JPH11165399A - 被印刷体圧着・移送用ローラ - Google Patents

被印刷体圧着・移送用ローラ

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JPH11165399A
JPH11165399A JP33333097A JP33333097A JPH11165399A JP H11165399 A JPH11165399 A JP H11165399A JP 33333097 A JP33333097 A JP 33333097A JP 33333097 A JP33333097 A JP 33333097A JP H11165399 A JPH11165399 A JP H11165399A
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JP33333097A
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English (en)
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Kazuhiro Yokoyama
和弘 横山
Masaaki Iguchi
正昭 井口
Tomonori Murakami
知則 村上
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Yoshikawa Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Yoshikawa Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキの付着汚染が少なくかつ洗浄の容易な
耐久性の高い被印刷体圧着・移送用ローラを安価にて提
供する。 【解決手段】 ローラ基材(10)上に、耐磨耗性骨材(12)
を含有する樹脂組成物をコーティングして形成された粗
面形成層(11)と、さらにその上部に形成された低表面エ
ネルギー性樹脂層(13)とを有することを特徴とする被印
刷体圧着・移送用ローラ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、各種印刷装置に
おける被印刷体圧着・移送用ローラの改良に関するもの
であり、特に各種輪転機におけるガイドローラなどとい
ったローラの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷技術は、文字その他の図形情報を、
紙その他の被印刷体面上に、同質画像を形成したハード
コピー(印刷物)として大量に複製する技術である。こ
のような印刷技術において、印刷版に色材(インキ)を
付着させ、被印刷体面に圧着転移して印刷物を作成する
のに用いられる印刷装置としては、周知のように、印刷
版の形式および印刷版からの被印刷体面へのインキの転
移形式(直接印刷あるいは間接印刷方式)の相違によっ
て、オフセット印刷装置、凸版印刷装置、フレキソ印刷
装置、グラビア印刷装置、スクリーン印刷装置等の各種
のものがある。
【0003】これらの印刷装置においては、印刷版を直
接に被印刷体に圧着させるか、あるいは印刷版に付着し
たインクをいったん転移したゴムブランケット等の中間
媒体を被印刷体に圧着させるかの相違はあれ、このよう
な印刷要素(印刷版または中間媒体)上のインキを被印
刷体に転移するという大きな概念においては同じであ
り、被印刷体をこれらの印刷要素に圧着しその後移送す
る被印刷体の圧着・移送系の構成としては、共通すると
ころも多い。
【0004】図5は、オフセット輪転機における被印刷
体の印刷および移送機構の概略的な構成を示す図面であ
る。この例は、被印刷体4としてロール状に巻かれた連
続紙を用いるものであり、インキが版胴1からゴム胴2
に転写され、さらにゴム胴2と圧胴3の間に送入された
被印刷体4面上へと圧着転移し、インキ像5が形成され
るが、インキ像5を表面に形成された被印刷体4は、そ
の後、複数のガイドローラ7によって移送変向されなが
ら装置内を通過する。
【0005】このようにロール状に巻かれた紙、フィル
ム等の被印刷体に連続的に印刷を行なう輪転機において
は、被印刷体の移送系において多くのガイドローラを備
える。このようなガイドローラを用いた移送系は、上記
したようなオフセット輪転機(新聞用オフセット輪転
機、商業用オフセット輪転機、フォーム輪転機)のみな
らず、グラビア輪転機、フレキソ輪転機、凸版輪転機等
も同様に有するものである。
【0006】輪転機用ガイドローラ7としては、従来、
鉄パイプの表面にクロムメッキを施したもの、あるいは
軽量化のためアルミニウム合金パイプを素材としたもの
が多く用いられている。さらに、被印刷体のスリップ防
止および点接触効果によるインキ付着防止のために、こ
れらのガイドローラ表面に、ローレット加工したも
の、表面をサンドペーパー状の粗面にしたテープを貼
付したものセラミックスを溶射したものなどが知られ
ている。
【0007】しかしながら、アルミニウム合金パイプを
ローレット加工したものは、耐磨耗性が低く短期間でロ
ーレットの凹凸が消失してしまい、スリップを生じやす
くなるものであった。またサンドペーパー状の粗面テー
プをローラ表面に貼付したものにおいても同様に短期間
の使用でサンド・ビーズの脱落、テープの剥離等が生じ
長期の使用に耐えられないものであった。一方、セラミ
ックスの溶射面を形成したものは、耐磨耗性が非常に高
くかつ耐スリップ性の面でも非常に良好な効果があるも
のの、以下のようなインキ付着性の問題が顕著となると
いう欠点が生じるものであった。
【0008】すなわち、従来知られるいずれのガイドロ
ーラの表面も、比較的インキ付着性の高い物性の材質か
らなるものであり、従って、このようなガイドローラ7
は、表面に凹凸加工をされていても、輪転機を長時間運
転すると、被印刷体4表面に印刷されたインキ像5が、
接触するガイドローラ7面上に転写インキ像8として転
写され、更にこの転写インキ像8が後続する被印刷体4
表面に逆転写され印刷物の汚染が生じるという問題が生
じている。このため、輪転機の運転にあっては、定期的
にこのようなガイドローラの洗浄を行なわなければなら
ず、洗浄操作のための印刷作業の中断、洗浄負荷が大き
く、また洗浄をおろそかにすると、印刷物不良品を出す
というトラブルの発生を招くこととなる。
【0009】特に、前記セラミックスの溶射面を形成し
たものにあっては、インキが溶射粗面の凹部に入り込ん
で付着してしまうために、表面を拭うことによっては容
易に除去できず、また溶剤を用いて洗浄を行なうと溶剤
に溶解したインキがセラミックス溶射層の気孔内へと移
行含浸されてしまうために、洗浄操作が困難であった。
【0010】また、最近では、このようなガイドローラ
として、高剛性を有しかつ軽量であるため、印刷機の高
速化に対応できるという理由から、炭素繊維強化樹脂
(CFRP)等の繊維強化樹脂製のローラを使用するこ
とも提案されている。
【0011】さらに、繊維強化樹脂製のローラは、表面
の耐磨耗性が劣り、毛羽立ち等が生ずることがあるた
め、その改善を目的として耐磨耗性に優れたCrメッキ
を施すこと、さらにはメッキ工程の煩雑さを軽減するた
めに比較的簡単な工程で済む金属やセラミックスの溶射
被膜を形成することも提案されている(例えば、実公平
4−7378号公報、特開昭60−214958号公
報、特開昭61−96063号公報、特開昭61−10
4061号公報等)。
【0012】しかしながら、このような繊維強化樹脂製
のローラを基材とするものであっても、その表面にCr
メッキ、金属溶射層、セラミックス溶射層を形成したも
のは、前述したようにインキ付着ないし印刷物の汚染の
問題については依然解決されていないものであった。
【0013】さらに、特開平4−310741号公報、
特開平6−207614号公報には、このような繊維強
化樹脂製ローラにおけるインキ汚れを防止するために、
繊維強化樹脂製ローラ表面にフッ素樹脂、シリコン樹脂
ないしはフッ素・シリコン含有樹脂をコーティングして
なるものが提案されている。
【0014】しかしながら、このような樹脂コーティン
グのみを施してなるものは、表面被覆層の耐磨耗性が著
しく乏しく、磨耗接触により極めて短期間で離型効果を
失うため磨耗作用下で使用されるガイドローラ等の部材
への適用は実用性が少ない。
【0015】このような従来技術における問題点に鑑
み、本発明者らは先に、繊維強化樹脂製ローラ基材上
に、多孔質のセラミックス溶射層と前記セラミックス溶
射層の表面上および孔部内に形成された低表面エネルギ
ー性樹脂層とからなる複合被覆皮膜を形成してなる被印
刷体圧着・移送用ローラを提唱した(特開平9−175
703号)。
【0016】この被印刷体圧着・移送用ローラにおい
て、ローラ基材上に形成されたセラミックス溶射層表面
は、非常にシャープな突起を形成する短周期的な凹凸
(ピッチ波状凹凸)と、さらにより長周期的な凹凸(う
ねり状凹凸)とが複合して形成した粗面を有し、このセ
