JP2007106011A - 被印刷体接触部材、印刷装置用部材及び被印刷体接触部材の製造方法 - Google Patents

被印刷体接触部材、印刷装置用部材及び被印刷体接触部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が高く、高い撥インキ性を有する被印刷体接触部材、印刷装置用部材及び被印刷体接触部材の製造方法を提供する。
【解決手段】基材10の表面に低表面張力被覆層11を有する被印刷体接触部材であって、前記低表面張力被覆層11が、低表面張力発現部12と分子の両端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部13を有する分子からなる下部構造15と、低表面張力発現部分12と分子の一端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部13を有する分子からなる上部構造14とからなると共に、これらが化学反応部で化学結合してなる3次元網構造を構成してなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被印刷体接触部材、印刷装置用部材及び被印刷体接触部材の製造方法に関する。
一般に、両面印刷機では、先刷りの印刷面は印刷後、1秒程度もしくはそれ以下で後刷りの圧胴に接触し印圧を受ける。このため、枚葉両面印刷機においては、未乾燥の先刷りインキが圧胴に取られ印刷面の濃度ムラ、白抜け及び圧胴に付着したインキが次の紙に逆転写して紙面が汚れる等、先刷り面と後刷り面での印刷品質上の不具合が生じる。
そこで、このようなインキの付着を抑制する対策として、圧胴の基材の表面に凹凸をつけ、印刷面と点接触効果でインキ付着を防止する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、圧胴の表面に離型性の良い材料を用いる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
また、凹凸で且つ低表面エネルギーの(即ち離型性のよい)表面を有する圧着・移送用ローラも提案されている(例えば特許文献3参照)。
しかし、圧胴の基材の表面に凹凸をつける具体的技術としては、表面をブラストで荒らす、ガラスビーズコーテイングを施す、セラミック溶射、等の様々な方式が採用されているが、圧胴の基材の表面に凹凸を付けただけではインキに対する反発性(離型性)が弱いため、充分なインキ付着防止効果が得られていない。
また、上記の離型性の良い材料としては、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂を挙げることができるが、これらの樹脂のみを基材に塗布した場合には、耐摩耗性が弱く、耐久性が求められる圧胴には適用出来ないという不具合がある。
また、前記凹凸上に形成される低表面エネルギーの撥インキ層が、極性領域が酸の特性を有する両極性有機化合物の少なくとも1つの誘導体により自己集合単分子膜であるものが提案されている(例えば特許文献4参照)。
特公昭53−7841号公報 特開昭62−94392号公報 特開平8−12151号公報 特開2004−98682号公報
しかしながら、特許文献4に開示の提案では、凹凸表面と相互作用をする官能基が酸の特性を持つだけであるため、前記誘導体と凹凸表面との相互作用が弱く、低表面エネルギーの撥インキ層の耐久性がないという課題がある。
本発明は、前記問題に鑑み、耐久性が高く、高い撥インキ性を有する被印刷体接触部材、印刷装置用部材及び被印刷体接触部材の製造方法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、基材の表面に低表面張力被覆層を有する被印刷体接触部材であって、前記低表面張力被覆層が、低表面張力発現部と分子の両端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部を有する分子からなる下部構造と、低表面張力発現部分と分子の一端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部を有する分子からなる上部構造とからなると共に、これらが化学反応部で化学結合してなる3次元網構造であることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第2の発明は、第1の発明において、前記化学反応部が隣接する化学反応部と相互作用を奏してなることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記化学反応部が、エポキシ基、イソシアネート基或いは式(1)で表される基のいずれか一種であることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
Figure 2007106011
