JP2007106626A - 多孔質シリカ複合材の製造方法およびそれを用いた電気浸透流ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】管状体内に、シリカ粒子を、脱落することなく、かつ、目詰まりすることなく、充填、固定化させた多孔質シリカ複合材の製造方法を提供し、さらに、該多孔質シリカ複合材を用いて、物理的強度が高く、耐溶剤性にも優れ、かつ、保存性にも優れた電気浸透流ポンプを提供する。
【解決手段】(a)管状体1内にシリカ粉末4を充填させる工程と、(b)前記管状体1内にアルカリ溶液5を通液し、該管状体1内壁およびシリカ粉末4を接合させる工程と、(c)前記アルカリ溶液5を除去する工程とを経ることにより多孔質シリカ複合材8を製造し、該多孔質シリカ複合材8の管状体1の両端部に電極を設け、50V以上5.0kV以下の直流電圧の印加により電気浸透流ポンプとして作動するように構成する。
【選択図】図1
【解決手段】(a)管状体1内にシリカ粉末4を充填させる工程と、(b)前記管状体1内にアルカリ溶液5を通液し、該管状体1内壁およびシリカ粉末4を接合させる工程と、(c)前記アルカリ溶液5を除去する工程とを経ることにより多孔質シリカ複合材8を製造し、該多孔質シリカ複合材8の管状体1の両端部に電極を設け、50V以上5.0kV以下の直流電圧の印加により電気浸透流ポンプとして作動するように構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、管状体内に多孔質シリカが固定化された多孔質シリカ複合材の製造方法および該多孔質シリカ複合材を用いた電気浸透流ポンプに関する。
近年、医学、生化学、化学等の分野においては、合成、分離、混合、分析等の操作を、集積化、小型化、高効率化させたマイクロ総合分析システム(μTAS)等が注目されている。このμTASは、数cm2程度の大きさのガラスや樹脂チップ上に、μmオーダーの微細な流路を集積加工し、該チップ内における試薬の移動制御や反応検出を行う制御検出器等から構成される。
前記μTAS等に用いられる微細流路において、微少の液体を流動させるための駆動力としては、電気浸透流を利用した電気浸透流ポンプが知られている。
図3に、電気浸透流ポンプの簡略的な構造を示す。図3に示すポンプは、ガラスチップ21上に、液体タンク22,23が形成され、これら両タンク22,23を連結するように流路24が配置されている。両タンク22,23には、それぞれ電極25,26が設けられている。
前記電極25,26間を直流電源27に接続し、直流高電圧を印加することにより、タンク22からタンク23、または、タンク23からタンク22へ液体が移送され、ポンプとしての作用を奏する。
図3に、電気浸透流ポンプの簡略的な構造を示す。図3に示すポンプは、ガラスチップ21上に、液体タンク22,23が形成され、これら両タンク22,23を連結するように流路24が配置されている。両タンク22,23には、それぞれ電極25,26が設けられている。
前記電極25,26間を直流電源27に接続し、直流高電圧を印加することにより、タンク22からタンク23、または、タンク23からタンク22へ液体が移送され、ポンプとしての作用を奏する。
従来の電気浸透流ポンプにおいては、前記流路4として、ゲル担体を充填させたキャピラリが用いられていた。このゲル充填キャピラリは、キャピラリ内に、ゲルを固定化させるための二重結合等を有するカップリング剤を塗布し、該キャピラリ内において、アクリルアミド等のモノマー溶液を重合させてゲル化および固定化させることにより作製されたものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−279536号公報
