JP2007103180A - 陰極線管光源装置、それを用いた陰極線管照明装置及び映像表示装置 - Google Patents

陰極線管光源装置、それを用いた陰極線管照明装置及び映像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】構成の単純化により軽量かつ小型化が可能でかつ製造コストを低減できるようにする。
【解決手段】陰極管装置の発光部3には、蛍光物質形成部が形成される。発光部3は、単体発光領域であるか、もしくは複数の発光領域が一軸方向に配列されている。複数の発光領域は、例えば白色、赤色、緑色、青色の蛍光体から選ばれる。発光部3の面積Scrtおよび光取込み角θcrtと空間変調素子(ライトバルブ12)の光入射面積Svalbおよび光取込み角θvalbの間にはScrt・{sinθcrt(1/2)}=Svalb・{sinθvalb(1/2)}の関係式、および、Scrt<Svalbの関係式が成り立つように構成する。空間変調素子としては、透過/反射型のMEMSやLCDを用いることができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、陰極線管(以下CRT:Cathode Ray Tubeの略)の原理を用いた陰極線管光源装置ならびに陰極線管照明装置に関し、またその陰極線管光源装置に液晶表示素子やマイクロマシン表示素子(以下MEMS:Micro Electro Mechanical Systemsの略)を用いて映像入力信号に基き映像を表示する映像装置に関する。
本発明の陰極線管光源装置、陰極線管照明装置および映像表示装置の背景技術に関して、投影型映像表示装置を例として以下に説明する。
図17は、従来の投影型映像装置に用いられている光源装置の構成例を説明するための図で、図中、2は電子銃、3は発光部、4は偏向電極、8はアノード、10は電源プラグ、11は集光レンズ、20は光源装置、21はファンネル部である。
投影型映像表示装置に用いられるCRTは光源装置ではなく、それ自体が映像表示装置となっている。このため発光部3は、所望の表示画素数分の発光領域で構成されており、CRT受像機同様の原理で、2組の偏向電極4により電子線を水平方向と垂直方向で順次走査させることで、映像を表示している。
上記順次走査手法を具体的に説明する。CRTの画素構成を水平画素数X(m)とし、垂直画素数をY(n)とし、入力画像信号の水平方向同期信号Hs(m)、また垂直方向同期信号Vs(n)とすると、前記Hs(m)信号とVs(n)信号により、水平画素X(1)、垂直画素Y(1)から走査を開始する。先ず、Vs(1)信号が入力している間、水平同期信号はHs(1)からH(m)まで入力される。この時のCRT上の点灯箇所は、座標軸で表すと{X(1)、Y(1)}から{X(m)、Y(1)}となり、映像入力データ信号D{X(m)、Y(n)}はHsとVsと同期し、D{X(1)、Y(1)}からD{X(m)、Y(1)}が入力されている。
そして、垂直画素Y(1)の位置で水平画素X(1)からX(m)までの走査が終了した場合、次に、垂直画素Y(2)の位置で水平画素X(1)からX(m)までの走査を行い、順次、Y(3)・・・Y(n)までの走査を行い、1画面走査が終了する。
第1画面走査が終了した場合、第2画面走査を開始するため、再び、水平画素X(1)、垂直画素Y(1)から走査を開始する。以降同様の走査の繰り返しを行う。
上記において、1画面分の走査期間が60Hzの時、1秒間に60画面の走査を行っている。
次に、上記走査時のCRT内部での各部の電位と、諧調表示(点灯)に関して以下に説明する。
まず走査開始の画素位置{X(1)、Y(1)}に光線を照射するために、垂直方向偏向電極の電位VvY(n)は、VvY(1)であり、水平方向偏向電極の電位VhX(m)はVhX(1)からVhX(m)まで可変する。上記映像入力データ信号D{X(m)、Y(n)}によりCRTでは、陰極と電子強度可変格子間の電位差G{X(m)、Y(n)}に変換される。
従って、画素位置{X(1)、Y(1)}を諧調表示する時、CRTの各部の電位は、水平方向偏向電極間でVhX(1)、垂直方向偏向電極間でVvY(1)、また陰極と電子強度可変格子間でG{X(1)、Y(1)}である。
ここで、実際には所望の画素を点灯させる際に、陰極と陽極(加速用およびフォーカス調整)間の電位差も可変しているが、詳細は省略する。
