JP2005225093A - インクジェットプリント装置 - Google Patents

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伸行 桑原
Hiroyuki Maeda
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【課題】 色材としての顔料と200以下の酸価を示す高分子物質を含有してなるインクを用いるインクジェットプリント装置において、インクの吐出に伴って発生する吐出面上の濡れが多く、更にその濡れが堆積しやすいため、プリントヘッドの往復移動時に濡れとプリント媒体とが接触し、プリント媒体上に汚れを生じてしまう。
【解決手段】 インクジェットプリント装置のプリント領域の少なくとも一端部で、プリントヘッドの往復移動の延長線上に、インク吸収部材を設ける。これにより、このインク吸収部材をプリントヘッドの往復移動で吐出面と接触させ、吐出面上に発生した濡れインクを除去することが可能となる。インク吸収体はプリント領域の端部に設けられているため、プリントヘッドの往復移動範囲内で吐出面とインク吸収体との接触が可能であり、このことから、接触の頻度を高めてもプリント速度を低下させることはない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェットプリント装置に関し、特に顔料を色材として用いたインクを搭載したインクジェットプリンタに用いられるワイピング機構に関する。
インクジェットプリンタは、小型化が容易であることや、騒音が少ない、安価であることなどの利点を持っており、コンピュータの出力装置を始め、各種の印刷装置に利用されている。このインクジェットプリンタは、複数のノズルをもつインクジェットプリントヘッドを搭載しており、その中のノズル群を選択的に駆動させることによって、所望の液滴をプリント媒体上に吐出・着弾させることで画像を形成させる。ここで使用するインクジェットプリントヘッドはインクを吐出させるために複数のノズルを有し、更に各ノズルの吐出口を同一面上(以降、この面を『吐出面』と称する)に配列させる形態が一般的である。
しかし液状インクを吐出させるという点から、この吐出の継続により、インクミストやプリント媒体から跳ね返るインク等が吐出面に付着する、所謂『濡れ』の現象を起こすことがある。この濡れが吐出面上の吐出口近傍で起こった場合、吐出口を介してノズル内のインクと濡れとがつながったり、或いは複数の吐出口間でインクのつながりができたりする。また紙粉やごみ等の異物が濡れを介して付着し、それによって吐出口をふさいだりすることがある。以上のような現象が発生すると、吐出しようとするインク滴が濡れによって引っ張られ、その結果、吐出インク滴の吐出方向が曲がる、インク滴の大きさがばらつく、更にはインク滴の吐出が不可能となる、等の悪影響が出て正常な画像形成ができなくなる不具合を起こす。この不具合を防止するために、インクジェットプリントヘッドの吐出面には従来から撥水処理を施している。この撥水処理により、前述したインクミストやプリント媒体から跳ね返るインク等をはじいて付着させないようにし、この作用から濡れを防止している。
しかし、撥水処理はインクをはじく機能が主体であって、濡れの要因となり得るインクの量を減少させるわけではないため、インクの吐出が更に進行していくと、撥水処理で防止しきれなくなるインクが吐出面に付着してくることはあり得る。これに対しては、そのインクをワイパーブレードで払拭するか、又は吸引ポンプによってインクジェットプリントヘッド内のインクと共に流し去る、所謂回復装置をインクジェットプリンタ内に組み込んでいた。
この回復装置には、ワイピング部と吸引部とを備えており、一般的にはそれぞれ次のような概略構成である。まずワイピング部は、吐出面を摺接するために設置されているワイパーブレードを、所定のタイミングで動作させ、その摺接動作によって吐出面上の濡れや異物を払拭する構成である。そして吸引部は、吐出面にインクの流れを起こすための負圧を生み出すポンプと連通しているキャップを密着させ、その後ポンプを動作させることによってキャップ内を負圧にして、吐出口を介してインクジェットプリントヘッド内のインクと共に異物等をポンプ内に引き込む構成である。
一般にこの回復装置は、インクジェットプリント装置内のプリント領域から外れた箇所で、プリント待機時にインクジェットプリントヘッドを退避させて吐出面の保護のためにキャッピングを行っておく位置(以下、この位置を『ホームポジション』と称する)に設置されている。従って、この回復装置でインクジェットプリントヘッドの回復処理を行う場合は、所定のプリント動作を開始する前或いは終了した後に行うか、或いはプリント動作中の途中でインクジェットプリントヘッドをホームポジションまで移動させて行うか、のいずれかである。
特開2000−177113号公報
一方、プリント画像に対して画像濃度や堅牢性(耐水性、耐光性等)を向上させようとした場合、使用するインクの色材として顔料を適用することが近年多く研究されている。従来からインクジェット用インクの色材としては染料が多く用いられてきたが、インクの主溶媒には水が使用されることが多いため、この染料も水溶性染料が多用されてきた。水溶性染料を用いた場合、水溶性の性質から耐水性が劣ったり、一般的な染料の性質として知られている耐光性に劣る等の課題があった。これらの課題に対して改善を図るために耐水性、耐光性に優れる顔料を用いることが研究されている。
