JP2007112029A - 表層塑性加工木材及び表層塑性加工木材製造装置及びその製造方法 - Google Patents

表層塑性加工木材及び表層塑性加工木材製造装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 木材の体積を大きく低下させることなく、表面の傷付き易さを解消すると共に、周囲環境条件が変化したときの歪みの発生をなくして寸法安定性を向上すること。
【解決手段】 木材NWを人工乾燥機1で乾燥して乾燥木材DWが形成され、この乾燥木材DWを水槽5の水中に浸漬することで全表層に対して水分が浸透され表層含水木材SWWが形成され、この表層含水木材SWWが加熱・冷却プレス盤10により加熱圧縮されたのち冷却されて表層塑性加工木材SPWが形成される。これにより、表層塑性加工木材SPWは元の木材NWからの体積の低下が少なく、圧縮された両面の表層部分のみに高密度塑性加工領域が形成される。このため、表層塑性加工木材SPWは、表層部分の硬度が高い高密度塑性加工領域により表面の傷付き易さが解消され、両面の表層におけるバランスが良いため周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。
【選択図】図1

Description

本発明は、木材表面の硬度を選択的に高めた表層塑性加工木材及び表層塑性加工木材製造装置及びその製造方法に関し、例えば、学童机の天板等に利用することができる。
従来、木材の樹種として、例えば、杉のように低密度で硬度が不足しているものにあっては、圧縮して高密度化すれば実用に耐え得る高い硬度が得られることで使用範囲が広がることが知られている。また、木材を高密度化する場合には、木材の性質が変化するとされる圧縮率50〔%〕以上が目安となる。
ここで、木材を圧縮して高密度化することは元の木材の体積を低下することを意味している。木材の価格は一般に、元の木材の体積を基準として流通している。ところで、元の木材の厚みに対して圧縮率が50〔%〕以上となるように全体的に圧縮したものでは、体積の低下が大きくなる。しかしながら、上記木材の圧縮率を50〔%〕以上とする高密度化加工にかかる種々の費用を加味して算出される価格は、体積の低下に見合うだけの付加価値が認められないことに起因して、余り高く設定できないことから商品として成り立ち難いという問題があった。
このような問題に対処するため、木材の体積の低下を必要最小限に抑え、表層部分の硬度を高めることが考えられる。これに関連するものとして、特許文献1乃至4が知られている。
ここで、特許文献1では、含水状態の木材の任意部分として例えば、木材の表層のみを圧縮ローラにて圧縮して圧密化し、安定処理液を含浸させ形状安定処理を行うことで表層塑性加工木材(部分圧密木材)が得られるとある。
また、特許文献2では、木材表面を圧延ロールにより潰し、この木材の変形を加熱装置による加熱及び冷却装置による冷却を経て固定することで表層塑性加工木材(表面に圧密化層が形成された木材)が得られるとある。
そして、特許文献3では、表層部分に対して圧縮変形の履歴を付与し、この履歴を利用して表層部分に含水処理された木材を圧縮し、加熱処理を行うことで表層塑性加工木材(表層のみが圧密された木材)が得られるとある。
更に、特許文献4では、木材を繊維飽和点以下の低含水率に乾燥した後に、加熱プレス装置に挿入して加熱圧縮することで表裏面が圧密化処理された表層塑性加工木材(表裏部分のみが硬質層とされた木質材)が得られるとある。
特開2002−113705号公報 特開2001−310305号公報 特開2004−98619号公報 特許第3032769号公報
ここで、特許文献1、特許文献2においては、圧縮ローラや圧延ロールを用いて、木材表面のみを圧縮変形させるとあるが、圧縮ローラや圧延ロールでは、基本的に線接触による木材の圧縮であるため、圧縮変形の際の木材の加熱が不十分であり、圧縮後の戻りが大きく表層塑性加工木材における表層の圧縮率を50〔%〕以上として所望の表層硬度を得ることは困難であった。
また、特許文献1、2の表層塑性加工木材は、木材の片側のみの表面を圧縮変形して形成されており、表裏面で膨張率や収縮率が異なることから、周囲環境条件が変化したときには歪みが発生して寸法安定性が損なわれるという不具合があった。
そして、特許文献3では、ロール体を用いて木材の両面の表層部分に対して圧縮変形の履歴を付与するとあるが構造的、かつ、工程的にも複雑であり、含水処理以前に圧縮変形処理を行うことは、そのときの木材の含水率によって圧縮変形される厚みが均一とならないため、最終的に得られる表層塑性加工木材の表層部分の圧縮率が一定とならず、品質にばらつきが生じるという問題があった。
更に、特許文献4では、繊維飽和点以下に含水率調整された木材を加熱圧縮することで表裏部分のみが圧密化された硬質層が形成されるとあるが、全体的に含水率調整された木材に対して仕上がり厚みを設定する規制治具を用いた加熱圧縮処理では、発明者らの実験研究によれば、表層塑性加工木材における表層部分のみの圧縮率を50〔%〕以上として所望の表層硬度を得ることは無理であった。
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、元の木材の全体の体積低下を抑え、木材表面における硬度を選択的に高めて傷付き易さを解消すると共に、木材の表裏面における周囲環境条件が変化したときの歪みの発生をなくし寸法安定性を向上可能な表層塑性加工木材及び表層塑性加工木材製造装置及びその製造方法の提供を課題としている。
請求項1の表層塑性加工木材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により厚みが20〜50〔mm〕に圧縮されたものであって、その圧縮された両面の表層から内側に各々圧縮率が50〔%〕以上で前記木材に存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域が、2.5〜5.0〔mm〕に形成されてなるものである。
