JP2007113944A - 粘弾性測定装置および粘弾性測定方法 - Google Patents

粘弾性測定装置および粘弾性測定方法 Download PDF

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Toshimitsu Kanda
敏満 神田
Shiyouko Shiyuho
承興 朱峰
Motoyuki Hayakawa
基行 早川
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Abstract

【課題】粘着剤などに用いられる粘弾性体の粘弾性特性を広い歪み範囲においてより高精度に測定する。
【解決手段】試料片1の上下端を上部チャック13と下部チャック14で挟持する。上部チャック13を装置上梁11に連結し、下部チャック14を装置下梁18に装置された加振機17に連結する。駆動モータ19により装置上梁11を所定の速度または所定の歪み速度で移動させ、静的変位を与えながら、加振機17を駆動して試料片に動的変位を与える。試料片1に生ずる静的荷重を静的荷重センサ12により検出し、インピーダンスヘッドなどを用いた複合センサ15により動的変位と動的荷重を同一位置において同時に検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料の粘弾性特性を測定する装置および方法に関する。特に非線形特性を有する粘弾性体の大変形下における粘弾性特性を測定する粘弾性測定装置および方法に関する。
市販の粘弾性測定装置は、主に試料の線形変形範囲での粘弾性特性を測定する装置であり、試料の寸法を工夫しても数百%以内の歪みしか測定できない。しかし、粘着剤や粘接着剤に用いられる高分子粘弾性体では、多数の分子鎖が化学的架橋や物理的架橋により様々な架橋密度で網目構造を構成しているため、線形変形範囲内、あるいは歪みが数百%以内における粘弾性特性の測定では、製品の開発、設計、製造、加工、流通等を評価する上で不十分である。
これに対し、粘弾性体試料の非線形粘弾性特性を測定する粘弾性測定装置として、応力−歪曲線を測定すると同時に粘弾性を測定する装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許第3620959号公報
特許文献1に記載の装置では、試料に延伸変形(静的変位)を与えながら加振機により正弦振動(動的変位)を与えることにより、応力−歪曲線と複素弾性率とを同時に測定している。しかしこの装置では、動的変位を測定する歪計と動的荷重を測定する荷重計が、延伸される試料を挟んでそれぞれ反対側に配置され、別々のセンサにより検出される。このため、動的変位および動的荷重の検出において、センサ同士の位置差により、検出値には、温度や湿度などの測定環境の違いによる影響や、慣性力、時間差、位相差などの影響が現れる可能性がある。
また、特許文献1の装置では、静的荷重と動的荷重が同一の荷重計を用いて測定され、静的荷重は荷重計からのDC成分として、動的荷重はAC成分として検出される。すなわち、荷重計からの信号は、AC/DC成分分離回路によりAC成分、DC成分として分離されて処理される。したがって、動的荷重検出系と動的変位検出系は、異なる周波数特性を有することとなる。これらのことから、従来の装置では、粘弾性を高い精度で測定することができない。
更に、静的変位を加えながら加振機により動的変位を加える粘弾性測定装置では、静的引張力による加振機の振動中心位置の変動を防止する必要がある。例えば特許文献1の装置では、荷重検出系からの出力のDC成分を、加振機の制御系にフィードバックすることで加振機の原点調整を行なっている。