顔料をインクジェット用インクの色材として利用する際には、次のことに留意する必要がある。通常の顔料は水に不溶であるため、界面活性剤や樹脂等の存在によって水中で分散をさせる必要がある。更に必要に応じて適切な樹脂や溶剤等を添加してインクジェット用インクとしている。この中で分散の手法自体は、古くから塗料や印刷の分野で行われているが、インクジェット用インクとして考えた場合、数十μm径の吐出口より液滴の吐出をさせることから、顔料の粒径は小さなものが求められる。一般にインクジェット用インクに適用する顔料の粒径としては200nm以下、より好ましくは100nm以下が適切であるといわれている。これに加え、安定吐出のためには外力や経時で凝集や沈降を起こさない分散安定性が強く求められる。また、プリント媒体上にインクが着弾した後に顔料粒子とプリント媒体との間で強い結着力が発現していることが必要となる。先に述べた水に不溶である性質から、プリント媒体上に着弾した後も粒子の形態で存在することになるが、特にプリント媒体が普通紙である場合には、紙を構成している繊維と顔料との間では強い結着力がない。従ってプリント媒体と顔料との間の結着力を上げるために、バインダー成分としてインク中に水溶性高分子物質を含有させることが行われる。特にプリント媒体にインクが付着した後の定着性や擦過性の特性を上げるためには酸価の低い高分子物質を適用することが好ましい。ここで、酸価とは一般の術語で、試料1g中に含有する遊離脂肪酸を中和するに要する水酸化カリウムのmg数で定義される。
このように定着性や擦過性の特性を高く維持しようとする場合には、比較的酸価の低い高分子物質を利用するが、酸価の低い高分子物質は、酸価の高いものに比べて水に対する溶解性が低いという性質を持っている。そのためインクジェット用インクに適用した際に、吐出面上で濡れが生じていって、これに加えて吐出面上で濡れのインク中における経時的な水等の揮発性溶媒の蒸発が進行していくと、部分的に顔料粒子の凝集が起こったり、溶解している高分子物質が析出したりする。そして更に濡れが発生することにより、この蒸発に伴う凝集・析出が繰り返され、次第に濡れが蓄積されていくことになる。この蓄積が進行していくと、濡れインク部分の粘度上昇や析出に伴う濡れの堆積や固化が発生し、回復装置内のワイピング動作を行った際に濡れを完全に払拭できず、拭き残しを発生させてしまう。
また濡れの進行で、吐出面上において発生した堆積物が多くなってくると、インクジェットプリントヘッドの往復移動を伴うプリント動作中に、その堆積物とプリント媒体とが接触することも起こり得る。これによりプリント媒体上において画像と無関係な部分に余計なインクの付着が発生する『汚れ』を起こしてしまう。
プリント時における吐出面とプリント媒体表面との間の距離は、通常は0.5〜3mmであるが、プリント媒体として吸水性をもつ紙を使用した場合には、インクジェットヘッドから吐出されたインクの着弾及び浸透に伴い、その紙がインク中の水分を含んで表面の平坦性が損なわれる現象、所謂『コックリング』が起こることがある。これはインク中の水分が、紙を構成している繊維を膨潤させるために起こるものであるが、紙面全体の中でインクの打ち込み量が異なっていると、平坦な紙の表面が波打ったような状態となり、吐出面とプリント媒体表面との間の距離が上記値よりも狭くなってしまう部分ができる。特にインクジェットプリント装置の使用環境が高湿度環境となると、プリント媒体内に浸透した水分は蒸発しにくくなるため、紙繊維の膨潤は更に進み、コックリングに伴う吐出面とプリント媒体表面との間の距離が狭くなる現象は、より顕著となる。
図9は、上記の吐出面上での濡れ状態を模式的に示したものである。図9(a)は、吐出に伴って発生したインクミストやプリント媒体から跳ね返ったインクが吐出面に付着して濡れた状態を、吐出面側から見たときのものである。濡れは通常では吐出面内で均一に起こることはまれで、この図のように吐出面内の箇所により付着しているインクの量が異なる。また図9(a)のようにインク付着が起こっている状態を、吐出面に沿った方向から見ると、図9(b)に示すような状態であり、付着したインクの厚さもそれぞれ異なる。これは先に述べた濡れの堆積に起因するものである。通常は所定のタイミングでワイピング動作が入り、この濡れを除去するが、使用するインクによって濡れの堆積の進行が速い場合には、そのワイピング動作に入る前に濡れインクがプリント媒体表面に接触し、汚れを発生させることも起こり得る。またこのように濡れの進行が速ければ、その汚れが発生する以前に、吐出口からの正常なインク吐出も困難となっている。
この濡れの堆積物とプリント媒体表面との接触を防止するためには、その接触が起こる前にワイピング動作を行う必要があるが、前述したように、ワイピングはホームポジションにまでインクジェットプリントヘッドを移動させなければならないため、プリント途中の際には、一時的にインク吐出を停止してプリントを中断しなければならない。更に、インクジェットプリントヘッドのホームポジションまでの移動に要する時間、ワイパーブレードの動作に要する時間、及びインクジェットプリントヘッドを元のプリント中断位置にまで戻す時間等を余分に費やしてしまい、プリント終了までの実効時間を延ばしてしまうことになる。このため全体のプリント速度を低下させることにつながり、好ましい解決策とはいいにくい。
逆にインク中の成分として酸価の高い高分子物質を適用した場合には、濡れインクとして吐出面に付着したとしても、酸価の低いものに比べて相対的に水に対する溶解性が高いことから、濡れ部分の粘度上昇や高分子物質の析出は発生しにくく、たとえこれらの現象が発生したとしても、次の濡れインクの付着で再溶解されやすい。このため濡れの蓄積や堆積は起こりにくく、染料を用いたインクに近い挙動で、液状として維持される。しかし、酸価の高い高分子物質は水溶性が比較的高いという点から、インクがプリント媒体に着弾した後は、プリント媒体の厚さ方向へのインクの浸透が進みやすく、結果として画像濃度を高く維持しにくいうえ、プリント媒体の厚さ方向でインクが広がることから、顔料粒子と紙との結着力を強く維持できなくなるため、擦過性も劣る。
