JP2007098823A - 片面フレキシブル金属積層板の製造方法 - Google Patents

片面フレキシブル金属積層板の製造方法 Download PDF

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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
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Abstract

【課題】反りの少ない片面フレキシブル金属積層板の製造方法を提供すること。
【解決手段】耐熱性接着フィルムの一方の面に金属材料を、他方の面に裏打ち材を加熱加圧成形装置を用いて連続的に熱圧着する片面フレキシブル金属積層板の製造方法であって、加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属材料の挿入角θ1、裏打ち材の挿入角θ3の関係が、|θ3|>|θ1|であることを特徴とする片面フレキシブル金属積層板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、片面フレキシブル金属積層板の製造方法に関し、さらに詳しくは耐熱性接着フィルムに金属材料を熱圧着した片面フレキシブル金属積層板の反りを防止する製造方法に関する。
カメラ、パソコン、液晶ディスプレイなどの電子機器類用途において、耐熱性接着フィルムに銅箔を積層した金属積層板が広く使用されている。具体的には、フレキシブルプリント板(FPC)やテ−プ・オ−トメイティッド・ボンディング(TAB)などの基板材料として使用され、需要が増えている。こういったフレキシブル金属積層板の需要が増える一方、安く、高品質の積層板が所望されるようになっており、効率的な製造方法が求められるようになってきた。
フレキシブル金属積層板には、両面フレキシブル金属積層板と片面フレキシブル金属積層板の2種類がある。フレキシブル金属積層板の製造方法としては、金属箔の上に、熱可塑性ポリイミド樹脂、非熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂を順に積層するキャスト法、非熱可塑性ポリイミド樹脂の両側に熱可塑性ポリイミド樹脂を積層した耐熱性接着フィルムと金属箔を貼り合わせる加熱加圧法などがある。近年、この中でも、安価にフレキシブル金属積層板を製造できる加熱加圧法が主流になっており、本方式をさらに細分すると、ダブルベルト法、ラミネート法などがある。加熱加圧法を用いた、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層からなる積層体を形成し、次いで金属箔を100〜300℃において熱融着する方法(例えば、特許文献1〜2参照)が開示されている。これらの方法は、反りの少ない片面フレキシブル金属積層板を提供することを目的とするものであるが、積層板の反りは、パターン加工時の取り扱い性と歩留まりの低下につながることから、より反りの少ない片面フレキシブル金属積層板が所望されていた。
特開平11−298114号公報 特開平9−148695号公報
本発明の目的は、反りの少ない片面フレキシブル金属積層板の製造方法を提供することである。
本発明は、耐熱性接着フィルムの一方の面に金属材料を、他方の面に裏打ち材を加熱加圧成形装置を用いて連続的に熱圧着する片面フレキシブル金属積層板の製造方法であって、加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属材料の挿入角θ1、裏打ち材の挿入角θ3の関係が、|θ3|>|θ1|であることを特徴とする片面フレキシブル金属積層板の製造方法である。
本発明により、基板材料として好適な、反りの少ない片面フレキシブル金属積層板の製
造方法を提供することができる。
本発明における片面フレキシブル金属積層板は、耐熱性接着フィルムの一方の面に金属材料を、他方の面に裏打ち材を加熱加圧成形装置を用いて連続的に熱圧着してなる。本発明において、片面フレキシブル積層板とは、耐熱性接着フィルムと金属材料、裏打ち材とを熱圧着して得られる積層体と、該積層体から裏打ち材を剥離した積層体とを含めるものとする。
本発明における耐熱性接着フィルムとしては、例えば非熱可塑性フィルムの両面に接着剤層を有するものが挙げられる。非熱可塑性フィルムとしては、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、液晶ポリマフィルムなどが挙げられる。中でも、ポリイミドフィルムが好ましく、MD方向、TD方向における線膨張係数(50〜200℃)がいずれも5×10−6〜25×10−6cm/cm/℃であることがより好ましい。
接着剤層は、熱圧着性の接着剤からなる層が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリイミド系接着剤、熱可塑性ポリエーテル系接着剤、熱可塑性ポリアミドイミド系接着剤、熱可塑性ポリエステルイミド系接着剤などからなる接着剤層が挙げられるが、中でも熱可塑性ポリイミド系接着剤層であることが好ましい。接着剤の金属材料表面への埋まり込みや接着力の点から、金属材料と耐熱性接着フィルムとの熱圧着温度において、弾性率が200MPa以下、より好ましくは100MPa以下の接着剤層がより好ましい。
