JP2007161560A - 微粒αアルミナの製造方法 - Google Patents

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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

【課題】粗粒分が少なく、高α化率で、BET比表面積が大きな微粒αアルミナを製造しうる方法を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、αアルミナ前駆体粒子と種晶粒子との混合物を焼成して、微粒αアルミナを製造する方法であり、種晶粒子の中心粒子径が40nm以下であり、100nmを超える粒子の割合が1質量%以下であることを特徴とする。種晶粒子は、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H)の1.02倍以上になるように、未粉砕の金属化合物を粉砕し、得られた粉砕物を水性媒体中、遠心加速度(G)と遠心処理時間(分)との積が140,000(G・分)以上の遠心分離処理か、あるいは得られた粉砕物を孔径1μm以下のフィルターを用いる濾過処理により、分級して得られた金属化合物微粒子である。
【選択図】図3

Description

本発明は、微粒αアルミナの製造方法に関し、詳しくは粗粒分が少なく、高α化率で、BET比表面積が大きな微粒αアルミナの製造方法に関する。
微粒αアルミナは、主結晶相がα相であるアルミナ〔Al23〕の微細な粒子であって、例えば透光管などのような焼結体を製造するための原材料として広く用いられている。かかる微粒αアルミナには、強度に優れた焼結体が得られる点で、α化率が高く、BET比
表面積が大きいと共に、粗粒分が少ないことが求められている。
高α化率で、大きなBET比表面積を示す微粒αアルミナを製造する方法として、非特許文献1〔Key Engineering Materials, Vols.53-55, 462-468(1991)〕には、種晶粒子を含むアルミニウム塩の水溶液に、アンモニアを加えて加水分解し、次いで水を留去することにより、αアルミナ前駆体粒子と種晶粒子との混合物を得、この混合物を焼成する方法が開示されている。
Key Engineering Materials, Vols.53-55, 462-468(1991)
しかし、かかる従来の製造方法により得られた微粒αアルミナは、粗粒分が比較的多いという問題があった。
そこで本発明者は、粗粒分が少なく、高α化率で、BET比表面積が大きな微粒αアルミナを製造しうる方法を開発するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、αアルミナ前駆体粒子と種晶粒子との混合物を焼成して、微粒αアルミナを製造する方法であり、
前記種晶粒子の中心粒子径が40nm以下であり、粒子径100nmを超える粗粒分の割合が個数比で1%以下であることを特徴とする前記微粒αアルミナの製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、α化率が高く、大きなBET比表面積を示し、粗粒分が少ない微粒αアルミナを製造することができる。
本発明の製造方法に用いられるαアルミナ前駆体粒子とは、焼成することによりα化して
αアルミナに遷移し得る化合物であるαアルミナ前駆体の粒子であって、例えばアルミニ
ウム塩、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、遷移アルミナなどの粒子が挙
げられる。
アルミニウム塩としては、例えば塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩化物、
硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム硝酸塩、
アンモニウム明礬、
炭酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム炭酸塩などのようなアルミニウムの無機塩、
シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどのようなアルミニウムの有機塩などが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えばアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシドなどが挙げられる。
水酸化アルミニウムの粒子としては、例えば加水分解性アルミニウム化合物を加水分解す
ることにより得られるアルミニウム加水分解物の粒子が挙げられる。加水分解性アルミニ
ウム化合物とは、加水分解によりアルミニウム加水分解物に誘導し得る化合物であり、例
えば上記したと同様のアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
アルミニウム塩を加水分解するには、通常、アルミニウム塩を水に溶解させて水溶液とし
、この水溶液に塩基を加えて水素イオン濃度を通常pH3以上、pH13以下、好ましくはpH11以下とすればよい。アルミニウム化合物の水溶液におけるアルミニウム塩の濃度は、アルミニウムに換算して通常0.01モル/L以上飽和濃度以下である。この水溶液においてアルミニウム塩は完全に溶解していることが好ましく、このため、水溶液の水素イオン濃度は通常pH2以下であり、通常はpH0以上である。加水分解は、通常0℃以上100℃以下の温度で行われる。
アルミニウム塩の水溶液は、少なくとも焼成で揮発するか、焼失する溶媒を含有していて
もよい。このような溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノールなどのアルコール類をはじめとする極性有機溶媒、四塩化炭素、ベンゼン、
