JP2007111668A - 流路構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】流路構造体の流路から流体が漏出することを確実に防止する。
【解決手段】流路構造体1は、板状の第1部材2、第1部材2上に積層されるシート部材3、および、シート部材3上に積層される第2部材である板状の押圧空間部材4を備える。流路構造体1では、第1部材2および押圧空間部材4がシート部材3に接する状態で互いに固定される。シート部材3は可撓性シートであり、第1部材2の溝部221がシート部材3に覆われることにより流路11が形成され、押圧空間部材4の凹部41がシート部材3に覆われることにより溝部221に重なる範囲に押圧空間14が形成される。押圧空間14には、流路11を流れる試薬流体よりも高圧の圧縮空気が充填され、当該圧縮空気によりシート部材3が流路11に向けて押圧される。これにより、第1部材2の流路部材22とシート部材3との間において、流路11から試薬流体が漏出することが確実に防止される。
【選択図】図2
【解決手段】流路構造体1は、板状の第1部材2、第1部材2上に積層されるシート部材3、および、シート部材3上に積層される第2部材である板状の押圧空間部材4を備える。流路構造体1では、第1部材2および押圧空間部材4がシート部材3に接する状態で互いに固定される。シート部材3は可撓性シートであり、第1部材2の溝部221がシート部材3に覆われることにより流路11が形成され、押圧空間部材4の凹部41がシート部材3に覆われることにより溝部221に重なる範囲に押圧空間14が形成される。押圧空間14には、流路11を流れる試薬流体よりも高圧の圧縮空気が充填され、当該圧縮空気によりシート部材3が流路11に向けて押圧される。これにより、第1部材2の流路部材22とシート部材3との間において、流路11から試薬流体が漏出することが確実に防止される。
【選択図】図2
Description
本発明は、流体が流れる流路が内部に形成された流路構造体に関する。
従来より、化学合成反応や生化学反応等の分野において、微量の試料流体を反応させるための微小容器として、マイクロリアクタ等の微細流路を有する構造体が利用されている。このような構造体は通常、流路を形成する溝部が設けられた基板を積層することにより形成される。
例えば、特許文献1では、積層された2層の高分子層を真空下において熱圧着することにより、界面領域に2つの微小流路が形成された微小流体分析モジュールを形成する技術が開示されている。この微小流体分析モジュールでは、2つの微小流路のそれぞれの開口が上側の高分子層に隣接して設けられており、2つの微小流路を接続するバルブ部として、これらの開口を上側から覆う可撓性のポリイミドフィルムが設けられている。微小流体分析モジュールでは、ポリイミドフィルムの上側の圧力を小さくし、ポリイミドフィルムを上側に撓ませて開口から離間させることにより、バルブを開いて2つの微小流路を連通させることができる。
特許文献2では、溝部が形成された流路基板の溝部の周囲に自己接着性を有する樹脂薄膜を形成し、流路基板と蓋基板とを樹脂薄膜を介して加圧接合することにより、蓋部材が取り外し可能で、かつ、流路からの流体の漏出を防止するマイクロリアクタが開示されている。
特許文献3では、流路を形成する溝部が主面に形成された2枚の板状基材を積層し、これらの板状基材を2枚の圧接部材により挟んだ状態で、板状基材の周囲において圧接部材同士をボルトで固定することにより、分解および再組み立てが可能なマイクロ流体デバイスを形成する技術が開示されている。このマイクロ流体デバイスでは、板状基材の表面において、流路を形成する溝部とそれ以外の部位とでぬれ性を異ならせることにより、流路からの流体の漏出が防止される。
一方、特許文献4の積層マイクロチャンネルアレイ装置では、積層された各基板の表面に、流体が流入する凹部、および、凹部の周囲を取り囲むとともに微細な多数の溝が形成された土手部が設けられている。
特表2001−510275号公報
特開2005−111567号公報
特開2005−7529号公報
特開平11−165062号公報
ところで、特許文献1の微小流体分析モジュールは分解することができないため、モジュールの内部を十分に洗浄することが困難であり、また、流路の目詰まり等が発生した場合にも分解してメンテナンスすることができない。特許文献2のマイクロリアクタでは、蓋部材が自己接着性を有する樹脂薄膜を介して流路基板に加圧接合されているため、蓋部材の取り外しは可能ではあるが容易ではなく、また、再組み立ても容易に行うことはできない。
特許文献3のマイクロ流体デバイスでは、上記のような問題は解決されているが、溝部の表面改質工程が必要であり、製造に多くの工程が必要となる。また、ボルトによる圧接部材の固定が弛んだ場合等に、流路の周辺において2枚の板状基材が流路を流れる液体の圧力により離間し、液体が流路から漏出してしまう可能性もある。このような液体の漏出を防止するために、板状基材の流路近傍にもボルトを設けてより強固に板状基材を固定することが考えられるが、流路はマイクロ流体デバイスの用途等により様々な形状とされるため、流路が形成される可能性がある領域にボルトを設けることは好ましくない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、流路構造体の流路から流体が漏出することを確実に防止することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、流体が流れる流路が内部に形成された流路構造体であって、所定の積層方向に対して垂直な板状の第1部材と、前記第1部材上において前記積層方向に積層される板状またはシート状の中間部材と、前記中間部材上に積層される板状の第2部材とを備え、前記第1部材および前記第2部材が前記中間部材に接する状態で互いに固定されており、前記第1部材および前記中間部材の互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に流路を形成する溝部が設けられ、前記中間部材および前記第2部材の間に、前記流路を流れる流体よりも高圧の押圧流体が充填される押圧空間が前記溝部に重なる範囲に形成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の流路構造体であって、前記溝部が前記第1部材にのみ形成されており、前記中間部材が、前記溝部を覆う可撓性シートである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の流路構造体であって、前記第2部材が、前記押圧空間の周囲を囲むとともに前記中間部材に向かって突出する押圧空間封止用の線状突出部を備える。