ここで、本発明による表層塑性加工木材の厚みが20〜50〔mm〕であるということは、学童机やダイニングテーブルの天板等のように表面硬度が要求されると共に、比較的厚みが必要であるものが対象であることを意味している。
なお、表層塑性加工木材の厚みの範囲が20〔mm〕以上に規定されているのは、これ未満の厚みの薄いものでは圧縮代が少なくなり過ぎて表層から内側に高密度塑性加工領域を2.5〜5.0〔mm〕形成し難いためである。また、表層塑性加工木材の厚みの範囲が50〔mm〕以下に規定されているのは、これ以上厚みのあるものでは内層部分の表層部分に対する厚みの比率が大きくなって、内層部分の奥の方まで圧縮され易くなるため、圧縮により表層部分のみに圧縮率が50〔%〕以上となる高密度塑性加工領域を2.5〜5.0〔mm〕形成することが難しいためである。
また、表層塑性加工木材の表層から内側に形成される高密度塑性加工領域の圧縮率は、木材の性質が変化して硬度が増す50〔%〕を最小値とし、元の木材に存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕、例えば、木材が杉であるときには約75〜80〔%〕までとなる。この値は木材の樹種等の硬い柔らかいによって決定され、通常、約55〜90〔%〕程度である。
そして、高密度塑性加工領域が、圧縮された両面の表層から内側の2.5〜5.0〔mm〕に形成されているとは、表層塑性加工木材の厚み20〜50〔mm〕に対して、表層部分に要求される圧縮率が50〔%〕以上で木材に存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域における厚みを特定するものであり、この圧縮率により木材の厚みが大きく低下することのないように、使用目的に見合った必要な厚みが設定される。なお、高密度塑性加工領域として形成される2.5〜5.0〔mm〕には、最終的に製品化されるときの切削代も含まれている。
そこで、表層塑性加工木材の表層から内側に形成される圧縮率が50〔%〕以上で元の木材に存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域の範囲は、表裏面合わせて5.0〜10.0〔mm〕であることから、表層塑性加工木材の厚みが20〔mm〕であるとすると、加熱圧縮による圧縮率が50〔%〕未満で塑性加工の影響が少ない内層は、10.0〜15.0〔mm〕であり、表層塑性加工木材の厚みが50〔mm〕であるとすると、加熱圧縮による圧縮率が50〔%〕未満で塑性加工の影響が少ない内層は、40.0〜45.0〔mm〕であることを意味する。
なお、本発明による表層塑性加工木材は、両面の高密度な表層と元の木材の密度とほぼ同等の内層とが一体的に連続する構造であり、両面の表層とその内側の内層との間には明らかな密度差が見られる。しかしながら、表層や内層における密度は均一ではなく、それらの密度は連続し、表面に近いほど高く内側になるに連れて徐々に低下したものとなる。
請求項2の表層塑性加工木材は、請求項1に記載の要件に加えて、前記木材の厚みに対する圧縮率を、{(木材の元の厚み)−(木材の圧縮後の厚み)}/(木材の元の厚み)とするとき、15〜40〔%〕に設定するものである。
本発明による表層塑性加工木材は、圧縮された両面の表層部分では、圧縮率が50〔%〕以上とされるが、その内層の中心部分では殆ど圧縮されないようにされるため、原材料である木材の元の厚みを基準とし、木材の圧縮後、即ち、表層塑性加工木材の厚みから換算した圧縮率は、15〜40〔%〕と表層部分の圧縮率より低い値に設定されることとなる。つまり、この木材の厚みに対する圧縮率は、表層塑性加工木材の厚みが50〔mm〕に近くなるほど低くなって15〔%〕の設定となり、表層塑性加工木材の厚みが20〔mm〕に近くなるほど高くなって40〔%〕の設定となるのである。
ここで、木材の元の厚みに対する圧縮率が15〔%〕であって木材の圧縮後、即ち、表層塑性加工木材の厚みが20〜50〔mm〕であるとすると、木材の元の厚みが約23.5〜33.3〔mm〕であることを意味し、木材の元の厚みに対する圧縮率が40〔%〕で表層塑性加工木材の厚みが20〜50〔mm〕であるとすると、木材の元の厚みが約58.8〜83.3〔mm〕であることを意味する。
なお、表層塑性加工木材を形成するときの木材の元の厚みに対する圧縮率は、最終的に必要とされる木材の両面の表層から内側に形成される高密度塑性加工領域の範囲や木材の樹種等が考慮され設定される。
請求項3の表層塑性加工木材製造装置は、木材の含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させて乾燥木材の少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させて表層含水木材とし、前記表層含水木材をプレス盤のプレス圧縮自在な圧縮空間内に載置し、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、前記プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮し、前記加熱圧縮した木材を密閉状態とした前記圧縮空間内に保持し、保持された前記圧縮空間内の蒸気圧を制御し、その後、圧縮状態下で所定温度以下に冷却し、所定時間後に当該圧縮を解放し、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域を安定させてなるものである。