図18は、3管式投影型映像表示装置と呼ばれる従来の映像表示装置を示す図で、図中20a,20b,20cはそれぞれ赤色発光型と緑色発光型、および青色発光型の光源装置である。ここではカラー高解像度映像を投影するために、陰極線管として赤色発光型と緑色発光型、および青色発光型の3管のそれぞれを備えた3つの光源装置20a,20b,20cを使用している。この場合、720pハイビジョン(以下HD:High−Vision Display)クラスの映像を表示させる際には、陰極線管の有効表示領域が7型から9型となる。この場合、図18中の投影型映像表示装置の幅Wは600[mm]程度であり、ファンネル部21の制限や回路を含んだ奥行きDは800[mm]程度と大型の表示装置となる。
上記のような陰極線管表示装置を用いた投影型映像表示装置の小型化、高解像度映像化を実現するための技術として例えば特許文献1がある。ここではフォーカス用陽極(フォーカスマグネット)と偏向電極(偏向ヨーク)を嵌合させる構成が開示されている。
また小型CRTを用いた表示装置として、ビデオカメラのビューファインダーがある。ビューファインダーに使用されるCRTに関してもそれ自体が画像表示装置となっていて、また、製品の価格、開口寸法等に制限があるため、主に白黒型CRTが用いられているのが現状である。
上記のようなビューファインダーのカラー化、高解像度化を実現するための技術として、例えば特許文献2がある。ここでは、白黒CRT表示装置の光出射側にカラー液晶表示装置を配置したものが開示されている。
また陰極線管表示装置を用いた投影型映像表示装置の光利用効率を向上する技術として例えば特許文献3がある。ここでは、白色CRT光源と液晶等のライトバルブが略同形状であり、白色CRTの発光部の出射側に光学干渉フィルタを設ける手段が開示されている。同様に、特許文献4では、光利用効率を向上する技術として、CRT光源とライトバルブの間にCRT光源の複数の発光部毎に凸レンズを配置する手段が開示されている。
特開平3−226946号公報 特開平6−153030号公報 特開平4−21835号公報 特開平6−265881号公報
しかしながら、上記のように従来のCRT自体を表示装置とすると、CRTの開口部(発光部)の小型化、およびファンネル部の長さには限界があり、小型化に限界がある。
また、従来のCRTは、広径発光部とファンネル部が長く、電子線の飛行距離が長いため、各部の電位差を高くしなければならず、このとき最も高い電位差は、陰極と陽極間でおよそ20KVから35KVであり、そのときの消費電力は100W程度となる。このため、図18に示した3管式プロジェクタでは300W級となり、更に消費電力が高くなっている。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、構成の単純化により軽量かつ小型化が可能でかつ製造コストを低減できる陰極線管光源装置と、その陰極線管光源装置を使用することにより光利用効率を高めるとともに画像を高精細化し、安価で小型化が実現でき、汎用性に優れる陰極線管照明装置及び映像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、電子線を放出する電子銃と、電子銃から放出された電子線が衝突することによって発光する蛍光物質が形成された発光部とを有する陰極線管光源装置において、発光部は、単体発光領域からなっていることを特徴としたものである。
第2の技術手段は、電子線を放出する電子銃と、電子銃から放出された電子線が衝突することによって発光する蛍光物質が形成された発光部とを有する陰極線管光源装置において、発光部は、複数の発光領域が一軸方向に配列されてなっていることを特徴としたものである。
第3の技術手段は、第1の技術手段において、上記の発光部が、少なくとも白色、赤色、緑色、青色のいずれかの単色発光部であることを特徴としたものである。
第4の技術手段は、第2の技術手段において、上記の複数の発光領域のうちの一つの発光領域が、少なくとも白色、赤色、緑色、青色のいずれかの単色発光部からなることを特徴としたものである。
第5の技術手段は、第2の技術手段において、上記の発光部は、少なくとも赤色、緑色、青色の多色発光領域から構成されることを特徴としたものである。
第6の技術手段は、第2ないし第4のいずれかの技術手段において、陰極線管光源装置が、一軸方向に光の進行を可変する偏向電極を備え、偏向電極の電界もしくは磁界を制御することにより、複数の発光領域のうちの異なる発光領域を発光させることを特徴としたものである。
第7の技術手段は、第1ないし第5のいずれかの技術手段における陰極線管光源装置と、反射素子もしくは屈折素子と、拡散素子とから構成されることを特徴とする陰極線管照明装置である。
第8の技術手段は、第1ないし第5のいずれかの技術手段における陰極線管光源装置と、光空間変調素子とを備えた映像表示装置であって、陰極線管光源装置の発光部の面積をScrt、発光部から出射される光の取込み可能な角度をθcrt、光空間変調素子の開口領域の面積をSvalb、光の利用可能な角度をθvalbとしたとき、Scrt・{sinθcrt(1/2)}=Svalb・{sinθvalb(1/2)}の関係式、および、Scrt<Svalbの関係式が成り立つことを特徴としたものである。