以上のことから、画像性能を高めようとした場合には、吐出面における濡れが凝集や析出による粘度上昇・固化を引き起こす可能性があり、更に吐出面上で堆積していくことに対する課題解決が必須となる。このためにワイピングの頻度を上げる必要性をすでに述べた。しかしプリント速度低下の弊害を考慮すると、ワイパーブレードを、ホームポジションのみならず、プリント可能領域外の両側に設置し、プリント途中のワイピング時に、そのときにおけるインクジェットプリントヘッドのプリント領域内における位置に応じて、いずれか近い側のワイパーブレードで吐出面を摺接する方法が考えられる。
これに対し、プリント領域外の両側にワイピングブレードを有する機構については、特開平6−198897号公報や特開平11−123835号公報などで開示がされている。特開平6−198897号公報においては、通紙領域外の両端に吐出口面に当接する清掃手段を配列したもので、更にその両側でブレード条件や清掃回数を調節して濡れ払拭の効率を向上させたものであり、特開平11−123835号公報においては、記録領域外の両側で記録に無関係なインク吐出の手段や吐出面を清掃する手段を有するものである。いずれもプリント領域外の両側にワイピング手段を有するが、前者の場合にはインクジェットプリントヘッドを移動させる際の速度変動によるワイピングのされ方のばらつきを考慮したものであり、後者の場合にはプリント途中のワイピングの有無により、次にプリントをする際のインクジェットプリントヘッドの移動方向が逆方向になることを考慮したものである。従って、前述の課題に対する観点とは異なるため、濡れの増大に伴ってワイピングの頻度を上げなければならないことに対して有効な手段を講じているものではない。
一方、ワイピングの頻度を上げた場合の課題として、吐出面とワイパーブレードとの間で当接に従った摩擦抵抗で吐出面を磨耗させるということも考えられる。前述したように吐出面には撥水剤が設けられているため、この撥水剤の撥水能力を低下させてしまう。従って従来のワイピングの手法で単に頻度を上げることは好ましくない。またワイパーブレードの吐出面との接触部の磨耗も考えられる。
この撥水能力の低下に対して、特開平8−187876号公報並びに特開平11−78058号公報で、吐出面に撥水剤を付与する手法を開示している。特開平8−187876号公報においては、撥水剤を保持する保持部材と、この保持部材でワイピングするワイピング手段をもつもので、まずヘッドの吐出面に対してまずゴムブレードからなるワイピングパッドで吐出面の濡れインクをふき取り、次いでこの部分に撥水剤保持部材を接触させて撥水剤を補給する構成である。また特開平11−78058号公報においては、吐出面に付着したインクを除去した後に、この吐出面に撥水性皮膜を形成する手段をもつもので、ワイパーで吐出面をワイピングした後に、この吐出面に撥水剤溶液を含有した吸収性部材を押し付けて撥水層を形成させる構成である。
これらのいずれの手法においても、使用可能な撥水剤種類の制約や吐出面上における撥水層の再形成時における層厚均一性の課題を生ずる。更には撥水層を再形成させるために専用の機構をインクジェットプリント装置内に付加することによる装置の大型化を招く課題も生ずる。従って、これらの構成による撥水性の再付与で、ワイピング時の当接力を高く設定するということは好ましいとはいいにくい。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、本発明者らはインクの吐出に伴って発生する吐出面上の濡れの発生状態、及び吐出面を劣化させることのない濡れの除去方法について、鋭意研究重ねた結果、吐出面上に発生した濡れに対し、新規なワイピングの手法を実施することで、この濡れを効率よく除去できることを見出し、本発明を達成するに至った。
そして本発明は、色材としての顔料と酸価が200以下の高分子物質を含有するインクを吐出させるにあたり、吐出面における濡れが進行していっても、プリント領域の両端部で濡れインクを吸収して除去することにより、安定した画像形成を可能にすると共に、濡れインクが吐出面上で堆積していっても、プリント媒体と接触するようなことは起こさないため、この濡れインクによってプリント媒体を汚すことも起こらないインクジェットプリント装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。即ち本発明は、
色材としての顔料と、200以下の酸価を示す高分子物質を用いて、顔料を分散させたインクをインクジェットプリントヘッドで吐出させ、そのインクの吐出に伴って発生する吐出面上の濡れについて、その原因となるインクの付着状態を観察した結果、以下のような挙動を示した。
なお、ここで用いている高分子物質としては、親水基及び疎水基のバランスが重要である。代表的なものとしては、ポリアクリル酸・ポリスチレンの共重合体が挙げられる。また、酸価の定義から、その中でもカルボキシル基が多いほど酸価は高くなるので、ポリアクリル酸の比率を変えることによって酸価は各種の値をとり得る。
まず、このインク付着は微小液滴状態で吐出口近傍を含めた吐出面全域で発生し、更に吐出の継続でインク付着は増大していく。これと共に、吐出面上で付着インク中の揮発分の蒸発も起こっていくため、付着インクは次第に粘度を増していき、更には高分子物質成分の析出も起こってくる。このような状態となっていく間に、更に別のインク滴が付着していき、その中でも近接した位置に付着したものは、この粘度上昇・析出した部分との間で合体していく。しかし、この合体に際して、高分子物質の酸価が低いため、すでに析出した高分子物質をあとから付着したインク滴によって再溶解させることは容易には起こらず、粘度上昇成分および析出物の堆積となっていく。