ここで、木材の含水率を3〜20〔%〕とするのは、木材の繊維飽和点での含水率が木材によっても異なるが約30〔%〕前後であることを考慮し、木材の表層に水分を浸透させる際の含水率に比べて木材の内層の含水率を、一旦、乾燥させ低くすることで強度を持たせ、この結果、木材の表層を加熱圧縮し易くするためである。なお、木材の含水率を必要以上に低くした場合には、この後、木材内部にストレスによる割れ等が発生し易くなることも考えられ、また、大気中の平衡含水率は約12〔%〕程度であるため、大気中に放置されている木材の含水率も約12〔%〕前後となるから、乾燥木材とするときの含水率は6〜10〔%〕であることがより好ましい。
また、乾燥木材の少なくとも加熱圧縮される面の表層に水分を浸透させるとは、加熱圧縮される乾燥木材の板目面または柾目面の表層のみに水分を浸透させておけばよいことを意味するが、本願発明の実施の形態によっては、選択的に水分を浸透させることなく、乾燥木材の全表層に水分を浸透させてもよいこと、特定の面に水を噴霧すること等を意味する。
そして、プレス盤の圧縮スピードとしては、水分が浸透されている木材の両面の表層のみを選択的に所望の圧縮率とすることができる加熱圧縮の速さ、即ち、未だ乾燥状態である木材の内層になるべく影響を与えることのないような加熱圧縮の速さが要求され、木材の樹種や乾燥木材の含水率等をパラメータとして予め実験等によって最適値が設定される。
なお、木材を圧縮するためのプレス盤の圧縮スピードは、通常、約5〜8〔mm/min〕程度であるが、発明者らの実験研究によれば、本発明を実施する際の圧縮率が50〔%〕以上の高密度塑性加工領域を形成するためのプレス盤の圧縮スピードは、通常の倍近くの15〔mm/min〕以上の値が必要なことが判明し、上限としてはプレス盤の能力や安全性が考慮され100〔mm/min〕以下の値が設定される。このプレス盤の圧縮スピードは速くなるに連れて、表層塑性加工木材の圧縮された両面の表層部分の高密度塑性加工領域の圧縮率を高めることができることも分かった。
請求項4の表層塑性加工木材製造方法は、木材の含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させて乾燥木材とする木材乾燥工程と、前記木材乾燥工程を経た乾燥木材の少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させて表層含水木材とする水分付加工程と、前記水分付加工程を経た表層含水木材をプレス盤のプレス圧縮自在な圧縮空間内に載置し、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、前記プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮する加熱圧縮工程と、前記加熱圧縮工程を経た木材を密閉状態とした前記圧縮空間内に保持し、保持された前記密閉空間内の蒸気圧を制御する圧縮固定工程と、前記圧縮固定工程を経た木材を圧縮状態下で所定温度以下に冷却し、所定時間後に当該圧縮を解放し、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域を安定させる定着工程とからなるものである。
ここで、まず、木材乾燥工程で木材の含水率を3〜20〔%〕とするのは、木材の繊維飽和点での含水率が木材によっても異なるが約30〔%〕前後であることを考慮し、次の水分付加工程で木材の表層に水分を浸透させる際の含水率に比べて木材の内層の含水率を、一旦、乾燥させ低くすることで強度を持たせ、この結果、木材の表層を加熱圧縮し易くするためである。なお、木材乾燥工程で木材の含水率を必要以上に低くした場合には、この後の加熱圧縮工程等で木材内部に割れ等が発生し易くなることも考えられ、また、大気中の平衡含水率は約12〔%〕程度であるため、大気中に放置されている木材の含水率も約12〔%〕前後となるため、乾燥木材とするときの含水率は6〜10〔%〕であることがより好ましい。
また、乾燥木材の少なくとも加熱圧縮される面の表層に水分を浸透させるとは、加熱圧縮される乾燥木材の板目面または柾目面の表層のみに水分を浸透させておけばよいことを意味するが、本願発明の実施の形態によっては、選択的に水分を浸透させることなく、乾燥木材の全表層に水分を浸透させてもよいことを意味する。
そして、プレス盤の圧縮スピードとしては、水分が浸透されている木材の両面の表層のみを選択的に所望の圧縮率とすることができる加熱圧縮の速さ、即ち、未だ乾燥状態である木材の内層になるべく影響を与えることのないような加熱圧縮の速さが要求され、木材の樹種や乾燥木材の含水率等をパラメータとして予め実験等によって最適値が設定される。
なお、木材を圧縮するためのプレス盤の圧縮スピードは、通常、約5〜8〔mm/min〕程度であるが、発明者らの実験研究によれば、本発明を実施する際の圧縮率が50〔%〕以上の高密度塑性加工領域を形成するためのプレス盤の圧縮スピードは、通常の倍近くの15〔mm/min〕以上の値が必要なことが判明し、上限としてはプレス盤の能力や安全性が考慮され100〔mm/min〕以下の値が設定される。このプレス盤の圧縮スピードは速くなるに連れて、表層塑性加工木材の圧縮された両面の表層部分の高密度塑性加工領域の圧縮率を高めることができることも分かった。
更に、本発明を実施する場合の圧縮固定工程は、加熱圧縮工程を経た木材を密閉状態に保持されているときの圧縮空間内を介して木材の周囲面として圧縮面側の表面、更にはその内部とで出入りする高温高圧の蒸気圧を供給、排出するように制御するものであればよい。
また、本発明を実施する場合の定着工程は、圧縮固定工程を経た木材が圧縮状態を保持したまま、木材の両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域を安定させる、即ち、木材を完全に固定化して定着させるように温度及び圧力を制御するものであればよい。