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の流路構造体であって、前記第1部材が、前記中間部材側の主面において、前記第2部材の前記線状突出部の内側に沿って前記溝部の周囲を囲むとともに前記中間部材に向かって突出する線状補助突出部を備える。
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の流路構造体であって、前記第1部材が、前記中間部材に接するとともに前記溝部が形成された流路部材と、前記第2部材と共に前記中間部材および前記流路部材を挟み込む主板部材とを備える。
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の流路構造体であって、前記中間部材および前記第2部材が、前記溝部に重なる領域において透光性を有する。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の流路構造体であって、前記第1部材および前記中間部材の少なくとも一方の部材が、前記溝部の周囲を囲むとともに他方の部材に向かって突出する溝封止用の線状突出部を備える。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の流路構造体であって、前記第1部材と前記中間部材との間に、前記線状突出部の周囲を囲むとともに前記押圧流体よりも低圧であって前記流路を流れる流体とおよそ等しい圧力を有する封止流体が充填される封止空間が形成される。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の流路構造体であって、前記封止流体が気体である。
請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の流路構造体であって、前記溝部が、前記第1部材および前記中間部材の一方のみに形成されており、前記第1部材と前記中間部材との間において前記溝部を覆う可撓性シートをさらに備える。
請求項11に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の流路構造体であって、前記線状突出部が、頂部に前記他方の部材に密着する弾性を有する封止層を備える。
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の流路構造体であって、前記第1部材および前記中間部材の一方の部材が、前記溝部の周囲を囲むとともに他方の部材に密着する弾性を有する封止層を備える。
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の流路構造体であって、前記封止層が樹脂である。
請求項14に記載の発明は、請求項7ないし13のいずれかに記載の流路構造体であって、前記溝部が、前記中間部材にのみ形成される。
請求項15に記載の発明は、請求項7ないし14のいずれかに記載の流路構造体であって、前記中間部材と前記第2部材との間に、前記押圧空間の周囲を囲む押圧空間封止用の線状封止部をさらに備える。
請求項16に記載の発明は、請求項1ないし15のいずれかに記載の流路構造体であって、前記押圧流体が気体である。
請求項17に記載の発明は、請求項1ないし16のいずれかに記載の流路構造体であって、前記第1部材が、前記溝部に重なる領域において透光性を有する。
本発明では、流路から流体が漏れることを確実に防止することができる。請求項3および15の発明では、押圧空間から押圧流体が漏出することを防止することができる。
請求項5および14の発明では、流路の形状を容易に変更することができる。請求項6および17の発明では、流路内を容易に観察することができる。請求項16の発明では、流路構造体のメンテナンス時の取り扱いを容易化することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る流路構造体1の構成を示す平面図であり、図2は、流路構造体1を図1中に示すA−Aの位置で切断した断面図である。図1に示すように、流路構造体1は、平面視において略矩形状とされ、内部には流体が流れる略直線状の微細流路(以下、単に「流路」という。)11が形成される。本実施の形態では、流路11を流れる流体は液状の薬品等であり、以下、「試薬流体」と呼ぶ。
図2に示すように、流路構造体1は、所定の積層方向(すなわち、図2中のZ方向)に対して垂直な板状の第1部材2、第1部材2上において積層方向に積層されるシート状の中間部材(以下、「シート部材」という。)3、および、シート部材3上に積層される板状の第2部材4を備える。図2では、図示の都合上、シート部材3を実際よりも厚く描いている。
第1部材2は、シート部材3に接するとともに流路11を形成する溝部221がシート部材3に対向する主面(すなわち、(+Z)側の主面)に設けられた流路部材22、並びに、第2部材4と共にシート部材3および流路部材22を挟み込む主板部材21を備える。後述するように、第2部材4は、押圧流体が充填される押圧空間を形成するため、以下、第2部材4を「押圧空間部材4」という。主板部材21および押圧空間部材4は高い剛性を有する部材であり、本実施の形態では金属により形成される。流路構造体1では、第1部材2および押圧空間部材4がシート部材3に接する状態で積層されており、押圧空間部材4に形成された穴を介して第1部材2の主板部材21に形成されたネジ穴にボルト5が螺合することにより、第1部材2および押圧空間部材4が互いに押圧された状態にて固定される。