しかしながら、上記のような従来の電気浸透流ポンプにおいては、前処理も含めて製造工程が煩雑であり、キャピラリ内における重合度の調整等が難しく、均一なゲル充填性や良好な再現性を得ることが困難である等の課題を有していた。また、有機ポリマーを用いるため、耐溶剤性や物理的強度等も十分とは言えず、耐久性に劣り、ある程度の湿度を有する環境下での保存を要する等、取扱いが容易ではなった。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためには、ポリアクリルアミド等の有機ポリマーゲルに代わるものとして、ガラスの主成分であるシリカの粉末をキャピラリ等の管状体内に固定化させたものを好適に用いることができると考えた。
しかしながら、シリカ粉末を管状体内に充填して固定化させるためには、管状体両端に、管状体内からの粉末の流出を防止するフィルタ等の手段を配置する必要があり、実際に、電気浸透流ポンプ等に使用して作動させた場合、フィルタの目詰まり、シリカ微粒子の流出等の不具合が生じた。
しかしながら、シリカ粉末を管状体内に充填して固定化させるためには、管状体両端に、管状体内からの粉末の流出を防止するフィルタ等の手段を配置する必要があり、実際に、電気浸透流ポンプ等に使用して作動させた場合、フィルタの目詰まり、シリカ微粒子の流出等の不具合が生じた。
また、他の手段として、熱による表面融解、あるいはまた、接着剤を使用して、シリカ粒子同士を結合させ、かつ、管状体内に固定させる方法が考えられる。
しかしながら、これらの方法では、シリカ粒子間の空間が塞がれて目詰まりが生じ、また、接着剤により表面がガラス質でなくなる等により、電気浸透流ポンプとして作動させることは困難であった。
しかしながら、これらの方法では、シリカ粒子間の空間が塞がれて目詰まりが生じ、また、接着剤により表面がガラス質でなくなる等により、電気浸透流ポンプとして作動させることは困難であった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、管状体内に、シリカ粒子を、脱落することなく、かつ、目詰まりすることなく、充填、固定化させた多孔質シリカ複合材の製造方法を提供し、さらに、該多孔質シリカ複合材を用いて、物理的強度が高く、耐溶剤性にも優れ、かつ、保存性にも優れた電気浸透流ポンプを提供することを目的とするものである。
本発明に係る多孔質シリカ複合材の製造方法は、管状体内にシリカ粉末を充填させる工程と、前記管状体内にアルカリ溶液を通液し、該管状体内壁およびシリカ粉末を接合させる工程と、前記アルカリ溶液を除去する工程とを備えていることを特徴とする。
上記製造方法によれば、シリカ粒子同士を相互に化学的に接合させて多孔質体を形成させ、同時に、管状体内壁にも固着させることができ、管状体と一体化した多孔質シリカ複合材が得られる。
上記製造方法によれば、シリカ粒子同士を相互に化学的に接合させて多孔質体を形成させ、同時に、管状体内壁にも固着させることができ、管状体と一体化した多孔質シリカ複合材が得られる。
前記製造方法においては、アルカリ溶液の濃度が3重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
上記濃度範囲内のアルカリ溶液を用いることにより、シリカ粒子表面を適度に溶解させて十分に接合させ、均質なシリカ多孔質体を形成することができ、また、残留アルカリ分の除去も容易となる。
上記濃度範囲内のアルカリ溶液を用いることにより、シリカ粒子表面を適度に溶解させて十分に接合させ、均質なシリカ多孔質体を形成することができ、また、残留アルカリ分の除去も容易となる。
また、前記アルカリ溶液の除去工程においては、該アルカリ溶液を60℃以上75℃以下で蒸発させることが好ましい。
上記温度範囲内でアルカリ溶液を揮発させることにより、アルカリによる急激な反応の進行等を抑制することができ、また、シリカ粒子同士およびシリカ粒子と管状体内壁とを十分に固着接合させることができる。
上記温度範囲内でアルカリ溶液を揮発させることにより、アルカリによる急激な反応の進行等を抑制することができ、また、シリカ粒子同士およびシリカ粒子と管状体内壁とを十分に固着接合させることができる。
また、本発明に係る電気浸透流ポンプは、上記方法により製造された多孔質シリカ複合材の管状体の両端部に電極が設けられ、50V以上5.0kV以下の直流電圧の印加により作動するように構成されていることを特徴とする。
