以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、第1の実施の形態に係る露光装置5の全体構成が示されている。
露光装置5は、フルカラーポジ型銀塩写真感光材料であるカラー感光材料3が層状に巻き取られて収容されたペーパマガジン11と、ペーパマガジン11から引き出されたカラー感光材料3に対して露光ヘッド1より光ビームを照射して画像の露光を行なう露光部12と、露光部12により露光されたカラー感光材料3に対して現像処理を行う現像部13と、現像処理後のカラー感光材料3を乾燥させる乾燥部14と、乾燥したカラー感光材料3が排出される排出トレイ15と、カラー感光材料3に記録された画像の濃度を測定する濃度測定部16と、露光装置5の全体の動作を制御すると共に、濃度測定部16より測定された画像の濃度に基づいて露光ヘッド1の交換時期を判定する制御部17と、露光ヘッド1の交換時期を報知するためのヘッド交換指示ランプ59と、を備えている。
なお、本実施の形態に係る濃度測定部16は挿入口16Aに挿入されたカラー感光材料3を搬送して所定の濃度測定位置を通過させ、当該濃度測定位置を通過する際に光を照射し、カラー感光材料3からの反射光を受光素子16Bで受光することによりカラー感光材料3に形成された画像の濃度を測定する。また、本実施の形態に係る露光装置5では、排出トレイ15に排出されたカラー感光材料3をユーザが手動で濃度測定部16の挿入口16Aに挿入する構成としているが、カラー感光材料3が乾燥部14から排出トレイ15へ搬送される搬送経路上に受光素子16Bを設けて、乾燥部14による乾燥処理後にカラー感光材料3に形成された画像の濃度を自動的に測定するものとしても良い。
図2には、第1の実施の形態に係る露光部12の概略構成斜視図が示されている。なお、図2では、露光ヘッド1は分解された分解斜視図として示されている。
本実施の形態に係る露光ヘッド1は、カラー感光材料3に対して、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の光ビームを照射してカラー画像を記録するものとされている。なお、本実施の形態に係る露光部12では、露光ヘッド1を取り外しできる構成とされており、露光ヘッド1を取り外して新しい露光ヘッド1と交換することができるものとされている。
露光ヘッド1は、有機ELパネル6と、当該有機ELパネル6から出射された光ビームを受ける位置に配置され、カラー感光材料3の上に光ビームを等倍で結像させる屈折率分布型レンズアレイ7と、レンズアレイ7および有機ELパネル6を保持する保持手段8と、有機ELパネル6を封止して大気中の水分から保護するための封止部材60と、を含んで構成されている。
有機ELパネル6は、赤色の光ビームを出射するライン状発光素子アレイ6R、緑色の光ビームを出射するライン状発光素子アレイ6G、及び青色の光ビームを出射するライン状発光素子アレイ6Bが副走査方向Yに並べて配設されている。ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bには、それぞれ対応するR、G、Bの光ビームを出射する多数の有機EL発光素子20(図3参照)が主走査方向(矢印X方向)に沿って所定間隔毎に設けられている。
屈折率分布型レンズアレイ7は、各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bから出射された各色の光ビームを集光する微小な屈折率分布型レンズ7aが副走査方向Yと直交する主走査方向Xに多数並設されたレンズ列が、合計2列配設されて構成されており、一方のレンズ列を構成する複数の屈折率分布型レンズ7aが、他方のレンズ列を構成する複数の屈折率分布型レンズ7aの間に位置するように配置されている。
図3及び図4には、第1の実施の形態に係る露光ヘッド1の詳細な構成が示されている。なお、図3は、露光ヘッド1の主走査方向Xの破断面図であり、図4は、露光ヘッド1の副走査方向Yの破断面図である。
第1の実施の形態に係る有機ELパネル6は、ガラス等からなる透明基板10上に、副走査方向Yに沿って複数(本実施の形態では480本)の透明陽極21が形成され、当該透明陽極21を含む透明基板10上に発光層を含む有機化合物層22が形成され、当該有機化合物層22上に主走査方向Xに沿って3本の金属陰極23が順次積層されて形成されている。
有機ELパネル6は、金属陰極23と透明陽極21とに電圧が印加されると、電圧が印加された両電極の交差部分の有機化合物層22に電流が流れ、そこに含まれる発光層が発光し、光ビームが透明陽極21及び透明基板10を介して出射される。本実施の形態に係る有機ELパネル6では、この発光する交差部分が1個の有機EL発光素子20に対応している。有機EL発光素子20は、発光層を含む有機化合物層22の材料を適宜選択することで所望の色の光ビームを得ることができる。
また、有機ELパネル6の有機EL発光素子20が形成されている側の面は、乾燥剤61を内包させようにしてステンレス製缶等の封止部材60により覆われている。この封止部材60の縁部と透明基板10とは接着されて、乾燥窒素ガスで置換された封止部材60内に有機EL発光素子20が封止されている。
ところで、露光ヘッド1では、各有機EL発光素子20の発光特性ばらつきや、レンズアレイ7の取り付け位置の誤差等により光量偏差が発生している。
このため、本実施の形態に係る露光装置5は、露光ヘッド1の各有機EL発光素子20の光量を測光するための測光検査装置50をさらに備えている。
図5及び図6には、第1の実施の形態に係る測光検査装置50の詳細な構成が示されている。なお、図5は、測光検査装置50の副走査方向からの正面図であり、図6は、測光検査装置50の上方からの平面図である。
測光検査装置50は、受光した光の光量に応じたアナログ信号を出力する受光部51と、受光部51を保持してガイド52に装荷された移動手段53と、受光部51の受光面の一部のみが覗く状態に当該受光面を覆う遮光部材54と、を備えている。
本実施の形態に係る露光装置5は、ガイド52が露光ヘッド1より出射される光ビームが照射される範囲を含んで主走査方向Xに沿って設けられている。
