JP2007114377A - 防眩フィルム、防眩性反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、防眩性反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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【課題】面状ムラの少ない防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルム、及び、そのような防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】液体で処理した透明支持体上に、直接、または他の層を介して少なくとも一種類の透光性粒子を含有する防眩層が少なくとも形成されたことを特徴とする防眩フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は防眩層、防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルム、並びに防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
近年、各種コーティング法を用いた材料の開発が進んでおり、特に数μm〜数百nmレベルの薄層塗布技術は、光学フィルム、印刷、フォトリソグラフィーなどで必要であり、要求される塗布精度も薄膜化、基材の大型化、塗布の高速化などに伴い高くなってきている。特に光学フィルムの製造においては、膜厚の制御が光学性能を左右する非常に重要なポイントであり、精度を高く保ちつつ塗布速度の高速化を実現できる技術への要求は高くなってきている。
反射防止膜(反射防止フィルム)は、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようディスプレイの最表面に配置される。
近年これら表示装置、特に従来のCRTに比べ奥行きの薄く、表示領域の大きな表示装置の普及に従って、より高精細化、より高品質な表示装置が要求されるようになっている。それに伴い反射防止膜の面状均一性が強く求められている。ここで言う面状均一性とは、反射防止性能に代表される光学性能のバラツキ、および耐擦傷性能などの膜物性のバラツキが全表示部内で一定以下であることを言う。
反射防止膜の製造方法としては、特許文献1にCVDによる酸化硅素膜を用いたガスバリア性、防眩性、反射防止性に優れる防眩性反射防止膜が記載されているような無機蒸着法が挙げられるが、大量生産性の観点からはオールウェット塗布による反射防止膜の製造方法が有利である。
しかしながら、溶剤を用いたオールウェット塗布は生産性の観点からは非常に有利である反面、塗布厚みを均一にすることや、塗布直後の溶剤乾燥を一定に保つことが非常に困難で、面状ムラが生じやすい。ここで言う面状ムラとは用いる透明支持体の凹凸や塗布性(濡れ性)に起因した厚みムラ、溶剤乾燥速度差に起因する乾燥ムラ、乾燥風で引き起こされる厚みムラである風ムラ等のことである。
塗布時のムラを低減させるためにはレベリング性を向上させることが有効であることが知られている。レベリング性を向上させる一つの手段として、塗布組成物中に界面活性剤を添加する方法が提案されている。塗布物に界面活性剤を添加すると表面張力が低下して被塗布物への濡れを改良し、塗膜形成過程での表面張力変化を小さく、または低下させて熱対流を防止して膜の均一性を改良するという機構に基づいている(非特許文献1参照)。目的とする塗布組成物中の溶剤、樹脂、各種添加剤との相溶性などにより最適な界面活性種は異なるが、溶剤を用いて塗布する場合には溶剤に可溶で表面張力低下能力が最も高いフッ素系界面活性剤を用いるのが有効である。
特許文献2に、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマー型界面活性剤を用いて優れたレベリング性を実現できた例が開示されている。しかしながら、フッ素系界面活性剤を用いて塗布を行うとレベリング効果により均一な膜は出来るものの、乾燥後に出来る塗膜の表面自由エネルギーが低くなるため、その面を他の材料と貼り付けたり、その上に更に塗布を行ったりする場合に界面での密着が弱くなり耐擦傷性が悪化
するという問題があった。
また、透明支持体の凹凸や塗布の厚みムラに起因する面状ムラを改良する試みは技術的難易度が高く、有効な改良方法が確立できていなかった。
特開平7−333404号公報 特開2002−249706号公報 コーティング用添加剤の最新技術、桐生春雄監修、シーエムシー、2001年
本発明の目的は、
(1)面状ムラの少ない反射防止フィルムを提供すること、及び、
(2)そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること、
にある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、液体で一旦濡らした透明支持体を用いて防眩層の形成を行うことで良好な面状の防眩フィルム及び防眩性反射防止フィルムが得られることを見出した。
本発明によれば、下記構成の防眩フィルム、防眩性反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置が提供され、上記目的が達成される。
(1) 液体で処理した透明支持体上に、直接、または他の層を介して少なくとも一種類の透光性粒子を含有する防眩層が少なくとも形成されたことを特徴とする防眩フィルム。(2) (1)に記載の防眩フィルムの防眩層の上に、防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層が設けられていることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
(3) 前記低屈折率層が中空シリカ粒子を含有することを特徴とする(2)に記載の防眩性反射防止フィルム。
(4) 前記透明支持体上のいずれかの層が、下記一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及びその誘導体の少なくともいずれかを含有することを特徴とする(1)に記載の防眩フィルムまたは(2)もしくは(3)記載の防眩性反射防止フィルム。
一般式(a) (R10s−Si(Z)4-s
〔一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。sは1〜3の整数を表す。〕
(5) 偏光膜と該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、(1)に記載の防眩フィルムまたは(2)〜(4)いずれかに記載の防眩性反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
(6) (1)に記載の防眩フィルムもしくは(2)〜(4)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム、または(5)に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
(7) 前記画像表示装置がTN,STN、IPS、VA又はOCBモードであり、且つ透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする(6)に記載の画像表示装置。
(8) 少なくとも以下の工程、
走行する透明支持体を液体で濡らす工程、および
該透明支持体上に、少なくとも一種類の透光性粒子を含有する防眩層を塗布する工程、を設け、順次実施することを特徴とする防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムの製造方法。
本発明によれば、防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルム、それらの製造方法、偏光板、画像表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明は、液体で処理した透明支持体上に、直接、または他の層を介して少なくとも一種類の透光性粒子を含有する防眩層が少なくとも形成されたことを特徴とする防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムに関する。
透明支持体については後述するが、透明支持体には各種の層が形成されていてもよい。
防眩層を形成する前に透明支持体を処理する液体については特に制限はないが、透明支持体に含まれる成分や透明支持体表面に塗設あるいはその他の方法で組み込まれた下引き層などを溶出/抽出する液体、または液体がそれらに浸透するものが好ましく、水、酸溶液、アルカリ溶液、溶剤等が挙げられる。
本発明に用いられる溶剤の例としては、新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)などに挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とすることが好ましく、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有させてもよい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7
℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
液体のハンドリングしやすさより使用温度において粘度は50mPa・s以下が好ましい。液体は、単独で使っても、複数組み合わせてもよい。
液体の処理の仕方についても特に制限はなく、液槽中に透明支持体を通過させる方式、透明支持体に液体を吹付ける方法、液体で濡らした弾性体で擦る方法などが挙げられ、またそれら方式を多段で行っても良い。
走行する透明支持体を液体で濡らすことが好ましい。
更に、本発明の液体処理を施す前に、透明支持体を加熱すると本発明の効果が得られやすくなる。加熱は、液体処理を施す面の表面温度が30℃から70℃となるように加熱することが好ましい。透明支持体の表面温度は35℃から60℃が更に好ましい。加熱手段は、表面温度が所望の温度になるものであれば、加熱ローラー等の接触手段、赤外線ヒーター等の間接的手段、温風の供給等の手段を適宜用いることができる。加熱時間は短時間とすることが製造時間を短縮する上で望ましく、1分以下が好ましい。加熱から、液体処理までの時間も特に制約はないが、製造時間の短縮の観点からは5分以内とすることが望ましい。
以下にアルカリ溶液を用いた処理方法の例を示す。
(1)アルカリ液に浸漬する方法
アルカリ液の中に透明支持体を適切な条件で浸漬する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、透明支持体にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
(2)アルカリ液を塗布する方法
適切な条件でアルカリ液を透明支持体表面に塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、処理する面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、狭義の塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
アルカリ液は(1)項で用いた液を使用することができ、上記の塗布手段により1m2あたり0.1〜30mLを塗りつけることが好ましい。塗りつけ量は、2〜25mLが更に好ましい。塗りつける液の温度は20℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃が更に好ましい。