第9の技術手段は、第8の技術手段において、陰極管光源装置が白色発光型であり、かつ光空間変調素子は液晶素子であることを特徴としたものである。
第10の技術手段は、第8の技術手段において、陰極線管光源装置が白色発光型であり、かつ光空間変調素子は液晶素子であり、時分割で選択的に特定光波長領域を透過する光シャッター素子を備えたことを特徴としたものである。
第11の技術手段は、第8の技術手段において、陰極線管光源装置が、少なくとも赤色、緑色、青色の多色発光型であり、かつ光空間変調素子は液晶素子であることを特徴としたものである。
第12の技術手段は、第8の技術手段において、陰極線管光源装置が白色発光型であり、かつ光空間変調素子は機械的に光を反射もしくは透過させるマイクロマシン素子であり、時分割で選択的に特定光波長領域を透過する光シャッター素子を備えたことを特徴としたものである。
第13の技術手段は、第8の技術手段において、陰極線管光源装置が赤色、緑色、青色発光型であり、かつ光空間変調素子は機械的に光を反射、もしくは透過させるマイクロマシン素子であることを特徴としたものである。
本発明によれば、構成の単純化により軽量かつ小型化が可能でかつ製造コストを低減できる陰極線管光源装置と、その陰極線管光源装置を使用することにより光利用効率を高めるとともに画像を高精細化し、安価で小型化が実現でき、汎用性に優れる陰極線管照明装置及び映像表示装置を提供することができる。
特に本発明によれば、発光部である蛍光物質形成部を、単体領域、もしくは複数の発光領域一軸上に配列しているため、電子線の走査機構(電極)の構成部品を少なくすることが可能となり、かつ単純化できるため、軽量小型化に貢献できる。
またファンネル部が無いため、陰極線管封体の形状が円筒状と簡易形状となり、製造コストが安価となる。
また本発明の陰極線管光源装置をプロジェクタ等の映像表示装置の光源装置として使用することにより、光源装置が長寿命であるためランプ交換の必要がなくなり、かつ小型の映像表示装置が実現できる。
また、表示映像の解像度に係らず、同一の陰極線管光源装置を使用することが可能であるため、汎用性に優れるという効果が得られる。
以下に、本発明の実施の形態について添付された図面を参照しながら具体的に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同様の機能を有する部分には同じ符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明による映像表示装置の一実施形態を説明するための図で、映像表示装置の最も基本的な光学システム構成を模式的に示す図である。図1において、1はCRT光源装置、2は電子銃、3は蛍光物質形成部(発光部)、4は偏向電極、10は電源プラグ、11aは集光レンズ、12はライトバルブ、13は投影レンズ群、14はスクリーンである。CRT光源装置1は、本発明の陰極線管光源装置に該当する。
CRT光源装置1から出射した光線は、まず集光レンズ11aに入射し、所望の角度範囲に制御され集光レンズ11aより出射する。これは、ライトバルブ12の仕様、条件により制限されるもので、LCD方式ライトバルブやMEMS方式ライトバルブでは、光軸に対し10度前後の光線でなければ良好な制御を行うことができず、コントラスト低下や迷光の原因となるためである。
そして、所望の角度分布に制御された光線がライトバルブ12の面(画素)で結像し、画像光線を形成する。ライトバルブ12の面で結像した画像光線は、投影レンズ群13によりスクリーン14で再び結像して投影映像となる。
まず本発明の映像表示装置の実施形態を説明する上で、CRT光源1の基本構成ならびに動作原理を説明する。
第1の実施の形態に関わるCRT光源1の封止体は、鉛ガラスを円筒形に成形した管を用い、その内部を真空としている。
図2は、本発明の陰極線管光源装置に適用される電子銃構成の一例を示す図で、図中、5はカソード、6は輝度調整用のグリッド、7は電子レンズである。
図2に示すように、電子銃2の内部に、電子(熱電子)を放出するカソード5と、その電子の強度、即ち輝度を調整するグリッド6と、2組の電子レンズ7とを設けることにより、放出された電子群を一本の電子の束、即ち電子線が形成される。
図3は、本発明のCRT光源装置に適用されるアノード構成の一例を示す図で、図中、8はアノード、9は高圧発生部である。
図3に示すように、カソード5と、CRTの内面に形成されたアノード8に電位を加えることで電子が放出される。ここではアノード8に高電位を加えるほど電子が加速される。アノード8に関しては、説明の便宜上以下の図では省略する。