しかし、特許文献1の方法では、加振機の原点調整が、荷重検出系と加振機制御系の2つの処理系に跨るために、荷重が急激に変化するときには、時間遅延により加振機原点調整にハンチングが起こる可能性がある。また、加振機原点調整に2つの処理系を用いると、一方の処理系に操作ミスや機能低下などの不具合が生じると、加振機原点調整が機能せず、振動中心の位置が許容範囲を越えてしまう可能性があり、加振機にダメージを与える可能性が高い。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、粘弾性特性を広い歪み範囲において、より高精度に測定することを課題としている。また更に、本発明は、粘弾性測定装置における加振機原点調整処理の信頼性を高め、加振機が損傷する可能性を低減することを課題としている。
(1)本発明の請求項1に記載の粘弾性測定装置は、試料片に静的変位を与える静的変位手段と、静的変位を試料片に与えている間、試料片に動的変位を与える加振機と、試料片に生ずる静的荷重を検出する静的荷重センサと、試料片に加えられる動的変位を検出する動的変位センサと、試料片に生ずる動的荷重を検出する動的荷重センサとを備え、静的荷重センサと動的荷重センサとが、分離独立したセンサであることを特徴としている。
(2)請求項2に記載の粘弾性測定装置は、動的変位センサと動的荷重センサが、動的荷重と動的変位を同一位置で同時に検出する複合センサとして構成される。
(3)請求項3に記載の粘弾性測定装置は、複合センサにインピーダンスヘッドが用いられる。
(4)請求項4に記載の粘弾性測定装置は、加振機により与えられる振動の中心位置を検出する位置センサを備え、この位置センサからの信号を加振機の制御にフィードバックし、中心位置を所定の位置に保持する。
(5)請求項5に記載の粘弾性測定装置は、試料片に用いられる試料が高分子粘弾性体であるとともに、試料片の延伸変形中、あるいは延伸変形後の前記高分子弾性体の粘弾性特性を測定する。
(6)請求項6に記載の粘弾性測定装置において、高分子粘弾性体は、粘着剤または粘接着剤に用いられる粘弾性体である。
(7)請求項7に記載の粘弾性測定装置において、試料片の粘弾性特性は、試料片が歪み速度0.001〜5s-1、歪み100%以上の条件の下で延伸変形中、あるいは延伸変形後に測定される。
(8)請求項8に記載の粘弾性測定装置において、試料片の粘弾性特性は、歪みが300%以上の条件の下で測定される。
(9)また本発明の請求項9に記載の粘弾性測定装置は、試料片に静的変位を与える静的変位手段と、静的変位を試料片に与えている間、試料片に動的変位を与える加振機と、試料片に生ずる静的荷重を検出する静的荷重センサと、試料片に加えられる動的変位を検出する動的変位センサと、試料片に生ずる動的荷重を検出する動的荷重センサとを備え、動的変位センサと動的荷重センサとが、動的荷重と動的変位を同一位置で同時に検出することを特徴としている。
(10)更に本発明の請求項10に記載の粘弾性測定方法は、請求項1〜請求項9に記載の装置を用いたことを特徴としている。
以上のように、本発明によれば、粘弾性特性を広い歪み範囲において、より高精度に測定することできる。また更に、本発明によれば、粘弾性測定装置における加振機原点調整処理の信頼性を高め、加振機が損傷する可能性を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である粘弾性測定装置のブロック図である。
本実施形態の粘弾性測定装置10は、例えば粘着剤や粘接着剤に用いられる高分子粘弾性体等の試料の大変形下における粘弾性を精度よく安定的に測定する装置であり、例えば数百〜数千%の広い歪み範囲に渡って測定を行なうものである。
非線形粘弾性特性を有する粘弾性体試料1の上下両端は、それぞれ上部チャック13、および下部チャック14により挟持される。上部チャック13は、装置上梁11に連結されるとともに、その連結部には静的荷重センサ12が取付けられる。装置上梁11は、駆動モータ19により速度制御されながら上下何れかの方向に所定の速度または所定の歪み速度で移動され、試料1に静的荷重、静的変位を与える。なお、駆動モータ19は、モータドライバ28により駆動制御され、モータドライバ28はA/D変換器(不図示)を含むインターフェース22を介して例えばパーソナルコンピュータ21によって制御される。