請求項5の表層塑性加工木材製造方法は、請求項4に記載の要件に加えて、前記水分付加工程が、前記乾燥木材を水中に所定時間浸漬させる工程としたものである。
ここで、乾燥木材を水中に所定時間浸漬するということは、加熱圧縮される面を含めて全表層に水分を浸透させることを意味するが、加熱圧縮される面以外に水分が浸透されていても、それが表層のみであれば実質的に問題がないためである。
請求項1の表層塑性加工木材によれば、木材が木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮で厚みが20〜50〔mm〕とされ、その圧縮された両面の表層から内側に各々圧縮率が50〔%〕以上で前記木材に存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度化された高密度塑性加工領域が2.5〜5.0〔mm〕となるように形成されている。
このように、表層塑性加工木材は表層から内側に高密度塑性加工領域が形成されているため、木材表面における傷付き易さが解消されると共に、両面の表層における膨張率や収縮率を同等にすることができ、表裏面のバランスが良いため周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。
また、複数の表層塑性加工木材を厚み方向に横継ぎ接合して大きな寸法の表層塑性加工木材を形成する場合にあっても、それら表層塑性加工木材の木目の長さ方向を一致させれば、膨張率及び収縮率をほぼ等しくすることができるため接合面に負荷がかかることはなく、割れ等の発生を防止することができる。
請求項2の表層塑性加工木材では、請求項1に記載の効果に加えて、木材の厚みに対する圧縮率が15〜40〔%〕に設定されていることで、圧縮される両面の表層の圧縮率が高くなるほど、表層に比べて加熱圧縮され難い内層の割合が大きくなり、この結果、表層部分のみに圧縮率の高い高密度塑性加工領域が形成された表層塑性加工木材が得られる。
このように、表層塑性加工木材は、殆ど圧縮されることがなく元の木材の性質を保ったままの内層が存在することで、例えば、木材本来の防音効果や断熱効果を兼ね備えたものとなる。
請求項3の表層塑性加工木材製造装置によれば、木材の含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させ形成された乾燥木材に対して、少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させ形成された表層含水木材がプレス盤の圧縮空間内に載置され、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮され、この後、密閉状態とした圧縮空間内に保持され、このときの圧縮空間内の蒸気圧が制御され、この圧縮状態下で所定温度以下に冷却され、所定時間後に解放されることで、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域が安定される。
このように、木材の全体、即ち、表層及び内層の含水率を一旦、低下させ乾燥木材とすることで、表層及び内層における材強度を増したのち、表層のみに水分を浸透させることでその表層における材強度のみを減じて内層に比べてプレス盤で加熱圧縮され易くし、その圧縮スピードを発明者等の実験によれば、15〜100〔mm/min〕とすることで、木材全体にストレスが入り難く、表層のみが選択的に加熱圧縮され、木材の粘弾性変形による戻りをなくすため圧縮空間内が密閉状態で蒸気圧制御処理されたのち、その圧縮状態下で所定温度以下に冷却されることで両面の表層部分のみに高密度塑性加工領域を有する表層塑性加工木材が形成される。
このように形成された表層塑性加工木材にあっては、その表層における硬度が高く表面の傷付き易さが解消されると共に、表裏面のバランスが良いため、周囲環境条件の変化で歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。また、複数の表層塑性加工木材を厚み方向に横継ぎ接合して大きな寸法の表層塑性加工木材を形成する場合にあっても、それら表層塑性加工木材の木目の長さ方向を一致させれば、膨張率及び収縮率をほぼ等しくすることができるため接合面に負荷がかかることはなく、割れ等の発生を防止することができる。
請求項4の表層塑性加工木材製造方法によれば、木材乾燥工程で木材の含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させ形成された乾燥木材に対して、水分付加工程によって少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させ形成された表層含水木材が、加熱圧縮工程でプレス盤の圧縮空間内に載置され、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮され、こののち圧縮固定工程で、密閉状態とした圧縮空間内に保持され、このときの圧縮空間内の蒸気圧が制御され、この圧縮状態下で定着工程にて、所定温度以下に冷却され、所定時間後に解放されることで、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域が安定されることとなる。
つまり、木材の含水率を3〜20〔%〕とした乾燥木材に対して、少なくとも加熱圧縮される面の表層に水分を浸透させた表層含水木材がプレス盤の圧縮空間内に載置され、所定温度で木目の長さ方向に対して垂直方向に、プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮され、圧縮空間内が密閉状態に保持され、このとき蒸気圧が制御され、この圧縮状態下で所定温度以下に冷却され、所定時間後に圧縮が解放された両面の表層部分に高密度塑性加工領域を有する表層塑性加工木材が形成される。