このように粘度上昇成分および析出物の堆積が進行していくと、前述したインクジェットプリント装置内に組み込まれている回復装置内のワイピング部の動作のみによる、通常実施し得るタイミングのワイピングでは、吐出面上の濡れを除去することは困難となる。従って、このような堆積物ができる前に濡れを除去することが必要である。このことは、言い換えればワイピングの頻度が高くなることである。従って、別の視点にたって堆積物ができる前の状態のうちに濡れを除去することを行う必要がある。
即ち、堆積物ができる前の濡れ状態は吐出面上において濡れインク中の揮発成分の蒸発程度も少ないため、粘度上昇は少ない。従ってこの状態のときは濡れの流動性が高いことから、吸水性部材によって吸収されやすい性質が残っている。これを利用し、インクジェットプリント装置におけるプリント可能領域端部の外側のうちで少なくとも一方に多孔質体等からなるインク吸収部材を設置し、このインク吸収部材と吐出面とを接触させることで、補助的な濡れの除去を行う。
また、補助的な濡れの除去を行うインク吸収部材は、インクジェットプリント装置におけるプリント可能領域端部の外側のうちで少なくとも一方に設置してあれば機能は果たすが、濡れ除去の効率をより高める観点から、プリント可能領域端部の外側の両方に設置することも有効である。つまりこのことは、インク吐出を行うインクジェットプリントヘッドは、このプリント可能領域内で往復移動を行うので、プリント可能領域端部の外側の両方で吐出面との接触は可能であるという観点からである。
これらのインク吸収部材を設置する位置においては、インクジェットプリントヘッドを搭載しているキャリッジの往復動作をさせるモータの加速領域又は減速領域にあたるため、新たにキャリッジの移動範囲を広げる制御を加える必要はない。また、従来からのワイピング部の構成であるゴム等の弾性体を用いたワイパーブレードを屈曲させて摺接させる方式では、摺接後に、ワイパーブレードの形状復帰力で除去したインクを飛散させる、という問題が発生することが考えられたが、本発明のインク吸収部材を吐出面に接触させる方式では、この除去インクの飛散の問題はない。なお、インク吸収部材と吐出面との接触の際に、キャリッジ動作に対して抵抗を生じてはならないため、インク吸収部材は固設させるのではなく、吐出面との接触時にある程度揺動可能に設置することが好ましい。
以上説明したように、色材としての顔料と酸価が200以下の高分子物質を含有するインクを吐出させるにあたり、吐出面における濡れが進行していっても、プリント領域の両端部で濡れインクを吸収して除去することにより、安定した画像形成を可能にすると共に、濡れインクが吐出面上で堆積していっても、プリント媒体と接触するようなことは起こさないため、この濡れインクによってプリント媒体を汚すことも起こらない。
本発明で使用しているインクは、染料を色材としたインクでは発生し得なかった吐出面上での濡れを引き起こし、この濡れは従来の技術の延長では解消できなかったが、吐出面上の撥水剤層変更やワイピングの頻度を高めることを行わなくとも、その濡れを効率よく除去することが可能となった。このことはインクの自由度を高めると共に、画像の信頼性を上げることにもつながるものである。
以下に本発明を実施するための最良の形態を、実施例にもとづいて説明する。
[実施例1]
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明していく。なお以下において、補助的な濡れの除去を行うインク吸収部材は、インクジェットプリント装置におけるプリント可能領域の外側の両方に設置する形態で説明するが、いずれか一方のみでも本発明は達成できることはいうまでもない。
(インクジェットプリント装置の概略構成)
図1は、本発明を適用したインクジェットプリント装置にかかる第1の実施形態の概略構成を示す模式的平面図である。
この図1において、インクジェットプリントヘッドを組み込んでいるプリントヘッドカートリッジH1000は、キャリッジ202に位置決めされて交換可能に搭載される形態となっており、外部信号入力端子を介して各インク吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部(コネクタ)が設けられている。キャリッジ202には、その電気接続部に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダが設けられている。なお、プリントヘッドカートリッジH1000の構成の詳細は後述する。
キャリッジ202は、装置本体に設置されたガイドシャフト203によって、矢印Xの主走査方向に往復移動可能にガイドされており、主走査モータ204により、モータプーリ205、従動プーリ206、およびタイミングベルト207等の駆動機構を介して駆動されると共に、その位置および移動が制御される。また、キャリッジ202にはホームポジションセンサ210が設けられ、装置本体の定位置には遮蔽板216が配置されている。そして、キャリッジ202上のホームポジションセンサ210が遮蔽板216の位置を通過して、それを検知することによって、キャリッジ202がホームポジションにあることを知ることができる。また、このホームポジションの位置を基準としてキャリッジ202の位置を知ることもできる。
印刷用紙やプラスチック薄板等のプリント媒体208は、ギアを介して給紙モータ215によりピックアップローラ211を回転させることによって、オートシートフィーダ(ASF)212から一枚ずつ図1中の下方に分離給送される。更に、プリント媒体208は、搬送ローラ209の回転により、プリントヘッドカートリッジH1000の中におけるインクジェットプリントヘッドの吐出口配列面(吐出面)と対向する位置を通って、矢印Yの副走査方向に搬送される。搬送ローラ209は、ギアを介してLFモータ214により回転される。プリント媒体208が給送されたかどうかの判定と、その給送時におけるプリント媒体208の頭出し位置の確定(プリント媒体208の先端位置の確定)は、プリント媒体208がぺーパーエンドセンサ213の位置を通過した時点で行われる。更に、プリント媒体208の後端の位置と、その後端の位置に基づいてプリント媒体208上における現在のプリント位置を割り出すためにもペーパーエンドセンサ213は使用される。
