JP2007099677A - チロシナーゼ阻害剤、美白剤および美白外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】チロシナーゼ阻害剤等を提供する。
【解決手段】繊維芽細胞増殖因子5若しくは繊維芽細胞増殖因子5Sの、全部若しくは一部からなるペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであってチロシナーゼ阻害活性を有するペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
【選択図】 なし
Description
このようにFGF−5は、毛の成長およびその阻害に大きく関与していることが知られている。
しかしながら、コウジ酸を用いた化粧品については、コウジ酸による発ガン性が報告され、現在では、コウジ酸を用いた化粧品の製造及び輸入が中止されている。また、胎盤抽出物についても、安全性の面での課題が残っている。
すなわち、新しい種類の美白効果を有する美白剤が求められている。
(1)繊維芽細胞増殖因子5若しくは繊維芽細胞増殖因子5Sの、全部若しくは一部からなるペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであってチロシナーゼ阻害活性を有するペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
(2)下記のアミノ酸配列のいずれかを含むペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであって前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
(a)配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列:または
(b)配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列であって、チロシナーゼ阻害活性を有するアミノ酸配列。
(3)配列番号1若しくは2に記載のアミノ酸配列を含むペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであって前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
(4)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチドの修飾ペプチドであって前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のチロシナーゼ阻害剤を含有する美白剤。
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のチロシナーゼ阻害剤を含有する美白外用剤。
さらに、本発明で用いるペプチドは、脱毛効果も有することから、脱毛効果を併せ持つ美白剤として用いることができる。
本発明のチロシナーゼ阻害剤は、特定のペプチドを含有する。
本発明で用いるペプチドは、例えば、FGF−5またはFGF−5Sの、全部または一部からなり、チロシナーゼ阻害作用を有するペプチドである。ここで、本発明でいうペプチドとは、アミノ酸がペプチド結合したものをいい、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、ポリペプチド及びタンパク質も含む趣旨である。
本発明で用いるペプチドは、好ましくは、下記のアミノ酸配列のいずれかを含むペプチド、または、前記ペプチドの修飾ペプチドであって、前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチドである。
(a)配列番号1(Leu Ser Gln Val His Arg)もしくは配列番号2(Pro Asp Gly Lys Val Asn Gly Ser His Glu Ala Asn Met)に記載のアミノ酸配列:または
(b)配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列であって、チロシナーゼ阻害活性を有するアミノ酸配列。
ここで、本発明のチロシナーゼ阻害活性剤は、上記いずれかのアミノ酸配列が本発明で用いるペプチドのアミノ酸配列の一部として含まれていればよく、チロシナーゼ阻害活性を発揮する限りは、上記(a)又は(b)に記載のアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に追加のアミノ酸配列が付加されていてもよい。但し、本発明の一実施態様としては、上記(a)又は(b)に記載のアミノ酸配列のみから成るペプチドが提供される。
また、本発明で用いるペプチドにおいて、挿入又は置換されるアミノ酸の種類は特に限定されないが、L-アミノ酸であることが好ましい。挿入又は置換されるアミノ酸の個数及び位置も特に限定されない。
このように、アミノ酸で置換して得られるペプチドが置換前のペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有するためには、置換されるアミノ酸同士は互いに類似した性質を有するアミノ酸であることが好ましい場合がある。具体的には、ヒドロキシアミノ酸に属するアミノ酸同士、脂肪族アミノ酸に属するアミノ酸同士、酸性アミノ酸に属するアミノ酸同士、塩基性アミノ酸に属するアミノ酸同士の間で置換することが挙げられる。もちろん、チロシナーゼ阻害活性を有する限り他のアミノ酸で置換することも可能である。
本発明で用いるぺプチドのアミノ酸残基の数は、チロシナーゼ阻害活性を有する限り特に定めるものではないが、好ましくは5〜20であり、より好ましくは6〜15である。
特に、FGF−5のアミノ酸配列およびそれらをコードするDNAの塩基配列が明らかであるので、これらの配列に基づいて、遺伝子組み換え技術を利用して作製することができる。FGF−5またはFGF−5Sとしては、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えばヒト、マウス及びラット由来のFGF−5またはFGF−5Sが挙げられる。これらの中では、ヒト由来のFGF−5またはFGF−5Sが好ましい。