流路部材22では、X方向に伸びる溝部221の両端部(すなわち、(+X)側および(−X)側の端部)において、積層方向に沿って主板部材21に向かって伸びる2つの垂直流路が形成される。これらの垂直流路は、主板部材21に設けられた2つの貫通穴に連通し、流路11に試薬流体を供給する供給流路12および試薬流体を流路11から排出する排出流路13となる。流路構造体1では、試薬流体を供給および排出する供給口121および排出口131が主板部材21の(−Z)側の主面に設けられる。
シート部材3は、流路部材22の溝部221を覆う可撓性シートであり、溝部221が(+Z)側からシート部材3に覆われることにより、第1部材2とシート部材3との間に流路11が形成される。流路構造体1では、シート部材3には流路11を形成する溝部は設けられておらず、流路11を形成する溝部は第1部材2のみに形成されている。シート部材3は、流路11を流れる試薬流体に接するため、薬品等に対する高い耐久性を有する材料により形成されることが好ましい。本実施の形態では、薬品等に対する高い耐久性を有するとともに可撓性に富む塩化ビニルシートがシート部材3として用いられる。また、シート部材3は透光性を有する。なお、シート部材3は、薬品等に対して高い耐久性を有し、可撓性に富むものであれば塩化ビニルシートには限定されない。
図1および図2に示すように、押圧空間部材4のシート部材3側には、流路部材22の溝部221全体と重なる(すなわち、平面視において溝部221全体を含む)凹部41が形成されている。凹部41の底部(すなわち、(+Z)側)には、流路部材22の溝部221と重なる領域に開口42が形成されており、開口42を(−Z)側から閉塞する透光性を有するガラス板43が凹部41内に設けられる。換言すれば、流路構造体1では、押圧空間部材4およびシート部材3が、溝部221に重なる領域において透光性を有する。
流路構造体1では、押圧空間部材4の凹部41が(−Z)側からシート部材3に覆われることにより、押圧空間部材4およびシート部材3の間において、溝部221に重なる範囲に空間14が形成される。空間14には、流路11を流れる試薬流体よりも高圧の流体が充填され、当該流体によりシート部材3が流路11に向けて押圧される。以下、当該流体を「押圧流体」と呼び、押圧流体が充填される空間14を「押圧空間14」と呼ぶ。押圧空間部材4の(+Z)側の主面には、押圧空間14に押圧流体を供給する供給口141が設けられ、本実施の形態では、供給口141から圧縮空気が押圧流体として押圧空間14に供給されて充填されることで、押圧空間14が、流路11を流れる試薬流体よりも高圧状態に保たれる。
押圧空間部材4は、シート部材3に向かって突出する線状突出部(土堤部と捉えることができる。)44を備える。線状突出部44は、押圧空間14の周囲を囲んで設けられており、シート部材3の(+Z)側の主面に当接することにより押圧空間14の周囲を封止する。図2に示すように、線状突出部44の断面は略矩形であり、その頂部(すなわち、(−Z)側の先端部)は積層方向に垂直な平面とされる。なお、線状突出部44の断面は、半円形状や略半円形状であってもよい。
流路構造体1では、押圧空間14に圧縮空気が充填された状態で、流路11の供給口121から試薬流体が加圧されつつ供給されて(すなわち、加圧送液されて)流路11を流れ、排出口131から排出される。このとき、シート部材3の(−Z)側において流路11を流れる試薬流体の圧力(いわゆる、送液圧力)は、上述のように、シート部材3の(+Z)側の押圧空間14内の圧縮空気の圧力よりも低いため、シート部材3は押圧空間14と重なる領域(すなわち、溝部221を含む領域)において流路部材22に対して強くかつ均等に押圧される。これにより、第1部材2の流路部材22とシート部材3との間において、流路11から試薬流体が漏出することを確実に防止することができる。
また、流路部材22の溝部221と重なる領域では、圧縮空気により押圧された可撓性を有するシート部材3が溝部221の内側に向かって撓み、溝部221のエッジにおいて流路部材22に対してさらに強く押圧される。これにより、流路部材22とシート部材3との間における試薬流体の流路11からの流出をより確実に防止することができる。シート部材3は、シート部材3の反発力が圧縮空気の圧力と試薬流体の圧力との差に等しくなる状態まで流路11側に撓む。
流路構造体1では、可撓性に富む塩化ビニルシートがシート部材3として用いられるため、シート部材3の流路部材22に対する密着性を向上することができ、流路11からの試薬流体の流出をさらに確実に防止することができる。また、塩化ビニルシートは耐薬品性に優れているため、流路構造体1では様々な種類の試薬流体を取り扱うことができる。
流路構造体1では、押圧空間部材4が押圧空間封止用の線状突出部44を備えているため、線状突出部44が設けられない場合に比べて、押圧空間部材4とシート部材3との接触面積が小さくされる。これにより、押圧空間14の周囲において、押圧空間部材4をシート部材3に対して押圧する単位面積当たりの力を大きくすることができるため、押圧空間部材4とシート部材3との間において、押圧空間14から圧縮空気が漏出することを確実に防止することができる。その結果、圧縮空気によりシート部材3を第1部材2の流路部材22に対してより強く押圧することができ、流路11からの試薬流体の漏出をより確実に防止することができる。
また、流路構造体1では、第1部材2が、溝部221が形成された流路部材22、および、流路部材22を挟んで押圧空間部材4と互いに固定される主板部材21を備える。このため、流路11の形状(すなわち、流路11の幅および高さ等の断面形状、並びに、流路11全体の長さや屈曲部の有無、分岐の有無等の全体形状)の変更は、流路部材22のみを変更することにより実現することができる。このように、流路構造体1では、流路部材22の交換により流路11の形状を容易に変更することができる。
