JP2007101969A - 紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置 - Google Patents

紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置 Download PDF

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【課題】 高感度と白灯安全性が両立する平版刷版を良好な細線再現性を有する高画質が得られるように露光処理でき、廉価な紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置を提供する。
【解決手段】 アルミニウム支持体上に、支持体側から、(a)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(b)高分子結合剤、及び(c)光重合開始剤を含有し、波長250〜420nmの範囲に感光性を有する光重合性感光層を有する平版刷版の原板に対して、波長250nm〜420nmの範囲内の波長の光を発光する発光ダイオード(LED)又はエレクトロルミネセンス(EL)素子で構成したUV光源10を備えた露光ヘッド28によって、1画素描画時間が1ミリ秒以下で露光する。
【選択図】 図5

Description

この本発明は、高感度で白灯安全性に優れた、紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置に関する。
一般に、オフセット印刷には、平版刷版として感光性印刷版が利用されている。また、この平版印刷の分野では、未露光の感光性印刷版の供給を受けて、この感光性印刷版に対しコンピュータ等のデジタルデータに基づいてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版するCTP(Computer to Plate)システムが実用化されている。
また、このようなCTPシステムで利用するために、ラジカル連鎖重合反応を用いた高感度なレーザー対応の平版刷版の開発が進んでいる。このような高感度の平版刷版は、一般的に用いられているアルゴンイオンレーザー(488、514.5nm)、FD−YAG(532nm)レーザー及びバイオレットレーザー(405nm)搭載のインナードラム型プレートセッターで露光するとカブリが生じ易いという問題がある。例えば、高感度の平版刷版では、その片側に全面ベタのような画像を露光すると、その反対側の網点が太ったり、酷い場合は未露光部に薄いカブリを生じる問題があり、改良が望まれている。
また、ArレーザーやFD−YAGレーザー対応の、レーザー製版用高感度平版刷版では、赤灯下で段ボール包装から版の取り出し、プレートセッターのカセットへの装填、あるいはセッターへの版の挿入を、暗い赤灯下で作業しなければならず、作業性に問題があった。バイオレットレーザー対応の印刷版は、これらに比較するとオレンジ灯下の作業となり、作業性は著しく向上したが、通常のジアゾ印刷版の黄灯下またはUVカット白色灯下とは異なり、同条件でジアゾ印刷版と併用して使用することは困難であった。このように、高感度レーザー記録平版印刷版は作業環境の問題があり、セーフライト適性の向上が市場より強く望まれている。
そこで、従来の平版印刷版の製版方法では、蛍光灯の発光スペクトルよりも短波長側に感度を持つ平版刷版を開発し、この未露光の平版刷版を黄灯下で取り扱えるようにすると共に、インナードラム型プレートセッターにInGaN半導体レーザー(360〜450nm)を載せて露光しても反射光によるカブリが発生せず、耐刷性を上げる目的で露光量を増加させることが可能でレーザー書き込み可能な平版印刷版に対して、紫外から可視光領域(360〜450nm)の半導体レーザー光を用いた露光装置であるインナードラム型のプレートセッターで露光するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上述のような従来提案されている高感度で白灯安全性に優れた平版刷版に対して、紫外から可視光領域の半導体レーザー光で露光するインナードラム型のプレートセッターでは、光源の波長を、250nmから420nmとするため、固体レーザの4倍波やガスレーザなどの光源を用いる必要がある。
この固体レーザ光源やガスレーザ光源は、極めて高価であり、比較的安価な405nm帯半導体レーザ光源であっても、その単価が数10万円となるので、これを用いて製作する露光装置であるインナードラム型のプレートセッターも高価になるという問題がある。
特開平2000−35673号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、廉価な光源を用いて構成し、高感度と白灯安全性が両立する紫外線領域に感度を持つ平版刷版を、良好な細線再現性を有する高画質が得られるように露光処理できる紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置を新たに提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置は、アルミニウム支持体上に、支持体側から、(a)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(b)高分子結合剤、及び(c)光重合開始剤を含有し、波長250〜420nmの範囲に感光性を有する光重合性感光層を有する平版刷版の原板に対して、波長250nm〜420nmの範囲内の波長の光を発光する発光ダイオード(LED)又はエレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)素子で構成したUV光源を備えた露光ヘッドによって、1画素描画時間が1ミリ秒以下で露光することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置において、UV光源から出射した光の波長が、405nm又は375nmの何れかの波長であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の平版刷版の枚葉供給装置において、アルミニウム支持体の表面粗さRaが0.2μmから0.55μmであることを特徴とする。
前述のように構成した本発明では、その作用機構は明確ではないが、次のように推定される。すなわち、従来の画像記録に用いられる光源は、Ar(488、514.5nm)やFD−YAG(532nm)レーザー、メタルハライドランプなどで、300〜500nmの範囲の光で画像を露光するため、平版印刷版原版はその範囲に感光性を有しており、可視領域に主な発光帯を有する室内光との重なりが大きく、また、光照射強度が低照度から中照度と、室内光と同程度の光強度で露光するため、同様に反応してしまい、室内光に対する不要な画像形成が問題となっていた。
これに対し、平版刷版における感光波長の吸収極大を短波長側へシフトさせた場合には、室内光に用いられる白色蛍光灯の発光スペクトルとの重なりが小さくなり、記録材料の画像形成感度が十分高い場合でも、白色蛍光灯の照射によって画像形成しないことが可能となる(図1および図2)。すなわち、平版刷版では、感光波長の領域を250nm〜420nmに構成することにより、室内光との重なりを最小限に抑えることができ、室内光の照射による不要な画像形成を抑制することが可能となる。
また、ラジカル重合型の平版刷版を露光記録する場合には、膜形成に必要となる光パワーは膜内に流入する酸素量の速度によって大きく変わる。これを現象論的に表現すると、以下のようになる。
一般に、発生するラジカル量Nは、照射する露光エネルギーJに比例する。
J=c1・N (c1は比例定数)
照射光により発生したラジカルは、膜内に流入する酸素によって捕捉される。この捕捉量Noは、単位時間当たりの流入酸素量qと露光開始からの経過時間tに比例する。
No=c2・q・t (c2は比例定数)
これから、ラジカルが発生しても重合に関与しない露光エネルギーJoは次のように表される。
Jo=c1・c2・q・t
従って、画像形成に必要な露光エネルギーJは、Joよりも高い照射エネルギーが必要となる。
一方、短時間露光した場合に生じたラジカル量が流入する酸素量よりも大量にある場合には、重合が短時間で完了しやすくなるため、流入する酸素量に無関係に照射エネルギーJthは決まることとなる。
この関係を、横軸を照射にかける時間t(sec)、縦軸を照射エネルギーJとして模式的に表すと図3に示す関係となる。従って、従来のような分オーダーでの面露光の場合には、高い照射エネルギーが必要である。これに対し、Jthの時間領域で照射できれば低い照射エネルギーで画像形成することが可能となる。