測光検査装置50は、光量測定を行う場合、ガイド52に沿って光ビームが照射される範囲内を露光ヘッド1と対向するように間欠移動され、光量測定を行わない場合、搬送されるカラー感光材料3と干渉しないガイド52の一端側の退避位置まで退避される。なお、本実施の形態では、各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに設けられた有機EL発光素子20の主走査方向Xの並びピッチ(以下、「素子ピッチ」という。)は100μmであり、これに対して移動手段53の間欠移動のピッチ(以下、「測光ピッチ」という)は5μmである。また、遮光部材54は、移動手段53の移動方向と直角な方向(副走査方向Y)に延びる細長いスリット54aを有し、このスリット54aの部分のみにおいて受光部51の受光面が露出している。このスリット54aの幅、すなわち、測光開口長は、上記測光ピッチと同じ5μmである。
図7には、第1の実施の形態に係る制御部17の構成が示されている。
露光装置5は、露光ヘッド1の各有機EL発光素子20を発光させる駆動電力を供給する駆動回路30と、駆動回路30に発光タイミングなどの各種信号を出力する発光制御部40と、装置全体の制御を司るシステム制御部45と、を備えている。
システム制御部45は、CPU45A、ROM45B、RAM45C、図示しない書き換え可能な不揮発性メモリ等を含んで構成されている。システム制御部45は、各種補正データ等を発光制御部40へ出力すると共に、図示しない外部装置から画像データを受信すると、受信した画像データに対して解像度変換等の所定の画像処理を行い、画像処理後の画像データにより示される画像の主走査方向の各ラインに対応する画像データを、副走査方向の先頭側から順に発光制御部40へ出力して1主走査ライン毎の発光動作を実施させる。この1主走査ラインの画像データには、画素毎にR、G、Bの各色の濃度データが含まれている。
発光制御部40は、発光タイミング制御回路41と、階調変換部42と、光量補正回路43と、光量補正係数メモリ44と、階調特性情報記憶部46と、を備えている。
階調特性情報記憶部46には、感光材料の種類に応じてR、G、Bの各色別に濃度レベルに応じた目標露光量を定めた複数のプリント階調変換テーブルが予め記憶されている。
階調特性情報記憶部46は、システム制御部45より入力されるテーブル指定データにより指定されたプリント階調変換テーブルを階調変換部42へ出力する。このテーブル指定データは、プリントに先立ちシステム制御部45から記録対象とする感光材料の種類に応じて出力される。
階調変換部42は、階調特性情報記憶部46より入力されるプリント階調変換テーブルを階調変換用のLUT(ルックアップテーブル)として記憶し、当該LUTに基づいてシステム制御部45より入力される画像データにより示される各画素のR、G、Bの濃度から、当該画素を露光するためのR、G、Bの各色の目標露光量を求めて、画像データを各画素のR、G、Bの各色毎の目標露光量を示す露光量データに変換する。変換された露光量データは光量補正回路43へ出力される。
光量補正回路43は、光量補正回路43より入力される露光量データに対して光量偏差補正演算を行ってR、G、Bの色別に各画素の発光時間を示す8ビットの発光時間データを求める。求められたR、G、Bの色別の発光時間データは、各々シリアルデータDATAに変換され、色別に駆動回路30へ順次出力される。なお、本実施の形態では、R、G、Bの順に発光時間データを駆動回路30へ出力するものとする。
光量補正係数メモリ44には、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bにそれぞれ設けられた各色の有機EL発光素子20毎の光量補正係数が記憶されている。上述した光量偏差補正演算では、露光量データにより示される各画素のR、G、Bの目標露光量に対して当該画素の露光で用いられる各々対応する色の光ビームを出射する有機EL発光素子20の光量補正係数を乗算して各画素のR、G、Bの各色毎の発光時間が求められる。この光量補正係数は、プリントに先立ち光量補正係数メモリ44にシステム制御部45から予め設定される。
発光タイミング制御回路41は、システム制御部45からの制御により各種信号を出力しており、駆動回路30に対して動作を制御するシリアルロードクロック信号SR_CLK及びシリアルロード信号SR_LOADを出力し、また、駆動回路30及び後述する測光タイミング制御回路56に対して発光タイミングを示す発光タイミング信号PWM_CLKを出力するものとされている。
駆動回路30は、R、G、Bの各色に対応して3本のうちの何れか1つ金属陰極23を走査電極とし、各透明陽極21をそれぞれ入力された発光時間データにより示される発光時間だけオン状態とする所謂パッシブマトリクス(passive matrix)線順次選択駆動方式により露光ヘッド1を駆動させる。
図8には、第1の実施の形態に係る駆動回路30の詳細な構成の一例を示すブロック図が示されている。
駆動回路30は、シフトレジスタ33と、8bitPWM回路34と、陽極ドライバ32と、陰極ドライバ31と、ラインカウンタ・デコーダ部37と、タイミング発生回路36と、電流電圧設定部35と、を備えている。なお、駆動回路30は、3本の金属陰極23に各々対応して陰極ドライバ31を3ch備え、480本の透明陽極21に各々対応して陽極ドライバ32を480ch備えているが、図8ではそれぞれ1つのみを図示している。
シフトレジスタ33には、シリアルロードクロック信号SL_CLKに同期して各有機EL発光素子20の発光時間を示すシリアルデータDATAが順次入力される。入力された発光時間データは一旦シフトレジスタ33に蓄積される。なお、本実施の形態では、シフトレジスタ33に各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bの発光素子数480に対応して480素子分の発光時間データが蓄積される。蓄積された480素子分の発光時間データは、シフトレジスタ33にシリアルロード信号SR_LOADが入力されると各発光素子毎の発光時間信号PWM_DATAとして8bitPWM回路34へ出力される。
