JP2007099603A - セラミックス製品 - Google Patents

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Takeshi Kono
剛 河野
Miyuki Yamauchi
美雪 山内
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Abstract

【課題】 吸着容量が、従来の吸着機能が付与されたセラミックス製品と比較してはるかに大きく、有害物質、臭気の発生する場所で使用して十分に吸着機能をまっとうできる、吸着機能が付与されたセラミックス製品を提供する。
【解決手段】 セラミックス原料にセラミックス原料に対して2〜200重量%のリグニンスルホン酸塩を混合したものを焼成して得たセラミックス製品であって、焼成過程でリグニンスルホン酸塩のリグニン部分が燃焼して気化しその場所が空洞化することによりセラミックス製品の材質そのものが多孔質構造になっているセラミックス製品を提供する。

Description

本発明は、タイル、レンガなどの無機系建材、日用品や装飾品などの陶磁器類などあらゆるセラミックス製品に関し、特に大気中の有害物質や臭気の吸着機能が付与されたセラミックス製品に関する。
最近、住環境の安全性が特に重視されるようになっており、セラミックスの分野でも壁、床などに使用される無機系建材、日用品や装飾品などの陶磁器類などに、空気中の有害物質や臭気の吸着機能を付与したセラミックス製品が開発されている。
このようなセラミックス製品のほとんどが、セラミックス原料に、吸着機能を持つ多孔質物質、例えば、ゼオライト、ケイソウ土、発泡ガラス等を混合したものである。例えば、先に、本発明者の一部は、前期吸着機能を持つ多孔質物質としてカルシウム塩が使用されている発泡ガラスを、セラミックス原料に混合し焼成して得たセラミックス製品を開発している。(特許文献1参照)。
また、特許文献2では、出発物質に炭素を含有する可燃物を使用し、それをセラミックス原料と混合した後焼成することにより出発物質を活性炭化して吸着機能を付与したセラミックス製品が開示されている。特許文献2が目的とするものは、水質浄化のための吸着剤である。
しかしながら本発明者らの研究によれば、これらの吸着機能が付与されたセラミックス製品は、短期的には優れた吸着機能を発揮するが、十分な期間にわたって吸着機能が持続しない、すなわち吸着容量が小さい。
元々、吸着剤として使用される多孔質物質の吸着機能は有限で、一定量吸着した後は新しいものに交換される。従って、特許文献2の場合のように用途が吸着剤そのものであるなら問題はない。しかし、特許文献1など本来の目的が建材や日用品などでありそれに吸着機能を付与させたものの場合、吸着性がどこまで持続するは重要な問題である。
例えば、新築の住宅に使用された接着剤や塗料に含まれるホルムアルデヒドや有機溶剤は、築後約1年ほど放出し続けると言われており、前記吸着機能が付与されたセラミック製品は十分その量に耐えうる吸着容量を持っているべきである。
これら従来の吸着機能が付与されたセラミックス製品の吸着容量が少ない原因は、吸着物質の穴口を基材であるセラミックス原料の細粒がふさいでいる為と考えられる。
特願2004−359088号公報 特開2004−359489号公報
本発明は、吸着容量が、従来の吸着機能が付与されたセラミックス製品と比較してはるかに大きく、有害物質、臭気の発生する場所で使用して十分に吸着機能をまっとうできる、吸着機能が付与されたセラミックス製品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究により、セラミックス原料にリグニンスルホン酸塩を混合するとリグニンスルホン酸は分子レベルまで細かくセラミックス原料中に均一に分散し、それを焼成するとリグニンスルホン酸塩のリグニン部分のみが焼失して微細な空洞となり、できあがったセラミックス製品は、その生地自体が微細な多孔質物質となり非常に大きな吸着能力を持つようになることを見出した。
すなわち、本発明は、セラミックス原料にセラミックス原料に対して2〜200重量%のリグニンスルホン酸塩を混合したものを焼成して得たセラミックス製品であって、焼成過程でリグニンスルホン酸塩のリグニン部分が燃焼して気化しその場所が空洞化することによってセラミックス製品の材質が多孔質構造になっていることを特徴とするセラミックス製品である。
本発明で使用されるセラミックス原料は、単独で或いは他の原料と混合して成形し焼成することにより固結するもので、代表的にはカオリン、イライトなどの粘土鉱物、石英、長石など粘土セラミックスの主原料、更にガラス、酸化アルミニウム、セッコウ、ゼオライトなどあらゆる無機物が対象となる。
