JP2007112934A - 微細顔料、その製造方法及びそれを用いた着色組成物 - Google Patents

微細顔料、その製造方法及びそれを用いた着色組成物 Download PDF

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Abstract


【課題】良好な生産効率および環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しないという乾式粉砕法の利点を活かしながら、顔料粒子の微細化、整粒を効率的に実現する、キノフタロン顔料またはイソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料の製造方法を提供する。
【解決手段】キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料から選ばれる微細顔料であって、標準偏差/平均粒径で表される変動係数が、平均粒径が10〜15nmのものでは50%以下、平均粒径が16〜25nmのものでは35%以下、平均粒径が26〜35nmのものでは25%以下、平均粒径が36〜50nmのものでは20%以下である粒度分布を有することを特徴とする微細顔料であって、粗製顔料を湿潤剤の存在下に乾式粉砕する工程(1)、及び乾式粉砕物を水溶性無機塩類と水溶性有機溶剤の混合物として湿式粉砕する工程(2)により得られる。

Description

本発明は、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料に関し、更に詳細には、微細でかつ均一な粒子径に整粒され、分散性が極めて良好であり、カラー液晶表示装置および固体撮像素子に用いられるカラーフィルターに使用すると、優れた粘度特性を有し、さらにコントラスト比の高い均一な着色膜を形成し、表示品位の優れたすなわち高い明度、鮮明性、透過率を有するカラーフィルターを提供することのできる上記顔料に関する。
有機顔料には、例えばアゾ顔料のように合成時に適切な反応条件を選択することにより微細で整粒された粒子を得ることができるものもあるが、銅フタロシアニングリーン顔料のように合成時に生成する極めて微細で凝集した粒子を後工程で粒子成長、整粒させることにより顔料化するもの、銅フタロシアニンブルー顔料のように合成時に生成する粗大で不揃いな粒子を後工程で微細化し、整粒させることにより顔料化を行うものもある。
粗大な顔料粒子を微細化させる方法として現在広く用いられている方法に、湿式粉砕法、乾式粉砕法等がある。
湿式粉砕法の一例として、粗大な粗製顔料粒子を塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩類とエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の粘性の高い水溶性有機溶剤の存在下で、ニーダー等により機械的に摩砕して顔料化する方法が一般的に広く用いられている。
湿式粉砕法は、微細化、整粒させるのには有効な方法である。しかし近年の液晶ディスプレイがモニター用途から大型カラーテレビ用途に拡大するに従って高いコントラスト比が求められるようになり、その要求に応じて、顔料も印刷インキ、グラビアインキ、着色剤で通常使用されているレベルよりさらに微細化、整粒化が求められている。微細化のためにはより多くの無機塩類による摩砕や長時間の摩砕により達成可能であるが、電力消費量が大きいため、単位エネルギー当たりの生産性が悪く顔料は高価になってしまう。また顔料に対して数倍量以上の無機塩類と数倍量以上の有機溶剤を使用するため、これらの無機塩類、有機溶剤を顔料から分離した後の洗浄、ろ過工程で発生する大量の水、有機溶剤及び無機塩混合の廃液は、COD値、BOD値が高く、産業廃棄物としての処理工程が必要であり、コストアップや環境に与える負荷も大きいという点で問題である。また微細化のみで整粒が不十分だと着色組成物が高粘度になるために塗工時の色むらや分散顔料の凝集によるコントラスト比低下の要因になってしまう。
乾式粉砕法は、粗大な粗製顔料粒子をボールミル、アトライター、振動ミル等により乾式で粉砕することで顔料化を行う方法でありソルベントソルトミリング法と比較して単位エネルギー当たりの生産効率は良く、環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しない点では好ましい方法である。しかしながら乾式粉砕を単に適用すると粗製顔料粒子を微細化することはできるものの粒子径のばらつきが大きくまた粒子間の凝集力が極めて強いため多くの場合得られた顔料は多数の微細化された一次粒子が極めて強い力で結合した巨大な凝集体しか得られない。
特開2002−105351号公報(特許文献1)にはキノフタロン顔料を機械的に粉砕後、ニーダーでジエチレングリコールと食塩で湿式粉砕する方法が開示されている。この方法によれば、確かに微細化は進行して透過率は向上するが整粒化は十分に進行しないために高いコントラスト比を得ることは困難であった。
特開平10−36697号公報(特許文献2)にはイソインドリン顔料と水溶性の無機塩と炭素数5〜20の脂肪酸及び水溶性の溶剤で湿式粉砕して微細顔料の製造法が開示されているが、この方法では高いコントラスト比を得ることは不十分であった。
特開2002−105351号公報 特開平10−36697号公報
本発明は、微細でかつ整粒化されたキノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料を提供する。
また本発明は、生産効率が高く環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しないという乾式粉砕法の利点と、整粒化に適した湿式粉砕法の利点を生かしたキノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料の製造方法を提供する。
すなわち本発明は、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料から選ばれる微細顔料であって、標準偏差/平均粒径で表される変動係数が、平均粒径が10〜15nmのものでは50%以下、平均粒径が16〜25nmのものでは35%以下、平均粒径が26〜35nmのものでは25%以下、平均粒径が36〜50nmのものでは20%以下である粒度分布を有することを特徴とする微細顔料に関する。