なお、プリント媒体208は、プリント部において平坦なプリント面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。プリントヘッドカートリッジH1000は、その中のインクジェットプリントヘッドにおける吐出面がキャリッジ202から下方へ突出して、その吐出面がプリント媒体208のプリント部と平行になるようにキャリッジ202に保持される。
プリントヘッドカートリッジH1000は、その中のインクジェトプリントヘッドの各吐出部におけるインク吐出口の並び方向が矢印Xの主走査方向と交差する方向となるように、キャリッジ202に搭載される。プリントヘッドカートリッジH1000は、その中のインクジェットプリントヘッドにおける吐出面から、インクを液滴としてプリント媒体208上に吐出させることによってプリントを行う。
201は回復系機構であり、プリントヘッドカートリッジH1000内のインクジェットプリントヘッドの吐出口からインクを吸引排出させる吸引ポンプ(不図示)、インクジェットプリントヘッドの吐出面における濡れを払拭するワイパーブレード11、及びプリント待機時にインクジェットプリントヘッドの吐出面を保護するためのキャップ部材(不図示)を有する。このキャップ部材は、不図示のモータによって吐出面に対して圧接又は離間位置に移動可能とされている。このキャップ部材は一般的にはゴム製であり、吐出面に対して圧接状態のときに、吐出面との間の十分な密閉が達成できるように構成されている。そして、このキャップ部材を圧接状態にして、不図示の吸引ポンプによってキャップ部材内を負圧にし、インクジェットプリントヘッドの吐出口からインクをキャップ部材内に吸引排出することによって、吸引回復動作を行う。また、この圧接状態において吸引ポンプを動作させなければ、プリント装置の非使用時にキャップ部材が吐出口を保護することになる。なお、この回復系機構201内に設置されているワイパーブレード11は、プリントヘッドカートリッジH1000の吐出面に発生した濡れを所定のタイミングで除去することと共に、前述の吸引回復動作で吐出口からインクをキャップ内に吸引排出した際にインクで濡れている吐出面を清浄にすることの2つの目的で設けられている。
更に本発明によるインク吸収部材から構成される補助ワイパー12及び13は、本インクジェットプリント装置でプリントが可能な領域(使用できるプリント媒体の最大幅に相当する領域)に対して、その外側の両方に、それぞれ設けている。そしてこの設置位置は、なるべくプリント可能領域の両端部に近接した位置が好ましい。この補助ワイパー12及び13の具体的な構成と動作については後述する。
(プリントヘッドカートリッジ)
次に、キャリッジ202に位置決めされて交換可能に搭載されるプリントヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。
この実施形態におけるプリントヘッドカートリッジH1000は、図6に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクをプリント情報に応じてノズルから吐出させるインクジェットプリントヘッドH1001とを有する。
ここに示すプリントヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質な画像形成を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクH1900が用意されており、図7に示すように、それぞれがインクジェットプリントヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
そして、インクジェットプリントヘッドH1001は、図8の分解斜視図に示すように、吐出素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800から構成されている。
吐出素子基板H1100には、シリコン基板の片面にインクを吐出するための複数の吐出素子と、各吐出素子に電力を供給するアルミニウム等の電気配線とが成膜技術により形成され、この吐出素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。この複数の吐出口H1100Tが形成されている面が吐出面H1101となる。
また、吐出素子基板H1100は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、前記吐出素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と吐出素子基板H1100とが電気的に接続されるよう電気配線基板H1300を保持している。この電気配線基板H1300は、吐出素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、吐出素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
一方、インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に亘るインク流路H1501を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、前記係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、前記吐出素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される吐出素子部とを、接着等で結合することにより、プリントヘッドH1001を構成している。
