JP2007100154A - 鋼材の油焼入方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油焼入処理により鋼材表面に浸炭層が形成されるのを防止できる鋼材の油焼入方法および装置を提供する。
【解決手段】 焼入油6を貯留する油槽5を下部にそなえた焼入室3を、仕切扉4を介して加熱室2に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化性雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材(処理品W)の油焼入方法において、加熱工程終了後、かつ油冷却開始前の時間帯に限定して、焼入室3内に酸化性ガスを一定量導入する。
【選択図】 図1

Description

この発明は鋼材を加熱後、焼入油に浸漬して冷却する油焼入方法および装置に関する。
一般に機械部品や金型,工具などに使用される鋼材は、鍛造,切削などの工程を経てほぼ最終形状に近い形状まで加工されたのち、その機械的特性を向上させる目的で表面硬化処理される。そしてこの表面硬化処理として一般的な真空油焼入方法においては、鋼材を加熱室において真空雰囲気下で所定の温度に加熱後、加熱室に隣接配置した焼入室内において必要に応じてガス冷却後、この焼入室の油槽内の焼入油に浸漬して冷却する。そしてこの油冷却(油中浸漬による冷却)後の鋼材は、焼入室内へ引揚後、そのまま焼入室外へ抽出するか、必要に応じて焼入室内でさらにガス冷却した後に焼入室外へ抽出する。(たとえば、特許文献1参照。)。
特開平8−67909号公報(第2−3頁、図1)
ところで上記の油焼入方法においては、昇温状態の鋼材を油槽内の焼入油に浸漬すると、鋼材の冷却は、蒸気膜段階,沸騰段階および対流段階を経て行われる。そして冷却の第1段階である蒸気膜段階では、高温の鋼材により加熱されて生成した焼入油の蒸気膜によって、鋼材の表面が全周にわたって覆われた状態となり、その際、熱分解により油蒸気から遊離した炭素が鋼材の表面に浸入し、焼入終了後の鋼材の表面に浸炭層が形成されることがある。
そして上記の意図せざる浸炭層が形成されると、鋼材の表面硬さが本来得られるはずであった硬度より過大となって、焼入後の機械加工に時間がかかり、またその鋼材が鍛造用金型などの衝撃荷重を受ける用途に使用される場合には、使用中に割れを生じるなど、種々の問題点を生じるものであった。
この発明は上記従来の問題点を解決しようとするもので、油焼入処理により鋼材表面に浸炭層が形成されるのを防止できる鋼材の油焼入方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の鋼材の油焼入方法は、焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化性雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入方法において、加熱工程終了後、かつ油冷却開始前の時間帯に限定して、前記焼入室内に酸化性ガスを一定量導入することを特徴とする。
また請求項2記載の鋼材の油焼入方法は、焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化性雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入方法において、加熱工程の特定の時間帯に限定して、前記加熱室内に酸化性ガスを一定量導入することを特徴とする。
この発明において、無酸化雰囲気とは、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを炉内に供給することにより形成される常圧あるいは加圧状態の雰囲気を指す。そして鋼材の加熱工程と冷却工程は、両工程を真空雰囲気下で、あるいは両工程を無酸化雰囲気下で、行なってもよいし、一方の工程を真空雰囲気下で、他方の工程を無酸化雰囲気下で行なってもよい。
またこの発明において、冷却工程とは、鋼材を焼入油中に浸漬して冷却する油冷却のほか、この油冷却の前および/または後に、焼入室において鋼材をガス冷却する場合も含むものとする。そしてこの油冷却前にガス冷却を行う場合は、請求項1および6記載の発明における油冷却開始前とは、このガス冷却の前、およびガス冷却中、およびガス冷却後で油冷却開始前の各場合を含むものとする。
