JP2007114019A - 磁気センサの磁性体配置構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気検出素子を用いた磁気センサの集積化を満たしつつ、飽和磁束密度も低減することができる磁気センサの磁性体配置構造を提供する。
【解決手段】磁気センサ7は、多層構造を成しすとともに、最下層にセンサ基板としてSi(シリコン)を材質とする基板8が配設されている。基板8の上面には、基板8のほぼ全域に第1絶縁膜9が形成されている。第1絶縁膜9の上面には、第1絶縁膜9のほぼ全域に亘って磁性体層10が形成されている。この磁性体層10は、例えばNiFe(ニッケル鉄)の強磁性体を材質とするとともに、磁性体層10の上部にある磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低減させる役目を果たしている。
【選択図】図1
【解決手段】磁気センサ7は、多層構造を成しすとともに、最下層にセンサ基板としてSi(シリコン)を材質とする基板8が配設されている。基板8の上面には、基板8のほぼ全域に第1絶縁膜9が形成されている。第1絶縁膜9の上面には、第1絶縁膜9のほぼ全域に亘って磁性体層10が形成されている。この磁性体層10は、例えばNiFe(ニッケル鉄)の強磁性体を材質とするとともに、磁性体層10の上部にある磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低減させる役目を果たしている。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気抵抗素子で磁界を検出し、その磁界に応じた検出値を出力する磁気センサの磁性体配置構造に関する。
従来、例えばシフトレバーの操作位置やステアリングホイールの回転角度等を検出するセンサとして、磁気抵抗素子(Magneto Resistive Effect素子:MRE素子)を用いた磁気センサが使用されている。この種の磁気センサが例えば特許文献1に開示されている。この磁気センサの一例を図7(a),(b)に示すと、磁気センサ51のベースとなるシリコン基板52の上面には、例えばSiO2を材質とする絶縁膜53が形成されている。
絶縁膜53の上面には、例えばNiCoを材質とする磁気抵抗素子54が形成されている。磁気抵抗素子54は、シフトレバー等の操作部材に取着された磁石が出す磁界(外磁場)Hの向きを検知し、その磁界Hの向きに応じた抵抗値をとる。よって、磁気センサ51の出力が磁界Hの向きに応じた値をとることになり、このセンサ出力の変化を見ることで、シフトレバーの操作位置やステアリングホイールの回転角度が検出可能である。
また、磁気抵抗素子54には、パターン長Lが長くなれば自身のとり得る最大抵抗値が高くなる特性がある。よって、磁気センサ51(磁気抵抗素子54)を集積化するために、磁気抵抗素子54を複数箇所で折り返す形状(図7では略S字形状)とすることによって、磁気抵抗素子54のパターン長Lを長くとり、磁気抵抗素子54の抵抗値を確保している。このように、磁気抵抗素子54を折り返し形状とすれば、磁気抵抗素子54の集積化と、磁気抵抗素子54の抵抗値確保の両方を満たすことが可能となる。
特開2002−357454号公報
図8(a),(b)に示すように、磁気抵抗素子54に磁界Hがかかると、磁気抵抗素子54には磁界Hと同じ方向(図8の紙面左から右へ向かう方向)に磁化Mが生じるが、この際の磁気抵抗素子54には、磁界Hに対して反対向きの磁界HX(以下、反磁場と言う)が生じる。磁気抵抗素子54に大きな反磁場HXが生じると、磁気抵抗素子54の飽和磁束密度が高くなることから、磁力の強い磁石を用いて強い磁界を磁気抵抗素子54にかけてないと、磁気抵抗素子54から出力が得られなくなるため、反磁場HXはなるべく小さい方が好ましい。
ここで、磁気抵抗素子54には幅Wが細くなれば抵抗値が高くなる特性があるので、磁気センサ51の集積化の観点から、磁気抵抗素子54の幅Wを小さくして磁気抵抗素子54の抵抗値を稼ぎ、磁気抵抗素子の感度を高くすることも考えられる。しかし、磁界Hの向きに対して磁気抵抗素子54の幅が小さい程、反磁場HXは大きくなる特性があることから、磁気抵抗素子54の幅Wを細くすると反磁場HXが大きくなり、飽和磁束密度が高くなってしまう。よって、磁気センサ51の集積化を満たすために磁気抵抗素子54の幅Wを細くするにしても、それには限度がある。
逆に、磁気抵抗素子54の反磁場HXを低減するには磁気抵抗素子54の幅Wを大きいままとすればよいが、この場合にはセンサ集積化が満たせない。また、磁気抵抗素子54の幅Wが大きい場合、磁気抵抗素子54の抵抗値は小さいことから、磁気センサ51に要する消費電流が大きいという問題も生じる。更に、磁気抵抗素子54の抵抗値を上げるために、磁気抵抗素子54のパターン長Lを長くすることも考えられるが、これは磁気センサ51の集積化に不利である。
