JP2007109415A - 多孔性プロトン伝導体及びその製造方法、スルホン酸基含有共重合体、並びに電気化学装置 - Google Patents

多孔性プロトン伝導体及びその製造方法、スルホン酸基含有共重合体、並びに電気化学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プロトン伝導性、特に低湿度下でのプロトン伝導性が改善され、燃料電池などの電気化学装置の動作条件下で熱的、機械的、化学的に安定であり、耐溶媒性が優れ、安価である多孔性プロトン伝導体及びその製造方法、その構成材料である新規なスルホン酸基含有共重合体、並びにそれを用いた電気化学装置を提供すること。
【解決手段】(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランとビス(トリアルコキシシリル)メタンと水とを界面活性剤の存在下で反応させ、下記の一般式:
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)x+y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z (但し、x+y+2z=1)
で表される、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成し、次に、チオール基を酸化して、下記の一般式:
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z・nH2O
で表される、スルホン酸基含有共重合体からなる多孔性プロトン伝導体を合成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池などの電気化学装置への応用などに好適な多孔性プロトン伝導体及びその製造方法、その構成材料であるスルホン酸基含有共重合体、並びにその多孔性プロトン伝導体を用いた電気化学装置に関するものである。
従来用いられてきたプロトン伝導体は、有機化合物をベースとする高分子化合物からなる。例えば、固体高分子電解質型燃料電池等に最も広く使用されているプロトン伝導体の1つはNafion(登録商標;デュポン社製パーフルオロスルホン酸樹脂)であるが、これは、その構造が下記の一般式(6)で表される、パーフルオロ化されたスルホン酸系高分子樹脂である。
一般式(6):
Figure 2007109415
Nafionの分子構造は、本質的に特性が異なる2つのサブ構造体、即ち、(1)疎水性の分子骨格をなす、パーフルオロ化された1本鎖の主鎖と、(2)親水性のスルホン酸基を有するパーフルオロ化された側鎖とからなり、このスルホン酸基がプロトン供与サイト(部位)として機能する。この構造は、不飽和結合を含まず、パーフルオロ化された構造であるため、熱的にも化学的にも安定である。
一方、本出願人は、後述の特許文献1において、図6(A)および図6(B)に例示する、硫酸水素エステル基(-OSO3H)又はスルホン酸基(-SO3H)のようなプロトン解離性の基(その基から水素原子がプロトン(H+)として脱離し得る官能基)を導入したフラーレン誘導体を主成分とする材料が、固体構造内でプロトンを伝導できることを示した。また、後述の特許文献2において、プロトン伝導性を有するフラーレン誘導体として、図6(C)および図6(D)に示す化合物を例示した。プロトン解離性の基は、(A)や(B)のようにフラーレン核に直接結合させることも、或いは(C)や(D)のように種々のスペーサー基を介して間接的にフラーレン核に結合させることもできる。これらの化合物は、固体構造内に含まれる水の量を最適化することにより、10-2S/cmを超えるプロトン伝導性を発現する。
フラーレン誘導体が有するプロトン伝導機能を燃料電池等の電気化学装置へ応用する際、その電気化学装置で求められる条件の下で、フラーレン誘導体が熱的にも化学的にも安定であることが求められる。本出願人は、このような要求に応え得るように特許文献2において、熱的および化学的安定性に優れたプロトン伝導性フラーレン誘導体を報告した。このプロトン伝導性フラーレン誘導体は、少なくとも一部分がフッ素化されたアルキレン基などからなるスペーサー基を介して、プロトン解離性の基がフラーレン核に結合しているため、優れた耐熱性や化学的安定性を有する。
WO 01/06519(第6−11頁、図1及び2) 特開2003−303513(第7−10頁、図1及び4)
Nafionは、十分に加湿された条件下では優れたプロトン伝導性を示すが、乾燥雰囲気下や高温下では、プロトン伝導性発現に必要な、樹脂内部に吸蔵した水分を失い、プロトン伝導度が低下しやすい。例えば、相対湿度が11%未満の低湿度条件下では、Nafionのプロトン伝導度は10-6S/cmよりも小さい。また、Nafionには、ダイレクトメタノール燃料電池で燃料として用いられる高濃度のメタノールに対する耐久性が乏しいという問題点もある。
また、プロトン伝導性フラーレン誘導体のプロトン伝導度も固体内に含まれる水分量に依存し、相対湿度が11%未満の低湿度条件下では、フラーレン誘導体のプロトン伝導度は10-5S/cmよりも小さくなる。
また、従来、燃料電池に応用されるプロトン伝導体では、プロトン伝導性が優れていることが第一に優先され、経済性、耐溶媒性、熱的安定性および化学的安定性などが優れていることが最重要事項の一つとして評価されることは希であった。