このように、木材の全体、即ち、表層及び内層の含水率を一旦、低下させ乾燥木材とすることで、表層及び内層における材強度を増したのち、表層のみに水分を浸透させることでその表層における材強度のみを減じて内層に比べてプレス盤で加熱圧縮され易くし、その圧縮スピードを発明者等の実験によれば、15〜100〔mm/min〕とすることで、木材全体にストレスが入り難く、表層のみが選択的に加熱圧縮され、木材の粘弾性変形による戻りをなくすため圧縮空間内が密閉状態で蒸気圧制御処理されたのち、その圧縮状態下で所定温度以下に冷却されることで両面の表層部分のみに高密度塑性加工領域を有する表層塑性加工木材が形成される。
このように形成された表層塑性加工木材にあっては、その表層における硬度が高く表面の傷付き易さが解消されると共に、表裏面のバランスが良いため、周囲環境条件の変化で歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。また、複数の表層塑性加工木材を厚み方向に横継ぎ接合して大きな寸法の表層塑性加工木材を形成する場合にあっても、それら表層塑性加工木材の木目の長さ方向を一致させれば、膨張率及び収縮率をほぼ等しくすることができるため接合面に負荷がかかることはなく、割れ等の発生を防止することができる。
請求項5の表層塑性加工木材製造方法では、請求項4に記載の効果に加えて、水分付加工程で乾燥木材を水中に所定時間浸漬させるだけで、簡単に乾燥木材の表層に水分が浸透されることとなり、この水分による表層側の材強度の低下により表層のみが加熱圧縮され易くなるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態にかかる表層塑性加工木材を形成するための表層塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。
図1において、100は表層塑性加工木材SPWを形成するための表層塑性加工木材製造装置であり、この表層塑性加工木材製造装置100は、主として、木材NWを所望の含水率となるように乾燥するための、例えば、周知の高温蒸気を熱源とし、かつ、冷凍機を内蔵する人工乾燥機1、この人工乾燥機1により乾燥された乾燥木材DWを浸漬するための水が張られた水槽5と、この水槽5中への浸漬により表層に水分が浸透された表層含水木材SWWに対して加熱圧縮及び冷却圧縮を実施して表層塑性加工木材SPWを形成する加熱・冷却プレス盤10とから構成されている。
このうち、加熱・冷却プレス盤10は、2分割された構造体の対向する圧縮面にて圧縮空間ISを形成する上プレス盤11及び下プレス盤21と、圧縮空間ISを密閉状態とするために下プレス盤21の周縁部22に対向して上プレス盤11の周縁部12に配設されるシール部材14と、下プレス盤21の側面側から圧縮空間IS内に連通され、圧縮空間IS内から水蒸気を排出するための配管口41aを有する配管41、配管41内の蒸気圧を検出する圧力計P2、その下流側のバルブV5、バルブV5に接続されたドレン配管42等から構成されている。
また、加熱・冷却プレス盤10の上プレス盤11及び下プレス盤21内には、それらを高温の水蒸気を通すことによって所望の温度に昇温するための配管路13,23が形成されており、これら配管路13,23には蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2,ST3、蒸気排出側の配管ET1,ET2がそれぞれ接続されている。そして、蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3途中にはバルブV1,V2,V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1,ET2は、バルブV4を介してドレン配管42に接続されている。なお、配管ST1に水蒸気を供給するボイラ装置、また、加熱・冷却プレス盤10の固定側の下プレス盤21に対して上プレス盤11を上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置は省略されている。ここで、本実施の形態では、加熱・冷却プレス盤10の上プレス盤11及び下プレス盤21で形成される圧縮空間IS内を加熱するために高温の水蒸気を用いているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることもできる。
そして、加熱・冷却プレス盤10の上プレス盤11と下プレス盤21とがシール部材14を介して密閉状態となったときの圧縮空間ISの上下方向の寸法間隔は、加熱・冷却プレス盤10により表層含水木材SWWが例えば、表層の圧縮率が約60〔%〕の表層塑性加工木材SPWとされるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。
更に、加熱・冷却プレス盤10は、上プレス盤11及び下プレス盤21内に形成された配管路13,23に水蒸気に換えて低温の冷却水を通すことによって所望の温度に冷却するため、冷却水供給側の配管ST11から分岐された配管ST12,ST13が、上記配管ST2,ST3にそれぞれ接続されている。そして、冷却水供給側の配管ST11,ST12,ST13途中にはバルブV11,V12,V13が配設されている。なお、配管ST11に冷却水を供給する冷却水供給装置は省略されている。
ここで、図2に示すように、本実施の形態の表層塑性加工木材製造装置100で用いられる木材NWは、原材料となる木材が前以って所定の寸法(長さ・幅・厚み)に製材されたものであり、木材NWは板目面(木表及び木裏の2面)、柾目面(2面)、木口面(2面)とからなる。そして、木材NWは木目の長さ方向として木口面以外の例えば、板目面の木裏側が加熱・冷却プレス盤10の下プレス盤21上に載置された状態で加熱圧縮及び冷却圧縮が実施される。