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記低表面張力発現部が、フッ素原子を有することを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、前記低表面張力被覆層を構成する前記化合物の密度が、2分子/nm2より高密度であることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一つの発明において、前記基材が、基材金属からなる基材、又は該基材金属板上に合成樹脂被覆層を有する基材、又は前記合成樹脂被覆層の表面にセラミック粒子がその粒子の一部を接着層から露出した状態で接着剤により分散接着されたセラミック粒子分散接着層からなる微細凹凸構造を有する基材のいずれか一つであることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第7の発明は、第6の発明において、前記微細構造を有する基材が、セラミック粒子分散接着層の上に、前記化学反応部と化学反応することができる接着剤樹脂層をコートしてなる微細構造を有する基材であることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第8の発明は、第7の発明において、さらに前記接着剤樹脂層の表面に前記化学反応部との反応活性化処理を施してなる微細構造を有することを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第9の発明は、第1乃至6のいずれか一つの発明において、前記基材が、表面に微細な凹凸を有する微細構造を有する金属基材であることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第10の発明は、第1乃至6のいずれか一つの発明において、前記基材が、平滑な表面を有する金属板であることを特徴とする被印刷体接触部材にある。
第11の発明は、第1乃至10のいずれか一つの被印刷体接触部材を備えたことを特徴とする印刷装置用部材にある。
第12の発明は、第11の発明において、前記印刷装置用部材が圧胴、サンプル台、真空吸引車、色計測装置であることを特徴とする印刷装置用部材にある。
第13の発明は、基材の表面に低表面張力被覆層を有する被印刷体接触部材の製造方法であって、低表面張力発現部と、基材表面と化学結合する化学反応部とを少なくとも有する化合物を基材の表面に設け、前記化学反応部と基材とを反応させて下部構造を形成し、その後、前記下部構造に、下部構造の化学反応部と結合する化学反応部と、低表面張力発現部とを有する化合物を設け、前記基材の表面に3次元網構造の複合分子層を形成することを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第14の発明は、第13の発明において、前記化学反応部が、エポキシ基、イソシアネート基或いは式(1)で表される基のいずれか一種であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
Figure 2007106011
第15の発明は、第13又は14の発明において、前記低表面張力発現部が、フッ素原子を有することを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第16の発明は、第13乃至15のいずれか一つの発明において、前記低表面張力被覆層を構成する前記化合物の密度が、2分子/nm2より高密度であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第17の発明は、第13乃至16のいずれか一つの発明において、前記基材が、基材金属からなる基材、又は該基材金属板上に合成樹脂被覆層を有する基材、又は前記合成樹脂被覆層の表面にセラミック粒子がその粒子の一部を接着層から露出した状態で接着剤により分散接着されたセラミック粒子分散接着層からなる微細凹凸構造を有する基材のいずれか一つであることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第18の発明は、第17の発明において、前記微細構造を有する基材が、セラミック粒子分散接着層の上に、前記化学反応部と化学反応することができる接着剤樹脂層をコートしてなる微細構造を有する基材であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第19の発明は、第18の発明において、さらに前記接着剤樹脂層の表面に前記化学反応部との反応活性化処理を施してなることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第20の発明は、第13乃至17のいずれか一つの発明において、前記基材が、表面に微細な凹凸を有する微細構造を有する金属基材であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
第21の発明は、第13乃至17のいずれか一つの発明において、前記基材が、平滑な表面を有する金属板であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法にある。
本発明によれば、低表面張力発現部分には撥水性原子を導入して極性を下げて撥インキ性を向上させ、一方、化学結合する反応基で基材表面と強固な化学結合を形成して耐久性の高い皮膜を形成する。
また、3次元網構造的に連結されているため、耐摩耗性が高く、高い耐久性を有することとなる。
さらに、強い負荷が掛かり、上部構造が脱離する場合があっても、前記下部構造が前記上部構造と類似の低表面張力表面を形成しているため、上部構造形成分子が脱落した後も、高い撥インキ性を維持することが可能である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[発明の実施の形態]
本発明に係る実施の形態の被印刷体接触部材について、図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係る被印刷体接触部材を示す概念図である。