本発明の目的は、磁気検出素子を用いた磁気センサの集積化を満たしつつ、飽和磁束密度も低減することができる磁気センサの磁性体配置構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明によれば、延出方向を1以上の箇所で折り返した形状の磁気抵抗素子を、基板の表面に第1絶縁膜を介して設け、磁界発生部材から前記磁気抵抗素子にかけられた磁界を前記磁気抵抗素子によって検出する磁気センサの磁性体配置構造において、前記基板と前記磁気抵抗素子との間に、前記磁気抵抗素子側に第2絶縁膜を形成した磁性体を設けたことを要旨とする。
この構成によれば、磁気センサ(磁気抵抗素子)の集積化を満たすために、磁気抵抗素子を折り返した形状とすることによって磁気抵抗素子の抵抗値を確保していることから、磁気抵抗素子は例えば1本の幅が細いセンサエレメントを複数箇所で折り返した形状を成すことになる。ところで、磁気抵抗素子には幅が細い部分において反磁場が大きくなる特性があるため、反磁場が大きくなると磁気抵抗素子の飽和磁束密度が高くなるため、大きな磁界を発生し得る磁界発生部材を用意する必要が生じ、これは好ましくない。
しかし、本発明においては、磁気抵抗素子の下部に磁性体が設けられているため、折り返し形状とすることで磁気抵抗素子に生じるギャップの部分で、磁性体が磁気通路として機能(チャネル効果)する。よって、磁気抵抗素子の磁気特性が見かけ上1枚のベタ膜(1枚の平板膜)の特性として得られるため、磁気抵抗素子の幅が見かけ上広くとれた状態となり、磁気抵抗素子に生じる反磁場が低く抑えられる。よって、磁気抵抗素子の飽和磁束密度も低く抑えることが可能となり、磁界の大きな磁界発生部材を用意する必要もなくなる。
本発明によれば、前記磁性体は、前記磁気抵抗素子の下面に層形状に形成された磁性体層であることを要旨とする。
この構成によれば、磁性体を層形状とすれば、例えばスパッタ等の簡単な製造方法で磁性体を形成することができ、簡単に磁性体を基板上に設けることが可能となる。
この構成によれば、磁性体を層形状とすれば、例えばスパッタ等の簡単な製造方法で磁性体を形成することができ、簡単に磁性体を基板上に設けることが可能となる。
本発明によれば、前記磁性体は、前記折り返し形状を成した前記磁気抵抗素子に生じるギャップの下方位置に、当該ギャップを埋めるように間欠的に設けられていることを要旨とする。
この構成によれば、基板上に設ける磁性体を、磁気抵抗素子に生じるギャップを埋めるように間欠的に形成するため、磁性体を部分的に設けるだけで済むことになり、基板上に磁性体を設けるにしても、磁性体ができる限り少ない量で済む。
本発明によれば、前記磁性体は、前記磁気抵抗素子よりも磁気感度が悪いものの、磁気飽和し易い材質が使用されていることを要旨とする。
この構成によれば、磁気抵抗素子には磁気感度が高い材質ものを使用したいが、例えば磁気感度が高い上に磁気飽和し難い材質となると、その種の磁気抵抗素子は高価であるため、磁気抵抗素子に要するコストが高くなり、この種の材質のものを用いることは実装に向かない。よって、磁気抵抗素子としては、結局のところ例えばNiCo等のような磁気感度が高いものの、磁気飽和し難い(即ち、飽和磁束密度が高い)材質のものを用いることになる。
この構成によれば、磁気抵抗素子には磁気感度が高い材質ものを使用したいが、例えば磁気感度が高い上に磁気飽和し難い材質となると、その種の磁気抵抗素子は高価であるため、磁気抵抗素子に要するコストが高くなり、この種の材質のものを用いることは実装に向かない。よって、磁気抵抗素子としては、結局のところ例えばNiCo等のような磁気感度が高いものの、磁気飽和し難い(即ち、飽和磁束密度が高い)材質のものを用いることになる。
そして、本発明においては、磁気抵抗素子の飽和磁束密度を下げるために磁気抵抗素子の下部に磁性体を設けるが、磁気抵抗素子にNiCoを用いる理由と同様に、コスト面から鑑みて、磁気抵抗素子よりも磁気感度が悪いものの磁気飽和し易い材質のものを磁性体として用いている。よって、磁気抵抗素子と磁束密度との間でお互い不足する特性を補う状態となり、より低いコストで磁気抵抗素子の磁気感度の確保と、飽和磁束密度の低減とを満たすことが可能となる。
本発明によれば、延出方向を1以上の箇所で折り返した形状の磁気抵抗素子を、基板の表面に絶縁膜を介して設け、磁界発生部材から前記磁気抵抗素子にかけられた磁界を前記磁気抵抗素子によって検出する磁気センサの磁性体配置構造において、前記折り返し形状を成した前記磁気抵抗素子に生じるギャップの間に、磁性体を設けたことを要旨とする。
この構成によれば、磁気センサ(磁気抵抗素子)の集積化を満たすために、磁気抵抗素子を折り返した形状とすることによって磁気抵抗素子の抵抗値を確保していることから、磁気抵抗素子は例えば1本の幅が細いセンサエレメントを複数箇所で折り返した形状を成すことになる。ところで、磁気抵抗素子には幅が細い部分において反磁場が大きくなる特性があるため、反磁場が大きくなると磁気抵抗素子の飽和磁束密度が高くなるため、大きな磁界を発生し得る磁界発生部材を用意する必要が生じ、これは好ましくない。