8bitPWM回路34は、8bitPWM回路34より入力される発光時間信号PWM_DATAにより示される480素子分の発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。変換された480素子分の発光パルス電圧信号PWMoutは、発光タイミング信号PWM_CLKの入力に同期して陽極ドライバ32へ出力される。
陽極ドライバ32は、各透明陽極21の各々を定電流源と個別に接続させるスイッチング部32Aを備えている。各スイッチング部32Aは、陽極ドライバ32に発光パルス電圧信号PWMoutが入力されると発光パルス電圧信号に応じた時間だけオンされる。
一方、タイミング発生回路36は、電流電圧設定部35及びラインカウンタ・デコーダ部37と接続されると共に上述した発光タイミング信号PWM_CLKが入力されている。タイミング発生回路36は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力する毎に電流電圧設定部35へタイミング信号を出力する。
ラインカウンタ・デコーダ部37は、陰極ドライバ31と接続されており、ラインカウンタ・デコーダ部37からタイミング信号が入力すると、陰極ドライバ31の切替を指示する指示信号を出力する。
陰極ドライバ31は、3本の金属陰極23の各々を接地させてグランドレベルとするスイッチング部31Aを有している。各スイッチング部31Aは、ラインカウンタ・デコーダ部37から入力される指示信号に基づいて各々が個別にオンされる。
電流電圧設定部35は陽極ドライバ32及び陰極ドライバ31と接続されており、陽極ドライバ32への駆動電流並びに駆動電圧は、電流電圧設定部35により制御されている。電流電圧設定部35は、各陽極ドライバ32へ各々一定量の電流を供給して各有機EL発光素子20を定電流駆動させるように駆動電圧を個別に制御する。
本実施の形態に係る駆動回路30では、R、G、Bの各色に対応してスイッチング部31Aが各々オンとされて金属陰極23と接続されている各期間内に、陽極ドライバ32がスイッチング部32Aを各々オンされることにより、当該透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に一定量の電流が流れ、有機化合物層22から光が出射される。
一方、露光装置5は、図7に示されるように、測光検査装置50の動作を制御する検査装置制御部55をさらに備えている。
検査装置制御部55は、測光検査装置50による測光タイミングを制御する測光タイミング制御回路56と、測光検査装置50から出力されるアナログ信号を増幅する増幅器57と、アナログ信号をデジタルデータに変換するADコンバータ58と、を備えている。
検査装置制御部55では、増幅器57により測光検査装置50の受光部51より出力される光量を示すアナログ信号が増幅され、ADコンバータ58によりデジタルの測光データに変換されてシステム制御部45へ出力される。
システム制御部45は、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに各々設けられた各色の有機EL発光素子20を発光させて測光検査装置50により測光を行って検査装置制御部55より入力される測光データに基づいて、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに各々設けられた各色の有機EL発光素子20毎の光量補正係数を算出する。算出された光量補正係数は各有機EL発光素子20と対応させて光量補正係数メモリ44に記憶される。
また、システム制御部45は、光量補正回路43、操作パネル等の操作入力部47、上述した濃度測定部16及びヘッド交換指示ランプ59と接続されている。
システム制御部45は、カラー感光材料3に形成するパッチ画像の複数の露光量をパッチ情報としてROM45Bに予め記憶している。システム制御部45は、露光ヘッド1の交換時期を判定する際に、ROM45Bに記憶しているパッチ情報の各露光量のパッチ画像を形成する露光量データを生成し、当該露光量データを光量補正回路43へ出力する。この露光量データは、光量補正回路43による光量偏差補正演算によって発光時間データに変換されて駆動回路30へ出力され、カラー感光材料3に対して各パッチ画像の露光が行なわれる。
また、システム制御部45は、濃度測定部16により各パッチ画像の濃度が測定されて濃度データが入力すると後述する露光ヘッド交換判定処理を行って各有機EL発光素子20の発光面積を求め、求められた発光面積が所定の閾値以下である場合、露光ヘッド1の交換を促すためにヘッド交換指示ランプ59を点灯させる。
次に、第1の実施の形態に係る露光装置5により露光を行う際の全体的な動作について簡単に説明する。
システム制御部45は、外部装置から画像データを受信すると、当該画像データにより示される画像の主走査方向の各ラインに対応する画像データを順次に発光制御部40へ出力する。また、システム制御部45は、画像データの出力に同期させて副走査手段4の駆動を制御してカラー感光材料3の副走査方向Yへの搬送を開始させる。
発光制御部40では、システム制御部45より画像データが入力すると、階調変換部42において当該画像データにより示される各画素のR、G、Bの濃度をLUTで変換して各画素のR、G、Bの各色毎の目標露光量を示す露光量データを求め、光量補正回路43において当該露光量データに対して光量偏差補正演算を行ってR、G、Bの色別の発光時間データを求めてR、G、Bの順に発光時間データを駆動回路30へ出力する。
駆動回路30は、最初に入力されるRの480素子分の発光時間データをシフトレジスタ33に蓄積し、8bitPWM回路34においてRの発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。
そして、駆動回路30は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力されると、ライン状発光素子アレイ6Rを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、当該スイッチング部31Aがオン状態とされている期間内に、陽極ドライバ32が主走査ラインの1,2,3・・・480番目の発光時間データにより示される時間だけ各スイッチング部32Aをオン状態として第1,2,3・・・480の各透明陽極21を定電流源に接続させる。
