JP2007107011A - 解体容易な接着方法、その粘着部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】物品を強固に固着して所定期間放置後、その接合を容易に解体できる接着方法、及びその接合・解体処理に用いうる易解体性粘着部材の開発。
【解決手段】接着力が相違する2層以上の粘着層(21,22)の重畳体からなる粘着部材を介して被着体(1,3)を接合処理するにあたり、前記粘着部材の片面又は両面に配置した低接着力の粘着層を剥離目的の被着体面に接着する解体容易な接着方法、及び接着力が600g/20mm以上で応力緩和時間が800秒以下の強粘着層の片面又は両面に、接着力が500g/20mm以下の弱粘着層が重畳密着してなる易解体性粘着部材。
【効果】解体時に被着体に弱粘着層の糊残りも生じにくい。
【選択図】図1

Description

本発明は、物品を強固に固着して所定の期間放置した後、その接合を容易に解体できる接着方法、並びにそれに用いる易解体性粘着部材及びその製造方法に関する。
地球資源の有効利用を目的に資源のリサイクルシステムの構築が課題となる中、物品の接合とそれを容易に解体できるシステムが求められており、本発明者らは粘着層の接着特性に着目して前記の接合・解体システムに公知の粘着層を用いることを試みた。
しかしながら、解体性を優先すると物品の固着力に乏しくなり、物品の固着力を優先すると解体性に乏しくなるなどして従来の粘着層では物品の強固な固着とその容易な解体を両立させることが困難で前記システムを実現することができない問題点があった。ちなみにクリープコンプライアンスに基づいて高低の弾性率の粘着層を重畳させた特公昭61−34760号公報が教示する粘着層にても前記の両立は困難であった。
本発明は、物品を強固に固着して所定期間放置後、その接合を容易に解体できる接着方法、及びその接合・解体処理に用いうる易解体性粘着部材の開発を課題とする。
本発明は、接着力が相違する2層以上の粘着層の重畳体からなる粘着部材を介して被着体を接合処理するにあたり、前記粘着部材の片面又は両面に配置した低接着力の粘着層を剥離目的の被着体面に接着することを特徴とする解体容易な接着方法、及び接着力が600g/20mm以上で応力緩和時間が800秒以下の強粘着層の片面又は両面に、接着力が500g/20mm以下の弱粘着層が重畳密着してなることを特徴とする易解体性粘着部材を提供するものである。
上記した重畳構造の粘着層を有する易解体性粘着部材における弱粘着層を介して被着体を接合処理することにより、被着体(物品)の強固な固着と、その固着状態を所定期間維持した後の当該弱粘着層を剥離面とする容易な解体を達成でき、かつその解体時に被着体に弱粘着層の糊残りも生じにくい。
本発明の接着方法は、接着力が相違する2層以上の粘着層の重畳体からなる粘着部材を介して被着体を接合処理するにあたり、前記粘着部材の片面又は両面に配置した低接着力の粘着層を剥離目的の被着体面に接着するものである。これにより被着体の強固な固着と、その容易な解体を達成することができる。図1に本発明方法による接着構造を例示した。1,3が被着体、2が易解体性粘着部材である。
本発明の接着方法に好ましく用いうる易解体性粘着部材は、接着力が600g/20mm以上で応力緩和時間が800秒以下の強粘着層の片面又は両面に、接着力が500g/20mm以下の弱粘着層を重畳密着させたものである。その強粘着層の接着力が600g/20mm未満で応力緩和時間が800秒以上であり、弱粘着層の接着力が500g/20mmを超えると、物品の固着性とその容易な解体性の両立が困難となる。
前記の固着性と解体性の両立性の点より好ましい易解体性粘着部材は、接着力が600g/20mm以上、就中800g/20mm以上で、応力緩和時間が10〜650秒、就中15〜500秒の強粘着層と、接着力が100〜450g/20mm、就中150〜400g/20mmの弱粘着層との組合せからなるものである。
易解体性粘着部材における強弱の粘着層の重畳形態は、その使用目的に応じて適宜に決定することができる。その例を図2〜図6に示した。21が弱粘着層、22が強粘着層であり、23は補強基材である。24はセパレータである。図例の如く、低接着力の粘着層、すなわち弱粘着層21は、剥離目的の被着体面に接着できるように強粘着層22の外表面に配置される。
従って粘着部材の片面を易解体性とする場合には図2や図5の如く強粘着層22の片面に、また両面を易解体性とする場合には図3や図4や図6の如く強粘着層22の両面に弱粘着層が設けられる。後者の両面型の場合、強粘着層の両側における弱粘着層は、その接着力が相違していてもよく、また異なる種類の粘着層で形成されていてよい。
重畳の粘着層は、強弱の各粘着層を少なくとも1層用いて2層又は3層以上の重畳層として形成することができるが、強弱の粘着層における応力緩和時間の時間差、従って弱粘着層における応力緩和時間については特に限定はなく、固着対象の被着体などに応じて適宜に決定することができる。