しかし、本発明においては、磁気抵抗素子を折り返し形状とすることによって磁気抵抗素子に生じるギャップに磁性体を設けるため、磁性体がそのギャップの部分で磁気通路として機能(チャネル効果)する。よって、磁気抵抗素子の磁気特性が1枚のベタ膜(1枚の平板膜)の特性として得られるため、磁気抵抗素子の幅が見かけ上広くとれた状態となり、磁気抵抗素子に生じる反磁場が低く抑えられる。よって、磁気抵抗素子の飽和磁束密度も低く抑えることが可能となり、磁界の大きな磁界発生部材を用意する必要もなくなる。
本発明によれば、磁気検出素子を用いた磁気センサの集積化を満たしつつ、飽和磁束密度も低減することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した磁気センサの磁性体配置構造の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
以下、本発明を具体化した磁気センサの磁性体配置構造の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図3に示すように、自動変速機で走行ギヤの切り換えが行われる車両(オートマチック車)1には、自動変速機のギヤ切り換え時に操作するシフトレバー2が搭載されている。シフトレバー2は、基端を支点に回動可能な状態で車体3に支持されている。シフトレバー2と車体3との間には、シフトレバー2の操作位置(操作角度)を磁気的に検出する磁気検出装置4が配設されている。
図1(a)に示すように、シフトレバー2には、周囲に磁界を発生する磁石5が取り付けられている。また、図1(a),(b)に示すように、車体3において磁石5と対向する位置には、磁気抵抗素子6から成る磁気センサ7が取り付けられている。磁石5から出力される磁界Hが磁気センサ7にかかった際には、磁気抵抗素子6がその磁界Hの向きに応じた抵抗値をとる。よって、磁気センサ7は、自身にかかる磁界Hの向きに応じた検出値を例えば電圧信号等で出力する。なお、磁石5が磁界発生部材に相当する。
磁気センサ7は、多層構造を成すとともに、最下層にセンサ基板としてSi(シリコン)を材質とする基板8が配設されている。基板8の上面には、基板8のほぼ全域に第1絶縁膜9が形成されている。第1絶縁膜9は、基板8上に酸化膜として形成されるものであり、例えばSiO2を材質としている。第1絶縁膜9は、例えば通常真空装置でPVD(Physical Vapor Deposition)又はCVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜されている。
第1絶縁膜9の上面には、第1絶縁膜9のほぼ全域に亘って磁性体層10が形成されている。この磁性体層10は、例えばNiFe(ニッケル鉄)の強磁性体を材質とするとともに、磁性体層10の上部にある磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低減させる役目を果たしている。磁性体層10は、例えばスパッタ等の製法を用いて製造され、本例においてはベタ層形状(平板形状)に形成されている。なお、磁性体層10が磁性体を構成する。
磁性体層10の上面には、磁性体層10のほぼ全域に亘って第2絶縁膜11が形成されている。第2絶縁膜11は、第1絶縁膜9と同様に酸化膜として形成されるものであり、磁気抵抗素子6と磁性体層10とを電気的に絶縁状態にする。また、第2絶縁膜11は、第1絶縁膜9と同様に例えばSiO2を材質とするとともに、例えば通常真空装置でPVDやCVD等によって成膜されている。
第2絶縁膜11の上面には、磁気センサ7の周囲に存在する磁界Hを検知する磁気抵抗素子6が形成されている。磁気抵抗素子6は、複数箇所で折り返す形状を成し、本例においては2箇所で折り返されることによって略S字形状に形成されている。磁気抵抗素子6にはパターン長Lが長いと抵抗値が高くなる特性があるため、磁気抵抗素子6を折り返し形状とすれば、小さなスペースで磁気抵抗素子6のパターン長Lを長くとることが可能となるため、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化を満たしつつ、磁気抵抗素子6の抵抗値も確保することが可能である。
ところで、磁気抵抗素子6を折り返し形状とした場合、磁気抵抗素子6には、その折り返し部分においてギャップ12が生じた状態となる。本例のように磁気抵抗素子6を2箇所で折り返した場合には、中央部を挟んだ左右両側の2箇所にギャップ12a,12bが生じる。磁気抵抗素子6は、磁性体層10と同様に、例えばスパッタ等の製法を用いて、第2絶縁膜11の上面に形成される。