ラミックス溶射層の上部から、低表面エネルギー性樹脂
を含浸コーティングして乾燥固化させると、セラミック
ス溶射層の表面上および孔部内に低表面エネルギー性樹
脂層が形成されるが、低表面エネルギー性樹脂は、前記
したようにセラミックス溶射層がピッチ波状凹凸を有す
ることおよび多孔質であることから、これらの部位に入
り込むことによるアンカー効果によってセラミックス溶
射層との密着性がよく複合皮膜化し、セラミックス溶射
層と低表面エネルギー性樹脂層とで複合被覆皮膜を構成
する。さらに低表面エネルギー性樹脂は、セラミックス
溶射層の表面を実質的に全面的に覆うが、そのピッチ波
状凹部には厚く一方ピッチ波状凸部には薄く付着する。
このため、セラミックス溶射層のみを形成した状態と比
較すると滑らかな表面性状となるが、セラミックス溶射
層に起因する凹凸が完全に埋没してしまうものではな
く、前記うねり状凹凸は概ね維持され、最終的に滑らか
な凹凸を有する粗面が形成される。
【0017】このため、この被印刷体圧着・移送用ロー
ラが、被印刷体と接触する際には、ローラ表面全体で接
触することなく前記したような滑らかな突起においての
み接触し、かつその表面には低表面エネルギー性樹脂が
存在するために、被印刷体からのインキの移行は起りに
くく、かつ移行したインキも、表面が低表面エネルギー
性樹脂によるものであることと滑らかな凹凸のプロフィ
ールを有することが相俟って、乾燥した布材等で軽く触
れるだけで容易に除去できるといった優れた特性を発揮
するものである。
【0018】また、前記したように低表面エネルギー性
樹脂層はセラミックス溶射層と複合化されて表面に付与
されているために、極めて長期間使用されたとしても全
体的に磨耗剥離してしまうといったことは生じず、前記
うねり状凹凸の凸部という極めて小さな部位で磨耗が生
じるのみである。このため長期間にわたってローラ表面
の低表面エネルギーが維持され、特性の劣化が生じにく
いものである。なお、このうねり状凹凸は、より微細な
ピッチの凹凸との比較のために「うねり」と表現した
が、目視的には全くわからない程度のものであり、従っ
てその凸部の表面の樹脂層が磨耗してセラミックス溶射
層が露出し、この部位でインキの付着、逆転移が生じた
としても、印刷品質上問題とならないものであった。
【0019】しかしながら、このような構成を有する被
印刷体圧着・移送用ローラを長期間使用すると、上記し
たように微細な凸部おいて、低表面エネルギー性樹脂層
が磨耗し、セラミックス溶射層が露出するが、このよう
に微細であってもセラミックス溶射層が露出するとこの
露出部位を核としてインキ付着が拡大し、洗浄頻度があ
る程度増大してしまうという問題が生じていた。このこ
とから考慮すると、セラミックス溶射皮膜を使用するこ
とは、かなり過剰性能でありこれ程の耐磨耗性は必ずし
も必要でないことが明らかとなってきた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、各種
印刷装置において使用される改良された被印刷体圧着・
移送用ローラを提供することを目的とするものである。
本発明は、またインキの付着汚染が少なくかつ耐久性が
高い一方で、コスト的にも安価な被印刷体圧着・移送用
ローラを提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記諸目的を達成するた
めに、本発明の被印刷体圧着・移送用ローラは、ローラ
基材上に、耐磨耗性骨材を含有する樹脂組成物をコーテ
ィングして形成された粗面形成層と、さらにその上部に
形成された低表面エネルギー性樹脂層とを有してなるも
のである。
【0022】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
いて、前記ローラ基材としては金属製ローラまたは繊維
強化樹脂製ローラなどが使用され、特に炭素繊維強化樹
脂製ローラであることが望ましい。
【0023】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
いて、前記ローラ基材が、その周面に複数の大径曲面部
位と複数の小径曲面部位とが互いに隣接配置された状態
で存在する表面部構造を有するものであることが望まし
い。
【0024】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
いて、前記骨材が平均粒径5〜60μmのセラミックス
粉末であることが望ましい。
【0025】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
いて、前記低表面エネルギー性樹脂がシリコーン系樹
脂、フッ素原子含有樹脂およびこれらの混合物からなる
群から選ばれてなるいずれかのものであることが望ま
く、さらには、縮合型シリコーン系樹脂、付加型シリコ
ーン系樹脂とフッ素原子含有樹脂との混合物、あるい
は、付加型シリコーン系樹脂とシリカ系樹脂の混合物で
あることが望ましい。
【0026】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
いて前記粗面形成層のマトリックスを構成する樹脂が、
前記低表面エネルギー樹脂よりも高強度のものであるこ
とが望ましい。
【0027】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラは、
特に輪転印刷機用のガイドローラとして好ましく使用さ
れるものである。
【0028】
【作用】このように本発明に係る被印刷体圧着・移送用
ローラは、ローラ基材上に、骨材を含有する樹脂組成物
をコーティングして形成された粗面形成層と、さらにそ
の上部に形成された低表面エネルギー性樹脂層とを有し
てなるものである。
【0029】図1は、このような本発明に係る被印刷体
圧着・移送用ローラの一実施態様における断面構造を模
式的に示す図、図2は、本発明に係る被印刷体圧着・移
送用ローラの断面構造をさらに拡大して模式的に示す図
である。なお、これらの図において縦横の縮尺比は誇張
して描かれている。
【0030】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラを得
るには、まずローラ基材10表面上に、粗面形成層11
を形成する。なお、、図中、符号12は粗面形成層11
中に配合された耐磨耗性骨材を示すものである。
【0031】このようにして形成された粗面形成層11
表面には、図示するように骨材12が粗面形成層11中
に配合されていることにより凹凸が形成され、代表的に
好ましくは、Rz15〜70μm程度の粗面とされる。
【0032】ここで、この粗面形成層11の上部から、
例えばシリコーン系樹脂等の低表面エネルギー性樹脂
を、コーティングして乾燥固化させると、図1および2
に示すように、粗面形成層11の上部に低表面エネルギ
ー性樹脂層13が形成される。低表面エネルギー性樹脂
層13は、前記したように粗面形成層11が比較的粗い
凹凸を有することから、これらの部位に入り込むことに
よるアンカー効果によって粗面形成層11との密着性が
よい。
【0033】さらに低表面エネルギー性樹脂層13は、
粗面形成層11の表面を実質的に全面的に覆うが、その
凹部には厚く一方凸部には薄く付着する。このため、粗
面形成層11のみを形成した状態と比較すると滑らかな
表面性状となるが、粗面形成層11に起因する凹凸が完
全に埋没してしまうものではなく、滑らかな凹凸を有す
る粗面が形成できるものである。なお、最終的な表面粗
度Rz は代表的には10〜40μm程度とすることが望
ましい。また最終的な滑らかな凹凸における凸部)は、
例えば30μm×30μm平方〜60μm×60μm平
方当りに1ケ程度の割合で均一に分散して存在すること
が望ましい。なお、ここで言う凸部は、被測定物表面を
長さ20mm×幅20mmにわたり2次元的に走査して
測定し、この測定領域内における最高凸部の高さの70
%以上の高さを有する凸部を指すものである。
【0034】このため、本発明に係る被印刷体圧着・移
送用ローラが、被印刷体と接触する際には、ローラ表面
全体で接触することなく前記したような滑らかな突起に
おいてのみ接触し、かつその表面には低表面エネルギー
性樹脂が存在するために、被印刷体からのインキの移行
は起りにくく、かつ移行したインキも、表面が低表面エ
ネルギー性樹脂によるものであることと滑らかな凹凸の
プロフィールを有することが相俟って、乾燥した布材等
で軽く触れるだけで容易に除去できるものである。
【0035】また、前記したように低表面エネルギー性
樹脂層13は直接ローラ基材10上に形成されているわ
けではなく、表面に凹凸を形成する粗面形成層に形成さ
れたものであることから耐久性があり、また極めて長期
間使用されて磨耗が生じたとしても全体的に磨耗剥離し
てしまうといったことは生じず、前記滑らかな凹凸の凸
部という極めて小さな部位で磨耗が生じるのみである。
このため長期間にわたってローラ表面の低表面エネルギ
ー性が維持され、特性の劣化が生じにくいものである。
