以下、本発明の実施の形態にかかる位置検出装置および液体吐出装置を図面に基づいて説明する。
(液体吐出装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる液体吐出装置(プリンタ)1の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のプリンタ1の紙送りに関する部分の概略構成を示す概略側面図である。図3は、図1のキャリッジ3および図2のPF駆動ローラ6の検出機構を模式的に示す概略構成図である。
本形態の液体吐出装置1は、媒体としての印刷用紙P等に対して液体状のインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタである。以下では、本形態の液体吐出装置1をプリンタ1と表記する。本形態のプリンタ1は、図1から図3に示すように、インク滴を吐出する印刷ヘッド2が搭載されたキャリッジ3と、主走査方向MSのキャリッジ3を駆動するキャリッジモータ(CRモータ)4と、印刷用紙Pを副走査方向SSへ搬送する紙送りモータ(PFモータ)5と、PFモータ5に連結されたPF駆動ローラ6と、印刷ヘッド2のノズル面(図2の下面)と対向するように配置されたプラテン7と、これらの構成が搭載された本体シャーシ8とを備えている。本形態では、CRモータ4とPFモータ5とは、ともに直流(DC)モータである。
また、プリンタ1は、図2に示すように、印刷前の印刷用紙Pが載置されるホッパ11と、ホッパ11に載置された印刷用紙Pをプリンタ1の内部へ取り込むための給紙ローラ12および分離パッド13と、ホッパ11からプリンタ1の内部へ取り込まれた印刷用紙Pの通過を検出する紙検出器14と、プリンタ1の内部から印刷用紙Pを排出する排紙駆動ローラ15とを備えている。
なお、プリンタ1では、図1の右側(図2の紙面手前側)がキャリッジ3のホームポジション側になっている。以下では、プリンタ1におけるキャリッジ3のホームポジション側を0桁側と表記し、プリンタ1におけるキャリッジ3のホームポジションと反対側(図1の左側、図2の紙面奥側)を80桁側と表記する。
キャリッジ3は、本体シャーシ8に固定された支持フレーム16に支持されたガイドシャフト17と、タイミングベルト18とによって主走査方向MSに搬送可能に構成されている。すなわち、タイミングベルト18は、その一部がキャリッジ3に固定されるとともに(図2参照)、CRモータ4の出力軸に取り付けられたプーリ19と支持フレーム16に回転可能に取り付けられたプーリ20とに掛け渡された状態で一定の張力を有するように配設されている。ガイドシャフト17は、キャリッジ3を主走査方向MSへ案内するように、キャリッジ3を摺動可能に保持している。また、キャリッジ3には、印刷ヘッド2に加え、印刷ヘッド2に供給される各種のインクが収納されたインクカートリッジ21が搭載されている。
印刷ヘッド2には、図示を省略する複数のノズルが配設されている。また、印刷ヘッド2には、たとえば、各ノズルに対応するように、電歪素子の1つであって応答性に優れるピエゾ素子(図示省略)が配設されている。より具体的には、ピエゾ素子は、インク通路(図示省略)を形成する壁面に接する位置に配設されている。そして、このピエゾ素子の動作によって壁面が押されることで、印刷ヘッド2は、インク通路の端部に配設されたノズルからインク滴を吐出する。このように、本形態では、印刷ヘッド2は、印刷用紙Pに対して液体状のインクを吐出する液体吐出部となっている。
インクカートリッジ21には、たとえば、発色が良く画質に優れる染料系インクや、耐水性や耐光性に優れる顔料系インク等が収納されている。すなわち、本形態では、液体吐出部としての印刷ヘッド2から染料系インクや顔料系インク等が吐出される。
給紙ローラ12は、図示を省略するギアを介してPFモータ5に連結され、PFモータ5によって駆動される。ホッパ11は、図2に示すように、印刷用紙Pを載置可能な板状部材であり、図示を省略するカム機構によって、上部に設けられた回動軸22を中心に揺動可能となっている。そして、カム機構による揺動によって、ホッパ11の下端部が給紙ローラ12に弾性的に圧接され、また、給紙ローラ12から離間する。分離パッド13は、摩擦係数の高い部材から形成され、給紙ローラ12に対向する位置に配置されている。そして、給紙ローラ12が回転すると、給紙ローラ12の表面と分離パッド13とが圧接する。そのため、給紙ローラ12が回転すると、ホッパ11に載置された印刷用紙Pのうち、一番上の印刷用紙Pは、給紙ローラ12の表面と分離パッド13との圧接部分を通過して排紙側へ送られるが、上から2番目以降に載置された印刷用紙Pは、分離パッド13によって、排紙側への搬送が阻止される。
PF駆動ローラ6は、PFモータ5に直接あるいは図示を省略するギアを介して連結されている。また、図2に示すように、プリンタ1には、PF駆動ローラ6とともに印刷用紙Pを搬送するPF従動ローラ23が設けられている。PF従動ローラ23は、回転軸25を中心に揺動可能に構成された従動ローラホルダ24の排紙側に回動可能に保持されている。従動ローラホルダ24は、図示を省略するバネによって、PF従動ローラ23がPF駆動ローラ6へ向かう付勢力を常時受けるように、図示反時計方向へ付勢されている。そして、PF駆動ローラ6が駆動されると、PF駆動ローラ6とともに、PF従動ローラ23も回転する。
紙検出器14は、図2に示すように検出レバー26とセンサ27とから構成され、従動ローラホルダ24の近傍に設けられている。検出レバー26は、回転軸28を中心に回動可能になっている。そして、図2に示す印刷用紙Pの通過状態から、検出レバー26の下側を印刷用紙Pが通過し終わると、検出レバー26が反時計方向へ回動する。検出レバー26が回動すると、センサ27の発光部から受光部へ向かう光を遮断して、印刷用紙Pの通過を検出できる構成となっている。
