JP2007099217A - 宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法 - Google Patents

宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 準備作業中に落とした部品を短時間で見つけ出して拾うことができ、作業効率を向上させるようにした。
【解決手段】 準備作業用カバー1は、真空容器11と真空容器11の内側に設けられ供試体13を載せて固定するためのベースプレート14とを備えた宇宙環境試験装置10内において、宇宙環境試験の準備作業を行う際に使用される。準備作業用カバー1は、略中央に所定寸法の円形穴を形成してなるシート状のカバー本体2と、カバー本体2の外周部に取り付けられた固定紐4とを備え、ベースプレート14より下側の所定領域を覆うように配置し、真空容器11の内側の所定高さ位置に固定紐4を固定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法に関する。
近年、人工衛星など多くの宇宙船が宇宙飛行している実情に伴い、宇宙空間を模擬して宇宙環境を再現した宇宙環境試験が行われている。この試験には、真空容器を備えた宇宙環境試験装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
従来の宇宙環境装置では、ベースプレート(試験体テーブル)を真空容器内部の略中央に備え、ベースプレートの上部に供試体を固定している。そして、ベースプレートの下側には、真空排気口や多くの機器或いは計測ケーブルなどの配線類が設置されている。また、真空容器内の空間を冷暗黒とする場合には、真空容器の内側に内面を黒色に塗装したシュラウドを設置しているのが一般的である。
このように構成される宇宙環境試験装置において、試験準備段階では、例えば供試体をベースプレートに固定する際にボルト等の小さい部品を誤って落としてしまうことがある。その際、落としたボルトが思わぬ方向に跳ねて、ベースプレートの下方に設けられている真空排気口に侵入し、真空ポンプなどの装置を破損させる恐れがあった。このような問題が発生しないように真空排気口に蓋や詰め物をしてから準備作業をおこなっている。
特開平7−125700号公報
しかしながら、特許文献1などの従来の宇宙環境試験装置では、真空容器内部は狭く、ベースプレート下方はとくに機器類などが設置されていることから狭い空間となっているため、小さな部品がこのような狭小な空間に紛れ込んでしまうと、探しにくいうえ、拾い上げる作業が容易でないという欠点があった。
また、シュラウドは侵入光の乱反射が皆無であることから、作業中の照明による照射範囲が部分的となり、奥まった場所まで照度を確保することができないという欠点があった。
このようなことから、落とした部品を探すのに時間と手間がかかり、準備作業の効率を低下させるという問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、準備作業中に落とした部品を短時間で見つけ出して拾うことができ、作業効率を向上させるようにした宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る宇宙環境試験装置における準備作業用カバーでは、真空容器と真空容器の内側に設けられ、供試体を載せて固定するためのベースプレートを備えた宇宙環境試験装置内において、宇宙環境試験の準備作業を行う際に使用される準備作業用カバーであって、シート状のカバー本体と、カバー本体の外周部に取り付けられた固定紐とを備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る準備作業用カバーの設置方法では、上述した準備作業用カバーの設置方法であって、カバー本体によってベースプレートより下側の所定領域を覆うように配置させ、固定紐を真空容器の内側の所定高さの位置に固定させるようにしたことを特徴としている。
このような特徴により、準備作業用カバーが簡易な構造であることから、宇宙環境試験装置内の空間において取り付け及び取り外しが簡単であり、準備作業前にカバー本体をベースプレートより下方に配置させ、さらにベースプレートより下側の所定領域を覆った状態でカバー本体の周囲を吊り上げて設置することが短時間で行える。これにより、例えば準備作業中にボルトなどの部品を落としたとき、この部品がカバー本体上に留まっていることになるため見つけることが容易となる。
また、本発明に係る宇宙環境試験装置における準備作業用カバーでは、カバー本体には、開口部が形成されていることが好ましい。
このような特徴により、例えばベースプレートが真空容器の内側下方より支持柱によって設置されている場合に、カバー本体の開口部を、支持柱に貫通させるようにして設置することができる。
また、本発明に係る宇宙環境試験装置における準備作業用カバーでは、カバー本体には、分離部が形成され、分離部を開閉可能とする開閉手段が設けられていることが好ましい。
この場合、開閉手段を解除してカバー本体を分離部で分離した状態で、ベースプレートの下面の部材(例えば真空容器の内側下方よりベースプレートを支持する支持柱など)に巻き付けるようにして配置し、その後で開閉手段によって分離部を閉めて準備作業用カバーを設置することができる。
また、本発明に係る宇宙環境試験装置における準備作業用カバーでは、カバー本体は、高反射率の素材色に着色されていることが好ましい。