重畳する各粘着層の厚さは、使用目的等に応じて適宜に決定できて特に限定はなく、1mmを超える厚さとすることもできるが、一般には500μm以下、就中3〜300μm、特に5〜200μmとされる。その場合に粘着特性の良好性などの点より、強粘着層の厚さは弱粘着層の厚さ以上、就中5〜15倍が好ましく、全厚を20μm以上、就中40μm以上とすることが好ましい。
図4〜6に例示した如く、強弱の粘着層からなる重畳体の内部には適宜な位置に1層又は2層以上の補強基材を配置することができる。その補強基材には、使用目的等に応じて例えば紙や布や不織布等からなる多孔質基材、プラスチックフィルムないしシート、発泡体、金属箔、それらのラミネート体などの薄葉体からなる適宜なものを用いうる。補強基材には、粘着層との密着力の向上等を目的に下塗剤等によるコート処理、コロナ放電処理やプラズマ処理等の公知の表面処理を施すことができる。
易解体性粘着部材における重畳粘着層は、接着力の異なる粘着層の組合せで形成されるが、その粘着層の形成には適宜な粘着剤を用いることができ、その種類について特に限定はない。ちなみにその粘着剤としては、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤やウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤やポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤やポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などがあげられ、一般にはゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤などが用いられる。重畳層を形成する粘着層は、同種又は異種の適宜な組合せとすることができる。
ちなみに前記のゴム系粘着剤の例としては、天然ゴムやポリイソプレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴムやスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴムやスチレン・ブタジエンゴム、ポリイソブチレンやNBRの如きゴム系ポリマーをベースポリマーとするものなどがあげられる。
前記ベースポリマーの重量平均分子量は、凝集力や接着力などの点より250万以下、就中200万以下、特に30〜180万が好ましい。その分子量の調節は、嚼解やロールによる素練り時間、素練り促進剤の配合量の制御などにより適宜に行うことができる。ゴム系粘着層は、チューラム加硫やフェノール樹脂加硫などの適宜な架橋処理により凝集力を制御することができる。
アクリル系粘着剤としては、公知物のいずれも用いうる。就中、粘着特性等の点よりは、メチル基やエチル基、n−プロピル基やイソプロピル基、n−ブチル基やt−ブチル基、イソブチル基やアミル基、イソアミル基やヘキシル基、ヘプチル基やシクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基やオクチル基、イソオクチル基やノニル基、イソノニル基やデシル基、ウンデシル基やラウリル基、トリデシル基やテトラデシル基、ステアリル基やオクタデシル基の如き炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステルからなるアクリル酸系アルキルエステルの1種又は2種以上を用いたアクリル系重合体をベースポリマーとするものが好ましい。
前記のアクリル系重合体としては、粘着特性等の点より重量平均分子量が20万以上、就中25〜300万、特に30〜200万のものが好ましく、必要に応じて官能基や極性基の導入による接着性の改良、生成共重合体のガラス転移温度の制御による凝集力や耐熱性の改良、架橋処理による分子量の増大化などの粘着特性の改質等を目的に、前記アクリル酸系アルキルエステル以外の改質目的に応じた適宜なモノマー成分の1種又は2種以上を共重合したものであってもよい。
前記のモノマー成分の例としては、アクリル酸やメタクリル酸、カルボキシエチルアクリレートやカルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸やマレイン酸、フマール酸やクロトン酸の如きカルボキシル基含有モノマー、あるいは無水マレイン酸や無水イタコン酸の如き酸無水物モノマーがあげられる。その使用量は、粘着特性等の点より当該アクリル酸系アルキルエステル100重量部あたり20重量部以下、就中15重量部以下が好ましい。
