JP2007111571A - 電気分解処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極板の消耗を抑えて、排水などを効率よく処理できる電気分解装置の提供する。
【解決手段】 被処理液導入部3を備えた電解槽1と電解により生じたフロックを分離除去するための分離槽2を、電解槽1で電解処理した液を前記分離槽2に連続導入できるように連結した装置において、電解槽1に4枚以上の電極板4を並列して設け、該電極板4の前後の電極板4A、4Bと中間部の少なくとも1枚の電極板4Cの頂部に電源接続端子8を設け、必要に応じて電源に接続する距離を変化できるようにした。電解槽1は、複数の電解室5を有する多段式にし、また、分離槽2の処理液の一部を電解槽1に環流できるようにすることよって、成分、処理量、粘性などの変化する被処理液をいずれも、安定して効率よく処理可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、多種多様な排水を、電気分解により安定して処理できる電気分解処理装置に関する。
近年、排水処理に電気分解を利用する試みがなされてきている。
電気分解処理では、負極から水素ガスが発生し、陽極の金属から電気的に溶出される金属イオンが排水中の物質と結合し、水酸化物となってフロックを形成する。フロックは浮上するもの、沈降するもの、電極間を浮遊するもの等、種々存在することとなる。また、排水中に比重の大きいスラッジが混入する場合には、汚泥が沈降する。
一般に電極は処理槽の水層部の中央に設置されており、浮上汚泥や沈降汚泥が混在した状況であるため、処理停止後時間の経過と共に浮上汚泥の起因である水素ガスの脱泡と共に汚泥が沈降することになる。
その結果、処理槽全体に水酸化物の汚泥が浮上してみたり沈降したり、水中に浮遊したり、安定した処理が困難となる。
また、従来の電気分解処理の電圧は8〜24V仕様が主流となり、電流値は電圧に比べて50〜3000Aと高く、このような条件下では、電極の主材料である金属板などの溶解が激しく、金属イオンが処理水中に過剰に溶解してしまい、その結果、生成される水酸化金属イオンが処理に悪影響を与えることがある。
また、このような条件下で消耗し難い電極材料(なるべくイオン化しない材料)を使用すると、今度は電気分解工程で凝集効果が著しく低下し、所望の処理効果を得ることができない。
そのため、電気分解処理の前段で被処理液に凝集剤を添加撹拌し、その後、電解処理を実施するケースがある(特許文献1参照)が、凝集剤の添加は、処理後に発生するスラッジの減量化には結びつかない。
そこで本発明者は、多種多様な排水を処理対象とし、鋭意研究して、実用性ある電気分解装置の提供を可能とした(特許文献2参照)。しかし、この装置では、大量の排水を効率よく処理することは困難であり、また組成の異なる排水を任意に処理条件を変化させて電気分解処理することは困難であった。
特開平5−212385号公報 特開2002−205068号公報
本発明は、使用される電極板の消耗を抑えて、排水などを効率よく処理できる電気分解装置の提供を課題とする。また、本発明は、発生する汚泥を素早く電解処理工程から取り除き、汚泥の二次的な副作用を防止する、排水などの大量処理を可能とする、粘性の高い排水や電気絶縁性排水並びに濃厚排水の処理を可能とする、及び/又は多種多様の産業排水を、処理条件を任意に変化させて容易に電解処理できる電気分解処理装置の提供をも課題とする。
本発明では、被処理液導入部を備えた電解槽と、電解により生じたフロックを分離除去するための分離槽を、電解槽で電解処理した液を分離槽に連続導入できるように連結した電気分解処理装置において、電解槽に4枚以上の電極板を並列して設け、該電極板の先端の電極板と後端の電極板と中間部の少なくとも1枚の電極板の頂部に電源接続端子を設け、必要に応じて電源に接続する距離を変化できるようにした。その結果、多種多様な被処理液に対応して、電圧及び電流を変化させて電気分解処理をすることが可能となる。