ところで、流路部材22の交換や流路11の洗浄等、流路構造体1を分解してメンテナンスする際には、押圧空間14に充填されている押圧流体の除去が必要になる。流路構造体1では、押圧流体が気体(本実施の形態では、圧縮空気)であるため、メンテナンス時には押圧空間14の供給口141を大気開放して圧縮空気を周囲へと自然に流出させるだけでよい。このように、押圧流体を気体とすることにより、流路構造体1のメンテナンス時の取り扱いを容易化することができる。
上述のように、流路構造体1では、溝部221の(+Z)側に位置するシート部材3および押圧空間部材4が、溝部221に重なる領域において透光性を有するため、試薬流体が流れる流路11内の様子を視覚的に容易に観察することができる。また、流路11内の試薬流体に光を照射することができるため、試薬流体の光反応を行うための容器として流路構造体1を利用することができる。なお、押圧空間部材4のガラス板43は、押圧空間14に圧縮空気が充填されていない状態において、シート部材3の(+Z)側の主面に当接していてもよい。
流路構造体1では、例えば、流路11の押圧空間部材4側に透光部(すなわち、押圧空間部材4の開口42およびガラス板43)が設けられない場合等、必要に応じて、第1部材2の主板部材21および流路部材22に透光部が設けられてもよい。例えば、主板部材21および流路部材22が、透光性を有するガラスにより形成されてもよい。このように、第1部材2が溝部221に重なる領域において透光性を有することにより、流路11内の様子を視覚的に容易に観察することができ、また、流路構造体1を試薬流体の光反応用の容器として利用することもできる。なお、流路11の押圧空間部材4側および第1部材2側の双方に透光部を設けることにより、例えば、押圧空間部材4側から流路11に光を照射するとともに第1部材2側から流路11内を観察することもできる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る流路構造体1aについて説明する。図3は、流路構造体1aの構成を示す平面図であり、図4は、流路構造体1aを図3中に示すB−Bの位置で切断した断面図である。図3および図4に示すように、流路構造体1aでは、第1部材2の流路部材22が、中間部材であるシート部材3側(すなわち、(+Z)側)の主面において、シート部材3に向かって突出する線状補助突出部222を備える。その他の構成は図1および図2と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
図3および図4に示すように、線状補助突出部222は、押圧空間部材4(すなわち、第2部材)の線状突出部44の内側に沿って流路部材22の溝部221の周囲を囲んで設けられており、シート部材3の(−Z)側の主面に当接することにより溝部221の周囲を封止する。図4に示すように、線状補助突出部222の断面は略矩形であり、その頂部(すなわち、(+Z)側の先端部)は積層方向に垂直な平面とされる。
流路構造体1aでは、第1の実施の形態と同様に、流路11を流れる試薬流体よりも高圧の押圧流体が押圧空間14に充填されることにより、シート部材3が流路部材22に対して押圧され、第1部材2の流路部材22とシート部材3との間において、流路11から試薬流体が漏出することを確実に防止することができる。また、可撓性を有するシート部材3が溝部221の内側に向かって撓むことにより、流路部材22とシート部材3との間における試薬流体の流路11からの流出をより確実に防止することができる。
流路構造体1aでは、特に、シート部材3に向かって突出する線状補助突出部222が流路部材22に設けられているため、溝部221の周囲において、シート部材3が線状補助突出部222の頂部および線状突出部44の頂部により互いに逆方向に撓む。さらに、線状補助突出部222の頂部において、シート部材3が、線状補助突出部222の内側(すなわち、溝部221側)のエッジでさらに撓む。これにより、流路11がより強固に封止され、流路部材22とシート部材3との間において、流路11から試薬流体が漏出することをさらに確実に防止することができる。
第1の実施の形態と同様に、流路構造体1aでは、線状突出部44によりシート部材3を流路部材22に対して押圧することにより、押圧空間部材4とシート部材3との間において、押圧空間14から圧縮空気が漏出することを確実に防止することができる。また、第1部材2が流路部材22および主板部材21を備えているため、流路11の形状を容易に変更することができる。さらには、押圧流体を気体とすることにより、流路構造体1aのメンテナンス時の取り扱いを容易化することができる。
また、シート部材3および押圧空間部材4が、溝部221に重なる領域において透光性を有するため、試薬流体が流れる流路11内の様子を視覚的に容易に観察することができる。さらには、試薬流体の光反応を行うための容器として流路構造体1aを利用することもできる。流路構造体1aでは、第1部材2が流路11に重なる領域において透光性を有していてもよく、この場合も流路11内の様子を視覚的に容易に観察することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る流路構造体1bについて説明する。図5は、流路構造体1bの構成を示す平面図であり、図6は、流路構造体1bを図5中に示すC−Cの位置で切断した断面図である。図5に示すように、流路構造体1bの内部には、試薬流体が流れる折れ線状の流路11aが形成される。なお、図5では、図面の理解を容易にするために、後述の線状突出部223およびOリング211を細い実線にて描いている。
図6に示すように、流路構造体1bは、所定の積層方向(すなわち、図6中のZ方向)に積層される第1部材である主板部材21a、中間部材である流路部材22a、および、第2部材である押圧空間部材4aを備える。図5および図6では、図示の都合上、第1部材である主板部材21aが(+Z)側になるように描いている。主板部材21a、流路部材22aおよび押圧空間部材4aは、第1の実施の形態と同様に、積層方向に対して垂直な板状の部材である。流路構造体1bでは、(+Z)側から(−Z)方向に向かって、流路部材22aが主板部材21a上において積層方向に積層され、押圧空間部材4aが流路部材22a上において積層方向に積層される。