本発明の目的は、上記のような実情に鑑み、高湿度下でも低湿度下でも高いプロトン伝導性を有し、とりわけ低湿度下でのプロトン伝導性が改善され、かつ、燃料電池などの電気化学装置で求められる動作条件下で熱的、機械的、化学的に安定であり、耐溶媒性が良好で、しかも安価である多孔性プロトン伝導体及びその製造方法、その構成材料である新規なスルホン酸基含有共重合体、並びにその多孔性プロトン伝導体を用いた電気化学装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、新規なスルホン酸基含有共重合体を合成し、この共重合体を構成材料として用いることによって優れたプロトン伝導体を提供できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記一般式(1):
(SiO1.5-(-CH2-)m-SO3H)x(SiO1.5-(-CH2-)m-SH)y(SiO1.5-(-CH2-)n-SiO1.5)z
(但し、式中、m及びnは1以上の整数で、x+y+2z=1である。)
で表される、スルホン酸基含有共重合体からなる、多孔性プロトン伝導体に係わり、また、前記多孔性プロトン伝導体の製造方法であって、
(3−メルカプトアルキル)トリアルコキシシランと、ビス(トリアルコキシシリル) アルカンと、添加剤と、塩基又は酸と、水との混合物を反応させ、下記一般式(3):
(SiO1.5-(-CH2-)m-SH)x+y(SiO1.5-(-CH2-)n-SiO1.5)z
(但し、式中、m及びnは1以上の整数で、x+y+2z=1である。)
で表される、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成する第1工程と、
前記チオール基の少なくとも一部を酸化してスルホン酸基に変換する第2工程と
を有する、多孔性プロトン伝導体の製造方法に係わるものである。
また、本発明は、下記一般式(7):
(SiO1.5-(-CH2-)m-SO3H)x(SiO1.5-(-CH2-)m-SH)y(SiO1.5-(-CH2-)n-SiO1.5)z
(但し、式中、m及びnは1以上の整数で、x+y+2z=1である。)
で表される、スルホン酸基含有共重合体に係わるものである。
更にまた、本発明は、第1の電極と第2の電極との間にプロトン伝導体が挟持され、前記プロトン伝導体が前記第1の電極から前記第2の電極へプロトンを伝導するように構成された電気化学装置において、
前記プロトン伝導体が前記多孔性プロトン伝導体からなる
ことを特徴とする、電気化学装置に係わるものである。
本発明の多孔性プロトン伝導体は、前記一般式(7)で表されるスルホン酸基含有共重合体からなり、しかも、孔径がμm又はnmレベルの細孔を多数有する多孔体である。細孔の壁面を含めてこの多孔性プロトン伝導体の表面は、主として、分子骨格をなすケイ素原子、酸素原子及びメチレン基(-CH2-)によって構成され、この表面から露出したスルホン酸基(-SO3H)の近傍に吸着された水分によって、プロトン伝導経路が形成されているものと考えられる。
前記スルホン酸基含有共重合体では、x、y、zの比率を広範囲に変更可能であり、xを増加させることによって、単位質量あたりのスルホン酸基数を従来のプロトン伝導体よりも多くすることができる。例えば、Nafionでは、通常、約1100原子質量単位につき1個のプロトン伝導サイトが含まれるにすぎず、プロトン伝導性C60フラーレン誘導体でも、約370原子質量単位につき平均1個のプロトン伝導サイトが含まれるだけである。これに対して、前記スルホン酸基含有共重合体では、後述の実施例1で説明するように、約310原子質量単位につき平均1個のプロトン伝導サイト(スルホン酸基)が含まれる共重合体が合成されている。この結果、本発明の多孔性プロトン伝導体は、高湿度下でも低湿度下でも高いプロトン伝導性を発現することができる。
しかも、本発明の多孔性プロトン伝導体は、十分な数の水分子を収容する適当な孔径の細孔をスルホン酸基のまわりに有するため、水分を保持する性能が高く、自己保湿性が良好で、低湿度下において従来よりも高いプロトン伝導性を発現することができる。
また、本発明の多孔性プロトン伝導体の分子骨格は、無機元素によるシロキサン結合-(-Si-O-)n-を主体として形成されているため、熱的、機械的、化学的に安定であり、いかなる溶媒にも溶けにくく耐溶媒性があり、しかも安価に製造することができる。例えば、燃料電池などの使用環境である約80〜130℃において実用有効寿命を超える期間、故障なしに使用できることを保証する熱安定性(TG−DTA(熱重量−示差熱分析)測定で150℃以上)を有する。特に、アルコールに不溶であるので、高濃度のアルコールに対する耐久性の乏しいNafionと異なり、高濃度のメタノールと接触するダイレクトメタノール燃料電池用プロトン伝導膜として、問題なく用いることができる。
前記多孔性プロトン伝導体は、シロキサン結合を主体とする多孔体構造である点では、本出願人が先に特願2004−309644において提案したメソポーラスシリカポリマープロトン伝導体と類似している。しかし、本発明では、上記の無機系分子骨格に共重合によって有機系メチレン基が導入されているため、細孔の壁面など、多孔性プロトン伝導体の表面の性質は本質的に疎水性になっている。この結果、メタノールの透過を阻止する性能が高く、ダイレクトメタノール燃料電池用プロトン伝導膜として好適に用いることができ、メタノールの透過を阻止することによって、出力電圧が大きくなり、発電効率が向上する効果がある。
本発明の多孔性プロトン伝導体の製造方法によれば、上記の特性を有する前記多孔性プロトン伝導体を容易に製造することができる。この際、(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランと、ビス(トリアルコキシシリル)メタンとから、チオール基含有共重合体を合成する第1工程において、添加剤を加えて反応させることで、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを形成することができる。前記添加剤としては、後述するように、有機界面活性剤などがよい。