非熱可塑性ポリイミドフィルムと熱可塑性ポリイミド系接着剤層を有する、耐熱性接着フィルムの製造方法としては、例えば、非熱可塑性ポリイミドの前駆体(ポリアミック酸ともいう)溶液乾燥膜の片面あるいは両面に熱可塑性のポリイミドの前駆体溶液を積層した後、あるいは、共押出し−流延製膜法によって非熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液の片面あるいは両面に熱可塑性のポリイミドの前駆体溶液を積層した後、乾燥、イミド化する方法が挙げられる。その他、非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面あるいは両面に、グラビアコータ、コンマコータ、リバースコータ、バーコータ、スリットダイコータなどを用いて、熱可塑性ポリイミド系接着剤を塗工する方法もある。
非熱可塑性フィルムの厚みは5〜50μmであることが好ましい。50μm以下であれば、片面フレキシブル金属板の柔軟性が保たれ、40μm以下であることがより好ましい。
金属材料は、銅、アルミニウム、ステンレス、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブテン、タングステン、又は、それらの合金など挙げられるが、フレキシブル基板に適した材料としては、銅が挙げられる。
裏打ち材の種類は特に限定されないが、加熱圧着時の温度より高いTgを有する材料がよく、非熱可塑性フィルムが望ましい。非熱可塑性フィルムとしては、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、液晶ポリマフィルムなどが挙げられる。厚みは、シワが入りにくく、取り扱い性が良く、適度な剛性を持つ点から、10〜60μmが好ましい。
耐熱性接着フィルムと金属材料、裏打ち材を熱圧着する際、加熱加圧成形装置の加圧面と被圧着材料との間に保護材料を配することもできる。しかし、裏打ち材は保護材料としても機能するため、加熱加圧成形装置の加圧面と裏打ち材の間には、保護材料を配しないことが好ましい。これによって、フィルム間での滑りに起因する金属積層板のシワを防ぐことができる。
保護材料の厚みは、剛性があり、取り扱いや熱圧着の際にシワが入りにくいことから10μm以上が好ましい。また、熱伝導性の面からは300μm以下が好ましい。具体的には、250℃以上、より好ましくは熱圧着温度以上の耐熱性を有するアラミドフィルム、ポリイミドフィルム、金属箔等が好ましい。
本発明は、加圧加熱成形装置で耐熱性接着フィルムと金属材料、裏打ち材を連続的に熱圧着する際、加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属材料の挿入角θ1、裏打ち材の挿入角θ3の関係が、|θ3|>|θ1|であることを特徴とする。
以下、図1を用いて説明する。図1は、本発明の片面フレキシブル金属積層体の製造方法の一例を示す概略図である。耐熱性接着フィルム3の一方の面に金属材料2を、他方の面に裏打ち材4を、熱ロール5により熱圧着する。金属材料2と熱ロール5の間には、保護材料1を配している。また、図1に破線で示す加圧加熱成形装置の熱圧着面に対する、金属材料2の挿入角θ1、裏打ち材4の挿入角θ3を|θ3|>|θ1|にすることで、裏打ち材4が加圧加熱成形装置の熱ロール5に抱かれる時間が、金属材料2より長くなる。そのため、裏打ち材が熱ロールにより加熱されて熱膨張した状態で熱圧着され、得られる片面フレキシブル金属積層板の反りが小さくなる。加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属材料の挿入方向を正とした場合に、耐熱性接着フィルムの挿入角θ2および裏打ち材の挿入角θ3の符号がいずれも負であることがより好ましい。これによって、裏打ち材と耐熱性接着フィルムに、金属材料と逆方向の反り癖を付け、得られる片面フレキシブル金属積層板の反りがより抑えられる。また、気泡の噛み込みを抑制するため、1°<θ1であることが好ましく、熱ロールへの抱きすぎによる金属材料の焼け防止を考慮すると、θ1<60°であることが好ましい。
本発明で用いる加圧加熱成形装置は、積層材料を加圧加熱してラミネートする装置であれば特に限定されず、例えば、単動プレス装置、多段プレス装置、真空プレス装置、多段真空プレス装置、オートクレーブ装置、熱ロールラミネート機、ダブルベルトプレス機等が挙げられる。これらのうち、連続して金属積層板を製造することを考慮すると、ダブルベルトプレス機、熱ロールラミネート機が好ましく用いられる。
加熱方法については、所定の温度で加熱することができるものであれば特に限定されず、熱媒循環方式、熱風加熱方式、誘電加熱方式等が挙げられる。
加圧方式についても所定の圧力を加えることができるものであれば特に限定されず、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等が挙げられ、圧力は特に限定されない。また、連続的な加熱加圧成形を可能とする装置として、巻き出し軸、巻き取り軸、張力制御装置、ライン調整装置(EPC)など、さらには電子回路材料としての品質を維持する為のクリーン化設備として、粘着ロール、静電気除去装置、クリーンブースなど必要に応じて用いることができる。