そして、本実施の形態の表層塑性加工木材製造装置100で形成される表層塑性加工木材SPWは、図3に断面図を示すように、両面の表層から内側に各々圧縮率が50〔%〕以上で元の木材NWに存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域SPL が、2.5〜5.0〔mm〕となるように形成され、表層で挟まれた内層の中心は殆ど圧縮されていない非塑性加工領域NPL のままである。更に、この表層塑性加工木材SPWは、木材NWの厚みに対する圧縮率が15〜40〔%〕に設定されている。したがって、表層塑性加工木材SPWは、圧縮された両面の表層では元の木材NWに比べて硬度が高くなっており、内層では元の木材NWの硬度が保持されている。
次に、表層塑性加工木材製造装置100を構成する人工乾燥機1、水槽5及び加熱・冷却プレス盤10により原材料の木材NWから表層塑性加工木材SPWを形成する工程手順について、図1及び図4(a)〜図4(f)を参照して説明する。なお、図4(a)〜図4(f)では、蒸気供給側や蒸気排出側の配管、また、冷却水供給側や冷却水排出側の配管等は省略されている。
まず、図1に示すように、木材NWの全体、即ち、表層及び内層が所定含水率となるように乾燥させるため人工乾燥機1内に入れられる。この際、木材NWの含水率が予め測定され、このときの含水率や木材NWの樹種及びその厚み等をパラメータとし、乾燥後の含水率が3〜20〔%〕となるように、人工乾燥機1内の乾燥温度が約40〜100〔℃〕及び乾湿球温度差が約1〜30〔℃〕で乾燥期間が3〜10〔日間〕に設定される。なお、乾燥期間中において、乾燥温度は徐々に上昇させ、湿度は徐々に下降させるように設定される。
次に、図1に示すように、人工乾燥機1による乾燥時間経過後、人工乾燥機1から取り出された乾燥木材DWを水槽5内に張られた水の中に浸漬する際に、乾燥木材DWが浮力で浮き上がらないようにするため、例えば、金網状容器3に入れられ蓋3aが被せられる。そして、金網状容器3に入れられた乾燥木材DWが水槽5内の水中に浸漬されることで、その全表層に水分を浸透させた表層含水木材SWWが形成される。ここでは、元の木材NWの樹種及びその厚み等をパラメータとし、水中に浸漬させる浸漬時間が15〜60〔min〕に設定される。なお、木材NWや表層含水木材SWWの含水率は例えば、高周波含水率計等の測定器を用いて測定される。
次に、表層含水木材SWWから表層塑性加工木材SPWを形成する加熱・冷却プレス盤10における工程手順について、図4(a)〜図4(f)を参照して説明する。
まず、図4(a)に示すように、加熱・冷却プレス盤10の固定側の下プレス盤21に対して上プレス盤11を上昇させ、表層含水木材SWWが、上プレス盤11及び下プレス盤21で形成される圧縮空間IS内に載置される。
次に、図4(b)に示すように、表層含水木材SWWが固定側の下プレス盤21上に載置され、下プレス盤21に対して上プレス盤11を圧力が0.05〜0.30〔MPa:メガパスカル〕にて下降させ、表層含水木材SWWの板目面の木表側に当接させる。そして、上プレス盤11の配管路13及び下プレス盤21の配管路23に110〜160〔℃〕の特定温度の水蒸気が通されることによって、圧縮空間IS内が110〜160〔℃〕に保持される(昇温処理時間10〜25〔min:分〕)。なお、本実施の形態の表層塑性加工木材製造装置100を構成する加熱・冷却プレス盤10における昇温処理時間は、連続処理されるときには周囲環境温度にもよるが、最初の立上げ時のみ長い時間が必要となる。
次に、図4(c)に示すように、固定側の下プレス盤21に対して上プレス盤11の圧縮圧力が2.0〜5.0〔MPa〕に設定され、表層含水木材SWWが上プレス盤11及び下プレス盤21にて加熱圧縮される(処理時間10〜40〔min〕)。なお、図4(b)から図4(c)までの工程間における加熱・冷却プレス盤10の圧縮スピードは、15〜100〔mm/min〕の特定圧縮スピードに設定される。この圧縮スピードは、表層含水木材SWWの水分が浸透された表層部分のみを選択的に加熱圧縮でき、その圧縮された両面の表層から内側に各々圧縮率が50〔%〕以上で元の木材NWに存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域を2.5〜5.0〔mm〕形成することができるように、樹種及びその厚み等をパラメータとして予め設定される。
そして、上プレス盤11の周縁部12が下プレス盤21の周縁部22に当接すると上プレス盤11の周縁部12に配設されたシール部材14によって、上プレス盤11及び下プレス盤21にて形成される圧縮空間ISが密閉状態となる。この圧縮空間ISの密閉状態で上プレス盤11及び下プレス盤21による圧縮圧力が保持されたまま、3〜10〔min〕間で110〜160〔℃〕の特定温度から150〜210〔℃〕の特定温度に上昇させる。なお、本実施の形態の表層含水木材SWWの表裏における圧縮率は、表層含水木材SWWの表層の圧縮による板厚の変化、本実施の形態では、上プレス盤11の周縁部12が下プレス盤21の周縁部22に当接することで決まることとなる。
そして、図4(c)に示す圧縮空間ISの密閉状態で、上プレス盤11及び下プレス盤21の圧縮圧力が維持され、かつ、圧縮空間ISが150〜210〔℃〕の特定温度のまま、40〜120〔min〕間保持され、表層含水木材SWWの加熱圧縮、この後の冷却圧縮を解除したときに戻りのない表層塑性加工木材SPWを形成するための加熱圧縮処理が行われる。このとき、上プレス盤11及び下プレス盤21で密閉状態とされている圧縮空間ISを介して、表層含水木材SWWの周囲面とその内部とで高温高圧の蒸気圧が出入り自在となっている。