前記(1)、(2)のどちらの処理方法においても、ロール状の透明支持体から巻き出して行うことができるため、フィルム製造工程の一連の操作で行っても良い。
液体で濡らした透明支持体は防眩層の形成前に液体を掻き取り、乾燥させることが好ま
しい。また、液体で処理する前に透明支持体を加熱しても良い。
1.本発明の構成物
まず、本発明のフィルムに使用することのできる各種化合物について記載する。
1−(1)バインダー
本発明のフィルムは、例えば、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイ
ルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
1−(2)ポリマ−バインダー
本発明にはバインダーとして、ポリマーあるいは架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に無機粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
1−(3)含フッ素ポリマ−バインダー
本発明にはポリマーのバインダーのうち、特に低屈折率層には含フッ素共重合体化合物を好ましく用いることが出来る。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオ
ロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、前記ハードコート層で述べた多官能モノマーを挙げることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
1−(4)オルガノシラン化合物
本発明のフィルムには、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で好ましい。
このゾル成分は、例えば前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。また、多官能アクリレートポリマーを有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(a)で表されるものが好ましい。
一般式(a): (R10−Si(Z)4−s
前記一般式(a)において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Zは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
sは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはZが複数存在するとき、複数のR10あるいはZはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(b)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(b)
Figure 2007114377
前記一般式(b)において、R41は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Wは単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**又は*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R41)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
tは0または1を表す。Zが複数存在するとき、複数のZはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。tとして好ましくは0である。
10は一般式(a)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Zは一般式(a)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式(a)、一般式(b)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(a)、一般式(b)で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007114377
Figure 2007114377

これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R33OH(式中、R33は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR34COCHCOR35(式中、R34は炭素数1〜10のアルキル基、R35は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR33p1(R34COCHCOR35p2、Ti(OR33q1(R34COCHCOR35q2、およびAl(OR33r1(R34COCHCOR35r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR33およびR34は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R35は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトア
セテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R34COCHCOR35で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R34は炭素数1〜10のアルキル基、R35は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR34およびR35は、前記金属キレート化合物を構成するR34およびR35と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。得られる組成物の保存安定性の点で、2モル以上が好ましい。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
a,珪素アルコキシド
RmSi(OR′)nで表せる化合物であり、ここでR、R′は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m及びnはそれぞれm+n=4となる整数である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テト
ラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
b.シランカップリング剤
例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
c.電離放射線硬化性珪素化合物
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
上記バインダーに対して、例えば特開2003−39586公開広報に記載の以下の反応性有機珪素化合物と併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化型樹脂と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100質量%の範囲で好ましく使用される。特に前記(c)の電離放射線硬化性有機珪素化合物を使用する場合には、これだけを樹脂成分としていずれかの層を形成することが可能である。
1−(5)開始剤
各種の電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明のフィルムを作成するに当り、光開始剤あるいは熱開始剤を併用することができる。
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体
、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1巻、3号(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢
酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
1−(6)架橋性化合物
本発明を構成するモノマーあるいはポリマーバインダ−が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる

例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
1−(7)硬化触媒
本発明のフィルムには、硬化を促進する硬化触媒として電離放射線または熱の照射により発生したラジカルや酸を使用することができる。
<熱酸発生剤>
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、アミン塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9、以上日本サイテックインダストリーズ(株)製、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167以上キング社製などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
<感光性酸発生剤、光酸発生剤>
更に光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。また、酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物等が挙げられ、これらのうち有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニ
ウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
1−(8)透光性粒子
本発明のフィルム、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることが出来る。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組合せて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題を抑制できる点で、
この差が0.030以下が好ましい。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。光の散乱角度分布が広角にまで広がらず、ディスプレイの文字ボケを引き起こすのを抑制できる点で、平均粒径が0.5μm以上が好ましい。一方、添加する層の膜厚を厚くする必要がなく、カールやコスト上昇といった問題を抑制できる点で、10μm以下が好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。添加効果が十分である点で、3質量%以上が好ましく、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題を抑制できる点で30質量%以下が好ましい。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用
いることが好ましい。
1−(9)無機粒子