更に本発明は、キノフタロン顔料が、C.I.ピグメントイエロー138である上記微細顔料に関する。
更に本発明は、イソインドリン顔料が、C.I.ピグメントイエロー139またはC.I.ピグメントイエロー185である上記微細顔料に関する。
更に本発明は、アゾ金属錯体顔料が、C.I.ピグメントイエロー150である請求項1記載の微細顔料に関する。
更に本発明は、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料から選ばれる粗製顔料を湿潤剤の存在下に乾式粉砕する工程(1)、及び乾式粉砕物を水溶性無機塩類と水溶性有機溶剤の混合物として湿式粉砕する工程(2)により得られることを特徴とする上記微細顔料の製造方法に関する。
更に本発明は、湿潤剤が、有機溶剤又は高級脂肪酸である上記製造方法に関する。
更に本発明は、湿式粉砕が、高級脂肪酸の存在下に行われる上記製造方法に関する。
更に本発明は、上記微細顔料と顔料担体とを含むことを特徴とする着色組成物に関する。
更に本発明は、更にC.I.ピグメントグリーン36を含む上記着色組成物に関する。
更に本発明は、更にC.I.ピグメントレッド254または/及びC.I.ピグメントレッド177を含む上記着色組成物に関する。
本発明で得られた、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料は、微細かつ高度に整粒されており、顔料担体とともに分散体としたものは、塗工に適する低い粘度特性を有し、得られた皮膜は、高い明度、鮮明性及び透過率を有する。
本発明で得られた、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料は、カラー液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターに使用されるC.I.ピグメントグリーン36等の緑顔料の補色顔料として、又、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177のような赤顔料の補色顔として好ましい吸収波長特性を有しており、かつ微細で整粒された顔料粒子であるので、カラーフィルターの特性として重要なコントラスト比の高い着色皮膜が得られる。
本発明によれば、乾式粉砕時に、顔料が湿潤剤との接触による湿潤効果で、より摩砕が進むので、微細化され整粒化された、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料が得られる。
更に本発明によれば、生産効率が良く環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しないキノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料の製造方法を提供となる。
本発明のキノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料から選ばれる微細顔料の変動係数が、平均粒径10〜15nmのものでは50%以下好ましくは35%以下、平均粒径が16〜25nmのものでは35%以下好ましくは25%以下、平均粒径が26〜35nmのものでは25%以下好ましくは20%以下、平均粒径が36〜50nmのものでは20%以下好ましくは15以下である粒度分布を有する。本発明において、変動粒径を計算するのに必要な標準偏差と平均粒径は、得られた微細顔料を電子顕微鏡で観察し、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMacview Ver.3(マウンテック社製)で一次粒子粒度分布解析を行い、平均粒径、変動係数を算出する。これから変動粒径=標準偏差/平均粒径により求めることができる。
本発明において変動係数はが小さい程整粒が進んでいると判断できる。例えば平均粒子径が30nmで標準偏差が10nmの場合は変動係数は33.3%である。また微細化が進行して平均粒子径が20nmになって標準偏差が5nmの場合は25であるが、しかしながら微細化が進行して平均粒子径が20nmになっても標準偏差が変化なく10nmの場合は変動係数は50%になってしまう。このことは単にニーダー等で強制的に微細化させても標準偏差(粒子径のバラツキの尺度)が小さくならないと粗大粒子が混在していてカラーフィルターの特性であるコントラスト比は向上しない。
本発明の粗製顔料は、顔料として一般に入手可能な市販顔料でも、市販顔料として顔料化される前の粗大な粒子を含む合成されたままの顔料でも良い。
本発明の乾式粉砕は、粗製顔料と湿潤剤を粉体の状態を保持したままで、粗製顔料を粉砕するものである。従って、湿潤剤は顔料の表面を濡らす程度の添加量に止める必要があり、具体的には、顔料に対して0.5重量%〜50重量%の範囲であり、好ましくは装置内での内容物の付着の危険性から1重量%から20重量%の範囲である。
本発明において使用する乾式粉砕装置については特に制限はないが、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した通常の乾式粉砕機、例えばボールミル(セイワ技研)、アトライター(三井鉱山株式会社製)、振動ミル(中央化工製)などの装置を用いることができる。粉砕は粉砕メディア同士の衝突や摩擦を通じて進行する。また、工程(1)は、必要に応じて粉砕容器の内部を減圧したり、窒素ガスなどの不活性ガスを充填して行ってもよい。工程(2)で使用する装置については特に制限はないがトリミックス(井上製作所製)、スーパーミックス(新栄機械製)や摩砕効果が高いニーダー(井上製作所製)等の装置を用いることができる。
本発明の乾式粉砕においては湿潤剤を使用する。湿潤剤としては、顔料と接触させることで、顔料が湿潤して摩砕効果が増大し微細化が促進するものであれば特に制限はないが、有機溶剤又は高級脂肪酸が好ましい。
有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。しかしあまり低沸点の有機溶剤は乾式粉砕機の内部温度が高いと発火の恐れがあるのでその選定は注意が必要である。
