JP6888868B2 - 溶剤吸収用粘着シート、印刷装置及び印刷物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶剤吸収用粘着シート、印刷装置及び印刷物の製造方法に関する。
粘着シートは、インキのような溶剤含有物を繰り返し使用する印刷装置等において様々な目的で用いられている。例えば、印刷装置の所定位置以外の場所にインキが付着した場合、被印刷体の汚染及び印刷精度の低下の原因となり得るため、このようなインキを除去するためのクリーニング材として、粘着シートが使用されている。
特許文献1には、軟粘着フィルムをスクリーンに付着させると共に、これを剥すことにより、スクリーンでのペースト等による汚れを軟粘着フィルムに付着させて除去する方法が記載されている。
特許文献2には、スクリーン印刷の際にスクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペースト(インキ)を除去する清浄用粘着シートとして、スクリーン印刷インキ用溶剤に対する吸収量が一定値以上であり、且つ前記溶剤の吸収前後の粘着力が特定の範囲となるような粘着剤層を有する粘着シートが記載されている。このようなクリーニング材として使用される粘着シートには、適切な溶剤吸収性が求められる。
ところで、オフセット印刷は、インキを版からブランケットと呼ばれる中間転写体で一旦受理した後、該受理したインキを被印刷体の所定位置に接触させて転写することにより印刷を行う印刷法である。従来、このようなブランケットとしては、ゴム層をベース基材の上に設けたものが使用されている。該印刷法においては、インキがブランケット上に受理される際、インキ中の溶剤の一部がブランケットに吸収され、インキの凝集力が高くなることで、ブランケットから被印刷体への良好な転写が可能になる。したがって、ブランケットには適切な溶剤吸収性が求められる。
特許文献3には、基材シート上に溶剤吸収性を有するシリコーンゴム層を設けた印刷用ブランケットが開示されている。
特開平6−297681号公報 特開2000−177110号公報 特開2015−174389号公報
ところで、オフセット印刷は、近年、電気配線パターン、蛍光体パターン、カラーフィルタ等の所謂プリンテッドエレクトロニクス分野への応用が検討されている。該分野においては、従来の紙媒体を被印刷体とする場合とは異なる種類のインキが使用されるため、上記のクリーニング材、ブランケット等として使用されるシートには、プリンテッドエレクトロニクス分野に使用されるインキに適した溶剤吸収性が求められている。
特許文献1、2に開示されているような従来の粘着シート、特許文献3に開示される従来のブランケットは、プリンテッドエレクトロニクス分野における要求レベルを十分に満足するものとは言えなかった。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、優れた溶剤吸収性能を有する溶剤吸収用粘着シート、該溶剤吸収用粘着シートを用いた印刷装置及び印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも粘着層を有する粘着シートであって、前記粘着層を、α−テルピネオールに不溶であり、かつα−テルピネオールを特定量吸収するものとすることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
[1]少なくとも粘着層を有する溶剤吸収用粘着シートであって、
前記粘着層が、α−テルピネオールに不溶であり、
前記粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量が、10mg/g以上である、溶剤吸収用粘着シート。
[2]前記粘着層の厚さが、5〜50μmである、上記[1]に記載の溶剤吸収用粘着シート。
[3]JIS Z 0237に準拠して測定したフロートガラスに対する粘着力が、0.01〜1.0N/25mmである、上記[1]又は[2]に記載の溶剤吸収用粘着シート。
[4]前記粘着層が、付加型オルガノポリシロキサンを含有する組成物により形成された層である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の溶剤吸収用粘着シート。
[5]前記組成物が、無機充填材を含有しない、上記[4]に記載の溶剤吸収用粘着シート。
[6]さらに、基材を備える、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の溶剤吸収用粘着シート。
[7]前記基材が樹脂基材である、上記[6]に記載の溶剤吸収用粘着シート。
[8]前記基材の、前記粘着層が存在する側とは反対側の表面(α)から、
前記粘着層の、前記基材が存在する側とは反対側の表面(β)までの厚さの平均値が、15〜150μmである、上記[6]又は[7]に記載の溶剤吸収用粘着シート。
[9]前記基材の表面上に前記粘着層が直接積層した構成を有する、上記[6]〜[8]のいずれかに記載の溶剤吸収用粘着シート。
[10]印刷用ブランケットとして用いられる、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の溶剤吸収用粘着シート。
[11]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の溶剤吸収用粘着シートを、印刷用ブランケットとして用いる、印刷物の製造方法。
[12]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の溶剤吸収用粘着シートを、印刷用ブランケットとして備える、印刷装置。
本発明によると、優れた溶剤吸収性能を有する溶剤吸収用粘着シート、該溶剤吸収用粘着シートを用いた印刷装置及び印刷物の製造方法を提供することができる。
本実施態様の溶剤吸収用粘着シートの模式断面図である。 本実施態様の印刷装置の模式図である。
[溶剤吸収用粘着シート]
本発明の溶剤吸収用粘着シート(以下、単に「粘着シート」ともいう)は、少なくとも粘着層を有する溶剤吸収用粘着シートであって、前記粘着層が、α−テルピネオールに不溶であり、前記粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量が、10mg/g以上である、溶剤吸収用粘着シートである。