図1に示すように、本実施例に係る被印刷体接触部材は、基材10の表面に低表面張力被覆層11を有する被印刷体接触部材であって、前記低表面張力被覆層11が、低表面張力発現部12と分子の両端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部13を有する分子からなる下部構造15と、低表面張力発現部分12と分子の一端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部13を有する分子からなる上部構造14とからなると共に、これらが化学反応部で化学結合してなる3次元網構造を構成してなるものである。
図1において、基材10と化学反応部13との相互作用が第1の相互作用21であり、隣接する分子間の相互作用が第2の相互作用22である。
前記下部構造15は単分子層から構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図2に示すように、2以上の分子からなる多分子層としてもよい。
本発明では、低表面張力を発現するほぼ無極性の低表面張力発現部12と、基材10の表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部13とを有する化合物を用いて、基材表面と化学結合するとともに、隣接する分子間でも化学結合することで強固な3次元網構造を有する低表面張力被覆層を形成することが可能であることから、耐久性の高い撥インキ層を形成することが可能である。
さらに、本発明では、上記3次元網構造は異なる構造の下部構造15と上部構造14とが積み重なった構造を有するものである。
本実施の形態にかかる3次元網構造の具体的な模式図を図3に示す。
まず下部構造15は低表面張力発現部と分子の両端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる反応基を有する分子(下部構造形成分子と呼ぶ)により形成される。
この下部構造形成分子は、基材10の表面に化学結合すると共に、隣接する分子間にO−Si―O結合を形成して、強固な膜を形成する。この下部構造15は1分子層〜2分子層の厚みが適切であるが、必要によっては更に複数の分子層を形成した多分子層としても差し支えない。
2分子層以上で形成する場合は、下の層と上の層の分子との間でも、O−Si−O結合を形成する。このO−Si−Oの3次元網構造からなる層の表面は、Si―ORが水と反応して出来たOH基で覆われている。
なお、図3中、m、nは3以上の整数であり、mとnは同じ値でなくとも良い。
下部構造形成分子はその両端に反応基を有するが、CH2構造の繰り返しからなる中心部分の炭素鎖が分子の大部分を占め、この炭素鎖は極性がほとんど無いことから、下部構造表面は例えばパラフィンで覆われた状態に近くなり、表面張力が低くなる。この炭素鎖の長さとしては、少なくとも炭素原子数が3以上、好ましくは5以上であることが望ましい。また、CH2構造のH原子をF原子で置換した構造をもつ場合は、CH2の場合より、さらに表面張力が低くなるため、好ましい。
また、上部構造14の形成には、低表面張力発現部と分子の一端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる反応基を有する分子(上部構造形成分子と呼ぶ)を用いる。上部構造形成分子は、分子の一端に存在する表面あるいは隣接分子と化学結合しうる反応基で、下部構造と化学結合すると共に、隣接する分子間と化学結合を形成し、低表面張力被覆層を完成させる。
前記反応基が最表面に存在すると表面張力を低下させる観点からは不利であるが、上部構造を形成する分子の反応基は分子の一端に存在するだけで、この反応基は下部構造との化学結合に消費されるため、低表面張力発現部分が最表面に露出した構造となり、高い撥インキ性を発現する。
また、上部構造形成分子はCH2構造の繰り返しからなる低表面張力発現部分が分子の大部分を占め、この炭素鎖は極性がほとんど無いことから、上部構造表面は例えばパラフィンで覆われた状態になり、表面張力が低くなる。この炭素鎖の長さとしては、少なくとも炭素原子数が3以上、好ましくは5以上であることが望ましい。また、CH2構造のH原子をF原子で置換した構造をもつ場合は、CH2構造の場合より、さらに表面張力が低く、撥インキ性が高くなるため、好ましい。
なお、上層構造形成分子の構造から、上層構造14は一分子(単分子)層である。
上部構造14と下部構造15、下部構造15と基材10、上部構造形成分子同士および下部構造形成分子同士は分子間結合16、上層構造と下層構造の結合17、下層構造形成分子間の結合18及び下層構造と基材の結合19による化学的結合で3次元網構造的に連結されているため、耐摩耗性が高く、高い耐久性を有することとなる。
さらに、本発明の被印刷体圧着部材表面に強い負荷が掛かり、万が一、上部構造形成分子が脱離する場合があっても、前記下部構造15が前記上部構造14と類似の低表面張力表面を形成しているため、上部構造形成分子が脱落した後も、本発明の被印刷体圧着部材表面は高い撥インキ性を維持することが可能であるという特徴がある。
また、隣接分子間の相互作用(第2の相互作用22)としては、化学結合形成が好ましいが、水素結合形成、あるいは物理的引力による結合の場合もある。物理的引力とは、いわゆるファンデルワールス力で双極子間引力、分散力、誘起双極子間引力などによる作用である。
また、本発明の化合反応部の反応基は、基材10の表面に存在するOH基と反応するものであるが、特にSiにClまたはORが2つ以上結合している分子では、全てのClまたはORが基材と反応する場合は、分子と基材の結合数が増えるため、低表面張力層の耐久性が上がることとなる。
さらに、全てのClまたはORが基材と反応できない場合でも、基材と反応してないCl又はORは、隣の分子の反応してないCl又はORと反応して分子間結合を形成するため、膜強度が上がる。