主板部材21aおよび押圧空間部材4aは高い剛性を有する部材であり、本実施の形態では、主板部材21aが透光性を有するガラスにより形成され、押圧空間部材4aが金属により形成される。流路構造体1bでは、主板部材21aおよび押圧空間部材4aが流路部材22aに接する状態で積層されており、主板部材21aに形成された穴を介して押圧空間部材4aに形成されたネジ穴にボルト5が螺合することにより、主板部材21aおよび押圧空間部材4aが互いに押圧された状態にて固定される。
図5および図6に示すように、流路部材22aは、主板部材21aに向かって突出する線状突出部223を備える。流路構造体1bでは、線状突出部223に囲まれる溝部221aが主板部材21aにより(+Z)側から閉塞されることにより流路11aが形成される。換言すれば、流路部材22aでは、主板部材21aに対向する主面(すなわち、(+Z)側の主面)に、流路11aを形成する溝部221a、および、溝部221aの周囲を囲む溝封止用の線状突出部223が設けられる。
流路構造体1bは、主板部材21aと流路部材22aとの間に、線状封止部であるOリング211を備える。Oリング211は、平面視において略矩形枠状であり、流路部材22aの線状突出部223の周囲を囲む。Oリング211は弾性を有する樹脂製の部材であり、主板部材21aが流路部材22aに対して押圧されることにより弾性変形し、主板部材21aと流路部材22aとの間に、流路部材22aの線状突出部223の周囲を囲む空間15が形成される。流路構造体1bでは、空間15に、流路11aを流れる流体とおよそ等しい圧力を有する流体が充填され、当該流体は、流路11aを流れる試薬流体の流路11a内への封止に利用される。以下、空間15内に充填される流体を「封止流体」と呼び、空間15を「封止空間15」と呼ぶ。本実施の形態では、封止流体として圧縮空気が利用される。
また、流路構造体1bは、流路部材22aと押圧空間部材4aとの間にOリング44aを備える。Oリング44aは、平面視において略矩形枠状であり、主板部材21aに設けられたOリング211よりも外側に設けられる。Oリング44aは弾性を有する樹脂製の部材であり、押圧空間部材4aが流路部材22aに対して押圧されることにより弾性変形し、押圧空間部材4aおよび流路部材22aの間において、溝部221aおよび封止空間15に重なる範囲に押圧空間14aが形成される。換言すれば、Oリング44aは、押圧空間14aの周囲を囲む押圧空間封止用の線状封止部である。
流路構造体1bでは、押圧空間部材4aの(−Z)側の主面の略中央部に供給口141が設けられ、第1の実施の形態と同様に、押圧流体である圧縮空気が供給口141を介して押圧空間14aに充填された状態で保たれる。押圧空間14a内の押圧流体は、流路11aを流れる試薬流体、および、封止空間15に充填された封止流体よりも高圧であり、当該押圧流体により流路部材22aが主板部材21aに向けて押圧される。流路部材22aでは、試薬流体および封止流体が押圧流体よりも低圧とされることにより、試薬流体および封止流体の圧力により流路部材22aと主板部材21aとが離間することが防止される。
図6に示すように、流路部材22aでは、溝部221aの両端部(すなわち、(+X)側および(−X)側の端部)において、積層方向に沿って押圧空間部材4aに向かって伸びる2つの垂直流路が形成される。これらの垂直流路は、押圧空間部材4aに設けられた2つの貫通穴に連通し、流路11aに試薬流体を供給する供給流路12および試薬流体を流路11aから排出する排出流路13となる。流路構造体1bでは、試薬流体を供給および排出する供給口121および排出口131が押圧空間部材4aの(−Z)側の主面に設けられる。また、流路部材22aでは、線状突出部223の(−X)側の端部に貫通穴が設けられる。当該貫通穴は、押圧空間部材4aに設けられた貫通穴に連通し、封止空間15に封止流体を供給する供給流路16となる。流路構造体1bでは、封止流体を供給する供給口161が押圧空間部材4aの(−Z)側の主面に設けられる。
図5および図6に示すように、流路構造体1bでは、流路部材22aと押圧空間部材4aとの間に、供給流路12および排出流路13の周囲を囲むOリング45,46が設けられ、試薬流体が供給流路12および排出流路13から漏出することが防止される。また、供給流路16の周囲を囲むOリング47も設けられ、封止流体が供給流路16から漏出することが防止される。
流路構造体1bでは、流路11aを流れる試薬流体よりも高圧の押圧流体が押圧空間14aに充填されることにより、流路部材22aが主板部材21aに対して押圧され、主板部材21aと流路部材22aとの間において、流路11aから試薬流体が漏出することを確実に防止することができる。また、流路部材22aが溝封止用の線状突出部223を備えているため、流路部材22aと主板部材21aとの接触面積を小さくし、流路11aの周囲において流路部材22aを主板部材21aに対して押圧する単位面積当たりの力を大きくすることができる。その結果、主板部材21aと流路部材22aとの間において、流路11aから試薬流体が漏出することをより確実に防止することができる。
流路構造体1bでは、主板部材21aと流路部材22aとの間に、線状突出部223の周囲を囲む封止空間15が設けられ、試薬流体とおよそ等しい圧力を有する封止流体が封止空間15に充填される。これにより、流路11aの周囲において主板部材21aと流路部材22aとの間が確実に封止され、主板部材21aと流路部材22aとの間において、流路11aから試薬流体が漏出することをさらに確実に防止することができる。また、封止流体が気体(本実施の形態では、圧縮空気)であるため、流路11aを流れる試薬流体が液体である場合、仮に封止流体と試薬流体とが接触したとしても、封止流体の試薬流体への混入を抑制して試薬流体に対する影響を小さくすることができる。
押圧空間部材4aと流路部材22aとの間には、押圧空間封止用のOリング44aが設けられているため、押圧空間部材4aと流路部材22aとの接触面積が小さくされる。これにより、押圧空間14aの周囲において、押圧空間部材4aを流路部材22aに対して押圧する単位面積当たりの力を大きくすることができるため、押圧空間部材4aと流路部材22aとの間において、押圧空間14aから押圧流体が漏出することを確実に防止することができる。その結果、押圧流体により流路部材22aを主板部材21aに対してより強く押圧することができ、流路11aからの試薬流体の漏出をより確実に防止することができる。