一方、下部チャック14は装置下梁18に設置された加振機17に連結され、その連結部には複合センサ15が取付けられる。加振機17は、装置上梁11の移動により静的に変形される試料1に動的変位(正弦振動)を与える。また、加振機17は、後述するように、パワーアンプ27からの信号により駆動制御される。
静的荷重センサ12は試料1に生ずる静的荷重を検出するセンサである。静的荷重センサ12からの信号は、荷重アンプ23において増幅され、インターフェース22を介して例えばパーソナルコンピュータ21に入力される。
一方、複合センサ15は、正弦振動による動的荷重と動的変位を同時かつ同一位置において直接検出するセンサである。複合センサで検出された荷重および変位に関わる信号は、2チャンネルアンプ24においてそれぞれ増幅され、インターフェース22を介してパーソナルコンピュータ21に入力される。なお、複合センサ15には、例えばインピーダンスヘッドが用いられるが、これに限定されるものではない。複合センサ15にインピーダンスヘッドを用いる場合、2チャンネルアンプ24には例えば2チャンネルチャージアンプが用いられる。
また、本実施形態において、粘弾性測定装置10には、加振機17により与えられる正弦振動の中心位置を検出するための位置センサ16が設けられる。位置センサ16からの信号は、位置アンプ25において増幅され、加振機振動中心位置保持回路26に入力される。加振機振動中心位置保持回路26は、位置センサ16からの位置信号に基づき、加振機17の振動中心位置が、原点からずれないようにするために、加振機17の制御系にフィードバックを行なう回路である。すなわち、加振機17を駆動制御するパワーアンプ27は、パーソナルコンピュータ21から制御信号と、加振機振動中心位置保持回路26からの信号に基づいてフィードバック制御され、これにより試料1に正弦振動を与えている間、加振機17の振動中心は、原点位置に保持される。
なお、試料1の静的変位量は、駆動モータ19の駆動量や、粘弾性測定装置10に附属する変位計などにより求められる。
以下、本実施形態の粘弾性測定装置10の動作について説明する。駆動モータ19の駆動を制御して、装置上梁11を上方に移動して、試料1に静的変位を与える。このとき同時に、加振機17を駆動して、所定の正弦振動による動的変位を試料1に与える。
装置上梁11の制御速度および制御時間(駆動モータの駆動量)から試料1の静的変位量を算出し、静的荷重センサ12において検出された信号から静的荷重を求め、応力−歪曲線を求める。また、これら静的粘弾性特性の検出と同時並行して、2チャンネルアンプ24を介した複合センサ15からの信号に基づいて、試料1の動的変位量および動的荷重を求め、試料1の動的粘弾性特性を示す複素弾性率、複素コンプライアンス、損失正接などを求める。
また、上記静的粘弾性、動的粘弾性の測定動作中、静的荷重により引き起こされる振動中心の位置ずれを、位置センサ16によりモニタし、加振機振動中心位置保持回路26を通して位置センサ16からの信号をパワーアンプ27にフィードバックして、振動中心を加振機17の原点位置に保持するように加振機17の駆動を制御する。
なお、上述した静的粘弾性、動的粘弾性に関わる諸量は、パーソナルコンピュータ21において算出され、パーソナルコンピュータ21に附属する記録媒体に各々記録される。
以上のように、本実施形態の粘弾性測定装置では、試料を延伸しながら動的変位と動的荷重とを複合センサを用いて同時かつ同位置で検出しているため、動的変位と動的荷重との位相ずれの問題を解決することができ、試料の大変形時を含む広い歪み範囲に渡って粘弾性特性を精度よく安定的に測定できる。例えば、歪み速度0.001〜5s-1における歪み100%以上(特に好ましくは300%以上)の延伸変形中または延伸変形後の試料(特に高分子粘弾性体)の粘弾性特性(特に動的粘弾性特性)を精度よく測定することができる。ここで、歪み速度とは、静的変位の速度を延伸変形中におけるその瞬間の試料の長さで除したものである。
