JP2007103077A - 固体酸化物形燃料電池の燃料極、燃料極用原料粉体、及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池の燃料極、燃料極用原料粉体、及び固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 電極構造の制御により、貴金属等を含まない安価な材料を用いて、低温条件においても高性能の固体酸化物形燃料電池を実現できる燃料極を提供する。
【解決手段】 電子伝導体、酸素イオン伝導体及び気孔から構成される固体酸化物形燃料電池の燃料極であって、平均気孔径Drが燃料極の動作温度における燃料ガス(水素ガス)の平均自由行程と反応生成ガス(水蒸気)の平均自由行程との間にあり、気孔径の累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10が10より小さいことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池の燃料極、当該燃料極の製造に用いる原料粉体、及び、当該燃料極を備えた固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池(以下、適宜、SOFCと略す)の低温作動化(例えば600℃以下で作動)により、起動・停止等の運転の容易性、セパレータに低コストの金属材料が使用できるなど、SOFCの実用可能性は広がる。電解質としては、低温域で大きな導電率を持つセリア系材料や、ランタンガレート系材料が期待されている。低温作動のためには電解質を薄膜にする必要があり、この場合、強度を保つため、電解質膜をアノード(燃料極)又はカソード(空気極)で支持する方式が検討されている。従って、電極が厚くなるので、電極性能が電池性能に大きく影響することになる。
SOFCの燃料極材料には、一般的に電子伝導体となるNiO(酸化ニッケル)とYSZ,SDC等のイオン伝導体の混合粉体が使用され、その製造には、ボールミル等を用いた湿式又は乾式の混合法、Ni,Y,Zrの各成分を含む溶液からの共沈物生成法などが用いられるが、NiO及びセリア系のイオン伝導材料に貴金属(Ru,Pt等)を混合調整し、多孔状に焼結形成した燃料極により、低温性能を改善した燃料極支持型の固体酸化物形燃料電池が提案されている(特許文献1参照)。
また、NiOとスカンジア安定化ジルコニアで構成される燃料極内に、気孔率35〜45%、平均気孔径0.2μm〜2μmの範囲で気孔を形成制御することにより、高い電極導電性を持つとともに、運転停止時のNiの再酸化に伴う膨張を抑制し信頼性を高めた燃料極支持型の固体酸化物形燃料電池が提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−346864号公報 特開2005−166484号公報
上記従来技術のうち、特許文献1に記載の燃料極では、構成材料に貴金属を使用しているため、製作費用が高くなる不利がある。また、特許文献2に記載の燃料極では、気孔径の制御範囲が広く、必ずしも最適値に設定されているとは言えなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極構造の制御により、貴金属等を含まない安価な材料を用いて、低温条件においても高性能の固体酸化物形燃料電池を実現できる燃料極、及び、当該燃料極の製造に適した原料粉体、並びに、当該燃料極を用いた固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極の第一特徴構成は、電子伝導体、酸素イオン伝導体及び気孔から構成される固体酸化物形燃料電池の燃料極であって、平均気孔径Drが燃料極の動作温度における燃料ガスの平均自由行程と反応生成ガスの平均自由行程との間にあり、気孔径の累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10が10より小さい点にある。
電極反応の効率を高めるには、反応界面を大きくする必要があり、このためには、燃料ガスと燃料極中の電子伝導体及びイオン伝導体とが接触する三相界面の面積を大きくすることが好ましいので、電極内の気孔径は可能な限り小さい方がよい。一方で、気孔は燃料ガス及び反応生成ガスの通路となるので、気孔径が小さすぎるとガスの拡散が困難となって、燃料ガスが反応界面に十分に行き渡らず、反応生成ガスが反応界面から十分に排出されず、結果的に電池性能は低下する。