また(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルや(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートの如きヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸の如きスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートの如き燐酸基含有モノマーなども改質目的のモノマー成分の例としてあげられる。
さらに(メタ)アクリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドの如き(N−置換)アミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチルや(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチルや(メタ)アクリル酸エトキシエチルの如き(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー、N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドの如きマレイミド系モノマー、N−メチルイタコンイミドやN−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミドやN−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミドやN−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドの如きイタコンイミド系モノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドの如きスクシンイミド系モノマー等も改質目的のモノマー成分の例としてあげられる。
加えて酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドンやメチルビニルピロリドン、ビニルピリジンやビニルピペリドン、ビニルピリミジンやビニルピペラジン、ビニルピラジンやビニルピロール、ビニルイミダゾールやビニルオキサゾール、ビニルモルホリンやN−ビニルカルボン酸アミド類、スチレンやα−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムの如きビニル系モノマー、アクリロニトリルやメタクリロニトリルの如きシアノアクリレート系モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルの如きエポキシ基含有アクリル系モノマー、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールや(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールの如きグリコール系アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルやフッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートの如きアクリル酸エステル系モノマーなども改質目的のモノマー成分の例としてあげられる。前記した改質目的のモノマー成分の使用量は、粘着特性等の点より当該アクリル酸系アルキルエステル100重量部あたり50重量部以下が好ましい。
粘着層は、ベースポリマー等の分子量増大などによる粘着特性の改良を目的に必要に応じて架橋構造とすることもできる。その架橋方式については特に限定はなく、公知架橋方式のいずれも採用することができる。ちなみにその例としては、分子中に不飽和結合を2個以上有する多官能モノマー成分をアクリル系重合体中に共重合させて内部架橋させる方式、電子線や紫外線の如き放射線の照射を介して内部架橋又は外部架橋させる方式、粘着剤に架橋剤を配合して外部架橋させる方式などがあげられる。
前記した多官能モノマー成分の例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートや(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートやネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートやペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートやエポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートやウレタンアクリレート、1,4−ブチルジアクリレートや1,6−ヘキシルジアクリレートなどがあげられる。