電子銃2から放出された電子線は、偏向電極4間に電位を加えることにより発生する電界により、進行方向が可変制御される。偏向電極4に偏向コイルを用い磁界を発生させることにより、電子線の向きを可変させる方式でも構わない。
CRT光源装置1の円筒形ガラス封止体の片方の端面には、外部電源と接続する電源プラグ10が形成され、もう片方の端面には、蛍光物質が形成された蛍光物質形成部(発光部)3が設けられている。
アノード8とカソード5間に電位を加えることで放出された電子群は、電子レンズ7により電子線となり、偏向電極4により進行方向が変えられ、発光部3の蛍光物質に衝突して発光する。
発光部3は、電子と衝突することで赤色、緑色、青色にそれぞれ発光する赤色発光部3R、緑色発光部3G、青色発光部3Bの3つのドットで構成されている。このとき、これら3つの発光部3R,3G,3Bは一軸方向に配置され、その配置方向は、偏向電極4の電極軸と同一とする。また発光部3の3つのドットおよび偏向電極4の配列方向は、垂直であっても水平であっても構わない。
図4及び図5は、本発明の陰極線管光源装置における電子線偏向制御の例について説明するための図で、図4はCRT光源装置における電子線の偏向状態を示す図、図5(A)は偏向電極に適用するノコギリ波を示す図、図5(B)は偏向電極に適用するステップ波を示す図である。
偏向電極4により電子銃2から放出された光線を曲げる際には、図5(A)に示したようなノコギリ波が通常使われている。偏向電極4間の電位がVrの範囲にある場合、電子銃2から放出された電子線は赤色発光部3Rに衝突し、赤色の出射光線となる。
同様に偏向電極4間の電位がVgの範囲にある場合、電子線は緑色発光部3Gに衝突し、緑色の出射光線となり、また電位差がVbの範囲にある場合、電子線は青色発光部3Bに衝突し、青色の出射光線となる。
上記のように偏向電極4にノコギリ波を印加した場合、電位がリニアに大きくなるため、各発光部3に電子線が衝突(入射)する際に、赤色発光部3Rと緑色発光部3Gの配置間隔が狭い際には、両方の発光部に電子線が衝突し、これによりこの瞬間では混色が発生する。
また同一発光部への衝突に関しても、まず電子線は発光部端の蛍光物質に衝突し、その後中央部に移行して、もう片側の発光部端に至る。この際、電子線と発光物質が衝突する箇所が異なり、その瞬間ごとに輝度値が変動してしまうことがある。これは、蛍光物質の塗布ムラが原因である。
そのため、図5(A)のステップ波を偏向電極4間に印加した。ステップ波において、電子線が赤色発光部3Rの中心に衝突した時の電位をVrとし、緑色発光部3Gの中心に衝突した時の電位をVg、青色発光部3Bの中心に衝突したときの電位をVbと設定している。このように偏向電極4にステップ波を印加することで、隣り合う発光部へ同時に電子線が衝突して混色することを回避することができ、常に各発光部の中心に電子線が入射するため、瞬間的な輝度ムラは発生しない。
図6は、本発明による陰極線管光源装置の第2の実施形態を説明するための図である。図1の構成では、CRT光源装置1の電子銃2は単体であるが、図6に示した第2の実施形態に関わるCRT光源装置1は、複数の電子銃(赤色用電子銃2R,緑色用電子銃2G,青色用電子銃2B)を具備している。この場合、CRT光源装置1の赤色発光部3Rへは、赤色用電子銃2Rから電子光線が直線的に進行する。緑色発光部3G、青色発光部3Bに関しても同様に、それぞれ緑色電子銃2G、青色電子銃2Bから電子光線が直線的に進行する。
このように電子銃2と発光部3を同数配置することで、電子線を曲げる必要が無くなり、偏向電極4が不必要となる。この結果、CRT光源装置1は部品点数とその組立工程が省略できるため、安価となる。また、各色のバランス(強度)を個別に制御できるため、良好な表示品位が得られる。
図7は、本発明による陰極線管光源装置の第3の実施形態を説明するための図である。図7に示すように、CRT光源装置1の発光部3は単体であっても構わない。このようにCRT光源装置1の発光部3を単体とした場合、電子銃2から放出した電子線は直線的に発光部3に進行するため、偏向電極4は必要なくなり、簡易構成となり安価となる。
図7のCRT光源装置1でカラー表示を行う場合は、後述する図12のようにカラーホイール16を用いるか、図14、図15のように、複数のCRT光源装置1(1R,1G,1B)を用いるように構成する。
次にCRT光源1からの出射光のうち、取り込み可能な出射角度成分について説明する。図8は、本発明に係わる照明装置を含んだ投影型映像表示装置の映像に関する説明図である。図8の構成において、CRT光源装置1と集光レンズ11aとにより本発明に係わる照明装置の実施形態が構成される。