一方、ヒト又はマウス由来のFGF−5SをコードするDNAは、公知の塩基配列(Ozawa K et al., J. Biel. Chem. 273:29262-29271, 1998)に基づいて、PCR法又はハイブリダイゼーション等の当業者によく知られた遺伝子のクローニング法によって、染色体DNA又はcDNAライブラリーから、取得することができる。FGF−5Sは、FGF−5遺伝子に遺伝子のエクソン1およびエクソン3によってコードされている。
より具体的には、本発明のチロシナーゼ阻害剤が含有するペプチドは、例えば、特開2002−29372号公報の段落番号0016〜0018の記載を参酌して合成することができる。
例えば、薬理学的、製剤学的に許容し得る添加物を加えて製造することができる。具体的には、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等をあげることができる。さらに、本発明の美白剤には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の美白剤を1種又は2種以上配合してもよい。
本発明の美白剤の投与量は特に限定されず、有効成分の種類などに応じて適宜選択することができ、さらに使用者の体重や年齢、種類や症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。
また、美白剤は、美白内用剤であっても、美白外用剤であってもよいが、美白外用剤であることが好ましい。
具体的には、医薬品、医薬部外品、美白を目的とした食品・飲料等として用いることができる。この場合の、本発明のチロシナーゼ阻害剤の配合量は、該美白内用剤全量に対して、固形分換算で、0.0000000001〜10.0重量%の範囲内で含有するのが好ましく、0.000000001〜5.0重量%の範囲内で含有するのがより好ましく、0.00000001〜1.0重量%の範囲内で含有するのがさらに好ましい。
具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧料等として用いることができる。この場合の、本発明のチロシナーゼ阻害剤の配合量は、該美白外用剤全量に対して固形分換算で、0.0000000001重量%〜10.0重量%の範囲内で含有するのが好ましく、0.00000001重量%〜5.0重量%の範囲内で含有するのがより好ましく、0.00001重量%〜1.0重量%の範囲内で含有するのがさらに好ましい。
配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むリコンビナントFGF−5タンパク質(以下、「リコンビナントFGF−5タンパク質」という)は、文献J. Biol. Chem. 273,29262-29271に記載の方法により調整した。
具体的には、ICRマウス6週令メス個体(日本クレア製)より脳を摘出し、ここからRNAを抽出した。このRNAに、ランダムヘキサオリゴヌクレオチドをプライマーとして、M−MLV逆転写酵素(Moloney Murine Leukemia Virus、Invitrogen製、28025−013)によりcDNA混合物を得た。次に、得られたcDNA混合物から目的とする遺伝子をPCR反応により増幅した。この結果、リコンビナンFGF−5タンパク質に相当する大きさのDNAフラグメントを得た。これを、ゲル電気泳動によって分離して、ゲルから切り出した。得られたDNAフラグメントを、クローニングベクターとしてpET−3を用い、そのクローニングサイトに組み込むことによってプラスミドを構築した。このプラスミドをベクターとし、大腸菌BL21(DE3)pLysS株(カルビオバイオケム・ノババイオケム コーポレーション製、69451−3)を宿主として形質転換体を得た。該形質転換体を40mlのLuria−Bertani培地(LB培地)に植菌し、37℃、16時間培養し、その後新たなLB培地に移植して更に培養した。インヂューサーとして1mMのイソプロピルチオガラクトシド(Isopropyl thiogalactoside (IPTG) )を添加し、更に3時間培養した。培養後、6000回転15分間遠心し、菌体を得た。菌体を試験管にとり、氷浴中で、2分間超音波破砕を行なった。その後、12000回転で、1時間遠心し、リコンビナントFGF−5タンパク質を含有する上清液を採取した。
ヘパリンセファロースを10mMのトリス−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁し、同溶液で洗浄した。この懸濁液に、最終濃度が0.5MになるようにNaClを添加し、前記リコンビナントFGF−5タンパク質を含有する上清液を添加し、4℃で、3時間穏やかに攪拌した。10mMのトリス−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した後、カラムに詰め、0.7MのNaCl含有10mMトリス−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した後、溶離液として2MのNaCl含有10mMトリス−HCl緩衝液(pH7.4)を用いて目的とするリコンビナントFGF−5タンパク質を溶出した。大腸菌4Lの培養液より、300μgのリコンビナントFGF−5タンパク質の部分精製品を得ることができた。精製標品をSDS−PAGEで分離し、純度を検定した後、−80℃で保存した。