本発明に係る製造方法により得られた多孔質シリカ複合材は、電気浸透流ポンプとして好適に用いることができる。
本発明に係る製造方法により得られた多孔質シリカ複合材は、電気浸透流ポンプとして好適に用いることができる。
上述したとおり、本発明に係る多孔質シリカ複合材の製造方法によれば、あらゆる材質の管状体内に、シリカ粒子を、脱落することなく、かつ、目詰まりすることなく、均質な多孔質体として固定化させることができる。
また、上記製造方法により得られた多孔質シリカ複合材を用いた本発明に係る電気浸透流ポンプは、従来の有機ポリマーゲルを用いたものと比較して、物理的強度が高く、また、化学的に安定であり、耐溶剤性にも優れているため、保存性、耐久性に優れている。しかも、目詰まりや充填材の流出等を生じることなく、効率的に、液体の移送を行うことができる。
したがって、本発明に係る電気浸透流ポンプは、複雑なメカニクスを要しないポンプであり、小型化を図ることができ、ガラスチップ等のデバイス上への搭載も可能であり、μTAS等におけるマイクロポンプ、ナノポンプ等にも適用可能である。
また、上記製造方法により得られた多孔質シリカ複合材を用いた本発明に係る電気浸透流ポンプは、従来の有機ポリマーゲルを用いたものと比較して、物理的強度が高く、また、化学的に安定であり、耐溶剤性にも優れているため、保存性、耐久性に優れている。しかも、目詰まりや充填材の流出等を生じることなく、効率的に、液体の移送を行うことができる。
したがって、本発明に係る電気浸透流ポンプは、複雑なメカニクスを要しないポンプであり、小型化を図ることができ、ガラスチップ等のデバイス上への搭載も可能であり、μTAS等におけるマイクロポンプ、ナノポンプ等にも適用可能である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る多孔質シリカ複合材の製造方法は、管状体内へのシリカ粉末の充填工程、アルカリ溶液による前記管状体内壁およびシリカ粉末の接合工程、アルカリ溶液の除去工程を経ることにより、多孔質シリカ複合材を得る方法である。
上記製造方法によれば、接着剤等を用いることなく、シリカ粒子同士を相互に化学的に接合させて多孔質体を形成させるのと同時に、管状体内壁にも固着させることができ、管状体と一体化した多孔質シリカ複合材を得ることができる。
本発明に係る多孔質シリカ複合材の製造方法は、管状体内へのシリカ粉末の充填工程、アルカリ溶液による前記管状体内壁およびシリカ粉末の接合工程、アルカリ溶液の除去工程を経ることにより、多孔質シリカ複合材を得る方法である。
上記製造方法によれば、接着剤等を用いることなく、シリカ粒子同士を相互に化学的に接合させて多孔質体を形成させるのと同時に、管状体内壁にも固着させることができ、管状体と一体化した多孔質シリカ複合材を得ることができる。
本発明において用いられるシリカ粉末は、管状体内に充填して接合され、均質な多孔質体を形成させる観点から、平均粒径が5μm以上100μm以下の球状であることが好ましく、より好ましくは、5μm以上30μm以下である。
前記シリカ粉末を収容する管状体の材質は、管状に成形可能であり、かつ、アルカリ溶液により表面が溶解し、その溶解部分において接着作用を奏するものであればいずれでもよく、例えば、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、ゴム、紙等を用いることができる。これらのうち、ガラス、プラスチック等が好適に用いられる。特に、加工性、透光性、耐溶剤性に優れ、かつ、シリカ成分を有する材質であり、シリカ粒子との接合が良好である等の観点から、ガラスが好適に用いられる。
また、前記管状体の大きさは、その使用目的に応じて適宜調整することができる。μTAS等における微細流路、キャピラリ等の極細管でもよく、加工性の観点からは、内径は、0.2mm以上10.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5mm以上5.0mm以下である。また、管状体の長0.5mm以上50.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは、3.0mm以上30.0mm以下である。