なお、本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにおける最
表面の凸部は、目視的にはわからない程度のものであ
り、従ってその凸部の表面の樹脂層13が磨耗して粗面
形成層11が露出し、この部位でインキの付着、逆転移
が生じたとしても、印刷品質上全く問題とならないもの
である。
【0036】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
いては、上記したように粗面形成に高価なセラミックス
溶射層等を使用することなく、比較的安価となる樹脂材
を用いたものであるため、上記したような優れた特性を
有する被印刷体圧着・移送用ローラを経済的に有利に提
供できるものである。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施態様に基づき
より詳細に説明する。
【0038】本発明の被印刷体圧着・移送用ローラにお
けるローラ基材としては、特に限定されるものではな
く、アルミニウムないしアルミニウム合金、鋼材等の金
属や、繊維強化樹脂などが用いられ得るが、特に繊維強
化樹脂であることが、最終的に得られるローラが軽量と
なり、より高速な印刷条件において対応可能となること
から好ましい。
【0039】繊維強化樹脂のマトリックスを構成する合
成樹脂としては、エポキシ樹脂;不飽和ポリエステル樹
脂;フェノール樹脂;アルキッド樹脂等の熱硬化性樹
脂、あるいは各種ナイロンなどのアミド樹脂;ポリカー
ボネート;ウレタン樹脂;ポリアセタール;ポリエーテ
ルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミドなどの
非晶質系ポリエーテル樹脂;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステ
ル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられ得る。このうち好ま
しくは、熱硬化性樹脂であり、特にエポキシ樹脂であ
る。
【0040】一方、繊維強化樹脂の補強繊維としては、
炭素繊維、シリコンカーバイド繊維、硼素繊維、チタン
酸カリ繊維、ガラス繊維などが例示でき、これらを単独
あるいは複数組合せて用いることができるが、特に炭素
繊維単独あるいは炭素繊維を主体としてその他の繊維を
若干配合したものを使用することが望ましい。なお、本
明細書において、「炭素繊維強化樹脂」とは、補強繊維
として炭素繊維のみを用いたもののみならず、炭素繊維
を主体とし(具体的には50%以上)、これに他の繊維
を配合したものを用いたものを包含するものである。
【0041】炭素繊維の種類としては特に限定されるも
のではなく、PAN系、ピッチ系あるいはこれらの混合
物などといったものから、ローラに対し求められる特性
等に応じて適宜選択され、例えば、より高い弾性率が求
められる場合にはピッチ系のものを、またそれほど高い
弾性率が必要でなくより経済性を優先する場合にはPA
N系のものを用いることなどが適当である。また短フィ
ラメントであるか長フィラメントであるかは、主に以下
に述べるような成形方法により決定されてくるものであ
り、特に限定されるものではない。例えば、より高い弾
性率が求められる場合には、長フィラメントを用いるこ
とが好ましい。
【0042】このような繊維強化樹脂によるローラ基材
の成形方法としては、シートラッピング法、フィラメン
トワインディング法、引抜成形法、レジントランスファ
ーモールディング法等種々の方法があり特に限定される
ものではない。シートラッピング法およびフィラメント
ワインディング法で成形されるものは、金属製マンドレ
ルにラッピングあるいはフィラメントワインドした後加
熱硬化あるいは加熱溶融して素管を形成する。引抜法に
より成形されるものはパイプ形状のダイスにて引抜成形
し、素管を形成する。レジントランスファーモールディ
ング法によって成形されるものは金属型あるいは樹脂型
等によって成形される。
【0043】このようにして成形された素管は、一般に
ローラの長さを決めるために丈決を行い、その後ヘッダ
ないしジャーナルを取り付ける。ヘッダないしジャーナ
ルの接合は機械的接合、接着接合あるいはこれらの組合
せによって行なうことができる。その後ローラ外周部の
研磨、研削等および必要に応じてベアリング嵌合部、軸
受部などの仕上げを行なう。あるいはまた、あるいはヘ
ッダないしジャーナルの接合に先立ち、ローラの外周部
の研磨を行い、その後にヘッダないしジャーナルを接合
し、ベアリング嵌合部、軸受部の仕上を行ってもよい。
なお、ローラ基材は、研磨等により所定の径精度を有す
るものとされる必要がある。すなわち、本発明に係る被
印刷体圧着・移送用ローラは、最終仕上としてこのよう
な切削研磨が行なえないためである。
【0044】さらに、本発明の好ましい一実施形態にお
いては、使用されるローラ基材が、その周面に複数の大
径曲面部位と複数の小径曲面部とが互いに隣接配置され
た状態で存在し、その表面にマクロ的な段差が付けられ
たもの(以下「段付きローラ」と称する。)であること
が好ましい。
【0045】ローラ基材の周面における大径曲面部位と
小径曲面部位の配列パターンとしては、特に限定される
ものではなく、例えば、1つの大径曲面部位(あるいは
小径曲面部位)を矩形、丸形などといった島状のものと
して、ローラ周面に複数点在させるような配列パターン
等も可能であるが、好ましくは、図3に示したように、
複数の大径曲面部位(あるいは小径曲面部)のそれぞれ
が、ローラ基材の全周にわたってほぼ同一幅で存在し、
間に配された小径曲面部位(あるいは大径曲面部位)に
よって相互に離間された配列パターン、すなわち、ロー
ラの回転方向に略平行に大径曲面部位(あるいは小径曲
面部位)が縦縞状に配列されるようなパターンとするこ
とが望ましい。すなわち、このような縦縞状の配列パタ
ーンであると、最終的に得られる被印刷体圧着・移送用
ローラが回転した際に、被印刷体の所定幅領域に常に一
定の面圧をもって接触するためである。
【0046】さらにこのような縦縞状の配列パターンと
する場合、各大径曲面部位の幅は、30〜80mm程度
であることが望まれる。すなわち、30mmよりも1つ
の大径曲面部位の幅が小さいものであると、被印刷体と
の面圧を、前記ローラ基材の大径曲面部位の位置のみで
主体的に受けることが困難となる虞れがあり、一方、8
0mmよりも1つの大径曲面部位の幅が大きいものであ
ると、大径曲面部位の位置において単位面積当たりで受
ける面圧が小さくなって、上記したような被印刷体によ
る付着汚れの拭き取り作用がうまく生じない虞れがある
ためである。
【0047】また、前記大径曲面部位の総面積a1と、
前記小径曲面部位の総面積a2との割合は、1:1〜2
0、より好ましくは1:2〜10の割合であることが好
ましい。大径曲面部位の総面積a1がこの割合よりも低
いものであると、被印刷体との面圧を、前記ローラ基材
の大径曲面部位の位置のみで主体的に受けることが困難
となる虞れがあり、一方、大径曲面部位の総面積a1が
この割合よりも大きいものであると、大径曲面部位の位
置において単位面積当たりで受ける面圧が小さくなっ
て、上記したような被印刷体による付着汚れの拭き取り
作用がうまく生じない虞れがあるためである。
【0048】さらに、前記大径曲面部位と前記小径曲面
部位との間で生じる段差が、0.1〜0.5mm程度の
ものであることが好ましい。段差が0.1mmよりも小
さいものであると、最終的に得られる被印刷体圧着・移
送用ローラが、被印刷体と接触する際に、大径曲面部位
と小径曲面部位における明確な面圧の差が生じず、上記
したような本発明の作用が有効に生じない虞れがあり、
一方、段差が0.5mmよりも大きいものであると、最
終的に得られる被印刷体圧着・移送用ローラが、被印刷
体と接触する際に、被印刷体を全体として均一な速度で
ローラの回転方向に搬送できなくなり、被印刷体にシ
ワ、ゆがみ等の不具合が発生する虞れがあるためであ
る。
【0049】なお、このようなローラ基材における前記
大径曲面部位と前記小径曲面部位の配列パターン、面
積、段差等は、最終的に得られる被印刷体圧着・移送用
ローラの表面上においても、ほぼ同一の数値等で表れる
ものである。
【0050】次に、ローラ基材としてこのような段付き
ローラを使用した本発明の被印刷体圧着・移送用ローラ
の作用について記載する。
【0051】ローラ基材として、図3に示すようにその
周面に複数の大径曲面部位10aと複数の小径曲面部位
10bとが互いに隣接配置された状態で存在し、その表
面にマクロ的な段差が付けられた、ローラ基材10を使
用し、その上部に、粗面形成層11および低表面エネル
ギー性樹脂層13を形成すると、これら粗面形成層11
および低表面エネルギー性樹脂層13は、ローラ基材1
0上に全体にわったって形成される、すなわち、複数の
大径曲面部位10aと複数の小径曲面部位10bの双方
の上にほぼ同様の肉厚をもって形成され(なお、ミクロ