本発明では、ラジカル重合型版材料に対して、照射時間領域が1ミリ秒(msec)以下で、かつ、ラジカル発生量が十分大きく、重合速度が大きくなる露光条件(例えば、高出力UV光ビームによる高照度露光)と、平版刷版の感光特性とを組み合わせた場合に、前述したJthとなる領域があることを見出した。
従って、版に画像形成する上で1画素の照射時間を1ミリ秒以下にすることで、所望の画像形成にかける照射エネルギーを低減することが可能となり、しかも数分以上低照度で照明される明室(白灯下)でのかぶりも高い照射エネルギーがないと生じないため、白灯安全性も確保できるのではないかと推定される。
また、この紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置は、発光ダイオード又はEL素子で構成したUV光源は、レーザー光源に比べて廉価であり、レーザー光源の駆動制御装置のような複雑で高価な部品を必要としないので、これを用いて紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置を廉価に構成することができる。さらに、多数の発光ダイオード(LED)又はEL素子を同時に使う場合には、その内の少数の素子が故障しても光源全体としての機能を維持できるので、メンテナンスを軽減し、修理のために装置を停止したり、修理に要する労力と時間を軽減することができる。
本発明の紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置によれば、廉価な光源を用いて構成することにより露光装置を廉価に製造可能とすると共に、この露光装置によって、高感度と白灯安全性が両立する紫外線領域に感度を持つ平版刷版に良好な細線再現性を有する高画質が得られるように露光処理できるという効果がある。
本発明の紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置に関する実施の形態について、図4乃至図9により説明する。まず、紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置の構成について説明し、この紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置で露光処理して形成した潜像を現像処理によって顕在化する処理について説明し、最後に平版刷版の化学的構成について説明する。
〔平版刷版用の露光装置〕
本実施の形態に係わる紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置は、走査露光方式の露光装置である、例えばインナードラム(内面ドラム)露光装置、アウタードラム(外面ドラム方式)露光装置、フラットベッド方式の露光装置として構成することができる。なお、平版刷版の露光装置としては、品質、コスト面からインナードラム露光装置が好適であり、生産性の面からは外面ドラム露光装置が好適である。
ここで、平版刷版用の露光装置をインナードラム露光装置(円筒内面走査型光ビーム走査装置)で構成した場合について、図4により説明する。
このインナードラム露光装置では、露光用の光ビーム出力手段としての紫外線領域の波長(ここでの紫外線領域の波長は、250nm〜420nm)を持つ光を発光するUV光源10を設ける。このUV光源10は、例えば、紫外線領域の出力波長を持つ発光ダイオード等の、空間的にコヒーレントでない光を出射する半導体素子を用いて構成する。なお、このUV光源10では、重合速度を高速化できる高照度短時間露光が可能な観点、生産性向上の観点及び白色蛍光灯の発光スペクトル重なりが小さくなるという観点から、適切な紫外線領域の波長の光を発光する発光ダイオードを用いることが望ましい。
この紫外線領域の出力波長を持つ発光ダイオードは、個々の出力がレーザ光源ほど高くないが、光パワー不足を補うように複数のLED素子を利用して、レーザ光源と同等の出力が得られるように構成する。このため、複数の発光ダイオードチップを2次元アレイ状に近接させて並べ、それぞれを連続点灯させるようにして所要の出力を得られるように構成する。
また、このUV光源10は、紫外線を発光するエレクトロルミネセンス素子を用いて構成しても良い。
このエレクトロルミネセンス(EL)を利用したUV光源10は、電圧をかけると発光する物質をガラス基板で挟んで構成する。例えば、紫外線を発光するEL(例えば、主鎖をケイ素のみで構成した高分子であるポリシランで高いキャリア移動度と蛍光量子収率を持つ透明な薄膜を利用して作ることができる)を用いて構成しても良い。
このインナードラム露光装置では、UV光源10から出射されたUV光ビームLoを、電気光学変調素子12によって画像信号に応じて強度変調し、さらにビームエキスパンダを構成するレンズL1およびレンズL2を通すことによりビーム径を拡大、変更する調整を行う。
このように調整されたUV光ビームLoは、ハーフミラー14、ミラー16によりドラム(円筒)Dの中心軸に沿ってドラムD内に導かれる。ドラムDの中心軸を通る光路上には、走査光学系を形成する集光レンズL3とスピナーSPを配置する。
このスピナーSPの回転軸部には、中心軸(回転軸)に対して約45°傾斜した反射面を形成し、この回転軸部と一体の反射面を、モータにより高速回転するよう構成する。なお、このモータには、図示しないが、所定回転角ごとに出力されるパルス信号pと、1回転の基準位置を示す基準位置信号poとを出力するロータリーエンコーダを取付け、スピナーSPの回転角(θ=ωt)を検出するように構成する。
このスピナーSPに導かれる光ビームは、回転軸上に配置した図示しないビームエキスパンダと、集光レンズL3を通って、ドラムDの内周面に配置した平版刷版20上に合焦して走査露光を行う。
また、このインナードラム露光装置では、制御装置11がLEDドライバ22にUV光源を駆動する指令信号を送信すると、このLEDドライバ22がUV光源10を駆動してUV光ビームLoを出射するよう構成する。
このインナードラム露光装置では、制御装置11がEOドライバ24に形成すべき画像情報に基づく画像信号を送信すると、EOドライバ24がUV光源10から出射されたUV光ビームLoを電気光学変調素子12によって強度変調するよう構成する。なお、このEOドライバ24は、変調されたUV光ビームLoをハーフミラー14で分岐し、この分岐された光ビームを光検出器18で測定することにより校正する制御を行う。
このインナードラム露光装置では、制御装置11が、スピナードライバ26に指令信号を送信すると、スピナードライバ26がスピナーSPを主走査方向と副走査方向とに対して駆動制御することにより、スピナーSPによりUV光ビームLoを平版刷版20上に合焦させた状態でスピナーSPの回転軸の略円周方向に高速で主走査しながら、図示しない移動手段で集光レンズL3およびスピナーSPをドラムの中心軸に沿った副走査方向に一定速度で移動させる制御を行う。
このインナードラム露光装置では、制御装置11の露光用の制御によって、ドラムDの内周面上に配置された平版刷版20の表面をUV光源10から射出される露光用の光ビームにより2次元的に走査露光して、画像データに応じた画像を露光して潜像を形成する処理を行う。
次に、平版刷版用の露光装置をアウタードラム露光装置で構成した場合について、図5(A)の平面図及び(B)の側面図により説明する。このアウタードラム露光装置は、UV光源10を備えた1次元露光用の露光ヘッド28から画像情報に応じて変調して出射された露光用の光ビームを、アウタードラム30上に巻回して配置した平版刷版20に走査露光して潜像を形成する処理を行うように構成する。
この露光ヘッド28は、UV光源10と、シリンドリカルレンズ32と、コリメートレンズ34と、偏光子36と、空間光変調素子アレイである強誘電性液晶シャッターアレイ38と、λ/2板40と、検光子42と、変倍結像光学系の2枚のレンズ44、46とを備えている。
この露光ヘッド28で用いるUV光源10は、例えば図6(A)に示すように、円形状の複数の紫外線領域の出力波長を持つ発光ダイオードを列に並べてライン状の光源アレイとして構成することができる。さらに、このUV光源10は、図6(B)に示すように、矩形状の複数の紫外線領域の出力波長を持つ発光ダイオード(LED)を、それぞれ斜めにして1列に並べて、所定の幅に合わせて密度を上げて配置して構成することができる。このUV光源10は、図6(C)に示すように、矩形状の複数の紫外線領域の出力波長を持つ発光ダイオード(LED)を2列に千鳥状に並べて構成することができる。この露光ヘッド28では、画像データに応じてコントローラ48で強誘電性液晶シャッターアレイ38を駆動制御するように構成する。