ここで、前記化学反応部13としては、エポキシ基、イソシアネート基或いは式(1)で表される基のいずれか一種を挙げることができる。
Figure 2007106011
また、式(2)に示すエポキシ基を有する化合物としては、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限るものではない。
Figure 2007106011
また、イソシアネート基(R1−N=C=O、ここでR1はアルキル基を示す。)を有する化合物としては、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸オクタデシル、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限るものではない。
また、前記式(1)であらわされる基を有する化合物としては、XがClである化合物として、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等を挙げることができる。また、XがアルコキサイドOR’である化合物としては、例えばヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限るものではない。
また、前記低表面張力発現部12としては、フッ素原子を有するものである。
すなわち、低表面張力発現部12を形成するために、炭素鎖のH原子の少なくとも一部をF原子に置換した構造を有するようにすればよい。
図4に低表面張力発現部12が飽和炭化水素鎖のH原子の少なくとも一部をFで置換した場合の3次元網構造の模式図である。
このように、炭素鎖のH原子の少なくとも一部をF原子に置換することで、CH2の繰り返し炭素鎖よりもCF2繰り返し炭素鎖のほうが分子の分極が小さくなる、すなわち分子の極性が小さくなり、CH2炭素鎖の場合より表面張力をさらに低下させることが可能になる。
ここで、前記下部構造15を構成する下層構造形成分子で、式(1)であらわされる反応基を有する化合物としては、XがアルコキサイドOR’である化合物として、1,2―ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタンの飽和炭化水素鎖部分に存在するH原子の少なくとも一部をF原子に置換した化合物等を挙げることができるが、本発明はこれらに限るものではない。
また、前記上部構造14を構成する上層形成分子において、式(1)であらわされる反応基を有する化合物としては、式(1)のXがClである化合物として、トリフルオロプロピルトリクロロシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロオクチルトリクロロシランなどがあり、XがアルコキサイドOR’である化合物として、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限るものではない。
ただし、F原子を含む分子では分極が小さくなるため、分子間の凝集力が小さくなり隣接する分子間の相互作用(物理的な引力という意味)は小さくなる。フッ素系樹脂皮膜の耐摩耗性が低いのはこのためである。
しかし、本発明では、フッ素原子を有し高い撥インキ性を有する低表面張力発現部分をもつと共に、下層構造と基材、上層構造と下層構造、上層構造形成分子同士、および下層構造形成分子同士が反応した3次元網構造を形成することにより、撥インキ性が高く、且つフッ素系樹脂皮膜より格段に耐久性が低表面張力皮膜を可能にするものである。
また、前記低表面張力被覆層を構成する前記化合物の密度が、2分子/nm2より高密度であることが好ましい。
ここで、低表面張力被覆層を形成する前記化合物を2分子/nm2未満の低密度の場合は、表面張力の低下が不十分で、撥インキ性すなわちインキ付着防止機能が不十分となる。また、低密度では分子間の相互作用機能が発現できなくなり、耐久性の観点からも好ましくないからである。
ここで、本発明において基材としては、基材金属からなる基材、又は該基材金属板上に合成樹脂被覆層を有する基材、又は前記合成樹脂被覆層の表面にセラミック粒子がその粒子の一部を接着層から露出した状態で接着剤により分散接着されたセラミック粒子分散接着層からなる微細凹凸構造を有する基材のいずれか一つとするのが好ましい。
また、セラミック粒子の脱粒落防止をさらに確実にするために、セラミック粒子分散接着層の上に接着剤樹脂を薄くコートすることも可能である。このような樹脂としては、本発明の前記化学反応部と反応できる官能基を分子中に有するフェノール系樹脂、すなわちレゾール型あるいはノボラック型のフェノール樹脂、フェノール樹脂とポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ニトリルゴム、クロロプレン、ナイロン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂を組み合わせたフェノール樹脂ベースの変性構造接着剤用樹脂、エポキシ環を有するエポキシ系樹脂等が好適であるが、本発明はこれらに限るものではない。
また、化学反応部との反応をより活性化させるため、前記接着剤樹脂層の表面に下部構造形成分子との反応活性化処理を施すようにしてもよい。ここで、反応活性化処理としては、例えばプラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射などの樹脂層表面にOH基を形成する手段を講じることが可能である。
また、前記基材10が、表面に微細な凹凸を有する微細構造を有する金属基材としてもよい。
ここで、金属基板表面に凹凸を形成する方法としては、ブラスト処理、酸によるエッチング処理、電気化学処理等を挙げることができるが、本発明はこれらに限るものではない。金属板の材質としては、ステンレス、アルミニウム、鉄などがあるが、これらに限るものではない。