ヘキサンなどの非極性有機溶媒などの有機溶媒が挙げられる。
アルミニウム塩の水溶液に加える塩基として通常は、例えばアンモニア、炭酸水素アンモ
ニウム、炭酸アンモニウムなどの金属成分を含まないものが用いられる。アンモニアを用
いる場合、ガス状のまま水溶液に吹き込んで加えてもよいが、水に溶解させたアンモニア
水溶液として加えることが、好ましい。アンモニア水溶液を用いる場合、その濃度は通常
、0.01モル/L以上飽和濃度以下である。
アルミニウムアルコキシドを加水分解するには、アルミニウムアルコキシドを水と混合し
て反応させればよい。水の使用量は、アルミニウムアルコキシドのアルミニウム原子に対
して通常、1モル倍〜10モル倍程度である。アルミニウムアルコキシドは、水と混合す
ることにより、容易に加水分解して、加水分解物を生成する。
かかるアルミニウム化合物を加水分解することにより、通常は水と加水分解物とを含む水
性混合物が得られる。加水分解により得られる加水分解物は通常、水に不溶であるので、
得られた水性混合物は通常、ゾル状またはゲル状になっているか、あるいは、水に加水分
解物が分散した状態となっている。
遷移アルミナとしては、例えばγアルミナ、δアルミナ、θアルミナなどが挙げられる。
本発明の製造方法に用いられる種晶粒子は、中心粒子径が40nm以下、好ましくは30
nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。また、この種晶粒子は、粒子径100
nmを超える粗粒分の割合が個数比で1%以下、好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下であり、その最大粒子径は通常200nm以下である。このような種晶粒子としては、例えば未粉砕の金属化合物を粉砕し、得られた粉砕物を水性媒体中、遠心加速度(G)と遠心処理時間(分)との積が140,000(G・分)以上、好ましくは170,000(G・分)以上、さらに好ましくは200,000(G・分)以上、通常は1,200,000(G・分)以下の遠心分離処理により分級して得られる金属化合物微粒子が挙げられる。かかる遠心分離処理により、粒子径が比較的大きな粗粒分は沈降するが、上澄み液には、沈降しなかった微細な粒子が浮遊したままであるので、上澄み液を沈殿物から固液分離して得ることにより、目的の種晶粒子を得ることができる。
未粉砕の金属化合物としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、酸化鉄、酸化クロ
ムなどの金属酸化物、ダイアスポア(水酸化アルミニウム)などの金属水酸化物などが用
いられ、好ましくは結晶型がコランダム型で、さらに好ましくは結晶水の無いものである
か、あるいはダイアスポアである。コランダム型で結晶水のない金属化合物としては、例
えばαアルミナ、α酸化鉄、α酸化クロムなどが挙げられ、目的とする微粒αアルミナと
同じ成分であることから、αアルミナが好ましく用いられる。
未粉砕の金属化合物としては、粒子径が通常0.001μm〜0.5μm、好ましくは0
.005μm以上、さらに好ましくは0.01μm以上の粒子が用いられ、好ましくはB
ET比表面積12m2/g〜150m2/g、さらに好ましくは15m2/g以上のものが
用いられる。
金属化合物は、水などの液体を加えることなく乾燥状態で粉砕する乾式粉砕により粉砕し
てもよいし、液体を加えた湿潤状態で粉砕する湿式粉砕により粉砕してもよい。
乾式粉砕により粉砕するには、例えば転動ミル、振動ボールミル、遊星ミルなどのボール
ミル、ピンミルなどの高速回転粉砕機、媒体撹拌ミル、ジェットミルなどの粉砕装置を用
いることができる。
乾式粉砕では、未粉砕の金属化合物を単独で粉砕してもよいが、粉砕助剤、解膠剤などの
添加剤を加えて粉砕効率を上げることが好ましく、粉砕後の種晶粒子を分散性よく水に分
散しうる点で、粉砕助剤を添加することが好ましい。粉砕助剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、
プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコー
ル類、
トリエタノールアミンなどのアミン類、
パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、
アルミニウムアルコキシドなどの金属アルコキシド類、
カーボンブラック、グラファイトなどの炭素材料などが挙げられ、これらはそれぞれ単独
で、または2種以上を組み合わせて用いられる。粉砕助剤、解膠剤などの添加剤を添加す
る場合、その添加量は金属化合物100質量部あたり通常0.01質量部〜10質量部、
好ましくは0.5質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.75質量部〜2質量部程度で
ある。
湿式粉砕により粉砕するには、例えば上記と同様のボールミル、高速回転粉砕機、媒体撹
拌ミルなどの粉砕装置を用いることができる。湿式粉砕に使用される液体としては通常、
水が用いられる。液体の使用量は金属化合物100質量部あたり通常100質量部以上、10000質量部以下である。また、分散性よく粉砕し得る点で、分散剤を添加して粉砕することが好ましい。分散剤としては、例えば硝酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、硫酸などの酸、
メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、
塩化アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの
アルミニウム塩、界面活性剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。分散剤を使用する場合、その使用量は液体100質量部あたり通常0.01質量部〜20質量部、好ましくは0.05質量部〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
である。
金属化合物の粉砕は、本発明で規定する粒子径の微粒子が比較的多く得られる点で、通常
は、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(
H)が、粉砕前の半価幅(H0)の1.02倍以上、好ましくは1.1倍以上、さらに好まし
くは1.3倍以上、通常は3倍以下となるように行われ、特に乾式で粉砕する場合には1
.06倍以上となるまで粉砕することが好ましい。かかるメインピークの半価幅(H)は、
通常、粉砕の進行と共に微粒子が多く生成するほど大きくなるので、通常は、この半価幅
(H)が上記範囲となるまで粉砕を続ける。
遠心分離処理に用いられる水性媒体としては、例えば純水の他、上記分散剤として例示したアルミニウム塩や酸の水溶液などが挙げられる。
遠心分離処理は、通常の遠心分離装置を用いて行うことができる。遠心分離処理に要する
時間は、粉砕物に含まれる比較的大きな粒子径を示す粗粒分が沈降するに十分な時間であ
ればよく、通常は15分以上、12時間以下である。
かかる遠心分離処理により、粗粒分が沈降するが、目的の金属化合物微粒子は、沈降する
ことなく、そのまま上澄み液中に分散するので、遠心分離した後の上澄み液として、目的
の金属化合物微粒子を得ることができる。
本発明の製造方法に用いられる種晶粒子としては、未粉砕の金属化合物を上記と同様にし
て粉砕し、得られた粉砕物を孔径1μm以下、好ましくは0.7μm以下、さらに好まし
くは0.3μm以下、通常は孔径0.01μ以上、好ましくは0.05μm以上のフィル
ターを用いる濾過処理により分級して得られる金属化合物微粒子も挙げられる。
フィルターとしては、例えばαアルミナなどのセラミックスからなる市販のフィルターを
用いることができる。
濾過処理は、例えば粉砕物を水性媒体に分散させたスラリーをフィルターに通過させるこ
とにより行われる。水性媒体としては、純水の他、例えば上記分散剤として例示したと同様のアルミニウム塩や、酸の水溶液などが挙げられる。
かかる濾過処理により、粗粒子がフィルター上に捕捉され、その一方で目的の金属化合物
微粒子はフィルターに捕捉されることなく、液体と共に、そのまま通過するので、濾過後
の濾液として、目的の金属化合物微粒子を得ることができる。
本発明の製造方法における種晶粒子の使用量は、金属化合物として金属酸化物または金属
水酸化物を用いる場合、高いα化率の微粒αアルミナが容易に得られる点で、金属の酸化
物換算で、αアルミナ前駆体粒子および種晶粒子の合計量100質量部あたり、0.1質量部以上、さらには1質量部以上、特には2質量部以上であることが好ましい。また、種晶粒子の使用量が50質量部を超えてもよいが、その使用量が多いと生産性が低下してくることから、通常は50質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。
αアルミナ前駆体粒子と種晶粒子との混合物は、それぞれ別個に製造されたαアルミナ前
駆体粒子を種晶粒子と混合攪拌する方法により調製することができる。また、αアルミナ
前駆体粒子を種晶粒子と水中で媒体攪拌ミルのような湿式混合機を用いて混合撹拌するこ
とにより調製することもできる。
混合に際して種晶粒子は、乾燥状態のまま使用してもよいが、あらかじめ水に分散させた分散させた分散液の状態で使用することが、種晶粒子をより均一に分散させることができて好ましく、遠心分離後の上澄み液や、濾過後の濾液の組成によっては、これら上澄み液や濾液をそのまま分散液として加えてもよい。
αアルミナ前駆体粒子と種晶粒子とが均一に混合された混合物を容易に得ることができる点で、例えば
(1)αアルミナ前駆体が水溶性のアルミニウム塩である場合には、
αアルミナ前駆体を水に溶解した水溶液に種晶粒子の分散液を加え、この水溶液から水を留去することにより、アルミニウム塩を析出させて、アルミニウム塩の粒子と種晶粒子との混合物を得る方法により調製することが好ましく、
(2)αアルミナ前駆体がアルミニウム加水分解物である場合には、加水分解性アルミニウ
ム化合物の水溶液に種晶粒子の分散液をあらかじめ加えておき、この水溶液中で加水分解性アルミニウム化合物を加水分解することにより、アルミニウム加水分解物を析出させて、さらに水を留去することによりアルミニウム加水分解物の粒子と種晶粒子との混合物を得る方法により調製することが好ましい。
アルミニウム塩の析出後、あるいは加水分解後の水溶液から、例えば水を揮発させて水を
除去することにより、アルミニウム塩またはアルミニウム加水分解物と種晶粒子とが均一
に分散された混合物を得ることができる。水を揮発させる際の温度は通常100℃以下で
あるが、これを超える温度、例えば噴霧乾燥機などを用いて100℃を超える温度で急速
に水を除去してもよい。水を除去することで、乾燥状態の混合物を得ることができる。
本発明の製造方法では、かかる混合物を焼成する。焼成温度は、α化率の高い微粒αアル
ミナが容易に得られる点で、通常は600℃以上、好ましくは700℃以上であり、粒子
同士のネッキングがより少ない点で、通常は1100℃以下、好ましくは1000℃以下
、さらに好ましくは950℃以下である。
混合物は、例えば60℃/時間〜1200℃/時間の昇温速度で焼成温度まで昇温するが
、よりネッキングの少ない微粒αアルミナが容易に得られる点で、少なくとも150℃〜
600℃の温度範囲では、500℃/時間以下、さらには200℃/時間以下、通常は6