このように構成した露光ヘッド28では、図5(A)(B)及び図6(図6では、コリメートレンズ34、λ/2板40、変倍結像光学系の2枚のレンズ44、46の記載を省略している)に示すように、UV光源10から射出された光ビームを、シリンドリカルレンズ32により、図5(b)に向かって上下方向に収束し、続くコリメートレンズ34により、図5(a)に向かって上下方向に平行光とし、かつ図5(b)に向かって上下方向に収束して、偏光子36に入射させる。
この偏光子36は、UV光源10から出射された露光用の光ビームのうち、45゜方向の偏光のみを透過して取り出し、この45゜方向の偏光を強誘電性液晶シャッターアレイ38に入射させる。
このように45゜方向の偏光だけにされた露光用の光ビームは、コントローラ48で駆動制御された強誘電性液晶シャッターアレイ38を透過する際に画像データに応じて変調される。この時、強誘電性液晶シャッターアレイ38を透過した露光用の光ビームは、強誘電性液晶シャッターアレイ38により光の偏光状態が角90゜回転され、さらに、λ/2板40により光の偏光状態が角45゜回転されて検光子42に入射される。
この検光子42は、光の偏光状態が所定の角度に回転された露光用の光ビームのみを通過させ、これ以外の光ビームを遮断する。検光子42を通過した露光用の光ビームは、変倍結像光学系の2枚のレンズ44、46により、ドラム30上に装着された平版刷版20上に所定の倍率で結像され、平版刷版20を露光する。
露光ヘッド28は、記録媒体である平版刷版20上への画像の記録時に、画像データに応じて変調された露光用の光ビーム射出しながら、副走査方向(ドラム30の軸方向)へ所定の一定速度で移動される。
ドラム30は、記録媒体である平版刷版20の支持台である。平版刷版20上への画像の記録時には、平版刷版20がドラム30の外周面上に装着され、ドラム30と一体に平版刷版20が所定の方向(主走査方向の反対方向)へ所定の一定速度で回転される。
この平版刷版用の露光装置では、図示しないドラム30の回転手段により、ドラム30を主走査方向と反対の方向へ所定の一定速度で回転させながら、同じく図示しない露光ヘッド28の移動手段により、露光ヘッド28を副走査方向に所定の一定速度で移動させることによって、ドラム30の外周面上に装着された平版刷版20が、ドラム30から射出される露光用の光ビームにより2次元的に走査露光されて画像データに応じた画像が記録される。
なお、空間変調素子(SLM)は、強誘電性液晶シャッターアレイ24に限定されず、例えばGLV(グレーティングライトバルブ)、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)等のように、従来公知の透過型および反射型のSLMがいずれも利用可能である。また、ドラム30を用いることも限定されず、記録媒体の支持台として平板を用いてもよい。
また、図5及び図6に示すものでは、空間光変調素子アレイとして、線変調を行う強誘電性液晶シャッターアレイ38を用い、露光ヘッド28とドラム30とを相対的に移動させて、平版刷版20を2次元的に走査露光しているが、空間光変調素子アレイとして、例えば面変調が可能なものを用い、露光用の光ビームを所定の倍率で拡大縮小して、平版刷版20を走査することなく一括面露光することも可能である。なお、アウタードラム方式としては、空間変調素子、例えばDMD変調素子やGLV変調素子等とUV光源10との組み合わせからなる光学系により、マルチチャンネルで露光する方式が、高生産性および低コスト化に有利であり好ましい。また、GLV変調素子を用いる光学系については、特開2000−168136号公報、特開2001−162866号公報等に記載されている構成を利用することができる。
次に、平版刷版用の露光装置における露光ヘッド28の他の構成例について、図7により説明する。この露光ヘッド28は、UV光源10と、シリンドリカルレンズ32と、図示しないコントローラで画像データに基づいて駆動制御される空間光変調素子アレイである液晶シャッターアレイ50と、セルフォックレンズアレイ52とを備える。
この液晶シャッターアレイ50は、コントローラの制御信号によって、画素毎に光を透過または遮断する液晶シャッターを使う。セルフォックレンズアレイ52は、セルフォックレンズ素子としてのセルフォックマイクロレンズを利用して構成する。
ここで、一般に、セルフォックレンズ素子は、ガラスの中に含まれるイオンを別のイオンに置き換えることにより、ガラスの屈折率を局所的に変えたり、屈折率分布を形成して構成する。さらにセルフォックマイクロレンズは、中心軸から外周面に向かって屈折率が放物線状に分布している円柱状の光学ガラス体である。このセルフォックレンズアレイ52は、セルフォックマイクロレンズと類似の径方向屈折率分布を持つレンズを多数配置して構成する。
図7に示す露光ヘッド28では、UV光源10とシリンドリカルレンズ32とを液晶シャッターアレイ50に近接させ、その出射光をセルフォックレンズアレイ52で露光面となる平版刷版20上に結像させる。
なお、平版刷版20は、図5に示すものと同様に、ドラムに固定して高速回転(主走査)し、図7に示す露光ヘッド28を副走査方向に定速移動(スパイラル露光)またはステップ移動(ステップ露光)して、2次元的に走査露光して画像データに応じた画像を記録する。あるいは、図7に示す露光ヘッド28を使って、基台に吸着固定された平版刷版202次元走査しながら露光を行なうように構成しても良い。この場合には、露光ヘッド28は、主走査方向に往復移動し、また副走査方向にステップ移動するように構成する。この図7に示す露光ヘッド28では、前述した図5及び図6に示す露光ヘッド28に比べて構成を簡素化し、廉価に製造できる。
次に、平版刷版用の露光装置における露光ヘッド28の他の構成例について、図8及び図9(要部の拡大斜視図)により説明する。この露光ヘッド28は、UV光源10から入射された露光用の光ビームを、平面の所定露光領域に対応した画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子(2次元光変調器)として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)54を備えている。この2次元光変調器であるDMD54は、データ処理手段とミラー駆動制御手段を備えた制御ユニット(制御手段)56により駆動制御される。
この制御ユニット56のデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、DMD54の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御(各マイクロミラー反射面の角度の制御)するための制御信号を生成する。
この露光ヘッド28におけるDMD54の光入射側には、照明装置であるUV光源10を配置する。このUV光源10は、紫外線領域の出力波長を持つ発光ダイオードを所要の光出力に足りるだけの個数だけ近接させて二次元的に配置したLEDアレイで構成する。
この露光ヘッド28では、UV光源10のLEDをそれぞれ連続点灯させ、各LEDの出射光を集光レンズ58で円柱状のロッドレンズ60に入射させ、ロッドレンズ60内部の多重反射によってLEDアレイからの露光用の光ビームを拡散させ、均一化させることにより、周期的なむらのない鮮明な画像形成を可能とする。このロッドレンズ60から出射した露光用の光ビームは、結像レンズ62でいったん結像した上でDMD54に照射する。
このDMD54は、図示しないが、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小矩形状のミラーであるマイクロミラーをSRAMセル上に格子状に配列したミラーデバイスとして全体がモノリシック(一体型)に構成されている。各マイクロミラーの表面には、アルミニウム等の反射率の高い材料を蒸着して反射面を構成する。各マイクロミラーは、対角線方向に±a度(±10度)傾斜操作可能に構成する。このDMD54では、マイクロミラーが傾斜する対角線方向の両端部にそれぞれ構成された各ミラー アドレス エレクトロード(Mirror Address Electrode)の一方側又は他方側に蓄えた電荷による静電気力を利用して、マイクロミラーがオン状態である+a度に傾いた状態又はマイクロミラーがオフ状態である−a度に傾いた状態に駆動制御可能に構成されている。