この場合、カバー本体の反射によって照明の当った箇所の周囲の広範囲にわたって照度を確保することができることから、準備作業用カバー上に落ちているボルトなどの小さな部品が発見しやすくなる。
本発明の宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法によれば、準備作業用カバーは、簡易な構成であるため、宇宙環境試験装置内の空間において取り付け及び取り外しが簡単であり、準備作業前にベースプレートより下の所定領域を短時間で覆うことができる。
そして、準備作業中において例えばボルトなどの部品を落としたときにこの部品はカバー本体上に落ちて留まっていることから容易に見つけることができ、拾うことができる。したがって、従来のベースプレート下方のように暗くて狭小且つ配管や機器類の配置により煩雑な領域に落とした部品が紛れ込むことがなくなり、探す手間を少なくできることから、作業効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態による宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態による準備作業用カバーを示す平面図、図2は準備作業用カバーの設置状態を示す一部破断斜視図、図3は同じく設置状態を示す平面図、図4は同じく設置状態を示す正面図である。
図1に示す本実施の形態による準備作業用カバー1は、宇宙空間を模擬した環境を形成する宇宙環境試験装置10(図2参照)に使用され、宇宙環境試験を行う前、あるいは試験後の準備作業時に設置されるものである。
準備作業用カバー1は、略中央に所定寸法の円形穴2a(開口部)を形成してなる平面視略四角形状をなすシート状のカバー本体2からなる。
このカバー本体2は、例えばクリーンルームなどで使用されるポリエチレンなどからなる無塵布製の材料が使用される。そして、カバー本体2の大きさは、例えば、真空容器の直径が1.0mで、ベースプレート14(後述)の縦横寸法が0.5m×0.5mである場合、2.0m×2.0mの縦横寸法のものが使用される。なお、カバー本体2は、高反射率を有する白色などの素材色に着色されていることが好ましい。
そして、カバー本体2には、外周部2b(図1に示す下方略中央)から円形穴2aまでを開閉可能とするファスナ3(開閉手段)が具備され、本実施の形態では略四角形をなすカバー本体2の一辺の略中間部から円形穴2aの間に設けられている。なお、カバー本体2のうちファスナ3が設けられて分離される箇所は、本発明における分離部に相当する。
そして、カバー本体2には、その外周部2bのうちカバー本体2の四方の角部と、上述したファスナ3が形成される一辺を除いた三辺の各略中央部とに固定紐4が取り付けられている。
また、円形穴2aには、その縁部から外方に向けて突出してなる略襟巻き状に形成されてなる襟巻部材5が取り付けられている。
次に、このような構成による準備作業用カバー1の設置方法について図面に基づいて説明する。
先ず、図2乃至図4に示すように、準備作業用カバー1が設置される宇宙環境試験装置10について説明する。この宇宙環境試験装置10は、内部を真空状態にするための図示しない送気管及び排気管を備えた横長形状の真空容器11と、真空容器11の内側で冷暗黒を模擬するために黒塗りされているシュラウド12が設けられている。このシュラウド12は、真空容器11より小径の断面略円形を形成している。
図3に示すように、真空容器11は、長手方向の一端面が開閉自在な開閉扉11Aを形成している。ここで、この開閉扉11Aを有する側を手前側(図2では左側、図3では下側)とし、その反対側を奥側(図2では右側、図3では上側)として以下説明する。
図4に示すように、宇宙環境試験(以下、単に試験とする)は、例えばシュラウド12内に試験する任意形状をなす供試体13を設置し、この供試体13に対して光を照射したり、温度を与えたりするものである。この試験に使用する供試体13は、任意の形状、大きさのものが使用され、真空容器11の内側の底盤から起立した支持柱15の上端部15aに取り付けられたベースプレート14の上面に固定されている。ベースプレート14には、複数のメネジが形成されており、これらメネジに螺合するボルト(図示省略)によって供試体13が固定される。
また、ベースプレート14としては、例えば固定された供試体13に温度を与えるために、ベースプレート14内に液化窒素を供給して温度制御する温調プレートなどがある。このように、ベースプレート14より下側の領域には、配管や計測用の配線などが設置されている。
試験前後の準備作業は、ベースプレート14の上面において供試体13を固定する又は取り外す作業となる。この作業中は真空容器11の開閉扉11A(図3参照)を開けた状態としておき、この開口を使用して人の出入及び資機材の搬入出を行うものとする。
次に、準備作業用カバー1の取り付けについて説明する。図4に示すように、カバー本体2の円形穴2a、すなわち襟巻部材5を、ファスナ3を開いた状態で支持柱15の上端部15aに巻き付けるようにして例えば合羽を着たような状態に取り付け、カバー本体2をベースプレート14の下面に密着させるように配置させる。このとき、ファスナ3は閉じておき、例えば襟巻部材5の外側から紐などで縛っておくようにして支持柱15と円形穴2aとの間の隙間をなくすようにしておくことが好ましい。また、襟巻部材5を紐などを通せるような形状にして、この紐を絞るようにしてもよい。