これにより、ライン状発光素子アレイ6Rを構成する各有機EL発光素子20の透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に画像データにより示される画素の濃度に対応したパルス幅の電流が流れ、有機化合物層22から赤色の光ビームが出射される。
一方、駆動回路30では、ライン状発光素子アレイ6Rを発光させている間に、Gの480素子分発光時間データをシフトレジスタ33に蓄積させ、8bitPWM回路34においてGの発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。
そして、駆動回路30は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力されると、ライン状発光素子アレイ6Gを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、上述したRの場合と同様に、当該スイッチング部31Aがオン状態とされている期間内に、陽極ドライバ32が主走査ラインの1,2,3・・・480番目の発光時間データにより示される時間だけ各スイッチング部32Aをオン状態として第1,2,3・・・480の各透明陽極21を定電流源に接続させる。
これにより、ライン状発光素子アレイ6Gを構成する各有機EL発光素子20の透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に、記録する画素の濃度に対応したパルス幅の電流が流れ、有機化合物層22から緑色の光ビームが出射される。
一方、駆動回路30では、ライン状発光素子アレイ6Gを発光させている間に、Bの480素子分発光時間データをシフトレジスタ33に蓄積させ、8bitPWM回路34においてBの発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。
そして、駆動回路30は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力されると、ライン状発光素子アレイ6Bを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、上述したR、Gの場合と同様に、当該スイッチング部31Aがオン状態とされている期間内に、陽極ドライバ32が主走査ラインの1,2,3・・・480番目の発光時間データにより示される時間だけ各スイッチング部32Aをオン状態として第1,2,3・・・480の各透明陽極21を定電流源に接続させる。
これにより、ライン状発光素子アレイ6Bを構成する各有機EL発光素子20の透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に記録する画素の濃度に対応したパルス幅の電流が流れ、有機化合物層22から青色の光ビームが出射される。
このように有機ELパネル6から出射されたR、G、Bの各色の光ビームは、レンズアレイ7によってカラー感光材料3上に集光され、カラー感光材料3上に主走査ラインを構成する第1,2,3・・・480番目の画素が露光されてフルカラーの主走査ラインが記録される。
以下、主走査ライン毎に同様の処理が繰り返されて、カラー感光材料3上に多数の主走査ラインにより構成された2次元カラー画像が記録される。
ところで、有機EL発光素子20は、上述したように、累積発光時間による輝度低下が発生し、長期間に渡り露光ヘッド1を駆動させていると各有機EL発光素子20から出射される光ビームの強度にばらつきが発生して記録される画像に筋ムラが発生したり、露光量が低下してプリント濃度が変化してしまう。
そこで、第1の実施の形態に係る露光装置5では、定期的に測光検査装置50により各有機EL発光素子20から出射される光ビームの光量を測光して光量の偏差を補正する光量補正係数を導出している。
次に、第1の実施の形態に係る露光装置5により光量補正係数を導出する際の全体的な動作について簡単に説明する。
システム制御部45は、移動手段53の動作を制御して測光検査装置50をガイド52の一端側の退避位置に位置させる。
そして、システム制御部45は、各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに設けられた全ての有機EL発光素子20をライン状発光素子アレイ毎に同一発光パルス幅で発光させるために各画素の濃度を同一値とした画像データを発光制御部40へ出力する。このとき、システム制御部45は、光量補正係数メモリ44に記憶される光量補正係数を全て1に設定する。なお、以下では、ライン状発光素子アレイ6Rの各有機EL発光素子20を発光させて測光検査装置50により測光を行う場合を例として説明する。
ライン状発光素子アレイ6Rは、全ての有機EL発光素子20が、同一の発光時間データに基づいて一定の電流が供給されることにより、孤立点灯、もしくは一律点灯(1ライン上の全ての発光素子を同時に点灯)する。
システム制御部45は、発光する有機EL発光素子20と同期して測光検査装置50を主走査方向へ測光ピッチ間隔で間欠移動させ、停止する毎に受光部51により、レンズアレイ7から出射される光ビームの光量を測定させる。受光部51は、光ビームの光量に応じたアナログ信号を出力する。当該アナログ信号は、増幅器57により増幅され、ADコンバータ58によりデジタルの測光データに変換されてシステム制御部45へ出力される。なお、測光は各ライン状発光素子アレイ毎に行われ、ライン状発光素子アレイ6G、6Bについても同様の手順で各有機EL発光素子20の光量が測定される。
図9には、測光データにより示される光ビームのビームプロファイルの一例が示されている。
システム制御部45は、入力された測光データに基づいて、各有機EL発光素子20毎に、有機EL発光素子20の素子ピッチと等しい区間(100μm)幅について積分する。具体的に、本実施の形態では、1つの有機EL発光素子20について、その発光素子の中心から主走査方向一方方向に10点、他方方向に10点の合計20点の測光点に関する測定光量を合計し、それに1/20を乗じた平均値(移動平均)を求める。