また、本発明は電解槽を複数の電解室からなるものとし、各電解室に4枚以上の電極板を設け、かつ各電解室間の隔壁の上端が前記分離槽に向けて低くなるように電解室を多段に設けることにより、大量の被処理液をも非常に効率よく電解処理できるようにした。なお、被処理液は、電解槽の下方に設けられたヘッダから各電解室に均等に導入されるようにするのがよい。すなわち、被処理液導入口が各電解室の底部に設けられるのがよい。
また、電解槽にから電解処理後の処理液が流入される分離槽は、上方に浮上汚泥掻き取り装置を設け、中央部に処理液を部分的に電解槽に環流するためのポンプを設け、処理液の一部を再度電解槽で処理できるようにするのがよい。この場合、連続して、より確実な電解処理が可能となる。環流される処理液の量は限定されないが、通常2〜95%程度、特に5〜30%程度であるのが好ましい。なお、環流される処理液は、再度電解槽で処理されるので、その中に、スラッジ分が混入していてもよい。
電解槽に取付けられる電極板は、4枚以上の電極板を電気絶縁物質の保持板で一定間隔を空けて並列に保持したブロック体として、設置されるようにしてもよい。大量の液を処理するためには、電極の表面積を広くすることが必要であるが、このようにブロック化した場合には、数十枚から数百枚というような多数枚の電極板の使用も、容易に可能となる。なお、このブロック体は、保持板や電極板に開孔して、クレーンで吊り下げられるようにしてもよい。
更に、本発明では、電源接続端子を設けた主要な電極板の幅を、他の電極板の幅より狭くすることにより、所定の電圧を維持しながら少ない電流でも、効率よく電解処理することをも可能とする。電極の長さが一定の場合、幅を縮小しても、全面に電解反応を生じさせることが可能となる。
これは、例えば、被処理液中に電解物質が含まれる場合、電源に接続された電極間に電流が多く流れ、アンペア数が上昇し、必要以上の電流値となるため、電極のイオン化が進み、電極の消耗が激しくなると共に過多の金属イオンが水酸化物となって電極間に滞留し、支障をきたす原因となるうえ、大容量の電源が必要となり、イニシャルコストの高騰が余儀なくなるというような問題点を解消し、適切な電圧と電流を確保することを可能とするのである。
電源接続する電極板の幅を他の電極板の幅の25〜70%程度とするのがよく、約50%とした場合、半分のアンペア数で、電極板全面に反応する効率のよい電解が可能となる。
更に、電解槽に4枚以上の電極板を並列して設けた電解ユニットを上下に設け、上下の電解ユニットの間に被処理液導入部を設けることにより、沈降する被処理液は下方の電解ユニットで電解作用を受け、浮上する被処理液は上方の電解ユニットで電解されるようにすることができる。
なお、本発明において、分離槽の周囲に複数の電解槽を設けてもよく、この場合、一度に多くの処理が可能となる。
更に、本発明では、電解槽における電極の+・−の電気極性を一定時間毎に入れ替わるように(+が−に、−が+になるように)するのが好ましく、そうすることによって、陽極に汚泥が堆積するのを防止し、効率のよい処理を可能とする。+・−の電気極性の入れ替えは、通常10〜20分毎に実施するように設計するのが好ましい。
本発明では、電解槽内の電極板に電源接続端子を取付け、必要に応じて電源に接続する距離を変化できるようにしたことにより、多数枚の電極板を設けておき、実液通電処理時に+−の電極を適切な電極板にそれぞれ接続し、目的に応じた電流を印加して(余分な電流を流すことなく)、効率のよい処理が可能となる。
また、電解槽を多段槽及び/又は多槽にすることにより、非常に大量の排水をも比較的短時間で確実に電気分解処理可能となる。
更に、電解処理工程水の一部あるいは処理済水の一部を原水槽又は原水供給ラインに環流し、処理効果を向上させることも可能となる。また、処理時間が不足で所定の効果が得られない状況が発生した場合、環流式では事前に処理水の一部が被処理液に混入されるため、電気伝導度が上昇し、より電解作用を効果的に受けやすくなるという効果もある。