高級脂肪酸としては、炭素数が多い酸でグリセリンとの反応で油脂を構成し、広く動物脂肪や植物油の成分として使用されるように親油性の強い水に難溶の酸であり、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、リノレン酸、オレイン酸等があり、炭素数は10以上の脂肪酸が望ましく、さらに常温で液体である不飽和高級脂肪酸が望ましい。これに対して炭素数の少ない脂肪酸には酢酸、吉草酸、ラク酸があり、遊離酸の状態になり親水性である。顔料が湿潤して摩砕効果が増大し微細化が促進する脂肪酸は親油性が望ましく、また工程(2)で使用する水溶性無機塩類、水溶性有機溶剤を顔料から分離した際の洗浄、ろ過工程で水を使用するため親水性の脂肪酸は水中に溶解してしまい、BOD、CODの増加の要因になるので好ましくない。また必要に応じて2種類以上の高級脂肪酸を混合して使用してもよい。
本発明における乾式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが、粉砕メディアによる磨砕を効果的に進行させるため以下の条件が特に好ましい。すなわち、装置がアトライターの場合の運転条件は以下の通りである。装置の回転数は、100〜500rpmが好ましく、運転時間は0.5時間〜8時間が好ましく、装置の内温は、50〜150℃が好ましいが望むらくは安全上の観点から100℃以下がより好ましい。また粉砕メディアは直径4〜30mmの球形が好ましく、メディアの使用量は顔料の5〜50倍重量が好ましい。
また、装置がボールミルの場合の運転条件は以下の通りである。装置の回転数は50〜200rpmが好ましく運転時間は1時間〜12時間が好ましく装置の内温は30〜100℃が好ましい。また粉砕メディアは直径10〜50mmの球形が好ましくメディアの使用量は顔料の5〜50倍重量が好ましい。
本発明において湿式粉砕は、乾式粉砕物を水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と共に粘長な液状組成物として粉砕する工程である。
水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。しかし少量用いることで顔料に吸着して廃水中に流失しないならばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いても良く、また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
本発明において水溶性無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
水溶性無機塩の使用量は顔料の1〜50倍重量、多い方が摩砕効果はあるが、より好ましい量は生産性の点で1〜10倍重量で、さらに水分が1%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤の使用量は、顔料に対して50重量%から300重量%の範囲であり、好ましくは100重量%から200重量%の範囲である。 本発明における湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが粉砕メディアによる磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10〜200rpmが好ましく、また2軸の回転比が相対的に大きいほうが摩砕効果が大きく好ましい。運転時間は乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50〜150℃が好ましい。また粉砕メディアである水溶性無機塩は粉砕粒度が5〜50μmで粒子径の分布がシャープで且つ小さく、球形が好ましく、
本発明においては、工程(1)および工程(2)において、調色の目的でキノフタロン顔料、イソインドリン顔料、アゾ金属錯体顔料以外の顔料を混合して使用してもよい。混合する顔料としては、特に制限はないがフタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、ジアントラキノン系、ペリレン系、ジオキサジン系等を挙げることができる。
本発明においては、工程(1)および工程(2)において、必要に応じて顔料、有機溶剤、高級脂肪酸の他に樹脂、界面活性剤、色素誘導体等を添加してもよい。 使用する樹脂としては特に制限はないがロジン、ロジン誘導体、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ゴム誘導体、タンパク誘導体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレン樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアマイド樹脂、ポリイミド樹脂、アルキッド樹脂、ゴム系樹脂、セルロース類、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、および上記樹脂のオリゴマー、モノマー類を挙げることができる。使用する界面活性剤としては特に制限はないがアニオン性、中性、カチオン性いずれかを用いても良い。色素誘導体としてはキノフタロン顔料、イソインドリン顔料、アゾ金属錯体顔料骨格に塩基性または酸性の基が末端に付加したものを用いることができる。
本発明の顔料は、分散用樹脂溶液中に分散することでオフセット用印刷インキ、グラビア用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト剤が得られる。顔料の分散用樹脂溶液中への分散には三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー等の各種分散手段を使用できる。また、これらの分散を良好とするために適宜、各種界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤を添加できる。分散助剤は顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きい。これらの印刷インキ、着色レジスト剤等は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子さらに好ましくは、0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行い製造する。