また、本発明のスルホン酸基含有共重合体は、本発明の多孔性プロトン伝導体の構成材料として、その形成に必要不可欠な材料である。
更にまた、本発明の電気化学装置は、第1の電極と第2の電極との間に挟持されるプロトン伝導体が、本発明の多孔性プロトン伝導体からなるので、高湿度下でも低湿度下でも性能が優れ、とりわけ低湿度下での性能低下が改善された電気化学装置を得ることができる。しかも、燃料電池などで求められる動作条件下で熱的、機械的、化学的に安定に動作し、溶媒を選ばない電気化学装置を得ることができる。
本発明の多孔性プロトン伝導体は、前記一般式(1)においてm=3及びn=1であり、下記一般式(2):
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
(但し、式中、x+y+2z=1である。)
で表されるのがよい。この際、x+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、及びz=0.125〜0.475であるのがよい。
(x+y)が0.05未満、又はxが0.03未満では、スルホン酸基が少なすぎて、良好なプロトン伝導性が得られない。(x+y)の上限は特に限定されるものではないが、(x+y)が大きくなりすぎ、その結果としてzが小さくなりすぎると、図1を用いて後述するように、前記多孔性プロトン伝導体の結晶性が低下して多孔体構造が形成されにくくなるので、(x+y)の上限を0.75とするのがよい。
また、平均孔径が0.6〜12nmであるメソポーラスポリマーからなるのがよく、孔径のばらつき(孔径分布)の幅が狭いのがよい。一般に、孔径が2nm以上、50nm以下のものがメソポーラス材料と呼ばれている。メソポーラス構造化する材料は結晶性の材料であり、X線回折像(XRD profile)において散乱角2θが3°以下のところに回折ピークを生じる。
本発明の多孔性プロトン伝導体の製造方法において、前記第1工程で前記(3−メルカプトアルキル)トリアルコキシシランとして(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランを用い、前記ビス(トリアルコキシシリル)アルカンとしてビス(トリアルコキシシリル)メタンを用い、下記一般式(4):
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)x+y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
(但し、式中、x+y+2z=1である。)
で表される、前記チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成し、上記一般式(2)で表される多孔性プロトン伝導体を製造するのがよい。この際、x+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、及びz=0.125〜0.475であるのがよい。
また、前記第1工程を0〜180℃における水熱反応によって行うのがよい。具体的には、例えば、0℃、室温(20℃)、40℃、60℃、70℃、90℃、115℃、140℃、160℃、及び180℃において反応させるのがよい。
この際、前記添加剤として、下記一般式(5):
CH3-(CH2)i-N+(CH3)3X-
(但し、式中、i=7、9、11、13、15、17、19、又は21であり、X =Br、Cl及び/又はOHである。)
で表される有機界面活性剤、下記一般式(6):
CH3-(CH2)j-NH2
(但し、式中、j=7、9、11、13、15、17、19、又は21である。)
で表される有機界面活性剤、非イオン性高分子界面活性剤Pluronic123(Aldrich Chem.社製)(EO20PO70EO17;平均分子量 5800)、非イオン性トリブロックポリマーであるBrij58(C16H33(OCH2CH2)20OH)、及び同じく非イオン性トリブロックポリマーであるBrij76(C18H37(OCH2CH2)10OH)からなる群より選ばれた少なくとも1種の有機界面活性剤を用いるのがよい。これらのうち、一般式(2)及び(3)で表される界面活性剤が好ましく、特に一般式(2)で表される界面活性剤が好ましい。他の界面活性剤を用いる場合には、選択する塩基又は酸によって細孔構造を有する多孔体を形成することが困難になる場合がある。
これらの有機界面活性剤は、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを形成する際、チオール基に吸着された状態で細孔の鋳型として働き、多孔性ポリマー形成後に除去されて、後に酸化されてスルホン酸基となるチオール基の近傍に細孔構造を残す働きをする。
また、前記第1工程の後、前記第2工程の前に、前記チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーから前記添加剤を除去するのがよい。このようにすると、前記第2工程において、前記添加剤が除去されたあとの細孔を通じて、酸化剤が前記チオール基にスムーズに接触でき、効率よく前記チオール基を前記スルホン酸基に酸化することができる。
