JP2008139220A - ナノインデンテーション試験の検証方法 - Google Patents

ナノインデンテーション試験の検証方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノインデンテーション試験の信頼性を向上させるため、より明確で簡便なナノインデンテーション試験の検証方法を提供することにある。
【解決手段】タングステン等の金属単結晶から成る基準片12の表面に対して、圧子14の先端を押し込んでその押し込み深さを測定するナノインデンテーション試験における圧子先端の曲率半径等の変化を検出する検証方法であって、圧子14の先端を基準片12の表面に対して荷重をかけて押し込んでその最大押し込み深さを測定すると共に、圧子14の先端の押し込みによるポップイン発生直前の押し込み深さを測定し、これらの最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さ又はこれらの差のうち、少なくとも二つ以上の値を監視して、これらの値の変化に基づいて圧子14の先端の変化を検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬さ試験の一つとしてのナノインデンテーション試験の検証方法に関するものである。
従来、半導体やマイクロマシン等の微小材料や、複数の相や組織からなる構造材料、またこれらの表面にある薄膜や皮膜などの各種材料を対象とした微小硬さ試験として、所謂ナノインデンテーション試験が知られている。このナノインデンテーション試験は、通常の硬さ試験と同様に、圧子を試料に押し込んでその押し込み深さを測定するものである。ここで、ナノインデンテーション試験における押し込み深さは、1μm以下と非常に浅いことから、上記のような微小な部分を対象に力学特性を評価することができる。
ところで、このようなナノインデンテーション試験においては、圧子先端は摩耗等による影響を受けやすい。従って、ナノインデンテーション試験で測定された結果については、生の実験データをそのまま定量的な測定結果とすることはなく、必ず圧子先端の形状の影響を排除するための補正手段が必要となる。また、ナノインデンテーション試験では、従来のビッカース試験とは異なり、押し込み深さを連続的に測定する方式であるため、試験機の剛性の影響や押し込み曲線のゼロ点の判定ミスに影響されやすい。
これに対して、ビッカース硬さ試験においては、圧痕の大きさが数十μmと大きいので圧子先端の磨耗の影響は小さい。また、押し込み曲線ではなく、試料表面に形成されたくぼみである圧痕を光学顕微鏡で観察して硬さを求めるため、試験機の剛性の影響やゼロ点の判定ミスの影響も小さい。このようなビッカース試験においても、他の様々な要因による影響を考慮して、信頼性を向上させるために非特許文献1に示すような試験および試験機の検証を行なうことが推奨されている。この非特許文献1に示す方法では、基準片の硬さを測定することで試験機の間接検証が行なわれる。
一方、ナノインデンテーション試験において、上記の補正を行う手段としては、非特許文献2のように、最大押し込み力を変化させて基準片を多数回測定し、除荷曲線の傾き変化を利用して圧子の断面積を求める方法や、非特許文献3のように、タングステン単結晶のポップイン現象を利用して、圧子の先端の曲率半径を推定する方法が挙げられる。
ここで、ポップイン現象とは、圧子の試験片表面への押し込みの際に、急激に押し込み深さが増加する現象であって、試料が弾性変形から弾塑性変形に移行することをいう。
「ビッカース硬さ試験−試験機の検証」、JIS規格、B7725、p.3、1997年7月 W. C. Oliver, G. M. Pharr, "An improved technique for determining hardness and elastic modulus using load and displacement sensing indentation experiments", J. Mater. Res., Vol.7, pp.1564-1583, 1992 宮原健介、松岡三郎、長島伸夫、「タングステン単結晶(001)面における超微小硬さ試験」、日本機械学会論文集A、63巻、614号、p.2220、日本機械学会、1997年
非特許文献1によるビッカース硬さ試験における試験機の検証方法を、ナノインデンテーション試験に適用した場合、例えば押し込み曲線における最大押し込み深さを利用して試験機の検証を行なうことが考えられる。しかし、ナノインデンテーション試験においては上記した通り様々な原因による影響が考えられるため、最大押し込み深さの変化のみによる方法では、最大押し込み深さの変化が、ゼロ点検出の誤差によるものか、あるいは圧子先端の摩耗等の変化によるものかを判別することが困難である。