マウスB16メラノーマ細胞(大日本製薬(株)製、09−6322)を10質量%の牛胎児血清(FBS)(キャンサーインターナショナル製、CC3008−504)および0.5mMテオフィリン(和光純薬(株)、201−09931)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地)に懸濁した後、96穴の細胞培養用プレートに1ウエルあたり2x103個加え、炭酸ガスインキュベーター(5%、CO2、37℃)中で2日間培養した。2日後、テオフィリンを含まないDMEM培地に交換し、前記リコンビナントFGF−5タンパク質の部分精製品を添加して更に3日間培養した。培養後、培養液を吸引することによって除去し、各ウエルに、1%トライトンX−100(TritonX−100)(ICNバイオメディカルス製、194854)含有(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(−))を90μl添加し、ウエルを十分振動させた後、475nmにおける吸光度を測定した(このサンプルの前記リコンビナントFGF−5タンパク質の部分精製品の最終濃度は、1.5x10−9Mであった。)。測定後、10mMのL−ジヒドロキシフェニルアラニン(L−DOPA)を加えて1時間反応させ、同様に475nmにおける吸光度を測定し、吸光度の変化量よりチロシナーゼ阻害活性を定量した(1)。
前記リコンビナントFGF−5タンパク質の部分精製品のメラノーマ細胞に対する細胞毒性は、前記リコンビナントFGF−5タンパク質の部分精製品を添加して3日間培養した後、各ウエルにWST−8液(和光純薬工業(株)製)5μlを添加し、更に3時間培養し、WST−8ホルマザンの産生量に伴う450nmの発色を測定して求めた(2)。
前記リコンビナントFGF−5タンパク質の部分精製品のチロシナーゼ阻害活性は、(1)の測定により得られたチロシナーゼ阻害活性について、(2)の測定により得られた披験サンプルの細胞毒性値で除すことによって、披験サンプルによる細胞毒性を補正して算出した。
これらのペプチドおよびコウジ酸(シグマ製、K3125−5G)についても同様にチロシナーゼ活性を測定した。これらのチロシナーゼ阻害活性測定サンプル中における最終濃度は、ペプチド1、ペプチド2、コウジ酸の順に、1mM、1mM、4.4mMとした。
一方、4.4mMの濃度で測定したコウジ酸では53%活性を阻害した。
すなわち、本発明におけるペプチドは、コウジ酸よりも著しく低い濃度でも高いチロシナーゼ阻害活性を示すことが明らかになった。
Balb/c3T3細胞(アメリカン タイプカルチャーコレクション製(ATCC)、CCL−163)4x104cells/500μlを48ウエル培養プレートに播種し、10質量%牛胎児血清(FBS)存在下、DMEM培地で24時間培養した。次に、細胞を同培地で洗浄後、0.3質量%の活性炭処理ウシ血清(CS)を含有するDMEM培地を添加してさらに48時間培養し、細胞を同調させた。反応液中にヘパリン5μg/ml(最終濃度)を添加した後、FGF−5を含有する被験液を添加し、16時間培養後、3HTdR(3 H-methyl thymidine)(Moravek Biochemicals製)を添加し、更に4時間37℃、CO2インキュベーターで培養した。培養上清を吸引し、PBSで細胞を洗浄した後、1ウエルあたり、200μlの0.025% トリプシン(Trypsin)−0.02% EDTA2Na−PBSを加え、30℃、15〜20分間反応させて細胞をはがした。セルハーベスターで細胞をろ紙に回収し、ろ紙を乾燥後、トルエン系シンチレーター2ml/切片を添加して、細胞へのトリチウムチミジンの取り込みを液体シンチレーションカウンターで測定した(FGF−5の最終濃度は、2×10−7mMであった。)。
また、FGF−5を、ヘパリン(5μg/M)、ペプチド1(1.0mM)またはペプチド2(1.0mM)に変えて同様に行った。
その結果、図2に示すとおり、FGF−5、ペプチド1またはペプチド2は、それぞれ、DNA合成を促進した。
この結果、ペプチド1またはペプチド2は、FGF−5様の活性があることが明らかとなった。一方、FGF−5が毛周期を制御し、マウス皮下に投与することによって毛成長を阻害することは、上記非特許文献3(J. Cell. Physiol. 197,272-283)等によって示されている。従って、本発明におけるチロシナーゼ阻害剤は、脱毛効果を併せ持つ美白剤であることが明らかになった。
Claims (6)
- 繊維芽細胞増殖因子5若しくは繊維芽細胞増殖因子5Sの、全部若しくは一部からなるペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであってチロシナーゼ阻害活性を有するペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
- 下記のアミノ酸配列のいずれかを含むペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであって前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
(a)配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列:または
(b)配列番号1もしくは2に記載のアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列であって、チロシナーゼ阻害活性を有するアミノ酸配列。 - 配列番号1若しくは2に記載のアミノ酸配列を含むペプチド、該ペプチドの修飾ペプチドであって前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
- 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むペプチド、前記ペプチドの修飾ペプチドであって前記ペプチドと同様のチロシナーゼ阻害活性を有する修飾ペプチド、またはそれらの塩を含むチロシナーゼ阻害剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のチロシナーゼ阻害剤を含有する美白剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のチロシナーゼ阻害剤を含有する美白外用剤。
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