0℃/時間以上の昇温速度で昇温することが好ましい。
昇温に伴い、原料として用いたアルミニウム化合物の種類によっては、アルミニウム化合
物に起因するガス状の副生物が生成するが、かかる副生物の発生が止むまで600℃未満
の温度を維持してから、焼成温度まで昇温することが好ましい。
混合物は、大気中で焼成してもよいし、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼
成してもよい。また、水蒸気分圧が低い乾燥雰囲気中で焼成してもよい。
焼成には、例えば管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉
、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いるこ
とができる。混合物は回分式で焼成してもよいし、連続式で焼成してもよい。また静止式
で焼成してもよいし、流動式で焼成してもよい。
焼成時間は、αアルミナ前駆体と種晶粒子の混合物がα化して高α化率の微粒αアルミナが得られるに十分な時間であればよく、用いるαアルミナ前駆体の種類、αアルミナ前駆体と種晶粒子との使用量比、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、例えば10分以上24時間以下である。
かくして得られる微粒αアルミナは、粒子径が0.01μm〜0.1μm程度であり、高
いα化率を示すと共に、大きなBET比表面積を示し、例えばα化率90%以上、好まし
くは95%以上で、BET比表面積は通常10m2/g以上、好ましくは13m2/g以上
、さらに好ましくは15m2/g以上、通常150m2/g以下、好ましくは100m2
g以下である。
得られた微粒αアルミナは、粉砕されてもよい。微粒αアルミナを粉砕するには、例えば
振動ミル、ボールミルなどの媒体粉砕機、ジェットミルなどを用いることができる。また、得られた微粒αアルミナは分級してもよい。
かくして得られたαアルミナは、例えばαアルミナ焼結体を製造するための原材料として
有用である。αアルミナ焼結体は、例えば切削工具、バイオセラミクス、防弾板などの高
強度を要求されるものが挙げられる。ウェハーハンドラーなどの半導体製造用装置部品、
酸素センサーなどの電子部品も挙げられる。ナトリウムランプ、メタルハライドランプな
どの透光管も挙げられる。排ガスなどの気体に含まれる固形分除去、アルミニウム溶湯の
濾過、ビールなどの食品の濾過等に用いられるセラミクスフィルターも挙げられる。セラ
ミクスフィルターとしては、燃料電池において水素を選択的に透過させたり、石油精製時
に生じるガス成分、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素などを選択的に透過させるため
の選択透過フィルターも挙げられ、これらの選択透過フィルターはその表面に触媒成分を
担持させる触媒担体として用いてもよい。
得られた微粒αアルミナは、化粧品の添加剤、ブレーキライニングの添加剤、触媒担体と
して使用され、また導電性焼結体、熱伝導性焼結体などの材料として使用される。
得られた微粒αアルミナは、焼結しにくいセラミッスク粉末を焼結させて焼結体を製造す
る際に、セラミックス粉末に添加して、焼結し易くする焼結助剤として用いることもでき
る。
得られた微粒αアルミナを原料として用いることにより、微細な窒化アルミニウム粉末、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)粉末、粉末状蛍光体などを製造することができる。
得られた微粒αアルミナは、粉末のままで、通常のαアルミナ粉末と同様に、塗布型磁気
メディアの塗布層に添加されてヘッドクリーニング性、耐磨耗性を向上させるための添加
剤として用いることができる。トナーとして用いることもできる。樹脂に添加するフィラ
ーとして用いることもできる。また、研磨材として用いることもでき、例えば水などの溶
媒に分散させたスラリーとし、半導体CMP研磨、ハードディスク基板などの研磨などに
用いることができるし、テープ表面にコーティングして研磨テープとして、ハードディス
ク、磁気ヘッドなどの精密研磨などに用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限
定されるものではない。
なお、各実施例で得た微粒αアルミナのα化率は、粉末X線回折装置〔(株)理学製、RINT2000〕を用いて得た微粒αアルミナの回折スペクトルから、2θ=25.6°の位置に現れるアルミナα相(012面)のピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、κ相、θ相およびδ相のピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率= I25.6 / (I25.6 + I46 )×100(%)・・・(1)
により算出した。
BET比表面積は、窒素吸着法により求めた。
ネック率は透過型電子顕微鏡写真(TEM写真)に写った任意の粒子20個以上について
、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子の割合として求めた。
粉砕度は、そのα相(116)面のX線回折ピーク〔2θ=57.5°〕の半価幅(H(1
16))と、粉砕前の種晶(αアルミナ)のα相(116)面のX線回折ピークの半価幅(
0(116))とから、式(2)
粉砕度 = H(116) / H0(116)・・・(2)
により求めた。
実施例1
〔種晶粒子の製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウムを仮焼して、