まずライトバルブ12の面積をSvalbとし、そのライトバルブ12の取込み光線の角度仕様制限値(半値)をθvalb(1/2)とする。ここでエテンデューEの公式より、ライトバルブ12の光束の断面積と、入射角度(立体角)の関係は下記の(1)式のようになる。
Evalb=πSvalb・(SINθvalb(1/2))・・・(1)
同様に、CRT光源装置1の発光部3については、発光部3の面積をScrtとし、発光部3の出射光線角度(半値)をθcrt(1/2)とすると、
Ecrt=πScrt・(SINθcrt(1/2))・・・(2)
となる。
ここで、エテンデューは光束の断面積と立体角の関係は不変量であることから、次式を導くことができる。
Evalb=Ecrt ・・・(3)
上記(3)式を、上記(1)式,(2)式の右辺に置き換えると以下の(4)式となる。
πSvalb・(SINθvalb(1/2))=πScrt・(SINθcrt(1/2))
即ち、valb・(SINθvalb(1/2))=Scrt・(SINθcrt(1/2)) ・・・(4)
上記(4)式によりθcrt(1/2)を求めることで、CRT光源1からの出射光線を高効率で取込むための集光レンズ11aの径、及び配置箇所が決まる。
次に図8の集光レンズ11a以外に、本発明に適用可能な集光光学素子の例について説明する。図9は、本発明における照明装置から出射する光線の断面積とその立体角をリフレクタにて制御する手段の説明図で、CRT光源装置1の出射光を集光する光学素子としてリフレクタ(反射鏡)11bを用いた光学系を示すものである。
リフレクタ11bは、上記のエテンデューの式により、開口径及び奥行きが決まる。ここではリフレクタ11bの形状を楕円としたが、その他、双曲線や円錐、角錐、円錐から角錐へ徐変する形状であっても構わない。
そしてリフレクタ11bの材質としてアルミニウムを用いたが、ガラスや樹脂であっても同様の効果が得られ、また成形に関しては、鋳造やプレス、切削で製作可能である。そしてCRT光源1の出射光を反射させる部分には、Al薄膜やコールドミラー薄膜を施すことで効率良くライトバルブ(図示せず)に光線を照射することができる。
図10は、本発明に係わる照明装置から出射する光線の断面積とその立体角をロッドインテグレータにて制御する手段の説明図で、CRT光源装置1の出射光を集光する素子として、ロッドインテグレータ11cを用いた光学系を示すものである。ロッドインテグレータ11cに関しても、エテンデューの式により、開口寸法、奥行きが決定する。
ロッドインテグレータ11cには、ガラス等の透明部材を使用する。ロッドインテグレータ11cのCRT光源1側の端面から入射した光線は、空気中との屈折率差により、ガラス側面内部で全反射し、ロッドインテグレータ11c内部を伝搬し、ライトバルブ側の端面から出射する。このとき、CRT光源1側のロッドインテグレータ11cの側面には全反射せずに透過してしまう光線があるため、補助的にロッドインテグレータ11cの4つの側面にAl薄膜やコールドミラー薄膜を施すことで、効率良くライトバルブに光線を照射することができる。
またロッドインテグレータ11cのもう一つの機能として、ロッドインテグレータ11c内部を光線が伝搬する際に、光線断面の輝度ムラを改善することができる。通常の集光レンズで単純にCRT光源1の発光面をライトバルブに結像してしまうと、蛍光体の塗り斑や付着した埃をそのまま結像してしまい、表示画像の品位を落としてしまう。
光線断面の輝度ムラにはロッドインテグレータ11cの長さ(奥行き)が大きく関与しており、ロッドインテグレータ11cの内面で光線の反射回数が多いほど輝度ムラが減少する。
図11は、本発明による投影型表示装置の他の実施形態を説明するための図で、CRT光源装置1の出射光を集光する素子としてフライアイレンズ15を用いた光学系を示すものである。フライアイレンズ15はマイクロレンズ群が2軸上に配列されたものであり、このフライアイレンズ15を2組配置することで、上記のロッドインテグレータ11cと同様に光線断面の輝度ムラを解消することができる。フライアイレンズ15は、2組のフライアイレンズの間に偏向変換素子を配置するのに適しているため、主にライトバルブ12が液晶表示素子(以下LCD)である場合に用いる。
次に、CRT光源装置1を含んだ映像表示装置において、具体的な光学システム構成を示して説明する。
図12は、本発明による投影型表示装置の更に他の実施形態を説明するための図で、カラーホイール16と、ライトバルブ12として使用する反射型のMEMSとを用いた光学システムを示すものである。本光学システムは順に、CRT光源装置1、集光レンズ11a、カラーホイール16、コンデンサレンズ11d、ミラー17、MEMSによるライトバルブ12、投影レンズ群13が配置された構成を有するものである。