また、本実施形態では、動的変位を検出するセンサと、動的荷重を検出するセンサが同時かつ同位置において直接、動的変位、動的荷重を検出しているため、動的変位と動的荷重の間には検出の時間差が生じない。更にパーソナルコンピュータ21では動的荷重を検出するセンサで検出した動的荷重に対して、予め測定しておいた試料1および下部チャック14の慣性力を差し引くことで、動的変位によって試料1に生ずる動的荷重の真の値を算出する。具体的な算出方法を説明すると、動的荷重センサで検出される動的荷重は、動的変位との位相差を考慮すると、図2に示すfoで表わすことができる。従って、foの実数部はfo’、虚数部はfo”、動的変位と動的荷重fとの位相差はαoと表わせる。また、上記慣性力による慣性項fiを考慮すると、慣性力の影響を除いた試料1に生ずる動的荷重f及び慣性力の影響を除いた動的変位と動的荷重fとの位相差αは下記のように表される。
f=√((fo’−fi2+(fo”)2
α=tan-1(fo”/(fo’−fi))
つまり、動的変位と動的荷重の間に検出の時間差が発生しないこと並びに慣性力の影響を除いた試料1に生ずる動的荷重f及び慣性力の影響を除いた動的変位と動的荷重fとの位相差αを補正計算することから、上記精度は更に向上される。また更に、本実施形態では、加振機の振動中心位置を検出するための専用の位置センサが設けられているため、加振機原点調整処理の信頼性を高め、加振機が損傷する可能性を低減することができる。
なお、試料1、静的荷重センサ12、複合センサ15、加振機17の位置関係は任意であり、本実施形態の配置に限定されない。すなわち、静的荷重センサ12は、複合センサ15とともに試料1に対して加振機17側に配置されていてもよいし、逆に複合センサ15が静的荷重センサ12とともに試料1に対して加振機17の反対側(装置上梁11側)に配置されてもよい。また静的荷重センサ12と複合センサ15の配置を入れ替えることも可能である。
次に表1および図3、4を参照して、本実施形態の粘弾性測定装置を用いた実施例を従来の粘弾性測定装置を用いた比較例と比較することにより、本実施形態の粘弾性測定装置における実際の効果を示す。
実施例1、比較例1は、動的荷重の測定と動的変位の測定を同一位置で行なうことによる本実施形態の効果を示す。実施例1、比較例1では、アクリル系粘着剤(アクリル酸ブチル:アクリル酸=91:9の共重合体、Mw=8.2×105)100部に対してイソシアナート系架橋剤を1部添加した粘着剤が試料として用いられた。粘着剤は乾燥後の膜厚が25μmとなるように剥離材に塗布され、熱風乾燥後、常温で7日間放置して調整された。実施例1、比較例1では、この粘着剤を積層・裁断して、有効長さが異なる3つの試料片a〜cを作成し、各々において粘弾性の測定試験を行なった。
試料片aは、幅3mm、有効長さ10mm、厚さ3mmであり、試料片bは、幅3mm、有効長さ15mm、厚さ2mmである。また、試料片cは幅3mm、有効長さ20mm、厚さ1.5mmである。すなわち、試料片a、b、cは、質量および幅が同じで、有効長さが異なる3つのバルク粘着剤試料として作成された。
実施例1(本実施形態の粘弾性測定装置;図1の構成)、比較例1(従来の粘弾性測定装置;特許文献1記載の図1の構成)ともに、試料片a(100mm/min)、試料片b(150mm/min)、試料片c(200mm/min)、各試料片における初期歪み速度:0.167s-1、加振周波数:16Hzの条件のもとバルク粘着試料片a、b、cに対して粘弾性測定試験が行なわれた。表1に歪みが1000%に達したときの各試料片a、b、cに対する損失正接の値を示す。なお、各試料片a、b、cに対し、測定試験はそれぞれ5回行なわれ、表1にはその平均値が示される。また、各測定試験の測定データ間の誤差は、実施例1及び比較例1の装置で殆んど差はなくそれぞれ5%程度であった。
Figure 2007113944
表1に示されるように、本実施形態の粘弾性測定装置を用いた実施例1においては、有効長さが異なる試料片a、b、cの損失正接の値はほぼ同等であり、試料片の有効長さの違いによる測定値への影響は見られなかった。一方、従来の粘弾性測定装置を用いた比較例1においては、試料片の有効長さが増大するに従って、損失正接の値は減少(a→cで16%)し、測定誤差を考慮したとしても、試料片の有効長さの違いが測定値に影響を及ぼしていることが明らかである。