主結晶相がθ相であり、α相を3重量%含む中間アルミナを得、この中間アルミナをジェ
ットミルにて粉砕して、嵩密度0.21g/cm3のアルミナ粉末を得た。
炉内が露点−15℃〔水蒸気分圧165Pa〕の乾燥空気で満たされた雰囲気炉に、上記
で得たアルミナ粉末を連続的に投入しながら、平均滞留時間3時間で連続的に取り出して
、最高温度1170℃にて焼成して、BET比表面積14m2/gのαアルミナ粒子を得
た。
このαアルミナ粒子100質量部に、粉砕助剤〔プロピレングリコール〕1質量部を加え
、粉体媒体〔粒子径15mmのアルミナビーズ〕を加えて振動ミルにて12時間粉砕した
。粉砕後のαアルミナ粒子のBET比表面積は16.6m2/gであり、粉砕度は1.1
0であり、中心粒子径は0.1μmであった。
上記で粉砕した後のαアルミナ粒子20質量部を、塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミ
ニウム濃度0.01モル/L〕80質量部と混合し、アルミナビーズ〔ビーズ径0.65
mm〕2.9kgを充填した湿式分散機〔シンマルエンタープライズ社製、「ダイノーミ
ル」〕を用いて平均滞留時間15分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm〔
遠心加速度約2100G〕の条件で40分間、遠心分離処理し、固液分離により液相(上
澄み液)として、αアルミナ微粒子〔粉砕度1.4〕を含むスラリー〔固形分濃度1.1
質量%〕を得た。
このスラリー130gを、さらに、回転数12000rpm〔遠心加速度約8600G〕
の条件で40分間、遠心分離処理〔344,000G・分〕し、固液分離により上澄み液
〔固形分濃度0.17質量%〕118gを得た。この上澄み液を肉眼で観察したところ、
無色透明で、微粒子は観察できなかった。なお、この上澄み液を乾燥させたのちの残渣を
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより、この上澄み液に含まれる微粒子の粒
子径を求めたところ、大部分の微粒子は粒子径20nm以下であり、粒子径20nm以下
の微粒子約1500個あたり、粒子径が20nmを超え、100nm未満である粒子は1
個であり、粒子径100nm以上の粒子が1個存在し、粒子径200nm以上の粒子は見
られなかった。この微粒子の中心粒子径は20nm以下である。この透過型電子顕微鏡写
真(TEM写真)を図1に示す。また、TEMを用いた電子線回折法により、この上澄み
液に含まれる微粒子の結晶構造は、αアルミナであることを確認した。この電子線回折写
真を図2に示す。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.17質量%〕118g(αアルミナ微粒子は0.2g)を塩化アルミニウム六水和物〔AlCl3・6H2O〕(和光純薬工業(株)製、特級、粉末状)60.4g(0.25モル)および純水84.6gと室温(約25℃)で混合し
て水溶液とし、同温度で撹拌しながら、マイクロロータリーポンプを用いて25%アンモ
ニア水〔和光純薬工業製、特級〕42g(アンモニア10.5g)を約4g/分の添加速
度で添加して、加水分解物が析出したスラリーを得た。このスラリーの水素イオン濃度は
pH3.8であった。このスラリーを室温(約25℃)で1日静置したところ、加水分解
物がゲル化して、ゲル状物となった。このゲル状物を60℃の恒温槽で加熱して乾燥させて、加水分解物と種晶粒子との乾燥混合物を得た。この乾燥混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部当たり1.5質量部の種晶粒子が含まれていた。
〔焼成〕
この乾燥混合物をアルミナ製乳鉢を用いて粉砕して粉末状とし、アルミナ製ルツボに入れ
、箱型電気炉で大気中150℃/時間の昇温速度で500℃に加熱し、同温度で1時間保
持した後、室温(約25℃)に冷却した。その後、再び大気中、上記電気炉を用いて30
0℃/時間の昇温速度で室温から900℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、微粒α
アルミナを得た。この微粒αアルミナは、白色度が高く、α化率は97.8%であり、B
ET比表面積は17.3m2/gであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したとこ
ろ、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られなかった。TEM写真を図3に
示す。
実施例2
〔種晶粒子の製造〕
実施例1と同様に操作して、αアルミナ微粒子〔粉砕度1.4〕を含むスラリー〔固形分
濃度1.1質量%〕を得た。このスラリー138.9gを、さらに、回転数12000r
pm〔遠心加速度8600G〕の条件で40分間、遠心分離処理〔344,000G・分
〕し、固液分離により上澄み液〔固形分濃度0.17質量%〕94.4gを得た。この上
澄み液を肉眼で観察したところ、無色透明で、微粒子は観察できなかった。なお、実施例
1と同様にしてこの上澄み液に含まれる微粒子の粒子径を求めたところ、大部分の微粒子
は粒子径20nm以下であり、粒子径20nm以下の微粒子約1500個あたり、粒子径
が20nmを超え、100nm未満である粒子は1個であり、粒子径100nm以上の粒
子が2個存在し、粒子径200nm以上の粒子は見られなかった。この微粒子の中心粒子
径は20nm以下である。また、実施例1と同様にして、この上澄み液に含まれる微粒子
の結晶構造は、αアルミナであることを確認した。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.17質量%〕94.4g(αアルミナ微粒子は0.
