JP2007112483A - 紙容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造する時に、低温シール性に優れ、熱シールの際段差のある部分にも充分対応でき、ピンホールの発生のない構成の積層材からなる紙容器を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも、最外層、紙基材層、熱可塑性樹脂層、バリア性層、中間ポリエチレン層、該中間ポリエチレン層側をポリオレフィン樹脂とし、接内容物側をメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体とした共押し出しにより積層してなる最内層からなる積層材を使用してなる紙容器であり、エチレン−α・オレフイン共重合体樹脂の密度が0.880〜0.920の範囲であり、メルトインデックスが0.2〜20の範囲であること、そして、最内層における中間ポリエチレン層側のポリオレフィン樹脂からなる層と接内容物側のエチレン−α・オレフイン共重合体からなる層との厚み比 [最内層(接内容物側)の厚さ/最内層(中間ポリエチレン層側)の厚さ] が、0.05〜1.5の範囲であることを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、密封性が良好な紙容器に関するものであり、詳しくは、バリア性に優れ、シール不良、液漏れ等を回避した、保存性、貯蔵性に優れた紙容器に関するものである。
従来より、酒類、果汁類、清涼飲料類、乳製飲料類、液体調味料類、その他等の種々の液体等の飲食物等を充填包装するために、種々の形態からなる紙容器が、開発され、提案されている。それらの紙容器に使用される材料は種々の構成からなり、例えば、最外層(ポリオレフィン系樹脂層)/紙基材層/接着性樹脂層/バリア性層/最内層(ポリオレフィン系樹脂層)の順で構成されたものがあげられる。
このような構成の材料を使用した紙容器では、主に低密度ポリエチレン樹脂からなる最内層を加熱して溶かして容器に成形しているが、バリア性層を有する積層材、特にAL箔以外の物を積層させた場合、熱伝導性が悪く、そのため、低密度ポリエチレン層を溶かすのに充分な加熱を行うと、しばしば低密度ポリエチレン層にピンホールが発生することがあり、逆に加熱が不足するとピンホールは発生しないものの充分なシールができないという問題がある。また、AL箔をバリア性層として使用した場合、熱伝導性が良く、ピンホールの発生が少ないものの、カップ形状の紙容器等の部材が2個以上からなる容器においては、シールの際に段差部の埋まりにおいて、充分ではなく、漏れ等が発生していた。従って、ピンホールの発生がなく、かつ、シール不良のないシール条件を設定することは非常に難しく、シール条件の許容範囲は非常に狭いものであった。この問題を解決するために、最内層にエチレン−α・オレフイン共重合体を用いた構成の積層材からなる紙容器も使用されている(例えば、特許文献1参照。)。また、最内層にエチレン−α・オレフイン共重合体に低密度ポリエチレン樹脂を含有させた樹脂を用いた構成の積層材からなる紙容器も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平8-337237号公報 特開平9-193323号公報
しかしながら、最内層にエチレン−α・オレフイン共重合体を用いた構成の積層体としても、紙容器を成形する熱シールの際、特に段差のある部分を埋める必要がある場合には、流れが不十分であり、紙容器に内容物を充填して使用した時に、内容物の漏れ等を発生しやすくなるという問題があり、また、最内層にエチレン−α・オレフイン共重合体を用いた構成の材料をブランクに打抜く打ち抜き加工で、カッティング不良を起こしやすいという問題もある。また、最内層にエチレン−α・オレフイン共重合体に低密度ポリエチレン樹脂を含有させた樹脂からなる層とした場合、低温シール性の点で不十分であり、また、加工上において、二種類の樹脂をドライブレンドする必要があり手間が掛かるという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、紙容器を製造する時に、低温シール性に優れ、熱シールの際段差のある部分にも充分対応でき、ピンホールの発生のない構成の積層材からなる紙容器を提供することを目的とするものである。
本発明は、少なくとも、最外層、紙基材層、熱可塑性樹脂層、金属箔からなるか若しくは基材フィルムの一方の面に金属又は無機酸化物の薄膜層あるいは蒸着層を設けたバリア性層、中間ポリエチレン層、該中間ポリエチレン層側をポリオレフィン樹脂とし、接内容物側をメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体とした共押し出しにより積層してなる最内層を順次積層した積層材を使用してなることを特徴とする紙容器である。また、前記エチレン−α・オレフイン共重合体樹脂の密度が0.880〜0.920の範囲であり、メルトインデックスが0.2〜20の範囲であること、そして、前記最内層における前記中間ポリエチレン層側の前記ポリオレフィン樹脂からなる層(最内層(中間ポリエチレン層側))と前記接内容物側の前記エチレン−α・オレフイン共重合体からなる層(最内層(接内容物側))との厚み比 [最内層(接内容物側)の厚さ/最内層(中間ポリエチレン層側)の厚さ] が、0.05〜1.5の範囲であることを特徴とするものである。