そこで、本発明では、平均気孔径が燃料極の動作温度における燃料ガスの平均自由行程と反応生成ガスの平均自由行程との間にあり、また、気孔径の累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10が10より小さくして、気孔径分布をシャープにすることで、気孔径としてガス拡散に必要な最小限の大きさを確保しつつ気孔径のばらつきを小さく即ち気孔径分布をシャープにして、ガス拡散が困難となる小さい気孔および反応界面を減らしてしまう大きな気孔のいずれも少なくし、すべての気孔を十分に電極反応に寄与させることが可能となる。
具体的には、図1(イ)に模式的に示すように、気孔径Drが燃料ガス(図ではH ガスを例示)の平均自由行程より小さいということは燃料ガスの分子が他の燃料ガス分子と衝突するより電極粒子に衝突しやすい状態であるので、電極反応が起こる確率を増大させることができ、電池性能の向上が期待できる。
一方、電池反応により生成した反応生成ガス(図ではH Oガスを例示)が電極粒子表面に存在すれば、反応の活性点の減少、および酸素分圧の上昇などにより燃料極において性能劣化の原因となるが、図1(ロ)に模式的に示すように、気孔径Drが生成ガスの平均自由行程より大きいので、反応生成ガス分子が他の反応生成ガス分子と衝突しやすい状態、つまり電極粒子との衝突を避けて排出されやすい状態となり、電池性能の向上が期待できる。
従って、電極構造の制御により、貴金属等を含まない安価な材料を用いて、低温条件においても高性能の固体酸化物形燃料電池を実現できる燃料極が提供される。
同第二特徴構成は、平均気孔径Drが燃料極の動作温度における水素ガスの平均自由行程と水蒸気の平均自由行程との間にあり、気孔径分布として、累積体積10%相当径D10>0.1μm、且つ、累積体積90%相当径D90<1μmを満たす点にある。
すなわち、水素ガスを燃料ガスとして燃料極に供給し、反応により生成する水蒸気を燃料極から排出する場合に、平均気孔径が燃料極の動作温度における水蒸気の平均自由行程よりも大きく、水素ガスの平均自由行程よりも小さくなるので、水素ガスを反応界面に十分に供給できるとともに、生成した水蒸気を反応界面からスムーズに排出させることができる。具体的には、燃料電池を600℃で作動させる場合は、例えば600℃における水蒸気の平均自由行程は0.13μmであり、水素ガスの平均自由行程は0.37μmであるので、平均気孔径Drを例えば0.15μm<Dr<0.35μmを満たすようにする。同時に、累積体積10%相当径D10>0.1μm、累積体積90%相当径D90<1μmとすることで、累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10<10を満たし、気孔径分布をシャープにすることができる。
従って、水素ガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池の高性能化を実現できる燃料極の好適な実施形態が提供される。
同第三特徴構成は、電極体積に占める気孔の割合が30%〜45%の範囲にある点にある。
すなわち、電極体積に占める気孔の割合が30%以下であると、ガスの拡散に対する抵抗が大きくなり電池性能が低下する。一方、電極体積に占める気孔の割合が45%以上であると、伝導体粒子の割合が少なくなるため電荷移動の抵抗が増大し導電率が小さくなるので、電池性能は低下する。
従って、電極体積に占める気孔の割合を30%〜45%の範囲とすることで、ガスの拡散抵抗と電荷移動の抵抗(導電抵抗)をバランスよく共に小さくして、性能のよい固体酸化物形燃料電池の燃料極の好適な実施形態が提供される。
同第四特徴構成は、前記電子伝導体を構成する金属がニッケル、コバルト、銅の中から1つ選ばれ、前記酸素イオン伝導体が[Ce1−x2−δ](但し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で、0.1≦x≦0.3である)で表される点にある。尚、δは金属元素Mの価数とxの値によって決定される、酸素イオンの欠損量を示す値である。以下のδについても同様である。
すなわち、ニッケル、コバルト、銅は水素活性並びに電子伝導性に優れた金属材料であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で一部置換したセリア系酸化物は酸素イオン伝導性に優れたセラミックス材料であるため、燃料極を構成するために好適な材料である。
従って、電池性能に優れた固体酸化物形燃料電池の燃料極の具体的材料が提供される。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極原料粉体の特徴構成は、BET換算径が100〜500nmの金属酸化物とBET換算径が10〜100nmのイオン伝導材料を前者に対する後者の径の比が1/5〜1/10の範囲となる条件で、乾式状態において機械的に複合化して得られる点にある。
すなわち、上記のように複合化した原料粉体を燃料極の材料として用いることで、前述したような気孔径、気孔率の燃料極構造を実現することができる。