CRT光源装置1の発光部3は白色光線を出射する。そして出射した白色光線は集光レンズ11aを通過し、カラーホイール16に入射する。カラーホイール16は、円形のガラス基板上に最低R,G,Bのセグメントが分割して形成されていて、モータによって回転制御される。
MEMSは、1フレーム間でR画像、G画像、B画像を形成し、カラーホイール16はMEMSと同期して動作する。そしてMEMSがR画像を形成した際に、Rセグメント上を光線が通過するように制御される。
図13は、本発明による投影型表示装置の更に他の実施形態を説明するための図で、ライトバルブ12に反射型LCDや反射型MEMSを用いた場合の光学システムを示すものである。本光学システムは順に、CRT光源装置1、集光レンズ11a、ロッドインテグレータ11c、コンデンサレンズ11d、ミラー17、MEMSによるライトバルブ12、投影レンズ群13が配置された構成を有するものである。CRT光源装置1の発光部3は、R,G,Bを発光する3ドット(赤色発光部3R,緑色発光部3G,青色発光部3B)に分けられている。
ライトバルブ12として使用するMEMSは、1フレーム間にR画像、G画像、B画像を形成し、CRT光源装置1はMEMSと同期して動作している。そしてMEMSが赤色画像を形成した際に、CRT光源装置1の偏向電極4ではノコギリ波が印加され、その電位調整により電子線を赤色発光部3Rへ照射させる。またこのときに偏向電極4には、図5(B)に示したようなステップ波を印加してもよい。
図14は、本発明による投影型表示装置の更に他の光学構成の説明図で、ライトバルブ12として反射型MEMSを用いた場合の光学システムを示すものである。本光学システムは順に、CRT光源装置1(1R,1G,1B)、集光レンズ11a、ダイクロイックミラー一体型ロッドインテグレータ(以下DIRとする)18、コンデンサレンズ11d、ミラー17、MEMSによるライトバルブ12、投影レンズ群13が配置された構成を有するものである。DIR18は、3つのダイクロイックミラー18a,18b,18cを備えている。
CRT光源装置1は、緑色発光用CRT光源1G、赤色発光用CRT光源1R、青色発光用CRT光源1Bを有して構成されている。これら各CRT光源1G,1R,1Bの配列に関しては、各CRT光源の発光部の径の大きさやダイクロイックミラー18a,18b,18cの反射特性を考慮したものであり、この他の配置組合せでも構わない。
MEMS(ライトバルブ12)は、1フレーム間において第1のサブフィールドでR画像を形成する。このとき、赤色発光用CRT光源1Rが同期して動作し、赤色光線を出射する。この赤色光線は、集光レンズ11aを通過し、DIR18に入射する。
DIR18に入射した赤色光線の主光線は、ダイクロイックミラー18bに略45度で入射し、光路を略90度曲げられてDIR18の長手方向に進行する。このとき、主光線に対して比較的大きな立体角で進行する光線群は、DIR18の側面にて内面反射して伝達しており、DIR18の出射面における輝度ムラは低減されている。
DIR18から出射した赤色光線は、光路下流のコンデンサレンズ11dおよびミラー17を介してMEMSによるライトバルブ12に照射する。そして赤色画像光線に変換され、投影レンズ群13を通過し、スクリーンに映像投影される。このとき、緑色発光用CRT光源1Gおよび青色発光用CRT光源1Bは、動作していないか、もしくは電子銃の輝度調整用グリッド6により低輝度になっている。
第2のサブフィールドに移行した際には、MEMSでは緑色画像が形成されており、緑色発光用のCRT光源1Gが同期して動作し、緑色光線が出射する。さらに第3のサブフィールドに移行した際には、MEMSでは青色画像が形成されており、青色発光用のCRT光源1Bが同期して動作し、青色光線が出射する。このように、1/60秒間に、スクリーン上には赤色映像、緑色映像、青色映像が順次投影され、1枚のカラー映像が得られる。
図15は、本発明の投影型表示装置の更に他の光学構成の説明図で、ライトバルブ12に透過型白黒LCDを用いた場合の光学システムを示すものである。本光学システムは順に、CRT光源装置1(1G,1R,1B)、集光レンズ11a、透過型LCDによるライトバルブ12(12G,12R,12B)、クロスプリズム19、投影レンズ群13が配置された構成を有するものである。
CRT光源装置1は、緑色発光用CRT光源1G、赤色発光用CRT光源1R、青色発光用CRT光源1Bを有して構成されている。そして透過型白黒LCD12Gに緑色画像信号を入力して緑色画像を形成させ、透過型白黒LCD12Rには赤色画像信号を入力して赤色画像信号を形成させ、透過型白黒LCD12Bには青色画像信号を入力して青色画像を形成させる。なお透過型白黒LCD(12R,12G,12B)は同期信号により同時に動作している。