上述のように、流路構造体1bでは、主板部材21aが透光性を有するガラスにより形成されており、溝部221aに重なる領域においても透光性を有するため、試薬流体が流れる流路11a内の様子を視覚的に容易に観察することができる。また、流路構造体1bを試薬流体の光反応用の容器として利用することもできる。
流路構造体1bでは、第1の実施の形態と同様に、溝部221aが流路部材22aにのみ形成されるため、流路部材22aのみを変更することにより、流路11aの形状を容易に変更することができる。また、押圧流体が気体(本実施の形態では、圧縮空気)であるため、流路構造体1bのメンテナンス時の取り扱いを容易化することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る流路構造体1cについて説明する。図7は、流路構造体1cの構成を示す断面図である。図7に示すように、流路構造体1cは、主板部材21aと流路部材22aとの間において、流路部材22aのみに形成された溝部221aを覆う可撓性シートである補助シート部材225を備える。その他の構成は、図5および図6に示す流路構造体1bと同様であり、以下の説明において同符号を付す。
流路構造体1cでは、補助シート部材225が、流路部材22aの線状突出部223と主板部材21aとの間に挟まれることにより、線状突出部223のエッジに沿って弾性変形しつつ当該エッジに対して強く押圧される。このように、弾性変形する補助シート部材225により、流路11aの周囲において主板部材21aと流路部材22aとの間が封止されることにより、主板部材21aと流路部材22aとの間において流路11aから試薬流体が漏出することをより確実に防止することができる。なお、補助シート部材225としては、例えば、透光性を有する塩化ビニルシートが用いられる。
次に、本発明の第5の実施の形態に係る流路構造体1dについて説明する。図8は、流路構造体1dの構造を示す断面図である。図8に示すように、流路構造体1dの流路部材22aでは、線状突出部223の(+Z)側(すなわち、主板部材21a側)の頂部に、弾性を有する封止層224が設けられる。その他の構成は、図5および図6に示す流路構造体1bと同様であり、以下の説明において同符号を付す。
封止層224は樹脂により形成されており、本実施の形態では、シリコンボンド等のコーティング剤が封止層224として利用される。封止層224は、弾性を有する材料であれば樹脂には限定されないが、封止層224の形成の容易性、および、材料入手の容易性という観点からは、樹脂により形成されることが好ましい。封止層224は、シリコンボンド等を塗布して硬化することにより形成される。封止層224として、紫外線硬化性樹脂が利用される場合には、塗布後に紫外線を照射することにより封止層224が容易に形成される(第6の実施の形態においても同様)。
流路構造体1dでは、流路部材22aが主板部材21aに対して押圧されることにより、封止層224が弾性変形しつつ主板部材21aの(−Z)側の主面に強く押圧されて密着する。このように、流路構造体1dでは、流路部材22aの線状突出部223が弾性を有する封止層224を頂部に備え、流路11aの周囲において封止層224により主板部材21aと流路部材22aとの間が封止される。その結果、主板部材21aと流路部材22aとの間において流路11aから試薬流体が漏出することをより確実に防止することができる。
次に、本発明の第6の実施の形態に係る流路構造体1eについて説明する。図9は、流路構造体1eの構成を示す平面図であり、図10は、流路構造体1eを図9中に示すD−Dの位置で切断した断面図である。図9に示すように、流路構造体1eの内部には、折れ線状の流路11bが形成される。流路構造体1eでは、図10に示すように、図6に示す流路部材22aに代えて溝部221bを有する流路部材22bが設けられ、流路部材22bは、(+Z)側(すなわち、主板部材21a側)の主面のほぼ全域に溝部221bの周囲を囲む封止層224aを備える。その他の構成は、図5および図6に示す流路構造体1bと同様であり、以下の説明において同符号を付す。
封止層224aは弾性を有する樹脂により形成されており、本実施の形態では、シリコンボンド等のコーティング剤が封止層224aとして利用される。封止層224aは、弾性を有する材料であれば樹脂には限定されないが、封止層224aの形成の容易性、および、材料入手の容易性という観点からは、樹脂により形成されることが好ましい。
流路構造体1eでは、流路部材22bが主板部材21aに対して押圧されることにより、封止層224aが弾性変形しつつ主板部材21aの(−Z)側の主面に強く押圧されて密着する。流路構造体1eでは、封止層224aにより、流路11bの周囲において主板部材21aと流路部材22bとの間が広い範囲に亘って封止される。その結果、主板部材21aと流路部材22bとの間において流路11bから試薬流体が漏出することをより確実に防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
押圧空間14に充填される押圧流体は、空気以外の気体(例えば、窒素(N2)ガス)であってもよく、あるいは、純水等の液体であってもよい。押圧流体として液体が用いられる場合、液体は気体に比べて膨張率が小さいため、流路構造体が万一破損した場合であっても、押圧流体の周囲に対する拡散を抑制することができる。
また、押圧流体は必ずしも押圧空間14に充填されて封止される必要はない。例えば、押圧空間14から押圧流体を排出する排出口が供給口141とは別に設けられ、押圧流体が、流路11を流れる試薬流体よりも高い圧力にて押圧空間14を流れる構造とされてもよい。この場合、押圧空間14を流れる押圧流体の温度を制御することにより、流路11を流れる試薬流体の温度調整を行うことができる。温度調整を効率的に行うという観点からは、気体に比べて比熱が大きい液体が押圧流体として用いられることが好ましい。