また、前記化学反応部と効率よく化学反応するためには、低表面張力層造形成前に、金属板表面を洗浄しておくことが望ましい。洗浄方法は、一般的な脱脂洗浄の後、清浄な水で基板表面を洗浄し、風乾あるいは加熱乾燥で水分を除去したものを使用すればよい。
また、前記基材としては、平滑な表面を有する金属板としてもよい。
ここで、平滑というのは、意図的に凹凸をつけたものではない、ことを意味する。また、表面粗度Rzが15μm未満であることが好ましい。
本発明の被印刷体接触部材は、基材を樹脂又は金属、若しくはその複合材料とした被覆シートや被覆層、各種印刷装置用部材のインキ接触部、さらにはインキ以外の油、粘着剤等に対する非粘着部として適用することができる。
本発明の被印刷体接触部材の適用する具体的な対象としては、例えば枚葉印刷機の印刷紙面が接触する図7に示す圧胴103、又は中間胴、輪転印刷機のガイドローラー、ターンバー等を挙げることができる。これ以外に、印刷機関係では、図8に示す枚葉印刷機の真空吸引車110、図9に示す色調管理装置の吸着ボードである固定プレート122、枚葉両面印刷機の連接シリンダ、インキドクター、インキトレー等に適用することができる。
また、印刷機以外においては、例えば粘着テープ等の粘着体の搬送ローラ、裏面に粘着層を有するビラ等の剥離容易で一時的に密着して設けられている密着防止薄膜に形成する接着防止層、例えば粘着物を切断するカッターやハサミ等の刃の非粘着層等、インキ以外の油、接着剤等に対する非粘着部材等に適用することができる。
ここで、本発明の被印刷体接触部材を適用する枚葉オフセット両面印刷機の印刷部の一例について図7を参照して説明する。
図7に示すように、印刷機の印刷部には、刷版101aを装備しこの刷版101aにインキ供給部(図示略)からインキ供給ローラ(図示略)を介してインキを供給される版胴101と、この版胴101に圧接し刷版101aの絵柄部分に供給されたインキを転写されるブランケット胴(ゴム胴)102と、印刷用紙104を介してブランケット胴102と圧接する印刷胴としての圧胴(印刷胴,シリンダともいう)103とを備えた印刷ユニットが設けられている。
前記印刷用紙104はブランケット胴102と圧胴103との間を通過する際に、ブランケット胴102と圧胴103とで発生するニップ圧を加えられ、その一面(図中、上面)104aにブランケット胴102から絵柄に応じたインキを転写され、印刷を行われる。この印刷用紙104には、図示する印刷ユニットの上流部分で、他面(図中、下面)104bに図示しないブランケット胴102から一面104aと同様に対応する絵柄に応じたインキを転写されており、前記圧胴103には、この印刷用紙104の他面104bに転写されたインキが上記のニップ圧の下で接触しており、印刷用紙104の他面104bから圧胴103の表面にインキが極めて粘着しやすい状況にある。
このような圧胴103に本発明に係る被印刷体接触部材を適用することにより、本発明では、高い撥インキ性を有する低表面張力発現部12を有すると共に、基材10の表面と反応する化学反応部13とからなる分子の単分子層で被覆することで、撥インキ性が高く、耐久性が高い圧胴ジャケットとすることができる。
ここで、枚葉両面印刷機の圧胴ジャケットの場合において、前記基材である合成樹脂皮覆層を形成する合成樹脂の圧縮強さが、100〜200MPaの範囲で、被覆層の厚さが50〜100μmの範囲とするのが好ましい。これにより更にセラミック粒子分散接着層と基材金属板との結合が強固に保たれる。圧縮強さ100MPa未満では圧胴にかかる高い面圧に耐え切れず、200MPaを超えると、その可撓性が両立して得難くなる。その厚みが50μm未満では応力吸収効果が充分でなく、100μmを超えると製作及び材料面でのコストが嵩む。
また、前記合成樹脂皮覆層を形成する具体的な合成樹脂の種類は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン6.6、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン等を挙げることができる。
さらに、枚葉両面印刷機の圧胴ジャケットは、前記低表面張力被覆層表面の表面粗度Rzが15〜30μmの範囲であることが好ましい。これは圧胴の素材を用いるとき、該圧胴と版胴若しくはゴム胴に挟まれた紙(印刷媒体)に対して最も接触面積が小さくなるような粗度範囲であって、経験的に得られた数値である。細かすぎても荒すぎても接触面積が大きくなり、若しくはインクが凹所に移行し易くなり不適当であるからである。
更に、枚葉両面印刷機の圧胴ジャケットとしては、前記セラミック粒子の平均粒径が30〜50μmの範囲であることが好ましい。これは前記表面粗度Rzとの関連において得られた数値である。
ここで、材質としてセラミックスが選ばれるのは、圧縮に対して剛性があり、表面の凹凸構造を高圧力下でも維持可能であるからである。セラミックスとしては特に本発明では限定しないが、例として、アルミナ、シリカ、クロミナ、チタニアなどの酸化物、又はこれら少なくとも二種の複合酸化物、シリコンカーバイド、シリコンナイトライドなどの炭化物若しくはチッ化物が挙げられる。またこれらを混合して用いることもできる。
かくして構成される多層構造を持つ圧胴ジャケットの、前記合成樹脂皮覆層以外の層の厚みは、セラミック粒子分散接着層が10〜80μmの範囲、セラミック粒子分散接着層の接着剤のみの基盤層が10〜30μmの範囲、基材金属板が100〜200μmの範囲の厚さが好ましい。これによりジャケットは彎曲可能であって、ローラ芯体に巻きつけ加工可能であり、該多層基板でクラッドされたローラは耐久性でしかも高い離型性の優れた表面を与えることとなる。