このように構成されたDMD54では、SRAMセルにデジタル信号が書き込まれると、画像信号に応じて、DMD54の各ピクセルにおけるマイクロミラーが、それぞれ対角線を中心としてDMD54が配置された基板側に対してオン状態である+a度に傾いた状態又はオフ状態である−a度に傾いた状態となるように制御され、DMD54に入射された光をそれぞれのマイクロミラーの傾き方向へ反射させる。
このオン状態のマイクロミラーにより反射された光は露光状態に変調され、DMD54の光出射側に設けられた投影光学系へ入射する。またオフ状態のマイクロミラーにより反射された光は非露光状態に変調され、光吸収体(図示省略)に入射する。このようなDMD54によって変調された露光用の光ビームは、拡大光学系64、マイクロレンズアレイ及びアパーチャアレイ66、縮小光学系68を経て、平版刷版20上に結像される。
なお、この図8及び図9に示す露光ヘッド28は、例えばインナードラム(内面ドラム)露光装置、アウタードラム(外面ドラム方式)露光装置、フラットベッド方式の露光装置に利用できる。
上述のように構成した紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置では、平版刷版20の露光処理を行う際に、平版刷版20の感光層での化学反応で酸素との競争反応を最小限に抑えるため、画素描画時間(画素滞留時間ともいう)を短くするほど好ましく、画素描画時間を1ミリ秒以下とすることにより、酸素による重合阻害を抑制し、画像形成の劣化を低減できる。より好ましくは500μ秒以下、最も好ましくは、100μ秒以下である。なお、画素描画時間(画素滞留時間ともいう)とは、露光用の光ビームの巾を露光用の光ビームが通過する時間であり、1画素を露光用の光ビームで照射する時間である。
〔現像処理〕
紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置で露光処理した平版刷版は、現像処理を行うことにより平版刷版20の未露光部を除去して潜像を顕在化して画像が形成された平版刷版を作製する。
平版刷版20に対し現像液による現像処理を施す場合には、現像液として従来知られているアルカリ水溶液を使用できる。この現像液としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は、単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が一段と発揮される現像液は、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するpH12以上の水溶液である。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(すなわち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5であって、SiO2の含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(すなわち〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4質量%であり、かつこの現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20質量%のカリウムを含有していることとからなるアルカリ金属ケイ酸塩が好適に用いられる。現像液のpHとしては9〜13.5の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜13の範囲である。現像液温度は15〜40℃が好ましく、更に好ましくは20〜35℃である。現像時間は5〜60秒が好ましく、更に好ましくは7〜40秒である。
更に、自動現像機を用いて、該感光性平版印刷版を現像する場合に、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の感光性平版印刷版を処理することができることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような現像液のSiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(すなわち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、しかも平版印刷版原版の処理量に応じて連続的または断続的にSiO2/Na2Oのモル比が0.5〜1.5(すなわち〔SiO2〕/〔Na2O〕が0.5〜1.5)のケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液に加える方法、更には、特公昭57−7427号公報に開示されている、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(すなわち、〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4質量%であるアルカリ金属ケイ酸塩の現像液を用い、補充液として用いるアルカリ金属ケイ酸塩の〔SiO2〕/〔M〕が0.25〜0.75(すなわち〔SiO2〕/〔M2O〕が0.5〜1.5)であり、かつ該現像液および該補充液のいずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20質量%のカリウムを含有していることとからなる現像方法が好適に用いられる。
このようにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム(株)製)等が挙げられる。
本発明の製版方法に用いる平版印刷版原版の製版プロセスとしては、現像処理の前に水、または温水により、保護層を溶解除去することが好ましい。このプロセスを行うことにより、現像液中に保護層の成分が溶け込まないため現像カスの発生が防止できる利点や、光重合性感光層に現像時のブラシが均一にあたり、力の逃げがないことにより、平網の均一性が高くなる利点が出てくる。
保護層の除去方法は、特に限定されないが、たとえば、水溶液(通常温度5〜40℃、好ましくは15〜30℃)に一定時間(例えば5秒〜1分間)浸漬することにより行うことができる。ここで水溶液としては、例えば、水、または、活性剤もしくは溶剤などを30質量%以下含んだ水溶液を挙げることができる。
また、本発明の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。
さらに、画像強度、耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、未露光部までかぶってしまう等の問題を生じる。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜300℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
〔平版刷版の原版〕
本実施の形態で用いる平版刷版20の原版は、アルミニウム支持体上に、この支持体側から、(a)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(b)高分子結合剤、及び(c)光重合開始剤を含有し、波長250〜420nmの範囲に感光性を有する光重合性感光層、水溶性ポリマーを含有する保護層を有する。
以下、平版印刷版原版を構成する要素について説明する。
〔1〕アルミニウム支持体
アルミニウム基板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙の中から選ばれる。
以下の説明において、上述したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板をアルミニウム基板と総称して用いる。このアルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本実施の形態では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本実施の形態に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJIS A 1050、JISA 1100、JISA 3103、JIS A 3005などを適宜利用することが出来る。また、本実施の形態に用いられるアルミニウム基板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mmから0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。アルミニウム基板には適宜必要に応じて後述の基板表面処理が施されてもよい。もちろん施されなくてもよい。