なお、この場合、有機EL発光素子20の中心位置を正解に求める必要は無く、あくまでも上記20個の測定点が当該有機EL発光素子20の中心から左右に10点ずつ分布したものあることが確認できればよい。よって、例えば、光量の極大値が測定された測定点Aと、その測定点の2つの隣接測定点のうち測定光量がより大である方の測定点Bとの間に素子中心が存在するとみなし、測定点Aから素子中心と反対側に10点(測定点Aを含む)および、測定点Bから素子中心と反対側に10点(測定点Bを含む)の合計20点に関する測定光量を移動平均値の算出に供すればよい。
なお、1回目の発光パルスの積分値よりも、複数回の発光パルスを積分した方が検出精度を高くすることができる。
この積分光量は光ビームの光量に相当する値であるため、システム制御部45は、各有機EL発光素子20の積分光量の同一の値とする光量補正係数を導出し、導出した各有機EL発光素子20毎の補正係数を光量補正係数メモリ44へ出力する。なお、光量補正係数の導出は、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bについてそれぞれ行われる。
本実施の形態に係る露光装置5では、上述したように、光量補正回路43により光量補正回路43より入力される露光量データに対して光量偏差補正演算を行っているため、画像露光時のライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bの各有機EL発光素子20の出射される光ビームの光量偏差特性が解消されるように補正され、露光画像に筋ムラが発生することが防止される。
ところで、有機EL発光素子20では、上述したように、駆動していない状態であっても発光面積が減少するエッジグロースが発生している。このエッジグロースは、有機EL発光素子20の発光領域20Aの周辺部が絶縁化または高抵抗化して電流が流れなくなる現象であり、図10に示すように、当該周辺部が非発光領域化して発光領域20Aの発光面積が減少する。これにより、上述したように、感光材料に対して同じ露光量の露光を行なった場合でも、階調特性の軟調化が発生する。
図11には、露光量−濃度の関係の一例を示すグラフが示されている。なお、図11では、実線が発光面積減少前の露光量−濃度の関係を示すグラフであり、破線が発光面積減少後の露光量−濃度の特性を関係をグラフである。
同図に示されるように、低濃度領域の所定の濃度をDLとし、高濃度領域の所定の濃度をDHとした場合、発光面積減少前の濃度DL、濃度DHに対応した露光量を、EL´、EH´とし、発光面積減少後の濃度DL、濃度DHに対応した露光量を、EL、EHとすると、発光面積減少前のグラフにおける露光量EL´、露光量EH´を結ぶ直線Aの傾きγ´及び発光面積減少後のグラフにおける露光量EL、露光量EHを結ぶ直線Bの傾きγは、以下の(1)、(2)式ように表される。
γ´=(DH−DL)/(logEH´−logEL´)・・・(1)
γ=(DH−DL)/(logEH−logEL)・・・(2)
(1)、(2)式よりγ/γ´を以下の(3)式のように導くことができる。
γ/γ´=(logEH´−logEL´)/(logEH−logEL)・・・(3)
図12には、DH=1.6、DL=0.3の場合の発光面積と傾きγおよびγ/γ´との関係の一例を示すグラフが示されている。なお、図12では、発光面積を、初期の発光面積を1(=100%)とした発光面積率として示している。
同図に示されるように、発光面積の低下に伴い、傾きγおよびγ/γ´は単調減少特性を有している。よって、傾きγもしくはγ/γ´を算出することによって発光面積を導出することができる。
そこで、第1の実施の形態に係る露光装置5では、エッジグロースの進行状況を検出する場合に、カラー感光材料3に対して各々異なる露光量で複数のパッチ画像を露光し、当該パッチ画像の濃度を測定した濃度データに基づいて階調特性の性質を示す特性値として傾きγを算出し、算出された傾きγから発光面積を導出している。なお、本実施の形態では、傾きγを濃度差を露光量差で割った値を用いているが、露光量差を濃度差で割った値としてもよい。
次に、第1の実施の形態に係る露光ヘッド1の交換時期を判定する際の動作について説明する。
本実施の形態に係るシステム制御部45のROM45Bには、パッチ情報として、図13に示される、露光量E1〜E16の16段階の露光量が記憶されている。
システム制御部45は、光量補正回路43へR、G、Bの各色の露光量データを出力すると共に、当該露光量データの出力に同期させて副走査手段4の駆動を制御してカラー感光材料3の副走査方向Yへの搬送を開始させる。
光量補正回路43は入力される露光量データに対して光量偏差補正演算を行って発光時間データを求め、480素子分の発光時間データを駆動回路30へ出力し、駆動回路30は発光時間データにより示される時間だけ各有機EL発光素子20を定電流駆動させて光ビームを出射させる。
これにより、副走査手段4によりペーパマガジン11から引き出されたカラー感光材料3は、露光ヘッド1と対向する露光位置を通過する際に、各有機EL発光素子20から出射された光ビームにより露光されて各々異なる露光量の複数のパッチ画像が形成される。なお、このパッチ画像の大きさは濃度測定部16で濃度が測定可能なサイズ(例えば、5mm角程度)であれば良い。
露光後のカラー感光材料3は現像部13へ送られて現像処理され、その後、乾燥部14に送られて乾燥された後、所望のサイズにカットされて排出トレイ15に排出される。
図14には、本実施の形態に係る露光装置5によりカラー感光材料3に形成されるパッチ画像3Aの一例が示されている。なお、図14の各パッチ画像3Aに付された番号の1〜16は露光量E1〜E16の各パッチ画像3Aに対応しており、図14ではパッチ画像3A内に番号を付しているが、実際のパッチ画像3Aは対応する番号の露光量Eで露光されて各々異なる濃度の画像となっている。なお、各パッチ画像3Aの隅に対応する番号を記録するものとしてもよい。