図8は本発明の被印刷体接触部材を適用する他の一例としての真空吸引車の概略図である。図8に示すように、真空吸引車110の吸着穴112を有する吸着パッド111の表面に本実施例に係る被印刷体接触部材を適用することで、印刷機の吸引停止を行うことができる。
この結果、従来では、真空吸引車の紙面との接触部については、紙面の印刷される場所以外の場所を選定して真空吸引車の設置位置を調整していたが、本発明における被印刷体接触部材を適用することで、紙面への印刷の有無に左右されることなく、真空吸引車を任意の位置に設置しても紙面の停止を行うことができることとなる。
図9は本発明の被印刷体接触部材を適用する他の一例としての色計測装置の概略図である。図8に示すように、色計測装置120は、被測定物である印刷物を載せ、計測するために一時的に吸着配置する固定プレート122と、印刷物の絵柄色を計測する計測装置121とから構成されており、前記固定プレート122に被印刷体接触部材を適用するようにしている。
本例では、前記計測装置121は、色計測センサ121aと該色計測センサを走査する走査装置121bとから構成されたスキャナ装置であり、固定プレート122上の印刷物の全面を計測するようにしている。なお、スキャナ装置の代わりに例えばCCD等による撮像装置としてもよい。
前記固定プレート122は、走査装置121bのスタート側(本例では左側)の一方角部から放射状に多数の溝(図示せず)が設けられており、これら溝には、それぞれ一定間隔で孔(図示せず)が設けられている。前記孔は、前記固定プレート122の裏面側に設けた気室(図示せず)からの吸引操作により、印刷物を一時的に固定するようにしている。
このような固定プレート122に本発明に係る被印刷体接触部材を適用することにより、本発明では、高い撥インキ性を有する低表面張力発現部12を有すると共に、基材10の表面と反応する化学反応部13とからなる分子の単分子層で被覆することで、撥インキ性が高く、耐久性が高い固定プレートとすることができる。
以下、本発明の効果を示す具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
図5は実施例1に係る被印刷体接触部材の構成模式図である。
図5に示すように、本実施例では、圧縮強さ120〜135MPaを有し、厚み75μmのポリエチレンテレフタレートシート31上にエポキシ樹脂接着剤32を20μm程度に薄くコートし静電塗装法で平均粒子径約50μmのアルミナ系セラミック粒子33aを分散接着して第1のセラミック粒子分散被覆層33−1を形成して、第1の多層シート34−1を形成した。なお、前記得られた第1のセラミック粒子分散接着層33−1の厚みは前記接着剤層を含み約55μmとなった。
サンドブラスト処理後、洗浄、脱脂、乾燥した表面に接着剤を塗布した厚み100μmのSUS304の金属板の基材10と、前記で得られた第1の多層シート34−1のポリエチレンテレフタレートシート31の露出面とを重ねて加熱・接着して複合多層シートを形成した。
1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(関東化学社製)4vol%、エタノール89.6vol%、イオン交換水 6vol%、酢酸(関東化学社製)0.4wt%の組成の混合溶液(処理液1)を前期複合多層シートのセラミック粒子分散接着層表面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた。
次に、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製)の1.0wt%エタノール溶液に酢酸を0.7wt%添加した液(処理液2)を塗布し、100℃1時間乾燥させて、本発明の被印刷体圧着部材とした。
前記被印刷体圧着部材について、枚葉両面印刷機の圧胴ジャケットとしての適正評価試験を行った。試験は印刷インキ(『TOYO HY−UNITY 藍』商品名:東洋インキ社製)を印刷適正試験機でコート紙に膜厚1.3μmで印刷し、直ちに前記被印刷体圧着部材を巻いたローラ(圧胴ローラ)に印刷面が前記被印刷体圧着部材に接するようにして印刷と同じ印圧で5回通過させ、印刷面の拡大写真により、汚れ、白抜けを評価した。
試験の結果、白抜け率は1%以下で、印刷面が圧胴に接触しない片面印刷と同等の印刷品質が確保できることが判明した。
また、圧胴ジャケットの耐久性は良好であった。
本実施例の処理液1は基材表面に化学結合すると共に、隣接する分子間にO―Si―O結合を形成して、強固な膜を形成する。2分子層以上の場合は、下の分子と上の分子の間でも、O−Si−O結合を形成した。このO−Si−Oの3次元網構造からなる層の表面はSi―ORが水と反応して出来たOH基で覆われている。
この処理液1で形成された層にさらに、フッ素を含有した低表面張力発現部分と、OH基と反応しうる反応基を少なくとも有する化合物(トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン)を含む処理液2を塗布し、撥インキ性を有する層を形成した。
処理液2中の化合物のSiに結合している3つの反応基(メトキシ基)の少なくとも1つは、処理液1で形成された表面(下地表面)に存在するOH基と反応した。
さらに、下地(O−Si−Oの3次元網構造からなる層)と反応してないメトキシ基は、隣の分子の反応してないメトキシ基と反応して分子間で化学結合を形成するため、膜強度が上がる。
従って、基材の表面に化学結合を生じないフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を塗布しただけの従来技術による被印刷体接触部材より、高い耐久性を実現できる。