すなわち、環流方式では、処理中の水酸化イオンと被処理液中の物質との反応もより強化され、形成されるフロックなどの粒子径が大きくなり、固液分離がより確実に実施可能となる。更に、粘性物質や樹脂成分が排水中に混入している場合など、通常の方法では電極間で電流が通電しにくく、処理が未完全となり、能力不足に陥ることがあるが、処理液を環流させることにより、被処理液を希釈し、電解され易い状態に保つため、これらの問題点を全て回避することが可能となる。環流方式は、濃厚排水、粘性排水、電気絶縁性排水等の処理に特に効果的である。
なお、環流方式を採用すると(例えば、処理液の環流約20%の場合)、COD、BOD、SS等の除去率は、通常の場合に比して25%以上向上する。
また、本発明では、電解処理作用で発生する汚泥(一般には浮上汚泥)及び被処理液が、処理後速やかに電解ゾーンより取り除かれるように、被処理液を電気分解するための電解槽と、電気分解処理後の汚泥と処理液を分離する汚泥分離槽を別槽としているため、発生汚泥による副作用を防止できる。
次に図面に示す実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明がこれによって限定されるものではない。
図1の装置は、(A)に示されるように、下方に被処理液導入部3を備えた電解槽1と電解により生じたフロックを分離除去するための分離槽2が、電解槽1で電解処理した液が分離槽2に連続導入できるように連結されているものであって、分離槽2において処理液の一部は、ポンプ(P)によって、電解槽1に環流されるようになっており、また、分離槽2の上方には、浮上汚泥掻き取り装置7が設けられている。
更に、電解槽1には、(B)に示されるように、多数枚の電極板4(4A、4B、4C等)が設置されており、各電極板の上端部には、被処理液に接しない位置に電源接続端子8が設けられ、被処理液の種類や量に応じて、通電する電極板4の間隔を調整して、排水等の被処理液を電解処理できるようになっている。
次に、図2の例は、電解槽1を多段の電解室5からなるものとし、分離槽2の左右に2槽設けたものである。各電解室5には、10枚の電極板4を設け、各電解室5間の隔壁6の上端が前記分離槽に向けて低くなるように(すなわち、各電解室5で処理された処理液や浮上汚泥が潤滑に分離槽2に向けて流れ込むように)設計されている。なお、被処理液は、電解槽1すなわち各電解室5の下方に設けられたヘッダ(図示されていない)から各電解室5に均等に導入されるようになっている。このように電解槽1を多段、多槽に形成することにより、非常に大量の排水の処理が可能となる。なお、この場合にも、全体に又は適当な間隔で、電極板4に電源接続端子8を取付けておくことにより、使用電流を調整して(通電する電極板4の居距離を調整して)適当な電流を使用して、被処理液が少量の場合にも、効率の良い処理が可能となる。
浮上汚泥も種々存在するため、自然流出し難い場合もあるが、電解槽1の背面(オーバーフロー反対側)から被処理水や処理液の環流液などを流入させることにより、浮上し難い汚泥も、処理液と共に分離槽2に流出させることができる。
なお、分離槽2の上方に設けられ浮上汚泥掻き取り装置7としては、公知のものを使用してもよく、例えば特許文献1に示される様な掻き取り装置を使用したり、また浮上汚泥取出し口から強制的に浮上汚泥が流出するように吸引するなどしてもよい。
電解槽1に設置される電極板4は、図3に示すように多数枚の電極板4を電気絶縁物質の保持板9で一定間隔を空けて並列に保持したブロック体10としておくことにより、被処理液毎に設計される必要がある電極板を、目的に応じて、一括安定して電解槽1に設置できるようにすることも可能となる。
電極板4は、図3及び図4(A)(B)のように、電源に接続する電極板4A、4B、必要に応じて4Cの幅を、他の電極板の幅より狭くすることにより、少ない電流で、全体に電極板を機能させ、効率の良い電気分解処理をすることもできる。
また、本発明では、図5に示されるように、電解槽1に多数枚の電極板4を並列して設けた電解ユニット11、12を上下に設け、上下の電解ユニット11、12の間に被処理液導入部3を設けてもよく、この場合、沈降する被処理液は下方の電解ユニット11で電解作用を受け、浮上する被処理液は上方の電解ユニット12で電解され、非常に効率のよい処理が可能となる。