次に、図4(d)に示すように、圧縮空間ISが密閉状態とされ加熱圧縮処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で圧縮空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口41a、配管41を通って圧縮空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、特に、表層含水木材SWWの表層の含水率に基づく余分な圧縮空間IS内の水分が除去され、圧縮空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。また、必要に応じて、圧縮空間ISに所定の蒸気圧を供給することもできる。
更に、上プレス盤11及び下プレス盤21による加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口41a、配管41を通って圧縮空間ISからドレン配管42側に高温高圧の水蒸気が排出される。これにより、木材の加熱圧縮処理、所謂、木材の固定化がより促進されることとなる。この際、上プレス盤11及び下プレス盤21を150〜210〔℃〕の特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
次に、図4(e)に示すように、上プレス盤11の配管路13及び下プレス盤21の配管路23に10〜25〔℃〕前後の常温の冷却水が通されることによって、上プレス盤11及び下プレス盤21が10〜40〔℃〕前後まで冷却され保持される(冷却処理時間30〜120〔min〕。なお、このときの固定側の下プレス盤21に対する上プレス盤11の圧縮圧力は、加熱圧縮の際の圧力と同じ2.0〜5.0〔MPa〕に保持されたまま、上プレス盤11及び下プレス盤21が冷却され保持される。
そして、図4(f)に示すように、固定側の下プレス盤21に対して上プレス盤11を上昇させ、下プレス盤21上に載置されている表層塑性加工木材SPWが取出され、加熱・冷却プレス盤10による一連の処理工程が終了する。
なお、上記実施の形態において、乾燥木材DWを水槽5内に浸漬する以前に、乾燥木材DWの木口面に、例えば、パラフィン等を塗布すると、木口面からの水分の浸透が防止されるため、加熱・冷却プレス盤10による表層塑性加工をより良好に実施することができる。
このように、本実施の形態にかかる表層塑性加工木材SPWは、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に加熱圧縮により厚みが20〜50〔mm〕に圧縮されたものであって、その圧縮された両面の表層から内側に各々圧縮率が50〔%〕以上で元の木材NWに存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域SPL が、2.5〜5.0〔mm〕に形成されてなるものである。また、木材の厚みに対する圧縮率を、{(木材の元の厚み)−(木材の圧縮後の厚み)}/(木材の元の厚み)とするとき、15〜40〔%〕に設定するものである。
つまり、表層塑性加工木材SPWの圧縮された両面の表層から内側には各々圧縮率50〔%〕以上で元の木材NWに存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域SPL が2.5〜5.0〔mm〕形成され、両面の表層で挟まれた内層は殆ど圧縮されていない。また、この表層塑性加工木材SPWは、木材NWの厚みに対する圧縮率が15〜40〔%〕に設定されている。このため、表層塑性加工木材SPWは、表層では元の木材NWに比べて硬度が高くなっており、内層では元の木材NWの硬度が保持されている。これにより、表層塑性加工木材SPWは、元の木材NWから体積が大きく低下されることなく、木材表面における傷付き易さが解消されると共に、表裏面のバランスが良いため周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。
また、上記実施の形態の表層塑性加工木材SPWを形成するための表層塑性加工木材製造装置100による作業工程は、木材NWの含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させるため、乾燥温度が約40〜100〔℃〕及び乾湿球温度差が約1〜30〔℃〕に設定された人工乾燥機1に乾燥期間として3〜10〔日間〕入れ、乾燥木材DWとする木材乾燥工程と、前記木材乾燥工程を経た乾燥木材DWの圧縮される両面を含む全表層に対して水分を浸透させるため、水槽5内の水の中に15〜60〔min〕浸漬して水分を浸透させて表層含水木材SWWとする水分付加工程と、この水分付加工程を経た表層含水木材SWWを加熱・冷却プレス盤10のプレス圧縮自在な圧縮空間IS内に載置し、150〜210〔℃〕の特定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、加熱・冷却プレス盤10の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕、2.0〜5.0〔MPa〕で加熱圧縮する加熱圧縮工程と、前記加熱圧縮工程を経た木材を密閉状態とした圧縮空間IS内に40〜120〔min〕間保持し、保持された圧縮空間IS内の蒸気圧を150〜210〔℃〕の特定温度のまま制御する圧縮固定工程と、前記圧縮固定工程を経た木材を圧縮状態下で10〜40〔℃〕以下に冷却し、30〜120〔min〕後に圧縮を解放し、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域SPL を安定させる定着工程とからなる表層塑性加工木材製造方法の実施の形態とすることができる。