第1および第2の実施の形態に係る流路構造体では、シート部材3は塩化ビニルシートには限定されず、可撓性を有するシート状の部材であれば他の材料により形成されたものであってもよい(第4の実施の形態に係る流路構造体1cの補助シート部材225においても同様)。この場合、様々な種類の試薬流体を取り扱うという観点からは、テフロン(登録商標)シート等のように、高い耐薬品性を有するものがシート部材3として利用されることが好ましい。耐薬品性の向上という観点からは、シート部材3として複数枚のシートが積層されたものが用いられてもよい。第1および第2の実施の形態に係る流路構造体では、流路形状の変更が行われない場合等には、流路部材22と主板部材21が一体物として形成されてもよい。
第3および第5の実施の形態に係る流路構造体では、溝封止用の線状突出部223は、必ずしも中間部材である流路部材22aに設けられる必要はなく、第1部材である主板部材21aの流路部材22a側において、溝部221aが形成された流路部材22aに向かって突出するように設けられてもよい。また、流路部材22aおよび主板部材21aの双方に線状突出部が設けられてもよい。第6の実施の形態に係る流路構造体1eでは、溝部221bの周囲を囲む封止層224aは、必ずしも中間部材である流路部材22bに設けられる必要はなく、第1部材である主板部材21aの流路部材22b側に設けられてもよい。
第3ないし第6の実施の形態に係る流路構造体では、中間部材である流路部材に代えて、第1部材である主板部材21aの流路部材側に、流路を形成する溝部が設けられてもよい。また、第3、第5および第6の実施の形態に係る流路構造体では、流路部材および主板部材21aの双方に溝部が形成されてもよい。
第3ないし第6の実施の形態に係る流路構造体では、Oリング44aに代えて、他の部材が押圧空間封止用の線状封止部として設けられてもよい。例えば、押圧空間部材4aを形成する際に、押圧空間14aの周囲を囲む線状の凸部が流路部材側の主面に一体的に形成されてもよい。
上記実施の形態に係る流路構造体では、試薬流体の供給口121および排出口131が、積層方向に垂直な主面(すなわち、主板部材や押圧空間部材の主面)ではなく、積層方向に平行な側面に設けられてもよい。これにより、流路構造体を平面的に複数配置することができるとともに複数の流路構造体の流路を連結して長い流路を形成することもできる。流路構造体は、積層方向が重力方向に対して垂直になる向きに配置(いわゆる、縦置き)されてもよい。
流路構造体では、試薬流体の供給において、供給口121からの加圧送液に代えて、排出口131側からの吸引による減圧送液が行われてもよい。また、加圧送液および減圧送液が並行して行われてもよい。これにより、高粘度の試薬流体の送液においてもエア噛みを確実に防止することができるとともに流路構造体の配置の自由度を向上することができる。
第1および第2の実施の形態に係る流路構造体では、複数組のシート部材3および流路部材22が、主板部材21と押圧空間部材4との間に積層されてもよい。この場合、主板部材21側から見て1番目の流路11に関しては、主板部材21および1番目の流路部材22が、1番目の流路11が形成された第1部材に相当する。また、1番目のシート部材3が第1部材上に積層される中間部材に相当し、2番目の流路部材22が中間部材上に積層される第2部材に相当する。また、主板部材21側から見て2番目の流路11に関しては、2番目の流路部材22が、流路が形成された第1部材に相当する。第3ないし第6の実施の形態に係る流路構造体でも、複数の流路部材(第4の実施の形態では、複数組の流路部材22aおよび補助シート部材225)が、主板部材と押圧空間部材との間に積層されてもよい。
流路構造体では、試薬流体に対する紫外線の影響を防止したい場合には、例えば、ガラス板43やガラス製の主板部材21aとして、紫外線を遮断する性質を有するものが用いられる。また、試薬流体の視覚的観察が不要である場合等には、溝部に重なる透光部が省略されてもよい。主板部材および押圧空間部材は高い剛性を有していればよく、例えば、セラミックにより形成されてもよい。
主板部材と押圧空間部材とは、必ずしもボルト5により固定される必要はなく、例えば、フック式の留め具やクリップが固定治具として用いられてもよく、また、主板部材および押圧空間部材の外周を嵌め合わせることにより互いに固定されてもよい。
上記実施の形態では、直線状および折れ線状の流路を有する流路構造体について説明したが、流路は必ずしも上述の形状には限定されず、例えば、2種類の試薬流体の混合を行うためのY字型の流路が流路構造体の内部に設けられてもよい。この場合、流路の2つの端部に設けられた2つの供給口から2種類の試薬流体が供給され、流路内において混合された後、残り1つの端部に設けられた排出口から混合流体が排出される。また、流路構造体では、3種類以上の試薬流体の混合が行われてもよい。
上記実施の形態に係る流路構造体は、様々な種類の流体(例えば、化学薬品、化粧品、化学調味料、塗料等であり、液体であっても気体であってもよい。)の反応や混合が行われるマイクロチップ、マイクロリアクタ、ケミカルリアクタ、マイクロデバイス等として利用される。流路構造体において流体の混合が行われる場合、例えば、組成が異なる2種類(あるいは、3種類以上)の流体が混合されてもよく、状態が異なる(例えば、液体と気体)2種類の流体が混合されてもよい。また、流路構造体は、複数の流体の混合による化学反応、化学反応を伴わない単なる混合、液体と気体の混合による微粒子化や霧化、あるいは、泡化等、流体の混合を伴う様々な目的に利用可能である。流路構造体は、また、燃料電池等にも利用可能である。
上記実施の形態では、微細流路が内部に形成された流路構造体について説明しているが、本発明に係る流路構造体では、流路は必ずしも微細なもの(例えば、0.1mm〜2mm程度の横幅のもの)には限定されず、例えば、横幅が20mm程度の流路が内部に設けられてもよい。
1,1a〜1e 流路構造体
2 第1部材
3 シート部材
4,4a 押圧空間部材
11,11a,11b 流路