パッチ画像3Aが形成されたカラー感光材料3は、ユーザによって排出トレイ15から取り出されて濃度測定部16の挿入口16Aへ挿入される。
濃度測定部16は、挿入されたカラー感光材料3にプリントされた各パッチ画像3Aの濃度の測定を行ない、各パッチ画像3Aの濃度を示す濃度データを制御部17へ出力する。なお、本実施の形態では、濃度測定部16により測定された濃度がシステム制御部45に入力するものとしたが、これに限定されるものではなく、ユーザが汎用の濃度測定機(例えば、エックスライト(X−RITE)など)を用いて各パッチ画像3Aの濃度を測定し、露光装置5に設けられた操作入力部47から濃度値を入力するものとしてもよい。
システム制御部45は、濃度測定部16より濃度データが入力されると、以下の露光ヘッド交換判定処理を実行する。
図15には、第1の実施の形態に係る露光ヘッド交換判定処理の流れが示されている。なお、図15は、システム制御部45のCPU45Bにより実行される露光ヘッド交換判定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM45Aの所定領域に予め記憶されている。
同図のステップ100では、濃度データにより示される各パッチ画像3Aの濃度から上述した傾きγを算出する。
図13には、16個のパッチ画像3Aの濃度を測定した結果の一例が示されている。
同図に示されるように、濃度DLに対応する露光量がE2とE3の間、濃度DHに対応する露光量がE9とE10の間となっている。このため、線形補間によって以下の(4)、(5)式ようにlogEL、logEHを算出する。
そして、(4)、(5)式を上述した(1)式に代入することにより直線Cの傾きγを算出する。なお、本露光ヘッド交換判定処理では、線形補間によって傾きγを算出しているが、他の補間方法によってlogEL及びlogEHを算出するものとしてもよい。また、カラー感光材料3に形成されるパッチ画像3Aの数が十分に多く、分解能が高い場合は(4)(5)式のような線形補間を行なわず、最も濃度が最も近いパッチ画像3Aの露光量をELやEHとして傾きγを算出してもよい。
ところで、露光量Eは、光量Lと発光時間tの積である。また、有機EL発光素子20では出射される光ビームの光量Lと有機EL発光素子20を流れる電流量Iとの間には比例関係がある。このため、露光量Eは、電流量Iと発光時間tの積に比例する。つまり、E=αIt(α:比例係数)の関係がある。よって、上述した(1)式に代入すると、以下の(6)式が求まる。
γ=(DH−DL)/(logEH−logEL)・・・(1)
=(DH−DL)/log(EH/EL)
=(DH−DL)/log(αIHtH/αILtL)
=(DH−DL)/log(IHtH/ILtL)・・・(6)
すなわち、有機EL発光素子20を流れる電流量Iを一定として露光時間tのみ変化させてパッチ画像3Aを形成しても、発光時間tを一定として電流量Iを変化させてパッチ画像3Aを形成しても、傾きγを求めることができる。
本実施の形態に係る露光装置5では、各有機EL発光素子20を定電流駆動させて発光時間tを変化させているが、発光時間tを一定として露光量に応じて各有機EL発光素子20を供給する電流量を変化させる構成であっても傾きγを算出することができる。また、露光装置5が露光量に応じて電流量Iと発光時間tを両方変化させる駆動方式であってもよい。
また、有機EL発光素子20は、光ビームの光量が変動する要因として、発光面積減少の他に、上述した累積発光時間による輝度の低下もある。しかし、例えば、初期状態の光量L=αIであったものが、累積発光時間が長くなり、発光効率が低下して光量L=βI(β<α)となったとしてαをβに置き換えて(1)式に代入したとしても(6)式は変わらない。すなわち、傾きγの値は累積発光時間による輝度の低下の影響を受けることがなく、傾きγの値は発光面積の減少によって変化する値である。
このため、本実施の形態では、有機EL発光素子20の発光面積の導出に傾きγを用いている。
次のステップ102では、上記ステップ100で算出された直線Cの傾きγから発光面積を導出する。
図12に示したような、直線Cの傾きγおよびγ/γ´は単調減少特性を有している。
そこで、本実施の形態では、図12に示したような、傾きγと発光面積の関係を示す発光面積情報を傾きγ−発光面積変換テーブルとして予めシステム制御部45のROM45Bに予め記憶しておく。
そして、本ステップ102では、ROM45Bに記憶している傾きγ−発光面積変換テーブルに基づいて傾きγから発光面積を導出する。
次のステップ104では、導出された発光面積が所定の閾値以下であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106へ移行してヘッド交換指示ランプ59を点灯させて、その後、本露光ヘッド交換判定処理を終了し、否定判定となった場合は、本露光ヘッド交換判定処理を終了する。
なお、この所定の閾値には、有機EL発光素子の発光領域の発光面積が当該閾値以下となった場合に記録(プリント)される画像の画像品質が許容範囲外となることを露光装置5実機を用いた実験や、露光装置5の設計仕様等に基づくコンピュータ・シュミレーション等によって求めた値を適用している。
また、上述した露光ヘッド交換判定処理では、上記ステップ102において直線Cの傾きγから発光面積を導出するものとしているが、発光面積の導出を行なわず、上記ステップ104においてステップ100で算出された傾きγが、画像品質が許容範囲外となる発光面積に対応する閾値以下であるか否かを判定し、当該閾値以下である場合にヘッド交換指示ランプ59を点灯させるものとしてもよい。
ユーザは、ヘッド交換指示ランプ59が点灯した際に、露光ヘッド1を新しいものと交換する。これにより、露光装置5では、使用する露光ヘッド1の各有機EL発光素子20の発光面積を閾値よりも大きく保つことができる。よって、露光装置5では、エッジグロースの発生による発光面積の低下によって発生する記録される画像のプリント階調特性の軟調化を抑制することができるため、安定したプリント品質を得ることができる。