[実施例2]
図6は実施例1に係る被印刷体接触部材の構成模式図である。
図6に示すように、本実施例では、圧縮強さ120〜135MPaを有し、厚み75μmのポリエチレンテレフタレートシート31上にエポキシ樹脂接着剤32を20μm程度に薄くコートし、静電塗装法で平均粒子径約50μmのアルミナ系セラミック粒子33aを分散接着した。この上に更にフェノール系接着剤35を薄くコートし乾燥させた後、コロナ放電処理をし、第2のセラミック粒子分散被覆層33−2を形成して、第2の多層シート34−2を形成した。得られた第2のセラミック粒子分散接着層33−2の厚みは前記2種の接着剤層を含み約60μmとなった。
サンドブラスト処理後、洗浄、脱脂、乾燥した表面に特殊接着剤を塗布した厚み100μmのSUS304の金属の基板10と、前記で得られた第2の多層シート34−2のポリエチレンテレフタレート31の露出面とを重ねて加熱・接着して複合多層シートを形成した。
1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(関東化学社製)4vol%、エタノール89.6vol%、イオン交換水6vol%、酢酸(関東化学社製)0.4wt%の組成の混合溶液(処理液1)を前期複合多層シートのセラミック粒子分散接着層表面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた。次に、ヘプタデカフルオロデシルトリプロポキシシラン(GE東芝シリコーン社製)の1.5wt%エタノール溶液に酢酸を1.0wt%添加した液(処理液2)を塗布し、100℃1時間乾燥させて、本発明の被印刷体圧着部材とした。
前記被印刷体圧着部材について、枚葉両面印刷機の圧胴ジャケットとしての適正評価試験を行った。試験は印刷インキ(『TOYO HY−UNITY 藍』商品名:東洋インキ社製)を印刷適正試験機でコート紙に膜厚1.3μmで印刷し、直ちに前記被印刷体圧着部材を巻いたローラ(圧胴ローラ)に印刷面が前記被印刷体圧着部材に接するようにして印刷と同じ印圧で5回通過させ、印刷面の拡大写真により、汚れ、白抜けを評価した。
試験の結果、白抜け率は1%以下で、印刷面が圧胴に接触しない片面印刷と同等の印刷品質が確保できることが判明した。
また、圧胴ジャケットの耐久性は更に良好であった。
セラミック粒子の脱粒防止のためにセラミック粒子分散接着層の上にフェノール系接着剤をコートすることで、セラミック粒子の脱粒を防止したため、更に耐久性が向上した。 また、コロナ放電処理でフェノール系接着剤層表面にOH基を形成し、下層構造形成分子とフェノール系接着剤層表面の化学結合数を増加させることで、強固な低表面張力被覆層を形成した。
[実施例3]
サンドブラスト処理後、洗浄、脱脂、乾燥した表面に特殊接着剤を塗布した厚み100μmのSUS301 3/4Hの平滑な基材表面(意図して凹凸は付けてないという意味)に対し、実施例1の処理液1を塗布し、80℃で1時間乾燥させた。
次に、実施例2の処理液2を塗布し、100℃1時間乾燥させて、本発明の被印刷体圧着部材とした。
前記被印刷体圧着部材について、インキ付着性評価試験を行った。前記被印刷体圧着部材を水平な台の上に設置し、印刷インキ(『TOYO HY−UNITY 藍』商品名:東洋インキ社製)を印刷適正試験機でコート紙に膜厚1.3μmで印刷した後、直ちに前記被印刷体圧着部材の上に印刷面が接するようにして印刷物を載せ、更に印刷物の上に重りを載せた。重りによる荷重は20g/cm2とした。3分間放置した後、重りと印刷物を除去し、前記被印刷体圧着部材へのインキ付着を印刷面の拡大写真により、白抜けで評価した。
試験の結果、白抜け率は1%以下で、前記被印刷体圧着部材へのインキ付着はほとんどないことが判明した。
高い撥インキ性により、平滑なステンレス表面でもインキ付着がほとんど起こらないようになった。
以上のように、本発明に係る被印刷体接触部材は、高い撥インキ性を有する低表面張力発現部を有すると共に、基材の表面と反応する化学反応部とからなる分子の3次元網構造の分子層で被覆することで、撥インキ性が高く、耐久性が高い被印刷体接触部材としたものであり、例えば印刷機の印刷紙面に接触する部材等に用いて適している。
本実施の形態に係る被印刷体接触部材の概略図である。 本実施の形態に係る被印刷体接触部材の他の概略図である。 本実施の形態に係る被印刷体接触部材の模式図である。 本実施の形態に係る被印刷体接触部材の他の模式図である。 実施例1に係る被印刷体接触部材の構成模式図である。 実施例2に係る被印刷体接触部材の構成模式図である。 印刷機の圧胴部分の概略図である。 真空吸引車の概略図である。 色計測装置の概略図である。
符号の説明
10 基材
11 低表面張力被覆層
12 低表面張力発現部
13 化学反応部
14 上部構造
15 下部構造
21 第1の相互作用
22 第2の相互作用

Claims (21)

  1. 基材の表面に低表面張力被覆層を有する被印刷体接触部材であって、
    前記低表面張力被覆層が、
    低表面張力発現部と分子の両端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部を有する分子からなる下部構造と、
    低表面張力発現部分と分子の一端に表面あるいは隣接分子と化学結合しうる化学反応部を有する分子からなる上部構造とからなると共に、これらが化学反応部で化学結合してなる3次元網構造であることを特徴とする被印刷体接触部材。
  2. 請求項1において、
    前記化学反応部が隣接する化学反応部と相互作用を奏してなることを特徴とする被印刷体接触部材。