また、イオン伝導材料のBET換算径を電子伝導体となる金属酸化物粒子のBET換算径の1/5〜1/10とすることで、電池反応の起こる前記三相界面が増大し、同時に、金属酸化物の径を大きくしても、動作環境で金属に還元される金属酸化物は粒子内部においても十分な電子伝導性を有するのに対し、イオン伝導材料は粒子内に比べてイオンの拡散が速い表面の割合を大きくするために粒子径を小さくしてイオン伝導性を確保するようにし、その結果、高い燃料極性能が実現される。
従って、ナノメートルレベルの微細で且つ大径の金属酸化物により小径のイオン伝導材料を乾式状態で機械的に複合化させることで高い燃料極性能が確保できる燃料極原料粉体が提供される。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、上記第一から第四特徴構成のいずれかの固体酸化物形燃料電池の燃料極を支持体とし、電解質に[Ce1−x2−δ](但し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で、0.1≦x≦0.3である)を用いる点にある。
すなわち、前述のように気孔径を制御した燃料極によって支持した電解質に上記のようなセリア系の固体電解質を用いて作製した燃料電池セルにより、貴金属等の高価な材料を用いず、600℃程度の低温作動下においても電池性能が向上した固体酸化物形燃料電池が提供される。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極、当該燃料極原料粉体の製造方法、及び当該燃料極を用いて作製した固体酸化物形燃料電池の実施形態について、以下、図面に基づいて説明する。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極は、電子伝導体、酸素イオン伝導体及び気孔から構成される。具体的には、電子伝導体を構成する金属がニッケルであり、酸素イオン伝導体が[(Ce1−x)O2−δ](但し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で、0.1≦x≦0.3である)で表される。酸素イオン伝導体は、後述する実施例のように、例えば、サマリウム(Sm)を20mol%(x=0.2)ドープしたCeOであるが、サマリウム以外に、ガドリニウム、イットリウム、ランタン等をドープしたセリア系酸化物であってもよい。また、電子伝導体を構成する金属は、ニッケル以外に、コバルト、鉄、銅等であってもよい。
そして、上記燃料極中の気孔について、平均気孔径Drが燃料極の動作温度における燃料ガスの平均自由行程と反応生成ガスの平均自由行程との間にあり、気孔径の累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10が10より小さくなるように気孔径分布をシャープに形成する。
具体的には、まず、平均気孔径Drが燃料ガスである水素ガスの平均自由行程と生成ガスである水蒸気の平均自由行程との間に入るようにする。表1に、各温度における水素ガス(H)と水蒸気(HO)の平均自由行程のデータを示す。なお、平均自由行程λ(nm)は、下記式より計算して求めた。

但し、T:絶対温度(°K)、P:圧力(Pa)、D:粒子径(m)
従って、例えば600℃の動作温度の場合は、水素ガス(H)の平均自由行程が370nm(0.37μm)であり、水蒸気(HO)の平均自由行程が128nm(0.128μm)であるので、0.15μm<平均気孔径Dr<0.35μmを満足するように気孔径を調整する。
次に、上記平均気孔径Drの条件を満足しつつ、気孔径分布として、累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10が10より小さくなるために、累積体積10%相当径D10>0.1μm、且つ、累積体積90%相当径D90<1μmを満たすように構成する。
電極体積に占める気孔の割合(気孔率という)は、ガスの拡散抵抗と電荷移動時の導電抵抗の適正化より、30%〜45%の範囲になるように構成する。
尚、上記気孔径分布、気孔率は水銀圧入式細孔分布測定装置(Quantachrome社製:PoreMaster 33P)により、水銀圧2kPa〜230MPa(細孔径6.4nm〜1000μm)の範囲で測定した。
次に、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の燃料極に用いる原料粉末は、BET換算径が100〜500nmの金属酸化物とBET換算径が10〜100nmのイオン伝導材料を前者に対する後者の径の比が1/5〜1/10の範囲となる条件で、乾式状態において機械的に複合化して得られる。即ち、電子伝導体となる金属酸化物粒子の表面に、当該金属酸化物粒子の粒子径よりも小さい粒子径のイオン伝導材料粒子が複合化された構造の複合粒子からなる。