また、前記第2工程において前記チオール基を過酸化水素水溶液を用いて酸化するのがよい。この酸化工程で用いる酸化剤としては、他にメタノールやデカンに溶解させたtert-ブタンヒドロペルオキシド、およびブタノールやデカンに溶解させたクメンヒドロペルオキシドなどを用いることができるが、前記チオール基を高効率で前記スルホン酸基に変換するために、過酸化水素水溶液を用いるのが重要である。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、前記一般式(7)においてm=3及びn=1であり、下記一般式(8):
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
(但し、式中、x+y+2z=1である。)
において、前記多孔性プロトン伝導体について説明したと同様の理由で、x+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、z=0.125〜0.475であるのがよい。
本発明の電気化学装置は、燃料電池、とりわけ水素又はメタノールを燃料とする燃料電池として構成されているのがよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。本実施の形態では、主として、請求項1および2に記載した多孔性プロトン伝導体および請求項5および6に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法に関わる例として、下記一般式(2):
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
(但し、式中、x+y+2z=1である。)
で表される多孔性プロトン伝導体およびその製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に基づく多孔性プロトン伝導体を構成するスルホン酸基含有共重合体の構造のうち、最も一般的と考えられる部分構造を示す構造式である。
一般式(2)にも示されているように、新規化合物であるこのスルホン酸基含有共重合体は、一方の単量体である、例えば(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシラン由来の構造単位AおよびBと、他方の単量体である、例えばビス(トリアルコキシシリル)メタン由来の構造単位Cとからなる。構造単位AとBの違いは、構造単位Bでは(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシラン由来のチオール基(メルカプト基)(-SH)が酸化されずに残存しているのに対し、構造単位Aではチオール基が酸化され、スルホン酸基(-SO3H)に変換されていることである。
この共重合体の分子骨格は、シリコーン樹脂の基本骨格であるシロキサン結合-(-Si-O-)n-と、ビス(トリアルコキシシリル)メタン由来のSi-CH2-Si結合とで構成されている。ビス(トリアルコキシシリル)メタン由来のケイ素原子は4本の結合手で隣接する原子と結合し、三次元網目状の骨格構造を形成する。これに対し、(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシラン由来のケイ素原子は、3本の結合手で隣接する原子と結合して骨格構造を形成する一方、残り1本の結合手はプロピル基を介してチオール基またはスルホン酸基と結合し、骨格構造の形成には寄与しない。従って、共重合させるビス(トリアルコキシシリル)メタンの割合zが少なすぎると、三次元網目状の骨格構造の形成が不十分になり、結晶性が不足して、細孔構造を有する多孔体を形成するのが困難になる。
この共重合体の分子骨格は、無機元素によるシロキサン結合を主体として形成されているため、既述したように、熱的、機械的、化学的に安定であり、いかなる溶媒にも溶けにくく安定であり、しかも安価に製造することができる。例えば、燃料電池などの使用環境である約80〜130℃において実用有効寿命を超える期間、故障なしに使用できることを保証する熱安定性(TG−DTA測定で150℃以上)を有する。特に、アルコールに不溶であるので、高濃度のアルコールに対する耐久性の乏しいNafionと異なり、高濃度のメタノールと接触するダイレクトメタノール燃料電池用プロトン伝導膜として、問題なく用いることができる。
一方、ビス(トリアルコキシシリル)メタン由来のメチレン基(-CH2-)が上記の無機系分子骨格に導入されているため、細孔の壁面など、多孔性プロトン伝導体の表面の性質は本質的に疎水性になっている。この結果、メタノールの透過を阻止する性能が高く、ダイレクトメタノール燃料電池用プロトン伝導膜として好適に用いることができ、メタノールの透過を阻止することによって、出力電圧が大きくなり、発電効率が向上する効果がある。
チオール基は、(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランから導入され、このチオール基の酸化によってスルホン酸基が作られる。従って、共重合させる(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランの割合(x+y)を増加させることによって、単位質量当たりのチオール基およびスルホン酸基の数を増加させることができる。
図2は、本発明の実施の形態に基づく多孔性プロトン伝導体の合成工程を示すフロー図である。
この合成フローでは、まず、前記第1工程である工程1において、(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランとビス(トリアルコキシシリル)メタンと水とを、塩基又は酸および前記添加剤の存在下で0〜180℃における水熱反応によって反応させ、下記一般式(2):
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)x+y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