このように、第1の実施の形態によれば、複数の有機EL発光素子が設けられた露光ヘッドを備えた露光装置であって、露光制御手段(ここでは、システム制御部45)により、有機EL発光素子の発光時間、発光光量の少なくとも一方を制御して予め定められた複数の露光量でそれぞれ濃度測定用のパッチ画像を感光材料(ここでは、カラー感光材料3)に露光し、取得手段(ここでは、濃度測定部16)により、感光材料に露光された各パッチ画像の濃度を示す濃度情報を取得し、算出手段(ここでは、露光ヘッド交換判定処理のステップ100)により、取得手段により取得された濃度情報に基づいて感光材料に露光される画像の階調特性の性質を示す特性値を算出し、信号出力手段(ここでは、露光ヘッド交換判定処理のステップ106)により、算出手段により算出された特性値により示される階調特性の性質が所定以上変化した場合に、露光ヘッドの交換を促すための信号を出力しているので、発光領域の面積の減少によりプリント階調特性の軟調化した露光ヘッドが新しいものに交換されるため、安定したプリント品質を得ることができる。
また、第1の実施の形態によれば、算出手段は、濃度情報に基づいて所定の第1濃度(ここでは、濃度DL)の露光に必要な第1露光量(ここでは、logEL)及び第1濃度よりも高濃度の所定の第2濃度(ここでは、濃度DH)の露光に必要な第2露光量(ここでは、logEH)を求めて、第2濃度と第1濃度との濃度差と、第2露光量と第1露光量との露光量差と、に基づいて特性値を算出しているので、累積発光時間による有機EL発光素子の発光領域の輝度の低下による影響を受けることなく、プリント階調特性の軟調化を検出することができる。
なお、本実施の形態に係る露光装置5では、図13に示したように、各パッチ画像3Aの露光量の間隔ΔlogEを一定とするようにパッチ画像3Aの露光量を定めているが、間隔ΔlogEを露光量に比例させても良く、また、ランダムに割り振ってもよい。また、濃度DLと濃度DHの値はγを算出するのに十分な精度が出せる量だけ離れていれば良く、本実施の形態で用いた値に限らない。図13に示した直線Cの傾きγが大きくなる濃度値に適宜設定することが好ましい。
また、第1の実施の形態では、直線Cの傾きγから発光面積を導出して露光ヘッド1の交換の必要性を判定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、γ/γ´から発光面積を導出して露光ヘッド1の交換の必要性を判定してもよい。
この場合、発光面積減少前の初期状態の有機EL発光素子20を用いてカラー感光材料3にパッチ画像3Aを形成して濃度の測定を行い、傾きγを算出して発光面積減少前の傾きγ´としてシステム制御部45に備えられた不揮発性メモリに予め記憶させる。そして、露光ヘッド1の交換時期を判定する際に直線Cの傾きγを算出し、不揮発性メモリに記憶している傾きγ´からγ/γ´を算出する。一方、ROM45Bには、図12に示したような、γ/γ´と発光面積の関係を示す発光面積情報をγ/γ´−発光面積変換テーブルとして予め記憶させておく。これにより、γ/γ´−発光面積変換テーブルに基づいて算出されたγ/γ´から発光面積を導出することができる。なお、γ/γ´から発光面積の導出を行なわず、γ/γ´が、画像品質が許容範囲外となる発光面積に対応する閾値以下であるか否かを判定し、当該閾値以下である場合にヘッド交換指示ランプ59を点灯させるものとしてもよい。
有機EL発光素子20の発光面積減少前の初期状態での露光ヘッド1のγの値のばらつきが小さければ、γ´を記憶する必要はなく、発光素子面積が減少した時点でのγの値のみでよい。しかし、実際には露光ヘッド1毎に異なる可能性がある。例えば、光ビームを結像させる屈折率分布型レンズアレイ7の焦点方向のずれや固定位置ずれ等により、結像される光ビームの強度が異なるとγ´が変化するので、露光装置5毎にγ´が異なる場合あがる。この場合は、γではなくγ/γ´で算出して露光ヘッド1の交換が必要か否かを評価することが望ましい。
なお、第1の実施の形態の露光ヘッド交換判定処理では、発光面積を導出するものとしたが、発光面積は、その絶対値ではなく、例えば、初期発光面積を100%とし、当該初期発光面積に対する経時変化後の発光面積の割合で表す発光面積率を用いてもよい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、ユーザが目視にてパッチ画像の濃度を判別して露光ヘッド1の交換時期を判定する場合について説明する。なお、第2の実施の形態に係る露光装置5の構成は、第1の実施の形態の構成(図1〜図8)と同様であるため、説明を省略する。
第2の実施の形態に係るROM45Bには、パッチ情報として、一定の比率で増加するように予め定められた16段階の露光量E1〜E16が記憶されている。この露光量E1〜E16は、一定の比率で増加しているため、図16に示されるように、露光量間隔ΔlogE(=log(En/En-1))が一定となっている。
第2の実施の形態では、発光面積減少前の初期状態の露光ヘッド1を用いて、ROM45Bに記憶されているパッチ情報に基づいて露光量E1〜E16の各パッチ画像を形成する露光量データを生成し、当該露光量データに基づいてカラー感光材料3に各パッチ画像3Aを形成する。
そして、ユーザは、カラー感光材料3に形成された各パッチ画像3Aから、所定の濃度値DH、DLに最も近いパッチ画像3Aを選定する。この選定方法は汎用的な濃度測定器によりパッチ画像3Aの濃度を測定して選定しても良く。また、例えば、図17に示すように、ユーザが、予め用意された濃度値DH、DLの比較用パッチ画像3Bとカラー感光材料3と、カラー感光材料3に形成された各パッチ画像3Aとを目視で比較して最も近い濃度のパッチ画像3Aを選定する方法でも良い。
図16には、発光面積減少前と発光面積減少後の露光量−濃度の関係の一例を示すグラフが示されている。なお、図16では、実線が発光面積減少前の露光量−濃度の関係を示すグラフであり、破線が発光面積減少後の露光量−濃度の特性を関係をグラフである。
図16の実線で示されるように、発光面積減少前の各パッチ画像3Aでは、濃度DHに最も近い濃度は9番パッチ画像3Aの濃度D9´であり、濃度DLに最も近い濃度は2番パッチ画像3Aの濃度D2´であるため、ユーザは、濃度値DHに最も近いパッチ画像3Aを9番、濃度値DLに最も近いパッチ画像3Aを2と選定する。