的に見れば、前記したように粗面形成層の凹部と凸部と
では若干低表面エネルギー樹脂層13の肉厚が異な
る。)、最終的に得られる製品表面においても、ローラ
基材10における大径曲面部位10aと小径曲面部位1
0bによる段差形状が表れるものである。
【0052】このような構成を有する本実施形態に係る
被印刷体圧着・移送用ローラが、被印刷体と接触する
際、まずマクロ的に見ると、被印刷体との面圧は、前記
ローラ基材10の大径曲面部位10aの位置(大径曲面
部位10a上に形成された低表面エネルギー樹脂層1
3)で主体的に受け、小径曲面部位10bの位置(小径
曲面部位10b上に形成された低表面エネルギー樹脂層
13)では補助的に接触することとなる。
【0053】一方、ミクロ的に見る、すなわち、各曲面
部位10aまたは10bの1つの部位内において局部的
に見ると、ローラは、その表面全体で接触することなく
前記したような滑らかな突起においてのみ接触し、かつ
その表面には低表面エネルギー性樹脂が存在するため
に、被印刷体からのインキの移行は起りにくい。
【0054】再び、マクロ的に見た場合、前記大径曲面
部位10a上では、被印刷体との面圧は大きく、かつ被
印刷体とローラ面は、常に微小な滑りを起こすため、表
面に形成された低表面エネルギー性樹脂層13の磨耗に
よる消失は比較的短期間にて生じる。なお、低表面エネ
ルギー性樹脂層13の磨耗消失が生じるといっても、低
表面エネルギー性樹脂層13は粗面形成層11と複合化
されて表面に付与されているために、全体的に磨耗剥離
してしまうといったことは生じず、前記凹凸の凸部とい
う極めて小さな部位で磨耗が生じるのみである。前記大
径曲面部10a上の領域内において、このように低表面
エネルギー性樹脂層13の磨耗消失が生じた前記うねり
状凹凸の凸部においては粗面形成層11が露出している
ために、インキが付着が生じやすいが、前記大径曲面部
位10aには被印刷体との間で前記したように強い面圧
と微小な滑りが生じているために、ローラ表面上に付着
したインキは、被印刷体側に拭き取られて、ローラ上に
インキが堆積することはない。勿論、ローラ上のインキ
が被印刷体に拭き取られた分、被印刷体表面は、ミクロ
的には汚れているはずであるが、非常に微量かつ微小点
状のインキ付着であり、目視出来ないレベルのものであ
って、印刷品質上で全く問題はない。
【0055】一方、前記小径曲面部位10b上において
は、被印刷体との接触における面圧が上記したように非
常に小さいものであるため、前記したようなうねり状凹
凸の凸部においても、低表面エネルギー性樹脂層13の
磨耗が非常に少なくなり、長期間使用しても、小径曲面
部位10a上の領域内において、その最表面部には低表
面エネルギー性樹脂層13が、凸部を含め全体に維持さ
れて存在しているために、インキの付着は生じ難い。
【0056】このため、本実施形態に係る被印刷体圧着
・移送用ローラにおいては、長期間にわたりインキの付
着・堆積が生じず、洗浄頻度が低く維持された、耐久性
の高いものとなる。さらに、ローラを洗浄する大きな目
的の1つとして、ローラ上にインキや紙粉が堆積するこ
とによって、ローラ径が変化していき、被印刷体のシ
ワ、蛇行等の不具合の発生が起こることを未然に防止す
ることがあるが、本発明に係る被印刷体圧着・移送用ロ
ーラにおいては、前記大径曲面部においてもインキ、紙
粉の堆積が実質的に全く起こらないため、長期間洗浄操
作を行うことなく、操業を継続できる。
【0057】さらにこのような段付きローラをローラ基
材として用いる本発明に係る好ましい実施形態におい
て、前記大径曲面部位が、被印刷体の印刷白紙部分に位
置するように配置されたものであることが望ましい。す
なわち、上記したように大径曲面部位は、被印刷体との
接触において面圧が高く、インキが付着しやすい部位で
あるため、被印刷体の印刷白紙部分に位置するように配
置すれば、この大径曲面部位へのインキの付着が本来的
に解消され、再度被印刷体に移行するインキによる被印
刷体の汚れが未然に防止できるためである。しかしなが
ら、再度被印刷体に移行するインキによる被印刷体の汚
れは、上記したように目視では識別できない程度のもの
であり、このように大径曲面部位が、被印刷体の印刷白
紙部分に位置するように配置されなくとも、実用上は何
ら不具合はない。
【0058】ローラ基材周面上に、上記したような所定
の大径曲面部位と小径曲面部位を形成する方法として
は、特に限定されものではないが、例えば、前記したよ
うにして成形された金属あるいは繊維強化樹脂からなる
素管表面部を、研削等により段付加工することにより行
うことが出来る。なお、素管はローラ基材とするため
に、上記段付加工とは別途に、一般にローラの長さを決
めるために丈決を行い、その後ヘッダないしジャーナル
を取り付ける。ヘッダないしジャーナルの接合は機械的
接合、接着接合あるいはこれらの組合せによって行なう
ことができる。その後ローラ外周部の研磨、研削等およ
び必要に応じてベアリング嵌合部、軸受部などの仕上げ
を行なう。あるいはまた、あるいはヘッダないしジャー
ナルの接合に先立ち、ローラの外周部の研磨を行い、そ
の後にヘッダないしジャーナルを接合し、ベアリング嵌
合部、軸受部の仕上を行ってもよい。
【0059】このようにして、ローラ外周部の研磨等に
より外径寸法の調整を行なった後、粗面形成層を形成す
るが、ローラ基材と粗面形成層との密着強度を高めるた
めに、樹脂層による粗面形成に先立ち、必要に応じて、
前処理としてローラ基材表面を粗面化処理することもで
きる。
【0060】粗面化処理としては、サンディング、ブラ
スト処理等が例示できる。
【0061】このような粗面化処理は、ローラ基材が金
属ローラである場合には、望まれる前処理であるが、ロ
ーラ基材が繊維強化樹脂製ローラである場合にはあまり
適当ではない。すなわち、、サンディング、リン酸亜鉛
処理、ブラスト処理等により繊維強化樹脂製ローラ表面
を粗面化することができるが、このような粗面化は、処
理基材が繊維質であるため表層部の繊維の切断と破壊が
起り、繊維の毛羽立ちが助長されて、その表面への粗面
形成に当って均質な被膜が形成されず、またその被膜形
成作業に際しては、ブラスト材、被処理基材の微粉末が
飛散して空気中に浮遊するという環境の悪化といった問
題が生じるためである。
【0062】粗面形成層を構成する耐磨耗性骨材を含有
する樹脂組成物としては特に限定されるものではない
が、当該樹脂組成物のマトリックスを構成する有機高分
子材料としては、ローラ基材と被着性の良好なものであ
ることが望まれ、例えば、ローラ基材が繊維強化樹脂製
のものである場合、繊維強化樹脂におけるマトリックス
を構成する合成樹脂と同種の有機高分子材料ないしは濡
れ性の良好な有機高分子材料であることが望まれる。
【0063】さらに粗面形成層のマトリックスを構成す
る有機高分子材料は、後述するような低表面エネルギー
樹脂層を形成する低表面エネルギー樹脂よりも高強度な
ものであることが望まれる。さらに、粗面形成層のマト
リックスを構成する有機高分子材料として、例えば、フ
ッ素原子含有樹脂を用い、低表面エネルギー樹脂層を形
成する低表面エネルギー樹脂として例えばシリコーン系
樹脂を用いるといった組合せとすると、当該粗面形成層
は、当該低表面エネルギー樹脂層よりは若干劣るものの
良好な耐インキ付着性を有し、かつ高強度であるため
に、長期間の使用によって、低表面エネルギー樹脂層が
一部ないし全部が磨滅したとしても、粗面形成層によっ
て耐インキ付着性をある程度維持でき、急激な性能低下
による使用不能状態へ陥ることがないため、好ましい態
様である。
【0064】一方、耐磨耗性骨材としては、例えば、セ
ラミックス粉末等の無機微粒子、あるいは各種の粒状固
形有機高分子材料を用いることができるが、好ましくは
セラミックス粉末である。セラミックス粉末としては、
アルミナ、ジルコニア、チタニア等各種のセラミックス
粉末を用いることができるが、経済的な観点からアルミ
ナ粉末が好ましい。またその粒径としては特に限定され
るものではないが、好ましくは粒径5〜60μm程度の
ものである。なお、骨材として粒状固形有機高分子材料
を用いる場合、粗面形成層のマトリックスを構成する前
記有機高分子材料が、ローラ基材の繊維強化樹脂におけ
るマトリックスを構成する合成樹脂と同種のものである
というように、ローラ基材と被着性が良好なものであれ
ば、粗面形成層に含まれる骨材までもローラ基材の繊維
強化樹脂におけるマトリックスを構成する合成樹脂と同
種のものとする必要は必ずしもなく、当該マトリックス
中に安定に分散され得る硬質のものであれば特に限定さ
れない。もちろん、粗面形成層のマトリックスを構成す
る有機高分子材料と熱膨脹率等の物性が近似するもの、
さらには該有機高分子材料と同種のものとすることが好
ましいものであることは確かである。
【0065】また本発明の好ましい実施形態において
は、このような粗面形成層を形成するに先立ち、粗面形
成層を構成する骨材を含有する樹脂組成物のマトリック
スを構成する有機高分子材料と同種の有機高分子材料の