〔粗面化処理〕
アルミニウム基板は、通常粗面化処理される。粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。さらに塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上述した粗面化方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸または硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流および/または直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム基板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。酸には硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法および特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均組さRaが0.2〜0.55μmであれば、特に方法条件は限定しない。
〔陽極酸化処理〕
以上のようにして粗面化処理されたアルミニウム基板には、その後に陽極酸化処理がなされ酸化皮膜が形成される。陽極酸化処理は、硫酸、燐酸、シュウ酸もしくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独もしくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。さらには第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3成分とは、例えばNa、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流または交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも上げることができる。この様な表面層としては例えば米国特許第3055295号明細書や、特開昭56−13168号公報記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号公報記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号公報記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を上げる事ができる。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
このようにして作製したアルミニウム支持体の表面粗さとしては、Ra表示で0.2〜0.55μmの範囲のものが好ましく使用される。表面粗さRaを0.2μm以上とすることによりアルミ支持体の砂目形成の不完全性をより抑制でき、耐刷性をより確保できる。また、Raを0.55μm以下とすることにより、砂目の深い部分で光重合が進み難くなることに起因する小点及び細線の再現性低下をより防止できる。表面粗さRa(砂目粗さ)として更に好ましい範囲は0.25μm〜0.5μmであり、最も好ましい範囲は0.3μm〜0.45μmである。
上記の如く表面処理されたアルミニウム支持体上に後述の光重合性感光層を形成することで、本発明の感光性平版印刷版を作製するが、感光層を塗設する前に必要に応じて、有機または無機の下塗り層が設けられていてもかまわない。
〔2〕下塗層
アルミニウム板は、感光層を塗設する前に必要に応じて有機下塗層が設けられる。この有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸エステル、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ばれるが、二種以上混合して用いてもよい。
上記表面処理を行った後に、下塗層として水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体(特開昭59−101651号公報)、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を設けることができる。さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
その他、好ましい例として、特開2003−021908号に記載のオニウム基を有する下塗り層、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。この様な表面層としては例えばUS3055295や、特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を上げる事ができる。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
下塗り層の塗設量は、乾燥質量として、一般的に0.5〜500mg/m2、好ましくは1〜100mg/m2である。
〔3〕バックコート層
支持体に表面処理を施した後または下塗層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
〔4〕光重合性感光層
本発明に用いる感光性平版印刷版の、波長250〜420nmの範囲に感光性を有する光重合性感光層(以下、単に感光層とも呼ぶ)を構成する光重合型感光性組成物(以下、光重合性組成物と呼ぶ)は、好ましくは、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合
物、高分子結合剤、光重合開始剤を必須成分とし、必要に応じ、増感色素、共増感剤、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を含有する組成物である。
〔エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(a)〕
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(以下、エチレン性不飽和化合物とも呼ぶ)とは、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた時、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋、硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。付加重合可能なエチレン性不飽和結合を含む化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。
モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス[p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]ジメチルメタン、ビス−[p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル]ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,5−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物も挙げることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレシビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (A)
(ただし、RおよびR'はHあるいはCH3を示す。)
また、特開昭51-37193号、特公平2-32293号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48-64183号、特公昭49-43191号、特公昭52-30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。さらに日本接着協会誌Vo1.20, No.7, 300〜308ぺ−ジ (1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらエチレン性不飽和結合含有化合物の使用量は、感光層の全質量に対し通常5〜80質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲で使用される。
