JP2008164568A - 表面物性解析方法および表面物性解析装置 - Google Patents

表面物性解析方法および表面物性解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】試料表面の機能に影響を及ぼすサブミクロンスケールの表面物性を測定し解析する。
【解決手段】表面物性解析方法は、接触針に荷重を与えて試料表面へ接触させ、この状態で試料を移動させることにより試料表面に負荷を発生させるステップと、このようにして発生した負荷の角度の経時変化を求めるステップと、この経時変化の波形を周波数軸波形に変換するステップと、変換された周波数軸波形からパワースペクトルを求めるステップとによって構成され、パワースペクトルの強度分布から試料の表面物性の解析を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料表面の物性、特に力学的特性を測定し解析するための方法および装置に関する。
自動車などのボディあるいは建造物に塗布された塗膜などのソフトマテリアルにおいて、そのサブミクロンスケールの表面物性は、擦り傷などの機能に対して大きな影響を与えると考えられている。しかしながら、これまで、その効果的な測定方法および評価方法は開発されていない。
試料表面の粘弾性を評価する装置として、動的粘弾性測定装置(DMA)(例えば、特許文献1参照)、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)などの走査型プローブ顕微鏡を用いた表面粘弾性測定装置(例えば、特許文献2参照)が開発されている。しかしながら、動的粘弾性測定装置はバルク物性を測定するものであり、従って表面のみの結果を層別することはできない。原子間力顕微鏡では、理論的に検出精度が高すぎるため、塗膜などの機能に影響を与えるサブミクロンスケールの物性測定には適さない。
また、固体表面に形成した薄膜の密着性をテストする装置として、ナノスクラッチテスターがある(例えば、特許文献3参照)が、この装置で測定されるのは薄膜の剥離限界であって、それ以上の物性評価、例えば、塗膜などの機能に影響を与えるサブミクロンスケールの力学特性に関する評価には適さない。
特開2004−333480号公報 特開2003−139677号公報 特開平10−38792号公報
上述したように、従来の表面物性の評価方法あるいは装置では、何れも、塗膜などの機能に影響を与える表面物性を有効に測定し、評価することができないと言う欠点を有している。本発明はかかる点に関してなされたもので、試料表面の機能に影響を与える表面物性の測定およびその有効な評価が可能な、新規な表面物性の解析方法および解析装置を提供することを課題する。
本発明は、上記課題を解決するために、接触針に荷重を与えて試料表面へ接触させ、この状態で前記試料を移動させることにより、前記試料表面に負荷を発生させるステップと、前記発生した負荷の角度の経時変化を求めるステップと、前記経時変化の波形を周波数軸波形に変換するステップと、前記変換された周波数軸波形からパワースペクトルを求めるステップとを備える、表面物性解析方法を提供する。
上記方法において、さらに、前記接触針に与えた荷重と当該荷重によって生じる前記接触針の変位との関係から、前記試料表面が弾性を維持する弾性領域を判定するステップを有し、前記経時変化を求めるステップあるいは前記周波数軸波形に変換するステップを前記弾性領域内で実行するようにしても良い。
本発明は、さらに、上記課題を解決するために、試料を設置する試料台と、前記試料台を所定方向に移動する移動手段と、前記試料台に設置された試料の表面に接触する接触針と、前記接触針に荷重を与える荷重手段と、前記荷重による前記接触針の変位を検出する変位検出手段と、前記接触針と前記試料表面との摩擦力を検出する摩擦力検出手段と、前記荷重手段と前記変位検出手段の出力に基づいて、前記試料の表面が弾性を維持する弾性領域を判定する弾性領域判定手段と、前記荷重手段と前記摩擦力検出手段の出力に基づいて前記試料表面に発生する負荷の角度の経時変化を算出する負荷角度変化算出手段と、前記負荷角度変化の波形を前記判定された弾性領域において周波数軸波形に変換する波形変換手段と、前記波形変換手段出力に基づいてパワースペクトルを求めるパワースペクトル算出手段とを備える、表面物性解析装置を提供する。
上記装置において、前記荷重手段は、前記接触針へ与える荷重の量を時間の経過と共に傾斜的に変化させるようにしても良い。さらに、前記接触針の先端の曲率半径を2〜4μmとしても良い。