また感光性透明樹脂溶液中に分散することによりカラーフィルターの製造に用いられる着色組成物が得られる。顔料と感光性透明樹脂溶液とは固形分重量比において1:4〜10:1の割合で配合される。顔料の感光性透明樹脂溶液への分散には三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー等の各種分散手段を使用できる。また、これらの分散を良好とするために適宜、各種界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤を添加できる。分散助剤は顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので分散助剤を用いて顔料を感光性透明樹脂溶液に分散してなる着色組成物を用いた場合には透明性に優れたカラーフィルターが得られる。
感光性透明樹脂溶液中に含有される透明樹脂は可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上、好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、放射線照射により硬化して樹脂と同様の塗膜を形成するモノマー、オリゴマー等があり、これらを単独または2種類以上混合して用いることができる。しかしながらカラーフィルターの製造における後の工程において高温加熱の処理が行われるため加熱処理においても耐性のよい樹脂を用いることが必要とされる
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂は例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等の光架橋性基を導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した重合物も用いられる。
放射線照射により硬化して樹脂と同様の塗膜を形成するモノマー、オリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートプレポリマー等が挙げられる。
また、紫外線照射により着色組成物の硬化を行うときには、光開始剤等が用いられる。光開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光開始剤、、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系、ベンゾフェノン系光開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光開始剤およびカルバゾール系光開始剤、イミダゾール系光開始剤等の化合物が用いられる。
上記光開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
カラーフィルタ用着色組成物には、着色剤を充分に分散させ、ガラス基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布するために溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いる。
現在カラーフィルターの製造法としては耐候性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっており、主に下記の2通りの方法でカラーフィルターが製造されている。第一の方法は感光性透明樹脂溶液中に顔料を分散したものをガラス等の透明基板に塗布し乾燥により溶剤を除去した後、一つのフィルター色のパターン露光を行い、次いで未露光部を現像工程で除去した後一色目のパターンを形成、必要により加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルター色について順次繰り返すことによりカラーフィルターを製造することができる。
第二の方法は透明樹脂溶液中に顔料を分散したものをガラス等の透明基板に塗布し乾燥により溶剤を除去した後、その塗膜上にポジ型レジスト等のレジストを塗布し、一つのフィルター露光を行い、現像してレジストパターンを形成し、これをエッジングレジストとしてレジストパターンの付いていない顔料分散塗膜を剥離して1色目のパターンを形成、必要により加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルター色について順次繰り返すことによりカラーフィルターを製造することができる。なお、レジストの現像と顔料分散塗膜のエッジングを同時に行うこともできる。
本発明の方法により製造された有機顔料は微細化されかつ均一な粒子形状に整粒されている。このため、本発明で得られた有機顔料を、微細な粒子状態を保持したまま均一に感光性透明樹脂溶液中に分散させてなるカラーフィルター用着色組成物すなわちレジストインキにすると安定した粘度特性および高い明度、鮮明性、透過率を有するカラーフィルターを実現することができる。
次に本発明を、実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
キノフタロン顔料(C.I.ピグメントイエロー138,BASF社製商品名パリオトールイエローK0961HD)80g、リノール酸4gを直径8mmのスチールビーズ2kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数360rpmで80℃、1時間運転し、乾式粉砕物を得た。
上記乾式粉砕物270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕、乾燥した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を90℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。2時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例2]
実施例1の乾式粉砕物200g、塩化ナトリウム1400g(顔料に対して7倍量)、磨砕時間を3時間に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。
[実施例3]
実施例1の乾式粉砕物150g、塩化ナトリウム1500g(顔料に対して10倍量)、磨砕時間を4時間に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。