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmが好ましい。より好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機粒子は、分散機を用いて分散することが好ましい。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
<高屈折率粒子>
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiO好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
層中のモノマーや無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で二種類以上用いても良い。
<低屈折率粒子>
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
ここで、無機粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
低屈折率粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
<中空シリカ粒子>
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII):
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。外殻の厚みが十分厚く、粒子の強度が十分であるため、耐擦傷性の観点から1.15以上の屈折率の粒子が好ましい。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる
。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
1−(10)導電性粒子
本発明のフィルムには導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。
導電性粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電性無機粒子を表面処理してもよい。表面処理は、一般に無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の導電性粒子を特定の層内あるいはフィルムとして併用してもよい。
例えば帯電防止層中の導電性無機粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
導電性無機粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することができる。
1−(11)表面処理剤
本発明で使用する無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
表面処理は、無機化合物または有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、などのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、WO2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
1−(12)分散剤
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合
性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
無機粒子の分散、特にTiOを主成分とする無機粒子の分散にはアニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましく、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有することがより好ましく、該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1分子中に複数種類が含有されていてもよいが、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10−4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COOR50または−CONHR50のR50基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R50基)の例としては、−(CH−CR51=CR5253、−(CHO)−CHCR51=CR5253、−(CHCHO)−CHCR51=CR5253、−(CH−NH−CO−O−CHCR51=CR5253、−(CH−O−CO−CR51=CR5253および−(CHCHO)−X(R51〜R53はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R51とR52またはR53は互いに結合して環を形成してもよく、pは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のR50の具体例には、−CHCH=CH(特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHCHOCOCH=CH、−CHCHOCOC(CH)=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCH−NHCOO−CHCH=CHおよび−CHCHO−X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のR50の具体例には、−CHCH=CH、−CHCH−Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)および−CHCH−OCO−CH=CH、−CHCH−OCO−C(CH)=CHが含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
分散剤の無機粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
以下に本発明に好ましく用いられる分散剤の具体例を示すが、本発明用の分散剤はこれらに限定されるものではない。なお特に記載の無い場合はランダム共重合体を表す。
Figure 2007114377
Figure 2007114377
Figure 2007114377
Figure 2007114377
Figure 2007114377
Figure 2007114377
1−(13)防汚剤
本発明のフィルム、特にフィルムの最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
これらの添加剤を添加する場合には、低屈折率層が形成されているときには、低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例 としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜等との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には、低屈折率層が形成されているときには、低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
1−(14)界面活性剤
本発明のフィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用
の組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする、あるいは下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 2007114377
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 2007114377

一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、層形成用の組成物に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。効果が十分である点で、フッ素系ポリマーの添加量は0.001質量%以上が好ましく、また塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)への悪影響を抑制できる点で5質量%以下が好ましい。
以下、一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007114377

Figure 2007114377

しかしながら、前記のようなフッ素系ポリマーを使用することにより、防眩層表面にF原子を含有する官能基が偏析することにより防眩層の表面エネルギーが低下し、前記防眩層上に低屈折率層をオーバーコートしたときに反射防止性能が悪化する問題が生じる場合がある。これは低屈折率層を形成するために用いられる硬化性組成物の濡れ性が悪化するために低屈折率層に目視では検知できない微小なムラが悪化するためと推定される。このような問題を解決するためには、フッ素系ポリマーの構造と添加量を調整することにより、防眩層の表面エネルギーを好ましくは20mN・m−1〜50mN・m−1に、より好ましくは30mN・m−1〜40mN・m−1に制御することが効果的であることを見出した。X線光電子分光法で測定したフッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.1〜1.5では、前記のような表面エネルギーを実現することができる。
或いは、上層を塗布する時には上層を形成する溶媒に抽出されるようなフッ素系ポリマーを選択することで、下層表面(=界面)に偏在することがなくなり上層と下層の密着性を持たせることで、高速塗布においても面状の均一性を保ち、かつ耐擦傷性の強い防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムを提供できる。表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。そのような素材の例は下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体である。
(iii)下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式ハ
Figure 2007114377

一般式ハにおいてR21は水素原子またはハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R22)−を表し、酸素原子または−N(R22)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。mは1以上6以下の整数(1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。)、nは1以上18以下の整数(4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましい。)を表す。R22は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Xは酸素原子が好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(iv)前記(iii)と共重合可能な下記一般式ニで示されるモノマー