シフトレバー2がシフト操作されると、磁石5と磁気センサ7との間の相対位置関係が変わるため、磁気センサ7に付与される磁界Hの向きが、シフト操作位置に応じた磁界方向をとることになる。よって、磁気センサ7がこの磁界向きの変化を検出して、その磁界向きに応じた検出値を出力することから、この検出値を見ることによってシフトレバー2の操作位置を検出する。
さて、図2(a),(b)に示すように、磁石5の磁界Hが磁気抵抗素子6にかかると、磁気抵抗素子6はその磁界Hと同じ方向に磁化される。本例のように、磁石5からの磁界Hが2つのギャップ12を直交して跨ぐ方向(図2の紙面左から右に向かう方向)に沿って磁気抵抗素子6に付与された場合、磁気抵抗素子6は磁界Hと同じ方向に磁化される。よって、この磁界Hが付与された磁気抵抗素子6には、図2の紙面左から右に向かう方向に磁化MAが生じた状態となる。
ところで、磁気抵抗素子6に磁界Hがかかると、磁気抵抗素子6には磁界Hの反対向きに反磁場HAが生じるが、磁気抵抗素子6の幅W1(図2(a)参照)が細いとこの反磁場HAが大きくなり、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度が高くなる。このように飽和磁束密度が高くなると、強い磁界Hを発生する磁石5を用意する必要が生じ、これはあまり好ましくない。よって、磁気抵抗素子6には幅W1が小さくなると抵抗値が高くなる特性があるからといって、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化を目的に磁気抵抗素子6の幅W1を小さくし過ぎると、それに応じて反磁場HAの影響が大きくなってしまう。
ここで、磁気抵抗素子6に磁界Hが付与された際、磁性体層10にも磁界Hがかかるため、磁性体層10も磁界Hと同一方向に磁化されることから、磁性体層10にも磁界Hと同一方向に磁化MBが生じた状態となる。このとき、磁気抵抗素子6と磁性体層10との間でチャネル効果が生じ、これによって磁気抵抗素子6と磁性体層10との間に磁気経路が生じ、ギャップ12を挟んだ隣同士の磁気抵抗素子6の間には、そのギャップ12を埋めるように磁化MCが発生した状態となる。
よって、抵抗値を稼ぐために磁気抵抗素子6を折り返し形状として磁気抵抗素子6にギャップ12が生じていても、磁気抵抗素子6の下部にある磁性体層10によって、磁気抵抗素子6の磁気特性が1枚のベタ膜に近い特性をとることになる。ここで、磁気抵抗素子6には幅W1が広くなれば飽和磁束密度(反磁場HA)が低減する特性があるため、磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を形成すれば、磁気抵抗素子6の幅W1が見かけ上、大きい状態となり、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度(反磁場HA)が低下する。このため、折り返し形状の磁気抵抗素子6の幅W1を小さくして磁気センサ7の集積化を図ったとしても、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を極力小さく抑えることが可能となる。
従って、本例においては、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化を目的として、磁気抵抗素子6の幅W1を小さくしたとしても、磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を形成することによって、磁気抵抗素子6に発生する反磁場HAを低減させることが可能である。このため、磁気センサ7を集積化する目的から、折り返し形状の磁気抵抗素子6の幅W1を小さくしても、磁気抵抗素子6のパターン形状を変えることなく、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低減させることが可能となる。
また、NiCo及びNiFeにおいて磁界Hと抵抗変化率との関係の波形図を図4に示すと、抵抗変化率が高ければ磁気感度がいいと言えることから、同図からも分かるように、NiCoには、磁気飽和し難いが磁気感度がいいという特性がある。一方で、NiFeには、磁気飽和し易いが、磁気感度が悪いという特性がある。
本例においては、磁気抵抗素子6の材質としてNiCoを使用しているため、この磁気抵抗素子6は、磁気感度は高いものの磁気飽和し難い(即ち、飽和磁束密度が高い)特性を有することになる。ここで、例えば磁気抵抗素子6の材質に、磁気感度が高い上に磁気飽和し易い材質を用いればよいが、この種の素材は高価であるため、磁気抵抗素子6に要するコストが高くなり、この材質を用いることは実装に向かない。よって、結局のところ磁気抵抗素子6としてはNiCoを採用するのが現実的である。
一方、本例においては、磁性体層10の材質としてNiFeを使用しているため、この磁性体層10は、磁気感度が低いものの磁気飽和し易い(即ち、飽和磁束密度が低い)特性を有することになる。よって、磁気抵抗素子6と磁性体層10との間でお互い不足する特性を補い合う状態となり、より低いコストで磁気抵抗素子6の磁気感度確保と、磁気抵抗素子6の飽和磁束低減とを満たすことが可能となる。