本発明で使用されるリグニンスルホン酸塩は、植物の主成分であるリグニンのスルホン化物の塩で、通常工業的には、亜硫酸パルプ化法によるパルプ廃液を精製して得られる。しかし、必ずしもそれに限定するものではなく、例えば植物から直接抽出したリグニンをスルホン塩化しても良い。
リグニンスルホン酸塩としては、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸ナトリウムの使用が好ましく、特にリグニンスルホン酸カルシウムの使用が好ましい。リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸ナトリウムは、本発明における焼成過程でリグニン分が焼失した後流酸塩となり、前記セラミックス原料と一体化する。
リグニンスルホン酸塩の使用量は、前記セラミックス原料に対して2〜200重量%であり、好ましくは5〜100重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
次に、前記リグニンスルホン酸塩と前記セラミックス原料との混合について説明する。
前記リグニンスルホン酸塩と前記セラミックス原料とはよく混合されねばならない。通常、適量の水を加えて混錬し、粘土状又は懸濁液状にする。適量の水の量は、前記セラミックス原料の種類、前記リグニンスルホン酸塩と前記セラミックス原料との混合割合、成形の方法などによって異なるが、通常の粘土セラミックス製品の場合、水の量は、好ましくはセラミックス原料に対して10〜500重量%である。
リグニンスルホン酸塩は、疎水基のフェニルプロパン構造と親水基のスルホン酸塩からなり、優れた分散剤でもある。したがってリグニンスルホン酸塩をセラミックス原料に混合すると、セラミックス原料中の諸物質が均一に混和されると同時に、リグニンスルホン酸塩自体もセラミックス原料中によく混和し分子レベルで均一に分散する。
次に、前記リグニンスルホン酸塩とセラミックス原料との混合物を、型枠などで目的とする形状に成形する。そして、好ましくは、焼成前に乾燥して水分を除去しておく。
次に焼成条件であるが、使用するセラミックス原料により好ましい焼成温度、焼成時間は異なるが、一般の粘土セラミックスの場合、焼成温度は500〜1500℃、好ましくは700〜1200℃、より好ましくは750〜1000℃、焼成時間は2時間以上、好ましくは4〜20時間、より好ましくは6〜15時間である。
焼成温度が上記条件よりも低い、または焼成時間が上記条件よりも短い場合は、リグニンスルホン酸塩のリグニン分の焼失が不十分となる。また、焼成温度が上記条件よりも高いとセラミックス原料が融解し、多孔質構造が崩れてしまう。
焼成過程で、リグニンスルホン酸塩のリグニン部分は燃焼し、水と二酸化炭素になり、燃焼した部分が空洞化する。リグニンスルホン酸塩はセラミックス原料中によく分散しているのでリグニン部分が燃焼して出来た孔は微細でかつセラミックス中に均一に出来る。
前記リグニン部分の燃焼は、使用したリグニンスルホン酸塩のリグニン部分全てで起こってもよいが、一部が炭化して残存しても差し支えない。炭化した場合も、炭化物が吸着活性を持ち本発明のセラミックス製品の吸着機能の一部を担う。リグニンスルホン酸塩のリグニン部分の、好ましい炭化残存率は、正確には計測できないが、使用するリグニンスルホン酸の全炭素数の約50%以下である。
本発明のセラミックス製品は、従来の吸着機能が付与されたセラミックス製品の、10倍以上の吸着容量を持つ。
本発明のセラミックス製品は、タイル、レンガなどの無機建材、壷、皿、瓶、鉢、灰皿などの日用品、装飾品等あらゆるものが対象となるが、特に吸着機能が有益となる分野のセラミックス製品が好ましい。
本発明のセラミックス製品は、セラミックス製品本来の機能を果たしながら、且つ有害物質、臭気を十分に吸着し、安全な生活環境をつくり出す。
本発明によれば次のような効果がある。
(1)本発明のセラミックス製品は優れた吸着機能を有する。
(2)本発明のセラミックス製品は優れた消臭機能を有する。
(3)本発明のセラミックス製品は、非常に大きな吸着容量を有する。
(4)本発明のセラミックス製品である建材は、新築、改築などで使用された塗料、接着剤等の材料が放出する有害物質を、それが放出し終えるまで吸着し続ける。
(5)本発明のセラミックス製品である建材は、新築、改築などで使用された塗料、接着剤等の材料が放出するホルムアルデヒドを、それが放出し終えるまで吸着し続ける。
本発明を実施するための最良の形態
