JP2007106635A - ジルコニア系酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

ジルコニア系酸化物粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】均質に混合し、微細化した結晶性の高いジルコニア系酸化物粉末を製造する方法を提供する。
【解決手段】(a)水和ジルコニウムを含む含水スラリーを湿式粉砕する工程、および(b)湿式粉砕後のスラリーに衝撃波を付与して乾燥させる工程を含むジルコニア系酸化物粉末の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジルコニア系酸化物粉末の製造方法に関するものである。
従来、ジルコニア系酸化物粉末の製造方法としては、ジルコニウム金属塩の中和水酸化物、中和共沈水酸化物、加水分解物、炭酸塩沈降物またはそれらの複合物からなる水和物を析出し、その析出物を静置乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などの乾燥方法で粉末化した後、焼成し粉砕して製造されていた。例えば、特許文献1では、ジルコニア系微粉末の製造方法として、ジルコニウム塩の水溶液に第2成分としてイットリウムまたはセリウムの塩からなる水溶液を溶解し、その水溶液を急速乾燥後、酸素存在下で焼成し、その焼成体を湿式粉砕し、乾燥して原料粉末を得る方法が開示されている。しかしながら、特許文献1記載のジルコニア系微粉末を得る場合、ジルコニウム塩水溶液を急速に乾燥し仮焼するために、仮焼時に発生する塩酸ガスによる装置の腐食対策をとる必要があり、さらに仮焼後の湿式粉砕工程が必須となるといった問題が生じた。
また、特許文献2には、水溶性ジルコニウム塩の加水分解や中和沈殿法で得られたスラリーを噴霧乾燥し、それを仮焼して原料粉末とする方法が開示されている。しかし、特許文献2の製造方法の場合、主成分であるジルコニウム化合物と第二成分であるイットリウム化合物などの間で加水分解や中和共沈操作時の析出挙動が異なるため、組成の均質性を保つのが困難である、水溶液中で生成した微細な粒子が、乾燥時の水分の表面張力の影響で凝集するため、微細粒子を製造することは困難となるといった問題が生じた。そのため、得られた乾燥物を焼成してジルコニア原料粉末を得る場合は、焼成後の粉末を粉砕して微細化および均質化する必要があった。
さらに、特許文献3には、平均粒子径が1μm以下の酸化ジルコニウムと安定化剤の混合粉末をスラリー濃度30重量%以下で湿式粉砕し、平均粒子径を0.1μm以下とした酸化ジルコニウムの製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献3の製造方法の場合、酸化物を製造した後、ビーズミルなどの湿式粉砕機で平均粒子径を0.1μm以下に粉砕する必要があり、粉砕時にコンタミが混入する問題があった。
これらの従来技術の問題点としては、焼成後の粉末を再度粉砕して微細化する必要があり、その際にたとえばイットリウムなどを含んだ部分安定化ジルコニアの場合、単斜晶が生成してしまうという欠点があった。また、特許文献3の記載の方法では、粉砕後の粒子径を0.1μm以下にする必要があり、粉末のハンドリング性が悪くなるという欠点を持っている。
ところで、特許文献4の製造方法は、無機金属水和物微粒子にパルス燃焼ガスを接触させて得られる無機微粒子が従来の方法よりシャープな粒径の微粒子が得られるものの、焼成後の粉砕を必要としており、その面では従来の製造方法の欠点を完全に克服できる内容ではなかった。
特開2000−327416号公報 特開平5−246720号公報 特開2004−323261号公報 特開2002−325655号公報
本発明は、均質に混合し、微細化した結晶性の高いジルコニア系酸化物粉末を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、(a)水和ジルコニウムを含む含水スラリーを湿式粉砕する工程、および(b)湿式粉砕後のスラリーに衝撃波を付与して乾燥させる工程を含むジルコニア系酸化物粉末の製造方法に関する。
さらに、(c)乾燥物を焼成する工程を含むことが好ましい。
工程(b)における湿式粉砕後のスラリー中の微粒子の粒子径が0.05〜1.0μmであることが好ましい。
工程(b)がスラリーにパルス燃焼ガスを接触させることにより、スラリーの加熱および衝撃付与を行なう工程であることが好ましい。