  3. 請求項1又は2において、
    前記化学反応部が、
    エポキシ基、イソシアネート基或いは式(1)で表される基のいずれか一種であることを特徴とする被印刷体接触部材。
    Figure 2007106011
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
    前記低表面張力発現部が、フッ素原子を有することを特徴とする被印刷体接触部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
    前記低表面張力被覆層を構成する前記化合物の密度が、2分子/nm2より高密度であることを特徴とする被印刷体接触部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
    前記基材が、基材金属からなる基材、
    又は該基材金属板上に合成樹脂被覆層を有する基材、
    又は前記合成樹脂被覆層の表面にセラミック粒子がその粒子の一部を接着層から露出した状態で接着剤により分散接着されたセラミック粒子分散接着層からなる微細凹凸構造を有する基材のいずれか一つであることを特徴とする被印刷体接触部材。
  7. 請求項6において、
    前記微細構造を有する基材が、セラミック粒子分散接着層の上に、前記化学反応部と化学反応することができる接着剤樹脂層をコートしてなる微細構造を有する基材であることを特徴とする被印刷体接触部材。
  8. 請求項7において、
    さらに前記接着剤樹脂層の表面に前記化学反応部との反応活性化処理を施してなる微細構造を有することを特徴とする被印刷体接触部材。
  9. 請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
    前記基材が、表面に微細な凹凸を有する微細構造を有する金属基材であることを特徴とする被印刷体接触部材。
  10. 請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
    前記基材が、平滑な表面を有する金属板であることを特徴とする被印刷体接触部材。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一つの被印刷体接触部材を備えたことを特徴とする印刷装置用部材。
  12. 請求項11において、
    前記印刷装置用部材が圧胴、サンプル台、真空吸引車、色計測装置であることを特徴とする印刷装置用部材。
  13. 基材の表面に低表面張力被覆層を有する被印刷体接触部材の製造方法であって、
    低表面張力発現部と、基材表面と化学結合する化学反応部とを少なくとも有する化合物を基材の表面に設け、前記化学反応部と基材とを反応させて下部構造を形成し、
    その後、前記下部構造に、下部構造の化学反応部と結合する化学反応部と、低表面張力発現部とを有する化合物を設け、前記基材の表面に3次元網構造の複合分子層を形成することを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  14. 請求項13において、
    前記化学反応部が、
    エポキシ基、イソシアネート基或いは式(1)で表される基のいずれか一種であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
    Figure 2007106011
  15. 請求項13又は14において、
    前記低表面張力発現部が、フッ素原子を有することを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  16. 請求項13乃至15のいずれか一つにおいて、
    前記低表面張力被覆層を構成する前記化合物の密度が、2分子/nm2より高密度であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  17. 請求項13乃至16のいずれか一つにおいて、
    前記基材が、基材金属からなる基材、
    又は該基材金属板上に合成樹脂被覆層を有する基材、
    又は前記合成樹脂被覆層の表面にセラミック粒子がその粒子の一部を接着層から露出した状態で接着剤により分散接着されたセラミック粒子分散接着層からなる微細凹凸構造を有する基材のいずれか一つであることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  18. 請求項17において、
    前記微細構造を有する基材が、セラミック粒子分散接着層の上に、前記化学反応部と化学反応することができる接着剤樹脂層をコートしてなる微細構造を有する基材であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  19. 請求項18において、
    さらに前記接着剤樹脂層の表面に前記化学反応部との反応活性化処理を施してなる微細構造を有することを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  20. 請求項13乃至17のいずれか一つにおいて、
    前記基材が、表面に微細な凹凸を有する微細構造を有する金属基材であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
  21. 請求項13乃至17のいずれか一つにおいて、
    前記基材が、平滑な表面を有する金属板であることを特徴とする被印刷体接触部材の製造方法。
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