本発明の粘着シートは、少なくとも粘着層を有するものであれば特に制限はないが、取り扱い性の観点から、必要に応じて、基材を備えていてもよい。
図1は、本発明の粘着シートの一実施形態を示す模式断面図である。
図1の粘着シート1は、基材2と、基材2の一方の面上に設けられた粘着層3とを有する。
本発明の粘着シートが基材を備える場合、さらに、必要に応じて、基材と粘着層との間、及び/又は基材の粘着層が存在する側とは反対側の面に、その他の層を含んでいてもよいが、図1に示すように、基材2の表面上に粘着層3が直接積層した構成を有することが好ましい。
本発明の粘着シートは、必要に応じて、粘着層への異物の付着、傷付き等を防止することを目的として、粘着層の基材とは反対側の表面に剥離シートを有していてもよい。
<粘着層>
本発明の粘着シートが備える粘着層は、α−テルピネオールに不溶であり、かつ粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量が、10mg/g以上である。
ここで、本発明において、「α−テルピネオールに不溶」とは、α−テルピネオールを粘着層上にスピンコートした際に、粘着層に著しい変形又は溶解痕が現れないことを意味する。なお、粘着層のα−テルピネオールに対する溶解性は、例えば、25℃において、α−テルピネオール100gに溶解する粘着層の量を測定することで評価することができ、本発明においては、当該溶解する粘着層の量が1g未満であることが好ましい。
また、本発明における粘着層の「粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量」とは、粘着層単位質量(単位:g)当たりのα−テルピネオールの吸収質量(単位:mg)を意味し、実施例に記載の条件で測定された値を意味する。
粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量は、溶剤吸収性を高める観点から、13mg/g以上が好ましく、15mg/g以上がより好ましく、17mg/g以上がさらに好ましい。粘着層のα−テルピネオールの吸収量は、大きいほど好ましいが、製造容易性等の観点からは、例えば、500mg/g以下であり、100mg/g以下であってもよく、30mg/g以下であってもよい。
粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量は、粘着層を構成する樹脂の種類及び割合、架橋剤の種類及び割合、分子量、厚み等によって、前記範囲内に調整することができる。
本発明の粘着シートが備える粘着層は、上記α−テルピネオールの吸収量を満たすものであれば特に限定されないが、さらに、n−ドデカン、1−ドデカノール等の溶剤について、次のような溶剤吸収性を有するものが好ましい。
粘着層の単位質量(g)当たりのn−ドデカンの吸収量は、溶剤吸収性を高める観点から、300mg/g以上が好ましく、400mg/g以上がより好ましく、450mg/g以上がさらに好ましい。粘着層のn−ドデカンの吸収量は、大きいほど好ましいが、製造容易性等の観点からは、例えば、700mg/g以下であり、600mg/g以下であってもよい。粘着層の単位質量(g)当たりのn−ドデカンの吸収量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
粘着層の単位質量(g)当たりの1−ドデカノールの吸収量は、溶剤吸収性を高める観点から、20mg/g以上が好ましく、30mg/g以上がより好ましく、35mg/g以上がさらに好ましい。粘着層の1−ドデカノールの吸収量は、大きいほど好ましいが、製造容易性等の観点からは、例えば、100mg/g以下であり、50mg/g以下であってもよい。粘着層の単位質量(g)当たりの1−ドデカノールの吸収量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
粘着層は、前記溶剤吸収量を充足する層であれば特に限定されず、粘着層を構成する粘着剤組成物としては、例えば、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等、任意の粘着剤が使用できる。これらの粘着剤の中でも、シリコーン系粘着剤が好ましい。これらの中でも、耐久性、取り扱い性、及びα−テルピネオールの吸収性を高める観点から、シリコーン系粘着剤から形成された層であることが好ましく、付加型オルガノポリシロキサンを含有する組成物(以下、「ポリシロキサン組成物」ともいう)により形成された層であることがより好ましい。
次に、該ポリシロキサン組成物を構成する成分について説明する。
(ポリシロキサン組成物)
ポリシロキサン組成物は、付加型オルガノポリシロキサンを含有する組成物であれば特に限定されず用いることができる。
ここで、本発明における付加型オルガノポリシロキサンとは、付加反応によって高分子化、好ましくは硬化するオルガノポリシロキサンを意味し、耐久性、取り扱い性、及びα−テルピネオールの吸収性を高める観点から、(A)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(以下、「(A)成分」ともいう)と、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(以下、「(B)成分」ともいう)と、を含むものであることが好ましい。
付加型オルガノポリシロキサン中の(A)成分及び(B)成分の合計含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、前記合計含有量は、100質量%以下であってもよく、実質的に100質量%であってもよい。
(A)成分と(B)成分とを含む付加型オルガノポリシロキサンは、(A)成分が有するアルケニル基と(B)成分が有するSiH基とが付加反応(ヒドロシリル化反応)することにより硬化するものである。
〔(A)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン〕
(A)成分は、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
