JP2007233374A - ハードコートフィルム、これを用いた偏光板および画像表示装置 - Google Patents

ハードコートフィルム、これを用いた偏光板および画像表示装置 Download PDF

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【課題】低屈折率層を設けずに、明室環境下においても、黒の締りが得られる、優れたハードコートフィルムを提供すること。また、上記のハードコートフィルムを具備した高品位な偏光板およびこれを備えた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】透明支持体2上に少なくとも1層のハードコート層3を有し、最外層に、最外層に隣接する層の屈折率よりも0.03以上低い、低屈折率の層を持たないハードコートフィルム1において、該ハードコートフィルム1の表面粗さRaが0.03μm以上であり、かつ、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、下記の式1の関係を満たすハードコートフィルム、これを用いた偏光板および画像表示装置。(式1)B−A<7・Ra
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコートフィルム、これを用いた偏光板および画像表示装置に関する。本発明におけるハードコートフィルムは、一般に、ディスプレイ装置(CRT、PDP、ELD、SED、LCD、等)の表示性能の向上、保護性能の向上のために、ディスプレイ装置の最表面に配置される。
表示性能の向上のために、従来から、フィルム表面での外光の反射光を散乱することで外部環境の映り込みを防ぐ、防眩性ハードコートフィルムがある。例えば、特許文献1では、ハードコート層に微粒子を含有させて、表面に凹凸を付与し、外光を散乱させて画面の眩しさを和らげることがなされている。また、特許文献2や3では、表面に凹凸を有した防眩性ハードコートフィルム上に更に低屈折率層を設け、光干渉によって、外光反射の一層の低減を図っている。
これらの技術により、明室環境下での視認性はある一定のレベルで向上したが、画像表示装置の進歩と共に、黒表示時の黒を、より黒く表示すること(=黒の締り)の要求が特に高まり、この要求を満足する表面フィルムが求められるようになってきた。防眩性ハードコート層上に低屈折率層を新たに設けることで、黒の締りはよくなるものの、生産性への負荷は大きくなるため、この低屈折率層を設けずに、最大限の黒締りを実現するための開発が非常に重要となった。また、画像表示装置の進歩と共に、表面フィルム装着による、画像のボケや正面コントラストの低下の許容度も狭まり、この要求を満足する表面フィルムも求められるようになってきた。
特開2000−338310号公報 特開2002−196117号公報 特開2003−161816号公報
本発明は上記のごとき課題に対してなされたものであって、本発明の第一の目的は、低屈折率層を設けずに、明室環境下においても、良好な黒の締まりが得られる、優れたハードコートフィルムを提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、画像がボケない(正面コントラストが低下しない)、優れたハードコートフィルムを提供することにある。
、本発明の第三の目的は、上記のハードコートフィルムを具備した高品位な偏光板およびこれを備えた画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
(1)透明支持体上に少なくとも1層のハードコート層を有し、最外層に、最外層に隣接する層の屈折率よりも屈折率が0.03以上低い層を持たないハードコートフィルムであって、該ハードコートフィルムの中心線平均粗さRaが0.03μm以上であり、かつ、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、下記の式1の関係を満たすハードコートフィルム。
(式1)B−A<7・Ra
Ra:中心線平均粗さ(μm)
(2)該ハードコートフィルムの内部ヘイズが36%未満であることを特徴とする前記(1)記載のハードコートフィルム。
(3)該ハードコート層の膜厚が5μm以上35μm以下であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のハードコートフィルム。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のハードコートフィルムを偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、少なくとも一方に用いたこと特徴とする偏光板。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のハードコートフィルム、または前記(4)に記載の偏光板をディスプレイの最表面に用いたことを特徴とする、画像表示装置。
(6)該画像表示装置が、32インチ以上のTVであることを特徴とする、前記(5)に記載の画像表示装置。
本発明によれば、低屈折率層を設けずに、明室環境下においても、黒の締りが得られる、優れたハードコートフィルムを提供することができた。
また、本発明によれば、上記のハードコートフィルムを具備した高品位な偏光板およびこれを備えた画像表示装置を提供することができた。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
まず、本発明のハードコートフィルムでは、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、下記の式1の関係を満たす必要がある。
(式1)B−A<7・Ra (Ra:中心線平均粗さ(μm))
好ましくは、B−A<5・Raである。B−Aが7・Ra以上であると黒の締りが落ち、本発明の効果を得ることができないことがわかった。なお本発明において、上記5°正反射率、積分反射率の測定方法については後述する。
上記(式1)の要件を満たすハードコートフィルムを得るには、ハードコートフィルムの表面形状(突起の高さ、頻度、など)が所望の範囲に入るように調整する必要がある。具体的な調整法としては、下記を例示することができる。
1)粒子を含むハードコート層の層厚が粒子径よりも小さい場合(図6に一例を示す)
I)突起高さは粒子径とハードコート層厚との差を制御することによって調整することができる。
II)突起頻度は粒子数を制御することによって調整することができる。
2)粒子を含むハードコート層の層厚が粒子径よりも大きい場合(図7に一例を示す)
I)突起高さはハードコート層マトリクス(バインダー)と粒子表面との表面エネルギー差(親疎水性差)[粒子凝集度調整]、および粒子径を制御することによって調整することができる。
II)突起頻度は粒子数を制御することによって調整することができる。
3)粒子を含むハードコート層に更にハードコート層をオーバーコートして調整する場合は、ハードコート層の層厚で、突起高さを調整することができる(図8に一例を示す)。
また本発明のハードコートフィルムの粗さRa(中心線平均粗さ)は、0.03μm以上であることが必要である。Raが0.03μmを下回ると、像の映り込みが大きくなり、視認性を損なうことの影響が大きくなるため好ましくない。好ましいRaの範囲は、0.03μm以上であれば特に限定されないが、0.03μm以上0.3μm以下の範囲が好ましく、0.05μm以上0.2μm以下の範囲がより好ましく、0.05μm以上0.1μm以下の範囲がより好ましい。表面凹凸の大きさ、黒のしまりの観点から、Raは0.3μmを超えないほうが好ましい。
図1は、本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
図1に示す本発明のハードコートフィルム1は、透明支持体2上に少なくとも1層のハードコート層3を有する。またハードコート層3には、下記で説明する防眩性を付与するための透光性粒子5が導入されている。本発明のフィルムは、最外層に、最外層に隣接する層の屈折率よりも屈折率が0.03以上低い層を持たないものである。なお図1の形態は、最外層がハードコート層3であり、「最外層に隣接する層の屈折率よりも屈折率が0.03以上低い層を持たない」とは、ハードコート層3の表面に、ハードコート層3の屈折率よりも屈折率が0.03以上低い層(例えば、低屈折率層)を持たないことを意味している。屈折率差が0.03を超えると、実質的な屈折率差が生じると言える。なお、本発明において、前記最外層に隣接する層は、透明支持体を含まない。
1.本発明の構成物