一般式ニ
Figure 2007114377

一般式ニにおいて、R23は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R25)−を表し、酸素原子または−N(R25)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R25は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
24は置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基が更に好ましい。
以下、一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007114377
Figure 2007114377

Figure 2007114377

Figure 2007114377


Figure 2007114377


1−(15)増粘剤
本発明のフィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。
1−(16)塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布等のための組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶剤は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
1−(17)その他
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
1−(18)透明支持体
本発明のフィルムの透明支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
<セルロースアシレートフィルム>
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好まし
く、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<セルロースアシレートフィルムの製造>
本発明で用いられるセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法(ソルベントキャスト法)により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その好ましい炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の上記で特定した好ましい炭素原子数の範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。
セルロースアシレート溶液(ドープ)の調整は一般的な方法で行える。以下に、本発明に使用することのできる一般的な方法について説明する。
一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。
なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。非塩素系溶媒を用いることもでき、それについては発明協会公開技報公技番号2001−1745号に記載されているものが挙げられる。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に好ましくは10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。
容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の
混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、好ましくはソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。以下に、本発明に使用することのできる一般的な方法について説明する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。
ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許第640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能で
ある。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
複数の調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用い、ソルベントキャスト法により2層以上を流延してフィルムを作製することもできる。この場合、ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、透明支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などの各公報に記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
あるいは、また2個の流延口を用いて、第一の流延口により透明支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、透明支持体面に接していた側に第二の流延を行うことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
さらに本発明では、セルロースアシレート溶液を、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)形成用溶液と同時に流延し、機能層とフィルム形成を同時形成することも実施しうる。
単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることがある。この解決法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延する。これにより、高粘度の溶液を同時に透明支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、またはフィルム製造の際における流延後の乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェート、およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−ア
セチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−197073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤の効果及びフィルム表面へのブリードアウト(滲み出し)を考慮して、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
セルロースアシレートフィルムには、フィルムのレターデーションを調整するため、必要に応じてレターデーション上昇剤を使用することができる。フィルムのレターデーションとしては、膜厚方向には0〜300nm、面内方向には0〜1000nmが好ましい。
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物がレターデーション上昇剤として好ましく、芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
詳しくは、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、同2002−236215号公報、国際公開第00/065384号パンフレット等に記載されている。
<セルロースアシレートフィルムの延伸処理>
作製されたセルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理により乾燥ムラや乾燥収縮で発生する膜厚ムラ、表面凹凸を改善することができる。また、延伸処理はレターデーションを調整することにも用いられる。
巾方向延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。
また、更に好ましくは、ロールの長手方向に縦延伸を行うことであり、例えばロールフィルムを搬送するパスロール間にて、それぞれのパスロールのドロー比(パスロール同士の回転比)を調節することにより、縦延伸が可能となる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
2.フィルムを構成する層
本発明のフィルムは、上記の各種化合物を例えば、混合、塗設することによって得ることができるが、次に、本発明のフィルムを構成する層について記載する。
2−(1)ハードコート層
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、好ましくは透明支持体の一方の面にハードコート層が設けられる。
好ましくは、その上に防眩層が設けられ、好ましくは防眩層の上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくは防眩層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムを構成する。
ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層ある場合、屈折率がこの範囲であると、反射防止性が十分であり、かつ反射光の色味が強くなり過ぎない。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。ハードコート層の説明においては、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく
、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが5%〜15%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.09μm以下であり、更に好ましくは0.08μm以下である。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
2−(2)防眩層
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は、少なくとも一種類の透光性粒子を必須成分として含有し、好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、および溶媒を含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子を含有して形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなることが好ましい。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記マット粒子(透光性粒子)の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられ
る。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
防眩層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
2−(3)高屈折率層、中屈折率層