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例及び比較例では、セラミックス原料として香川県産の讃岐粘土を使用した。セラミックス原料とセラミックス原料以外の原料及び水を各割合で使用しそれらをよく混錬した後に、幅50mm、長さ200mm、厚さ10mmの木枠で成形し、72時間自然乾燥した後,所定の温度、時間で焼成して、各セラミックス製品を得た。
次に、実施例、比較例で得たセラミック製品のホルムアルデヒド吸着能力を測定した。従来のホルムアルデヒド濃度の一般的な計測方法であるチャンバー法は短期的なホルムアルデヒド吸着能を調べるのに有効であるが、検体がどこまでホルムアルデヒドを吸着し続けるか、すなわち検体の吸着容量を調べることは出来ない。そこで本発明者らは、チャンバー法を応用した以下の方法で、検体のホルムアルデヒドの吸着容量を計測した。
すなわち、検体を100リットルの容器中に置き、容器内のホルムアルデヒド濃度を10ppmにする。検体がホルムアルデヒドを吸着して容器内のホルムアルデヒド濃度が1ppm以下になったら、ホルムアルデヒドガスを容器内に送り再び10ppmの濃度にする。ホルムアルデヒドの濃度は検知管で測定する。
検体が再びホルムアルデヒドを吸着し容器内のホルムアルデヒド濃度が1ppm以下になったら再度前記操作を繰り返す。こうして、検体が何回この操作を繰り返すことが出来るかを調べる。この回数が多いほど、検体のホルムアルデヒドの吸着容量が大きいということになる。(以下、この試験方法を、ホルムアルデヒド吸着繰り返し試験と言う)。
比較例1
セラミックス原料と発泡ガラスと水とを重量比60:20:20の割合で使用し、850℃で12時間焼成して、吸着機能が付与されたセラミックス製品を得た。
このセラミックス製品を検体として、前記ホルムアルデヒド吸着繰り返し試験を行ったところ、8回でホルムアルデヒドの吸着が終了した。
比較例2
セラミックス原料とおが屑と水とを重量比60:20:20の割合で使用し、850℃で40分間焼成して、吸着機能が付与されたセラミックス製品を得た。
このセラミックス製品を検体として、前記ホルムアルデヒド吸着繰り返し試験を行ったところ、3回でホルムアルデヒドの吸着が終了した。
実施例1
セラミックス原料とリグニンスルホン酸カルシウムと水とを重量比60:20:20の割合で使用し、850℃で12時間焼成して、本発明のセラミックス製品を得た。
このセラミックス製品を検体として、前記ホルムアルデヒド吸着繰り返し試験を行ったところ、100回目でもまだホルムアルデヒドの吸着があった。100回目の試験で、ホルムアルデヒド濃度は、開始後20分に1ppmとなり、開始後110分で0.05ppmとなり、その後も減少が続いた。
実施例2
セラミックス原料とリグニンスルホン酸カルシウムと水とを重量比60:20:20の割合で使用し、800℃で8時間焼成して、本発明のセラミックス製品を得た。このセラミックス製品は、一部炭化物が残存し芯部が黒くなっていた。
このセラミックス製品を検体として、前記ホルムアルデヒド吸着繰り返し試験を行ったところ、100回目でもまだホルムアルデヒドの吸着があった。100回目の試験で、ホルムアルデヒド濃度は、開始後20分に1ppmとなり、開始後100分で0.05ppmとなり、その後も減少が続いた。

Claims (3)

  1. セラミックス原料にセラミックス原料に対して2〜200重量%のリグニンスルホン酸塩を混合したものを焼成して得たセラミックス製品であって、焼成過程でリグニンスルホン酸塩のリグニン部分が燃焼して気化しその場所が空洞化することによってセラミックス製品の材質が多孔質構造になっていることを特徴とするセラミックス製品。
  2. 前記リグニンスルホン酸塩が、リグニンスルホン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載のセラミックス製品。
  3. 前記焼成の温度が500〜1500℃であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のセラミックス製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105777149A (zh) * 2016-02-03 2016-07-20 郑州瑞泰耐火科技有限公司 一种低导热多层复合硅铝酸钾砖及其制备方法
CN105777188A (zh) * 2016-02-03 2016-07-20 郑州瑞泰耐火科技有限公司 一种轻质硅铝酸钾砖及其制备方法

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