14,14a 押圧空間
15 封止空間
21,21a 主板部材
22,22a,22b 流路部材
44 線状突出部
44a Oリング
221,221a,221b 溝部
222 線状補助突出部
223 線状突出部
224,224a 封止層
225 補助シート部材
2 第1部材
3 シート部材
4,4a 押圧空間部材
11,11a,11b 流路
14,14a 押圧空間
15 封止空間
21,21a 主板部材
22,22a,22b 流路部材
44 線状突出部
44a Oリング
221,221a,221b 溝部
222 線状補助突出部
223 線状突出部
224,224a 封止層
225 補助シート部材
Claims (17)
- 流体が流れる流路が内部に形成された流路構造体であって、
所定の積層方向に対して垂直な板状の第1部材と、
前記第1部材上において前記積層方向に積層される板状またはシート状の中間部材と、
前記中間部材上に積層される板状の第2部材と、
を備え、
前記第1部材および前記第2部材が前記中間部材に接する状態で互いに固定されており、
前記第1部材および前記中間部材の互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に流路を形成する溝部が設けられ、
前記中間部材および前記第2部材の間に、前記流路を流れる流体よりも高圧の押圧流体が充填される押圧空間が前記溝部に重なる範囲に形成されることを特徴とする流路構造体。 - 請求項1に記載の流路構造体であって、
前記溝部が前記第1部材にのみ形成されており、
前記中間部材が、前記溝部を覆う可撓性シートであることを特徴とする流路構造体。 - 請求項2に記載の流路構造体であって、
前記第2部材が、前記押圧空間の周囲を囲むとともに前記中間部材に向かって突出する押圧空間封止用の線状突出部を備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項3に記載の流路構造体であって、
前記第1部材が、前記中間部材側の主面において、前記第2部材の前記線状突出部の内側に沿って前記溝部の周囲を囲むとともに前記中間部材に向かって突出する線状補助突出部を備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項2ないし4のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記第1部材が、
前記中間部材に接するとともに前記溝部が形成された流路部材と、
前記第2部材と共に前記中間部材および前記流路部材を挟み込む主板部材と、
を備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項2ないし5のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記中間部材および前記第2部材が、前記溝部に重なる領域において透光性を有することを特徴とする流路構造体。 - 請求項1に記載の流路構造体であって、
前記第1部材および前記中間部材の少なくとも一方の部材が、前記溝部の周囲を囲むとともに他方の部材に向かって突出する溝封止用の線状突出部を備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7に記載の流路構造体であって、
前記第1部材と前記中間部材との間に、前記線状突出部の周囲を囲むとともに前記押圧流体よりも低圧であって前記流路を流れる流体とおよそ等しい圧力を有する封止流体が充填される封止空間が形成されることを特徴とする流路構造体。 - 請求項8に記載の流路構造体であって、
前記封止流体が気体であることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7ないし9のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記溝部が、前記第1部材および前記中間部材の一方のみに形成されており、
前記第1部材と前記中間部材との間において前記溝部を覆う可撓性シートをさらに備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7ないし9のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記線状突出部が、頂部に前記他方の部材に密着する弾性を有する封止層を備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項1に記載の流路構造体であって、
前記第1部材および前記中間部材の一方の部材が、前記溝部の周囲を囲むとともに他方の部材に密着する弾性を有する封止層を備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項11または12に記載の流路構造体であって、
前記封止層が樹脂であることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7ないし13のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記溝部が、前記中間部材にのみ形成されることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7ないし14のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記中間部材と前記第2部材との間に、前記押圧空間の周囲を囲む押圧空間封止用の線状封止部をさらに備えることを特徴とする流路構造体。 - 請求項1ないし15のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記押圧流体が気体であることを特徴とする流路構造体。 - 請求項1ないし16のいずれかに記載の流路構造体であって、
前記第1部材が、前記溝部に重なる領域において透光性を有することを特徴とする流路構造体。
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