[比較例1]
キノフタロン顔料(C.I.ピグメントイエロー138,BASF社製商品名パリオトールイエローK0961HD)270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕、乾燥した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を90℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。8時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例4]
イソインドリン顔料(C.I.ピグメントイエロー139,BASF社製商品名パリオトールイエロー1819D)80g、オレイン酸8gを直径8mmのスチールビーズ2kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数360rpmで60℃、1時間運転し、乾式粉砕物を得た。
上記乾式粉砕物270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕、乾燥した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を60℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。2時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例5]
実施例4の乾式粉砕物200g、塩化ナトリウム1400g(顔料に対して7倍量)、磨砕時間を3時間に変えた以外は実施例4と同様の操作を行った。
[実施例6]
実施例4の乾式粉砕物150g、塩化ナトリウム1500g(顔料に対して10倍量)、磨砕時間を4時間に変えた以外は実施例4と同様の操作を行った。
[比較例2]
イソインドリン顔料(C.I.ピグメントイエロー139,BASF社製商品名パリオトールイエ ロー1819D)270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を60℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。8時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満の乾燥顔料を得た。これをハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例7]
イソインドリン顔料(C.I.ピグメントイエロー185,BASF社製商品名パリオトールイエローD1155)80g、ジエチレングリコール4gを直径8mmのスチールビーズ2kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数360rpmで80℃、1時間運転し、乾式粉砕物を得た。
上記乾式粉砕物270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕、乾燥した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を80℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。2時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例8]
実施例7の乾式粉砕物200g、塩化ナトリウム1400g(顔料に対して7倍量)、磨砕時間を3時間に変えた以外は実施例7と同様の操作を行った。
[実施例9]
実施例7の乾式粉砕物150g、塩化ナトリウム1500g(顔料に対して10倍量)、磨砕時間を4時間に変えた以外は実施例7と同様の操作を行った。
[比較例3]
イソインドリン顔料(C.I.ピグメントイエロー185,BASF社製商品名パリオトールイエ ローD1155)270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕、乾燥した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を80℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。8時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例10]
アゾ金属錯体顔料(C.I.ピグメントイエロー150,バイエル社製商品名イエローピグメントE4GN−GT)80g、オレイン酸4gを直径8mmのスチールビーズ2kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数360rpmで80℃、1時間運転し、乾式粉砕物を得た。
上記乾式粉砕物270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)オレイン酸27gと共に3Lニーダーに加えた。熱媒を100℃にコントロールしてジエチレングリコール500g及びオレイン酸4gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。2時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して顔料を得た。
[実施例11]
実施例10の乾式粉砕物200g、塩化ナトリウム1400g(顔料に対して7倍量)、磨砕時間を3時間に変えた以外は実施例10と同様の操作を行った。
[実施例12]
実施例10の乾式粉砕物150g、塩化ナトリウム1500g(顔料に対して10倍量)、磨砕時間を4時間に変えた以外は実施例10と同様の操作を行った。
[比較例4]
アゾ金属錯体顔料(C.I.ピグメントイエロー150,バイエル社製商品名イエローピグメント E4GN−GT)270gを平均粒径20μmの分布を有する粉砕した塩化ナトリウム1350g(顔料に対して5倍量)と共に3Lニーダーに加えた。熱媒を100℃にコントロールしてジエチレングリコール500gを加え良好なドウ状態を形成後、磨砕を開始した。10時間磨砕後、内容物の5倍の水中に加え攪拌し、塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを溶解させた後、ろ過、精製を行って顔料と分離させた。この水を含んだウェットケーキをオーブンで80℃、24時間熱処理を行い、水分1%未満になるまで乾燥した後、ハンマーミル型粉砕機で粉砕し、5mmのスクリーンを通して粉砕顔料を得た。