含水スラリーが、ジルコニア水和物もしくはジルコニア炭酸塩単独またはその混合物であることが好ましい。
含水スラリーが、さらに、セリア水和物微粒子、イットリア水和物微粒子、アルミナ水和物微粒子、マグネシア水和物微粒子もしくはそれらの炭酸塩または含水珪酸化合物微粒子スラリーの少なくとも1種を含むことが好ましい。
ジルコニア系水和物を湿式粉砕、パルス衝撃波等の超音波付与による乾燥を行なうことで、水の表面張力による凝集を抑制した乾燥物を得ることができる。また、得られる酸化物は、水和物を微細化した粒子の状態を保った形で焼成する事が可能となり、従来のように、酸化物形成後微細化のための湿式粉砕等の工程が不要、または簡単な粉砕で目的とする微粒子粉末を得ることができる。また、パルス衝撃波による乾燥で得られた粉末を焼成すると、結晶性の高い酸化物粉末を得ることができ、低温焼結が可能となる。同様に、触媒として該粉末を用いたとき、高い結晶性から触媒機能も高くなることが期待できる。
本発明は、(a)水和ジルコニウムを含む含水スラリーを湿式粉砕する工程および(b)湿式粉砕後のスラリーに衝撃波を付与して乾燥させる工程からなるジルコニア系酸化物粉末の製造方法に関する。
本発明において使用する水和ジルコニウムの具体例としては、ジルコニウムの酸化物、オキシ塩化物、水酸化物もしくは炭酸塩をそれぞれ単独または混合物に、イットリウム、アルミニウム、セリウム、マグネシウムの酸化物、オキシ塩化物、水酸化物もしくは炭酸塩をそれぞれの単独または混合物とを含んだ水和物があげられる。
ジルコニウム、イットリウム、アルミニウム、セリウムもしくはマグネシウムの酸化物、オキシ塩化物、水酸化物または炭酸塩は、水に可溶なジルコニウム化合物、例えばオキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル水溶液に水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ性水溶液を添加し、水和ジルコニウムを調製したものや、ジルコニウム化合物以外の金属塩として、塩化セリウム、硝酸セリウム、塩化マグネシウム水溶液、含水珪酸化合物を単独、または混合した複合金属塩をアルカリ性水溶液に添加して調製した微粒子スラリーなどがあげられる。これらの中でも、経済性、取り扱い性の容易性、後処理の容易性から、硝酸塩、塩酸塩を用いることが好ましい。
スラリー中に中和酸化物、中和共沈水和酸化物またはこれらの複合物を適宜添加しても良い。中和酸化物、中和共沈水和酸化物としては、具体的には、セリア水和物微粒子、イットリア水和物微粒子、アルミナ水和物微粒子、マグネシア水和物微粒子もしくはそれらの炭酸塩または含水珪酸化合物微粒子、酸化物微粒子、水酸化物微粒子、酸化物/水酸化物/炭酸塩の混合微粒子などがあげられる。中和酸化物、中和共沈水和酸化物またはこれらの複合物の濃度は、乾燥物換算で好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは10〜30重量%である。濃度が5%未満であると乾燥に用いる燃料が増加し効率的ではなく、また、濃度が40%を超えると、スラリー濃度が上昇し送液が困難となると共に焼成後の粒子径が大きくなる傾向にある。
スラリー調製時に使用される溶媒としては、水、アルコール、水/アルコール混合溶液、メチルエチルケトン/水混合溶液、トルエンなどがあげられる。なかでも、経済性、安全性の観点から、水または水/アルコール混合溶液が好ましい。
スラリーを調製する際の原料の配合量は、スラリーに対して5〜60重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。配合量が5重量%より小さいと、粉砕効率および生産性が低下する傾向がある。一方、配合量が60重量%より大きいと、スラリー粘度が上昇し、粉砕および乾燥が困難になる傾向がある。
原料スラリーの粒子径は、1〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。粒子径が1μm未満であると、スラリーの固液分離が困難となり、洗浄による精製が困難になる傾向がある。一方、粒子径が20μmより大きいと、粉砕効率が低下する傾向がある。