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、防眩性反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
透明支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、防眩性反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用することが好ましい。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散することが好ましい。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が存在すると、無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加することが好ましい。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
2−(4)低屈折率層
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであ
ることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
低屈折層を形成するための硬化性組成物は、(A)前記含フッ素ポリマー、(B)無機粒子、(C)オルガノシラン化合物を含有してなるのが好ましい。
低屈折率層には、微粒子を分散・固定するためにバインダーが用いられる。バインダーとしては、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることが出来るが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
2−(5)帯電防止層、導電性層
本発明においては、帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、透明支持体に直接又は透明支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
2−(6)防汚層
本発明の最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。
防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
2−(7)干渉ムラ(虹ムラ)防止層
透明支持体とハードコート層、または透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、または透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(または防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(または防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記式を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
数式(I):
=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムを画像表示等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(または接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(または接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(または接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
尚、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
2−(8)易接着層
本発明のフィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、偏光板用保護フィルムとその隣接層、あるいはハードコート層と透明支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本技術にて好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様はフィルム基材側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい質量平均分子量としては500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号各公報記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体
(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独或いは2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。接着性の点で0.05μm以上が好ましく、また、接着性の効果が飽和しない点で、1.0μm以下が好ましい。
2−(9)カール防止層
本技術のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、フィルムの片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は透明支持体の防眩層または反射防止層を有する側と反対側に設ける態様或いは、例えばフィルムの片面に易接着層を塗設する場合もあり、また逆面にカール防止加工を塗設するような態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は従ってケトン系、エステル系の有機溶剤を含有するものが好ましい。好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶剤の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらをフィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
2−(10)水吸収層
本発明のフィルムには水吸収剤を使用することができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、およびMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層は後述のバリア層と同様に真空下蒸着法等を使って作成してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作成して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。水吸収剤を含む層は、透明支持体と積層体(バリア層と有機層の積層体)の間、積層体の最上層、積層体の間、或いは、積層体中の有機層或いはバリア層中に添加されていてもよい。バリア層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
2−(11)プライマー層・無機薄膜層(バリア層)
本発明のフィルムでは、透明支持体と積層体との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾルーゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
3.フィルムの層構成
本発明のフィルムについては、上記のような層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.透明支持体/ハードコート層
b.透明支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.透明支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.透明支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
b(図1)のように、透明支持体上にハードコート層を塗布した上に、低屈折率層を積層すると、防眩性反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層はハードコート層の上に低屈折率層4を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように透明支持体上にハードコート層を塗布した上に、高屈折率層、低屈折率層を積層しても防眩性反射防止フィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように透明支持体、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、そして低屈折率層の順序の層構成を設置することにより、例えば反射率を1%以下とすることができる。
aないしdの構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子(透光性粒子)の含有によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子を含有して形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子を含んでなることが好ましい。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また透明支持体とそれよりも表面側の層の間あるいは最表面に設けても良い層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層ないし防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
4.製造方法
本発明のフィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。4−(1)塗布液の調整
<調製>
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発
量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
<塗布液物性>
低屈折率層・中屈折率層・高屈折率層・防汚層などの200nm以下の乾燥膜厚となる塗布液については、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[cc/m]であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]から32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]から26[mN/m]の範囲が更に好ましい。
透光性粒子を含む防眩層においては、粒子の沈降防止の観点で5cp以上の粘度に調製することが好ましく、7cp以上の粘度に調製することが更に好ましい。
<濾過>
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルタは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜50μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜30μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルタ部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物の濾過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