接触針に荷重を与えて試料表面へ接触させ、この状態で試料を移動させることにより、試料表面に負荷が形成される。この負荷は、接触針と試料表面との摩擦力および接触針に掛けられた荷重を合成したものであると考えられる。試料表面の組織内には弾性的な分布があり、接触針がこのような分布上を移動することによって、形成される負荷がその影響を受け、負荷の振動が起こる。この振動の周波数を検出して分析することにより、振動を形成する試料表面の弾性的な分布を知ることができる。本発明の方法および装置では、このために、負荷の角度の経時変化を求め、これを周波数変換し、さらにパワースペクトルを求めることによって、どのような周波数帯にどのような強度分布が存在するかを検出している。この検出結果は、上述したように、試料表面の組織内の弾性的な分布に関する情報を含むので、この情報を解析することにより、表面の、例えば粘弾性を含めた力学的特性の評価が可能となる。
上記の評価を、試料表面が弾性を維持する弾性領域内で行うことにより、さらに正確な表面物性の解析が可能となる。また、接触針の先端の曲率半径を2〜4μmとすることにより、その半径の半分程度の範囲、即ち半径1μm〜2μm程度の範囲の表面物性を検出することが可能となる。これによって、塗膜などの機能に影響を及ぼすサブミクロンスケールの物性評価を的確に行うことが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる表面物性解析装置の概略図である。図において、2は表面に塗膜などのソフトマテリアルが形成されている試料板であって、測定ステージ4上に固定されている。測定ステージ4には駆動制御装置6が接続されており、試料板2の表面に平行に定速移動が可能とされている。測定ステージ4の移動は、位置センサおよび時間測定タイマ部8によって検出される。駆動制御装置6は、測定ステージ4をサブミクロン単位で移動させる。移動速度は、例えば10mm/分である。
測定ステージ4には摩擦力センサ10が接続されている。12は試料板2の表面に接触するための接触針であって、その先端には、ダイヤモンドなどの硬度の高い材料で形成される円錐状のエッジ12aが形成されている。一例では、エッジ12aの半径Rは2μmから4μmとしている。接触針12には、試料板2の表面に垂直な方向に荷重をかけるための荷重制御装置14が接続されている。荷重制御装置14は接触針12に接続された荷重センサ16の出力によって制御され、試料板12に対して必要な荷重を正確にかけることができるようにされている。
試料板2の表面には塗膜などのソフトマテリアルが形成されているので、接触針12に荷重をかけることによってエッジ12aが試料板2の表面を押圧し、試料板2の表面に弾性変形を形成する。この変形の大きさは、接触針12の、試料板表面に垂直な方向における変位として検出される。変位センサ18は、接触針12のこのような変位量を検出するためのものである。接触針12に負荷をかけた状態で、測定ステージ4を試料板表面に平行な方向に移動させると、接触針12と試料板2の接触部に摩擦力が生じる。この摩擦力は、測定ステージ4に設置された摩擦力センサ10によって検出される。
接触針12に荷重を掛けながら試料板2を移動させるときの応答から、試料の粘弾性を測定する方法は、スクラッチテストとして知られている。このとき、接触針12が試料に及ぼす影響は、接触針12のエッジの半径Rの半分程度の範囲に及ぶと言われている。したがって、半径Rが2μm〜4μmのエッジを有する接触針を使用すると、試料の表面から1μm〜2μmの範囲の影響を検出することができる。即ち、表面の物性をサブミクロン単位で解析することが可能となる。
20はデータ処理装置であって、弾性領域判定部22、負荷角度変化算出部24、フーリエ変換部26および周波数帯毎のパワースペクトル面積比算出部28を有している。弾性領域判定部22は、荷重センサ16の出力と変位センサ18の出力から後述する判定原理に基づいて、試料板12の表面が弾性を保ちうる荷重および移動速度の範囲を決定する処理を行う。負荷角度変化算出部24は、荷重センサ16の出力と摩擦力センサ10の出力とから後述する算出原理に基づいて試料板12にかかる負荷の角度θを求め、さらに測定時間タイマ8から負荷角度θの経時変化を求める処理を行う。
負荷角度変化算出部24で算出された負荷の経時変化はフーリエ変換部26においてフーリエ変換され、負荷角度変化の時間関数を周波数関数の情報に変換する。パワースペクトル面積比算出部28においてフーリエ変換結果の周波数帯毎のパワースペクトル面積比が算出され、試料板2の表面の力学的特性、例えば粘弾性特性の傾向が検出される。なお、負荷角度変化算出部24またはフーリエ変換部26のいずれか、あるいはその両者において、演算処理は、弾性領域判定部22で判定された弾性領域について行われる。弾性領域を超えた領域では、永久的あるいは半永久的な変化が試料表面に起こり、試料表面の特性を変化させていると考えられるためである。