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を形成したので、磁気抵抗素子6に磁界Hが付与された際には、磁性体層10がチャネル効果によって磁気経路として作用するため、磁気特性としてベタ膜に近い特性が得られる。よって、折り返し形状の磁気センサ7を集積化するために磁気抵抗素子6の幅W1を小さくしたとしても、磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を形成すれば、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低下させることができる。従って、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化と磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減とを両立を図ることができる。
(1)磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を形成したので、磁気抵抗素子6に磁界Hが付与された際には、磁性体層10がチャネル効果によって磁気経路として作用するため、磁気特性としてベタ膜に近い特性が得られる。よって、折り返し形状の磁気センサ7を集積化するために磁気抵抗素子6の幅W1を小さくしたとしても、磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を形成すれば、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低下させることができる。従って、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化と磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減とを両立を図ることができる。
(2)磁気抵抗素子6の下部に形成する磁性体を層状の磁性体層10としたので、例えばスパッタ等の簡単な製造方法で磁性体を一度に形成することができ、磁気抵抗素子6の下部に磁性体を形成するにしても、複雑な製造工程を必要としない。
(3)磁気抵抗素子6の材質をNiCoとし、磁性体層10の材質をNiFeとしたので、磁気抵抗素子6と磁性体層10との間でお互いに不足する特性を補い合うことになり、より低いコストで磁気抵抗素子6の磁気感度を確保と、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度の低減とを両立することができる。
(4)磁気抵抗素子6を折り返し形状としたので、小さいスペースにおいて磁気抵抗素子6のパターン長Lが確保されるため、磁気抵抗素子6の抵抗値を確保した状態で、磁気抵抗素子6を小型にすることができる。
(5)磁性体には、層厚が薄いと磁気飽和し易くなる特性(但し、磁気感度は悪化する)がある。従って、この種の磁性体から成る磁気抵抗素子6や磁性体層10を、できるだけ薄く形成すれば、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減に効果がある。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図5に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に設けた磁性体の位置を変更したのみの構成であるため、同様の部分については詳細な説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
次に、第2実施形態を図5に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に設けた磁性体の位置を変更したのみの構成であるため、同様の部分については詳細な説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
図5に示すように、第1絶縁膜9の上面には、第1実施形態と同様の折り返し形状で磁気抵抗素子6が形成されている。磁気抵抗素子6のギャップ12には、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低減させる補助磁性体21が形成されている。補助磁性体21は、長細い平板形状に形成されるとともに、本例においては磁気抵抗素子6にギャップ12が2つあるため、その個数に合わせて2つ形成されている。また、補助磁性体21は、例えばスパッタ等の製法によって第1絶縁膜9上に形成され、磁気抵抗素子6とほぼ同じ層厚となっている。