請求項1記載の方法によれば、前述の油冷却開始前に設けた所定の短時間の時間帯において、焼入室内に導入された酸化性ガスにより、加熱工程終了後の鋼材の表面に酸化皮膜が形成され、鋼材表面の活性が低下する。この状態の鋼材を焼入油に浸漬して油冷却すると、冷却の第1段階である蒸気膜段階において鋼材の表面は焼入油の蒸気膜によって覆われるが、鋼材の表面には前記酸化皮膜が形成されているので、蒸気膜中の油蒸気から遊離した炭素の鋼材表面への浸入が抑制され、鋼材表面の浸炭層形成が防止されるのである。そして酸化性ガスを加熱室に導入する場合には、鋼材加熱用のヒータ等の高温機器を耐酸化性タイプのもので構成する必要があるが、請求項1記載の方法では酸化性ガスは焼入室内に導入されるので、このような制約を受けることなく加熱室内の機器を構成することができる。
請求項2記載の方法によれば、加熱室内における加熱工程の終期、あるいは加熱工程終了後加熱室からの抽出までの間に設けた所定の短時間の時間帯において、加熱室内に導入された酸化性ガスにより、鋼材の表面には酸化皮膜が形成され、鋼材表面の活性が低下する。この状態の鋼材を焼入室における冷却工程において焼入油に浸漬して油冷却すると、冷却の第1段階である蒸気膜段階において鋼材の表面は焼入油の蒸気膜によって覆われるが、鋼材の表面には前記酸化皮膜が形成されているので、蒸気膜中の油蒸気から遊離した炭素の鋼材表面への浸入が抑制され、鋼材表面の浸炭層形成が防止されるのである。
この発明において酸化性ガスの導入量は、処理対象である鋼材の種類やサイズに拘わらず一定としてもよいが、請求項3記載の発明のように、酸化性ガスの導入量を鋼材の表面積、詳しくは1回の処理対象の鋼材の全表面積に応じて、設定するようにすれば、鋼材の表面に過不足なく酸化皮膜を形成して確実に浸炭層の形成を防止できるとともに、酸化性ガスの余剰分により焼入油が酸化して早期に劣化するのも防止できる。なおこの酸化性ガスの導入量の設定法については、後述するこの発明の実施の形態の項で例示する。
この発明において酸化性ガスとしては、たとえば炭酸ガスなども使用できるが、請求項4記載の発明のように、酸化性ガスとして空気または酸素を使用すれば、酸化性ガスを低コストで容易に入手できる。また請求項5記載の発明のように、酸化性ガスとして水蒸気を含む窒素または空気を用いれば、空気単独の場合は温度や湿度によって該空気中の水分量従ってガスの酸化力が変動するのに対して、一定量のガス中の水蒸気(分圧)を制御しやすく、安定した酸化力を得ることができるとともに、酸素に比べて酸化力が小さいため、鋼材表面に形成される酸化皮膜の膜厚を正確に制御でき、特に好ましい。
また請求項6記載の鋼材の油焼入装置は、焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入装置において、前記焼入室内に酸化性ガスを導入する手段と、この酸化性ガスの導入時期および導入量を制御して、加熱工程終了後、かつ油冷却開始前の時間帯に前記焼入室内に酸化性ガスを導入する導入制御手段とを、具備したことを特徴とする。
請求項6記載の装置によれば、請求項1記載の油焼入方法を実施することにより請求項1記載の手段による作用効果が得られ、加熱室内のヒータも格別の耐酸化性タイプのものとする必要はない。
また請求項7記載の鋼材の油焼入装置は、焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入装置において、前記加熱室内に酸化性ガスを導入する手段と、この酸化性ガスの導入時期および導入量を制御して、加熱工程の特定の時間帯に前記加熱室内に酸化性ガスを導入する導入制御手段とを、具備したことを特徴とする。
請求項7記載の装置によれば、請求項2記載の油焼入方法を実施することにより請求項2記載の手段による作用効果が得られる。
この発明によれば、焼入室内あるいは加熱室内に導入された酸化性ガスにより鋼材の表面に形成された酸化皮膜によって、油冷却時の蒸気膜段階における鋼材表面への炭素の浸入が抑制され、油焼入処理により鋼材表面に浸炭層が形成されるのを防止できる。