(但し、式中、x+y+2z=1である。)
で表される、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成する。
ここで、(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランとしては、特に限定するものではないが、例えば、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(Si(OCH3)3(CH2CH2CH2SH);3−MPTMS)または(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン(Si(OCH2CH3)3(CH2CH2CH2SH);3−MPTES)などが挙げられる。また、ビス(トリアルコキシシリル)メタンとしては、特に限定するものではないが、例えば、ビス(トリエトキシシリル)メタン((CH3CH2O)3SiCH2Si(OCH2CH3)3);BTESE)などが挙げられる。図2は、3−MPTMSとBTESEとを用いる例を示している。
この際、反応し合う単量体の組み合わせによって、図3(a)〜図3(c)に示した重合反応が起こるが、これらはいずれも、図3の下部の実線の枠内に示したように、不安定なSi−OR結合が加水分解され、その結果生じたシラノール基Si−OH同士が脱水縮合する同じ型の反応である。これらの反応は容易に進み、副反応も起こらず、高収率である。また、アルコキシ基(−OR)を構成するアルキル基が何であるかはあまり重要なことではない。
チオール基含有共重合体の組成は、共重合させる(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランとビス(トリアルコキシシリル)メタンとのモル比で決まる。例えば、0.05〜0.75molの3−MPTMSと、0.475〜0.125molのBTESEとを反応させることによって、上記一般式(2)においてx+y=0.05〜0.75であり、含まれるケイ素原子の5〜75%にプロピル基を介してチオール基が結合しているチオール基含有共重合体を合成することができる。
ここで、前記添加剤としては、前述した有機界面活性剤を用いるのが好ましい。これらのうち、特に下記一般式(3);
CH3-(CH2)j-N+(CH3)3X-
(但し、式中、j=7、9、11、13、15、17、又は19であり、X=Br、Cl及び/又はOHである。)
で表される有機界面活性剤を用いるのが好ましい。有機界面活性剤の添加量は、ケイ素1molに対し0.11〜0.60molとする。なお、メソポーラス構造を形成する上で有効な任意の物質を添加剤として加えることができる。
反応に用いる塩基または酸としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、およびアンモニアなどの塩基や、塩化水素および臭化水素などの酸を例示することができる。これらのうち、特にアンモニアが好ましい。アンモニアの添加量は、ケイ素1molに対し1〜4molとする。
工程1では、ケイ素1molに対し30〜120molの水を加え、pH=9.5〜12.5、温度0〜180℃、より好ましくは20〜180℃で、1〜4日間水熱反応を行わせるのがよい。
次に、工程1の後、前記第2工程の前に、工程2としてチオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーから前記添加剤を除去するのがよい。例えば、前記添加剤として上記一般式(3)で表される第4級アンモニウム化合物を用いる場合には、エタノールと希塩酸を加えた後、加熱処理してこれを除去することができる。このようにすると、前記第2工程においてチオール基に酸化剤をスムーズに接触させることができ、効率よくチオール基をスルホン酸基に酸化することができる。
次に、前記第2工程である工程3において、チオール基を少なくとも部分的に酸化して、下記一般式(1):
(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z・nH2O
(但し、式中、x+y+2z=1である。)
で表される、スルホン酸基含有共重合体からなる多孔性プロトン伝導体を形成する。
この酸化工程で用いる酸化剤としては、チオール基を高効率でスルホン酸基に変換し、高いプロトン伝導性を有する材料の製造するために、過酸化水素水溶液を用いる点が重要である。このときの反応は、次式
−SH + 3H22 → −SO3H + 3H2
で示される。この方法で、チオール基の最大82.7%がスルホン酸基に酸化される。
以上の結果、一般式(1)においてx+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、z=0.125〜0.475であるスルホン酸基含有共重合体からなる多孔性プロトン伝導体が得られる。
後述の実施例で説明するように、この多孔性プロトン伝導体では、最大でケイ素原子の62%がプロピル基を介してスルホン酸基と結合した多孔性プロトン伝導体が合成されている。この多孔性プロトン伝導体では、1g中に3.60mmolのスルホン酸基が含まれており、高湿度下で高いプロトン伝導度(σ=10-1S/cm)が得られ、かつ、低湿度下でも比較的高いプロトン伝導度(σ=10-3S/cm)が得られ、燃料電池、電解セルおよびキャパシタなどの電気化学装置に用いられるプロトン伝導体として好適である。上記のプロトン伝導度は、従来、他の研究者によって報告されたプロトン伝導度よりはるかに大きい。