しかし、非特許文献2の方法では、基準片を多数回測定する必要があるため、時間もコストも掛かることに加え、さらに得られた結果について複雑な数値解析を行なうことが必要となる。また、非特許文献3による方法では、当該文献の図11に示されている通り、通常使用されるBerkovich圧子に対しては、精度が非常に悪い。また、ポップイン現象の発生した荷重(即ち、不連続降伏の生じた荷重)を利用して、曲率半径または最大剪断応力との関係について記載されているが、ポップイン現象の発生した押し込み深さについては考慮されていない。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、ナノインデンテーション試験の信頼性を向上させるため、より明確で簡便なナノインデンテーション試験の検証方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のナノインデンテーション試験の検証方法は、タングステン等の金属単結晶から成る基準片の表面に対して、圧子先端を押し込んで、その押し込み深さを測定するナノインデンテーション試験における圧子先端の曲率半径等の変化を検出する検証方法であって、圧子先端を基準片の表面に対して荷重をかけて押し込んで、その最大押し込み深さを測定すると共に、圧子先端の押し込みによるポップイン発生直前の押し込み深さを測定し、これらの最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さまたはこれらの差のうち少なくとも二つ以上の値を監視して、これらの値の変化に基づいて圧子先端の変化を検出することを特徴とする。
上記構成によれば、最大押し込み深さのみで圧子先端の曲率半径等の変化を検証するのではなく、ポップイン発生直前の押し込み深さも測定し、最大押し込み深さ、ポップイン発生直前の押し込み深さそしてこれらの差のうち、少なくとも二つ以上の値を監視することによって、圧子先端の曲率半径等の変化を高精度で監視することができる。このため、従来法に比べると、押し込み深さのゼロ点検出の誤差の影響を受けることがなく、しかも高い感度にて監視することができる。
本発明によるナノインデンテーション試験の検証方法は、好ましくは、最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さの差を監視すると共に、ポップイン発生直前の押し込み深さまたは押し込み力が大きく変化したときには、前記差の変化を圧子先端の変化とは判定しない。この構成によれば、例えば基準片の測定位置に塑性変形を誘起する欠陥が偶然に存在しているときに、ポップイン発生が圧子先端の変化であると誤判定するおそれがない。
本発明によるナノインデンテーション試験の検証方法は、好ましくは、最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さの差を監視すると共に、最大押し込み深さが変化しても前記差が変化しないときには、ゼロ点検出ミスであると判定する。これにより、最大押し込み深さのみを監視しているときのように圧子先端等の変化であると誤判定するおそれがない。
本発明によるナノインデンテーション試験の検証方法は、好ましくは、曲率半径Rが既知である複数の圧子について下記式、
{hmax (exp)−hpop (exp)}(ここで、hmax (exp)は最大押し込み深さの誤差を含む測定値であり、hpop (exp)はポップイン現象の発生直前の押し込み深さの誤差hを含む測定値である。)を測定して、これが曲率半径Rの一次式で表現されることを利用して、この一次式の定数を求め、曲率半径Rが未知である圧子の{hmax (exp)−hpop (exp)}を測定して、上記定数から上記曲率半径Rが未知である圧子の曲率半径Rを推定する。これにより、先端曲率半径Rが未知である圧子についても、実験的に{hmax (exp)−hpop (exp)}を求めることで、先端曲率半径Rを推定することが可能となる。
本発明によれば、圧子先端の曲率半径等の変化を容易に且つ高精度で検出することによって、ナノインデンテーション試験の安定性を確実に検証することができる。
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明によるナノインデンテーション試験の検証方法の一実施形態を実施するための試験機の構成を示している。図1において、試験機10は、固定配置されたステージ11上に載置された試験片12と、ステージ11の上方に配置され且つ上下動可能に支持された取付ヘッド13と、取付ヘッド13の下端に取り付けられた圧子14と、取付ヘッド13を下方に向かって所定の荷重で押下させる駆動部15と、取付ヘッド13の上下方向の移動距離を測定する変位計16と、変位計16からの測定値に基づいて解析処理を行なう処理部17と、から構成されている。
ステージ11は、上面が平坦に形成されていると共に、例えば三次元方向に移動調整可能に構成されている。
試験片12は、硬さ試験を行なうべき材料から成る試験片であって、図示の場合には扁平な板状に形成されていると共に、試験機10の検証の際には、例えばタングステン等の金属単結晶から構成される基準片が使用される。