まず、本発明のフィルムに使用することのできる各種化合物について記載する。
1−(1)バインダー
本発明のフィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に使用できるモノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
1−(2)ポリマ−バインダー
本発明にはバインダーとして、ポリマーあるいは架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組合せから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に無機粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
1−(3)オルガノシラン化合物
本発明のフィルムを構成する層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。
オルガノシラン化合物は、下記一般式1で表されるものが好ましい。
一般式1:(R−Si(X)4−m
上記一般式1において、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換
のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基か好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1〜2である。
1またはXが複数存在するとき、複数のR1またはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
1に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
1は置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
一般式1で表される化合物は、下記一般式2で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式2
Figure 2007233374
上記一般式2において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**または*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
lはl=100−mの数式を満たす数を表し、mは0〜50の数を表す。mは0〜40の数がより好ましく、0〜30の数が特に好ましい。
〜R5は、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R〜Rは塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基もしくはメトキシ基が特に好ましい。
は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルキル基はメチル基、エチル基など、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。Rは前述の一般式1のRと同義であり、水酸基もしくは無置換のアルキル基がより好ましく、水酸基もしくは炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましく、水酸基もしくはメチル基が特に好ましい。
4、R5およびR7は複数存在するときは、各々同じでも、異なっていてもよい。
一般式1の化合物は2種類以上を併用しても良い。特に一般式2の化合物は一般式1の化合物1種類または2種類を出発原料として合成される。以下に一般式1の化合物および一般式2で表される化合物の出発原料の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007233374
Figure 2007233374
Figure 2007233374
Figure 2007233374
Figure 2007233374
Figure 2007233374
Figure 2007233374
M−48 メチルトリメトキシシラン
これらのうち、重合性基を含有するオルガノシランとしては(M−1)、(M−2)、及び(M−25)が特に好ましい。
本発明の効果を得るためには、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量は、30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜95質量%が更に好ましい。前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量を30質量%以上にすることにより、固形分が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したりすることがない。また、分子量の制御が容易(分子量が増大しない)であり、各種物性、例えば耐擦傷性が向上し、好ましい。
一般式2で表される化合物を合成する場合は、前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランとして(M−1)、(M−2)、ビニル重合性基を有さないオルガノシランとして(M−19)〜(M−21)および(M−48)の中からそれぞれ1種をそれぞれ上記の量を組み合わせて用いると好ましい。
本発明のオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかは塗布品性能の安定化のためには揮発性を抑えることが好ましく、具体的には、105℃における1時間当たりの揮発量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に用いられるゾル成分は上記オルガノシランを加水分解および/または部分縮合することにより調製される。
加水分解縮合反応は加水分解性基(X)1モルに対して0.05〜2.0モル、好ましくは0.1〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる触媒の存在下、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明のオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかにおいて、ビニル重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物いずれかの質量平均分子量は、分子量が300未満の成分を除いた場合に、450〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましく、550〜5000が更に好ましく、600〜3000が更に好ましい。
オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における分子量が300以上の成分のうち、分子量が20000より大きい成分は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。分子量が20000より大きい成分を10質量%以下とすることにより、そのようなオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基板との密着性が良好となる。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
本発明のオルガノシランの加水分解物および部分縮合物の29Si−NMR分析により一般式1のXが−OSiの形で縮合している状態を確認できる。
この時、Siの3つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T3)、Siの2つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T2)、Siの1つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T1)、Siが全く縮合していない場合を(T0)とした場合に縮合率αは
数式(II):α=(T3×3+T2×2+T1×1)/3/(T3+T2+T1+T0)
で表され、縮合率は0.2〜0.95が好ましく、0.3〜0.93がより好ましく、0.4〜0.9がとくに好ましい。
縮合率が0.2以上であることにより、十分な硬化性を示し、0.95以下であることにより、バインダーポリマー、樹脂基板、無機微粒子などとの相互作用を高めることができる。