(インク)
ここで、本発明に適用できる、顔料を色材として用いたインクについて説明しておく。なお、本例では一例としてブラックインクについて述べるが、他の色のインクも、使用する顔料の種類を各色に相当するものに変更すれば同様に考えることができる。
まず、インクを調製するにあたり、顔料粒子を水中に分散させる必要がある。これは次のように行う。
水不溶性高分子物質として、スチレン/メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/テトラエチレングリコールメタクリレート(重量による配合比:75/15/5/5、重量平均分子量:20000、酸価:100)をメチルエチルケトンに溶かし、有効成分が50%の高分子溶液溶液を作製した。この高分子溶液を20g、カーボンブラック(比表面積:220m/g、吸油量:120ml/100g)を30g、1Nの水酸化カリウム水溶液を17.9g、メチルエチルケトンを20g、イオン交換水を30gのそれぞれを十分に攪拌した後に、3本ロールミルで20回混錬した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後に、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去した。その後に遠心分離機で租粒を除去し、不揮発濃度が10重量%の顔料分散体Aを作成した。この分散体を蒸発乾固し、TG−DTAで顔料(P)と高分子物質(B)の比率を測定したところ、P/B=75/25であった。
以上のようにしてできた分散体を『顔料分散体A』とし、次の内容で他の成分と混合してインクの調製を行う。
顔料分散体A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40重量%
グリセリン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10重量%
ポリエチレングリコール(分子量:1000) ・・・ 3重量%
アセチレノールEH(商品名) ・・・・・・・・・・ 0.15重量%
これらの成分を最終的に混合し、よく攪拌した後に、ポアサイズ1.0μmのメンブレンフィルターで濾過し、インクを得た。
(補助ワイパーの動作)
以上のような構成からなるインクジェットプリント装置によって、プリントヘッドカートリッジH1000からインクを吐出させることで、プリント媒体208上で画像形成を行う。この画像形成のためにインクの吐出を継続していくと、吐出面に濡れが発生し得るが、この濡れを解消するために設けられている補助ワイパー12及び13の動作について次に説明する。
前述したように、補助ワイパーは図1の中でプリント媒体208の幅の外側に設置されている。これらの中で、補助ワイパー12の拡大図を図2に示す。なお、もう1つの補助ワイパー13も同一構成であるので、ここでは説明を省略する。図2(a)は、補助ワイパー12を図1に記したA方向から見た図で、図2(b)は補助ワイパー12を図1に記したB方向から見た図である。ここでインク吸収体121は、発泡ポリウレタンの多孔質体を圧縮して円柱状にした形状からなり、その底面部の中心で高さ方向(図1のB方向に相当する)に軸122を貫通させている。この軸122は、矢印D方向に回転可能なように、緊定ワッシャ123で、インク吸収体保持部124に軸着されている。このインク吸収体保持部124には、後述する移動軸125を介してインク吸収体121を矢印C方向で示す上下動ができるように、更に貫通穴をなす移動溝1241を有している。そしてこの移動溝1241の中に、移動軸125が図のような位置に設けられており、この移動軸125は、軸固定部126に固定される。この軸固定部126は、後に述べるようにインクジェットプリント装置のプラテン部分と一体に成形されている。また先の移動軸125と移動溝1241との組み合わせによってインク吸収体121のC方向での上下動を可能としているが、更にインク吸収体保持部124には圧力板127が図のように接着固定され、その延長部がコイルばね128の一端と接着され、このコイルばね128の他端は補助ワイパー固定部129に接着されている。この構成で前述のインク吸収体121を上に押し上げる力をつくり出しており、インク吸収体121と吐出面との接触を確実なものにすることができる。
インクジェットプリント装置内への補助ワイパー12の設置は、図3に示すような構成で行う。先に、軸固定部126はプラテン部分と一体で成形されていることを述べたが、この図3における軸固定部126とプラテン220とが一体で成形されている。このプラテン220は、補助ワイパー12が設置される部分で段差221を形成しており、この上に補助ワイパー12が設置されている。従って、キャリッジ202の移動に伴って吐出面H1101がX方向に移動して補助ワイパー12に近づくと、インク吸収体121と吐出面H1101との接触が可能となり、さらにこの吐出面H1101の移動によって、インク吸収体121は下方に押される構成である。
次に、この補助ワイパー12を取り付けたインクジェットプリント装置における、吐出面の濡れインク払拭動作について説明する。プリント信号がインクジェットプリント装置に送られると、その信号に従ってキャリッジ202を往復移動をさせると共に、この動作に同期してプリントヘッドカートリッジH1000内にあるインクジェットプリントヘッドH1001内の吐出口からインクの吐出が行われ、そのインクがプリント媒体208上に着弾して画像が形成されていく。一方、このプリント動作が進行していくと、吐出面においてインクによる濡れが次第に多くなって、場所によっては濡れインクの堆積が起こる。その結果プリント媒体と濡れインクとが接触し、プリント媒体上に汚れが発生することがある。この状態について確認した結果を図4に示す。