本発明は、少なくとも、最外層、紙基材層、熱可塑性樹脂層、バリア性層、中間ポリエチレン層、最内層を順次積層した積層材を使用してなる紙容器において、最内層を共押し出しによる2層とし、中間ポリエチレン層側をポリオレフィン樹脂とし、接内容物側をメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体層を積層することにより、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体層単層仕様より、中間ポリエチレン層側のポリオレフィン樹脂の影響により流動性が上がり段差部シールが改善し、また、シール面にメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体層を積層しているため、低温シール性は保持され、かつ、ホットタック性も優れている。従って、積層材から紙容器を製造する時に、低温シール性に優れ、熱シールの際段差のある部分にも充分対応できるという効果を有している。
上記の本発明について以下に図面等を用いてさらに詳しく説明する。まず、本発明にかかる紙容器を構成する積層材等の構成についてその一二例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
まず、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aとしては、図1に示すように、少なくとも、最外層1、紙基材層2、熱可塑性樹脂層3、金属箔若しくは基材フィルムの一方の面が金属又は無機酸化物の薄膜層若しくは蒸着層からなるバリア性層4、中間ポリエチレン層5、前記バリア性層4側をポリオレフイン樹脂とし、接内容物側をメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−オレフイン共重合体とした共押し出しにより積層してなる最内層6を順次積層した構成を基本構造とするものである。上記の例示は、本発明にかかる紙容器に使用する積層材について、その一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。例えば、本発明においては、図示しないが、バリア性層4を構成する無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の一層からなる単層膜のみならず同種あるいは異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる多層膜あるいは複合膜等でもよく、また、本発明においては、紙容器の包装目的、充填包装する内容物、その使用目的、用途等によって、さらに、他の基材を任意に積層して、種々の形態からなる積層材を設計して製造することができるものである。
つぎに、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aを構成する各層、および製造方法について詳しく説明する。まず、積層材Aを構成する最外層1としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体等の樹脂を使用することができる。本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出し機等を用いて溶融押出して、例えば、紙基材層2の一方の面に、コロナ処理・フレーム処理若しくはアンカーコート剤層等を介して、溶融押出し樹脂層を溶融押出して積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシートを製造し、その樹脂のフィルムないしシートを、紙基材層2の一方の面にラミネート用接着剤層等を介してドライラミネート積層することにより、最外層1を形成することができる。なお、本発明において、最外層1の厚さとしては、5〜200μmの範囲、好ましくは、10〜100μmの範囲が望ましいものである。
つぎに、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aを構成する紙基材層2としては、これが紙容器を構成する基本素材となることから、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材層、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他等の各種の紙を使用することができる。また、本発明において、上記の紙基材層2の材料としては、坪量が80〜600g/m2の範囲のもの、好ましくは、坪量が100〜450g/m2の範囲のものを使用することができる。なお、本発明において、上記の紙基材層2には、例えば、文字、図形、絵柄、記号等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができるものである。