取付ヘッド13は、その下端に例えばチャックにより圧子14を着脱可能に保持し得るように構成されている。
圧子14は、例えばダイヤモンド等の高硬度材料から構成されており、その下方の先端が球、角錐、円錐状などに形成されている。
駆動部15は、取付ヘッド13を下方へ移動させることにより、取付ヘッド13に装着された圧子14の先端をステージ11上に載置された試験片12に対して当接させ、さらに所定の荷重を印加することで圧子14の先端を試験片12の表面に押し込むようになっている。
変位計16は、例えば光学変位計であって、取付ヘッド13に装着された圧子14の先端が試験片12の表面に当接した状態から、下方への押し込み深さを測定するようになっている。
処理部17は、例えばパーソナルコンピュータ等から構成されており、インストールされたプログラムの稼動により、硬さ試験における押し込み深さを検出すると共に、後述する検証を行なうようになっている。
本発明実施形態による試験機10は以上のように構成されており、以下のように動作する。
即ち、まず試験片の硬さ試験を行なう場合には、ステージ11上に試験片12を載置した状態にて、駆動部15により取付ヘッド13をステージ11に向かって下降させる。そして、圧子14の先端がステージ11上に載置された試験片12の表面に接触したとき、変位計16により上下方向の位置を読み取って、この位置をゼロ点とする。
続いて、駆動部15を駆動して圧子14の先端を所定の荷重をかけて下降させる。これにより、圧子14の先端は、試験片12の表面から下方へ押し込まれることになり、再び変位計16で上下方向の位置を読み取って、この位置を最大押し込み深さとする。
そして、処理部17は、これらのゼロ点と最大押し込み深さとから最大押し込み深さの測定値を検出する。
以上で、当該試験片12の硬さ試験が行なわれる。
次に、試験機10の検証を行なう場合には、試験片12として基準片を使用する。この基準片は、圧子14の押し込みによってポップイン現象が発生するものが選択される。そして、変位計16により測定された押し込み深さに基づいて、処理部17が以下のように検証を行なう。
圧子14の押し込みの際に、図2に示すように、先端に丸みを備えた圧子14による試験片12への押し込み深さ(h)において、以下の式が成立することが知られている。即ち、
Figure 2008139220
Figure 2008139220
ここで、hmax (exp)は最大押し込み深さの誤差を含む測定値、hmax (true)は最大押し込み深さの誤差を含まない真値、hmax (true,ideal)は先端に丸みのない理想形状の圧子14の場合の最大押し込み深さの真値、hはゼロ点検出の誤差、Errorはその他の要因によるランダムな実験誤差、hround は圧子14の先端が丸みを帯びていることによるオフセット長さ、hpop (exp)はポップイン現象の発生直前の押し込み深さの誤差hを含む測定値、hpop (true)はポップイン現象の発生直前の押し込み深さの誤差hを含まない真値である。
また、圧子14の先端形状に関して、先端に丸みのある三角錐圧子モデルにおいては、次式
Figure 2008139220
の関係があることが知られている。
ここで、Rは圧子14の先端の曲率半径、aは圧子14の中心軸と円錐状の側面のなす角度(Berkovich圧子では65度)、kは定数である。
さらに、曲率半径Rの圧子14による弾性変形は、Hertz接触により、
Figure 2008139220
が成立する。ここで、Fは押し込み力、E は複合ヤング率である。
その際の圧子14により試験片12に形成される応力場での最大剪断応力tmax は、
Figure 2008139220
となることが知られている。
従って、最大剪断応力tmax が試験片(基準片)12の臨界剪断応力tに達したときに、図3に示すようにポップイン現象が発生することから、上記式(4)及び(5)から、ポップイン現象の発生直前の押し込み深さhpop は、
Figure 2008139220
により求められる。ここで、kは定数である。
ただし、塑性変形を誘起する欠陥が試験対象である試験片(基準片)の試験位置に偶然に存在している場合には、臨界剪断応力t以下であっても、ポップイン現象が発生することになるので、正確には
Figure 2008139220
の関係がある。
そして、上述した式(1)から、式(3)及び(6)を用いて、
Figure 2008139220
が得られる。ここで、C,kは定数である。
従って、処理部17が、最大押し込み深さとポップイン現象発生直前の押し込み深さの測定値の差{hmax (exp)−hpop (exp)}を監視することによって、ゼロ点検出の際の誤差h0 の影響を受けることなく、圧子14の先端の曲率半径Rの変化が監視され得ることになる。
さらに、hmax (exp)やhpop (exp)を監視する場合と比較して、曲率半径の係数がk=(k+k)であるので、監視の感度が向上している。