16g)と、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウム
25gと、純水105.6gを室温(約25℃)で混合し、サンドグラインダーへ投入し
て、2000rpm、30分の条件で撹拌したのち60℃の温浴中でロータリーエバポレ
ーターにより減圧下に水を揮発させて、粉末状の乾燥混合物を得た。
〔焼成〕
この乾燥混合物をアルミナ製ルツボに入れ、箱型電気炉で大気中300℃/時間の昇温速
度で980℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒α
アルミナは、白色度が高く、α化率は98%であり、BET比表面積は14m2/gであ
った。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、ネッキングして隣の粒子と繋がっ
ている粒子は見られなかった。
実施例3
〔種晶粒子の製造〕
実施例1と同様に操作して、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸
化アルミニウムから、αアルミナ粒子を得た。このαアルミナ粒子は、BET比表面積1
7.2m2/gであり、粉砕度は1.10であり、中心粒子径は0.1μmであった。こ
のαアルミナ粒子20質量部を、塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミニウム濃度0.0
1モル/L〕80質量部と混合し、アルミナビーズ〔ビーズ径0.65mm〕2.9kg
を充填した湿式分散機〔シンマルエンタープライズ社製、「ダイノーミル」〕を用いて平
均滞留時間17分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm〔遠心加速度約21
00G〕の条件で20分間遠心分離し、固液分離により、液相として、αアルミナ微粒子
〔粉砕度1.2〕を含むスラリー〔固形分濃度4.0質量%〕を得た。
このスラリー40.6gをさらに、回転数12000rpm〔遠心加速度8600G〕の
条件で40分間、遠心分離処理〔344,000G・分〕し、固液分離により上澄み液〔
固形分濃度0.15質量%〕22.8gを得た。この上澄み液を肉眼で観察したところ、
無色透明で、微粒子は観察できなかった。実施例1と同様にしてこの上澄み液に含まれる
微粒子の粒子径を求めたところ、大部分の微粒子は粒子径20nm以下であり、粒子径2
0nm以下の微粒子約1500個あたり、粒子径が20nmを超え、100nm未満であ
る粒子は1個であり、粒子径100nm以上の粒子が2個存在し、粒子径200nm以上
の粒子は見られなかった。この微粒子の中心粒子径は20nm以下である。また、実施例
1と同様にして、この上澄み液に含まれる微粒子の結晶構造は、αアルミナであることを
確認した。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.15質量%〕22.8g(αアルミナ微粒子は0.
03g)を硝酸アルミニウム九水和物〔Al(NO33・9H2O〕(和光純薬工業(株)
製、特級、粉末状)93.8g(0.25モル)および純水186.2gと室温(約25
℃)で混合して水溶液とし、同温度で撹拌しながら、マイクロロータリーポンプを用いて
25%アンモニア水〔和光純薬工業製、特級〕41.5g(アンモニア10.4g)を約
4g/分の添加速度で添加して、加水分解物が析出したスラリーを得た。このスラリーの
水素イオン濃度はpH4.0であった。このスラリーを室温(約25℃)で1日静置した
ところ、加水分解物がゲル化して、ゲル状物となった。このゲル状物を60℃の恒温槽で
乾燥させて、加水分解物と種晶粒子との乾燥混合物を得た。この乾燥混合物には、金属成
分の酸化物換算で100質量部当たり0.2質量部の種晶粒子が含まれている。
〔焼成〕
この乾燥混合物をアルミナ製乳鉢を用いて粉砕して粉末状とし、アルミナ製ルツボに入れ
、箱型電気炉で大気中300℃/時間の昇温速度で940℃に加熱し、同温度で3時間焼
成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナは、僅かに着色しており、α化率は
97.6%であり、BET比表面積は18.3m2/gであった。この微粒αアルミナを
TEMで観察したところ、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られなかった
実施例4
〔種晶粒子の製造〕
実施例1と同様に操作して、αアルミナ微粒子〔粉砕度1.2〕を含むスラリー〔固形分
濃度4.0質量%〕を得た。このスラリー40.6gを、さらに、回転数12000rp
m〔遠心加速度8600G〕の条件で40分間、遠心分離〔344,000G・分〕し、
固液分離により上澄み液〔固形分濃度0.15質量%〕23.0gを得た。この上澄み液
を肉眼で観察したところ、無色透明で、微粒子は観察できなかった。実施例1と同様にし
てこの上澄み液に含まれる微粒子の粒子径を求めたところ、大部分の微粒子は粒子径20
nm以下であり、粒子径20nm以下の微粒子約1500個あたり、粒子径が20nmを
超え、100nm未満である粒子は1個であり、粒子径100nm以上の粒子は2個存在
し、粒子径200nm以上の粒子は見られなかった。この微粒子の中心粒子径は20nm
以下である。また、実施例1と同様にして、この上澄み液に含まれる微粒子の結晶構造は
、αアルミナであることを確認した。
上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.15質量%〕23.0g(αアルミナ微粒子は0.