こうして得られた片面フレキシブル金属積層板は、所定の大きさに切断して、電子部品用基板として使用できる。例えば、FPC、TAB、多層FPC、フレックスリジッド基板の基板、COFなどに好適に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に、耐熱性接着フィルムの製造方法、片面フレキシブル金属積層板の製造方法、評価方法について述べる。
1.耐熱性接着フィルムの製造方法
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、攪拌装置を付した反応釜に、下記X1をn−メチルピロリドン 2377gと共に仕込み、溶解させた後、下記X2を添加し、70℃で4時間反応させて、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液にトルエン200gを添加し、200℃で加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行った。その後、トルエンを留去し、得られたポリイミドワニスを水中に注いで、得られた沈殿物を分離、粉砕、洗浄および乾燥することにより、ポリイミド粉末を得た。ジメチルアセトアミド 2834gに、得られたポリイミド粉末500gを添加して、40℃で2時間撹拌してポリイミド溶液を得た。
(組成1)
X1:ピロメリット酸無水物 0.5mol
3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸無水物 0.5mol
X2:4,4’−オキシ−bis−ベンゼンジアミン 0.5mol
2,2’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン 0.5mol
(組成2)
X1:3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸無水物 1.0mol
X2:p−フェニレンジアミン 1.0mol
(組成3)
X1:3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸無水物 0.4mol
3,3’,4,4’−オキシ−ビスフェニルテトラカルボン酸無水物 0.6mol
X2:4,4’−オキシ−bis−ベンゼンジアミン 1.0mol
得られたポリイミド溶液(組成1〜組成3)を各々、市販のポリイミドフィルム(アピカルNPI*(株)カネカ製、ユーピレックスS*宇部興産(株)製、又は、カプトンEN*東レデュポン(株)製)に両面塗工後、200℃で30分の乾燥を行い、耐熱性接着フィルムを製造した。
2.片面フレキシブル金属積層板の製造方法
上記の耐熱性接着フィルムの片面に、銅箔厚みが12μmの日本電解製電解銅箔:USLPを配置し、もう一方の片面に裏打ち材として、25μmの市販のポリイミドフィルム(ユーピレックスS*宇部興産(株)製、又は、アピカルNPI*(株)カネカ製)を配置した。
次に、銅箔と加熱加圧成形装置の間に、保護フィルムとして、市販の125μmのポリイミドフィルム(カプトンH*東レデュポン(株)製)を配置した。
加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属材料の挿入角θ1、耐熱性接着フィルムの挿入角θ2、裏打ち材の挿入角θ3を表1のように変更して熱圧着を行い、片面フレキシブル金属積層板を製造した。
3.反りの測定方法
製造した片面フレキシブル金属積層板を、150mm×150mmの大きさにカットし、サンプルを作製した。このサンプルを23℃、55%の温湿度調整下に96時間放置し、サンプルの端部を抑え、逆の端部の反り上がる高さを測定した。
実施例1〜5
表1に示す条件で片面フレキシブル金属積層板を作製した。評価結果を表1に示す。いずれも、反り上がりの高さは10mm以下で良好であった。
比較例1〜3
表1に示す条件で片面フレキシブル金属積層板を作製した。評価結果を表1に示す。いずれも、反り上がりの高さは20mmを超え、反りが大きかった。
Figure 2007098823
本発明の片面フレキシブル金属積層体の製造方法の一例を示す概略図
符号の説明
1 保護材料
2 金属材料
3 耐熱性接着フィルム
4 裏打ち材
5 熱ロール

Claims (3)

  1. 耐熱性接着フィルムの一方の面に金属材料を、他方の面に裏打ち材を加熱加圧成形装置を用いて連続的に熱圧着する片面フレキシブル金属積層板の製造方法であって、加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属材料の挿入角θ1、裏打ち材の挿入角θ3の関係が、|θ3|>|θ1|であることを特徴とする片面フレキシブル金属積層板の製造方法。
  2. 加熱加圧成形装置の熱圧着面に対する金属箔の挿入方向を正とした場合に、耐熱性接着フィルムの挿入角θ2および裏打ち材の挿入角θ3の符号がいずれも負であることを特徴とする請求項1記載の片面フレキシブル金属積層板の製造方法。
  3. 加熱加圧成形装置が一対以上の熱ラミロールを用いた熱ロール方式であることを特徴とする請求項1または2記載の片面フレキシブル金属積層板の製造方法。
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