ところで、前述したように、塑性変形を誘起する欠陥が試験対象である試験片(基準片)の試験位置に偶然に存在している場合には、上述した式(8)を適用することができない。このようなときには、処理部17が、ポップイン現象発生直前の押し込み深さの測定値hpop (exp)や、ポップイン現象の発生したときの押し込み力Fpop (exp)が大きく変化していないか確認することにより、式(8)を適用してもよいか否かを判定することが可能である。
図4は、測定における各パラメータの影響を受ける要因との関係を示す図である。このようにして、図4に示すように、上述した各パラメータ、即ち最大押し込み深さの測定値hmax (exp),ポップイン現象発生直前の押し込み深さの測定値hpop (exp)そして、これらの差{hmax (exp)−hpop (exp)}に関して、最大押し込み深さの測定値hmax (exp)は、圧子先端の曲率半径R,ゼロ点検出の誤差h0 ,基準片の欠陥そして試験機10の剛性の影響を受ける。
また、ポップイン現象発生直前の押し込み深さの測定値hpop (exp)は、圧子先端の曲率半径R,ゼロ点検出の誤差h0 ,基準片の欠陥の影響を受ける。さらに、これらの差{hmax (exp)−hpop (exp)}は、圧子先端の曲率半径R,基準片の欠陥そして試験機10の剛性の影響を受ける。
ここで、試験機10の剛性の影響は、荷重が大きくなる程大きくなるので、最大押し込み深さの測定値hmax (exp)は特に試験機10の剛性の影響を受けやすい。
従って、これらのパラメータのうち少なくとも二つ以上のパラメータを総合的に監視することによって、これらのパラメータの変化の原因を容易に判別することができる。これにより、ゼロ点検出の誤差h0 ,基準片の欠陥そして試験機10の剛性の影響を排除することが可能になり、圧子先端の曲率半径Rの変化を確実に検出することが可能になる。
また、上記式(8)において、k=(k+k)やCは基準片および実験条件が同じである限り、定数であるので、本発明以外の手段によって先端曲率半径Rが既知である複数の圧子を用いて実験を行なえば、これらの定数を求めることができる。つまり、曲率半径Rが既知である複数の圧子の下記式、
{hmax (exp)−hpop (exp)}(ここで、hmax (exp)は最大押し込み深さの誤差を含む測定値であり、hpop (exp)はポップイン現象の発生直前の押し込み深さの誤差hを含む測定値である。)
を測定して、これが曲率半径Rの一次式で表現されることを利用して、この一次式の定数を求める。
次に、曲率半径Rが未知である圧子の{hmax (exp)−hpop (exp)}を測定して、上記定数から上記曲率半径Rが未知である圧子の曲率半径Rを推定することができる。
これにより、先端曲率半径Rが未知である圧子についても、実験的に{hmax (exp)−hpop (exp)}を測定し、圧子に関する上記定数を求めることで、先端曲率半径Rを推定することが可能になる。
具体的には、例えば試験機10を用いてタングステン等のポップインが発生する基準片を定期的に測定することにより、上記三つのパラメータを得る。そして、hmax (exp)及びhpop (exp)が変化しても、その差の値が不変であれば、hmax (exp)及びhpop (exp)の変化は、ゼロ点検出の誤差によるものであると容易に推測することができる。
このような場合、従来のように最大押し込み深さhmax (exp)のみを監視していると、上述した変化が圧子先端の曲率半径等の変化であると誤判定するおそれがある。
以下、本発明によるナノインデンテーション試験の検証方法についての実施例を説明する。
新品の状態での圧子と、その後多数回試験を行なうことで先端が摩耗したと推定される状態の圧子に対して、タングステン単結晶のナノインデンテーション試験を行なった結果を示す。これらの圧子に対して、同じ試験機,タングステン単結晶の基準片を使用して、ナノインデンテーション試験を行なった。
図5は、新品の状態の圧子とその後多数回使用した圧子における押し込み力と押し込み深さとの関係を示すグラフである。図5において、横軸は押し込み深さ(nm)を示し、縦軸は押し込み力(mN)を示している。新品の状態の圧子14については符号Aで示す特性曲線が、また多数回使用した圧子14については符号Bで示す特性曲線が得られた。図5から明らかなように、最大押し込み深さhmax の変化(−20.6nm)に対して、ポップイン現象発生直前の押し込み深さhpop の変化(+49.4nm)は、絶対値で大きく、それだけ圧子の変化に対して敏感であるといえる。すなわち、この場合には、kよりもkの方が大きい。
また、これらの二つのパラメータhmax (exp)及びhpop (exp)は、変化の方向が逆であることから、これらの差(hmax −hpop )は、変化量が70.0nmとなり、差を監視する方が圧子の変化に対して感度が高くなることが分かる。すなわち、式(8)で説明したように、k=k+kであるので、kはkもしくはkの何れよりも大きいことから感度が高い測定方法となっている。