〔高分子結合剤(b)〕
感光層に用いられる高分子結合剤は、該組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、アルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ現像液に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用される、該有機高分子重合体は、例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭54-92723号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。
この他に水溶性有機高分子重合体として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。また特公平7−120040号、特公平7-120041号、特公平7-120042号、特公平8-12424号、特開昭63-287944号、特開昭63-287947号、特開平1-271741号、特開平11-352691号各公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用途には有用である。
特に(メタ)アクリル構造単位またはウレタン構造単位を有する重合体が好ましい。
有機高分子重合体は側鎖にラジカル反応性基(架橋性基)を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させることができる。付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又光照射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、又アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレン基、スルホン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能基も有用である。
(メタ)アクリル構造単位またはウレタン構造単位を有する重合体であり、側鎖に架橋性基を有するものが好ましい。
組成物の現像性を維持するためには、本発明における高分子結合剤は適当な分子量、酸価を有することが好ましく、質量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜200の高分子重合体が有効に使用される。これらの高分子結合剤は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし、感光層の全質量に対し、画像強度等の点で90質量%以下が好ましい。好ましくは10〜90質量%、より好ましくは3〜80質量%である。
また、光重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物と高分子結合剤は、質量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましくは3/7〜7/3である。
〔光重合開始剤(c)〕
波長250〜420nmの範囲に感光性を有する感光層とすべく、本発明において感光性平版印刷版の感光層に含有させる光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光重合開始剤、あるいは2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができる。
以下、このような光重合開始剤(系)について説明する。
400nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合に種々の光開始系が提案されている、例えば、米国特許第2,850,445号に記載のある種の光還元性染料、ローズベンガル、エオシン、エリスロジン、あるいは、染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号各公報)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号公報)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号各公報)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号公報)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−140203号、特開昭59−189340号、特開昭62−174203号、特公昭62−1641号各公報、米国特許第4766055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−258903号、特開平2−63054号等各公報)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開昭64−13140号、特開昭64−13141号、特開昭64−13142号、特開昭64−13143号、特開昭64−13144号、特開昭64−17048号、特開平1−229003号、特開平1−298348号、特開平1−138204号等各公報)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開平2−244050号各公報)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号公報)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号公報)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−334897号公報)等を挙げることができる。
特に、チタノセン化合物やヘキサアリールビイミダゾールを用いた系が好ましい。
また400〜410nmの波長のレーザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感応する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系が開発されており、例えば、カチオン色素/ボレート系(特開平11−84647号公報)、メロシアニン色素/チタノセン系(特開2000−147763号公報)、カルバゾール型色素/チタノセン系(特開2001−42524号公報)等の光開始系を挙げることができる。特にチタノセン化合物を用いた系が、感度の点で優れており好ましい。
チタノセン化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されている各種チタノセン化合物から適宜選んで用いることができる。さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−フルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6′−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニ−1−イル等を挙げることができる。
更に上記光重合開始剤に必要に応じ、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等の水素供与性化合物を加えることにより更に光開始能力が高められることが知られている。
これらの光重合開始剤(系)の添加量は、エチレン性不飽和結合含有化合物100質量部に対し、通常0.05〜100質量部、好ましくは0.1〜70質量部、更に好ましくは0.2〜50質量部の範囲で用いられる。
〔共増感剤〕
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。
即ち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。
共増感剤は、大きくは、以下の(a)〜(c)に分類されるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成しうる化合物
(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうる化合物