データ処理装置20は、入出力装置、記憶装置、演算処理装置を備える通常の情報処理装置であって、弾性領域判定部22、負荷角度変化算出部24、フーリエ変換部26および周波数帯毎のパワースペクトル面積比算出部28を実現するプログラムが内蔵されている。各プログラムは、後述する判定あるいは算出原理に基づいて構成される。
図2は、図1の装置を使用して行ったスクラッチテストの一例を示す図であり、特に測定条件および測定結果(アウトプット)を説明するための図である。図示するスクラッチテストは、測定ステージ4の移動距離を10mmとし、移動速度を10mm/分として行った。従って測定時間は1分となる。測定間隔は10mm/1000(ポイント)、即ち10μmとした。使用した接触針12のエッジ12aにおける曲率半径Rは、R=2μmとしている。
まず、試料表面の初期凹凸の測定を行う。図2(a)に示すように、荷重制御装置14によって測定期間中、比較的弱い一定の荷重(ノーマルフォース)3mNを接触針12に掛けて、試料板2における凹凸の測定を行う。測定は、変位センサ18によって、試料板2の表面に垂直な方向の変位Pd0を求めることによって行われる。これによって、試料板2の測定範囲における初期凹凸が求められる。
次に、図2(b)に示すように、スクラッチテストを行って垂直方向の変位Pdsと摩擦接触Fを求める。図示の例では、針12にかけるノーマルフォースを0.3mNから100mNまで連続的に変化させて、そのときの垂直方向の変位Pdsと摩擦力Fを求める。摩擦力Fは摩擦力センサ10の出力として検出される。スクラッチテストによって得られた変位Pdsから初期凹凸による変位Pd0を引くことによって、スクラッチテストによる本来の変位Pdが得られる。
さらに、図2(c)に示すテスト後の凹凸測定を行って、試料板上の塗膜がスクラッチテストから回復しているか否か、即ち測定前の弾性を維持しているか否かを検出しても良い。この検出は、変位Pdfが初期凹凸測定時の変位Pd0と同じであるか否かを見ることによって行われる。変位Pdfと変位Pd0が異なっていれば、スクラッチテストによって試料表面に回復不可能な変位が生じたものと考えられ、行われたスクラッチテストが試料表面の弾性限界を超えていることが分かる。
次に、試料表面の弾性領域を求める方法について説明する。
図3は、3種類の塗膜(UV硬化塗膜)について、図2に示した測定を行った結果を示すグラフである。特に、図1の荷重センサ16の出力と変位センサ18の出力をプロットしたものである。従って、図の縦軸はノーマルフォースを単位mNで表し、横軸は変位Pdをμm単位で表している。変位Pdは、スクラッチテストによる変位Pdsから初期凹凸による変位Pd0を引いたものである。図の○は塗膜T1、△は塗膜T2、×は塗膜T3についての測定結果を示す。これらの塗膜の組成は、図4に示してある。図3のk(T1)、k(T2)、k(T3)は各塗膜の摩擦係数を示し、摩擦係数k=摩擦力(F)/ノーマルフォース、として計算されている。
図3に示すように、塗膜T1に対して行われたスクラッチテストでは、垂直方向の変位Pdが1.2μm、ノーマルフォースが6mNまでの範囲R1の測定に対して、摩擦力とノーマルフォースのプロットが直線状に変化する。即ち、塗膜T1に対する当該スクラッチテストにおいて、範囲R1ではフックの法則が適用可能であって、塗膜T1は弾性を維持しているものとみなされる。従って、この範囲R1を塗膜T1の弾性領域と判定することができる。なお、範囲R1を超えた部分では、摩擦力とノーマルフォースのプロットは範囲R1で形成した直線を離れるため、その範囲で生じた変化はフックの法則が適用される弾性変化ではなく、何らかの半永久的な変形を含むものと考えられる。
他の塗膜T2、T3においても同様で、塗膜T2は範囲R2において弾性を維持し、塗膜T3は範囲R3において弾性を維持する。図1に示した装置において、データ処理装置20内の弾性領域判定部22では、図3に示した測定結果に基づいて、範囲R1、R2、R3をそれぞれの塗膜の弾性領域と判定している。なお、塗膜T1は弾性領域(範囲R1)において摩擦係数k=4.84(N/mm)を有し、塗膜T2はk=0.615(N/mm)、塗膜T3はk=0.557(N/mm)となっている。