本発明で用いるオルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物について詳細を説明する。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等;KF、NHFなどの含F化合物が挙げられる。
上記触媒は単独で使用しても良く、或いは複数種を併用しても良い。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜100%の範囲である。
反応は、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明においては、一般式ROH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式RCOCHCOR (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
もしくは触媒に含F化合物を使用する場合、含F化合物が完全に加水分解・縮合を進行させる能力が有るため、添加する水量を選択することにより重合度が決定でき、任意の分子量の設定が可能となるので好ましい。すなわち、平均重合度Mのオルガノシラン加水分解物/部分縮合物を調整するためには、Mモルの加水分解性オルガノシランに対して(M−1)モルの水を使用すれば良い。
金属キレート化合物は、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとRCOCHCOR(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合
物は、一般式Zr(ORp1(RCOCHCORp2、Ti(ORq1(RCOCHCORq2、およびAl(ORr1(RCOCHCORr2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のRおよびRは、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、Rは、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、 金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される0または正の整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。金属キレート化合物が上記範囲で用いられることによりオルガノシラン化合物の縮合反応が早く、塗膜の耐久性が良好であり、オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が良好である。
本発明に用いられる塗布液には、上記ゾル成分および金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかが添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R COCH2CORで表されるβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかであり、本発明に用いられる組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウム化合物の少なくともいずれかの化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル以上とすることで、得られる組成物の保存安定性が良好となる。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の含有量は、効果の発現、屈折率、膜の形状・面状等を考慮すると、含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が最も好ましい。
1−(4)開始剤
各種のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明のフィルムを作成するに当り、光開始剤あるいは熱開始剤を併用することができる。
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号に記載のもの等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林等の“Bull Chem.Soc Japan“42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組合せが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
1−(5)架橋性化合物
本発明を構成するモノマーあるいはポリマーバインダ−が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。
例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
前記架橋性化合物は、モノマー又はポリマーバインダーに対して、2〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。
1−(6)硬化触媒
本発明のフィルムには、硬化を促進する硬化触媒として電離放射線または熱の照射により発生したラジカルや酸を使用することができる。
<熱酸発生剤>
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、アミン塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9{以上日本サイテックインダストリーズ(株)製}、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167(以上キング社製)などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
<感光性酸発生剤、光酸発生剤>
更に光酸発生剤について詳述する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。また、酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物等が挙げられ、これらのうち有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号公報の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号公報記載の内容などを用いることができる。
1−(7)透光性粒子
本発明のフィルム、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることが出来る。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が後述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組み合わせて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030以下であることにより、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じない。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜8.0μmである。平均粒径が0.5μm以上であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がることがないため、ディスプレイの文字ボケを引き起こさないので好ましい。一方、10μm以下であると、塗布液中での粒子の沈降速度が大きくならず、生産安定性上好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは1
00〜700mg/m2である。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
1−(8)無機粒子
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al3、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1-メトキシ2-プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