前記水和ジルコニアの湿式粉砕後の粒子径は、0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。0.05μm未満の粒子径であると、乾燥の際の再凝集の影響が避けられず微細化の効果が薄れる傾向がある。一方、1.0μmより大きいと、均質化の効果が悪くなると共に、焼成後の粒子径が大きく再粉砕する必要がある。
本発明で使用する湿式粉砕装置は、例えばビーズミル、アトライター、ボールミルやジェットミルなどの主に凝集粒子を解砕することを目的とする装置を用いることが出来れば、装置に制限はない。
なお、水和物を合成する際や湿式粉砕時にポリエチレンオキシドやポリアクリル酸などに代表される分散機能を有する界面活性剤を添加しても良い。具体例としては、ポリアクリル酸アンモニウム、多鎖型高分子量非イオン性界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、β−ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩、高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル類、グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステルなどがあげられる。
本発明のジルコニア系酸化物粉末の製造方法において、衝撃波とは圧縮性流体中において圧力、密度、温度などが急激に上昇下降を繰り返す状態を言い、超音波、爆発に伴う圧縮波、物体の高速移動、などを用いることができる。中でも超音波振動は経済性、安全性の点で好ましい。原料スラリーの加熱手段は特に限定されない。抵抗発熱体を用いる電気加熱、可燃性ガスの燃焼によるガス加熱、ジャケットなどを介した間接加熱等の手段をとることができる。
前記衝撃波の付与および加熱の手段として、パルス燃焼ガスへの接触は単一の手段で衝撃波の付与および加熱との両者を同時に達成できるので特に好ましい。パルス燃焼ガスを発生するパルス燃焼システムとしては、たとえば、特開平8−40720号公報に記載された乾燥装置があげられる。このシステムは、パルス燃焼器、乾燥室、サイクロン、バグフィルターを備えている。
パルス燃焼ガスとは、通常毎秒50〜1000回のサイクルで脈動する燃焼ガスである。この燃焼ガスはパルス燃焼器により発生する。その燃焼ガス雰囲気中へ送られる原料液体は、熱風乾燥効果ならびに音圧や圧力を含む脈動作用による物理的衝撃特性によって、微細でしかも粒径分布のシャープな液滴に分割されて瞬時に乾燥される。その機構は明確ではないが、通常のノズル先端や回転円盤から噴射される原料液体の液柱または液柱が分裂した後の液滴の表面に衝撃波が作用し、液柱や液滴の表面に発生した複数の波同士の衝突により液柱が均等な大きさの液滴に分裂する、あるいは液滴が均等な大きさの液滴に再分裂するために、単にノズルや回転円盤などの噴霧手段のみを用いる場合には得られない微細で粒径分布がシャープな液滴が生成するものと推量される。こうして得られた金属化合物微粉末は物質の種類によっては一部変性作用を受けるものの、通常は成分の化学変化などを生じず、多成分系の場合でも原料液体の段階での化学組成の均質性が保持されるので、パルス燃焼システムは衝撃波の付与および加熱の手段として効果的である。化学的な均質性が保持される機構は明確になってはいないが、上述の理由によって、得られる液滴径が微細なために液滴内部での溶質成分などの移動距離が小さくなる、さらに加熱温度が低いために液滴内部での溶質成分などの移動速度が低く抑えられることなども均質性が保たれる原因の1つと推量されるが、それだけでは充分に説明できず、衝撃波の急速な脈動作用による、音波力を含む物理的衝撃作用が液滴からの溶媒などの除去に大きく関与していると推量される。
同時に、瞬間乾燥により溶媒の表面張力による粒子の凝集が抑制されるものと推察している。こうして得られた複合微粒子は、物質の種類によっては一部変成作用を受けるものの、通常は成分の化学変化などを生じず、多成分系の場合でも原料液体の段階での化学組成の均質性が保たれるので、パルス燃焼システムは衝撃波の付与および加熱の手段として効果的である。
パルス燃焼器により発生するパルス燃焼ガスの周波数範囲は、好ましくは50〜1000Hz、より好ましくは100〜900Hz、さらに好ましくは125〜550Hzである。周波数が50Hz未満であると、低周波数による振動障害を生じるおそれがある。また、周波数が1000Hzをこえると、充分な乾燥効果を得ることができない傾向がある。