前記したアクリル系重合体の内部架橋方式では、多官能モノマー成分の使用を必須とし、内部架橋したアクリル系重合体の調製は例えば通例の熱重合開始剤によるラジカル重合方式や、光重合開始剤による放射線重合方式などにより行うことができる。なお、架橋剤や放射線照射等による外部架橋方式の場合にも、多官能モノマー成分をアクリル系重合体中に共重合させて架橋効率の向上をはかることもできる。多官能モノマー成分は、1種又は2種以上を用いることができる。その配合量は、架橋効率や粘着特性、アクリル系の透明性や耐候性等の特性などの点より、全モノマー成分の30重量%以下、就中0.01〜25重量%、特に0.02〜10重量%が好ましい。
前記の外部架橋方式に用いる架橋剤としては、適宜なものを用いることができ、特に限定はない。カルボキシル基や酸無水物基、ヒドロキシル基やエポキシ基等の官能基含有モノマー成分を共重合させたアクリル系重合体の分子間架橋に用いられる公知架橋剤のいずれも用いうる。その例としては、トリレンジイソシアネートやトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートの如き多官能イソシアネート系架橋剤、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルやジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの如きエポキシ系架橋剤があげられる。
またメラミン樹脂系架橋剤や金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤やアミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤なども用いうる。架橋剤の使用量は、架橋効率や粘着特性などの点より、アクリル系重合体100重量部あたり、20重量部以下、就中15重量部以下、特に0.01〜10重量部が好ましい。
なお前記したアクリル系重合体のラジカル重合の場合に必要に応じて用いる重合開始剤としては、適宜なものを用いることができ、特に限定はない。ちなみにその例としては、過酸化ベンゾイルやt−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートやジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカリエートやt−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドの如き有機過酸化物があげられる。
また2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)や2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)やジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)や2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の如きアゾ系化合物、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムや過酸化水素等、あるいはそれらと還元剤を併用したレドックス系開始剤なども重合開始剤としてあげられる。
一方、放射線による重合処理の場合に必要に応じて用いる光重合開始剤としては、適宜なものを用いることができ、特に限定はない。ちなみにその例としては、ベンゾインエチルエーテルやベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルの如きベンゾインエーテル系化合物、2,2−ジエトキシアセトフェノンや2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンやα−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノンや1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1の如きアセトフェノン系化合物があげられる。
また、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンの如きα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールの如きケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドの如き芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(ο−エトキシカルボニル)オキシムの如き光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノンやベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物も光重合開始剤の例としてあげられる。