つまり、本実施の形態にかかる表層塑性加工木材製造方法によれば、木材NWが所定温度の人工乾燥機1内に所定時間入れられることで、木材NW全体の含水率がほぼ均一に低くされた乾燥木材DWが形成され、この乾燥木材DWの少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させるため、水槽5内の水中に所定時間浸漬されることで全表層部分に対して水分が浸透された表層含水木材SWWが形成され、この表層含水木材SWWが加熱・冷却プレス盤10の圧縮空間ISに載置され、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、その圧縮スピードを速めて加熱圧縮され、圧縮空間ISが密閉状態に保持され、この間に圧縮空間ISの蒸気圧が制御され、こののち所定温度以下に冷却され、所定時間後に圧縮が解放されることで、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域SPL が安定される。このように形成された表層塑性加工木材SPWは、高密度塑性加工領域SPL によって表層硬度が高く傷付き易さが解消され、また、両面の表層におけるバランスが良いため周囲環境条件が変化したとしても変形を生じることがない安定した品質を備えたものとなる。
本発明の表層塑性加工木材製造方法によれば、本来、杉材等で軽軟な木質材を原材料として使用でき、元の木材に対する表層のみの硬度が大きく向上され、傷の付き難い表層塑性加工木材が形成できることとなる。そこで、本発明の表層塑性加工木材製造方法を用いて形成された表層塑性加工木材は、学童机やダイニングテーブルの天板等の厚みを必要とされるものに有効であるが、それ程厚みを必要とされない床材や腰板材や屋内家具材、また、表面塗装して使用する住宅用外装材等、かなり広範な用途が見込まれる。
図1は本発明の一実施の形態にかかる表層塑性加工木材を形成するための表層塑性加工木材製造装置の概略構成を示す断面図である。 図2は本発明の一実施の形態にかかる表層塑性加工木材を形成する原材料となる木材の板目面、柾目面、木口面を示す斜視図である。 図3は本発明の一実施の形態にかかる表層塑性加工木材を示す断面図である。 図4は本発明の一実施の形態にかかる表層塑性加工木材を形成するための表層塑性加工木材製造装置を構成する加熱・冷却プレス盤における工程手順を示す説明図である。
符号の説明
1 人工乾燥機
5 水槽
10 加熱・冷却プレス盤
11 上プレス盤
14 シール部材
21 下プレス盤
100 表層塑性加工木材製造装置
IS 圧縮空間
NW 木材
DW 乾燥木材
SWW 表層含水木材
SPL 高密度塑性加工領域
SPW 表層塑性加工木材

Claims (5)

  1. 木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により厚みが20〜50〔mm〕に圧縮された表層塑性加工木材において、
    前記圧縮された両面の表層から内側に各々圧縮率が50〔%〕以上で、前記木材に存在する空隙がなくなることで決まる最大割合〔%〕までの高密度塑性加工領域が、2.5〜5.0〔mm〕に形成されてなることを特徴とする表層塑性加工木材。
  2. 前記木材の厚みに対する圧縮率は、{(木材の元の厚み)−(木材の圧縮後の厚み)}/(木材の元の厚み)とするとき、15〜40〔%〕に設定することを特徴とする請求項1に記載の表層塑性加工木材。
  3. 木材の含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させて乾燥木材の少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させて表層含水木材とし、前記表層含水木材をプレス盤のプレス圧縮自在な圧縮空間内に載置し、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、前記プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮し、前記加熱圧縮した木材を密閉状態とした前記圧縮空間内に保持し、保持された前記圧縮空間内の蒸気圧を制御し、その後、圧縮状態下で所定温度以下に冷却し、所定時間後に当該圧縮を解放し、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域を安定させてなることを特徴とする表層塑性加工木材製造装置。
  4. 木材の含水率が3〜20〔%〕となるように乾燥させて乾燥木材とする木材乾燥工程と、
    前記木材乾燥工程を経た乾燥木材の少なくとも圧縮される両面の表層に水分を浸透させて表層含水木材とする水分付加工程と、
    前記水分付加工程を経た表層含水木材をプレス盤のプレス圧縮自在な圧縮空間内に載置し、所定温度の基で、その木目の長さ方向に対して垂直方向で、かつ、前記プレス盤の圧縮スピードが15〜100〔mm/min〕で加熱圧縮する加熱圧縮工程と、
    前記加熱圧縮工程を経た木材を密閉状態とした前記圧縮空間内に保持し、保持された前記圧縮空間内の蒸気圧を制御する圧縮固定工程と、
    前記圧縮固定工程を経た木材を圧縮状態下で所定温度以下に冷却し、所定時間後に当該圧縮を解放し、その圧縮が解放された両面の表層から内側に形成された高密度塑性加工領域を安定させる定着工程と
    からなることを特徴とする表層塑性加工木材製造方法。
  5. 前記水分付加工程は、前記乾燥木材を水中に所定時間浸漬させる工程としたことを特徴とする請求項4に記載の表層塑性加工木材製造方法。
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