すなわち、動的荷重の測定と動的変位の測定が互いに試料片を挟んで別々の位置で行なわれる従来の粘弾性測定装置を用いた比較例1では、動的変位の伝搬に時間を要するためセンサ間において検出に時間差(位相差)が生じる。しかし、本実施形態の粘弾性測定装置を用いた実施例1では、静的荷重と動的荷重を検出するセンサを分離独立させ、動的荷重の測定と動的変位の測定が同一位置において同時一体的で行なえるように構成されているため、このような問題の発生を防止できる。動的変位の伝搬時間に起因する誤差は、試料片の長さが延伸されるに従って大きくなるが、本実施形態が適用された実施例1によれば、試料片の有効長さの違いに起因する測定誤差の発生を防止できるため、大変形下においても高い精度で試料の粘弾性特性を測定できる。
一方、実施例2(図1の構成)および比較例2(特許文献1記載の図1の構成)は、加振機原点調整処理においてハンチングが発生するのを防止するために、加振制御系に直接フィードバック処理を行なう専用の振動中心を検知するための位置センサを設けたことによる本実施形態の効果を示すものである。
実施例2、比較例2では、実施例1、比較例1における試料片aが試料として用いられた。試験は実施例1、比較例1それぞれにおいて、静的変位の速度を100mm/min(初期歪み速度:0.167s-1)、1000mm/min(初期歪み速度:1.667s-1)として行なわれ、このときのハンチング発生の有無が検査された。実施例2では、いずれの静的変位の速度においてもハンチングは発生しなかった。一方、比較例2では、静的変位の速度が100mm/min(初期歪み速度:0.167s-1)のときにハンチングは発生しなかったが、1000mm/min(初期歪み速度:1.667s-1)のときには減衰ハンチングが発生した。
すなわち、従来の粘弾性測定装置を用いた比較例2では、加振機の原点中心位置の調整を2つの処理系に跨らせるとともに、その位置を荷重を介して間接的に検出しているため、フィードバックの時間遅延などにより荷重が急激に変化するときには、ハンチングを起こしていた。これに対して、本実施形態の粘弾性測定装置を用いた実施例2では、位置測定のための専用の位置センサから加振制御系に直接フィードバック処理を行なうため、上記時間遅延を起こすことなく、ハンチングを効果的に防止できる。
次に図3、4を参照して、実施例3について説明する。実施例3は、複数の試料の大変形時を含む広い歪み範囲に渡る粘弾性特性の一例を示すものであり、本実施形態の粘弾性測定装置を用いて測定された。
実施例3では、アクリル系粘着剤(アクリル酸ブチル:アクリル酸=91:9の共重合体、Mw=8.2×105)100部に対して、異なる割合でイソシアナート系架橋剤を添加し、架橋剤添加量が異なる複数の試料を作成した。すなわち、イソシアナート系添加剤を0.25部、1部、2部、4部それぞれ添加した粘着剤試料を作成し、これらを厚さ2mm、幅3mm、有効長さ10mmに成形し、バルク粘着試料片d、e、f、gとした。なお、粘着剤は実施例1、2や比較例1、2と同様に乾燥後の膜厚が25μmとなるように剥離材に塗布され、熱風乾燥後、常温で7日間放置し、それぞれ積層・裁断して調整された。
測定は、静的変位の速度を100mm/min(初期歪み速度:0.167s-1)とし、加振周波数を16Hzとして行なわれた。また試験は、各試料に対して5回行なわれ、複素弾性率および損失正接が測定された。なお図3、4は5回の測定で得られたデータの平均値を示す。
図3は、試料片d〜gの歪み(横軸)と複素弾性率(縦軸)の関係を示すグラフであり、図4は、歪み(横軸)と損失正接(縦軸)の関係を示すグラフである。図3、図4には、歪みが0%〜2500%におけるそれぞれの試料片d〜gの複素弾性率(Pa)の変化、損失正接(−)の変化が示される。