上記複合化処理には、例えば図2に示すような粉体処理装置(ホソカワミクロン株式会社製:NOB−130)を用いることができる。本装置は粒子間に強力な圧密、剪断力を付与することで、微小粒子同士の複合化、及び均一分散を可能とする。本装置の概要を説明すると、ジャケット4に包まれた円筒形のケーシング1の中心部に、複数の攪拌部材3を外周部に設けた回転軸2を備え、ケーシング1は攪拌部材3に対し微小間隙を隔てて位置する内周部を有し、回転軸2の回転に伴い移動する攪拌部材3によってケーシング1内の処理物を攪拌処理するよう構成されている。尚、回転軸2は軸受部7によって片側で支持され、モーター等で構成される駆動部8と連結し、原料投入口5がケーシング1の端部側面あるいは上部に、製品排出口6が粉体投入口5に対し反対の端部にあたるケーシング1の下部に設けられている。
次に、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、上記構成の燃料極を支持体とし、電解質に[(Ce1−x)O2−δ](但し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で、0.1≦x≦0.3である)を用いて作製される。具体的には、例えばサマリウム(Sm)ドープセリアを用いる。
次に、本発明に係る燃料極原料粉体、燃料極、及び固体酸化物形燃料電池(以下、セルと呼ぶ)の実施例について説明する。
先ず、本発明の燃料極原料粉体、燃料極、及びセルの作製について説明する。
(行程1)〔原料の作製〕
NiO原料としてBET換算径が113nmのNiO粉末を準備した(尚、NiOの密度を6.7g/cmとした)。表2にNiO粉末の粒度データを示す。粒度分布は、マイクロトラック(Honeywell製、HRA MODEL9320-X100)により測定した。BET値は、マウンテック製MODEL−1201を用い、BET一点式により測定した。また、必要により、日立製作所製S−3500Nを用いて、SEMによる微細構造観察を行った。
Sm20mol%ドープCeO原料(SDC原料)としてBET換算径が21nmのSDC粉末を作製した(尚、SDCの密度を7.14g/cmとした)。表3にSDC粉末の粒度データを示す。上記SDCは硝酸セリウムと硝酸サマリウムを用い共沈法によりセリウム(Ce)とサマリウム(Sm)の沈殿物を作製し、さらに焼成温度400℃で焼成することで得られる。
(行程2)〔複合化〕
上記原料NiOと原料SDCを図2に示す装置を用い、ローター(回転軸2)回転速度3500rpm、攪拌部材3とケーシング1の内壁との間隙1.5mm、処理時間10minの条件で複合化処理し、BET換算径が50nmのNiO−SDC複合粉体を作製した(尚、NiO−SDC複合粉体の密度を6.87g/cmとした)。表4に本NiO−SDC複合粉体の粒度データを示す。
(行程3)〔燃料極、セルの作製〕
上記NiO−SDC複合粉体を複合粉体100重量部に対し分散剤(日本油脂株式会社製:マリアリムAKM-0531)を2.3重量%加えエタノール中に分散させた。24時間混合した後、複合粉体100重量部に対し結合剤としてポリビニールブチラール(PVB)を15重量%加え再び24時間混合し、NiO−SDC複合粉体のスラリーを作製した。スラリーを脱泡後、ドクターブレードを用いて、あらかじめ作製しておいた20μm厚のSDC電解質シート上にNiO−SDCシートを作製した。そして、このNiO−SDC/SDC2重シートを60℃で10時間乾燥したのち、直径13mmの大きさに切り抜き、1400℃で2時間焼成した。
一方、空気極材料の(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)O3−δ(LSCF)粉末をポリエチレングリコール(PG)と重量比でLSCF:PG=3:1となる条件で混合してペースト状にし、このペースト物を前記焼成したNiO−SDC/SDC2重シートのSDC面上にスクリーン印刷により塗布し1000℃で焼成して空気極を形成して、本発明の実施例のセルを作製した。
表5及び図3に、本実施例により作製した燃料極の気孔率、気孔径分布のデータを示す。平均気孔径0.29μm、D10=0.15μm、D90=0.47μm(D90/D10=3.1)のシャープな気孔径分布となっていることがわかる。また、図4に本発明の燃料極のSEM画像を示す。このSEM画像及び上記気孔率が34.2%であることから小さな気孔径が多数存在し、反応界面が大きいことがわかる。
次に、比較例の燃料極原料粉体、燃料極、及びセルの作製について説明する。
〔比較例1〕