上記の効果に加えて、請求項3記載の発明によれば、鋼材の表面に過不足なく酸化皮膜を形成して確実に浸炭層の形成を防止でき、焼入油が酸化して早期に劣化するのも防止できる。
上記の効果に加えて、請求項4記載の発明によれば、酸化性ガスを低コストで容易に入手できる。
上記の効果に加えて、請求項5記載の発明によれば、酸化性ガスの安定した酸化力を得ることができるとともに、鋼材表面に形成される酸化皮膜の膜厚を正確に制御できる。
以下、図1および図2に示す第1例により、この発明の実施の形態を説明する。図1は真空油焼入装置1の全体を示し、2は加熱室、3は仕切扉4を介して加熱室2に連設した焼入室、5はこの焼入室の下側に設けた油槽であり、焼入油6が貯留されている。7は焼入室の出入口扉である。またWは、焼入処理対象である複数個の鋼材をパレット上に積載して成る処理品である。
加熱室2は、図示しない真空ポンプが接続された耐圧容器である炉殻11内に、断熱壁12により包囲されて形成され、加熱用のヒータ13をそなえている。14は炉殻11内に固設された溝形鋼製のガイドレールで、処理品Wの加熱室2内への受入・送出時に、処理品W支持用のハンガー20(後述)をガイドするためのものである。また15は処理品Wを支持する昇降テーブルで、シリンダ16により昇降駆動される。17は仕切扉4の開閉駆動用のシリンダである。
また図1および図2において、20は処理品W支持用のハンガーで、処理品Wが載置されるフォーク部21を固設した上部フレーム22に、複数対のローラ23をそなえている。25はハンガー20の昇降駆動装置で、ハンガー20のローラ23をガイド・支承する一対の溝形鋼製のガイドレール26を固設した昇降フレーム27を、昇降シリンダ28のピストンロッドに接続して成る。そして焼入室3は、図示しない窒素ガス供給源に接続されている。
一方焼入室3の出入口扉7の外側には、焼入処理前および処理後の処理品Wを支持する昇降台31、および処理品Wの焼入装置への装入・抽出時にハンガー20をガイドする揺動式の溝形鋼製のガイドレール32が設けてある。そしてこの例では、焼入室3の出入口開閉用の片開き式の出入口扉7の開閉動時に、シリンダ33によりガイドレール32を支軸34のまわりに上方へ回動させ、出入口扉7との干渉を防ぐようにしてある。なおガイドレール32,26,14に沿ってハンガー20を前後方向に駆動する前後駆動装置としては、ハンガー20の上部フレーム22に固設した前後方向に延びるチェーン41(図2参照)に係合するように各部に設けた4個の駆動スプロケット42(図1参照)を、モータにより同一方向に同周速で回転駆動させる連動駆動機構(図示せず)を用いている。
一方図2において、50は焼入室3に酸化性ガスを導入する酸化性ガス導入装置で、図1に示すように焼入室3の出入口扉7の内側位置に多数個配列されたガスノズル51を有し処理品Wおよびハンガー26の水平移動の支障とならないように略コ字状に屈曲成形されたガス導入管52のガス送給口52aに、フィルタ55と開閉弁56とマスフローコントローラ57とを直列接続したガス供給部58を、接続して成る。53は、ガス導入管52を焼入室3の炉壁に固定保持するブラケットである。
また59は制御装置で、焼入工程における油冷却前の所定の時点で所定時間開弁させる開弁信号Tを開閉弁56に出力するとともに、この開弁状態における酸化性ガス(この例では空気)の流量設定信号Qをマスフローコントローラ57に出力する。なおこの開弁時間(T)および流量設定値(Q)は、事前に実際の処理品Wを用いたテスト焼入を行なって、処理品Wのロット切換、すなわち処理品Wを構成する鋼材の全表面積変更に対しても、それぞれ適切な浸炭層低減効果が得られる時間(T)および流量(Q)のデータを把握しておき、このデータに基いて設定されたものである。また制御装置59は、上記の酸化性ガスの導入時期および導入量の制御の他に、昇降シリンダ28やシリンダ16,17,33等の駆動、加熱室2の温度や真空度、焼入室3の真空度、焼入油6の油温等、真空油焼入の工程に応じて各部のプログラム制御を行うものである。