(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が開裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的には、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007101969
共増感剤に関しても、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。
共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
共増感剤の添加量は、エチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な化合物100質量部に対し通常0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部である。
〔熱重合禁止剤〕
また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。
熱重合禁止剤の添加量は、感光層を構成する全固形分に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体等の添加量は、感光層を構成する全固形分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
〔他の添加剤〕
更に感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料 (C.I.Pigment Blue 15:3、15:4、15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約20質量%が好ましい。加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全組成物の10質量%以下が好ましい。
〔塗布液〕
感光層の塗設に際しては、上記各成分を溶媒に溶解し塗布液を調製する。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライト、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート−3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどの有機溶媒がある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。
塗布液中の固形分の濃度は通常1〜50質量%である。
また、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加することもできる。
感光層の被覆量は乾燥後の質量で、通常約0.1〜約10g/m2、好ましくは0.3〜5g/m2、より好ましくは0.5〜3g/m2である。
〔5〕保護層
感光性平版印刷版は、感光層の上に水溶性ポリマーを含有する保護層を有する。保護層が含有する水溶性ポリマーとしては、例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーであり、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、除去性といった基本特性にもっとも良好な結果を与える。ポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を付与するため、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの好ましい具体例としては、71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげることができる。
具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等があげられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
保護層中の水溶性ポリマーの割合は、保護層の全質量に対し通常40〜100質量%、好ましくは80〜95質量%である。
保護層の塗設量は、乾燥質量として、一般的に0.1〜10g/m2、好ましくは0.5〜5g/m2である。
本発明における保護層については、保護層についての公知の技術を適用することができるが、例えば、以下に述べるような技術を挙げることができる。
保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の水洗により容易に除去できることが望ましい。この点について、米国特許第3、458、311号、特開昭55−49729号に記載されている保護層に関する技術を応用することができる。
また、感光層と保護層との接着性を改善すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292、501号、米国特許第44、563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
さらに、保護層に他の機能を付与することもできる。例えば、露光に使う光の透過性に優れ、かつ550nm以上の光を効率良く吸収しうる着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高める事ができる。
以下、本発明の平版刷版の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[アルミニウム支持体の作製方法]
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。
これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
[下塗り層の塗設]
次に、アルミニウム支持体に下記組成の下塗り層塗設用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。
(下塗り層塗設用塗布液)
エチルメタクリレートと2−アクリルアミド−2−メチル−1−
プロパンスルホン酸ナトリウム塩のモル比75:25の共重合体
(分子量 1.8万) 0.1g
2−アミノエチルホスホン酸 0.1g
メタノール 50g
イオン交換水 50g
[感光層の塗設]
上記下塗り層上に、下記組成の感光層塗布液を調製し、乾燥後の膜厚が0.15g/m2になる様に、ホイラーで塗布し、100℃で1分乾燥させた。
(感光層塗布液)
エチレン性不飽和結合含有化合物:
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.5g
結合剤: 下記構造 1.8g
Figure 2007101969
増感色素: 下記構造 0.1g
Figure 2007101969
重合開始剤: 下記構造 0.15g
Figure 2007101969
増感助剤: 下記構造 0.2g
Figure 2007101969
着色顔料分散物:下記組成 1.5g
熱重合禁止剤:N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン 0.01g
界面活性剤:大日本インキ化学工業(株)製メガファックF176 0.02g
メチルエチルケトン 20.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
(顔料分散物の組成)
Pigment Blue 15:6 15質量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量部
(共重合モル比83/17)熱重合
シクロヘキサノン 15質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
[保護層の塗設]
この感光層上に下記組成よりなる保護層の塗布液を、乾燥塗布質量が2g/m2となる
ように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(保護層の塗布液組成)
ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550) 4g
ポリビニルピロリドン(分子量10万) 1g
水 95g
上記で得られた感光性平版原版をP−1とする。
次にP−1の感光層の塗布液の内、エチレン性不飽和結合含有化合物および結合剤を以下の化合物に変えた他は、全くP−1の作製法と同様にして感光性平版原版P−2を作製した。