つぎにまた、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aを構成する熱可塑性樹脂層3は、紙基材層2とバリア性層4とを密接着させるものであり、通常、熱によって溶融し相互に融着し得る熱可塑性樹脂、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等を使用し、これを加熱して溶融押出しながら積層するものであり、例えば、押出し機等を使用し、紙基材層2とバリア性層4との層間に、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を単層ないし多層に溶融押出ししながら熱可塑性樹脂層3を形成し、その溶融押出しした熱可塑性樹脂層3を介して、上記の紙基材層2とバリア性層4とを積層することができるものである。なお、本発明において、上記の熱可塑性樹脂層3の膜厚としては、10〜100μmの範囲、好ましくは、15〜60μmの範囲である。上記において、膜厚が、10μm未満であると、炙りピンホールが発生し易くなることから好ましくなく、また、膜厚が、100μmを越えると、底部およびトップ部の成形性が非常に悪くなることから好ましくないものである。
つぎに、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aを構成するバリア性層4は、金属箔からなるか若しくは基材フィルムの一方の面に金属又は無機酸化物の薄膜層あるいは蒸着層を設けた層であり、その基材フィルムとしては、これに一方の面に金属又は無機酸化物の薄膜層若しくは蒸着層を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、本発明において、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましいものである。本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシートの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
また、バリア性層4を構成する金属箔については、例えば、アルミニウム箔が代表的である。厚みとしては、6〜25μmの範囲のものを使用することができる。
また、バリア性層4を構成する金属の蒸着膜については、例えば、アルミニウム蒸着が代表的である。
また、バリア性層4を構成する無機酸化物の蒸着膜については、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の単独、あるいはこれらの混合物を使用して、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
つぎに、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aを構成する中間ポリエチレン層5は、最内層6のシール性を付与する層であり、耐ピンホール性をよくする効果も有している。さらに、押し出し加工で形成する場合、バリア性層4と後述する最内層6とを接着する機能を有し、バリア性層4と最内層6との接着力を高くすることができる。
中間ポリエチレン層5を形成するポリエチレンしては、低密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体等を用いることができる。
中間ポリエチレン層5を形成するポリエチレンの密度は、0.890〜0.930の範囲とし、好ましくは0.900〜0.925の範囲とする。
このような中間ポリエチレン層5の厚さは、10〜100μmの範囲とし、好ましくは20〜80μmの範囲とする。この中間ポリエチレン層5は、良好な耐ピンホール性を付与するためにはフィルム状を使用することが好ましいが、バリア性層4と後述の最内層6とをサンドラミネートするために溶融して押出しコーティングして形成することもできる。
つぎに、本発明にかかる紙容器に使用する積層材Aを構成する最内層6としては、紙容器の内容物と直接に接する層であり、紙容器に成形する際に最外層1とのシール性を必要とする層である。本発明の積層体Aにおける最内層6は、中間ポリエチレン層5側の最内層(中間ポリエチレン層側)6aをポリオレフイン樹脂とし、接内容物側の最内層(接内容物側)6bをメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体とした共押し出しにより形成されている。最内層6がポリオレフィン樹脂単層の場合は、樹脂の流動性は良いものの、低温シール性が悪い欠点があり、また、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体単層であると、低温シール性及びホットタック性は改善されるものの、埋まり性が悪い欠点がある。また、中間ポリエチレン層側にメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体樹脂を、接内容物側にポリオレフィン樹脂積層した場合、面々の低温シール性が充分でなく好ましくない。従って、本発明のように、中間ポリエチレン層側にポリオレフィン樹脂、接内容物側にメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体樹脂を積層させることにより、低温シール性・ホットタック性が良好で、かつ、段差部のシール性が良好なものとなる。