4−(2)塗布前の処理
本発明で使用する透明支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭
59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、透明支持体フィルム上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後の透明支持体フィルムの帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
4−(3)塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを透明支持体の下方に、かつ透明支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記透明支持体の上面が自由状態にある位置におけるその透明支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された透明支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、透明支持体の搬送速度は0.5〜100m/分
であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
<ダイコーターの構成>
図6は本発明を実施することのできるスロットダイを用いたコーターの断面図の一例である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば図4に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図7は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は改良されたスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。本発明においては、いずれのスロットダイも使用することができる。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、改良されたスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは好ましくは30μm以上100μm以下であり、より好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。先端リップのエッジあるいはランドが欠けにくく、塗膜にスジが発生しにくくなり、塗布が可能となる点で、下流側リップのランド長さILOは30μm以上が好ましい。また、下流側の濡れ線位置の設定が容易になり、塗布液が下流側で広がりにくくなるという利点もある。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、ビード形成が可能で、薄層塗布を行うことが可能である点で、下流側リップのランド長さILOは100μm以下が好ましい。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間G とは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図8は、本発明を実施することのできる塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図の一例である。
ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間G、Gが存在する。
図9は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図の一例である。サイドプレートとバックプレートは図9のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間G、Gと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間Gとは、減圧チャンバー40を図6のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間Gをスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間Gよりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間Gが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間Gは100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ
及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
<塗布速度>
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、前記塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。低塗布量の塗布液に対して、該塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。前記ダイコート法を用い、25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
4−(4)<乾燥>
本発明のフィルムは、透明支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を透明支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を透明支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で透明支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと透明支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
4−(5)硬化
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、
カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される好ましくは50〜1000keV、より好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、透明支持体上に積層された少なくとも一層を、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。
特に最外層であり、かつ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以下では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要であり好ましくない。
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、かつ照射室のウェッブ入口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また前記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室または前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッ
ブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室または前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室または前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。加熱による硬化が十分である点で60℃以上が好ましく、基材の変形などの問題を抑制できる点で、170℃以下が好ましい。更にこの好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、透明支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が好ましい。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
4−(6)ハンドリング
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の透明支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する透明支持体フィルムを巻き取る工程が好ましく行われる。
ロール状の透明支持体フィルムから透明支持体フィルムがクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、透明支持体フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き透明支持体フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が透明支持体フィルム上に塗布され、塗布された透明支持体フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する透明支持体フィルム支持体は乾燥室から硬化室へ送り出され、
塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有する透明支持体フィルムは硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する透明支持体フィルムは巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
4−(7)鹸化処理
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組み合わせは比較的穏和な条件同士の組み合わせであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、フィルムが受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
b.アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を塗布層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触さ
せる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の透明支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した透明支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側の例えばトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、塗布層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理を例えばトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層のアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、たとえば防眩層とフッ素含有ゾルーゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいて、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