図4は、燃料電池の構成の一例を示す概略断面図である。この装置において、本発明に基づく多孔性プロトン伝導体2は、薄膜状に成膜され、その両面に燃料電極3と酸素電極1とが、図示省略した電極触媒等と共に接合されて、膜−電極接合体(MEA)4を形成する。そして、膜−電極接合体(MEA)4は、セル上半部7とセル下半部8との間に挟持されて、燃料電池に組み込まれる。
セル上半部7及びセル下半部8には、それぞれガス供給管9及び10が設けられており、例えば、ガス供給管9からは水素、またガス供給管10からは空気もしくは酸素が送気される。各ガスは図示省略した通気孔を有するガス供給部5及び6を通過して燃料電極3および酸素電極1に供給される。ガス供給部5は燃料電極3とセル上半部7を電気的に接続し、ガス供給部6は酸素電極1とセル下半部8を電気的に接続する。また、セル上半部7には水素ガスの漏洩を防ぐためにOリング11が配置されている。
発電は、上記のガスを供給しながら、セル上半部7及びセル下半部8に接続されている外部回路12を閉じることで行うことができる。この時、燃料電極3の表面上では下記(式1)
2H2 → 4H+ + 4e- (式1)
の反応により水素が酸化され、燃料電極3に電子を与える。生じた水素イオンHは多孔性プロトン伝導体膜2を介して酸素電極1へ移動する。
酸素電極1へ移動した水素イオンは、酸素電極1に供給される酸素と下記(式2)
2 + 4H+ + 4e- → 2H2O (式2)
のように反応し、水を生成する。このとき、酸素は、酸素電極1から電子を取り込み、還元される。
この際、多孔性プロトン伝導体膜2の厚さを十分薄く作製しておけば、酸素電極1で発生した水で多孔性プロトン伝導体膜2を自己加湿(self-humidifying)し、プロトン伝導体膜2に高いプロトン伝導性を発揮させることができる。また、従来のNafionを使用したプロトン伝導体膜と比べると、燃料電池の運転温度を上げ、水分が存在しない条件下で運転することも可能になり、プロトン伝導体膜の水分管理システムが不要、或いは簡素化可能になるメリットがある。
また、燃料電極3に燃料としてメタノールを供給し、いわゆるダイレクトメタノール方式の燃料電池とすることも可能である。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明に基づく多孔性プロトン伝導体の製造方法を具体的に説明し、その製造方法によって製造された多孔性プロトン伝導体の分析結果、および、その多孔性プロトン伝導体のプロトン伝導度を測定した結果を説明する。
多孔性プロトン伝導体の合成
<実施例1>
(工程1:チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーの合成)
工程1では、下記のモル比で混合した反応溶液を用いて20℃で3日間水熱反応を行わせた。
3−MPTMS:0.75
BTESE :0.125
臭化セチルトリメチルアンモニウム(CH3(CH2)15N(CH3)3Br)(界面活性剤;以下、CT MABrと略記する。):0.19
2O :60
NH3 :1.45
まず、200mlのビーカー中で、界面活性剤CTMABr(純度100%、Aldrich Chem.社製)3.17gを60℃の水45gに撹拌しながら5分間かけて加え、透明な溶液を得る。次に、この溶液を撹拌しながら、BTESE(Azmax Japan Chem.社製)1.916gおよび3−MPTMS(純度95%、Azmax, Japan Chem.社製)6.975gをともに15分間かけて加える。続いて、混合溶液を非常に高速に撹拌しながら、28質量%のアンモニア水3.94gを30分間かけて滴下して加えた(pH=11.97)。
その後、生じた均一なゲルを70℃で3日間エージングする(pH=11.36)。その後、生成物を濾別し、水洗した後、100℃で1日間乾燥させる。
(工程2:チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーゲル中の界面活性剤の除去)
CTMABrを除去するために、上記生成物5gにエタノール500mlおよび4M塩酸HCl5mlを加え、80℃で8時間放置する。次に、生成物を濾別し、エタノールで洗浄した後、100℃で1日間乾燥させる。
(工程3:過酸化水素水溶液を用いたチオール基の酸化による、スルホン酸基含有共重合体からなる多孔性プロトン伝導体の形成)
10mlの試料ビン中で、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーゲル0.75gを、室温下で3時間、30%過酸化水素水溶液9gを用いて酸化する。その後、試料を30分間遠心分離した後、40℃で24時間乾燥させる。酸化後の試料の色は透明で水に類似している。これに対し、酸化されていない試料の色は白色である。
この結果、ケイ素原子の62%がプロピル基を介してスルホン酸基と結合し、下記の化学式:
(HO3S-CH2-CH2-CH2-SiO1.5)0.62(HS-CH2-CH2-CH2-SiO1.5)0.13(SiO1.5-CH2-SiO1.5)0.1251.8H2O
で表される多孔性プロトン伝導体が得られた。この多孔性プロトン伝導体では、1g中にスルホン酸基3.60mmolが含まれる。
<実施例2および3>
実施例2および3では、工程1における3−MPTMSとBTESEとのモル比を0.40:0.30および0.05:0.475に変更し、他は実施例1と同様にして、多孔性プロトン伝導体を合成した。
実施例1〜3における、酸化前のチオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーおよび酸化後の多孔性プロトン伝導体の化学式および元素分析値、並びにチオール基のスルホン酸基への酸化率を表1に示す。