以上の結果を表1に記載した。
得られた微細顔料は電子顕微鏡で観察し、粒子径を目で観察すると同時に、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMacview Ver.3(マウンテック社製)で一次粒子粒度分布解析を行い、平均粒径、変動係数を算出し、それを整粒度合いの指標にした。
感光性着色組成物は下記の方法で作成した。すなわち顔料4.5部、アクリル樹脂溶液24.0部、トリメチロールプロパントリアクリレート5.4部 (新中村化学社製「NKエステルATMPT」)、光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」)0.3部、 増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)0.2部、シクロヘキサノン 65.1部の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、1μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型感光性着色組成物を作製した。
得られた感光性着色組成物の粘度を測定した。また感光性着色組成物を用いて、下記の方法でカラーフィルターを作成した。すなわち、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、得られた感光性着色組成物をスピンコーターを用いて500rpm、1000rpm、1500rpm、2000rpmの回転数で塗布し、色材層の膜厚が異なる4種の塗布基板を得た。次に、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行いカラーフィルターを作成した。明度(Y)、およびコントラスト比を測定した。以上の結果を表1に示した。
表1において実施例1の結果を見ると、比較例のニーダー品と比較して平均粒径及び変動係数(標準偏差/平均粒径でこの値が小さい程整粒が進んでいると判断できる)が小さく微細で且つより整粒されていることが判る。また整粒化が進んでいるために粘度も小さく、透過率も向上したことにより、明度、コントラスト比も向上した。他の例も同様の結果であった。
また、表2においてはC.I.ピグメントグリーン36との混合物を用いた感光性着色組成物での評価結果と、C.I.ピグメントレッド254または/及びレッド177との混合物を用いた感光性着色組成物での評価結果を記載した。尚、感光性着色組成物製造の一例は下記の方法で作成した。すなわち顔料としてC.I.ピグメントグリーン36 3.0部 とC.I.ピグメントエロー150 1.5部、アクリル樹脂溶液24.0部、トリメチロールプロパントリアクリレート5.4部 (新中村化学社製「NKエステルATMPT」)、光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」)0.3部、 増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)0.2部、シクロヘキサノン 65.1部の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、1μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型感光性着色組成物を作製した。いずれも比較例の顔料を用いた場合より透過率、明度、コントラスト比が向上した。
Figure 2007112934
平均粒径(単位nm)及び変動係数(%)は電子顕微鏡写真を画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMacview Ver.3から解析して算出した。
粘度はB型粘度計(東京計器製で単位はmPa・s)で測定した。
明度(Y)は日立製分光光度計U―310から算出した。
CR比(コントラスト比)はTOPCON社製輝度計DM−5Aで測定した。
Figure 2007112934
6YKP:東洋インキ製C.I.ピグメントグリーン36
BT−CF:チバスペシャリティケミカルズ製C.I.ピグメントレッド254
A2B:チバスペシャリティケミカルズ製C.I.ピグメントレッド177

Claims (10)

  1. キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料から選ばれる微細顔料であって、標準偏差/平均粒径で表される変動係数が、平均粒径が10〜15nmのものでは50%以下、平均粒径が16〜25nmのものでは35%以下、平均粒径が26〜35nmのものでは25%以下、平均粒径が36〜50nmのものでは20%以下である粒度分布を有することを特徴とする微細顔料。
  2. キノフタロン顔料が、C.I.ピグメントイエロー138である請求項1記載の微細顔料。
  3. イソインドリン顔料が、C.I.ピグメントイエロー139またはC.I.ピグメントイエロー185である請求項1記載の微細顔料。
  4. アゾ金属錯体顔料が、C.I.ピグメントイエロー150である請求項1記載の微細顔料。
  5. キノフタロン顔料、イソインドリン顔料またはアゾ金属錯体顔料から選ばれる粗製顔料を湿潤剤の存在下に乾式粉砕する工程(1)、及び乾式粉砕物を水溶性無機塩類と水溶性有機溶剤の混合物として湿式粉砕する工程(2)により得られることを特徴とする請求項1記載の微細顔料の製造方法。
  6. 湿潤剤が、有機溶剤又は高級脂肪酸である請求項5記載の製造方法。
  7. 湿式粉砕が、高級脂肪酸の存在下に行われる請求項5記載の製造方法。
  8. 請求項1記載の微細顔料と顔料担体とを含むことを特徴とする着色組成物。
  9. 更にC.I.ピグメントグリーン36を含む請求項8記載の着色組成物。
  10. 更にC.I.ピグメントレッド254または/及びC.I.ピグメントレッド177を含む請求項8記載の着色組成物。
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