JP2007099964A - 異形押出成形用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融時にコシがあり、メヤニの発生が少なく、サイジングダイスでの滑性も良好であって、異形押出成形性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、スチレン系樹脂(B)と、芳香族ビニル化合物から誘導される構成単位を含み且つ1分子中にエポキシ基および/または酸無水物基を少なくとも2つ有する重合体(C)とから成り、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、スチレン系樹脂(B)の割合が5〜90重量部、重合体(C)の割合が0.1〜40重量部である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、異形押出成形用樹脂組成物に関し、詳しくは、主成分として脂肪族ポリエステル樹脂を含有する押出成形用樹脂組成物に関する。
同一断面形状の長尺物を樹脂材料で製造する際には、異押出成形が簡便であり、複雑な断面形状を持つ窓枠の成形も樹脂材料で行われている。一般に、異形押出成形工程においては、異形金型を具備した押出機を使用し、溶融樹脂を押出した後、サイジングダイス内を通過・冷却させることにより所望の製品形状に賦形し、次いで、製品寸法に裁断する。
ところで、近年の種々の問題より塩ビ系樹脂を他の素材に置き換え様とする動きがある。数ある代替素材の内、脂肪族ポリエステル樹脂は、その物理的性状、環境適性、接着特性、価格などの面より有力な素材である。しかしながら、異形押出成形に脂肪族ポリエステル樹脂を使用するには大きな課題がある。
肪族ポリエステル樹脂の場合、溶融粘度が低いため、異形金型からサイジング工程に向かう途中で樹脂のタレが生じて断面形状が変化する。従って、正規の形状にて複雑な形状を有するサイジングダイスを通過させて所望の製品を得ることが困難である。斯かる問題を解決するため、脂肪族ポリエステル樹脂にグリシジル基および/またはイソシアネート基を1分子当り2個以上含有する反応性化合物(例えばスチレン/メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体など)を添加・反応させることにより、分子量を増大させ(溶融粘度を向上させ)、溶融樹脂に“コシ”を持たせる方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、斯かる方法は、ある程度の改良効果が認められるものの、必ずしも十分とは言えず、更なる改良が望まれる。
脂肪族ポリエステル樹脂は、溶融状態において金属との粘着性が高く、異形押出時のサイジングダイスとの粘着により、所望の製品を得ることが困難である。斯かる問題を解決するため、脂肪族ポリエステル樹脂に、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス等の公知の滑剤を配合する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、斯かる方法では、滑剤の効果を得ようと添加量を増大させた場合、成形品表面に滑剤がブリード乃至はブルームすることになり、ダイス及びサイジングダイスにメヤニとして堆積する問題がある。
上記の2つの問題を同時に解決する方法として、脂肪族ポリエステル樹脂に、グリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物および高級アルコール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を配合する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、斯かる方法は、効果が小さく、更なる改良が望まれる。
特開2003−238777号公報 特開2004−352844号公報 特開2005−54071号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、溶融時にコシがあり、メヤニの発生が少なく、サイジングダイスでの滑性も良好であって、異形押出成形性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、脂肪族ポリエステル樹脂に前述の先行技術と同様の反応性化合物と共にスチレン系樹脂を配合することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、スチレン系樹脂(B)と、芳香族ビニル化合物から誘導される構成単位を含み且つ1分子中にエポキシ基および/または酸無水物基を少なくとも2つ有する重合体(C)とから成り、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、スチレン系樹脂(B)の割合が5〜90重量部、重合体(C)の割合が0.1〜40重量部であることを特徴とする異形押出成形用樹脂組成物に存する。
本発明の異形押出成形用樹脂組成物によれば、機械的特性および加工性に優れることから容易に所望する成形品を得ることが出来る。また、得られた成形品は要求に十分耐え得る機械的特性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用される脂肪族ポリエステル樹脂(A)としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脱水縮合で得られるポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸および/またはこれらの無水物との脱水縮合で得られるポリマー等が挙げられる。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。
脂肪族多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、l,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル一1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、l,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
脂肪族多価カルボン酸およびその無水物の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸およびその無水物が挙げられる。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、上記の原料の脱水縮合により得られるホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーの何れであってもよい。また、二種以上の混合物であってもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(以下Mw)は、通常1万〜500万、好ましくは3万〜300万、更に好ましくは5万〜200万、特に好ましくは7万〜100万、顕著に好ましくは9万〜50万である。重量平均分子量が1万より小さい場合、機械物性が十分でなかったり、逆に分子量が500万より大きい場合、取扱が困難となり、また、不経済となる。