(A)成分は、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであれば特に限定されないが、好ましくはジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる主骨格を有し、且つ1分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサンである。
(A)成分が有するアルケニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
(A)成分が有するアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。これらの中でも、硬化時間が短く、生産性に優れる観点から、ビニル基が好ましい。
(A)成分は、1種のアルケニル基を有していてもよく、複数種のアルケニル基を有していてもよい。
(A)成分は、ケイ素原子と結合する、前記アルケニル基以外の炭化水素基を有することが好ましい。
(A)成分が有するアルケニル基以外の炭化水素基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。
(A)成分が有するアルケニル基以外の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。
(A)成分は、1種のアルケニル基以外の炭化水素基を有していてもよく、複数種のアルケニル基以外の炭化水素基を有していてもよい。
(A)成分は、下記一般式(1)で表される平均単位を有する化合物であって、且つ分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する化合物が好ましい。
SiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは、各々独立に、炭素数1〜12の置換又は非置換の1価の炭化水素基を示し、aは1.5〜2.8の数を示す。)
で表される置換又は非置換の1価の炭化水素基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。
で表される置換又は非置換の1価の炭化水素基としては、前記アルケニル基として挙げられた基、及び前記アルケニル基以外の炭化水素基として挙げられた基と同様の基等が挙げられる。但し、一般式(1)は分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する化合物の平均単位であることから、全てのRのうち、分子中のアルケニル基の数を分子中の平均単位数で除して得られる数が、アルケニル基である。
前記aは、1.8〜2.5の数が好ましく、1.95〜2.05の数がより好ましい。
(A)成分が有するポリシロキサン分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状等が挙げられる。
(A)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
〔(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン〕
(B)成分は、ケイ素原子と結合する水素原子(以下、「SiH基」ともいう)を有するオルガノポリシロキサンであれば特に限定されない。
(B)成分は、ケイ素原子と結合する、SiH基以外の炭化水素基を有することが好ましい。
(B)成分が有するSiH基以外の炭化水素基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。
(B)成分が有するSiH基以外の炭化水素基としては、(A)成分が有するアルケニル基以外の炭化水素基と同じものが挙げられ、好適な態様も同様である。
(B)成分としては、下記一般式(2−1)で表される構成単位を有する化合物が挙げられ、さらに、下記一般式(2−2)で表される構成単位を有するものであってもよい。
Figure 0006888868

(一般式(2−1)及び(2−2)中、Rは、各々独立に、炭素数1〜12の置換又は非置換の1価の炭化水素基を示す。)
で表される炭素数1〜12の置換又は非置換の1価の炭化水素基としては、前記(B)成分が有するSiH基以外の炭化水素基と同じものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
(B)成分としては、例えば、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等が挙げられる。
(B)成分が有するポリシロキサン分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、環状等が挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリシロキサン組成物中の付加型オルガノポリシロキサンの含有量は、耐久性、取り扱い性、及びα−テルピネオールの吸収性を高める観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。また、ポリシロキサン組成物中の付加型オルガノポリシロキサンの含有量は、通常、100質量%以下であり、95質量%以下であることが好ましい。
〔反応触媒〕
ポリシロキサン組成物は、付加型オルガノポリシロキサンの硬化を促進する観点から、反応触媒を含有することが好ましい。
反応触媒としては、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。これらの中でも、白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、例えば、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフェン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等が挙げられる。
反応触媒の含有量は、付加型オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.01〜3.0質量部が好ましく、0.05〜2.0質量部がより好ましく、0.2〜1.0質量部がさらに好ましい。反応触媒の使用量が前記下限値以上であると、硬化性が良好となり、前記上限値以下であると、ゲル化を抑制し、粘着シートの厚さを均一にすることができる。