この最内層(中間ポリエチレン層側)6aのポリオレフイン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等を使用することができる。中でも、チーグラー触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体が好ましい。溶融粘度は、低剪断速度においてはメタロセン触媒よりチーグラー触媒を用いて重合されたエチレン−α・オレフイン共重合体の方が小さく、高剪断速度では、メタロセン触媒よりチーグラー触媒を用いて重合されたエチレン−α・オレフイン共重合体の方が大きい。従って、紙容器等の成形におけるシールを考慮すると、剪断速度が速い場合と考えられる為、チーグラー触媒を用いて重合されたエチレン−α・オレフイン共重合体の方が溶融しやすく、樹脂の埋まり性には有利に働く。
この最内層(中間ポリエチレン層側)6aのポリオレフイン樹脂に使用する樹脂の密度は、0.890〜0.930の範囲とし、好ましくは0.900〜0.925の範囲とする。この最内層(中間ポリエチレン層側)6aの厚さは、10〜100μmの範囲とし、好ましくは20〜80μmの範囲とする。10μm未満では樹脂の流動性が落ちる為、シール性が劣り好ましくない。また、100μmを超える場合は、打ち抜き適性が悪くなったり、成形不良を生じたりして好ましくない。
また、最内層(接内容物側)6bの樹脂としては、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層を使用する。このメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、メタロセン触媒を使用して、エチレンとα・オレフィンとを共重合してなるエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。本発明において、最内層(外側)6bの膜厚としては、10〜100μmの範囲とし、好ましくは、20〜80μmの範囲とする。10μm未満ではシール性・ホットタック性が劣り好ましくない。また、100μmを超える場合は、打ち抜き適性が悪くなったり、成形不良を生じたりして好ましくない。
本発明において、エチレンと共重合されるコモノマーであるα・オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、デセン等を使用することができる。上記のα・オレフフィンは、単独で使用してもよく、また、2以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記のα・オレフフィンの混合比率は、例えば、1〜50重量%、望ましくは、10〜30重量%とすることが好ましい。本発明において、上記のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の物性は、密度、0.880〜0.920g/cm3、メルトインデックス〔MI〕、0.2〜20g/10分の範囲である。0.880未満の場合、切れ性が悪くブランクの打抜き等でトラブルを生じ易い。また、滑り性も極端に悪くなり好ましくない。0.920を超えた場合は、シール性・ホットタック性が悪くなり好ましくない。
なお、本発明においては、上記のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体には、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、染料、顔料等を任意に添加して使用することができる。
上記のように、接内容物側の前記エチレン−α・オレフイン共重合体からなる層(最内層(接内容物側)6b)と中間ポリエチレン層側の前記ポリオレフィン樹脂からなる層(最内層(中間ポリエチレン層側)6a)の2層の共押出し積層樹脂層を形成する方法としては、インフレーション法、Tダイ法、押出しラミネート等があり、中間ポリエチレン層に共押し出しにより積層する。押出しラミネートの場合はオゾン処理を行うことが好ましい。最内層(中間ポリエチレン層側)6aと最内層(接内容物側)6bとからなる最内層6全体の厚さは、20〜200μm範囲が好ましい。総厚が20μm未満の場合、シール性・埋まり性が悪く好ましくない。また、200μmを超えた場合、成形性が悪くなり好ましくない。
また、最内層6における、エチレン−α・オレフイン共重合体層(最内層(接内容物側)6b)とポリオレフィン樹脂層(最内層(中間ポリエチレン層側)6a)との厚み比、最内層(接内容物側)6bの厚さ/最内層(中間ポリエチレン層側)6aの厚さ=0.05〜1.5の範囲としている。厚み比が0.05未満の場合、エチレン−α・オレフイン共重合体層(最内層(接内容物側)6b)が薄くなる為、シール性・ホットタック性・密封性が低下する為、好ましくない。また、1.5を超える場合は、エチレン−α・オレフイン共重合体層(最内層(接内容物側)6b)が厚くなる為、樹脂の流動性が悪く、シールの埋まり性が低下する為、好ましくない。
この最内層6は、中間ポリエチレン層5に共押し出し加工により、ダイレクトに積層される。さらに、接着強度が不十分な場合、最内層(中間ポリエチレン層側)6aの表面には、オゾン処理等を適宜行うことができる。その他の積層方法として、中間ポリエチレン層15を接着層として、バリア性層4と最内層6とをサンドイッチラミネーションしても良いし、中間ポリエチレン層15と最内層6の3層を共押出しして、バリア性層4にダイレクトに積層しても良い。また、最内層6をインフレーション法、Tダイ法等により、予め2層からなるフィルムを製膜して、中間ポリエチレン層5とドライラミネート等の接着剤を用いて積層しても良い。