Figure 2007109415
X線回折像(XRD profile)の測定
図5は、実施例2により得られたチオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーのX線回折像(XRD profile)である。メソポーラス構造化した材料は結晶性の材料であり、X線回折像において散乱角2θが3°以下のところに回折ピークを生じる。図5の散乱角から孔径が3.45nmであることが判明した。
プロトン伝導度の測定
実施例1〜3で得られた多孔性プロトン伝導体、および、比較例として実施例1の酸化前のチオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを、それぞれ、めのう乳鉢を用いて微粉末状に粉砕した後、錠剤成型器を用いて直径13mm、厚さ0.4mmの円盤状ペレットに加圧成型した。作製したペレットを金電極間に挟持し、交流法によりプロトン伝導体としてのプロトン伝導度σ(S/cm)を25℃で測定した。相対湿度20%未満の状態における低湿度条件下、および相対湿度90%以上の状態における高湿度条件下におけるプロトン伝導度σ(S/cm)を表2に示す。
Figure 2007109415
次に、実施例1の多孔性プロトン伝導体について、相対湿度および温度を種々に変化させてプロトン伝導度σ(S/cm)を測定した。一定温度25℃でにおいて相対湿度を変えた場合の結果を表3に示す。また、温度を変えた場合の結果を表4に示す。但し、25℃および60℃のデータは一定相対湿度10%の下での値であるが、130℃のデータは相対湿度5%未満の下での値であるので、60℃のデータに比べ低下している。
Figure 2007109415
Figure 2007109415
以上に述べてきたように、本発明の実施の形態及び実施例によれば、高湿度下でも低湿度下でも高いプロトン伝導性を有し、とりわけ低湿度下でのプロトン伝導性が改善され、かつ、燃料電池などの電気化学装置で求められる動作条件下で熱的、機械的、化学的に安定であり、耐溶媒性が良好で、しかも安価である多孔性プロトン伝導体およびその構成材料である新規なスルホン酸基含有共重合体を提供することができ、またその製造に適した方法を提供することができる。また、その多孔性プロトン伝導体を用い、高湿度下でも低湿度下でも性能が優れ、とりわけ低湿度下での性能低下が改善された電気化学装置を提供することができる。しかも、燃料電池などで求められる動作条件下で熱的、機械的、化学的に安定に動作し、溶媒を選ばない電気化学装置を得ることができる。
以上、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、プロトン伝導体膜が対向電極間に挟持され、電気化学反応部を構成する、燃料電池、電解セルおよびキャパシタなどの電気化学装置のプロトン伝導体膜などの製造に適用され、これらの装置の低価格化や高性能化に寄与できる。
本発明の実施の形態に基づく多孔性プロトン伝導体を構成するスルホン酸基含有共重合体の、最も一般的と考えられる構造式を示す説明図である。 同、多孔性プロトン伝導体を合成する工程を示すフロー図である。 同、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成する工程1の反応の説明図である。 同、燃料電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施例2で得られたチオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーのX線回折像(XRD profile)である。 特許文献1に示されているプロトン伝導性を有するフラーレン誘導体の例(A、B)と、特許文献2に示されているプロトン伝導性を有するフラーレン誘導体の例(C、D)とである。
符号の説明
1…酸素電極、2…多孔性プロトン伝導体膜、3…燃料電極、
4…膜−電極接合体(MEA)、5、6…ガス供給部、7…セル上半部、
8…セル下半部、9、10…ガス供給管、11…Oリング、12…外部回路
A…(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシラン由来の構造単位(酸化型)、
B…(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシラン由来の構造単位(非酸化型)、
C…ビス(トリアルコキシシリル)メタン由来の構造単位

Claims (17)

  1. 下記一般式(1):
    (SiO1.5-(-CH2-)m-SO3H)x(SiO1.5-(-CH2-)m-SH)y(SiO1.5-(-CH2-)n-SiO1.5)z
    (但し、式中、m及びnは1以上の整数で、x+y+2z=1である。)
    で表される、スルホン酸基含有共重合体からなる、多孔性プロトン伝導体。
  2. m=3及びn=1であり、下記一般式(2):
    (SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
    (但し、式中、x+y+2z=1である。)
    で表される、請求項1に記載した多孔性プロトン伝導体。
  3. x+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、及びz=0.125〜0.475である、請求項2に記載した多孔性プロトン伝導体。
  4. 平均孔径が0.6〜12nmであるメソポーラスポリマーからなる、請求項2に記載した多孔性プロトン伝導体。