〔その他の成分〕
ポリシロキサン組成物は、付加型オルガノポリシロキサン及び反応触媒の他にも、本発明の目的を損なわない範囲において、例えば、付加型オルガノポリシロキサン以外の各種樹脂(以下、「その他の樹脂」ともいう)、無機充填材、粘着剤付与剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤等のその他の成分を含有してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、前記付加型オルガノポリシロキサン以外のシリコーン樹脂(以下、「その他のシリコーン樹脂」ともいう)、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、その他のシリコーン樹脂が好ましい。その他のシリコーン樹脂としては、分子中に3官能性又は4官能性のシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン(シリコーンレジン)が好ましい。
ポリシロキサン組成物中におけるその他のシリコーン樹脂の含有量は、印刷用ブランケットとして使用する際にインキの受理及び転写性を高める観点から、付加型オルガノポリシロキサン100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
ポリシロキサン組成物中における無機充填材の含有量は、粘着シートの厚さを均一にして、印刷用ブランケットとして使用する際に印刷精度を高める観点から、付加型オルガノポリシロキサン100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下であり、無機充填材を含有しないことがよりさらに好ましい。ただし、無機充填材を含有しないとは、意図的に無機充填材を添加しないという意味であり、不純物程度の無機充填材を含有する態様を排除するものではない。
粘着層の厚さの平均値は、粘着シートの厚さを均一にして、印刷用ブランケットとして使用する際に印刷精度を高める観点から、5〜50μmが好ましく、10〜45μmがより好ましく、12〜40μmがさらに好ましい。粘着層の厚さの平均値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
粘着層は、JIS Z0237:2009に準拠して測定したフロートガラスに対する粘着力(以下、「対フロートガラス粘着力」ともいう)が、印刷用ブランケットとして使用する際に印刷精度を高める観点から、0.01〜1.0N/25mmであることが好ましい。なお、対フロートガラス粘着力は、下記測定方法によって測定することができる。対フロートガラス粘着力が、上記範囲であれば、印刷用ブランケットとして使用する際に印刷されたインキを確実に受理し、その後確実に被印刷体へ転写させることができるため好ましい。
<対フロートガラス粘着力の測定方法>
25mm×250mmにカットした粘着シートの粘着層を、フロートガラス(ソーダライムガラス、日本板硝子株式会社製)に、23℃、50%RH環境下にて、2kgのゴムローラを用いて貼付し、20分間放置後、万能型引っ張り試験機(株式会社オリエンテック製、型番:テンシロンUTM−4−100)を用いて、JISZ 0237:2009の粘着力の測定法に準拠して、剥離速度300mm/min、剥離角度180度で剥離して測定する。
粘着層の100%モジュラスは、0.2MPa以上が好ましい。なお、100%モジュラスは、下記測定方法によって測定することができる。
<100%モジュラスの測定方法>
粘着層を形成する粘着剤組成物を、剥離シートの剥離処理面に塗布し、130℃で2分間加熱し、厚み40μmの粘着層とし、剥離シートを除去して万能引張試験機にて引張スピード300mm/分、試料片5mm幅、引張間隔20mmにて応力−伸び曲線を測定し、伸びが100%となる応力値をMPa単位に換算して100%モジュラス値とする。
<基材>
基材は、粘着層等を基材上に保持する役割を担い、粘着シートの機械強度及び取り扱い性を向上させるために、必要に応じて、粘着シートが備えるものである。
基材としては、特に制限はなく、例えば、公知の樹脂の成形体、樹脂シート、樹脂フィルム等の樹脂基材;樹脂繊維、無機繊維等の織布又は不織布からなる基布を用いることができる。これらの中でも、粘着シートの厚さを均一にする観点から、樹脂基材が好ましい。
樹脂基材に含まれる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、得られる粘着シートの平滑性、取り扱い性及び汎用性の観点から、樹脂基材としては、ポリエステルを含むことが好ましく、PETを含むことがより好ましい。
PETを含む樹脂基材としては、市販品を用いてもよく、例えば、東洋紡株式会社製のPETフィルムである「コスモシャイン(登録商標)A4300」が挙げられる。
樹脂基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的な樹脂基材に含まれる基材用添加剤を含有してもよい。基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。なお、これらの基材用添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂基材中における前記樹脂の含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましい。
基材の厚さの平均値は、10〜140μmが好ましく、20〜120μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましく、40〜70μmがよりさらに好ましい。基材の厚さの平均値が、前記下限値以上であると、機械強度に優れ、前記上限値以下であると、良好な柔軟性が得られ、取り扱い性に優れると共に、粘着シートの厚さを均一に抑えることができる。基材の厚さの平均値は実施例に記載の方法により測定することができる。
基材は、粘着層等との密着性を向上させる観点から、必要に応じて、酸化法、凹凸化法等により表面処理を施したものであってもよく、表面に易接着層を形成したものであってもよい。