03g)を硝酸アルミニウム九水和物〔Al(NO33・9H2O〕(和光純薬工業(株)
製、特級、粉末状)93.8g(0.25モル)および純水186gと室温(約25℃)
で混合して水溶液とし、同温度で撹拌しながら、60℃の温浴中、ロータリーエバポレー
ターにより水分を留去することにより、乾燥させて、加水分解物と種晶粒子との粉末状の
乾燥混合物を得た。この乾燥混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部当たり0
.02質量部の種晶粒子が含まれている。
〔焼成〕
この乾燥混合物をアルミナ製ルツボに入れ、箱型電気炉で大気中300℃/時間の昇温速
度で820℃に加熱し、同温度で3時間焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αア
ルミナは、僅かに着色しており、α化率は97.8%であり、BET比表面積は17.5
2/gであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、ネッキングして隣の
粒子と繋がっている粒子は見られなかった。
実施例5
〔種晶粒子の製造〕
実施例1と同様に操作して、アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸
化アルミニウムから、αアルミナ粒子を得た。このαアルミナ粒子は、BET比表面積1
4.0m2/gであり、粉砕度は1.10であり、中心粒子径は0.1μmであった。こ
のαアルミナ粒子20質量部を、塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミニウム濃度0.0
1モル/L〕80質量部と混合し、アルミナビーズ〔ビーズ径0.65mm〕2.9kg
を充填した湿式分散機〔「ダイノーミル」〕を用いて平均滞留時間17分で連続的に湿式
分散した後、孔径0.1μmのαアルミナ製セラミックスフィルター〔日本ガイシ(株)製
〕により、流速4m/秒(0.15L/分)で濾過して、濾液を得た。この濾液を肉眼で
観察したところ、無色透明で、微粒子は観察できなかった。なお、実施例1と同様にして
この濾液に含まれる微粒子の粒子径を求めたところ、大部分の微粒子は粒子径20nm以
下であり、粒子径20nm以下の微粒子約3000個あたり、粒子径が20nmを超え、
100nm未満である粒子は1個であり、粒子径100nm以上の粒子は見られなかった
。この微粒子の中心粒子径は20nm以下である。また、実施例1と同様にして、この濾
液に含まれる微粒子の結晶構造は、αアルミナであることを確認した。
〔アルミニウム加水分解物の製造および焼成〕
実施例1で得た上澄み液に代えて、上記で得た濾液を用いる以外は実施例1と同様に操作
することにより、優れた微粒αアルミナが得られる。この微粒αアルミナは、白色度が高く、高α化率、高BET比表面積を示し、TEMで観察すると、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られない。
実施例6
孔径0.1μmのαアルミナ製セラミックスフィルターに代えて、孔径0.2μmのαア
ルミナ製セラミックスフィルター〔日本ガイシ(株)製〕を用いた以外は実施例1と同様に
操作して、濾液を得た。この濾液を肉眼で観察したところ、無色透明で、微粒子は観察で
きなかった。なお、この濾液を乾燥し、残渣として残った微粒子の粒子径を実施例1と同
様にして求めたところ、大部分の微粒子は粒子径20nm以下であり、粒子径20nm以
下の微粒子約3000個あたり、粒子径が20nmを超え、100nm未満である粒子は
1個であり、粒子径100nm以上の粒子は1個であり、粒子径200nm以上の粒子は
見られなかった。この微粒子の中心粒子径は20nm以下である。また、実施例1と同様
にして、この微粒子の結晶構造が、αアルミナであることを確認した。
〔アルミニウム加水分解物の製造および焼成〕
実施例1で得た上澄み液に代えて、上記で得た濾液を用いる以外は実施例1と同様に操作
することにより、優れた微粒αアルミナが得られる。この微粒αアルミナは、白色度が高く、高α化率、高BET比表面積を示し、TEMで観察すると、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られない。
実施例7
〔種晶スラリーの製造〕
実施例1で得た粉砕後のαアルミナ粒子〔BET比表面積16.6m2/g、粉砕度1.
10、中心粒子径0.1μm〕20質量部を塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミニウム
濃度0.01モル/L、水素イオン濃度はpH2〕80質量部と混合し、アルミナビーズ
〔ビーズ径0.65mm〕2.9kgを充填した湿式分散機〔ダイノーミル〕を用いて平
均滞留時間5分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm(遠心加速度2100G)の条件で40分間、遠心分離処理し、固液分離により上澄み液として、αアルミナ微
粒子〔粉砕度1.4〕を含むスラリー〔固形分濃度1.4質量%〕を得た。
このスラリーを、さらに回転数8000rpm〔遠心加速度約3800G〕の条件で40分間、遠心分離処理〔152,000G・分〕し、固液分離により上澄み液〔固形分濃度0.26質量%〕を得た。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.26質量%〕366g(αアルミナ微粒子は1g)
を塩化アルミニウム六水和物〔AlCl3・6H2O〕(和光純薬工業(株)製、特級、粉末
状)60.4g(0.25モル)と室温(約25℃)で混合し、同温度で撹拌しながら、
マイクロロータリーポンプを用いて25%アンモニア水〔和光純薬工業製、特級〕43g
(アンモニア10.1g)を約4g/分の添加速度で添加して、加水分解物が析出したス
ラリーを得た。このスラリーの水素イオン濃度はpH3.9であった。このスラリーを室
温(約25℃)で1日静置したところ、加水分解物がゲル化して、ゲル状物となった。こ
のゲル状物を60℃の恒温槽で乾燥させて、加水分解物と種晶粒子との乾燥混合物を得た
。この乾燥混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部当たり7質量部の種晶粒子
が含まれている。
〔焼成〕
この乾燥混合物をアルミナ製乳鉢を用いて粉砕して粉末状とし、アルミナ製ルツボに入れ
、箱型電気炉で大気中150℃/時間の昇温速度で500℃に加熱し、同温度で1時間保
持した後、室温(約25℃)に冷却した。その後、再び大気中、上記電気炉を用いて30
0℃/時間の昇温速度で室温から860℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、微粒α
アルミナを得た。この微粒αアルミナは、白色度が高く、α化率は96%であり、BET
比表面積は27.2m2/gであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、
ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られず、粒子径が100nmを超える粗
粒子も見られなかった。TEM写真を図4に示す。
比較例1
〔種晶スラリーの製造〕
実施例1で得た粉砕後のαアルミナ粒子〔BET比表面積16.6m2/g、粉砕度1.