1−(9)導電性粒子
本発明のフィルムには導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。
導電性粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
後述する帯電防止層に用いる導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電性無機粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の導電性粒子を特定の層内あるいはフィルムとして併用してもよい。
帯電防止層中の導電性無機粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
導電性無機粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することができる。
1−(10)表面処理剤
本発明で使用する無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
表面処理は、無機化合物または有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理剤は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、国際公開2004/017105号パンフレットに記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
1−(11)分散剤
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、−(CH−CR21=CR2223、−(CHO)−CHCR21=CR2223、−(CHCHO)−CHCR21=CR2223、−(CH−NH−CO−O−CHCR21=CR2223、−(CH−O−CO−CR21=CR2223および−(CHCHO)−X(R21〜R23はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R21とR22またはR23は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のRの具体例には、−CHCH=CH(特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHCHOCOCH=CH、−CHCHOCOC(CH)=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCH−NHCOO−CHCH=CHおよび−CHCHO−X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のRの具体例には、−CHCH=CH、−CHCH−Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)および−CHCH−OCO−CH=CH、−CHCH−OCO−C(CH)=CHが含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
分散剤の無機粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
以下に本発明に好ましく用いられる分散剤の具体例を示すが、本発明用の分散剤はこれらに限定されるものではない。なお特に記載の無い場合はランダム共重合体を表す。
Figure 2007233374
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1−(12)防汚剤
本発明のフィルム、特にフィルムの最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例 としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
前記フッ素系化合物は、フッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
1−(13)界面活性剤
本発明のフィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者をハードコート層や光拡散層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする、あるいは下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 2007233374
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 2007233374
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%以上5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)の観点で優れた効果を発揮する。
1−(14)増粘剤
本発明のフィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cP(0.05〜50mPa.s)であり、さらに好ましくは0.10〜20cP(0.10〜20mPa.s)であり、最も好ましくは0.10〜10cP(0.10〜10mPa.s)である。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号公報記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136号公報記載のエチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。
1−(15)塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が120℃未満の溶剤を主成分とすることが、乾燥速度の増加による面状の安定性の上で好ましい。
沸点が120℃未満の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)、トルエン(110.6℃)、ジオキサン(101.3℃)、酢酸イソブチル(118℃)、1−ブタノール(117.7℃)、などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が120℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。
前記塗布溶剤において、沸点が120℃未満の溶剤の全溶剤中に占める割合は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
1−(16)その他
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
1−(17)透明支持体
本発明のフィルムの透明支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。原反ロール長についても任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は300〜10000mのものが用いられ、500〜7000mであることが好ましく、1000〜4000mであることがさらに好ましい。
支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることがさらに好ましい。
<セルロースアシレートフィルム>
上記各種フィルムの中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましい。
セルロースアシレートフィルムについては力学特性、透明性、平面性などを改良する目的のため、種々の改良技術が知られており、公開技報2001−1745に記載された技術は公知のものとして本発明のフィルムに用いることができる。
本発明ではセルロースアシレートフィルムの中でもセルローストリアセテートフィルムが特に好ましく、セルロースアシレートフィルムに酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<セルロースアシレートフィルムの製造>