前記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理等が挙げられ、前記凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は、基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性の面から、好ましく用いられる。
前記易接着層の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書中、基材の表面に任意で形成される易接着層は、基材の一部として定義されるものであり、上記のその他の層には含まれない。
本発明の粘着シートは、以下の条件で測定される、基材の、粘着層が存在する側とは反対側の表面(α)(図1における(α))から、粘着層の、基材が存在する側とは反対側の表面(β)(図1における(β))までの厚さの平均値に対する標準偏差(σ)が、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましく、0.7μm以下がよりさらに好ましく、0.6μm以下がよりさらに好ましい。標準偏差(σ)が前記上限値以下であると、印刷用ブランケットとして使用する際に印刷精度を高めることができる。標準偏差(α)は、小さいほど好ましいが、製造容易性等を考慮すると、例えば、0.01μm以上であり、0.1μm以上であってもよい。
<標準偏差(σ)の測定方法>
210mm×297mmの測定領域に対して、測定点間距離が20mm以上で任意の100点の表面(α)から表面(β)までの厚さを測定し、該100点の厚さの平均値に対する標準偏差(σ)を計算する。
前記標準偏差(σ)は、例えば、粘着層を積層する基材の種類の選択、粘着層の厚さの調整、粘着層を構成する樹脂の種類の選択、剥離シートの種類の選択、粘着層の形成方法、後述するポリシロキサン組成物を含む溶液の固形分濃度の選択、希釈溶媒の種類の選択、等によって、前記範囲内に調整することができる。
前記測定方法によって測定される、表面(α)から表面(β)までの厚さの平均値は、15〜150μmが好ましく、20〜145μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましく、30〜80μmがよりさらに好ましい。表面(α)から表面(β)までの厚さの平均値が、前記下限値以上であると、粘着シートの耐久性及び取り扱い性に優れ、前記上限値以下であると、前記標準偏差(σ)を小さくすることができ、印刷用ブランケットとして使用する際に高い印刷精度が得られる。
前記測定方法によって測定される、表面(α)から表面(β)までの厚さのうち、最大の厚さと最小の厚さとの差は、印刷用ブランケットとして使用する際に印刷精度を高める観点から、4μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。前記最大の厚さと最小の厚さとの差は、小さいほど好ましいが、製造容易性等を考慮すると、例えば、0.01μm以上であり、0.1μm以上であってもよい。
<剥離シート>
剥離シートは、必要に応じて設けられ、粘着シートを使用する際には、通常、剥離される。
剥離シートとしては、例えば、剥離シート用の基材上に剥離剤層を有するもの等が挙げられる。
剥離シート用基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離シートの厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜170μm、さらに好ましくは35〜80μmである。
本発明の粘着シートの形状は、如何なる形状であってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の粘着シートを印刷用ブランケットとして使用する場合、従来の印刷用ブランケットよりも厚さを小さく抑えることができるため、屈曲性等の取り扱い性に優れる。そのため、保存、輸送又は使用時における形態選択の自由度が高く、例えば、後述する本発明の印刷物の製造方法の使用に好適な形態である、長尺状であって、ロール状に巻き重ねられてなる状態としてもよい。
<粘着シートの製造方法>
本発明の粘着シートは、種々の方法により製造することができるが、例えば、前記粘着剤組成物を樹脂基材等の基材に塗布した後、必要に応じて、乾燥、硬化等させる方法により行うことができる。
粘着剤組成物は、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、キシレン等の溶剤で希釈された状態とすることが好ましく、その際の固形分濃度は、5〜65質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。当該固形分濃度が5質量%以上であることで、塗膜を形成する際にハジキ等の発生が抑制されるとともに、溶媒を十分乾燥させ易くなり、粘着層の厚さのばらつきをより抑制し易くなる。また、当該固形分濃度が65質量%以下であることで、塗工液を送液し易くなり、塗布方向に垂直な方向に連続して発生する塗布ムラ(横段ムラ)の発生が抑制され、粘着層の厚さのばらつきの発生をより抑制することができる。
粘着剤組成物を基材の片面に塗布し、例えば、90〜180℃、好ましくは100〜150℃で30秒〜5分間加熱し乾燥させて、基材の上に粘着層を形成することができる。塗膜を乾燥させる温度が上記範囲であれば、基材が熱変形することなく、優れた厚み精度が得られる。
粘着剤組成物の塗布に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。これらの中でも、得られる粘着シートの厚さを均一にする観点から、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーターが好ましい。
基材への粘着剤組成物の塗布量は、所望する粘着層の厚さに応じて適宜調整すればよい。
本発明の粘着シートは、例えば、クリーニング材、印刷用ブランケット等に好適である。
クリーニング材の用途としては、任意の適切な用途を採用でき例えば、印刷装置用のクリーニング材、半導体装置用のクリーニング材として好適である。より具体的には、印刷装置の所定位置以外の場所に付着したインキの除去、半導体、フラットパネルディスプレイ、プリント基板等の半導体製造装置又は検査装置に付着した表面付着物の除去、塗装された物品の表面付着物の除去、等のクリーニング用途に好適に用いられる。