みからなる樹脂材を、ローラ基材に基層としてコーティ
ングし、その後、粗面形成層を形成することが望まし
い。特に前記基層の膜厚が30〜300μmで、また前
記粗面形成層の膜厚が50〜300μmであってかつ表
面粗さ(Rz)が15〜70μmとすることが最も望ま
しい。
【0066】このような構成において、基層は、ローラ
基材表面の毛羽立ちや微細ボイドなどの欠陥を埋めてロ
ーラ基材表面を補正して平滑性を付与し、粗面形成層と
の密着性の向上に寄与するように機能するためのもので
あり、ローラ基材がボイドのない緻密なものであれば、
この基層は必ずしも必要でない。
【0067】このような粗面形成層(および基層)は、
例えば、ローラ基材表面に、有機高分子材料に希釈剤5
〜15重量%を配合した溶液を前記ローラ基材の周面に
略直交する方向からスプレー塗布し、乾燥して基層被膜
を形成し、この基層被膜表面に、有機高分子材料に粒
状、好ましくは粒径5〜60μmの骨材60〜80重量
%と希釈剤30〜120重量%を配合した組成物をこの
ローラの周面に対し90°未満の方向からスプレー塗布
し、乾燥して粗面形成層被膜を形成することにより行な
い得る。
【0068】上記手法における基層被膜の形成におい
て、希釈剤が5重量%未満ではエアースプレー塗布した
際に形成された基層内にエアーの巻き込みが生じ易くな
り、一方15重量%を越えると平滑な被膜形成が困難と
なる。また基層被膜が30μm未満では繊維強化樹脂製
ローラ基材表面の補正被膜として不十分であり、そのた
め基材欠陥を解消し得ず、また300μmを越えるもの
であるとローラの最終寸法精度が不安定となる虞れがあ
る。
【0069】また粗面形成層の形成において、骨材の粒
径が5μm未満では骨材としての機能が発揮されず、粒
径が60μmを越えるものであるとエアースプレーノズ
ルをローラ基材の周面接線に対し90°未満となるよう
対向配置しているため、形成される粗面形成層に過剰な
粒子の遮蔽現象が生じて、次工程で形成される低表面エ
ネルギー性樹脂層との密着力を向上し得ない虞れが生じ
る。また骨材の配合量が60重量%未満では樹脂分への
食い込み、衝突等による粗面断面形状に対する複雑化の
集積されず、80重量%を越えるものであると樹脂分に
よる支持力が不足し、次工程で形成される低表面エネル
ギー樹脂層との密着力を向上し得ない虞れが生じる。さ
らに希釈剤が30重量%未満では、樹脂分の粘度によ
り、配合されてい骨材のエアースプレー塗布時の移動量
が減少して複雑な断面形状の粗面を形成できず、120
重量%を越えるものであると樹脂分が不足し、十分なア
ンカー効果を発揮し得ない。また、膜厚が50μm未満
では適正な粗面粗さを有していても基層との密着力に乏
しく、次工程で形成される低表面エネルギー樹脂層の密
着力が低下し、一方、300μmを越えるものであると
平板な断面形状の粗面となって、次工程での低表面エネ
ルギー樹脂層との密着力が低下する虞れがある。
【0070】さらに上記手法においては、粗面形成層
は、ローラ基材の周面接線に対し90°未満の方向から
エアースプレー塗布しているが、これは円筒状物の周面
接線に直交方向からエアースプレー塗布した際、霧状溶
液は直交部で2分割され、周曲面に沿って流れ、直交部
より漸次薄くなり、該円筒状物が1回転することで所要
の厚みの塗布層が形成されるが、周面接線に対し90°
未満の方向からエアースプレー塗布すると、直交部で2
分割される際、周曲面の一方向側に沿って他方向側より
多く流れ、これにより霧状溶液中の粒状固形有機高分子
材料は粒子による遮蔽現象とともに塗布層形成途中の樹
脂分に食い込んだり、擦過したり、相互の衝突、弾発等
を生じて複雑な断面形状を有する粗面を形成し得るため
である。
【0071】このようにして粗面形成層が形成された
ら、その上部から低表面エネルギー性樹脂を例えば、ス
プレー、ディッピング、ハケ塗り、ローラ塗布等の方法
でコーティングし、所定の温度で乾燥固化させ、低表面
エネルギー性樹脂層を形成する。低表面エネルギー性樹
脂としては、使用されるインキに対する濡れ性が低くか
つインキ組成中等に使用される薬剤に対し安定な皮膜、
望ましくは高硬度皮膜を形成できるものであれば特に限
定されるものではないが、通常、シリコーン系樹脂、フ
ッ素原子含有樹脂が望ましく、さらにその硬度、施工
性、化学的安定性等の面からシリコーン系樹脂が望まし
い。
【0072】シリコーン系樹脂としては、施工後に、高
分子化、三次元化してSi−O−Si結合と有機基、望
ましくはメチル基および/またはフェニル基、より望ま
しくはメチル基を主体とする骨格構造を有し、安定な硬
化皮膜を形成できるものであればよい。側鎖としてのメ
チル基が多くなるほど、インキに対する濡れ性は低いも
のとなるが、その硬度の向上面からはフェニル基、ある
いはビニル基などの官能基に起因する架橋構造の含有割
合を高めることが望まれる。
【0073】なお施工時の形態は特に限定されるもので
はなく、例えば、オリゴマー、モノマー等の液状のも
の、あるいは樹脂状のものを適当な溶媒に溶解した溶液
状のものなど、例えば、シリコーンワニス、シリコーン
ゴム等に分類され市販される公知の各種の組成のものを
適宜選択して使用することができるが、例えば、ワニス
系シリコーン離型剤として市販されている組成物、ない
しこれに類似する組成物が、施工性および得られる皮膜
特性の面から好ましいものが多い。シリコーン離型剤と
しては、例えば、一般式(I)で示されるような構造を
有するシリコーンポリマーないしコポリマーを主成分と
するものが市販品として入手できる。
【0074】
【化1】
【0075】(但し、式中、Rはそれぞれ独立に水酸
基、アルキル、アリール、アルケニル、ハロゲン置換ア
ルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アルケニ
ル、好ましくはメチル基を表し、nは1〜30000で
ある。) しかしながら、もちろん使用されるシリコーン系樹脂組
成物としては、このようなシリコーン離型剤に何ら限定
されるものではない。
【0076】またこのようなシリコーン系樹脂組成物中
には、必要に応じて、皮膜硬度を高めるためのシリカ微
粒子等の充填剤を配合することも可能である。
【0077】このようなシリコーン系樹脂のうち、特に
縮合型シリコーン系樹脂が好ましい。すなわち、縮合型
シリコーン系樹脂は、付加型シリコーン系樹脂などと比
較して架橋密度が高く、耐磨耗性が高いとともにインキ
離型性に優れるためである。
【0078】またフッ素原子含有樹脂としては、ポリク
ロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リフッ化ビニル等といった熱可塑性フッ素原子含有樹脂
を用い、適当な溶剤に懸濁ないし膨潤させて塗布し、溶
融温度以上に加熱して成膜するといったディスパージョ
ン加工法を用いることも可能であるが、粗面形成層表面
上により確実に皮膜を形成するためには、分子鎖内に少
量の水酸基、カルボン酸基等の官能基を有し、液状にて
塗布可能でかつ常温または加熱して架橋硬化する熱硬化
性フッ素原子含有樹脂の方が望ましく、例えば、フルオ
ロエチレンとアクリル酸、メタアクリル酸との共重合体
などが例示される。
【0079】さらに、本発明において低表面エネルギー
樹脂としては、付加型シリコーン系樹脂とフッ素原子含
有樹脂との混合物、または付加型シリコーン系樹脂とシ
リカ系樹脂との混合物が望ましい。すなわち、低表面エ
ネルギー樹脂として、上記したようなシリコーン系樹脂
あるいはフッ素原子含有樹脂を単独で使用した場合、イ
ンキ離型性に優れたものは、耐磨耗性、耐溶剤性、耐薬
品性が十分ではなく、逆に耐磨耗性、耐溶剤性、耐薬品
性に優れたものは、インキ離型性が十分ではないといっ
た具合に、被印刷体圧着・移送用ローラの最表面として
要求される各種特性全てを完全に満たしうるものとはな
らない。例えば上記に好ましいものとして示した縮合型
シリコーン系樹脂でも、耐磨耗性の面で今だ万全なレベ
ルまで至っておらず、また耐溶剤性、耐薬品性の面で使
用出来るローラ洗浄剤の制約がある。
【0080】フッ素原子含有樹脂は、皮膜の耐磨耗性、
耐薬品性は非常に優れているが、単独で使用するとイン
キ離型性が比較的悪く、一方、付加型シリコーン系樹脂
はインキ離型性の面では非常に優れているが、単独で使
用すると耐磨耗性、耐薬品性で十分なものとならない
が、これらを混合物として使用することにより、得られ
る皮膜は、両者の持つ特性を補完し合い、インキ離型性
が良く、かつ、耐磨耗性、耐薬品性に非常に優れたもの
となるものである。またこの混合物で形成される皮膜
は、フッ素原子含有樹脂の持つ、滑り性も良く発揮され
るために、滑り性を要求される部材への適用にもより効
果がある。
【0081】また、シリカ系樹脂は、非常に皮膜強度が
高く、耐磨耗性、耐薬品性に優れているが、インキ離型
性はあまり良くないものである。ところが、このシリカ
系塗料も付加型シリコーン系樹脂との混合物として使用
することにより、得られる皮膜は、両者の持つ特性を補
完し合い、インキ離型性が良く、かつ、耐磨耗性、耐薬