ここで緑色発光用CRT光源1Gから出射した緑色光線は、緑色用の集光レンズ11aを通過し、クロスプリズム19に入射する。クロスプリズム19には、所望の赤色波長領域を反射するダイクロイックミラーと青色波長領域を反射するダイクロイックミラーが形成されていて、緑色光線はクロスプリズム内を直進して投影レンズ群13に入射し、スクリーン上に緑色映像を投影する。
同期間において、赤色発光用CRT光源1Rから出射した赤色光線は、赤色用の集光レンズ11aを通過し、クロスプリズム19に入射する。クロスプリズム19には、所望の赤色波長領域を反射するダイクロイックミラーが形成されていて、赤色光線はクロスプリズム19内で反射して光路を曲げられ、投影レンズ群13に入射してスクリーン上に赤色映像を投影する。
同様に、同期間において、青色発光用CRT光源1Bから出射した青色光線は、青色用の集光レンズ11aを通過し、クロスプリズム19に入射する。クロスプリズム19には、所望の青色波長領域を反射するダイクロイックミラーが形成されていて、青色光線はクロスプリズム19内で反射し光路を曲げられ、投影レンズ群13に入射してスクリーン上に青色映像を投影する。
このように、1/60秒間に、スクリーン上には赤色映像、緑色映像、青色映像が同時投影され、1枚のカラー映像が得られる。
また図15の光学システムにおいて、集光レンズ11aの代わりに1組のフライアイレンズと偏向変換素子を用いることにより、明るさを1.5倍程度向上させることができる。
上記の映像表示装置では、反射型スクリーンを使用するフロントプロジェクタの実施の形態を示したが、次に透過型スクリーンを使用するリアプロジェクションTVの実施の形態を説明する。
図16は、本発明の投影型表示装置の更に他の光学構成の説明図である。図16の光学システムは、図15の光学システムにおけるCRT光源装置1(1G,1R,1B)からクロスプリズム19までの構成と同様のものであるが、投影レンズの代わりに集光レンズ11e、複数のミラー17による照明系、および透過型スクリーン14'を用いるのが相違点である。
また図13のライトバルブに反射型MEMS12を用いた光学系においても、投影レンズ群13の代わりに集光レンズ11e、複数のミラー17による照明系と、透過型スクリーン14'とを用いることにより、リアプロジェクションTVが構成可能である。
本発明のCRT光源装置1をフロントプロジェクタ、およびリアプロジェクションTVに用いる場合には、大型画面投影を考慮し、CRT光源装置1の電子線強度を上げ高輝度にしなければならない。この場合、本発明に係わるCRT光源装置1では発光部3が単体もしくは数ドットしかないため、発光部3の蛍光物質に高強度の電子線が長時間衝突する結果、蛍光物質の劣化が顕著に発生する。
これを解決するために、本発明に係わる実施形態では、CRT光源装置1(1R,1G,1B)の発光部3(3R,3G,3B)を塗布する面を別ピースとし、高熱伝導率、かつ高透過性のセラミックス基板を用い、併せて発光部3(3R,3G,3B)を形成した面に向け、ファンを配置し冷却を行ったところ、蛍光物質の劣化が改善した。
このようなCRT光源装置1の発光部3の冷却に関しては、水冷・液冷や、フィンを発光部3近傍の面に密着させる構成を採用することが有効である。
本発明による映像表示装置の一実施形態を説明するための図である。 本発明の陰極線管光源装置に適用される電子銃構成の一例を示す図である。 本発明のCRT光源装置に適用されるアノード構成の一例を示す図である。 CRT光源装置における電子線の偏向状態を示す図である。 図5(A)は偏向電極に適用するノコギリ波を示す図、図5(B)は偏向電極に適用するステップ波を示す図である。 本発明による陰極線管光源装置の第2の実施形態を説明するための図である。 本発明による陰極線管光源装置の第3の実施形態を説明するための図である。 本発明に係わる照明装置を含んだ投影型映像表示装置の結像に関する説明図である。 本発明における照明装置から出射する光線の断面積とその立体角をリフレクタにて制御する手段の説明図である。 本発明に係わる照明装置から出射する光線の断面積とその立体角をロッドインテグレータにて制御する手段の説明図である。 本発明による投影型表示装置の他の実施形態を説明するための図である。 本発明による投影型表示装置の更に他の実施形態を説明するための図である。 本発明による投影型表示装置の更に他の実施形態を説明するための図である。 本発明による投影型表示装置の更に他の光学構成の説明図である。 本発明の投影型表示装置の更に他の光学構成の説明図である。 本発明の投影型表示装置の更に他の光学構成の説明図である。 従来の投影型映像装置に用いられている光源装置の構成例を説明するための図である。 3管式投影型映像表示装置と呼ばれる従来の映像表示装置を示す図である。