さらに、チオキサンソンや2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソンや2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソンや2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソンや2,4−ジイソプロピルチオキサンソンの如きチオキサンソン系化合物、その他、カンファーキノンやハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシドやアシルホスフォナートなども光重合開始剤の例としてあげられる。
重合開始剤は、1種又は2種以上を用いることができ、その配合量は未反応モノマー成分の残存防止性や生成ポリマーの低分子量化による凝集力低下の防止性などの点より、全モノマー成分100重量部あたり0.01〜10重量部、就中0.02〜5重量部、特に0.05〜3重量部が好ましい。
なお放射線による重合方式の場合、光重合開始剤は2回以上に分けて配合することもでき、モノマーを予備重合処理して、又はモノマー成分と光重合開始剤の混合物にヒュームドシリカの如きチキソトロープ剤を加えて粘度を500〜5000センチポイズ程度のコーティング可能なシロップ状とし、それをセパレータや補強基材等に塗工して再度放射線を照射して目的とする粘着層の状態とすることもできる。
粘着層の形成に際しては、必要に応じて例えば天然や合成の樹脂類、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉や炭酸カルシウム、クレーやその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、老化防止剤などの、粘着剤に使用されることのある各種の添加剤を配合することができる。ちなみに粘着付与剤は、接着力を向上させる場合に有用である。その粘着付与剤としては、適宜なものを用いてよく公知物のいずれも用いうる。
粘着付与剤の例としては、α−ピネンやβ−ピネン重合体、ジテルペン重合体やα−ピネン・フェノール共重合体の如きテルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂や芳香族系石油樹脂、脂肪族・芳香族共重合体系石油樹脂の如き石油系樹脂、その他、ロジン系樹脂やクマロンインデン系樹脂、フェノール系樹脂やキシレン系樹脂、アルキド系樹脂などがあげられる。
高温での粘着特性等の点より軟化点が60℃以上、就中70〜170℃、特に80〜150℃の粘着付与剤が通例の場合好ましく用いうるが、室温での接着力の維持や低温での接着力を向上させる場合には軟化点が60℃未満の粘着付与剤も用いうる。粘着付与剤の使用量は、特にゴム系粘着層の場合、タックと接着力と凝集力のバランスなどの点よりベースポリマー100重量部あたり、5〜160重量部、就中10〜140重量部、特に20〜120重量部が好ましい。
前記した室温での接着力維持や低温接着力の向上等を目的とする場合には、可塑剤や軟化剤の使用も有用である。可塑剤や軟化剤としては、適宜なものを用いてよく、公知物のいずれも用いうる。就中、保存安定性等の点より揮散の少ない高沸点物が好ましく用いられる。
可塑剤や軟化剤の例としては、フタル酸ジメチルやフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルやフタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルやフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルやフタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジオクチルやブチルフタリルブチルグリコレートの如きフタル酸系化合物、トリメリット酸トリブチルやトリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチルやトリメリット酸トリイソデシルの如きトリメリット酸系化合物があげられる。
また、フマル酸ジブチルやマレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシルやアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソノニルやアジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチルやセバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルの如き脂肪族二塩基酸エステル系化合物、リン酸トリエチルやリン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルやリン酸トリキシレニル、リン酸クレジルフェニルの如きリン酸エステル系化合物、ジイソデシル−4,5−エポキシテトラヒドロフタレートの如きエポキシ系化合物、その他、オレイン酸ブチルや塩素化パラフィン、ポリブテンやポリイソブチレンなども可塑剤ないし軟化剤の例としてあげられる。