上記構成の装置により処理品Wを真空油焼入れするには、焼入室外側のガイドレール32に支持したハンガー20に、上昇状態とした昇降台31上の未処理の処理品Wを移載し、次いで前後駆動装置によりハンガー20を前進駆動して焼入室3を経て加熱室2内に搬送した処理品Wを、昇降テーブル15上に移載し、ハンガー20を焼入室3内へ後退させ、仕切扉4を閉じて加熱室2内(およびこの例では焼入室3内)を所定の真空度に減圧後、所定の温度で処理品Wを真空加熱する。
真空加熱後の処理品Wは、仕切扉4を開いて昇降テーブル15上からハンガー20のフォーク部21上に移載し、図1に実線で示すように焼入室3内に停止させたのち、制御装置59の出力信号により酸化性ガス導入装置50により所定量の空気(酸化性ガス)を焼入室3内に所定時間導入する。このときガス供給部58においては、開閉弁56の開弁により、焼入室3内の真空度に応じて空気はフィルタ55を経て吸引され、マスフローコントローラ57により所定の流量に調整されてガス導入管52から焼入室3内に供給される。この空気の導入によって焼入室3内の高温の処理品Wの各鋼材の表面には、酸化皮膜が形成される。
次に焼入室3内に窒素ガスを供給し、油冷却時に必要とされる冷却速度に応じた室内圧力に復圧後、昇降シリンダ28によりハンガー20を下降駆動して処理品Wを焼入油6に浸漬させる。この浸漬による油冷却の第1段階である蒸気膜段階において、処理品Wの鋼材の表面は焼入油6の蒸気膜によって覆われるが、鋼材の表面には前記酸化皮膜が形成されているので、蒸気膜中の油蒸気から遊離した炭素の鋼材表面への浸入が抑制され、鋼材表面の浸炭層形成が防止される。これに続く沸騰段階および対流段階を経て、鋼材は所定の冷却曲線に従って冷却される。
所定時間の焼入油6への浸漬後は、ハンガー20を上昇駆動して処理品Wを焼入室3内へ引揚げ、焼入室3内を大気圧に復圧後ハンガー20を抽出方向に後退駆動して焼入室3から外部へ抽出し、1回の真空油焼入工程を終了する。以下順次未処理の処理品Wに対して上記工程を繰返せばよい。
得られた油焼入処理品は、鋼材表面の浸炭層形成が防止され、酸化皮膜の形成により表面の光輝性は失われるが、必要に応じて表面研磨することにより容易に光輝性を回復できる。
次に図3はこの発明の実施の形態の第2例を示し、図示のガス供給部61以外は前記第1例と同構成を有し、図2と同一部分には同一符号を付して図示してあり、それらの部分の詳細な説明は省略し、後述する第3例も同様とする。
この第2例も酸化性ガスとして空気を用いるものであるが、この空気はコンプレッサ62により供給され、開閉弁56の開弁時に減圧弁63により所定圧力に減圧後、マスフローコントローラ57により流量調整されてガス導入管52内に供給され、焼入室3内が窒素ガスなどによる大気圧以上の無酸化性雰囲気である場合でも、所定量の空気を焼入室3内へ導入できる。
また図4はこの発明の実施の形態の第3例を示し、酸化性ガスとして水蒸気を用いるものであり、水蒸気供給用のガス供給部65と、希釈用のガス供給部71を用いている。ガス供給部65においては、水槽66aとヒータ66bとから成るボイラ66により発生した水蒸気をタンク67に貯留し、使用時には開閉弁56開弁時に減圧弁63により水蒸気を所定圧力に減圧しマスフローコントローラ57により流量調整してガス導入管52内に供給する。これと共にガス供給部71においては、図示しないボンベなどの貯留部から窒素ガスや乾燥空気などの希釈用ガスGを、ガス供給部65と同時期に開弁する開閉弁72を経て、マスフローコントローラ73により水蒸気(流量Q)に対する希釈比率から予め定めた流量Q’で供給して、前記水蒸気に混合させてガス導入管52内に供給する。
この例では酸化性ガスとして水蒸気を用いており、さらに希釈用ガスGを用いているので、ガス導入管52内に供給される酸化性ガスは酸化力が小さいため、その導入量制御により鋼材表面に形成される酸化被膜の膜厚を正確に制御できる。なお希釈用のガス供給部71は、省略することも可能である。
この発明は上記各例に限定されるものではなく、たとえば加熱室2,焼入室3,処理品搬送装置などの具体的構成は、上記以外のものとしてもよい。また酸化性ガス導入装置のガス供給部やガス導入管,酸化性ガスの種類等も上記以外の構成のものとしたり、ガス導入管を加熱室に設けて酸化性ガスを加熱室内に供給するものとしてもよい。
次に前記第1例の真空油焼入装置1(但し焼入室3の空間容積=9m)を用いて行なったこの発明の実施例および比較例を説明する。