これらの層構成からなる積層体を用いた紙容器の製造は、例えば、液体紙容器の場合、前述の層構成からなる積層体のシートの外面に印刷を行った後、打ち抜き、端面をスカイブヘミングして内容物が端面に接触しないようにしてから充填装置内で底部およびトップ部を熱風加熱、火炎加熱等によりヒートシールして液体紙容器とする。
この積層体を使用した紙容器の形状については、用途・目的等に応じて適宜に決定すればよく、主に、紙カップ容器として使用することができ、例えば、その形状としては、三角形、四角形、五角形、六角形、その他等の角形形状、あるいは、丸形等の円筒形状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。また、ゲーベルトップ型に使用することができ、ゲーベルトップ型以外の形状、例えば、ブリック型、フラットトップ型、丸筒型、角筒型、紙カップ等にも使用することができる。また、この紙容器の注出口には、たとえばポリエチレン製のキャップ、プルタブ型の開封機構等を適宜に設けてもよい。
上記の本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
<実施例1>
内容物がジュースである筒状の紙容器を作製した。まず、上蓋として、2液硬化型の脂肪族イソシアネート系ラミネート用接着剤を用いて、7μmのアルミニウム(以下ALと記す)箔と15μmの二軸延伸ナイロンフイルム(以下NYと記す)と60μmのポリエチレンフィルム(以下PEFと記す)をタンデムドライラミネーションをし、AL箔7μm/NY15μm/PEF60μmのバリア性層(AL箔7μm/NY15μm)と中間ポリエチレン層(PEF60μm)を積層したものを作製した。
ついで、140g/m2のカップ原紙と上記バリア性層のアルミ面を対向させながら、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(以下EMMAと記す)を20μmをサンドラミし、さらに、ポリエチレンフイルム面に、低密度ポリエチレン樹脂(以下LDPEと記す)[d=0.923、MI=3.7]とメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフイン共重合体樹脂(以下S−PEと記す)[d=0.907、MI=11.0]とを使用し、オゾン処理を施しながら、これらを共押出しし、各層厚が20μmになるように、2層共押出し樹脂を積層させ、紙140g/m2/EMAA20μm/AL箔7μm/NY15μm/PEF60μm/(LDPE20μm/S−PE20μm)の積層体を得た。
一方、容器本体及び底材として、2液硬化型の脂肪族イソシアネート系ラミネート用接着剤を用いて、7μmのAL箔と16μmの二軸延伸ボリエチレンテレフタレートフイルム(以下PETと記す)と40μmのポリエチレンフイルムをタンデムドライラミネーシヨンをし、AL箔7μm/PET16μm/PEF40μmのバリア性層(AL箔7μm/PET16μm)と中間ポリエチレン層(PEF40μm)を積層したものを作製した。
ついで、300g/m2のカップ原紙に低密度ポリエチレン樹脂[d=0.923、MI=3.73]を20μm押出しラミネートし、さらに低密度ポリエチレン層とは逆の面と上記バリア層のアルミ面を対向させながら、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂20μmをサンドラミし、さらに、ポリエチレンフイルム面に、低密度ポリエチレン樹脂[d=0.923、MI=3.7]とメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフイン共重合体樹脂[d=0.907、MI=11.0]とを使用し、オゾン処理を施しながら、これらを共押出しし、各層厚が20μmになるように、2層共押出し樹脂を積層して積層材を作製した。
上記作製した胴部ブランク板を筒状に必要な所定の形状に、打抜き加工し、さらに、スカイブ・ヘミング処理等の端面処理を施した。そのブランク板を筒状に巻いてその両側端部を部分的に重ね合せ、その重合部分にホットエアー処理等の加熱処理を行い、最外層と最内層を加熱・加圧接着させ、筒状のカップ胴部を製造した。他方、上記のように製造した、底材を円形状に打抜き加工し、底部を構成する円板を製造し、該円板の外周部を筒状に起立成形した底部を、胴部に挿入し、その筒状のカップ胴部と底部とを、その接合部分に熱風等を吹付け加熱溶融させ、カール用型により胴部の先端部分を内方に折り曲げ、底部起立成形部にかぶせ、ローレットで密着させた。一方、最内層側の上蓋開口部に内面フイルム(PE/EVOH/PE)を位置合わせし、シールヘッドの所定部分を加熱加圧により融着させた。ついで、紙側の上蓋開口部にプルタブを位置合わせし、シールヘッドにより所定部分を加熱加圧により融着させ、ブルタブ、上蓋、内面フィルムの3ピースの開口構造体を得た。上蓋を円形状に打抜き加工し、底部を構成する円板を製造し、該円板の外周部を筒状に起立成形させた。底材を接合した胴部材に所定の充填物を充填し、起立成形させた上蓋を熱風等で加熱溶融させ、カール用型により胴部の先端部分を内方に折り曲げ、底部起立成形部にかぶせ、ローレットで密着させ、筒状の紙容器を得た。