本例の磁気抵抗素子6の幅W2は、第1実施形態の時の幅W1と比べて値が小さく設定されている。これは、ギャップ12に補助磁性体21を配置する方法は、磁気抵抗素子6の下部に磁性体層10を配置する方法に比べて、磁気抵抗素子6の磁気特性上昇の度合いが高いからである。従って、ギャップ12に補助磁性体21を配置すれば、磁気抵抗素子6の幅W2を第1実施形態の時の値よりも小さくしても、充分に低い飽和磁束密度に設定可能となるため、補助磁性体21を磁気抵抗素子6のギャップ12に配置する構造を用いても、磁気抵抗素子6の全体サイズは変わらない。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の(3)〜(5)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)磁気抵抗素子6に磁界Hが付与された際には、磁気抵抗素子6と補助磁性体21との間にチャネル効果が生じて、磁気抵抗素子6の磁気特性が1枚のベタ膜に近い特性をとることになる。よって、折り返し形状の磁気センサ7を集積化するために磁気抵抗素子6の幅W2を小さくしたとしても、磁気抵抗素子6のギャップ12に補助磁性体21を形成すれば、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低下させることができる。従って、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化と磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減とを両立を図ることができる。
(6)磁気抵抗素子6に磁界Hが付与された際には、磁気抵抗素子6と補助磁性体21との間にチャネル効果が生じて、磁気抵抗素子6の磁気特性が1枚のベタ膜に近い特性をとることになる。よって、折り返し形状の磁気センサ7を集積化するために磁気抵抗素子6の幅W2を小さくしたとしても、磁気抵抗素子6のギャップ12に補助磁性体21を形成すれば、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度を低下させることができる。従って、磁気センサ7(磁気抵抗素子6)の集積化と磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減とを両立を図ることができる。
なお、本実施形態は上記構成に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ 第1実施形態において、磁性体は層形状の磁性体層10であることに限定されない。例えば、図6に示すように、磁気抵抗素子6のギャップ12の下方位置において、このギャップ12を埋めるように間欠的に形成された補助磁性体31でもよい。この場合、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減のために増設する磁性体を部分的に設けるだけで済み、増設磁性体の量ができる限り少ない量で済む。
・ 第1実施形態において、磁性体は層形状の磁性体層10であることに限定されない。例えば、図6に示すように、磁気抵抗素子6のギャップ12の下方位置において、このギャップ12を埋めるように間欠的に形成された補助磁性体31でもよい。この場合、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減のために増設する磁性体を部分的に設けるだけで済み、増設磁性体の量ができる限り少ない量で済む。
・ 第1、第2実施形態及び上記別例において、磁気抵抗素子6及び磁性体層10(補助磁性体21,31)の材質は、強磁性体であってもNiCoやNiFeに限らず、これ以外の強磁性体を用いてもよい。また、磁気抵抗素子6及び磁性体層10(補助磁性体21,31)の材質は、強磁性体に限らず、例えばInSb(インジウム・アンチモン)、InAs(インジウム・ヒ素)、GaAs(ガリウム・ヒ素)等の化合物半導体を用いてもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、磁界発生部材は磁石5に限らず、磁界Hを発生するものであれば、磁界発生源は特に限定されない。
・ 第1及び第2実施形態において、第1絶縁膜9及び第2絶縁膜11の材質はSiO2に限定されない。例えば、TiO2(二酸化チタン)、Al2O3(三酸化二アルミニウム)、Si3N4(四窒化三シリコン)、Ta2O3(五酸化二タンタル)、HfO2(二酸化ハフニウム)、ZrO2(二酸化ジルコニウム)、シリコンオキシナイトライド等を採用してもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、第1絶縁膜9及び第2絶縁膜11の材質はSiO2に限定されない。例えば、TiO2(二酸化チタン)、Al2O3(三酸化二アルミニウム)、Si3N4(四窒化三シリコン)、Ta2O3(五酸化二タンタル)、HfO2(二酸化ハフニウム)、ZrO2(二酸化ジルコニウム)、シリコンオキシナイトライド等を採用してもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、磁気抵抗素子6の形状は、2箇所で折り返した略S字形状であることに限らず、例えば1箇所のみで折り返したU字形状や、3箇所以上で折り返したギザ形状でもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、基板8上に、第1実施形態で述べた磁性体層10と、第2実施形態で述べた補助磁性体21の両方を形成してもよい。この場合、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度低減効果が高まり、磁気抵抗素子6の飽和磁束密度をより一層低い値に抑制することができる。