前記管状体の内部へのシリカ粉末の導入は、全体に均質に充填させるために、管状体の一端に減圧ポンプを接続して、吸引させながら行うことが好ましい。この際、減圧ポンプ側には、シリカ粉末が管状体の端部において留まるように、フィルタを設ける。
また、管状体の両端まで、シリカ粉末を充填させ、また、フィルタの装着容易等の観点から、該管状体の両端には、シリコーンチューブ、ゴム管等を嵌め込んでおくことが好ましい。このシリコーンチューブ等は、アルカリ溶液による接合工程の後、該シリコーンチューブ内にまで導入されたシリカ粉末およびフィルタとともに取り外すことにより、前記管状体の両末端まで、シリカ粉末を容易に固定化させることができる。
あるいはまた、管状体の末端にまでシリカ粒子を充填させた多孔質シリカ複合材を得るためには、管状体に切り代を設けておき、後に、必要な長さ分だけ切断して採取してもよい。
また、管状体の両端まで、シリカ粉末を充填させ、また、フィルタの装着容易等の観点から、該管状体の両端には、シリコーンチューブ、ゴム管等を嵌め込んでおくことが好ましい。このシリコーンチューブ等は、アルカリ溶液による接合工程の後、該シリコーンチューブ内にまで導入されたシリカ粉末およびフィルタとともに取り外すことにより、前記管状体の両末端まで、シリカ粉末を容易に固定化させることができる。
あるいはまた、管状体の末端にまでシリカ粒子を充填させた多孔質シリカ複合材を得るためには、管状体に切り代を設けておき、後に、必要な長さ分だけ切断して採取してもよい。
本発明においては、アルカリ溶液を用いて、シリカ粒子同士の接合およびシリカ粒子と管状体内壁との接合を行う。
所定のアルカリ溶液により、シリカ粒子表面および管状体内壁を溶解し、後に、このアルカリ溶液を除去することによって、シリカ粒子表面同士を接合し、同時に、シリカ粒子を管状体内壁にも固定化させる。
このように、アルカリ溶液を用いることにより、接着剤や高温加熱手段等を要することなく、シリカ粒子の脱落や、目詰まりない多孔質シリカ複合材を容易に得ることができる。
所定のアルカリ溶液により、シリカ粒子表面および管状体内壁を溶解し、後に、このアルカリ溶液を除去することによって、シリカ粒子表面同士を接合し、同時に、シリカ粒子を管状体内壁にも固定化させる。
このように、アルカリ溶液を用いることにより、接着剤や高温加熱手段等を要することなく、シリカ粒子の脱落や、目詰まりない多孔質シリカ複合材を容易に得ることができる。
前記アルカリとしては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。これらは、一般に強アルカリと呼ばれる部類に属するものである。これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好適に用いられ、水酸化カリウムを用いることがより好ましい。
なお、有機アルカリは、有機物が管状体内に残留するおそれがあるため好ましくない。
前記アルカリ溶液としては、水溶液が好適に用いられるが、それ以外にも、例えば、アルカリのアルコール溶液等であってもよいが、後の除去工程において、容易に揮発除去し得る溶媒を用いることが好ましい。
なお、有機アルカリは、有機物が管状体内に残留するおそれがあるため好ましくない。
前記アルカリ溶液としては、水溶液が好適に用いられるが、それ以外にも、例えば、アルカリのアルコール溶液等であってもよいが、後の除去工程において、容易に揮発除去し得る溶媒を用いることが好ましい。
また、前記アルカリ溶液は、濃度が3重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
前記濃度が3重量%未満である場合は、シリカ粒子表面が十分に溶解せず、接合が不十分となる。一方、前記濃度が10重量%を超える場合は、シリカ粒子表面が過溶解となり、均質なシリカ多孔質体が形成されず、また、残留アルカリ分を後の洗浄によって除去することが困難となる。
前記濃度は、3重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