10、中心粒子径0.1μm〕20質量部を塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミニウム
濃度0.01モル/L、水素イオン濃度はpH2〕80質量部と混合し、アルミナビーズ
〔ビーズ径0.65mm〕2.9kgを充填した湿式分散機〔ダイノーミル〕を用いて平
均滞留時間5分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm(遠心加速度2100G)の条件で40分間、遠心分離処理し、固液分離により上澄み液として、αアルミナ微
粒子〔粉砕度1.4〕を含むスラリー〔固形分濃度1.5質量%〕を得た。なお、このスラリーを乾燥させたのちの残渣を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより、このスラリーに含まれる微粒子の粒子径を求めたところ、大部分の微粒子は粒子径20nm以下であり、粒子径20nm以下の微粒子524個あたり、粒子径が20nmを超え、100nm未満である粒子は60個であり、粒子径100nm以上の粒子は8個存在した。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
上記で得た上澄み液〔固形分濃度1.5質量%〕284g(αアルミナ微粒子は4.3g
)を塩化アルミニウム六水和物〔AlCl3・6H2O〕(和光純薬工業(株)製、特級、粉
末状)60.4g(0.25モル)と室温(約25℃)で混合し、同温度で撹拌しながら
、マイクロロータリーポンプを用いて25%アンモニア水〔和光純薬工業製、特級〕42
.1g(アンモニア10.1g)を約4g/分の添加速度で添加して、加水分解物が析出
したスラリーを得た。このスラリーの水素イオン濃度はpH4.0であった。このスラリ
ーを室温(約25℃)で1日静置したところ、加水分解物がゲル化して、ゲル状物となっ
た。このゲル状物を60℃の恒温槽で乾燥させて、加水分解物と種晶粒子との乾燥混合物
を得た。この乾燥混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部当たり30質量部の
種晶粒子が含まれている。
〔焼成〕
この乾燥混合物をアルミナ製乳鉢を用いて粉砕して粉末状とし、アルミナ製ルツボに入れ
、箱型電気炉で大気中150℃/時間の昇温速度で500℃に加熱し、同温度で1時間保
持した後、室温(約25℃)に冷却した。その後、再び大気中、上記電気炉を用いて30
0℃/時間の昇温速度で室温から880℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、微粒α
アルミナを得た。この微粒αアルミナは、白色度が高く、α化率は97%であり、BET
比表面積は19.3m2/gであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、
ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られなかったが、粒子径100nmを超
える粗粒子が見られた。TEM写真を図5に示す。
実施例1で得た上澄み液に含まれる微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得た上澄み液に含まれる微粒子の透過型電子顕微鏡による電子線回折写真である。 実施例1で得た微粒αアルミナの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例7で得た微粒αアルミナの透過型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得た微粒αアルミナの透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. αアルミナ前駆体粒子と種晶粒子との混合物を焼成して、微粒αアルミナを製造する方法であり、
    前記種晶粒子の中心粒子径が40nm以下であり、粒子径100nmを超える粗粒分の割合が個数比で1%以下であることを特徴とする前記微粒αアルミナの製造方法。
  2. 前記種晶粒子が、未粉砕の金属化合物を、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.02倍以上になるように粉砕し、
    得られた粉砕物を水性媒体中、遠心加速度(G)と遠心処理時間(分)との積が140,000(G・分)以上の遠心分離処理により分級して得られた金属化合物微粒子である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記種晶粒子が、未粉砕の金属化合物を、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.02倍以上になるように粉砕し、
    得られた粉砕物を孔径1μm以下のフィルターを用いる濾過処理により分級して得られた金属化合物微粒子である請求項1に記載の製造方法。
  4. 中心粒子径が40nm以下であり、粒子径が100nmを超える粒子の割合が個数比で1%以下である金属化合物微粒子。
  5. X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.02倍以上になるように、未粉砕の金属化合物を粉砕し、
    得られた粉砕物を水性媒体中、遠心加速度(G)と遠心処理時間(分)との積が140,000(G・分)以上の遠心分離処理により分級することを特徴とする請求項4に記載の金属化合物微粒子の製造方法。
  6. X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.02倍以上になるように、未粉砕の金属化合物を粉砕し、
    得られた粉砕物を孔径1μm以下のフィルターを用いる濾過処理により分級することを特徴とする請求項4に記載の金属化合物微粒子の製造方法。
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JP2013112560A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Jdc Corp 層状複水酸化物粒子群およびその製造方法、並びに層状複水酸化物分散液、層状複水酸化物添加樹脂
WO2023095868A1 (ja) * 2021-11-26 2023-06-01 住友化学株式会社 アルミナ粉末

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