本発明で用いられるセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法(ソルベントキャスト法)により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その好ましい炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の上記で特定した好ましい炭素原子数の範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
セルロースアシレート溶液(ドープ)の調整は一般的な方法で行える。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。非塩素系溶媒を用いることもでき、それについては発明協会公開技報公技番号2001−1745号に記載されているものが挙げられる。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。
容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して
液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度
以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。
ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許第640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
複数の調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用い、ソルベントキャスト法により2層以上を流延してフィルムを作製することもできる。この場合、ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などの各公報に記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
あるいは、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
さらに本発明では、セルロースアシレート溶液を、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)形成用溶液と同時に
流延し、機能層とフィルム形成を同時形成することも実施しうる。
単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多い。この解決法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延する。これにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、またはフィルム製造の際における流延後の乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェート、およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−197073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤の効果及びフィルム表面へのブリードアウト(滲み出し)を考慮して、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
セルロースアシレートフィルムには、フィルムのレターデーションを調整するため、必要に応じてレターデーション上昇剤を使用することができる。フィルムのレターデーションとしては、膜厚方向には0〜300nm、面内方向には0〜1000nmが好ましい。
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物がレターデーション上昇剤として好ましく、芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
詳しくは、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、同2002−236215号公報、国際公開第00/065384号パンフレット等に記載されている。
<セルロースアシレートフィルムの延伸処理>
作製されたセルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理により乾燥ムラや乾燥収縮で発生する膜厚ムラ、表面凹凸を改善することができる。また、延伸処理はレターデーションを調整することにも用いられる。
巾方向延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。
また、更に好ましくは、ロールの長手方向に縦延伸を行うことであり、ロールフィルムを搬送するパスロール間にて、それぞれのパスロールのドロー比(パスロール同士の回転比)を調節することにより、縦延伸が可能となる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
2.フィルムを構成する層
本発明のフィルムは、上記の各種化合物を混合、塗設することによって得られるものであるが、次に、本発明のフィルムを構成する層について記載する。
2−(1)ハードコート層
本発明のフィルムは、透明支持体上に少なくとも1層のハードコート層が設けられる。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは2μm〜35μm、より好ましくは5μm〜35μm、更に好ましくは8μm〜35μm、最も好ましくは20μm〜35μmである。 また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましく、4H以上であることが更に好ましい。最も好ましいのは5H以上であり、本発明における電離放射線硬化性バインダーを用いたハードコートフィルムでは、4Hは8μm以上の厚さで達成できる。5Hは20μm以上の厚さで達成できる。また、35μm以下とすることで、フィルムの脆性やカール、ハンドリング性や脆性などの観点で良好となる。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは2〜8.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または無機化合物の微粒子の集合体、あるいは、樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層の屈折率は、1.45〜2.00が好ましく、1.48〜1.90がさらに好ましく、1.51〜1.80がとくに好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、黒の締りを最大限に発揮させることが主目的にあり、表面へイズは5%未満が好ましく、更に好ましくは3%未満が好ましい。一方、表面へイズが無い(≒0%)と、それは平滑面であり、像の映り込みが大きくなるため、視認性を悪化させないためには、表面へイズは0.1%以上が好ましい。すなわち、0.1%以上5%未満が好ましい。
一方、内部ヘイズは、36%未満が好ましく、25%未満がより好ましく、更に好ましくは15%未満、より更に好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満である。内部ヘイズがあると、ディスプレイの正面輝度が落ち、表示画像としては暗くボヤけるため、内部ヘイズはない方が好ましい。内部ヘイズ値は、全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値であり、測定方法については後述する。
2−(2)防眩層
表面散乱による防眩性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で防眩層を形成することもできる。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号公報記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。本発明のフィルムは、前記ハードコート層がこの防眩層の役目を兼ねることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
2−(3)帯電防止層、導電性層
本発明においては、帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電
性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、105〜1012Ω/sqであることが好ましく、105〜109Ω/sqであることがさらに好ましく、105〜108Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