前記濃度が3重量%未満である場合は、シリカ粒子表面が十分に溶解せず、接合が不十分となる。一方、前記濃度が10重量%を超える場合は、シリカ粒子表面が過溶解となり、均質なシリカ多孔質体が形成されず、また、残留アルカリ分を後の洗浄によって除去することが困難となる。
前記濃度は、3重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
前記アルカリ溶液の除去は、60℃以上75℃以下で蒸発させることにより行うことが好ましい。
上記温度範囲内に加熱して、アルカリ溶液を揮発させる間に、シリカ粒子同士およびシリカ粒子と管状体内壁とが固着する。また、上記のような比較的低温での加熱により、アルカリによる急激な反応の進行によるシリカ多孔質複合材の変質、変形等の防止も図ることができる。
上記温度範囲内に加熱して、アルカリ溶液を揮発させる間に、シリカ粒子同士およびシリカ粒子と管状体内壁とが固着する。また、上記のような比較的低温での加熱により、アルカリによる急激な反応の進行によるシリカ多孔質複合材の変質、変形等の防止も図ることができる。
上記アルカリ溶液の除去工程の後は、残留アルカリ分を完全に除去するために、3%程度の塩酸、酢酸等を管状体内に通液させて、中和処理を行うことが好ましい。前記中和処理後は、純水により、多孔質シリカ複合材内に残留する塩および酸を完全に流去させる。
上記製造工程を経て得られた多孔質シリカ複合材においては、重量測定法(シリカの比重を2.2とした場合)により求めた管状体内のシリカ充填率は70〜75%程度であり、また、均質なシリカ多孔質体が形成される。
このような多孔質シリカ複合材は、管状体内に通液した際、シリカ粒子の流出および目詰まりを生じないものである。
このような多孔質シリカ複合材は、管状体内に通液した際、シリカ粒子の流出および目詰まりを生じないものである。
以下、本発明に係る多孔質シリカ複合材の製造方法について、図1に基づいて、具体的な製造工程の一例を述べる。下記においては、管状体として、内径4mm、長さ30mmのガラス管を用いた場合を例として示すが、本発明に係る製造方法は、これに限定されるものではない。
まず、ガラス管1の両端に、該両端から10mm程度突き出すような状態でシリコーンチューブ2を嵌める。このシリコーンチューブ2の一方に、シリカ粉末流出防止フィルタ3を取り付ける(図1(a)参照)。
前記ガラス管1内全体に、減圧ポンプ(図示せず)を用いて吸引しながら、シリカ粉末4を導入し、導入口側のシリコーンチューブ2内まで充填させる。さらに、フィルタ3側から吸引しながら、3重量%水酸化カリウム溶液5を通液させる(図1(b)参照)。
そして、60℃以上75℃以下で10〜15時間程度加熱した後、ガラス管1両端のシリコーンチューブ2およびフィルタ3を除去した。
次に、約3%塩酸6を通液させて中和処理を行い、さらに、純水7で洗浄することにより、多孔質シリカ複合材8が得られる(図1(c)参照)。
まず、ガラス管1の両端に、該両端から10mm程度突き出すような状態でシリコーンチューブ2を嵌める。このシリコーンチューブ2の一方に、シリカ粉末流出防止フィルタ3を取り付ける(図1(a)参照)。
前記ガラス管1内全体に、減圧ポンプ(図示せず)を用いて吸引しながら、シリカ粉末4を導入し、導入口側のシリコーンチューブ2内まで充填させる。さらに、フィルタ3側から吸引しながら、3重量%水酸化カリウム溶液5を通液させる(図1(b)参照)。
そして、60℃以上75℃以下で10〜15時間程度加熱した後、ガラス管1両端のシリコーンチューブ2およびフィルタ3を除去した。
次に、約3%塩酸6を通液させて中和処理を行い、さらに、純水7で洗浄することにより、多孔質シリカ複合材8が得られる(図1(c)参照)。
上記本発明に係る方法により製造された多孔質シリカ複合材は、電気浸透流ポンプとして好適に用いることができる。すなわち、本発明に係る電気浸透流ポンプは、前記多孔質シリカ複合材の管状体の両端部に電極を設け、直流高電圧の印加により作動するように構成される。