図5は、図1に示す装置によってスクラッチテストを行った場合に、接触針12のエッジ12aによって試料板2の表面(塗膜)に形成される負荷を説明するための図である。図5(a)は、接触針12のエッジ12aが材料板2の表面2a(塗膜表面)にある荷重を持って接触した場合に、試料板2の表面(塗膜)2aに発生する各種の歪みを示している。図示する符号30は、エッジ12aの移動方向を示している。本実施形態の装置では接触針12は固定されているので、実際は測定ステージの移動に伴って試料板2が符号30とは反対方向に移動している。図の32は、塗膜にかかる圧縮力の大きさを示し、34は伸長力の大きさを示している。エッジ12aの進行方向では摩擦によって比較的大きな圧縮力が形成され、一方、進行方向とは反対側では比較的大きな伸長力が形成される。通常、塗膜の組織内には弾性的な分布があるため、エッジ12aの移動によって塗膜の種々の部位には種々の力が形成される。
図5(b)は、塗膜にかかる力を集約してベクトルで現したものである。図5(b)のベクトル36は摩擦によって塗膜中に形成される力、即ち摩擦力の反力を示し、ベクトル38は荷重制御装置14によって塗膜表面に垂直方向に印加される力、即ちノーマルフォースを示す。これらのベクトルの合成結果として塗膜にかかる力を示すベクトル40が形成される。従って、摩擦力とノーマルフォースを測定することにより、塗膜にかかる力の大きさと方向が決定される。この方向は、ベクトル36とベクトル40間の角度、即ち、負荷角度θで示される。
上述したように、塗膜の組織内には弾性的な分布が存在するので、ベクトル40の大きさおよび方向は、試料板2の移動に伴って変化し、負荷角度θに振動を発生させる。図5(c)は、このようにして発生した負荷の振動を示す図である。この振動は、測定する部位が硬い場合は高い周波数を伴って発生し、測定する部位が柔らかい場合は低い周波数を伴って発生する。本発明では、この負荷角度θの変化を検出することによって、試料表面、即ち塗膜の力学的特性の評価を行う。
次に、図1の負荷角度変化算出部24における負荷角度算出について説明する。
図6は、上述した負荷角度θと試料板2の移動距離との関係を示すグラフである。図1の装置では測定ステージ4は等速移動しているため、図6のグラフでは、位置センサおよび測定時間タイマ8の出力を利用して、移動距離を時間で示している。即ち、縦軸は負荷角度θ(°)を示し、横軸は測定時間T(秒)を示している。負荷角度θの時間変化は、図1の負荷角度変化算出部24において、摩擦力センサ10の出力、荷重センサ16の出力および位置センサおよび測定時間タイマ8の出力に基づいて算出される。
上記のようにして算出された負荷角度の時間変化は、次に、図1の装置におけるフーリエ変換部26においてフーリエ変換し、負荷角度変化の時間関数を周波数の関数に変換する。図7は、図6に示した時間関数の波形をフーリエ変換した結果を示す。図7の縦軸は角度変化のパワースペクトル(P/S)を示し、横軸は周波数(Hz)を示している。フーリエ変換結果は、次に、パワースペクトル面積比算出部28において周波数帯毎のパワースペクトルの面積比を算出するために使用される。
図8は、図7のフーリエ変換結果に基づいて算出された、周波数帯毎のパワースペクトル面積比を示すグラフである。図8に示す例では、周波数帯1〜2Hz、2〜3Hz、・・・、7〜8Hzにおいて、個々の塗膜T1、T2、T3のパワースペクトル面積比を棒グラフで示している。本発明では、このようにして算出された各塗膜の周波数帯毎のパワースペクトル面積比を、塗膜表面の物性解析のために利用する。
図9は、周波数帯毎のパワースペクトル面積比に基づいた、塗膜表面の物性解析の一例を示す表である。図9の「結果」欄に示したグラフは、図8のグラフにおける各塗膜のデータを抜き出して示したものである。「結果」欄にサークルで示すように、塗膜T1は高い周波数帯でのパワースペクトルが大きい傾向を示している。図5を参照して説明したように、塗膜が硬い成分を含む場合、塗膜にかかる負荷の振動の周波数は高くなる。したって、塗膜T1には比較的硬い成分が多く存在するものと考察される。この推測結果は、図4に示す塗膜組成と一致している。即ち、図4に示すように、塗膜T1は4官能モノマーを多く含んでいる。官能基を多く含む程、塗膜の性質は硬くなる傾向がある。
図9において、塗膜T2は比較的低い周波数帯でパワースペクトルの値が大きく、一方、高い周波数帯でパワースペクトルの値が小さい。この結果から、塗膜T2には柔らかい成分が多く存在しているものと考察される。図4に示すように、塗膜T2は比較的少ない官能基を含む材料で構成され、従って柔らかな材料である。これは、測定結果と一致している。塗膜T3は、図4に示すように、3官能基モノマーと2官能基モノマーが1対1で含まれている。図9に示す測定結果では、周波数の低い部分と高い部分の両方において比較的強いパワーを示している。このことから、塗膜T3には、硬い成分と柔らかい成分が共に存在していることが推測される。この結果は、塗膜T3の組成と一致している。