本発明の粘着シートを印刷装置のクリーニング材として用いる場合、例えば、スクリーン印刷機のスクリーン版の裏側に付着したインキ汚れ、オフセット印刷等の印刷機を構成する各種ロールに付着したインキ汚れ、インクジェットプリンターのインキ噴射口付近のインキ汚れ等を清浄するのに適している。
本発明の粘着シートを印刷用ブランケットとして用いる場合、本発明の粘着シートが備える粘着層が、インキの受理及び転写を担う表面印刷層として機能する。
本発明の粘着シートを用いた印刷用ブランケットは、種々の印刷方法に適用可能である。その代表的な印刷方法としては、例えば、下記印刷方法(1)〜(3)等が挙げられる。
(1)凹版、平版等の版に描画したインキをブランケットの表面印刷層に印刷した後、該印刷したインキを被印刷体の表面に転写する印刷方法
(2)ブランケットの表面印刷層の全面にインキを塗布した後、凹版と接触させることで、前記凹版の凹部以外の領域と接触したインキを選択的に表面印刷層から除去して描画したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法
(3)ブランケットの表面印刷層に直接インキを描画した後、被印刷体の表面に転写する印刷方法
本発明の粘着シートを用いた印刷用ブランケットは、上記いずれの印刷方法においても、優れた印刷精度を発揮するため、様々な印刷物の製造に好適に用いることができる。特に、本発明の粘着シートを用いた印刷用ブランケットは、優れた印刷精度を有するため、高度な印刷精度が要求される、電気配線パターン、カラーフィルタパターン、蛍光体パターン等の電子部品の製造方法に好適である。
次に、本発明の粘着シートを印刷用ブランケットとして用いた、本発明の印刷装置及び印刷物の製造方法について説明する。
[印刷装置]
本発明の印刷装置は、本発明の粘着シートを、印刷用ブランケットとして用いる印刷装置である。
本発明の印刷装置は、本発明の粘着シートを印刷用ブランケットとして用いる印刷装置であれば特に限定されるものではなく、一般的に使用される印刷機のブランケットとして、本発明の粘着シートを備えたものとすることができる。
本発明の印刷装置において、印刷用ブランケットは、従来のように、円筒状の外周面を備えたブランケット胴の前記外周面に、平板状のブランケットを円筒状に巻きつけた形態としたものを回転させる態様で使用してもよく、長尺状のブランケットを巻き重ねた第一のロールから、連続的にブランケットを印刷部に供給し、該印刷に供されたブランケットを、第二のロールに巻き重ねることで連続的に回収する、所謂ロール・ツー・ロール方式の態様で使用することもできる。
次に、図2を参照しながら、本発明の印刷装置の一実施形態について説明する。
図2に示すように、本実施形態の印刷装置10は、印刷用ブランケット11(すなわち、本発明の粘着シート)と、印刷用ブランケット11を連続的に送り出すことができる送出手段12と、印刷用ブランケット11の表面印刷層(すなわち、本発明の粘着シートが備える粘着層)にインキを印刷する印刷手段13と、印刷用ブランケット11の表面印刷層に印刷されたインキを被印刷体14に転写する転写手段15と、送出手段12により送り出された印刷用ブランケット11を回収する回収手段16と、を備える。
印刷装置10は、さらに、印刷用ブランケット11を支持する複数の支持胴20と、印刷用ブランケット11を巻き付ける、回転可能なブランケット胴17を有する。
印刷用ブランケット11は、送出手段12からブランケット胴17に向けて送り出される。このとき、印刷用ブランケット11は、表面印刷層が印刷手段13側に表出するように配置され、複数の支持胴20によって支持されながら、印刷手段13へと送り出される。
送り出された印刷用ブランケット11は、印刷手段13によって表面印刷層にインキを印刷される。インキを印刷された印刷用ブランケット11は、さらに、転写手段15に向かって送り出され、表面印刷層に印刷されたインキを転写手段15によって被印刷体14に転写する。被印刷体14にインキを転写した印刷用ブランケット11は、複数の支持胴20によって支持されながら、回収手段16に向かって送り出され、回収手段16よって回収される。
送出手段12は、印刷用ブランケット11を、印刷手段13に向けて連続的に送り出すことができる手段である。本実施態様において、送出手段12は、印刷用ブランケット11が巻回された回転可能な送出ロール18を備え、送出ロール18から、印刷用ブランケット11を連続的に送り出すことができる。
印刷手段13は、印刷用ブランケット11の表面印刷層にインキを印刷する手段である。印刷用ブランケット11の表面印刷層にインキを印刷する手段としては、例えば、凹版、平版等の版に描画したインキを表面印刷層に印刷する方法、ブランケットの表面印刷層の全面にインキを塗布した後、凹版と接触させることで、前記凹版の凹部以外の領域と接触したインキを選択的に表面印刷層から除去する方法、ブランケットの表面印刷層に直接インキを描画する方法等が挙げられる。
転写手段15は、印刷用ブランケット11の表面印刷層に印刷されたインキを被印刷体14に転写する手段である。
転写手段15においては、印刷用ブランケット11の表面印刷層上のインキを、被印刷体14の所定位置に接触させることにより、被印刷体14上に転写させる。
インキを転写された被印刷体14は、転写手段15によって連続的に送り出される。
回収手段16は、転写手段15において被印刷体14にインキを転写させた印刷用ブランケット11を回収する手段である。本実施態様において、回収手段16は、印刷用ブランケット11を巻回して回収する回転可能な回収ロール19を備え、回収ロール19によって送出手段12から送り出された印刷用ブランケット11を連続的に回収することができる。
印刷装置10は、さらに、回収手段16によって回収された印刷用ブランケット11を、再び送出手段12に戻す、繰り返し手段(図示せず)を備えていてもよい。
繰り返し手段としては、例えば、回収手段16が備える回収ロール19と、送出手段12が備える送出ロール18とを、印刷時とは逆向きに回転させることにより、回収ロール19から、送出ロール18に印刷用ブランケット11を戻す手段が挙げられる。また、別の態様としては、回収手段16が備える印刷用ブランケット11が巻回された回収ロール19を取り出した後、該回収ロール19を送出手段12が備える送出ロール18として設置し直すことで、印刷用ブランケット11を、送出手段12に戻す手段が挙げられる。