第2の実施の形態に係る露光装置5では、ユーザが選定したパッチ画像3Aの番号の差(9−2=7)を求めて、露光装置5の図示しない筐体やメンテナンスマニュアル等の書類に記録する。
そして、第2の実施の形態に掛かる露光ヘッド1では、交換時期を判定する際に再度、カラー感光材料3に露光量E1〜E16の各パッチ画像3Aを形成する。
ユーザは、カラー感光材料3に形成された各パッチ画像3Aから、所定の濃度値DH、DLに最も近いパッチ画像3Aを選定する。
発光面積減少後の各パッチ画像3Aの濃度が、図16の破線で示されるような値の場合、発光面積減少後の各パッチ画像3Aでは、濃度DHに最も近い濃度は13番パッチ画像3Aの濃度D13であり、濃度DLに最も近い濃度は4番パッチ画像3Aの濃度D4であるため、ユーザは、濃度値DHに最も近いパッチ画像3Aを13番、濃度値DLに最も近いパッチ画像3Aを4と選定する。
そして、ユーザは選定したパッチ画像3Aの番号の差13−4=9を求める。
ここで、発光面積減少前の状態でのパッチ画像3Aの番号の差「7」に対して発光面積減少後のパッチ画像3Aの番号の差「9」は、値が2増加している。これは、図16に示されるように、発光面積により階調特性が軟調化して傾きγが低下していることを意味しており、この増加量が大きいほどγが低下して発光面積が減少している。
よって、この増加量の許容値を定めておき、ユーザが、増加量が当該許容値以上となった否かを判定することにより、露光ヘッド1の交換が必要か否かを判定することができる。
本実施の形態の場合、例えば、増加量が3以上であれば露光ヘッド1の交換が必要であることをメンテナンスマニュアル等の書類に記載しておくことにより、ユーザが露光ヘッド1の交換時期を判定することができる。
なお、第1の実施の形態と同様に初期状態の露光ヘッド1の傾きγのばらつきが小さければ、発光面積減少前のパッチ画像3Aの番号の差を求める必要なく、発光面積減少後のパッチ画像3Aの番号の差のみで判定を行うことも可能である。
また、本実施の形態では、ユーザがパッチ画像3Aの番号の差を求めて書類等に記録する場合について説明したが、発光面積減少前の状態でのパッチ画像3Aの番号の差を操作入力部47より入力することにより、パッチ画像3Aの番号の差をシステム制御部45に備えられた不揮発性メモリに記憶させておき、発光面積減少後の各パッチ画像3Aでの番号の差を操作入力部47より入力することにより、システム制御部45で発光面積減少前の状態でのパッチ画像3Aの番号の差に対する発光面積減少後のパッチ画像3Aの番号の差の差分を所定の閾値と比較することにより露光ヘッド1の交換時期を判定してもよい。これにより、初期状態の露光ヘッド5に光量にばらつきがあっても初期状態からの階調特性の変化を求めることができる。
このように、第2の実施の形態によれば、複数の有機EL発光素子が設けられた露光ヘッドを備えた露光装置であって、露光制御手段により、有機EL発光素子の発光時間、発光光量の少なくとも一方を制御して予め定められた複数の露光量でそれぞれ濃度測定用のパッチ画像を感光材料に露光しているので、ユーザが複数の露光量で露光されたパッチ画像3Aの濃度を測定することによりプリント階調特性が軟調化しているか否かを判別することができる。
また、第2の実施の形態の露光装置5によれば、比較用パッチ画像3Bを予め用意しておき、ユーザが目視で合致するパッチ画像3Aを選定して引き算を行うだけであるので、高価な濃度測定機が不要であり、ユーザーが自ら容易にヘッド交換時期の判定を行うことができるので、コストダウンや省電力化ができる。
また、第2の実施の形態によれば、露光制御手段は、一定の比率で増加するように予め定められた複数の露光量で、露光量の順に番号を対応付けて前記パッチ画像をそれぞれ前記感光材料に露光し、取得手段(ここでは、操作入力部47)により、所定の第1濃度に最も濃度が近いパッチ画像の番号を示す第1番号情報、及び第1濃度よりも高濃度の所定の第2濃度に最も濃度が近いパッチ画像の番号を示す第2番号情報を取得し、算出手段により、第2番号情報により示される番号と第1番号情報により示される番号との差から特性値を算出しているので、複雑な演算を行なうことなく容易にヘッド交換時期を判定を行うことができる。
なお、第1及び第2の実施の形態では、所定の閾値をROM45B等に予め記憶させておいてもよく、また、外部メモリーに記憶させてシステム制御部45と電気的に接続させるものとしても良い。外部メモリーに記憶させた場合、閾値を変更する場合に外部メモリーのみ交換すればよいため、メンテナンスが容易となる。また、内臓メモリーに記憶させる場合であっても、当該内蔵メモリーを露光ヘッド1と一体化していれば露光ヘッド1の交換と一緒に閾値の変更することができるため、メンテナンス性がより向上する。
さらに、第1及び第2の実施の形態では、ヘッド交換指示ランプ59が点灯させて、ユーザに対して露光ヘッド1の交換を促す場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、音を発生させたり、無線や有線で接続された外部機器に電気信号を出力して、外部機器を通してヘッド交換を促したり、外部のサービスセンター等に通知してメンテナンス要員を派遣させて、露光ヘッド1の交換を実施させることもできる。
また、本発明は、有機EL発光素子20のエッジグロースによる階調特性変動を補正することを目的としているが、有機EL発光素子20と同様に発光面積が経時的に変動する発光素子に対しては同様の効果を得ることができる。
その他、第1及び第2の実施の形態で説明した露光装置5の構成(図1〜図8参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、第1及び第2の実施の形態で説明した露光ヘッド交換判定処理(図15参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、図14、図17に示したパッチ画像3Aも一例であり形状、大きさ、配置順等は適宜設定される。
さらに、図9に示すビームプロファイルも一例であり、図11〜図13、図16に示す関係図も一例であり、実際の露光ヘッド1の構成に応じて適宜設定される。