パルス燃焼ガスの圧力振幅は、好ましくは±0.2kg/cm2以上、より好ましくは±0.4kg/cm2以上、さらに好ましくは±0.6kg/cm2以上である。圧力振幅が±0.2kg/cm2未満であると、粒子の分散効果が充分に得られない傾向がある。
パルス燃焼ガスの音圧は、好ましくは100〜200デシベル、より好ましくは120〜160デシベル、さらに好ましくは140〜150デシベルである。音圧が100デシベル未満であると、分散した粒子近傍での音波による空気の繰返し減圧作用による充分な撹拌作用や乾燥作用が得られない傾向がある。また、音圧が、200デシベルをこえると、防音対策に多大な費用を要する傾向がある。
パルス燃焼ガスの接触ガス温度は、好ましくは100〜1000℃、より好ましくは150〜700℃、さらに好ましくは200〜500℃である。接触ガス温度が100℃未満であると、粒子が充分に乾燥されない傾向がある。また、接触ガス温度が1000℃をこえると、粒子が熱による変性を受けやすい傾向がある。
パルス燃焼システムの装置材料としては、ステンレス鋼が経済性、保守性の面から好適に使用されるが、液体原料の乾燥に伴って腐食性のガスが発生する場合には、テフロン(登録商標)などの樹脂や、耐食性のあるガラス、セラミックスで乾燥室内面を被覆することも可能である。樹脂で被覆する場合には乾燥室温度をテフロン(登録商標)などの樹脂の耐熱温度以下に保つように、パルス燃焼ガスの流量と温度、液体原料の流量と溶媒などの揮発成分の濃度を設定することが必要である。
また、パルス乾燥によって得られた乾燥物を焼成すると、通常の乾燥物を焼成したものより結晶性が向上することも知られており、衝撃波の付与による乾燥が何らかの好ましい影響を与えているものと推察している。
パルス乾燥を行なった無機金属化合物粉末は、焼成することにより無機金属酸化物を製造することができる。焼成装置としては、昇温速度、温度および分解により発生する酸性ガスを回収捕捉できる構造の電気炉、雰囲気炉、ガス炉または電磁誘導炉などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で得られた乾燥物は、空気雰囲気下で焼成することにより酸化物を得られる。乾燥物を焼成するときの焼成温度は、300〜1500℃で焼成するのがよく、より好ましくは500〜1300℃、さらに好ましくは600〜1200℃がよい。焼成温度が300℃未満であると、酸化物の結晶化が充分に促進されず、1500℃より大きいと、結晶化が促進されすぎ粒成長が起こり問題となる。
乾燥後の微粒子粉末の単斜晶率は、X線回折によって測定することができる。単斜晶率は、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。単斜晶率が30%より大きいと、焼成時の収縮率が大きくなる傾向がある。
本発明によるジルコニア系水和物は、湿式粉砕することにより、水和物粒子を微細化または複数の金属で構成されている水和物または炭酸塩等の水系溶媒に不溶な塩の均質混合、微細化を行ない、かつパルス衝撃波等の超音波を付与する乾燥を行なうことで水の表面張力による凝集を抑制した乾燥物を得ることができる。また、得られる酸化物は、水和物を微細化した粒子の状態を保った形で焼成する事が可能となるため、従来のように酸化物形成後、微細化のための湿式粉砕等の工程を要していたものが不要または簡単な粉砕により目的とする微粒子粉末を得ることができる。さらに、パルス衝撃波による乾燥で得られた粉末を焼成すると、従来の乾燥で得られた粉末を焼成したものより、結晶性が高い酸化物粉末を得ることが出来、低温焼結が可能となる。同様に、高い結晶性から触媒機能も高くなることが期待できる。
本発明によって製造されるジルコニア系酸化物粉末の用途としては、フェルール、工具、酸素センサー、燃料電池、自動車排ガス用助触媒に適用するジルコニア系酸化物焼結体の原料粉末、半導体、電子部品、高周波フィルター、磁性材料、生体材料などに好的に用いられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
2.75mol%(酸化イットリウム換算値と酸化ジルコニウム換算値との合計に対するモル数。以下の実施例、比較例でも同じ)の酸化イットリウムを含む、酸化ジルコニウム換算濃度0.5mol/kgになるようにオキシ塩化ジルコニウム、塩化イットリウム混合水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を加え水和ジルコニウムスラリーを調製した。得られたスラリーを固液分離し、固形分を洗浄して過剰の水酸化ナトリウム、生成した塩化ナトリウムを除去した。得られた水和ジルコニウムの凝集粒子径は、以下の測定装置で測定した。