繰り返し手段により、送出手段12に戻された印刷用ブランケット11は、再び、送出手段12からブランケット胴17に向かって送り出され印刷に供される。このように、本発明の製造装置1は、本発明の効果が阻害されない範囲において、印刷用ブランケット11を繰り返し印刷に利用してもよい。
[印刷物の製造方法]
本発明の印刷物の製造方法は、本発明の粘着シートを、印刷用ブランケットとして用いる印刷物の製造方法である。
本発明の印刷物の製造方法は、本発明の印刷装置を使用することにより好適に実施可能である。より具体的には、本発明の印刷物の製造方法は、印刷用ブランケットを送り出す送出工程と、前記印刷用ブランケットの表面印刷層にインキを印刷する印刷工程と、前記印刷用ブランケットの表面印刷層に印刷されたインキを被印刷体に転写する転写工程と、前記送出工程により送り出された印刷用ブランケットを回収する回収工程と、を有することが好ましい。
本発明の印刷物の製造方法は、前記本発明の製造装置を用いて好適に実施することができる。すなわち、本発明の印刷物の製造方法における送出工程は、前記送出手段により行い、印刷工程は、前記印刷手段により行い、転写工程は、前記転写手段により行い、回収工程は前記回収手段により行うことができる。各々の実施態様は、前記印刷装置の項において説明した通りである。また、印刷装置の項で説明した繰り返し手段を使用して、回収手段によって回収された印刷用ブランケットを、再び送出手段に戻す、繰り返し工程を有していてもよい。
本発明の印刷物の製造方法に使用されるインキとしては、所望する印刷物の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
インキとしては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム等の金属微粒子分散液に必要に応じて各種添加剤を加えた導電性インキ、有機エレクトロルミネッセンス材料を溶剤に溶解又は分散させたカラーフィルタ用インキ、二酸化チタン等の無機顔料を高分子中に分散させた装飾用インキ、チタン酸バリウム等の誘電体粒子を高分子及び/又は溶剤に分散させた誘電体インキ等が挙げられる。
本発明の印刷物の製造方法に使用される被印刷体としては、所望する印刷物の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
例えば、電子部品を製造する場合、被印刷体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート等の樹脂基板、ガラス基板、セラミック基板、シリコンウェハー等が挙げられる。なお、これらの被印刷体には、被印刷面にコーティングが施されていてもよい。
本発明の製造方法によって製造する印刷物としては、例えば、薄膜トランジスタ基板、カラーフィルタ、プリント配線板、有機エレクトロルミネッセンス素子、透明導電膜、圧電素子等が挙げられるが、これらの限定されるものではない。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた粘着シートの評価は以下に示す方法で行った。
[溶剤吸収量の測定]
(α−テルピネオールの溶剤吸収量)
各例で作製した粘着シートを5cm×5cmに切り出したサンプルの質量を測定し、溶剤吸収前の粘着シートの質量とした。また、あらかじめ、粘着層を形成する前の樹脂基材の5cm×5cmのサイズの質量を測定し、樹脂基材の質量とした。次に、前記サンプルの粘着層に、α−テルピネオールを25℃でスピンコートした。静置後、粘着層上に存在する余剰のα−テルピネオールを、圧縮空気によるクリーニングエアガンにより除去し、溶剤吸収後の粘着シートの質量を測定した。溶剤吸収前及び溶剤吸収後の粘着シートの質量から、下記式に基づき、溶剤吸収量を測定した。
溶剤吸収量(mg/g)=〔溶剤吸収後の粘着シートの質量(g)−溶剤吸収前の粘着シートの質量(g)〕/溶剤吸収前の粘着シートのうち粘着層の質量(g)〕×1000
なお、溶剤吸収前の粘着シートのうち粘着層の質量(g)は、下記式に基づき求めた。
溶剤吸収前の粘着シートのうち粘着層の質量(g)=〔溶剤吸収前の粘着シートの質量(g)〕−〔樹脂基材の質量(g)〕
(n−ドデカンと1−ドデカノールの溶剤吸収量)
上記α−テルピネオールの溶剤吸収量の測定方法において、スピンコートした溶剤を、α−テルピネオールからn−ドデカン又は1−ドデカノールに変更した点以外は、α−テルピネオールの溶剤吸収量と同様の方法で、n−ドデカンと1−ドデカノールの溶剤吸収量を各々測定した。
[印刷精度の測定]
各例で作製した粘着シートを印刷用ブランケットとして使用して、以下の条件でパターン印刷を行った。印刷されたパターン形状を株式会社キーエンス製のデジタル光学顕微鏡VHX−5000を用いて2000倍で観察して、以下の評価基準に従って印刷精度を評価した。
<印刷条件>
・印刷形式:スクリーン印刷
・印刷条件:下記パターンを有するスクリーンメッシュを用いてスクリーン印刷を行った。
・被印刷体:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、商品名:コスモシャイン(登録商標)A4300、厚さ100μm)
・インキの種類:銀ペースト(三ツ星ベルト株式会社製、商品名:低温焼成導電ペーストMDot(登録商標)、銀固形分:40体積%)
・パターン形状:L/S=20/480μm、長さ10cmの平行な細線20本
<評価基準>
印刷面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:良好に印刷できている。
F:印刷できない、及び/又は印刷不良がある。
[各層の厚さの測定]
各例で得た粘着シートを構成する各層の厚さは、JIS K7130:1999に準じて、定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製、製品名「PG−02」)を用いて測定した。