図4に記載の表では、プリント前の吐出面が清浄な状態である状態から、プリントを開始して次第に吐出面に濡れインクが付着していき、それが進行して吐出面上で堆積に至った結果、プリント媒体と濡れとが接触して汚れを発生させるまでの状況を確認した結果について、インクを吐出した総ドット数に対して示している。なお吐出面の濡れ状態は、吐出させるノズルの組み合わせによって異なるので、濡れインクによるプリント媒体上の汚れ発生を明確にするために、異なる画像のプリントパターンとして、3種類用いた。更にインクジェットプリント装置を30℃80%RH環境下におき、プリント媒体として普通紙(キヤノン製『PBペーパー』)を用いて、この確認試験を行った。
なお、ここで使用しているインクの性質として、染料を用いたインクに比べて濡れの堆積が著しく速いため、濡れによる吐出状態の悪化から生ずる画像劣化と、濡れによるプリント媒体上の汚れ発生は、総ドット数でほぼ同時期であった。従ってここではプリント媒体上の汚れ発生の現象をとりあげて説明している。
図4の表から、プリントパターンにより差異はあるが、300万発のインク吐出に至ったころから、プリント媒体と濡れインクとの接触が起きる可能性をもっている。従来、この種のインクジェットプリント装置、即ち染料を色材として用いたインクを採用しているインクジェットプリント装置においては、プリント速度を維持するために、回復機構内のワイパーブレードによるワイピングは、800万発程度のドット数に達した時点で行っていた。従って、この300万発のタイミングで、従来のワイピング手法を適用した場合には、プリント速度の低下を引き起こしてしまう。
従って、本実施形態では、図1におけるインクジェットプリント装置の動作の中で、プリントの開始と共に吐出総ドット数を積算していき、その値が300万発の倍数に到達するたびにキャリッジ202をプリント領域端部に移動させ、吐出面を補助ワイパー12又は13に接触させるように制御をする。
実際のプリント動作時にはキャリッジ202を往復移動させながらインク吐出を行っている。従って補助ワイパーに吐出面を接触させるタイミングに達した際には、その行におけるプリントを完了させた後に、その時点におけるキャリッジ202の移動方向の先にあるいずれかの補助ワイパーのところまでキャリッジ202を移動させる、なお、この補助ワイパーが設置してある場所においては、キャリッジ202の往復移動をさせるモータの動きとしては減速領域である。このため、キャリッジ202の速度はプリント時における速度よりも遅い。従って吐出面に対しては非常に弱い力で作用されることになるので、この補助ワイパーの接触で吐出面上の撥水剤を磨耗させることはない。
この補助ワイパー12又は13と吐出面の接触との接触は以下のようになされる。キャリッジ202がいずれかの補助ワイパーに向かっていくと、プリント領域端部に到達したところで、まずインクジェットプリントヘッドH1001の吐出面近傍と、インク吸収体121の外周面のいずれかの箇所とが接触する。このインク吸収体121の頂上部は、通常時はコイルばね128の作用で吐出面の位置よりも重力的に上方にあるので、上記接触が始まり、更にキャリッジ202の移動によって吐出面も移動していくと、インク吸収体121は軸122を中心にして回転すると共に、吐出面に押されてやや下方に移動する。このインク吸収体121の動きで、吐出面との接触を確実なものにする。これに加え、インクジェットプリント装置全体の各部における寸法ばらつきに対する両者の接触不良を防止する点でも有効である。
[実施例2]
図5は図1における補助ワイパー12及び13を別な形態で構成したものであり、図1におけるB方向から見た形状を示している。図5において、吐出面と接触するインク吸収部141に、吸水性の高い多孔質焼結ウレタン(東洋ポリマー製、商品名『ルビセルクリーン』)を用い、その下に図5に示しているような円弧状に成形したゴム板からなる伸縮材142を積層するように設けている。なおこの伸縮材142は、硬度が40度で、厚さが0.5mmのEPDMからできている。そしてこれらのふちの部分を固定材144上に接着させて構成したものである。なお固定材144はプラテンを形成している部分の延長部を利用している。また伸縮材142には任意に穴143を数か所設けてある。そして、インク吸収部141の頂点は、キャリッジ移動で吐出面がこの付近まで移動した際に上下方向に干渉する部分をもつように位置を合わせておく。即ち、図5において示している吐出面H1101が、インク吸収部141の端部1411並びに1412の面に近接するように、上下方向の位置関係を合わせておく。このような位置関係にしておくことによって、キャリッジ移動に伴って吐出面H1101は図5の破線部にそって移動するが、インク吸収部141の破線部よりも上方部分が上記の干渉する部分に対応する。
この構成で吐出面の濡れインクを吸収するにあたって、吐出面をインク吸収部141に接触させるタイミング及びキャリッジの動作に関しては、前述の実施例1と同様の動作を行わせる。そして吐出面とインク吸収部141との接触時にあたっては、以下のように行われる。
まずキヤリッジ202を補助ワイパーの位置まで移動させると、吐出面H1101はインク吸収部141の中の端部1411又は1412に近づいていく。この1411又は1412のいずれが吐出面H1101に近づくかは、補助ワイパーの設置位置により決まり、プリント媒体208に近いほうの端部がそれに該当する。ここでは1411が吐出面に近づく動作で以降の説明を行う。