[実施例] 熱間金型用の合金工具鋼SKD61(JIS)製の直径50mm×長さ50mmの鋼材をパレット上に10個積載して成る処理品Wを、図5に示す圧力および温度曲線に従って、加熱室2内で真空加熱後、フォーク部21上に移載した処理品Wを焼入室3内(油槽5の上方位置)に停止させ、酸化性ガス導入装置50により30秒間で450リットルの空気をガス導入管52を経て焼入室3内に導入して1分間保持し、次いで窒素ガスの導入により焼入室3内を13000Paまで復圧した状態で処理品Wを180℃の焼入油6中に浸漬し、90分間の油冷却後に焼入室3から外部へ抽出した。
この油焼入後の各鋼材を長さ方向中央位置で切断して切断面を研磨し、この研磨面にエッチングを施して、光学顕微鏡により組織を観察・撮影し、浸炭層の厚さを測定したところ、浸炭層の厚さは10μm以下であった。
[比較例] 上記の焼入室3における空気(酸化性ガス)の導入を行わずに直ちに上記窒素ガスの導入による復圧を行い、その他は上記実施例と同条件で油焼入を行なったところ、油焼入後の各鋼材の浸炭層の深さは40〜200μmであった。
この発明の実施の形態の第1例を示す真空油焼入装置の縦断面図である。 図1のA−A線断面図である。 この発明の実施の形態の第2例を示す酸化性ガス導入装置の要部系統図である。 この発明の実施の形態の第3例を示す酸化性ガス導入装置の要部系統図である。 図1および図2の装置による鋼材の油焼入方法の実施例を示す油焼入工程の圧力・温度曲線である。
符号の説明
1…真空油焼入装置、2…加熱室、3…焼入室、4…仕切扉、5…油槽、6…焼入油、50…酸化性ガス導入装置、52…ガス導入管、52a…ガス送給口、55…フィルタ、56…開閉弁、57…マスフローコントローラ、58…ガス供給部、59…制御装置、61…ガス供給部、62…コンプレッサ、65…ガス供給部、66…ボイラ、71…ガス供給部、72…開閉弁、73…マスフローコントローラ、W…処理品(鋼材)。

Claims (7)

  1. 焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化性雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入方法において、加熱工程終了後、かつ油冷却開始前の時間帯に限定して、前記焼入室内に酸化性ガスを一定量導入することを特徴とする鋼材の油焼入方法。
  2. 焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化性雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入方法において、加熱工程の特定の時間帯に限定して、前記加熱室内に酸化性ガスを一定量導入することを特徴とする鋼材の油焼入方法。
  3. 前記酸化性ガスの導入量を、鋼材の表面積に応じて設定することを特徴とする請求項1または2記載の鋼材の油焼入方法。
  4. 前記酸化性ガスが空気または酸素であることを特徴とする請求項1または2または3記載の鋼材の油焼入方法。
  5. 前記酸化性ガスが水蒸気を含む窒素または空気であることを特徴とする請求項1または2または3記載の鋼材の油焼入方法。
  6. 焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入装置において、前記焼入室内に酸化性ガスを導入する手段と、この酸化性ガスの導入時期および導入量を制御して、加熱工程終了後、かつ油冷却開始前の時間帯に前記焼入室内に酸化性ガスを導入する導入制御手段とを、具備したことを特徴とする鋼材の油焼入装置。
  7. 焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成る炉体内で、真空雰囲気または無酸化雰囲気下で加熱および冷却工程が行われる鋼材の油焼入装置において、前記加熱室内に酸化性ガスを導入する手段と、この酸化性ガスの導入時期および導入量を制御して、加熱工程の特定の時間帯に前記加熱室内に酸化性ガスを導入する導入制御手段とを、具備したことを特徴とする鋼材の油焼入装置。
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