なお、本実施例において、粘着層の厚さの平均値は、下記方法によって測定した、表面(α)から表面(β)までの厚さの平均値から、基材であるPETフィルムの厚さの平均値を減じた値である。
<表面(α)から表面(β)までの厚さの平均値及びその標準偏差(σ)>
各例で作製した粘着シートについて、210mm×297mmの測定領域に対して、測定点間距離が20mm以上で任意の100点の表面(α)から表面(β)までの厚さを、前記定圧厚さ測定器を用いて測定し、該100点の厚さの平均値、及び該厚さの平均値の標準偏差(σ)を計算した。
[粘着シートの製造]
実施例1
シロキサン結合を主骨格としビニル基を有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる付加型オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名:KS−847H)100質量部に、白金触媒(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SRX−212)0.6質量部、及びシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SD4584)18質量部を加え、メチルエチルケトンにて、固形分濃度約20質量%に希釈した溶液(粘着剤組成物)を得た。
この溶液を、樹脂基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、商品名:コスモシャイン(登録商標)A4300、厚さの平均値100μm)の片面にナイフコーターによって、乾燥後の粘着層の厚さが35μmとなるように塗布し、130℃で2分間加熱し硬化させて粘着層を形成して、本発明の溶剤吸収用粘着シートを得た。評価結果を第1表に示す。なお、粘着層の100%モジュラスは0.7MPaであった。
実施例2
実施例1において、粘着層の厚さを15μm、樹脂基材の厚さを50μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順で溶剤吸収用粘着シートを作製した。評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、粘着剤組成物を以下のものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で溶剤吸収用粘着シートを作製した。評価結果を第1表に示す。
(粘着剤組成物)
アクリル系共重合体[ブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体、ブチルアクリレート/アクリル酸(質量比:90/10)]100質量部と、エポキシ系架橋剤としての1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを0.05質量部とを混合し、十分に攪拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着剤組成物を得た。
Figure 0006888868
第1表から、実施例1及び2の粘着シートは、優れた溶剤吸収性を有しており、印刷精度にも優れていることが分かる。一方、比較例1の粘着シートは、粘着層が溶剤に溶解してしまい、印刷精度も劣っていた。以上より、本発明の溶剤吸収用粘着シートが、優れた溶剤吸収性能を有し、クリーニング材、印刷用ブランケット等に好適であることが分かる。
1 粘着シート
2 基材
3 粘着層
4 表面(α)から表面(β)までの厚さ
10 印刷装置
11 印刷用ブランケット(粘着シート)
12 送出手段
13 印刷手段
14 被印刷体
15 転写手段
16 回収手段
17 ブランケット胴
18 送出ロール
19 回収ロール
20 支持胴

Claims (11)

  1. 少なくとも粘着層を有する溶剤吸収用粘着シートであって、
    前記粘着層が、α−テルピネオールに不溶であり、
    前記粘着層の単位質量(g)当たりのα−テルピネオールの吸収量が、10mg/g以上であり、
    前記粘着層が、付加型オルガノポリシロキサンを含有する組成物により形成された層である、溶剤吸収用粘着シート。
  2. 前記粘着層の厚さが、5〜50μmである、請求項1に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  3. JIS Z 0237に準拠して測定したフロートガラスに対する粘着力が、0.01〜1.0N/25mmである、請求項1又は2に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  4. 前記組成物が、無機充填材を含有しない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  5. さらに、基材を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  6. 前記基材が樹脂基材である、請求項に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  7. 前記基材の、前記粘着層が存在する側とは反対側の表面(α)から、
    前記粘着層の、前記基材が存在する側とは反対側の表面(β)までの厚さの平均値が、15〜150μmである、請求項5又は6に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  8. 前記基材の表面上に前記粘着層が直接積層した構成を有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  9. 印刷用ブランケットとして用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の溶剤吸収用粘着シート。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の溶剤吸収用粘着シートを、印刷用ブランケットとして用いる、印刷物の製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の溶剤吸収用粘着シートを、印刷用ブランケットとして備える、印刷装置。
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