符号の説明
1,1R,1G,1B…CRT光源装置、2…電子銃、2R…赤色用電子銃,2G…緑色用電子銃,2B…青色用電子銃、3…蛍光物質形成部(発光部)、3R…赤色発光部、3G…緑色発光部、3B…青色発光部、4…偏向電極(偏向ヨーク/偏向コイル)、5…カソード、6…輝度調整用グリッド、7…電子レンズ、8…アノード、9…高圧発生部、10…電源プラグ、11…集光レンズ、11a…集光レンズ、11b…リフレクタ、11c…ロッドインテグレータ、11d…コンデンサレンズ、11e…集光レンズ、12,12R,12G,12B…ライトバルブ、13…投影レンズ群、14,14'…投影スクリーン、15…フライアイレンズ、16…カラーホイール、17…ミラー、18…ダイクロイックミラー一体型ロッドインテグレータ(DIR)、18a,18b,18c…ダイクロイックミラー、19…クロスプリズム、20,20a,20b,20c…光源装置、21…ファンネル部。

Claims (13)

  1. 電子線を放出する電子銃と、該電子銃から放出された電子線が衝突することによって発光する蛍光物質が形成された発光部とを有する陰極線管光源装置において、前記発光部は、単体発光領域からなっていることを特徴とする陰極線管光源装置。
  2. 電子線を放出する電子銃と、該電子銃から放出された電子線が衝突することによって発光する蛍光物質が形成された発光部とを有する陰極線管光源装置において、前記発光部は、複数の発光領域が一軸方向に配列されてなっていることを特徴とする陰極線管光源装置。
  3. 請求項1記載の陰極線管光源装置において、前記発光部は、少なくとも白色、赤色、緑色、青色のいずれかの単色発光部であることを特徴とする陰極線管光源装置。
  4. 請求項2記載の陰極線管光源装置において、前記複数の発光領域のうちの一つの発光領域は、少なくとも白色、赤色、緑色、青色のいずれかの単色発光部からなることを特徴とする陰極線管光源装置。
  5. 請求項2記載の陰極線管光源装置において、前記発光部は、少なくとも赤色、緑色、青色の多色発光領域から構成されることを特徴とする陰極線管光源装置。
  6. 請求項2ないし4のいずれか記載の陰極線管光源装置において、該陰極線管光源装置は、一軸方向に光の進行を可変する偏向電極を備え、前記偏向電極の電界もしくは磁界を制御することにより、前記複数の発光領域のうちの異なる発光領域を発光させることを特徴とする陰極線管光源装置。
  7. 請求項1ないし5のいずれか記載の陰極線管光源装置と、反射素子もしくは屈折素子と、拡散素子とから構成されることを特徴とする陰極線管照明装置。
  8. 請求項1ないし5のいずれか記載の陰極線管光源装置と、光空間変調素子とを備えた映像表示装置であって、前記陰極線管光源装置の前記発光部の面積をScrt、前記発光部から出射される光の取込み可能な角度をθcrt、前記光空間変調素子の開口領域の面積をSvalb、光の利用可能な角度をθvalbとしたとき、
    Scrt・{sinθcrt(1/2)}=Svalb・{sinθvalb(1/2)}の関係式、および、Scrt<Svalbの関係式が成り立つことを特徴とする映像表示装置。
  9. 請求項8記載の映像表示装置において、前記陰極線管光源装置は白色発光型であり、かつ前記光空間変調素子は液晶素子であることを特徴とする映像表示装置。
  10. 請求項8記載の映像表示装置において、前記陰極線管光源装置は白色発光型であり、かつ前記光空間変調素子は液晶素子であり、時分割で選択的に特定光波長領域を透過する光シャッター素子を備えたことを特徴とする映像表示装置。
  11. 請求項8記載の映像表示装置において、前記陰極線管光源装置は、少なくとも赤色、緑色、青色の多色発光型であり、かつ前記光空間変調素子は液晶素子であることを特徴とする映像表示装置。
  12. 請求項8記載の映像表示装置において、前記陰極線管光源装置は白色発光型であり、かつ前記光空間変調素子は機械的に光を反射もしくは透過させるマイクロマシン素子であり、時分割で選択的に特定光波長領域を透過する光シャッター素子を備えたことを特徴とする映像表示装置。
  13. 請求項8記載の映像表示装置において、前記陰極線管光源装置は赤色、緑色、青色発光型であり、かつ前記光空間変調素子は機械的に光を反射、もしくは透過させるマイクロマシン素子であることを特徴とする映像表示装置。
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