吐出面H1101がインク吸収部141の端部1411に近づいていくと、吐出面H1101と端部1411の上下の位置関係から、吐出面H1101は端部1411に近接する。そして、キャリッジ202が更に動いていくと、吐出面はインク吸収部141のいずれかの面と接触するようになる。そして、その後吐出面に押されてインク吸収部141は吐出面と接触を維持すると共に、下方にへこんでいく。これにならって伸縮材142も下方にへこむように変形していく。伸縮材142はEPDM製であるから、それ自身の弾性力によって上方に戻ろうとする力があり、この力が吐出面とインク吸収部141の接触を確実なものにしている。
そして、更にキャリッジ202が動いていけば、吐出面とインク吸収部141との接触は解除されていく。この解除に伴い、伸縮材142はEPDMの伸張力で元の形状に復元し、同時にインク吸収部141の形状も復元される。このようにして吐出面に付着している濡れインクはインク吸収部141に移行する。なお、伸縮材142には数箇所の穴143が設けられているため、前述の変形・伸縮動作を円滑に行わせるようにしている。
本実施形態の場合には、補助ワイパーに可動機構を設けていないため、部品点数を減らすことが可能である。
[実施例3]
上記実施例1及び実施例2のいずれにおいても、補助ワイパーを常にプラテンの面よりも上方に位置するように構成した形態で説明した。しかし、この補助ワイパーは吐出面と接触するとき以外は、プラテン面よりも上方に出ている必要は必ずしもないため、この吐出面との接触時以外にはプラテン面よりも下方に下げておいてもよい。この場合には、キャリッジ202の位置を検知する機構を更に設けておき、キャリッジ202が補助ワイパーの位置に近づいて、吐出面が補助ワイパーの上部に到達したところで補助ワイパーを上方に出し、吐出面と接触させる機構を付加してもよい。これらの機構の詳細は一般的な公知の機構を利用すればよい。
本発明の一実施形態によるインクジェットプリント装置の構成例を示す模式図である。 図1のインクジェットプリント装置に組み込まれている補助ワイパーを示す構成図である。 図2の補助ワイパーをインクジェットプリント装置内に組み込む際の配置図である。 図2の補助ワイパーの動作を説明するための確認試験結果である。 図1のインクジェットプリント装置に組み込まれている補助ワイパーの他の例を示す構成図である。 図1のインクジェットプリント装置に用いるプリントヘッドカートリッジを組立てた状態を示す斜視図である。 図6のプリントヘッドカートリッジを分解した状態を示す斜視図である。 図7に示したインクジェットプリントヘッドを斜め下方から見た分解斜視図である。 インクジェットプリントヘッドの吐出面における濡れ状態を示す模式図である。
符号の説明
11 ワイパーブレード
12、13 補助ワイパー
121 インク吸収体
122 軸
123 緊定ワッシャ
124 インク吸収体保持部
125 移動軸
126 軸固定部
127 圧力板
128 コイルばね
129 補助ワイパー固定部
141 インク吸収部
142 伸縮材
143 穴
144 固定材
201 回復系機構
202 キャリッジ
203 ガイドシャフト
204 主走査モータ
205 モータプーリ
206 従動プーリ
207 タイミングベルト
208 プリント媒体
209 搬送ローラ
210 ホームポジションセンサ
211 ピックアップローラ
212 オートシートフィーダ
213 ペーパーエンドセンサ
214 LFモータ
215 給紙モータ
216 遮蔽板
H1000 プリントヘッドカートリッジ
H1001 インクジェットプリントヘッド
H1100 吐出素子基板
H1101 吐出面
H1200 第1のプレート
H1300 電気配線基板
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク

Claims (7)

  1. 色材としての顔料と200以下の酸価を示す高分子物質を含有してなるインクを用い、該インクを吐出させる複数の吐出口が配列された吐出面を有するインクジェットプリントヘッドを往復移動させることでプリントを行うインクジェットプリント装置において、
    該インクジェットプリント装置におけるプリント可能領域端部の外側のうちで少なくとも一方にインク吸収性を呈するインク吸収部材を設け、かつ該インク吸収部材が前記インクジェットプリントヘッドの往復移動で前記吐出面に接触可能であることを特徴とするインクジェットプリント装置。
  2. 前記インク吸収部材が前記インクジェットプリントヘッドの往復移動行程の延長線上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリント装置。
  3. 前記インク吸収部材が前記プリント可能領域端部の外側の両方に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットプリント装置。
  4. 前記インク吸収部材が多孔質体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
  5. 前記インク吸収部材が前記インクジェットプリントヘッドの往復動作に従う前記吐出面との接触に伴って回転可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
  6. 前記インク吸収部材が多孔質体と弾性体の積層体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
  7. 前記インク吸収部材は前記吐出面との接触時にのみ突出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016137649A (ja) * 2015-01-28 2016-08-04 セイコーエプソン株式会社 記録装置

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