記凹部を介して排出するステップと、
    を含む、
    ことを特徴とする液体吐出装置のメンテナンス方法。
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