  5. 請求項1に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法であって、
    (3−メルカプトアルキル)トリアルコキシシランと、ビス(トリアルコキシシリル) アルカンと、添加剤と、塩基又は酸と、水との混合物を反応させ、下記一般式(3):
    (SiO1.5-(-CH2-)m-SH)x+y(SiO1.5-(-CH2-)n-SiO1.5)z
    (但し、式中、m及びnは1以上の整数で、x+y+2z=1である。)
    で表される、チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成する第1工程と、
    前記チオール基の少なくとも一部を酸化してスルホン酸基に変換する第2工程と
    を有する、多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  6. 前記第1工程で前記(3−メルカプトアルキル)トリアルコキシシランとして(3−メルカプトプロピル)トリアルコキシシランを用い、前記ビス(トリアルコキシシリル)アルカンとしてビス(トリアルコキシシリル)メタンを用い、下記一般式(4):
    (SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)x+y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
    (但し、式中、x+y+2z=1である。)
    で表される、前記チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーを合成し、下記一般式(2):
    (SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
    (但し、式中、x+y+2z=1である。)
    で表される多孔性プロトン伝導体を製造する、請求項5に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  7. x+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、及びz=0.125〜0.475である、請求項6に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  8. 前記第1工程の後に、前記チオール基含有共重合体からなる多孔性ポリマーから前記添加剤を除去する、請求項5に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  9. 前記第1工程を0〜180℃における水熱反応によって行う、請求項5に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  10. 前記添加剤として、下記一般式(5):
    CH3-(CH2)i-N+(CH3)3X-
    (但し、式中、i=7、9、11、13、15、17、19、又は21であり、X =Br、Cl及び/又はOHである。)
    で表される有機界面活性剤、下記一般式(6):
    CH3-(CH2)j-NH2
    (但し、式中、j=7、9、11、13、15、17、19、又は21である。)
    で表される有機界面活性剤、非イオン性高分子界面活性剤Pluronic123(Aldrich Chem.社製)(EO20PO70EO17)、Brij58(C16H33(OCH2CH2)20OH)、及びBrij76(C18H37(OCH2CH2)10OH)からなる群より選ばれた少なくとも1種の有機界面活性剤を用いる、請求項4に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  11. 前記第2工程において前記チオール基を過酸化水素水溶液を用いて酸化する、請求項5に記載した多孔性プロトン伝導体の製造方法。
  12. 下記一般式(7):
    (SiO1.5-(-CH2-)m-SO3H)x(SiO1.5-(-CH2-)m-SH)y(SiO1.5-(-CH2-)n-SiO1.5)z
    (但し、式中、m及びnは1以上の整数で、x+y+2z=1である。)
    で表される、スルホン酸基含有共重合体。
  13. m=3及びn=1であり、下記一般式(8):
    (SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SO3H)x(SiO1.5-CH2-CH2-CH2-SH)y(SiO1.5-CH2-SiO1.5)z
    (但し、式中、x+y+2z=1である。)
    で表される、請求項12に記載した多孔性プロトン伝導体。
  14. x+y=0.05〜0.75、x=0.03〜0.62、y=0.01〜(0.75−x)、及びz=0.125〜0.475である、請求項13に記載したスルホン酸基含有共重合体。
  15. 第1の電極と第2の電極との間にプロトン伝導体が挟持され、前記プロトン伝導体が前記第1の電極から前記第2の電極へプロトンを伝導するように構成された電気化学装置において、
    前記プロトン伝導体が請求項1〜4のいずれか1項に記載した多孔性プロトン伝導体 からなる
    ことを特徴とする、電気化学装置。
  16. 燃料電池として構成されている、請求項15に記載した電気化学装置。
  17. 水素又はメタノールを燃料とする燃料電池として構成されている、請求項16に記載した電気化学装置。
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