2−(4)防汚層
本発明の最表面には、最外層に、最外層に隣接する層の屈折率よりも屈折率が0.03以上低い層を持たないという規定を満たす限り、防汚層を設けることができる。防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
2−(5)干渉ムラ(虹ムラ)防止層
透明支持体とハードコート層、または透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、または透明支持体/防眩層界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(または防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(または防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記式を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、フィルムを画像表示装置等に貼合する場合、透明支持体の一方の側に粘着剤層(または接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(または接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(または接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体のハードコート層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
尚、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
2−(6)易接着層
本発明のフィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、偏光板用保護フィルムとその隣接層、あるいはハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本技術にて好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様はフィルム基材側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい質量平均分子量としては500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号各公報記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独或いは2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μmより薄いと十分な接着性が得られ難く、また、1.0μmより厚いと接着性の効果は飽和する。
2−(7)カール防止層
本技術のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、透明支持体の片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は透明支持体のハードコート層を有する側と反対側に設ける態様或いは、例えば透明支持体の片面に易接着層を塗設する場合もあり、また逆面にカール防止加工を塗設するような態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤塗布による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は従ってケトン系、エステル系の有機溶剤を含有するものが好ましい。好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶剤の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを透明支持体のカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
2−(8)水吸収層
本発明のフィルムには水吸収剤を使用することができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、およびMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
2−(9)プライマー層・無機薄膜層
本発明のフィルムでは、透明支持体とハードコート層との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾル−ゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
3.製造方法
本発明のフィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。3−(1)塗布液の調整
<調製>
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
<濾過>
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルタは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜50μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜40μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルタ部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、無機化合物の湿式分散物の濾過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
3−(2)塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法、特開2001−38306号公報に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
3−(3)塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層あるいは、本発明で有してもよいその他の層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cm3/m以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
<ダイコーターの構成>
本発明のフィルムは、図2に断面図を示すスロットダイを用いたコーターによって作成することが好ましい。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図3は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明に好適なスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図4は、本発明に好適なスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。
ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間G、Gが存在する。
図5は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図5のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間G、Gと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間Gとは、減圧チャンバー40を図8のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間Gをスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間Gよりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間Gが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間Gは100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組合せ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが
望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
<塗布速度>
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、前記塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。低塗布量の塗布液に対して、該塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。前記ダイコート法を用い、50m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
3−(4)乾燥
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
3−(5)硬化
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.7秒以上とすることで、硬化反応が完了し、十分な硬化を行うことができる。また60秒以下とすることで、長時間低酸素条件を維持する必要がないため、設備の大型化を避けることができる、多量の不活性ガスが不要である、などの観点で優れている。
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、かつ照射室のウェッブ入口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また前記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室または前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室または前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室または前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以上とすることで十分な硬化ができ、170℃以下とすることで支持体の変形などを防ぐことができる。更にこの好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。皮膜を形成する硬化性組成物の反応の促進、フィルムの光学性能、また設備の規模などの観点から上記の時間範囲が好ましい。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が好ましい。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
3−(6)ハンドリング
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程を行うこともできる。
ロール状の支持体フィルムから支持体フィルムがクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、支持体フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き支持体フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が支持体フィルム上に塗布され、塗布された支持体フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する支持体フィルムは乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有する支持体フィルムは硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する支持体フィルムは巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、
各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
3−(7)鹸化処理
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。偏光膜との接着性、フィルムが受けるダメージ、物理強度などの観点から上記範囲が好ましい。
b.アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を塗布層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(a)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能であ
る。
前記(a)、(b)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(b)と同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、塗布層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(b)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層のアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
3−(8)偏光板の作製
本発明のフィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用し、偏光板として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明のフィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
ハードコートフィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾
燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明のフィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
4.本発明の使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明のフィルムまたは偏光板は、LCD、PDP、ELD、またはCRTなど公知のディスプレイの最表面に用いることが出来る。
4−(1)液晶表示装置
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セル
は、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
4―(2)液晶表示装置以外のディスプレイ
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルタをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルタを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
5.各種特性値
以下に本発明に関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
5−(1)反射率
本発明でいう5°正反射率とは、分光光度計"V−550"[日本分光(株)製]にアダプター"ARV−474"を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、その中での450〜650nmの平均の鏡面反射率である。また積分反射率は、分光光度計"V−550"[日本分光(株)製]にアダプター"ILV−471"を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、その中での450〜650nmの平均の積分反射率である。
5−(2)表面粗さ
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS−B0601に準じて行った。
5−(3)ヘイズ
本発明のフィルムの全ヘイズはJIS−K7105に規定されたヘイズ値のことであり、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。尚、全ヘイズ=表面へイズ+内部ヘイズであり、内部ヘイズについては、最外層と同じ材料を、ハードコートフィルムの表面凹凸(表面へイズ)がなくなるようにオーバーコートした後、ヘイズを測定することで求められる。表面へイズは、全ヘイズからこの内部ヘイズを差し引いた値となる。