本発明で使用するスチレン系樹脂(B)としては、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、ゴム含有ポリスチレン、スチレン−マレイン酸共重合体などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。スチレン系樹脂(B)のMwは、通常1万〜500万、好ましくは5万〜500万である。
本発明で使用する重合体(C)は、芳香族ビニル化合物から誘導される構成単位を含み且つ1分子中にエポキシ基および/または酸無水物基を少なくとも2つ有する重合体である。
上記の芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチル−α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン等の塩素化スチレン;モノブロモスチレン、ジブロモスチレン等の臭素化スチレン;モノフルオロスチレン等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。エポキシ基および/または酸無水物基は、ポリマーの主鎖、側鎖、末端の何れに存在してもよい。発明で使用する重合体(C)のMwは、通常500〜100万、好ましくは1,000〜50万である。
本発明で使用する重合体(C)の具体例としては、スチレン−メチル(メタ)アクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体(東亜合成社製の商品「アルフォン UG−4030」)、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−グラフト−(アクリロニトリル−スチレン共重合体(日本油脂社製の商品「モディパーA4400」)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体−グラフト−無水マレイン酸(旭化成社製の商品「タフテックM1913」)等が挙げられる。
成分(B)の添加量は、成分(A)100重量部に対し、5〜90重量部、好ましくは10〜80重量部、更に好ましくは10〜70重量部である。成分(B)の添加量が5重量部未満の場合は、添加によりもたらされる賦形性改善および金属粘着性の低減効果が十分とは言ず、90重量部を超える場合は、脂肪族ポリエステル樹脂の特徴が損なわれる。
成分(C)の添加量は、成分(A)100重量部に対し、0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部である。成分(C)の添加量が0.1重量部未満の場合、添加によりもたらされる賦形性改善効果が十分とは言えず、また、40重量部を超える場合は、成形性の悪化、製品外観の悪化を招く。
本発明の樹脂組成物は、必要性能を阻害しない範囲に於いて、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、架橋剤、架橋助剤などを配合することが出来る。
本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては何ら制限はない。例えば、各成分を任意の順序で又は同時に溶融混合することにより、各成分が均一に分布した組成物を得ることが出来る。なお、溶融混合手段としては公知の手段が挙げられる。例えば、単軸押出機や2軸押出機の様な連続混練機の他、ミルロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機が好適に使用できる。溶融混合温度は通常160℃〜230℃である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の諸例においては表1に示す原料を使用した。表2に示す配合比率に従って秤量した原料を、内容量20Lヘンシェルミキサー(回転数100回転、撹拌時間3分)に投入して撹拌後、混合物を同方向2軸押出機(口径30mm、L/D=30、回転数200rpm、設定温度180℃)へ挿入して溶融混練した後、得られたストランド状の樹脂を冷却、裁断することにより、組成が均一なペレットを得た。
次いで、上記のペレットを使用し異型押出成形を行った。すなわち、図1の様なL字型のダイスを具備した口径40mm単軸押出機を使用し、成形温度190℃、スクリュ回転数20rpmでペレットを押出した後、水温25℃の冷却水を蓄えた長さ2mの水槽中でダイスと同断面の真空サイジングダイス(長さ100mm、ゲージ圧)を使用して賦形し、以下の成形性の評価を行った。
(1)成形性の評価:
溶融樹脂がダイスから押し出されてサイジングダイスへ誘導される間に、樹脂の垂れ落ちが少なく、スムーズにサイジングダイスへ導入され且つサイジングダイス内での滑り性が良好なものは「○」、樹脂の垂れ落ちが激しくスムーズにサイジングダイスへ導入できないもの、または、サイジングダイス内での滑り性に劣り製品の引き取りがスムーズに行かないものは、成形困難なものとして「×」と評した。
(2)メヤニの評価:
ダイスから脱落し、成形品に移動するまでの時間およびその発生量を計測し、20分以上且つ0.2g以下のものは「○」、それ以外は「×」とした。
(3)成形品外観の目視評価:
成形品肌目が均質で歪みが生じていないものは「○」、肌目が不均質であるか又は成形品に歪みが生じているものは「×」とした。
Figure 2007099964
Figure 2007099964
実施例および比較例の異型押出成形で採用した押出機の先端に取り付けられたL字型のダイスの斜視図

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、スチレン系樹脂(B)と、芳香族ビニル化合物から誘導される構成単位を含み且つ1分子中にエポキシ基および/または酸無水物基を少なくとも2つ有する重合体(C)とから成り、脂肪族ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、スチレン系樹脂(B)の割合が5〜90重量部、重合体(C)の割合が0.1〜40重量部であることを特徴とする異形押出成形用樹脂組成物。
  2. スチレン系樹脂(B)が、原料として、ポリスチレン、ゴム含有ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体の群から選ばれる少なくとも1種を使用して得られたものである請求項1に記載の異形押出成形用樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂(A)が生分解性を有するものである請求項1又は2に記載の異形押出成形用樹脂組成物。
  4. ポリエステル樹脂(A)が、原料として、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレートの群から選ばれる少なくとも1種を使用して得られたものである請求項1〜3の何れかに記載の異形押出成形用樹脂組成物。
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CN102719063A (zh) * 2011-03-30 2012-10-10 比亚迪股份有限公司 一种聚乳酸材料组合物、聚乳酸材料及其制备方法
JP2015044984A (ja) * 2013-07-31 2015-03-12 花王株式会社 ポリ乳酸樹脂組成物

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