そして、図3及び図4に示すように、手前の固定紐41、42を除いた固定紐43〜48を、所定高さに位置してシュラウド12の内側に有する例えば配管類やプレートなどの突起部(図示省略)を利用して固定する。これにより、カバー本体2の手前の一辺を除いた三辺が吊り上げられた状態で設置される。
また、カバー本体2の手前の部分(垂下部16とする)は、開口をなす真空容器11のフランジ面11aの外側下方に垂れ下がった状態にしておく。なお、垂下部16を設けたことにより、フランジ面11aを保護する効果もある。
このように設置した準備作業用カバー1は、準備作業中において、例えば供試体13をベースプレート14に固定するボルトなどの小部品を誤って落としてしまったとき、このボルトは、カバー本体2の上部に留まった状態となるか或いは垂下部16に沿って開口より真空容器11の外方に落ちることなる。
また、カバー本体2に高反射率をなす白色を使用することで、反射によって照明の当った箇所の周囲の広範囲にわたって照度を確保することができることから、準備作業用カバー1上に落ちているボルトなどの小さな部品が発見しやすくなる。
このように、準備作業用カバー1は、準備作業中に使用されるものであるため、作業終了後に取り外しておく。
上述したように実施の形態による宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法では、準備作業用カバー1は、簡易な構成であるため、宇宙環境試験装置10内の空間において取り付け及び取り外しが簡単であり、準備作業前にベースプレート14より下の所定領域を短時間で覆うことができる。
そして、準備作業中において例えばボルトなどの部品を落としたときにこの部品はカバー本体2上に落ちて留まっていることから容易に見つけることができ、拾うことができる。したがって、従来のベースプレート下方のように暗くて狭小且つ配管や機器類の配置により煩雑な領域に落とした部品が紛れ込むことがなくなり、探す手間を少なくできることから、作業効率を向上させることができる。
以上、本発明による宇宙環境試験装置における準備作業用カバー及びその設置方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施の形態では供試体13をベースプレート14に固定する作業を行いやすいように準備作業用カバーの手前に垂下部16を有するように設置しているが、これは設置例の一例であってこのような設置方法に限定されることはなく、手前の固定紐4を使用してもかまわない。
また、本実施の形態ではカバー本体2を平面視略四角形としているが、必ずしもこの形状に限定されることはなく、例えば平面視円形であってもよい。要はベースプレート14の周囲における準備作業中に小部品を落としたときに下方の領域に入り込まないように覆いが設けられていればよいのである。
そして、円形穴2aの形状、大きさ、位置についても任意であり、これらについては、支持柱15とシュラウド12との位置関係に応じて設定すればよい。
また、固定紐4の数量、取り付け位置は任意であり、その先端は円環状に形成させておいてもよく、またフック状の冶具を設けたものであってもよい。
さらに、ファスナ3の位置は任意でよく、またファスナに限定されず、例えばボタンなどの留め具であってもかまわない。
本発明の実施の形態による準備作業用カバーを示す平面図である。 準備作業用カバーの設置状態を示す一部破断斜視図である。 準備作業用カバーの設置状態を示す平面図である。 準備作業用カバーの設置状態を示す正面図である。
符号の説明
1 準備作業用カバー
2 カバー本体
2a 円形穴(開口部)
3 ファスナ(開閉手段)
4 固定紐
5 襟巻部材
10 宇宙環境試験装置
11 真空容器
12 シュラウド
13 供試体
14 ベースプレート
15 支持柱


Claims (5)

  1. 真空容器と該真空容器の内側に設けられ、供試体を載せて固定するためのベースプレートを備えた宇宙環境試験装置内において、宇宙環境試験の準備作業を行う際に使用される準備作業用カバーであって、
    シート状のカバー本体と、前記カバー本体の外周部に取り付けられた固定紐とを備えていることを特徴とする宇宙環境試験装置における準備作業用カバー。
  2. 前記カバー本体には、開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の宇宙環境試験装置における準備作業用カバー。
  3. 前記カバー本体には、分離部が形成され、該分離部を開閉可能とする開閉手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の宇宙環境試験装置における準備作業用カバー。
  4. 前記カバー本体は、高反射率の素材色に着色されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の宇宙環境試験装置における準備作業用カバー。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の準備作業用カバーの設置方法であって、
    前記カバー本体によって前記ベースプレートより下側の所定領域を覆うように配置させ、前記固定紐を前記真空容器の内側の所定高さの位置に固定させるようにしたことを特徴とする準備作業用カバーの設置方法。
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