測定装置:レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000、(株)島津製作所製)
測定試料の調製:0.3%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液に乾燥物濃度0.2%となるように試料を加え、100Wの超音波発生装置に2分間供して、試料を分散させた。その後、粒子径を測定した。
得られた水和ジルコニウムの凝集粒子径は、10.5μmであった。
この凝集粒子径を有するスラリーを酸化物固形分換算で15%になるように水を加えて調製し、1mmφのジルコニアビーズのビーズミル(ウルトラビスコミルUVM−2、アイメックス(株)製)を用いて湿式粉砕した。測定結果を表1に示す。湿式粉砕後、スラリーをパルス燃焼装置により乾燥した。パルス燃焼の条件を下記に示す。
・パルス燃焼装置(ハイパルコン5型、パルテック(株)製)
周波数: 880Hz
圧力振幅: ±0.50kg/cm2
音圧: 110デシベル
接触ガス温度:280℃
入り口温度: 170〜190℃
出口温度: 70℃
この乾燥物を900℃で焼成し、焼成後および再粉砕後の単斜晶率は以下の測定装置を用いて測定した。
・再粉砕方法
測定試料の調製:焼成後の粉末30gを、500ml容量のポリカップにとり、直径2mmのジルコニアビーズ500g、純水60gを加え、直径70mmの半円形テフロン羽根を用い400rpm×60分撹拌した後、スラリーを回収水分を除去して粉末化した。
・単斜晶率
測定装置:X線回折装置(RINT−UltimaIII、リガク(株)製)
この粉末をX線回折装置により各ピーク強度を測定し、各回折ピークから次式に当てはめることにより各結晶相を求め、単斜晶率を算出した。また、各回折ピークの半価幅から結晶子径を求めた。
M=[{Im(111)+Im(11−1)}/{Im(111)+Im(11−1)+Ic+t(111)}]×100
ここで、Mは単斜晶系ジルコニアモル%、添字のmは単斜晶系ジルコニア、cは立方晶系ジルコニア、tは正方晶ジルコニアおよびc+tは立方晶ジルコニアと正方晶ジルコニアの両者を表し、また、( )の中は各面指数であり、それら添字に添えられたIは各結晶相の各面指数における面積強度を表す。
実施例2
湿式粉砕後のスラリー濃度調製時に、ポリアクリル酸アンモニウムを酸化物重量比に対して0.5%添加した以外は、実施例1と同じ方法でジルコニアスラリーを調製し、900℃で焼成し、実施例1と同様の方法にて測定を行なった。測定結果を表1に示す。単斜晶率は0.1%であった。
実施例3
市販の水酸化ジルコニウムケーキ(第一稀元素化学工業(株)製)と試薬品水酸化イットリウム(ナカライテクス(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて酸化ジルコニウムと酸化イットリウムのモル比になるように配合し、酸化物換算で20重量%となるように水を加えてスラリーを調製した。調製時の原料スラリーの凝集粒子径は、8.87μmであった。
このスラリーを直径1mmφのジルコニアビーズを用いて湿式粉砕し、凝集粒子径を測定した。測定結果を表1に示す。この粉砕したスラリーをパルス燃焼装置により乾燥した。乾燥後、900℃で焼成し、実施例1と同様の方法にて測定を行なった。測定結果を表1に示す。また、結晶子径は330Åであり、単斜晶率は4.6%であった。
実施例4
市販の水酸化ジルコニウムケーキ(日本軽金属(株)製)に試薬グレードの炭酸マグネシウムを酸化ジルコニウムと酸化マグネシウムの合計に対するモル比で8モル%になる比率で炭酸マグネシウム粉末を混合し、水を加えて酸化物換算で15重量%になるよう濃度を調製した。調製時の原料スラリーの凝集粒子径は、12.5μmであった。
このスラリーを直径1mmφのジルコニアビーズを用いて湿式粉砕し、凝集粒子径を測定した。測定結果を表1に示す。湿式粉砕後、スラリーを接触ガス温度が250℃である以外は実施例1と同様のパルス燃焼装置により乾燥し、この乾燥物を900℃で焼成した。得られた粉末のX線回折のピークは、各金属固有のピークが観測されず、固溶体100%であることが確認できた。
実施例5