・ 第1及び第2実施形態において、本例の磁気検出装置4は、シフトレバー2の操作位置検出に用いられることに限定されず、操作位置や操作角度の検出が必要な操作装置であれば、採用対象は特に限定されない。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)延出方向を1以上の箇所で折り返した形状の磁気抵抗素子を、基板の表面に第1絶縁膜を介して設け、磁界発生部材から前記磁気抵抗素子にかけられた磁界を前記磁気抵抗素子によって検出する磁気センサの磁性体配置構造において、前記基板と前記磁気抵抗素子との間に、前記磁気抵抗素子側に第2絶縁膜を形成した磁性体を設け、前記折り返し形状を成した前記磁気抵抗素子に生じるギャップの間に磁性体を設けたことを特徴とする磁気センサの磁性体配置構造。この場合、磁気抵抗素子の飽和磁束密度低減効果が高まり、磁気抵抗素子の飽和磁束密度をより一層低い値に抑制することが可能となる。
(1)延出方向を1以上の箇所で折り返した形状の磁気抵抗素子を、基板の表面に第1絶縁膜を介して設け、磁界発生部材から前記磁気抵抗素子にかけられた磁界を前記磁気抵抗素子によって検出する磁気センサの磁性体配置構造において、前記基板と前記磁気抵抗素子との間に、前記磁気抵抗素子側に第2絶縁膜を形成した磁性体を設け、前記折り返し形状を成した前記磁気抵抗素子に生じるギャップの間に磁性体を設けたことを特徴とする磁気センサの磁性体配置構造。この場合、磁気抵抗素子の飽和磁束密度低減効果が高まり、磁気抵抗素子の飽和磁束密度をより一層低い値に抑制することが可能となる。
5…磁界発生部材としての磁石、6…磁気抵抗素子、7…磁気センサ、8…基板、9…絶縁膜としての第1絶縁膜、10…磁性体を構成する磁性体層、11…第2絶縁膜、12(12a,12b)…ギャップ、21…磁性体を構成する補助磁性体、31…磁性体を構成する補助磁性体、H…磁界。
Claims (5)
- 延出方向を1以上の箇所で折り返した形状の磁気抵抗素子を、基板の表面に第1絶縁膜を介して設け、磁界発生部材から前記磁気抵抗素子にかけられた磁界を前記磁気抵抗素子によって検出する磁気センサの磁性体配置構造において、
前記基板と前記磁気抵抗素子との間に、前記磁気抵抗素子側に第2絶縁膜を形成した磁性体を設けたことを特徴とする磁気センサの磁性体配置構造。 - 前記磁性体は、前記磁気抵抗素子の下面に層形状に形成された磁性体層であることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサの磁性体配置構造。
- 前記磁性体は、前記折り返し形状を成した前記磁気抵抗素子に生じるギャップの下方位置に、当該ギャップを埋めるように間欠的に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサの磁性体配置構造。
- 前記磁性体は、前記磁気抵抗素子よりも磁気感度が悪いものの、磁気飽和し易い材質が使用されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の磁気センサの磁性体配置構造。
- 延出方向を1以上の箇所で折り返した形状の磁気抵抗素子を、基板の表面に絶縁膜を介して設け、磁界発生部材から前記磁気抵抗素子にかけられた磁界を前記磁気抵抗素子によって検出する磁気センサの磁性体配置構造において、
前記折り返し形状を成した前記磁気抵抗素子に生じるギャップの間に、磁性体を設けたことを特徴とする磁気センサの磁性体配置構造。
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CN104241519A (zh) * | 2013-06-21 | 2014-12-24 | 上海矽睿科技有限公司 | 提升磁材料性能的方法、磁传感装置的制备方法 |
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- 2005-10-19 JP JP2005304830A patent/JP2007114019A/ja not_active Withdrawn
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