4−(8)偏光板の作製
本発明のフィルムを、偏光膜の両側に配置された保護フィルムの少なくともいずれかとして使用した偏光板として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
5.本発明の使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明のフィルムを用いた光学フィルタは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイ上に用いることが出来る。
5−(1)液晶表示装置
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
5―(2)液晶表示装置以外のディスプレイ
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルタをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルタを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1{ペルフルオロオレフィン共重合体(PF−1)の合成}
ステンレス製の撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40質量部、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7質量部、及び過酸化ジラウロイル0.55質量部を仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25質量部をオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に
達した時点の圧力は5.4kg/cm(529kPa)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm(314kPa)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。
得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶媒を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー生成物28質量部を得た。
次に上記ポリマー生成物の20質量部をN,N−ジメチルアセトアミド100質量部に溶解し、氷冷下でアクリル酸クロリド11.4質量部を滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加えて水洗し、有機層を抽出後、濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより下記構造のパーフルオロオレフィン共重合体(PF−1)を19質量部得た。得られたパーフルオロオレフィン共重合体の屈折率は1.421であった。
上記パーフルオロオレフィン共重合体PF−1をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度30%の溶液を得た。
合成例2{オルガノシラン化合物(OS)溶液の調製}
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加えて混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させた。室温まで冷却し、オルガノシラン化合物(OS)の溶液を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは殆ど残存していなかった。
実施例1
[防眩層塗布液Aの調製]
攪拌機を備えた容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレートと、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物「カヤラッドPET−30」{日本化薬(株)製}31.0質量部を充填し、これに重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}1.5質量部、前記表1に示したフッ素系面状改良剤(F−12)0.04質量部、オルガノシラン化合物“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}6.2質量部、メチルイソブチルケトン 31.0質量部を添加して撹拌した。この溶液を塗布したのち、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.52であった。
最後に、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=5/5、屈折率1.540)の30%シクロヘキサノン分散液を21.0g加え、完成液とした。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液Aを調製した。
[低屈折率層用塗布液(L−1)の調製]
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー“JN7228A”{固形分濃度6質量%、JSR(株)製}13.0質量部に、シリカ微粒子のMEK分散液“MEK−ST−L”{平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製}1.3質量部、前記合成例2で製造したオルガノシラン化合物(OS)溶液0.6質量部、メチルエチル
ケトン5.0質量部及びシクロヘキサノン0.6質量部を添加して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層形成用塗布液(L−1)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.42であった。
[低屈折率層用塗布液(L−2)の調製]
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー“JN7228A”{固形分濃度6質量%、JSR(株)製}15.0質量部に、シリカ微粒子のMEK分散液“MEK−ST”{平均粒径15nm、固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製}0.6質量部、シリカ微粒子のMEK分散液“MEK−ST−L”{平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製}0.8質量部、前記合成例2で製造したオルガノシラン化合物(OS)溶液0.4質量部、及びメチルエチルケトン3.0質量部、シクロヘキサノン0.6質量部を添加して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層形成用塗布液(L−2)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.42であった。
[低屈折率層用塗布液(L−3)の調製]
(中空のシリカ微粒子のMEK分散液の調製)
中空シリカ微粒子ゾル{イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作製}500質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート「ケロープEP−12」{ホープ製薬(株)製)1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにメチルエチルケトンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をメチルエチルケトンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5質量%であった。
(低屈折率層用塗布液L−3の調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー“JN7228A”{固形分濃度6質量%、JSR(株)製}13.0質量部に、上記中空のシリカ微粒子のMEK分散液(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20質量%)1.95質量部、前記合成例2で製造したオルガノシラン化合物(OS)溶液0.6質量部、及びメチルエチルケトン4.35質量部、シクロヘキサノン0.6質量部を添加して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層形成用塗布液(L−3)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.40であった。
[低屈折率層用塗布液(L−4)の調製]
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン100g、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン200g、テトラエトキシシラン1700g、イソブタノール200g、アルミニウムアセチルアセトナート6gをフラスコに仕込み、撹拌した。次に0.25Nの酢酸水500gを少量ずつ滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。その後、ジアセトンアルコール600gを添加して、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して低屈折率層用塗布液(L−4)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.44であった。
[低屈折率層用塗布液(L−5)の調製]
前記合成例1で製造したパーフルオロオレフィン共重合体(PF−1)の溶液(固形分
濃度30質量%)10.5質量部に、シリカ微粒子のメチルエチルケトン分散液“MEK−ST−L”{平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製}4.5質量部、アクリロイル基を有するポリシロキサン化合物“X−22−164C”{信越化学工業(株)製}0.15質量部、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}0.23質量部、前記合成例2で製造したオルガノシラン化合物(OS)溶液2.0質量部、メチルエチルケトン81.2質量部及び、シクロヘキサノン2.8質量部を添加して撹拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層形成用塗布液(L−5)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.44であった。
[低屈折率層用塗布液(L−6)の調製]