50mol%(酸化セリウム換算値と酸化ジルコニウム換算値との合計に対するモル数。以下の実施例、比較例でも同じ)の酸化セリウムを含む、酸化ジルコニウム換算濃度0.5mol/kgになるように市販の水酸化ジルコニウムケーキ(第一稀元素化学工業(株)製)、硝酸セリウム混合スラリーに、28%アンモニア水溶液を加え水和混合スラリーを調製した。得られたスラリーを固液分離し、固形分を洗浄して過剰のアルカリ、生成した硝酸アンモニウムを除去した。この原料スラリーの凝集粒子径は、15.5μmであった。このスラリーに市販の微粒子酸化アルミニウム(日本アエロジル(株)製)を対酸化物換算で5wt%添加し、直径0.5mmφのジルコニアビーズを用いて湿式粉砕した。測定結果を表1に示す。この粉砕スラリーを接触ガス温度が250℃である以外は実施例1と同様のパルス燃焼装置により乾燥し、乾燥物を600℃で焼成し、実施例1と同様の方法にて測定を行なった。測定結果を表1に示す。なお、X線回折ピークは、各金属固有のピークが観測されず、固溶体100%であることを確認できた。
比較例1
実施例1と同様の方法にてスラリーを調製し、このスラリーを湿式粉砕せずパルス燃焼装置により乾燥した。この乾燥物を900℃で焼成し、実施例1と同様の方法にて測定を行なった。測定結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様の方法にてスラリーを調製し、このスラリーを湿式粉砕せず110℃で静置乾燥した。この乾燥物を900℃で焼成し、実施例1と同様の方法にて測定を行なった。測定結果を表1に示す。
比較例3
実施例3と同様の方法にてスラリーを調製し、このスラリーを湿式粉砕せず110℃で静置乾燥した。この乾燥物を900℃で焼成し、実施例1と同様の方法にて測定を行なった。測定結果を表1に示す。
比較例4
実施例4と同様の方法にてスラリーを調製し、このスラリーを湿式粉砕せず110℃で静置乾燥した。この乾燥物を900℃で焼成した。得られた粉末のX線回折のピークは、各金属固有のピークが観測され、完全な固溶体が形成されていない。
比較例5
実施例5と同様の方法にてスラリーを調製し、このスラリーを湿式粉砕せず静置乾燥した。この乾燥物を600℃で焼成した。得られた粉末のX線回折のピークは、各金属固有のピークが観測され、完全な固溶体が形成されていなかった。
Figure 2007106635
実施例1〜5のようにパルス燃焼による乾燥を行なう前に、湿式粉砕を行なったジルコニア系酸化物粉末は、再粉砕後の単斜晶率が9.5%以下の微粒子が製造されたのに対し、パルス燃焼による乾燥のみ行なった製造方法(比較例1)や、静置乾燥(比較例2〜5)したものと比較すると、いずれも再粉砕後の単斜晶率が大きいものとなった。
特に、パルス燃焼による乾燥を行なう前に、湿式粉砕を行なったジルコニア系酸化物粉末である実施例1は、再粉砕後の単斜晶率が5.0%であったのに対し、湿式粉砕を行なわず、パルス燃焼による乾燥のみを行なった比較例1では、再粉砕後の単斜晶率が39.0%まで上昇した。この単斜晶率の差は、水和ジルコニウムの湿式粉砕とパルス乾燥の併用による効果により、均質化および焼成時の粒子の融着が少なくなったためと推量している。

Claims (6)

  1. (a)水和ジルコニウムを含む含水スラリーを湿式粉砕する工程、および
    (b)湿式粉砕後のスラリーに衝撃波を付与して乾燥させる工程
    を含むジルコニア系酸化物粉末の製造方法。
  2. さらに、(c)乾燥物を焼成する工程を含む請求項1記載のジルコニア系酸化物粉末の製造方法。
  3. 工程(b)における湿式粉砕後のスラリー中の微粒子の粒子径が0.05〜1.0μmである請求項1または2記載のジルコニア系酸化物粉末の製造方法。
  4. 工程(b)がスラリーにパルス燃焼ガスを接触させることにより、スラリーの加熱および衝撃付与を行なう工程である請求項1、2または3記載のジルコニア系酸化物粉末の製造方法。
  5. 含水スラリーが、ジルコニア水和物もしくはジルコニア炭酸塩単独またはその混合物である請求項1、2、3または4記載のジルコニア系酸化物粉末の製造方法。
  6. 含水スラリーが、さらに、セリア水和物微粒子、イットリア水和物微粒子、アルミナ水和物微粒子、マグネシア水和物微粒子もしくはそれらの炭酸塩または含水珪酸化合物微粒子スラリーの少なくとも1種を含む請求項5記載のジルコニア系酸化物粉末の製造方法。
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