印加する電圧は、管状体の断面積、長さ、また、移送する液体の種類や量等に応じて適宜調整されるが、50V以上5.0kV以下であることが好ましく、より好ましくは、500V以上3.0kV以下である。
印加する電圧は、管状体の断面積、長さ、また、移送する液体の種類や量等に応じて適宜調整されるが、50V以上5.0kV以下であることが好ましく、より好ましくは、500V以上3.0kV以下である。
従来、電気浸透流を効率よく発生させる手段として用いられる石英ガラスキャピラリは、溶液と接触することにより、そのガラス質表面のシラノール基が解離して−の電荷を持ち、これに溶液中の+イオンが引き寄せられて電気二重層(ζ電位)を形成する。このため、直流高電圧を印加すると、この可動の+イオンがカソード方向に移動し、これに伴い、キャピラリ内のバルク(溶液)も粘性によって流動する。
これに対して、上記のような本発明に係る多孔質シリカ複合材を用いれば、管状体内に表面積が大きい微細な空間が均質に形成されており、シリカ粒子(多孔質体)のシラノール基表面において電気浸透流を効率よく発生させることができる。
また、上記のような本発明に係る電気浸透流ポンプは、流路内にはシリカが充填されているため、ポリアクリルアミド等の有機ポリマーゲルが充填されている従来の電気浸透流ポンプに比べて、材質において、物理的強度が高く、また、化学的安定性、耐溶剤性にも優れており、保存性、耐久性に優れている。さらに、目詰まりや充填材の流出等を生じることなく、液体の移送をより効率的に行うことができるという利点も有している。
これに対して、上記のような本発明に係る多孔質シリカ複合材を用いれば、管状体内に表面積が大きい微細な空間が均質に形成されており、シリカ粒子(多孔質体)のシラノール基表面において電気浸透流を効率よく発生させることができる。
また、上記のような本発明に係る電気浸透流ポンプは、流路内にはシリカが充填されているため、ポリアクリルアミド等の有機ポリマーゲルが充填されている従来の電気浸透流ポンプに比べて、材質において、物理的強度が高く、また、化学的安定性、耐溶剤性にも優れており、保存性、耐久性に優れている。さらに、目詰まりや充填材の流出等を生じることなく、液体の移送をより効率的に行うことができるという利点も有している。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示すような製造工程により、本発明に係る多孔質シリカ複合材を作製した。
まず、内径4mm、外径6mm、長さ30mmのソーダガラス製ガラス管1の両端に、該両端から10mm程度突き出すような状態でシリコーンチューブ2を嵌めた。このシリコーンチューブの一方に、ポリプロピレン製のシリカ粉末流出防止フィルタ3を取り付けた(図1(a)参照)。
前記ガラス管内全体に、減圧ポンプ(図示せず)を用いて吸引しながら、平均粒径10μmのシリカ粉末4を導入し、導入口側のシリコーンチューブ2内まで充填させた。さらに、フィルタ3側から吸引しながら、3重量%水酸化カリウム溶液5を0.3ml通液させた(図1(b)参照)。
そして、65℃で12時間加熱した後、ガラス管1両端のシリコーンチューブ2およびフィルタ3を除去した。
次に、約3%塩酸6を通液させて中和処理を行い、さらに、約10mlの純水7で洗浄し、多孔質シリカ複合材8を得た(図1(c)参照)。
得られた多孔質シリカ複合材8におけるガラス管内のシリカ充填率は、重量測定法(シリカ比重を2.2とした場合)により求めたところ、75%であった。
また、得られた多孔質シリカ複合材8においては、ガラス管内からのシリカ粒子の脱落は見られなかった。
[実施例1]
図1に示すような製造工程により、本発明に係る多孔質シリカ複合材を作製した。
まず、内径4mm、外径6mm、長さ30mmのソーダガラス製ガラス管1の両端に、該両端から10mm程度突き出すような状態でシリコーンチューブ2を嵌めた。このシリコーンチューブの一方に、ポリプロピレン製のシリカ粉末流出防止フィルタ3を取り付けた(図1(a)参照)。
前記ガラス管内全体に、減圧ポンプ(図示せず)を用いて吸引しながら、平均粒径10μmのシリカ粉末4を導入し、導入口側のシリコーンチューブ2内まで充填させた。さらに、フィルタ3側から吸引しながら、3重量%水酸化カリウム溶液5を0.3ml通液させた(図1(b)参照)。