品性に非常に優れたものとなるものである。 なお、シ
リカ系塗料とは、シリコーン系樹脂の1種であるが、コ
ーティングに適するように若干のメチル基などの有機基
を側鎖に有する以外は、ほとんどシロキサン結合による
無機の骨格を形成する高分子材料であり、シリコーンハ
ードコートとも称されるものである。
【0082】なお、付加型シリコーン系樹脂とフッ素原
子含有樹脂との混合物において両者の配合割合は重量比
で、前者80〜20%に対し後者20〜80%程度の割
合が、また、付加型シリコーン系樹脂とシリカ系樹脂と
の混合物において両者の配合割合は重量比で、前者80
〜20%に対し後者20〜80%程度の割合がそれぞれ
適当である。これらの混合物においてフッ素原子含有樹
脂ないしシリカ系樹脂の配合比率が高いほど、耐磨耗
性、耐薬品性が優れるが、一方で、インキ離型性が低下
し、逆に付加型シリコーン系樹脂の配合比率が高いほ
ど、インキ離型性が優れるが、耐磨耗性、耐薬品性が低
下する。従って使用する用途に応じて上記範囲内で混合
比率を最適値に選定すればよい。例えば、本発明の被印
刷体圧着・移送用ローラが、印刷機ガイドローラである
場合には、付加型シリコーン系樹脂の配合割合が20%
程度と低いものであっても十分なインキ離型効果を発揮
できるため、耐磨耗性、耐薬品性を重視し、フッ素原子
含有樹脂ないしシリカ系樹脂の配合比率を80%程度と
高いものとすることが適当である。
【0083】このようにして、形成される低表面エネル
ギー性樹脂層の厚さは、前記したように粗面形成層の凹
部には厚く一方凸部には薄く付着するため、平均膜厚と
して規定することは困難である。しかしながら、粗面形
成層の表面を実質的に全面的に覆い、かつ粗面形成層の
凹凸をおおむね維持したものとなるように、全体を通じ
て0.5〜20μm程度の厚さにおいて付着することが
望ましい。
【0084】本発明のローラは、各種の印刷装置におけ
る被印刷体圧着・移送系に配される各種のローラとして
好適に使用でき、具体的には例えば、オフセット印刷機
における圧胴、あるいはオフセット輪転機(新聞輪転
機、商業用オフセット輪転機、フォーム輪転機)、グラ
ビア輪転機、フレキソ輪転機、凸版輪転機等の各種輪転
機におけるガイドローラとして好適に使用できるもので
ある。
【0085】上記したような本発明のローラは、印刷装
置の分野のみならず、前記したような印刷物におけるイ
ンキと同様に、粘着移行性物質が表面に付与されたフィ
ルム状体を処理するローラとして、同様にこれらの粘着
移行性物質によるローラの汚染が生じにくくかつ耐久性
の高いものとして好適に使用できることは明らかであ
る。印刷装置における被印刷体圧着・移送用ローラ以外
の適用例としては、例えば、各種複写機における被印写
体の圧着・移送系におけるローラ等が例示されるが、も
ちろんこれらに限定されるものではない。
【0086】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0087】実施例1 フィラメントワインディング法により作成された炭素繊
維強化エポキシ樹脂(CFRP)製の中空円筒状物の両
端にローラの回転軸となる構成のフランジ軸を接着して
取付けた後、研削等により外径寸法の調整、表面平滑化
を行ないCFRP製ローラの素管(直径58mm×長さ
745mm)を製作した。
【0088】このCFRP製ローラ基材の表面をシンナ
ーで洗浄した後、このCFRP製ローラ基材のマトリッ
クスと同種の有機高分子材料であるエポキシ樹脂(大日
本塗料(株)製:商品名エポニックス#10)の主剤/
硬化剤が100/100(重量比)に希釈剤であるシン
ナー100重量%と、粒度が45μm未満の粒状固形有
機高分子材料((株)USテクロノジー・ファーイース
ト製:商品名ポリプラス)80重量%を配合撹拌して調
製した組成物を、前記CFRP製ローラ基材の周面接線
直交方向からエアスプレー塗布し、100℃で1時間3
0分乾燥硬化させて、膜厚100μm、表面粗度Rz 8
0μmの粗面形成層を形成した。
【0089】その後、この粗面形成層の上から、縮合型
シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製 X−62−
630B)100部、トルエン100部および硬化触媒
(信越化学工業(株)製 CAT−PS−3)3部を混
合攪拌した溶液を、スプレー方式でローラ全長のうち約
150mm長さ分に塗布した後、110℃の乾燥炉で1
時間乾燥固化させて粗面形成層上にシリコーン系樹脂皮
膜を形成した。このシリコーン系樹脂皮膜は、粗面形成
層上のピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部には薄く
付着しその全面を完全に覆っているものであり、その膜
厚は各部位によって相違するが10〜80μmの範囲に
あった。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形成後におけ
る表面粗度Rz は約30μmであった。
【0090】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0091】実施例2 実施例1で形成した粗面形成層表面上に、フッ素原子含
有樹脂塗料(日本油脂(株)製、ベルフロンNo.50
00)の主剤/硬化剤/シンナーが60/15/25
(重量比)の割合で調合され、また付加型シリコーン系
樹脂(信越化学工業(株)製、KNS−316)の主剤
/触媒/トルエンが、49.25/1.5/49.25
(重量比)の割合で調合され、当該フッ素原子含有樹脂
塗料80重量%、付加型シリコーン系樹脂20重量%の
割合で混合撹拌してなる溶液を、スプレー方式でローラ
全長のうち約150mm長さ分に塗布した後、110℃
の乾燥炉で1時間乾燥固化させて粗面形成層上にフッ素
原子含有樹脂塗料と付加型シリコーン系樹脂との混合皮
膜を形成した。この混合皮膜は、粗面形成層上のピッチ
波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部には薄く付着しその全
面を完全に覆っているものであり、その膜厚は各部位に
よって相違するが10〜75μmの範囲にあった。そし
てこのシリコーン系樹脂皮膜形成後における表面粗度R
z は約36μmであった。
【0092】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0093】実施例3 実施例1で形成した粗面形成層表面上に、シリカ系塗料
(日本油脂(株)製、ベルクリーンNo.5000)の
主剤/硬化剤/シンナーが60/15/25(重量比)
の割合で調合され、また付加型シリコーン系樹脂(信越
化学工業(株)製、KNS−316)の主剤/触媒/ト
ルエンが、49.25/1.5/49.25(重量比)
の割合で調合され、当該シリカ系塗料80重量%、付加
型シリコーン系樹脂20重量%の割合で混合撹拌してな
る溶液を、スプレー方式でローラ全長のうち約150m
m長さ分に塗布した後、110℃の乾燥炉で1時間乾燥
固化させて粗面形成層上にシリカ系塗料と付加型シリコ
ーン系樹脂との混合皮膜を形成した。この混合皮膜は、
粗面形成層上のピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部
には薄く付着しその全面を完全に覆っているものであ
り、その膜厚は各部位によって相違するが17〜70μ
mの範囲にあった。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形
成後における表面粗度Rz は約50μmであった。
【0094】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0095】実施例4 フィラメントワインディング法により作成された炭素繊
維強化エポキシ樹脂(CFRP)製の中空円筒状物の両
端にローラの回転軸となる構成のフランジ軸を接着して
取付けた後、研削等により外径寸法の調整、表面平滑化
を行ないCFRP製ローラの素管(直径58mm×長さ
745mm)を製作した。
【0096】このCFRP製ローラ基材の表面をシンナ
ーで洗浄した後、このCFRP製ローラ基材のマトリッ
クスと同種の有機高分子材料であるエポキシ樹脂(大日
本塗料(株)製:商品名エポニックス#10)の主剤/
硬化剤が100/100(重量比)に希釈剤であるシン
ナー100重量%と、粒度が45μm未満のグレイアル
ミナ粉末80重量%を配合撹拌して調製した組成物を、
前記CFRP製ローラ基材の周面接線直交方向からエア
スプレー塗布し、100℃で1時間30分乾燥硬化させ
て、膜厚100μm、表面粗度Rz 80μmの粗面形成
層を形成した。
【0097】その後、この粗面形成層の上から、フッ素
原子含有樹脂塗料(日本油脂(株)製、ベルフロンN
o.5000)の主剤/硬化剤/シンナーが60/15
/25(重量比)の割合で調合され、また付加型シリコ
ーン系樹脂(信越化学工業(株)製、KNS−316)