前記合成例1で製造したパーフルオロオレフィン共重合体(PF−1)の溶液(固形分濃度30質量%)10.5質量部に、前記低屈折率層用塗布液L−3において調製した中空のシリカ微粒子のMEK分散液(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20質量%)6.75質量部、アクリロイル基を有するポリシロキサン化合物“X−22−164C”{信越化学工業(株)製}0.15質量部、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}0.23質量部、前記合成例2で製造したオルガノシラン化合物(OS)溶液2.0質量部、メチルエチルケトン81.2質量部及び、シクロヘキサノン2.8質量部を添加して撹拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層形成用塗布液(L−6)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.41であった。
[防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムの作製]
(1)防眩層の塗設
<塗設条件A>
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}上に、前記防眩層用塗布液Aをスロットダイ塗布方式で、搬送速度50m/分、ウエット塗布量17ml/mの条件で塗布した(塗布条件は下記基本条件)。60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて、防眩層を有するフィルム試料を作製した。
<塗設条件B>
塗設条件Aにおける防眩層用塗布液を塗布する前に、透明支持体を温度70℃の誘電式加熱ロールを通過させフィルム表面温度を45℃に上昇させた後、フィルムの防眩層を塗布する面の表面上に、0.8mol/Kgの水酸化カリウム溶液(溶媒:イソプロピルアルコール/プロピレングリコール/水=75/13/12質量%)からなるアルカリ溶液(25℃における表面張力16mN/m、25℃における粘度4.2mPa)をエクストルージョンコーターを用いて16mL/mで塗布し、45℃で10秒間加熱した後、濡れたままの塗布面にロッドコーターを用いてIPA/アセトン溶液/水(1/1/18質量部)からなるアルカリ希釈液(35℃における表面張力40mN/m)を塗布して掻き取る工程を行った。このときの掻き取り液残存量は1.4mL/mであった。その後すぐにロッドコーターを用いて25℃の洗浄水を塗布し掻き取る処理(洗浄液残存量は1.4mL/m)を三回連続して行い、100℃の温風で5秒間乾燥した。得られたフィルム表面の水との接触角が33度で表面の面状はムラの無い良好なものであった。その後、塗設条件Aと同様に防眩層を塗布した。
<塗設条件C>
塗設条件Bのアルカリ溶液の代わりに純水を用い、条件Bのアルカリ希釈液は用いない
こと以外は、塗設条件Bと同様に防眩層を塗布した。
<塗設条件D>
塗設条件Cの純水の代わりにメチルエチルケトンを用いて行った以外は、塗設条件Cと同様に防眩層を塗布した。
<塗設条件E>
塗設条件Bの透明支持体温度を45℃に上昇させる操作を除いた以外は、塗設条件Bと同様に防眩層を塗布した。
(2)低屈折率層の塗設
次ぎに前記防眩層の上に、低屈折率層用塗布液(L−1)〜(L−6)をスロットダイ塗布方式で、搬送速度25m/分、ウエット塗布量5ml/m2の条件で塗布した(塗布条件は下記基本条件)。それぞれの低屈折率層用塗布液の乾燥、硬化条件は以下のとおりとした。
低屈折率層用塗布液(L−1)〜(L−3):120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから、窒素パージ(酸素濃度0.5体積%以下)しながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm、照射量900mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(最外層)を形成した。
低屈折率層用塗布液(L−4):120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で20分熱処理して塗布層を硬化させ低屈折率層(最外層)を形成した。
低屈折率層用塗布液(L−5)及び(L−6):90℃で30秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ低屈折率層(最外層)を形成した。
塗布基本条件:図6〜図9に示す装置にて、塗布を実施した。スロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで,スロット16の開口部のウェブ走行方向における長さが150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。上流側リップランド18aとウェブWの隙間を、下流側リップランド18bとウェブWの隙間よりも50μm長くし(以下、オーバーバイト長さ50μmと称する)、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間Gを50μmに設定した。また、減圧チャンバー40のサイドプレート40bとウェブWとの隙間G、及びバックプレート40aとウェブWとの隙間Gはともに200μmとした。
本発明に係る防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルム試料の、前記防眩層及び前記低屈折率層の塗設組合せを、表1に記載した。
(3)防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムの鹸化処理
前記低屈折率層の製膜後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済みの防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルムを作製し
た。
得られたサンプルについて、以下に示す面状ムラの評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2007114377
(面状ムラ)
フィルムの裏面(未塗布側)をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面(塗布側)を、塗布面側を上にして、表面側からルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を照射して、反射目視面検にてハジキ、ブツ等の点欠陥、塗布ムラ、乾燥ムラ等の面状ムラの発生頻度について、10m検査し、その値を10で割って1m当たりの面状ムラの数を算出した。
防眩層を塗布する前に溶液で濡らすことにより面状ムラが低減していることが確認できる。
実施例2
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、実施例1で作製した防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルム(鹸化処理済み)を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護して偏光板を作製した。SHARP社製液晶TV『LC-37GD4』とPANASONIC社製液晶TV『TH−32LX500』の視認側の偏光板の一部を剥がして作製した偏光板に貼り換えた。
得られた表示装置について、実施例1と同様に面状ムラの評価を行い、実施例1において塗設条件B〜Dにて防眩層の塗設を行った、本発明のサンプルの面状が良好であることを確認した。
実施例3
実施例1で作製した防眩フィルムおよび防眩性反射防止フィルム(鹸化未処理)をPANASONIC社製プラズマTV『TH−42PX500』の視認側の前面保護ガラス上に貼られているフィルターの一部(反射防止フィルム相当部分)を剥がして貼り換えた。
得られた表示装置について、実施例1と同様に面状ムラの評価を行い、実施例1において塗設条件B〜Eにて防眩層の塗設を行った、本発明のサンプルの面状が良好であることを確認した。
本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明を実施することのできるスロットダイ13を用いたコーター10の断面図の一例である。 (A)は改良されたスロットダイ13の断面形状を示し、(B)は従来のスロットダイ30の断面形状を示す。 本発明を実施することのできる塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図の一例である。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図の一例である。(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体)
符号の説明
(1)透明支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
バックプレート40aとウェブWの間の隙間
サイドプレート40bとウェブWの間の隙間

Claims (8)

  1. 液体で処理した透明支持体の該処理面上に、直接、または他の層を介して少なくとも一種類の透光性粒子を含有する防眩層が少なくとも形成されたことを特徴とする防眩フィルム。
  2. 請求項1に記載の防眩フィルムの防眩層の上に、防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層が設けられていることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
  3. 前記低屈折率層が中空シリカ粒子を含有することを特徴とする請求項2に記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. 前記透明支持体上のいずれかの層が、下記一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及びその誘導体の少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルムまたは請求項2もしくは3記載の防眩性反射防止フィルム。
    一般式(a) (R10s−Si(Z)4-s
    〔一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。sは1〜3の整数を表す。〕
  5. 偏光膜と該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1に記載の防眩フィルムまたは請求項2〜4のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1に記載の防眩フィルムもしくは請求項2〜4のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム、または請求項5に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
  7. 前記画像表示装置がTN,STN、IPS、VA又はOCBモードであり、且つ透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 少なくとも以下の工程、
    走行する透明支持体を液体で濡らす工程、および
    該透明支持体上に、少なくとも一種類の透光性粒子を含有する防眩層を塗布する工程、を設け、順次実施することを特徴とする防眩フィルムまたは防眩性反射防止フィルムの製造方法。
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