<実施例2>
300g/m2のカップ原紙とシリカ蒸着PETフイルム(IB−PET−C)の蒸着面をエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂20μmをオゾン処理を施しながらサンドラミし、さらにシリカ蒸着PETフイルム(IB−PET−C)のPET面側に2液硬化型AC剤を塗布し低密度ポリエチレン樹脂[d=0.923、MI=3.7]を20μm押出しラミネートした。
さらに、上記ラミ原反の紙側に低密度ポリエチレン樹脂[d=0.923、MI=3.7]を20μm押出しラミネートし、反転させ、低密度ポリエチレン樹脂側に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[d=0.915、MI=4.0]20μとメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフイン共重合体樹脂[d=0.907、MI=11.0]20μmとを共押出しにより積層させて積層材を作製した。
上記作製した胴部ブランク板を筒状に必要な所定の形状に、打抜き加工し、さらに、スカイブ・ヘミング処理等の端面処理を施した。つぎに、上記ブランク板を筒状に巻いてその両側端部を部分的に重ね合せ、その重合部分にホットエアー処理等の加熱処理を行い、最外層と最内層を加熱・加圧接着させ、筒状のカップ胴部を製造した。他方、上記のように製造した、底材を円形状に打抜き加工し、底部を構成する円板を製造し、該円板の外周部を筒状に起立成形した底部を、胴部に挿入し、その筒状のカップ胴部と底部とを、その接合部分に熱風等を吹付け加熱溶融させ、カール用型により胴部の先端部分を内方に折り曲げ、底部起立成形部にかぶせ、ローレットで密着させ紙カップの紙容器を得た。
<比較例1>
実施例1の最内層を1層の低密度ポリエチレン40μmにしたこと以外は、全て同一とした紙容器を作製した。
<比較例2>
実施例2の最内層を1層の低密度ポリエチレン40μmにしたこと以外は、全て同一とした紙容器を作製した。
上記の実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の紙容器のピンホールの発生率を検証したところ、実施例1および実施例2は漏れなかったが、比較例1は3.5%、比較例2は2.2%の漏れが発生した。
本発明にかかる紙容器は、紙カップ、液体紙容器、紙缶等に広く利用することができる。例えば、紙カップ容器として使用することができ、例えば、その形状としては、三角形、四角形、五角形、六角形、その他等の角形形状、あるいは、丸形等の円筒形状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。また、液体紙容器としては、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプ等の液体紙容器等を製造することができる。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。本発明にかかる紙容器に使用することができる内容物としては、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品等の種々の物品を充填包装することができるものである。特に、液体紙容器には、酒、果汁飲料等のジュース、ミネラルウオーター、醤油、ソース、スープ等の液体調味料、あるいは、カレー、シチュー、スープ等の種々の液体飲食物を充填包装する包装用容器として有用なものである。
本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
符号の説明
A 積層材
1 最外層
2 紙基材層
3 接着剤層
4 バリア性層
5 中間ポリエチレン層
6 最内層
6a 最内層(中間ポリエチレン層側)
6b 最内層(接内容物側)

Claims (3)

  1. 少なくとも、最外層、紙基材層、熱可塑性樹脂層、金属箔からなるか、若しくは基材フィルムの一方の面に金属又は無機酸化物の薄膜層あるいは蒸着層を設けたバリア性層、中間ポリエチレン層、該中間ポリエチレン層側をポリオレフィン樹脂とし、接内容物側をメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体とした共押し出しにより積層してなる最内層を順次積層した積層材を使用してなることを特徴とする紙容器。
  2. 前記エチレン−α・オレフイン共重合体樹脂の密度が0.880〜0.920の範囲であり、メルトインデックスが0.2〜20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
  3. 前記最内層における前記中間ポリエチレン層側の前記ポリオレフィン樹脂からなる層(最内層(中間ポリエチレン層側))と前記接内容物側の前記エチレン−α・オレフイン共重合体からなる層(最内層(接内容物側))との厚み比 [最内層(接内容物側)の厚さ/最内層(中間ポリエチレン層側)の厚さ] が、0.05〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項1及び2記載の紙容器。

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