エチレン性不飽和化合物: 下記構造 1.8g
Figure 2007101969
結合剤: 下記構造のウレタン樹脂 1.8g
Figure 2007101969
次にP−1の感光層の塗布液の内、エチレン性不飽和化合物、結合剤、増感色素、重合開始剤、増感助剤を以下に変更した他は、全くP−1の作製法と同様にして、感光性平版原版P−3を作製した。
エチレン性不飽和化合物: 下記構造 1.8g
Figure 2007101969
結合剤: 下記構造 1.8g
Figure 2007101969
増感色素: 下記構造 0.1g
Figure 2007101969
重合開始剤: 下記構造 0.4g
Figure 2007101969
増感助剤: 下記構造 0.2g
Figure 2007101969
次にP−1の感光層の塗布液の内、増感色素を下記構造の化合物に変更した他は、全くP−1と同様にして、比較用の感光性平版原版P−4を作製した。
Figure 2007101969
上記で作製した各平版原版の感光層は下記の吸収極大波長を有する。
P−1: 400nm
P−2: 400nm
P−3: 405nm
P−4: 490nm
上記のように作製した平版印刷版原版P−1〜P−4を用いて、画像形成を行い、感度、網点再現性、細線再現性および白灯安全性について評価した。以下に用いた露光方法、現像方法および評価方法を示す。その評価結果を表1に示す。
(1)露光方法
〔実施例1〜3、比較例1〕
平版印刷版原版P−1〜P−4を図8に示すDMD空間変調素子を用いた光学系からなる露光ヘッドを使用して、405nm又は375nmの波長を有する露光用の光ビームにて、出力2mW、周長900mmの外面ドラム、ドラム回転数800rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。1画素描画時間は表1に示したとおりである。
〔比較例2〕
平版印刷版原版P−1〜P−4をYAG発振モードロック固体レーザーの4倍波である488nm(比較例2)レーザー、出力100mW、スピンドルミラー30000rpm、インナードラム方式、解像度2400dpiの条件で露光した。1画素描画時間は表1に示したとおりである。
(2)現像/製版処理
富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−850P2(プレヒート温度は100℃)に下記現像液と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を、現像/製版し、平版印刷版を得た。
保護層は、上記自動現像機中にて、25℃、水で10秒間水洗、除去される。
(下記組成からなるpH11.6の水溶液)
水酸化ナトリウム 0.15質量部
下記構造化合物 5.0 質量部
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1 質量部
水 94.75質量部
Figure 2007101969
(3)平版印刷版原版の評価
<感度>
露光の際に版面上にグレイスケールを貼り付け、その上から露光した。グレイスケールは光量が1/21/2ずつ変化するように作られており、グレイスケールの段数が高いほど、感度が高いことを示す。感度はグレイスケールのテールの段数にて判断した。
<網点再現性および細線再現性>
網点再現性はGATFチャートの200線網点1〜99%を、細線再現性は細線チャート(10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、60、80、100μm)を露光し、現像製版後の画像を25倍ルーペで観察し、網点、細線が鮮明に残っている網点面積、細線巾により評価した。
<白灯安全性>
露光されていない平版印刷版原版を、白色蛍光灯下に起き、平版印刷版原版の表面で1luxの光量になる条件下に設置し、時間を変えて全面露光を行った。露光後、現像処理を行い、残膜を生じる露光量を評価した。この時間が長いほど白灯安全性が優れることを意味する。
〔比較例3、4〕
実施例1の1画素描画時間を表1記載のように変更した以外は、実施例2と同様にして露光および印刷評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
平版印刷版原版P−4を用いて、488nmアルゴンイオンレーザーで、1画素描画時間を表1記載のように変更した以外は、実施例2と同様にして露光および印刷評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2007101969
表1から明らかなように、本発明の画像形成方法は、高感度と白灯安全性が両立し、良好な網点再現性および細線再現性を示すことが明らかである。
白色蛍光灯を2時間照射した場合にカブリを生ずる記録材料の記録感度を示す図である。 白色蛍光灯の発光分布を示す図である。 照射時間に対する画像形成に必要な照射エネルギーを示す図である。 本発明の実施の形態に係わる円筒内面走査型光ビーム走査装置を示す概略構成図である。 (a)および(b)は、それぞれ本発明の実施の形態に係わるアウタードラム方式の画像記録装置の概略構成を示す平面図および側面図である。 本発明の実施の形態に係わるアウタードラム方式の画像記録装置に用いる露光ヘッドの要部を説明するための概略斜視図である。 本発明の実施の形態に係わるアウタードラム方式の画像記録装置に用いる他の構成の露光ヘッドの要部を説明するための概略斜視図である。 本発明の実施の形態に係わるDMDとUV光源との組み合わせからなる光学系によりマルチチャンネルで露光する方式の画像記録装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態に係わるDMDとUV光源との組み合わせからなる光学系によりマルチチャンネルで露光する方式の画像記録装置における要部を説明するための概略斜視図である。
符号の説明
10 UV光源
11 制御装置
12 電気光学変調素子
20 平版刷版
22 LEDドライバ
24 強誘電性液晶シャッターアレイ
26 スピナードライバ
28 露光ヘッド
30 アウタードラム
32 シリンドリカルレンズ
34 コリメートレンズ
36 偏光子
38 強誘電性液晶シャッターアレイ
42 検光子
48 コントローラ
50 液晶シャッターアレイ
52 セルフォックレンズアレイ
56 制御ユニット
58 集光レンズ
60 ロッドレンズ
62 結像レンズ
64 拡大光学系

Claims (3)

  1. アルミニウム支持体上に、当該支持体側から、(a)エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、(b)高分子結合剤、及び(c)光重合開始剤を含有し、波長250〜420nmの範囲に感光性を有する光重合性感光層を有する平版刷版の原板に対して、波長250nm〜420nmの範囲内の波長の光を発光する発光ダイオード(LED)又はエレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)素子で構成したUV光源を備えた露光ヘッドによって、1画素描画時間が1ミリ秒以下で露光することを特徴とする紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置。
  2. 前記UV光源から出射した光の波長が、405nm又は375nmの何れかの波長であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置。
  3. 前記アルミニウム支持体の表面粗さRaが0.2μmから0.55μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外線領域に感度を持つ平版刷版用の露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013195442A (ja) * 2012-03-15 2013-09-30 V Technology Co Ltd 露光装置、露光方法及び露光済み材製造方法
CN106238289A (zh) * 2016-05-10 2016-12-21 哈尔滨理工大学 一种uv led固化装置
JP2017504842A (ja) * 2013-10-30 2017-02-09 インフィテック. カンパニー、 リミテッド 露光用led光源装置及び露光用led光源装置管理システム

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