の主剤/触媒/トルエンが、49.25/1.5/4
9.25(重量比)の割合で調合され、当該フッ素原子
含有樹脂塗料80重量%、付加型シリコーン系樹脂20
重量%の割合で混合撹拌してなる溶液を、スプレー方式
でローラ全長のうち約150mm長さ分に塗布した後、
110℃の乾燥炉で1時間乾燥固化させて粗面形成層上
にフッ素原子含有樹脂塗料と付加型シリコーン系樹脂と
の混合皮膜を形成した。この混合皮膜は、粗面形成層上
のピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部には薄く付着
しその全面を完全に覆っているものであり、その膜厚は
各部位によって相違するが10〜75μmの範囲にあっ
た。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形成後における表
面粗度Rz は約36μmであった。
【0098】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0099】実施例5 フィラメントワインディング法により作成された炭素繊
維強化エポキシ樹脂(CFRP)製の中空円筒状物の両
端にローラの回転軸となる構成のフランジ軸を接着して
取付けた後、研削等により外径寸法の調整、表面平滑化
を行ないCFRP製ローラの素管(直径58mm×長さ
745mm)を製作した。
【0100】このCFRP製ローラ基材の表面をシンナ
ーで洗浄した後、フッ素原子含有樹脂塗料(日本油脂
(株)製、ベルフロンNo.5000)の主剤/硬化剤
/シンナーが60/15/25(重量比)の割合で調合
された溶液に、粒度が45μm未満のグレイアルミナ粉
末80重量%を配合撹拌して調製した組成物を、前記C
FRP製ローラ基材の周面接線直交方向からエアスプレ
ー塗布し、100℃で1時間30分乾燥硬化させて、膜
厚100μm、表面粗度Rz 80μmの粗面形成層を形
成した。
【0101】その後、この粗面形成層の上から、縮合型
シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製 X−62−
630B)100部、トルエン100部および硬化触媒
(信越化学工業(株)製 CAT−PS−3)3部を混
合攪拌した溶液を、スプレー方式でローラ全長のうち約
150mm長さ分に塗布した後、110℃の乾燥炉で1
時間乾燥固化させて粗面形成層上にシリコーン系樹脂皮
膜を形成した。このシリコーン系樹脂皮膜は、粗面形成
層上のピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部には薄く
付着しその全面を完全に覆っているものであり、その膜
厚は各部位によって相違するが10〜80μmの範囲に
あった。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形成後におけ
る表面粗度Rz は約30μmであった。
【0102】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0103】実施例6 フィラメントワインディング法により作成された炭素繊
維強化エポキシ樹脂(CFRP)製の中空円筒状物の両
端にローラの回転軸となる構成のフランジ軸を接着して
取付けた後、研削等により外径寸法の調整、表面平滑化
を行ないCFRP製ローラの素管(直径58mm×長さ
745mm)を製作した。
【0104】このCFRP製ローラ基材の表面をシンナ
ーで洗浄した後、フッ素原子含有樹脂塗料(日本油脂
(株)製、ベルフロンNo.5000)の主剤/硬化剤
/シンナーが60/15/25(重量比)の割合で調合
された溶液に、粒度が45μm未満の粒状固形有機高分
子材料((株)USテクロノジー・ファーイースト製:
商品名ポリプラス)80重量%を配合撹拌して調製した
組成物を、前記CFRP製ローラ基材の周面接線直交方
向からエアスプレー塗布し、100℃で1時間30分乾
燥硬化させて、膜厚100μm、表面粗度Rz 80μm
の粗面形成層を形成した。
【0105】その後、この粗面形成層の上から、縮合型
シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製 X−62−
630B)100部、トルエン100部および硬化触媒
(信越化学工業(株)製 CAT−PS−3)3部を混
合攪拌した溶液を、スプレー方式でローラ全長のうち約
150mm長さ分に塗布した後、110℃の乾燥炉で1
時間乾燥固化させて粗面形成層上にシリコーン系樹脂皮
膜を形成した。このシリコーン系樹脂皮膜は、粗面形成
層上のピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部には薄く
付着しその全面を完全に覆っているものであり、その膜
厚は各部位によって相違するが10〜80μmの範囲に
あった。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形成後におけ
る表面粗度Rz は約30μmであった。
【0106】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0107】比較例1 実施例1で用いたものと同じCFRP製ローラ基材の表
面をシンナーで洗浄した後、このCFRP製ローラ基材
上に直接、付加型シリコーン系樹脂(信越化学工業
(株)製、KNS−316)の主剤/触媒/トルエン
が、49.25/1.5/49.25(重量比)の割合
で調合されてなる溶液を、スプレー方式でローラ全長の
うち約150mm長さ分に塗布した後、110℃の乾燥
炉で1時間乾燥固化させて膜厚20μmの付加型シリコ
ーン系樹脂皮膜を形成した。
【0108】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0109】比較例2 実施例1で用いたものと同じCFRP製ローラ基材の表
面をシンナーで洗浄した後、このCFRP製ローラ基材
上に直接、縮合型シリコーン系樹脂(信越化学工業
(株)製 X−62−630B)100部、トルエン1
00部および硬化触媒(信越化学工業(株)製 CAT
−PS−3)3部を混合攪拌した溶液を、スプレー方式
でローラ全長のうち約150mm長さ分に塗布した後、
110℃の乾燥炉で1時間乾燥固化させて膜厚28μm
の縮合型シリコーン系樹脂皮膜を形成した。
【0110】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0111】比較例3 実施例1で用いたものと同じCFRP製ローラ基材の表
面をシンナーで洗浄した後、このCFRP製ローラ基材
上に直接、縮合型シリコーン系樹脂(信越化学工業
(株)製 X−62−630B)100部、トルエン1
00部および硬化触媒(信越化学工業(株)製 CAT
−PS−3)3部を混合し、さらにセラミックス微粉体
(シリカ粉、平均粒径1.5μm)を10部添加して攪
拌した溶液を、スプレー方式でローラ全長のうち約15
0mm長さ分に塗布した後、110℃の乾燥炉で1時間
乾燥固化させて膜厚30μmの骨材添加縮合型シリコー
ン系樹脂皮膜を形成した。なおこの皮膜の表面粗度Rz
は約10μmであった。
【0112】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0113】比較例4 実施例1で用いたものと同じCFRP製ローラ基材の表
面をシンナーで洗浄した後、CFRP製ローラ基材の周
面に、プラズマ溶射機(メテコ(株)製:METECO
10MB)を用いて、粉末粒径10〜44μmのG−
Al2 O3 (Al2 O3 −2.3%TiO2 )をプラズ
マ溶射して膜厚100μm、表面粗度Rz50μmのセ
ラミックス溶射層を形成した。次いで、このセラミック
溶射層表面を、サンドペーパー(#120)にて軽く表
面研磨を行い、表面粗度Rz 40μmに仕上げた。
【0114】さらにこのセラミックス溶射層の上から、
付加型シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製、KN
S−316)の主剤/触媒/トルエンが、49.25/
1.5/49.25(重量比)の割合で調合されてなる
溶液を、スプレー方式でローラ全長のうち約150mm
長さ分に塗布した後、110℃の乾燥炉で1時間乾燥固
化させて付加型シリコーン系樹脂皮膜を形成した。
【0115】このシリコーン系樹脂皮膜は、セラミック
ス溶射層の連通空孔部を完全に閉塞し、かつ溶射層の表
面において、ピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部に
は薄く付着しその全面を完全に覆っているものであり、
その膜厚は各部位によって相違するが2〜20μmの範
囲にあった。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形成後に
おける表面粗度Rz は約30μmであった。