そして、65℃で12時間加熱した後、ガラス管1両端のシリコーンチューブ2およびフィルタ3を除去した。
次に、約3%塩酸6を通液させて中和処理を行い、さらに、約10mlの純水7で洗浄し、多孔質シリカ複合材8を得た(図1(c)参照)。
得られた多孔質シリカ複合材8におけるガラス管内のシリカ充填率は、重量測定法(シリカ比重を2.2とした場合)により求めたところ、75%であった。
また、得られた多孔質シリカ複合材8においては、ガラス管内からのシリカ粒子の脱落は見られなかった。
[実施例2]
実施例1で作製した多孔質シリカ複合材8を用いて、図2に示すような構成の電気浸透流ポンプを作製した。
すなわち、多孔質シリカ複合材8のガラス管の一端に、電極(+)9を配置した溶液タンク10を設け、ガラス管の他端を筒状電極(−)11とし、直流電源12と接続して、電極間に直流高電圧を印加したところ、矢印方向に液流が生じることが認められた。
このポンプにおいて、電圧1.5kVを印加した場合、液流の流量は、最大100μl/min程度であった。
実施例1で作製した多孔質シリカ複合材8を用いて、図2に示すような構成の電気浸透流ポンプを作製した。
すなわち、多孔質シリカ複合材8のガラス管の一端に、電極(+)9を配置した溶液タンク10を設け、ガラス管の他端を筒状電極(−)11とし、直流電源12と接続して、電極間に直流高電圧を印加したところ、矢印方向に液流が生じることが認められた。
このポンプにおいて、電圧1.5kVを印加した場合、液流の流量は、最大100μl/min程度であった。
本発明に係る方法により製造された多孔質シリカ複合材を用いた電気浸透流ポンプは、複雑なメカニクスを要することなく、小型化を図ることができ、ガラスチップ等のデバイス上への搭載も可能であり、μTAS等におけるマイクロポンプ、ナノポンプ等にも適用可能である。
1 ガラス管
2 シリコーンチューブ
3 フィルタ
4 シリカ粉
5 水酸化カリウム溶液
6 塩酸
7 純水
8 多孔質シリカ複合材
9 電極
10 溶液タンク
11 筒状電極
12 直流電源
21 ガラスチップ
22,23 タンク
24 流路
25,26 電極
27 直流電源
2 シリコーンチューブ
3 フィルタ
4 シリカ粉
5 水酸化カリウム溶液
6 塩酸
7 純水
8 多孔質シリカ複合材
9 電極
10 溶液タンク
11 筒状電極
12 直流電源
21 ガラスチップ
22,23 タンク
24 流路
25,26 電極
27 直流電源
Claims (4)
- 管状体内にシリカ粉末を充填させる工程と、前記管状体内にアルカリ溶液を通液し、該管状体内壁およびシリカ粉末を接合させる工程と、前記アルカリ溶液を除去する工程とを備えていることを特徴とする多孔質シリカ複合材の製造方法。
- 前記アルカリ溶液の濃度が3重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカ複合材の製造方法。
- 前記アルカリ溶液の除去工程においては、該アルカリ溶液を60℃以上75℃以下で蒸発させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多孔質シリカ複合材の製造方法。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載された方法により製造された多孔質シリカ複合材の管状体の両端部に電極が設けられ、50V以上5.0kV以下の直流電圧の印加により作動するように構成されていることを特徴とする電気浸透流ポンプ。
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JP2005298301A JP2007106626A (ja) | 2005-10-13 | 2005-10-13 | 多孔質シリカ複合材の製造方法およびそれを用いた電気浸透流ポンプ |
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