更に、本発明では、図6に示されるように、環流式電気分解装置と膜処理装置を組み合わせることにより、膜処理本来の機能を十分発揮させることができ、各種処理液のリサイクル使用をより完全に可能とできるものとなる。通常の膜処理の欠点は、スラッジや油分が被処理液に含まれる場合、膜の寿命が著しく低下する欠点があったが、膜処理の前段に環流式電気分解処理を実施することで、このような障害が取り除かれ、効率のよい膜処理が可能となるのである。
例えば、工業用水の向上化には、前処理として本発明の装置を使用し、脱色、微細夾雑物及び硬度対象物質(鉄やカルシウムなど)を除去した後に、MF(精密濾過)、US(限外濾過)、RO(逆浸透)その他のセラミックフィルターなどを組み合わせて使用することにより、上水並の工業用水を得ることができる。
かかる本発明の装置は、一般工業排水・工業用水・純水製造工程の前処理に非常に効率よく使用できるものであり、更に活性汚泥処理後の3次処理、浄水場などの高度処理、糞尿処理場の脱色処理、牛豚鶏舎排水処理などにも効率よく使用できることが確認されている。また、建設現場における汚水処理、洗濯排水及びダストコントロール排水の処理、ダム・ため池などの浮上アオコ及び沈降ヘドロの処理、建築現場における汚泥処理にも、コンパクトにして、扱い易い装置として、非常に効率のよい処理を可能とする。
本発明の装置の一例の実施形態の概要を示すもので、(A)は電解槽の説明図、(B)は装置全体の断面図である。 本発明の装置の他の一例の実施形態の概要を示す断面図である。 本発明の一例で使用する電極板のブロック体を示す平面図である。 本発明における電極板の使用例(A)(B)を示す平面図である。 本発明の装置の一例を示す断面図である。 本発明の装置の一例の使用状態を示す説明図である。
符号の説明
1 電解槽
2 分離槽
3 被処理液導入部
4 電極板
5 電解室
6 隔壁
7 浮上汚泥掻き取り装置
8 電源接続端
9 保持板
10 ブロック体
11 電解ユニット
12 電解ユニット

Claims (10)

  1. 被処理液導入部3を備えた電解槽1と電解により生じたフロックを分離除去するための分離槽2が、電解槽1で電解処理した液を前記分離槽2に連続導入できるように連結されているものであって、電解槽1に4枚以上の電極板4が並列して設けられており、該電極板4の前後の電極板4A、4Bと中間部の少なくとも1枚の電極板4Cの頂部に電源接続端子8を設け、必要に応じて電源に接続する距離を変化できるようにしたことを特徴とする電気分解処理装置。
  2. 電解槽1が多段の電解室5からなり、各電解室5に4枚以上の電極板4が設けられており、かつ各電解室5間の隔壁6の上端が前記分離槽2に向けて低くなるように設計されている請求項1の電気分解処理装置。
  3. 前記分離槽2には、上方に浮上汚泥掻き取り装置7が設けられており、かつ、中央部に処理液を部分的に電解槽1に環流するためのポンプが設けられている請求項1又は2の電気分解処理装置。
  4. 被処理液導入口3が各電解室5の底部に設けられている請求項2又は3の電気分解処理装置。
  5. 前記電解槽1に、4枚以上の電極板4を電気絶縁物質の保持板で一定間隔を空けて並列に保持したブロック体として、設置される請求項1〜4いずれか1項の電気分解処理装置。
  6. 電源接続端子を設けた電極板4A、4B、4Cの幅が他の電極板の幅より狭くなっている請求項1〜5いずれか1項の電気分解処理装置。
  7. 電源接続端子を設けた電極板4A、4B、4Cの幅が他の電極板の幅の25〜70%である請求項6の電気分解処理装置。
  8. 電解槽1に4枚以上の電極板4を並列して設けた電解ユニットを上下に設け、上下の電解ユニットの間に被処理液導入部3を設けた請求項1の電気分解処理装置。
  9. 複数の電解槽1が前記分離槽2の周囲に取付けられている請求項1〜8のいずれか1項の電気分解処理装置。
  10. 電解槽1における+・−の電気極性が一定時間毎に入れ替わるようになっている請求項1〜9いずれか1項の電気分解処理装置。
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