粘着層は、有機溶剤による溶液や水による分散液ないしエマルジョン、あるいはモノマー成分等の混合物などとした粘着剤をセパレータや補強基材上に塗工して、加熱乾燥処理又は放射線照射処理する方式、あるいはセパレータ上に形成した粘着層を重畳対象の粘着層上に移着する方式などの従来に準じた適宜な方式で形成することができる。
従って粘着層の重畳層も、重ね塗り方式や移着重ね合せ方式などの適宜な方式で形成することができる。層間の密着性などの点より好ましい重畳粘着層の形成方法は、前記した重ね塗り方式や移着方式などの適宜な方式で、各粘着層を湿潤(ウエット)な状態で積層したのち、それを加熱して重畳処理する方式である。
なお前記において粘着剤の塗工層を放射線の照射により重合処理する場合には、例えば窒素ガス等の不活性ガスによる置換雰囲気や光透過性のフィルムによる被覆状態などの空気遮断状態で行うことが、目的とする粘着特性の発現性などの点より好ましい。
なお紫外線照射による場合、波長範囲が180〜460nmの電磁放射光が処理効率等の点より好ましく、その発生源としては例えば水銀アークや炭素アーク、(低、中、高圧)水銀ランプやメタルハライドランプなどの適宜な照射装置を用いうる。照射量は、重合状況等に応じて適宜に決定しうるが、通例400〜3000mj/cm程度とされる。
本発明による易解体性粘着部材は、テープ状やシート状等の適宜な形態で実用に供することができる。被着体への接着に際しては、剥離解体を目的とする面に弱粘着層が接着される。従って接合する被着体の両方を剥離解体する場合には両面に弱粘着層を有するものが用いられる。一方、剥離不要な被着体に対しては強粘着層を接着することができる。被着体としては、適宜な物品を用いることができ、特に限定はない。リサイクル等を目的とする物品の接合処理などに好ましく用いうる。
なお易解体性粘着部材は、それを実用に供するまでの間、粘着層表裏の片面又は両面をセパレータで仮着保護することが好ましい。セパレータは、フィルム等からなる基材の片面又は両面を、必要に応じてシリコーン系や長鎖アルキル系やフッ素系等の適宜な剥離剤で表面処理することにより得ることができる。
実施例1
アクリル酸ブチル50部(重量部、以下同じ)、アクリル酸2−エチルヘキシル150部、メタクリル酸メチル10部及びアクリル酸ヒドロキシエチル10部をアゾビスイソブチロニトリル0.4部含有の酢酸エチル300部中にて、60℃で10時間重合処理して得たアクリル系重合体を含有する溶液に、その重合体100部あたりイソシアネート系架橋剤(トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート付加物、以下同じ)2.5部を添加し、得られた粘着剤をセパレータ上に塗工し弱粘着層Aを形成した。
一方、アクリル酸ブチル200部、アクリル酸6部及びアクリル酸ヒドロキシエチル1部を用いて前記に準じアクリル系重合体を含有する溶液を調製し、それに重合体100部あたりイソシアネート系架橋剤1部と軟化点115℃のテルペンフェノール系樹脂10部を添加して粘着剤を得、それを前記の弱粘着層Aの上に塗工し100℃で5分間乾燥処理して強粘着層Bを形成した。
前記で得た、厚さ10μmの弱粘着層Aの上に厚さ60μmの強粘着層Bを有する重畳粘着層を、その強粘着層Bを介して不織布の両面に移着して易解体性粘着部材を得た。
実施例2
アクリル酸ブチル160部、アクリル酸エチル40部、及びアクリル酸ヒドロキシエチル4部を用いて実施例1に準じアクリル系重合体を含有する溶液を調製し、その溶液に重合体100部あたりイソシアネート系架橋剤2部を添加し、得られた粘着剤をセパレータ上に塗工して弱粘着層Cを形成した。
一方、アクリル酸ブチル200部及びアクリル酸4部を用いて前記に準じアクリル系重合体を含有する溶液を調製し、その溶液に重合体100部あたりエポキシ系架橋剤(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、以下同じ)0.05部と軟化点145℃のテルペンフェノール系樹脂10部を添加して粘着剤を得、それを前記の弱粘着層Cの上に塗工し100℃で5分間乾燥処理して強粘着層Dを形成し、厚さ10μmの弱粘着層Cの上に厚さ60μmの強粘着層Dを有する易解体性粘着部材を得た。
実施例3
アクリル酸イソノニル200部及びアクリル酸2部を用いて実施例1に準じアクリル系重合体を含有する溶液を調製し、その溶液に重合体100部あたりエポキシ系架橋剤0.3部を添加し、得られた粘着剤をセパレータ上に塗工して弱粘着層Eを形成した。