上記行程1で用いた原料NiOと原料SDCをボールミルで12時間混合し、NiO−SDC混合粉を作製した後、行程3により燃料極とセルの作製を行った。表5に燃料極の気孔径分布のデータを示すが、D10=0.05μm、D90=5μm(D90/D10=100)と、気孔径分布が広い例である。
〔比較例2〕
上記行程2において、原料NiOの代わりにBET換算径20nmのNiOと、行程1で用いた原料SDCを使用してNiO−SDC複合粉体を作製した後、行程3により燃料極とセルの作製を行った。表5に示すように、平均気孔径が0.1μm(<0.15μm)と小さい燃料極の例である。
〔比較例3〕
上記行程2において、原料NiOの代わりにBET換算径800nmのNiOと、BET換算径125nmのSDCを使用してNiO−SDC複合粉体を作製した後、実施例と同様に行程3を経て燃料極とセルの作製を行った。表5に示すように、平均気孔径が0.5μm(>0.35μm)と大きい燃料極の例である。
(行程4)〔電極、セル特性の評価〕
以上のように作製した実施例、比較例1〜3のセルについて、燃料極に動作温度(600℃等)で3%加湿水素を供給してNiOをNiに還元した後、電流電圧(I−V)特性、電流遮断法により電荷移動抵抗に起因する電圧降下(IR−loss)および反応分極(η−loss)を測定した。
図5に、動作温度550〜650℃において、実施例により作製したセルに対し空気極にエアー、燃料極に3%加湿水素を供給して測定したI−V特性、出力密度を示す。600℃においても最高出力0.75W/cmと非常に優れた性能を示している。
また、表6に実施例、比較例1〜3のセルの電池性能について、電流密度0.5A/cmでのIR−lossおよびη−lossの比較結果を示す。実施例に比べて、各比較例とも、電池の内部損失となるIR−lossおよびη−lossが大きく、電池性能が劣ることがわかる。
本発明に係る燃料極を用いることにより、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の600℃等での低温作動化が実現され、SOFCの実用可能性は大きく広がる。
本発明に係る燃料極における燃料ガス及び反応生成ガスの移動を模式的に示す図 本発明に係る燃料極原料粉体を作製する粉体処理装置の概略断面図 本発明に係る燃料極の気孔径分布を示すグラフ 本発明に係る燃料極の微細構造を示すSEM画像 本発明に係る燃料電池の電流電圧特性を示すグラフ
符号の説明
1 ケーシング
2 回転軸
3 攪拌部材
4 ジャケット
5 原料投入口
6 製品排出口
7 軸受部
8 駆動部

Claims (6)

  1. 電子伝導体、酸素イオン伝導体及び気孔から構成される固体酸化物形燃料電池の燃料極であって、
    平均気孔径Drが燃料極の動作温度における燃料ガスの平均自由行程と反応生成ガスの平均自由行程との間にあり、気孔径の累積体積90%相当径D90に対する累積体積10%相当径D10の比D90/D10が10より小さいことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の燃料極。
  2. 平均気孔径Drが燃料極の動作温度における水素ガスの平均自由行程と水蒸気の平均自由行程との間にあり、気孔径分布として、累積体積10%相当径D10>0.1μm、且つ、累積体積90%相当径D90<1μmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極。
  3. 電極体積に占める気孔の割合が30%〜45%の範囲にある請求項1又は請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極。
  4. 前記電子伝導体を構成する金属がニッケル、コバルト、銅の中から1つ選ばれ、前記酸素イオン伝導体が[(Ce1−x)O2−δ](但し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で、0.1≦x≦0.3である)で表される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極に用いる原料粉末であって、BET換算径が100〜500nmの金属酸化物とBET換算径が10〜100nmのイオン伝導材料を前者に対する後者の径の比が1/5〜1/10の範囲となる条件で、乾式状態において機械的に複合化して得られる燃料極用原料粉体。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極を支持体とし、電解質に[(Ce1−x)O2−δ](但し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類の群から選ばれる金属元素で、0.1≦x≦0.3である)を用いる固体酸化物形燃料電池。

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