さらに、ゼロ点検出の誤差について説明する。
図6は、ゼロ点検出の誤差の有無による押し込み力と押し込み深さとの関係を示すグラフである。図6において、横軸は押し込み深さ(nm)を示し、縦軸は押し込み力(mN)を示している。図6では、基準片に対して試験位置を変えて、連続してナノインデンテーション試験を行なった結果を示している。ここで、符号Cで示す特性曲線はゼロ点検出が正しく行なわれているが、符号Dで示す特性曲線はゼロ点検出が正しく行なわれていない。このため、特性曲線Dにおいては、測定された押し込み深さに関してゼロ点検出の誤差がオフセットとして現われている。
これらの特性曲線C,Dについて、前述したパラメータの差(hmax −hpop )を求めると、それぞれ214nm,217nmとなり、ほぼ同等の結果が得られる。従って、パラメータの差(hmax −hpop )は、ゼロ点検出の誤差の影響を殆ど受けることなく、圧子の変化を検出することができることが分かる。
ここで、ゼロ点検出の誤差は、測定者の判断によりゼロ点を再設定することも可能であるが、ゼロ点の判別が明確でない場合もあり、また処理の自動化のためにはできるだけ手動による処理を排除することが望ましい。
さらに、実際の試験でも正確なゼロ点検出は押し込み深さの検出と比較して困難であることから、ポップイン現象を利用して、前述したパラメータの差(hmax −hpop )を計算してゼロ点検出の誤差の影響を受けないパラメータを監視することにより、総合的にナノインデンテーション試験の安定性を評価することは、実務上十分に意義がある。
本発明によれば、ナノインデンテーション試験の信頼性を向上させるため、より明確で簡便な極めて優れたナノインデンテーション試験の検証方法が提供される。
本発明によるナノインデンテーション試験の検証方法の一実施形態を実施するための試験機の構成例を示す概略図である。 図1の試験機における圧子先端を示す部分拡大断面図である。 図1の試験機における測定結果である押し込み力と押し込み深さとの関係を示すグラフである。 各パラメータの影響を受ける要因との関係を示す図である。 新品の状態の圧子とその後多数回使用した圧子における押し込み力と押し込み深さとの関係を示すグラフである。 ゼロ点検出の誤差の有無による押し込み力と押し込み深さとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10:試験機
11:ステージ
12:試験片(基準片)
13:取付ヘッド
14:圧子
15:駆動部
16:変位計
17:処理部

Claims (4)

  1. タングステン等の金属単結晶から成る基準片の表面に対して圧子先端を押し込んで、その押し込み深さを測定するナノインデンテーション試験における圧子先端の曲率半径等の変化を検出する検証方法であって、
    圧子先端を基準片の表面に対して荷重をかけて押し込んで、その最大押し込み深さを測定すると共に、
    圧子先端の押し込みによるポップイン発生直前の押し込み深さを測定し、
    これらの最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さまたはこれらの差のうち少なくとも二つ以上の値を監視して、
    これらの値の変化に基づいて、圧子先端の変化を検出することを特徴とする、ナノインデンテーション試験の検証方法。
  2. 最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さの差を監視すると共に、ポップイン発生直前の押し込み深さまたは押し込み力が大きく変化したときには、前記差の変化を圧子先端の変化とは判定しないことを特徴とする、請求項1に記載のナノインデンテーション試験の検証方法。
  3. 最大押し込み深さとポップイン発生直前の押し込み深さの差を監視すると共に、最大押し込み深さが変化しても、前記差が変化しないときにはゼロ点検出ミスであると判定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のナノインデンテーション試験の検証方法。
  4. 前記曲率半径Rが既知である複数の圧子の下記式、
    {hmax (exp)−hpop (exp)}(ここで、hmax (exp)は最大押し込み深さの誤差を含む測定値であり、hpop (exp)はポップイン現象の発生直前の押し込み深さの誤差hを含む測定値である。)
    を測定して、これが前記曲率半径Rの一次式で表現されることを利用して、該一次式の定数を求め、
    曲率半径Rが未知である圧子の{hmax (exp)−hpop (exp)}を測定して、上記定数から上記曲率半径Rが未知である圧子の曲率半径Rを推定することを特徴とする、請求項1に記載のナノインデンテーション試験の検証方法。
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