一方、アクリル酸イソノニル200部及びアクリル酸10部を用いて前記に準じアクリル系重合体を含有する溶液を調製し、その溶液に重合体100部あたりエポキシ系架橋剤0.02部を添加して粘着剤を得、それを前記の弱粘着層Eの上に塗工し100℃で5分間乾燥処理して強粘着層Fを形成し、厚さ20μmの弱粘着層Eの上に厚さ50μmの強粘着層Fを有する易解体性粘着部材を得た。
実施例4
ロールで素練りして得た重量平均分子量約110万の天然ゴムの30重量%トルエン溶液に、天然ゴム100部あたり軟化点115℃のテルペン樹脂30部、DOP10部、チューラム加硫剤5部及びフェノール系老化防止剤2部を添加し、得られた粘着剤をセパレータ上に塗工して弱粘着層Gを形成した。
一方、ロールで素練りして得た重量平均分子量約110万の天然ゴムの30重量%トルエン溶液に、天然ゴム100部あたり軟化点110℃の脂肪族石油樹脂100部、軟化点115℃のテルペンフェノール樹脂20部、及びフェノール系老化防止剤1部を添加し、得られた粘着剤を前記の弱粘着層Gの上に塗工し100℃で5分間乾燥処理して強粘着層Hを形成し、厚さ10μmの弱粘着層Gの上に厚さ30μmの強粘着層Hを有する易解体性粘着部材を得た。
比較例1
実施例1に準じ、不織布の両面に厚さ70μmの弱粘着層Aを単層で有する粘着部材を得た。
比較例2
弱粘着層Aに代えて強粘着層Bとしたほかは比較例1に準じ粘着部材を得た。
比較例3
実施例2に準じ、セパレータ上に厚さ70μmの弱粘着層Cを単層で有する粘着部材を得た。
比較例4
弱粘着層Cに代えて強粘着層Dとしたほかは比較例3に準じ粘着部材を得た。
比較例5
実施例3に準じ、セパレータ上に厚さ70μmの弱粘着層Eを単層で有する粘着部材を得た。
比較例6
弱粘着層Eに代えて強粘着層Fとしたほかは比較例5に準じ粘着部材を得た。
比較例7
実施例4に準じ、セパレータ上に厚さ40μmの弱粘着層Gを単層で有する粘着部材を得た。
比較例8
弱粘着層Gに代えて強粘着層Hとしたほかは比較例7に準じ粘着部材を得た。
(評価試験1)
接着力
実施例、比較例で得た粘着剤を用いてポリエステルフィルムを支持基材とする幅20mmの粘着テープを形成し、JIS Z 0237に準拠してその接着力を調べた。
応力緩和時間
実施例、比較例で得た粘着剤からなる粘着層について、断面積5mm、長さ30mmのサンプルを形成し、それを室温(23℃)にてチャック間隔10mm、引張速度300mm/分、引張距離100%の条件で引伸ばし、その引張応力が最大応力の1/eに低下するまでの時間を測定した。
前記の結果を次表に示した。
Figure 2007107011
(評価試験2)
実施例、比較例で得た(易解体性)粘着部材について下記の特性を調べた。
固着性
幅10mm、長さ50mmの粘着部材を厚さ0.4mm、幅10mm、長さ50mmのアルミニウム板に接着し、それを粘着層の裏面を介して直径500mmのABS製円筒に接着して23℃下に24時間放置し、剥がれ(浮き)の有無を調べて下記の基準で評価した。なお実施例2〜4では強粘着層をアルミニウム板に接着した。
◎:剥がれが認められない場合
○:剥がれが1mm未満の場合
×:剥がれが1mm以上の場合
解体性
前記の試験後、アルミニウム板をABS製円筒より剥離する際の作業容易性を下記の基準で評価した。
◎:解体が容易で、糊残りも認められない場合
×:解体が困難であるか、糊残りが生じた場合
前記の結果を次表に示した。
Figure 2007107011
表より、本発明の実施例では物品の固着性に優れ、かつその解体の容易性に優れていることがわかる。
接着構造の説明断面図 易解体性粘着部材例の断面図 他の易解体性粘着部材例の断面図 さらに他の易解体性粘着部材例の断面図 さらに他の易解体性粘着部材例の断面図 さらに他の易解体性粘着部材例の断面図
符号の説明
1,3:被着体
2:易解体性粘着部材
21:弱粘着層
22:強粘着層
23:補強基材
24:セパレータ

Claims (5)

  1. 接着力が相違する2層以上の粘着層の重畳体からなる粘着部材を介して被着体を接合処理するにあたり、前記粘着部材の片面又は両面に配置した低接着力の粘着層を剥離目的の被着体面に接着することを特徴とする解体容易な接着方法。
  2. 接着力が600g/20mm以上で応力緩和時間が800秒以下の強粘着層の片面又は両面に、接着力が500g/20mm以下の弱粘着層が重畳密着してなることを特徴とする易解体性粘着部材。
  3. 請求項2において、強粘着層の接着力が800g/20mm以上で応力緩和時間が500秒以下であり、弱粘着層の接着力が400g/20mm以下である易解体性粘着部材。
  4. 請求項2又は3において、弱粘着層の厚さが3μm以上で、強粘着層の厚さが弱粘着層以上であり、かつ粘着層の重畳体の全厚が20μm以上である易解体性粘着部材。
  5. 接着力が相違する2層以上の粘着層の重畳体を形成するにあたり、各粘着層を湿潤な状態で積層したのち加熱処理することを特徴とする易解体性粘着部材の製造方法。
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