5−(4)硬度
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価することが出来る。
5−(5)脆性試験(耐ひび割れ性)
耐ひび割れ性は、フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
5−(6)液晶表示装置の性能
以下に、本発明のフィルムを表示装置上に用いたときの特性の評価方法と好ましい状況について記載する。
IPS方式液晶セルを使用した液晶表示装置(32”TV:W32-L7000、日立
(株)製)に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに本発明のフィルムあるいは偏光板を、塗布面が視認側に粘着剤を介して貼り付ける。500luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、目視により評価し、下記判定を行った。
《黒の締り》
◎:外光による白ちゃけ感が全くなく、非常に黒が締まった表示(合格)
○:外光による白ちゃけ感がなく、黒が締まった表示(合格)
△:外光による白ちゃけ感があり、黒の締まりが低下した表示(不合格)
×:外光による白ちゃけ感が強く、黒の締まりがない表示(不合格)
《蛍光灯の映り込み》
○:蛍光灯の映り込みが気にならない(合格)
×:蛍光灯の映り込みが大きく問題(不合格)
《表示画像のボケ》〜内部ヘイズの影響による
5:表示画像が極めて鮮明(合格)
4.5:4と5との中間。表示画像が鮮明(合格)
4:表示画像が非常に鮮明(合格)
3.5:3と4との中間。表示画像が鮮明(合格)
3:表示画像が鮮明(合格)
2:表示画像がややボケている(不合格)
1:表示画像がボケており、問題(不合格)
本発明を以下の実施例にて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(防眩性ハードコートフィルムの作製)
(実施例試料1)
市販の紫外線硬化型樹脂(PETA、日本化薬製、屈折率:1.51)50質量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、商品名:イルガキュア184)2質量部、平均粒子径が3.5μmのアクリル−スチレンビーズ(綜研化学製、屈折率:1.55)を1質量部、平均粒子径が3.5μmのスチレンビーズ(綜研化学製、屈折率:1.60)を6質量部、これらを溶媒として、トルエン/メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン=25/25/25質量部と混合して防眩性ハードコート層塗布液を調製した。この塗布液をトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、商品名:TD−80U、屈折率:1.47、厚み:80μm)上に塗布し、70℃にて1分間乾燥させた後、紫外線照射(100mJ/cm2)により硬化処理して、厚さ約5μmの防眩性ハードコートフィルム(乾燥後の防眩性ハードコート層の屈折率は1.53であった)を作製した。これを実施例試料1とする。
実施例試料1に対し、表1に示すように配合処方を変更する以外は、全く同様に作製した試料を、実施例試料2〜21、比較例試料1〜4とする。尚、実施例試料19〜21は、実施例試料1で使用した、スチレン−アクリル粒子を抜き、スチレン粒子を不定形のシリカ粒子(数十ナノオーダーのシリカ微粒子凝集体で、2次平均粒子径は3μm)に変更した。
得られたハードコートフィルムの5°正反射率の平均値A(%)、積分反射率の平均値B(%)、表面粗さRa、本発明の(式1)の要件を満たすか否か((B−A)/Raが7未満か否か)、内部ヘイズ、鉛筆硬度、上記5−(6)液晶表示装置の性能について調べた。結果を表1に併せて示す。なお、比較例3および4の黒締りの評価「−」は、黒締り未評価を意味する。
Figure 2007233374
表1より下記のことがわかる。
(1)Raが0.03μm以上であり、かつ、5°正反射率の平均値A、積分反射率の平均値Bとの差(B−A)が、Raの7倍より低いハードコートフィルムが優れた表示性能を発揮できる。Raの5倍よりも低いことが更に好ましい。
(2)また、内部ヘイズは、36%未満が好ましく、25%未満がより好ましく、更に好ましくは15%未満、より更に好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満にすることにより、画像のボケも低減され、非常に好適なハードコートフィルムが提供できる。
(3)ハードコートフィルムのタフネス(鉛筆硬度)の点より、ハードコート層の膜厚
は、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく(4H以上)、更に20μm以上が好ましい(5H以上)。但し、40μmまで厚くすると、脆性やハンドリング性の点で好ましくなく、上限としては35μm程度に設定することが好ましい。
全ての実施例試料に対し、32インチ以外に各々、23インチ、26インチ、42インチのTVに対しても貼り付け、前記評価条件(1000luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして目視により評価、判定)にて評価したところ、どのサイズにおいても本発明の効果を確認したが、特に32インチ以上のTVで、本発明の効果が際立って視認された。これは、画面サイズが大きくなることで、周囲の外光の影響をより受けやすくなるため、本発明の黒締まり改良がより効果的になったためと言える。
このTVサイズの結果は、他の液晶モード(TN、VA、OCB、ECB)でも同様に確認できた。
本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明を実施したスロットダイ13を用いたコーター10の断面図である。 (A)は本発明のスロットダイ13の断面形状を示し、(B)は従来のスロットダイ30の断面形状を示す。 本発明を実施した塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体) 本発明のハードコートフィルムのハードコート層と粒子の関係を示す模式図である。(粒子を含むハードコート層の層厚が粒子径よりも小さい場合) 本発明のハードコートフィルムのハードコート層と粒子の関係を示す模式図である。(粒子を含むハードコート層の層厚が粒子径よりも大きい場合) 本発明のハードコートフィルムのハードコート層と粒子の関係を示す模式図である。(粒子を含むハードコート層に更にハードコート層をオーバーコートして調整する場合)
符号の説明
1 ハードコートフィルム
2 透明支持体
3 ハードコート層
5 透光性粒子
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
バックプレート40aとウェブWの間の隙間
サイドプレート40bとウェブWの間の隙間

Claims (6)

  1. 透明支持体上に少なくとも1層のハードコート層を有し、最外層に、最外層に隣接する層の屈折率よりも屈折率が0.03以上低い層を持たないハードコートフィルムであって、該ハードコートフィルムの中心線平均粗さRaが0.03μm以上であり、かつ、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、下記の式1の関係を満たすハードコートフィルム。
    (式1)B−A<7・Ra
    Ra:中心線平均粗さ(μm)
  2. 該ハードコートフィルムの内部ヘイズが36%未満である請求項1記載のハードコートフィルム。
  3. 該ハードコート層の膜厚が5μm以上35μm以下である請求項1または2記載のハードコートフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルムを偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、少なくとも一方に用いた偏光板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルム、または請求項4に記載の偏光板をディスプレイの最表面に用いた、画像表示装置。
  6. 該画像表示装置が、32インチ以上のTVである請求項5に記載の画像表示装置。
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