図3、4に示されるように、動的粘弾性の挙動は、従来市販されている粘弾性測定装置で測定可能な歪みが100%以下の範囲においては、試料間の差が殆んど見られない。しかし、歪みが増大すると(大変形時)、動的粘弾性の挙動は試料間で大きく異なる。したがって、試料の大変形時の動的粘弾性特性を精度を落とすことなく、高い精度で測定することは、製品の開発、設計、製造、加工、流通等を評価する上で重要であり、本実施形態によれば、これを達成することができる。
本発明の一実施形態である粘弾性測定装置のブロック図である。 試料片に生じる動的荷重と慣性力のベクトルを示すグラフである。 試料片の歪み(横軸)と複素弾性率(縦軸)の関係を示すグラフである。 歪み(横軸)と損失正接(縦軸)の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 試料(試料片)
10 粘弾性測定装置
11 装置上梁
12 静的荷重センサ
13 上部チャック
14 下部チャック
15 複合センサ
16 位置センサ
17 加振機
18 装置下梁
19 駆動モータ
21 パーソナルコンピュータ
22 インターフェース
23 荷重アンプ
24 2チャンネルアンプ
25 位置アンプ
26 加振機振動中心位置保持回路
27 パワーアンプ
28 モータドライバ

Claims (10)

  1. 試料片に静的変位を与える静的変位手段と、
    前記静的変位を前記試料片に与えている間、前記試料片に動的変位を与える加振機と、
    前記試料片に生ずる静的荷重を検出する静的荷重センサと、
    前記試料片に加えられる動的変位を検出する動的変位センサと、
    前記試料片に生ずる動的荷重を検出する動的荷重センサとを備え、
    前記静的荷重センサと前記動的荷重センサとが、分離独立したセンサである
    ことを特徴とする粘弾性測定装置。
  2. 前記動的変位センサと前記動的荷重センサとが、前記動的荷重と前記動的変位を同一位置で同時に検出する複合センサとして構成されることを特徴とする請求項1に記載の粘弾性測定装置。
  3. 前記複合センサにインピーダンスヘッドが用いられることを特徴とする請求項2に記載の粘弾性測定装置。
  4. 前記加振機により与えられる振動の中心位置を検出する位置センサを備え、前記位置センサからの信号を前記加振機の制御にフィードバックし、前記中心位置を所定の位置に保持することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の粘弾性測定装置。
  5. 前記試料片に用いられる試料が高分子粘弾性体であるとともに、前記試料片の延伸変形中、あるいは延伸変形後の前記高分子弾性体の粘弾性特性を測定することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の粘弾性測定装置。
  6. 前記高分子粘弾性体が、粘着剤または粘接着剤に用いられる粘弾性体であることを特徴とする請求項5に記載の粘弾性測定装置。
  7. 前記試料片の前記粘弾性特性が、前記試料片が歪み速度0.001〜5s-1、歪み100%以上の条件の下で延伸変形中、あるいは延伸変形後に測定されることを特徴とする請求項6に記載の粘弾性測定装置。
  8. 前記試料片の前記粘弾性特性が、前記歪みが300%以上の条件の下で測定されることを特徴とする請求項7に記載の粘弾性測定装置。
  9. 試料片に静的変位を与える静的変位手段と、
    前記静的変位を前記試料片に与えている間、前記試料片に動的変位を与える加振機と、
    前記試料片に生ずる静的荷重を検出する静的荷重センサと、
    前記試料片に加えられる動的変位を検出する動的変位センサと、
    前記試料片に生ずる動的荷重を検出する動的荷重センサとを備え、
    前記動的変位センサと前記動的荷重センサとが、前記動的荷重と前記動的変位を同一位置で同時に検出する
    ことを特徴とする粘弾性測定装置。
  10. 請求項1〜請求項9に記載の装置を用いた粘弾性測定方法。
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