【0116】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0117】比較例5 実施例1で用いたものと同じCFRP製ローラ基材の表
面をシンナーで洗浄した後、CFRP製ローラ基材の周
面に、プラズマ溶射機(メテコ(株)製:METECO
10MB)を用いて、粉末粒径10〜44μmのG−
Al2 O3 (Al2 O3 −2.3%TiO2 )をプラズ
マ溶射して膜厚100μm、表面粗度Rz50μmのセ
ラミックス溶射層を形成した。次いで、このセラミック
溶射層表面を、サンドペーパー(#120)にて軽く表
面研磨を行い、表面粗度Rz 40μmに仕上げた。
【0118】さらにこのセラミックス溶射層の上から、
縮合型シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製 X−
62−630B)100部、トルエン100部および硬
化触媒(信越化学工業(株)製 CAT−PS−3)3
部を混合攪拌した溶液を、スプレー方式でローラ全長の
うち約150mm長さ分に塗布した後、110℃の乾燥
炉で1時間乾燥固化させて縮合型シリコーン系樹脂皮膜
を形成した。
【0119】このシリコーン系樹脂皮膜は、セラミック
ス溶射層の連通空孔部を完全に閉塞し、かつ溶射層の表
面において、ピッチ波状凹凸の凹部には厚くかつ凸部に
は薄く付着しその全面を完全に覆っているものであり、
その膜厚は各部位によって相違するが2〜20μmの範
囲にあった。そしてこのシリコーン系樹脂皮膜形成後に
おける表面粗度Rz は約30μmであった。
【0120】このようにして得られたガイドローラを以
下のような耐磨耗性試験に供した。
【0121】耐磨耗性試験 上記実施例および比較例において作成したガイドローラ
について、ローラシュミレータテスト機で、ガラスビー
ズによる磨耗試験を行った。試験機の概略構成を図4に
示す。すなわち、ガラスビーズ(平均粒径125μm)
を接着剤にて一面に塗布してなる幅50mmの合成樹脂
フィルム20の一端部を固定し、他端部に120gのお
もり21を付けた。そしてガイドローラ22表面にこの
フィルム20のガラスビーズ面が接触する状態として、
ガイドローラ22を一定速度60rpmにて回転させる
ものである。
【0122】一定時間経過毎に、ガイドローラー表面に
マジックインキを塗布し、インキのハジキ状況およびこ
のインキのティッシュペーパーによる拭き取り性を調べ
た。ティッシュペーパーにて拭き取り良好な場合は、表
面の低表面エネルギー樹脂層が磨耗していないと判断
し、一方、ティッシュペーパーにてインキが簡単に拭き
取りにくくなった場合(ローラー上にインキが残る状態
となった場合)は磨耗寿命と判断した。
【0123】得られた結果を表1に示す。
【0124】
【表1】 表1に示すように、ローラ基材に直接シリコーン系樹脂
皮膜を形成した比較例1および2のものは、テスト開始
直後に樹脂皮膜が磨耗脱落した。また、骨材を添加した
シリコーン系樹脂皮膜をローラ基材に直接形成した比較
例3のものも、マトリックスとしての樹脂層の強度が十
分でなく耐磨耗性の改善には大きな効果が見られなかっ
た。セラミックス溶射層の上にシリコーン系樹脂皮膜を
形成した比較例4および5のものは、磨耗寿命と判断さ
れた時点においてもセラミックス溶射皮膜は健全であ
り、セラミックス溶射皮膜の凸部におけるシリコーン系
樹脂皮膜磨耗によりインキ付着が増大したものである。
なお、特に縮合型シリコーン系樹脂を使用した比較例5
のものは非常に耐磨耗性に優れるものであった。
【0125】一方、本発明に係る実施例1〜5のもの
は、いずれも、セラミックス溶射層の上にシリコーン系
樹脂皮膜を形成した比較例4および5のものと遜色のな
い良好な耐磨耗性を示し、特に、実施例2〜5のもの
は、これらを凌ぐ耐磨耗性を発揮するものであった。
【0126】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の被印刷体圧
着・移送用ローラは、ローラ基材上に、耐磨耗性骨材を
含有する樹脂組成物をコーティングして形成された粗面
形成層と、さらにその上部に形成された低表面エネルギ
ー性樹脂層とを有することを特徴とするものであるた
め、表面にインキが付着し難いものであり、かつ長期の
使用においても表面の低表面エネルギー性樹脂層が磨耗
することが少なく、その性能が低下することがない。ま
た、最表面に形成される低表面エネルギー性樹脂層のロ
ーラ基材への密着性を高め、長期間の負荷使用において
もこの低表面エネルギー性樹脂層の磨耗剥離を抑制する
ために設けられる粗面形成層が、例えば、セラミックス
溶射層等に比較して、施工が容易でかつコスト的にも安
価な樹脂組成物によって形成されるため、上記のように
優れた耐インキ付着性を長期間にわたり有するにもかか
わらず、経済的にも有利なローラである。このため各種
の印刷機における被印刷体圧着・移送系に配される各種
のローラ、例えば、オフセット輪転機(新聞用オフセッ
ト輪転機、商業用オフセット輪転機、フォーム輪転
機)、グラビア輪転機、フレキソ輪転機、凸版輪転機等
の各種輪転機におけるガイドローラ、あるいはオフセッ
ト印刷機における圧胴などとして好適に使用でき、連続
して多量ないし長持間の印刷操作を行なう場合に、洗浄
操作を施す必要もなく、汚れのない良好な印刷品質の印
刷物を提供できるものとなる。さらに、表面に付着した
インキも乾式にてまたは石油系溶剤等にて容易に除去で
きるものであることから、従来、非常に危険でかつ重労
働であったローラの洗浄操作も極めて容易なものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る被印刷体圧着・移送用ローラの
一実施態様における断面構造を模式的に示す図、
【図2】 本発明に係る被印刷体圧着・移送用ローラの
一実施態様における断面構造をさらに拡大して模式的に
示す図、
【図3】 本発明に係る被印刷体圧着・移送用ローラの
別の実施態様における断面構造を模式的に示す図、
【図4】 本発明の実施例における耐磨耗試験において
用いられた試験装置構成を示す概略図、
【図5】 オフセット印刷機(輪転機)における被印刷
体の印刷および移送機構の概略的な構成を示す図。
【符号の説明】
1…版胴、 2…ゴム胴、3…圧胴、
4…被印刷体、5…インキ像、 6,
8…転写インキ像、7…ガイドローラ、10…ローラ基
材、10a…ローラ基材の大径曲面部位、10b…ロー
ラ基材の小径曲面部位、11…粗面形成層、12…耐磨
耗性骨材、13…低表面エネルギー性樹脂層、20…ガ
ラスビーズを表面に接着した合成樹脂フィルム、21…
おもり、22…ガイドローラ。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷装置において、印刷要素に対して被
    印刷体を圧着し、その後移送する被印刷体圧着・移送系
    に配される被印刷体圧着・移送用ローラであって、 ローラ基材上に、耐磨耗性骨材を含有する樹脂組成物を
    コーティングして形成された粗面形成層と、さらにその
    上部に形成された低表面エネルギー性樹脂層とを有する
    いることを特徴とする被印刷体圧着・移送用ローラ。
  2. 【請求項2】 前記ローラ基材が金属製ローラまたは繊
    維強化樹脂製ローラである請求項1に記載の被印刷体圧
    着・移送用ローラ。
  3. 【請求項3】 前記ローラ基材が炭素繊維強化樹脂製ロ
    ーラである請求項1に記載の被印刷体圧着・移送用ロー
    ラ。
  4. 【請求項4】 前記ローラ基材が、その周面に複数の大
    径曲面部位と複数の小径曲面部位とが互いに隣接配置さ
    れた状態で存在する表面部構造を有するものである請求
    項1〜3のいずれかに記載の被印刷体圧着・移送用ロー
    ラ。
  5. 【請求項5】 前記骨材が平均粒径5〜60μmのセラ
    ミックス粉末である請求項1〜4のいずれかに記載の被
    印刷体圧着・移送用ローラ。
  6. 【請求項6】 前記低表面エネルギー性樹脂がシリコー
    ン系樹脂、フッ素原子含有樹脂およびこれらの混合物か
    らなる群から選ばれてなるいずれかのものである請求項
    1〜5のいずれかに記載の被印刷体圧着・移送用ロー
    ラ。
  7. 【請求項7】 前記低表面エネルギー樹脂が、縮合型シ
    リコーン系樹脂、付加型シリコーン系樹脂とフッ素原子
    含有樹脂との混合物、または付加型シリコーン系樹脂と
    シリカ系樹脂との混合物である請求項6に記載の被印刷
    体圧着・移送用ローラ。
  8. 【請求項8】 前記粗面形成層のマトリックスを構成す
    る樹脂が、前記低表面エネルギー樹脂よりも高強度のも
    のである請求項1〜7のいずれかに記載の被印刷体圧着
    ・移送用ローラ。
  9. 【請求項9】 ローラが輪転印刷機用のガイドローラで
    ある請求項1〜8のいずれかに記載の被印刷体圧着・移
    送用ローラ。
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