以上のように、図1に示す装置によれば、スクラッチテストにより負荷角度変化に関するデータを得て、これに適宜のデータ解析を施すことによって、試料表面の力学的特性の傾向を解析することが可能となる。
なお、図3に示すように、塗膜T1は、塗膜T2、T3に比べて大きな弾性係数kを有している。弾性係数が大きくなることは、試料が硬くなることを意味している。従って、塗膜T1は、塗膜T2、T3よりも硬い成分を多く含むことが分かる。ところが、弾性係数kの測定からは、塗膜T2と塗膜T3を識別することができない。一方、本発明の方法および装置によれば、図9に示すように、塗膜T2と塗膜T3は、高周波帯のパワースペクトル強度が相互に異なっており、従って、両者を識別することが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる試料の表面物性解析装置の概略構成を示す図。 図1に示す装置による測定方法を説明するための図。 図1の装置による測定データから求めた、荷重と接触針の変位との関係を示すグラフ。 実験に使用した塗膜の組成を示す図。 塗膜にかかる負荷角度の時間変化を説明するための図。 図1の装置による測定データから求めた、試料表面にかかる負荷角度の経時変化を示すグラフ。 図6の測定結果をフーリエ変換した図。 図7のフーリエ変換結果から、周波数帯毎のパワースペクトル面積比を算出し棒グラフで表した図。 図8のパワースペクトル面積比のグラフに対して行った解析結果を示す図。
符号の説明
2 試料板
2a 表面
4 測定ステージ
6 駆動制御装置
8 位置センサおよび測定時間タイマ
10 摩擦力センサ
12 接触針
12a エッジ
14 荷重制御装置
16 荷重センサ
18 変位センサ
20 データ処理装置
22 弾性領域判定部
24 負荷角度変化算出部
26 フーリエ変換部
28 周波数帯毎のパワースペクトル面積比算出部
30 エッジの移動方向
32 圧縮力
34 伸長力
36 摩擦力の反力
38 ノーマルフォース
40 塗膜にかかる力

Claims (5)

  1. 接触針に荷重を与えて試料表面へ接触させ、この状態で前記試料を移動させることにより、前記試料表面に負荷を発生させるステップと、
    前記発生した負荷の角度の経時変化を求めるステップと、
    前記経時変化の波形を周波数軸波形に変換するステップと、
    前記変換された周波数軸波形からパワースペクトルを求めるステップと、を備える、表面物性解析方法。
  2. 請求項1に記載の表面物性解析方法において、さらに、前記接触針に与えた荷重と当該荷重によって生じる前記接触針の変位との関係から、前記試料表面が弾性を維持する弾性領域を判定するステップを有し、前記経時変化を求めるステップあるいは前記周波数軸波形に変換するステップは前記弾性領域内で実行されることを特徴とする、表面物性解析方法。
  3. 試料を設置する試料台と、
    前記試料台を所定方向に移動する移動手段と、
    前記試料台に設置された試料の表面に接触する接触針と、
    前記接触針に荷重を与える荷重手段と、
    前記荷重による前記接触針の変位を検出する変位検出手段と、
    前記接触針と前記試料表面との摩擦力を検出する摩擦力検出手段と、
    前記荷重手段と前記変位検出手段の出力に基づいて、前記試料の表面が弾性を維持する弾性領域を判定する弾性領域判定手段と、
    前記荷重手段と前記摩擦力検出手段の出力に基づいて前記試料表面に発生する負荷の角度の経時変化を算出する負荷角度変化算出手段と、
    前記負荷角度変化の波形を前記判定された弾性領域において周波数軸波形に変換する波形変換手段と、
    前記波形変換手段出力に基づいてパワースペクトルを求めるパワースペクトル算出手段と、を備える、表面物性解析装置。
  4. 請求項3に記載の表面物性解析装置において、前記荷重手段は、前記接触針へ与える荷重の量を時間の経過と共に傾斜的に変化させることを特徴とする、表面物性解析装置。
  5. 請求項3または4に記載の表面物性解析装置において、前記接触針の先端は曲率半径が2〜4μmであることを特徴とする、表面物性解析装置。
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