排紙駆動ローラ15は、プリンタ1の排紙側に配置され、図示を省略するギアを介してPFモータ5に連結されている。また、図2に示すように、プリンタ1には、排紙駆動ローラ15とともに印刷用紙Pを排紙する排紙従動ローラ29が設けられている。排紙従動ローラ29も、PF従動ローラ23と同様に、図示を省略するバネによって、常時、排紙駆動ローラ15へ向かう付勢力を受けている。そして、排紙駆動ローラ15が駆動されると、排紙駆動ローラ15とともに、排紙従動ローラ29も回転する。
また、プリンタ1は、図2および図3に示すように、主走査方向MSにおけるキャリッジ3の位置やキャリッジ3の速度等を検出する位置検出装置として、リニアスケール31およびフォトセンサ32を有するリニアエンコーダ33を備えている。また、プリンタ1は、図3に示すように、副走査方向SSにおける印刷用紙Pの位置や印刷用紙Pの搬送速度等(具体的には、PF駆動ローラ6の回転位置や回転速度等)を検出する位置検出装置として、ロータリスケール34およびフォトセンサ35を有するロータリエンコーダ36を備えている。これらのリニアエンコーダ33およびロータリエンコーダ36から出力された信号は、図3に示すように、制御部37へ入力され、プリンタ1の各種の制御が行われている。なお、本形態では、キャリッジ3が、リニアエンコーダ33によって位置検出される被検出物となっており、PF駆動ローラ6がロータリエンコーダ36によって位置検出される被検出物となっている。また、図1では、便宜上、リニアスケール31の図示を省略している。
リニアスケール31は、透明な樹脂等の薄板から長尺状(細長の直線状)に形成されている。このリニアスケール31は、主走査方向MSと平行に支持フレーム16に取り付けられている。すなわち、プリンタ1では、リニアスケール31の短手方向を高さ方向とした状態で、リニアスケール31が支持フレーム16に取り付けられている。また、リニアスケール31は、後述のスケール昇降機構44(図4等参照)によって、支持フレーム16に対して上下動できる構成となっている。なお、リニアスケール31は、ステンレス製の薄鋼板で形成されても良い。
リニアエンコーダ33を構成するフォトセンサ32は、図2および図3に示すように、発光部41と受光部42とを備え、キャリッジ3に固定されている。より具体的には、フォトセンサ32は、キャリッジ3の背面(図1の紙面奥側の面)に固定されている。リニアスケール31およびフォトセンサ32の詳細な構成については後述する。
ロータリエンコーダ36を構成するフォトセンサ35は、図3に示すように、発光素子(図示省略)を有する発光部81と受光素子(図示省略)を有する受光部82とを備え、図示を省略するブラケットを介して本体シャーシ8等に固定されている。
ロータリスケール34は、たとえばステンレス製の薄鋼板や透明な樹脂製の薄板で、円盤状に形成されている。本形態のロータリスケール34は、PF駆動ローラ6と一体で回転するように、PF駆動ローラ6に取り付けられている。すなわち、PF駆動ローラ6が1回転すると、ロータリスケール34も1回転する。このロータリスケール34には、フォトセンサ35の発光素子からの光を透過する透光部(図示省略)と、フォトセンサ35の発光素子からの光を遮断する遮光部(図示省略)とが、円周方向に沿って、交互に形成されている。そして、ロータリエンコーダ36では、発光素子からロータリスケール34に向かって発光されロータリスケール34の透光部を透過した光を受光素子が受光して、所定の出力信号が出力される。
なお、透明な樹脂の薄板でロータリスケール34を形成する場合には、その表面に、円周方向に沿って所定幅の印刷を所定のピッチで施すことで、透光部と遮光部とを形成することができる。また、ステンレス製の薄鋼板でロータリスケール34を形成する場合には、薄鋼板を貫通するスリット孔を、円周方向に沿って所定のピッチで形成することで、透光部と遮光部とを形成することができる。また、ロータリスケール34を、ギア等を介してPF駆動ローラ6に連結するようにしても良い。ただし、ロータリスケール34をPF駆動ローラ6と一体で回転するように直接取り付けることで、ギアの噛み合わせ部分に生じる遊び(ガタ)等の誤差を含むことなく、ロータリスケール34の回転量とPF駆動ローラ6の回転量とを正確に1対1で対応付けることができる。
制御部37は、ROMやRAM等の各種メモリや、各種モータ等の駆動回路、CPU、ASIC等を備えている。CPUおよびASIC等には、リニアエンコーダ33やロータリエンコーダ36等からの各出力信号が入力される。
(スケール昇降機構の構成)
図4は、図3のリニアスケール31の一端部の取付状態を示した概略斜視図である。図5は、図4の紙面奥側からリニアスケール31の一端部の取付状態を示した概略斜視図である。図6は、図4のカム45と取付ブラケット46との関係を示す図である。
本形態のプリンタ1は、支持フレーム16に対して、リニアスケール31を昇降させるスケール昇降機構44を備えている。すなわち、上述のように、リニアスケール31は、スケール昇降機構44によって支持フレーム16に対して上下動可能になっている。なお、本形態では、初期状態におけるリニアスケール31は、たとえば、上限位置に近い位置に配置されており、スケール昇降機構44によって上昇および下降が可能となっている。
スケール昇降機構44は、図4および図5に示すように、支持フレーム16の一側面16a(図1における右側面)の内側でガイドシャフト17に固定された偏心カム45と、リニアスケール31の一端部(0桁側の端部)が取り付けられ、偏心カム45によってリニアスケール31とともに上下動する取付ブラケット46と、一側面16aの外側でガイドシャフト17の先端に固定された従動ギア47と、従動ギア47に図示を省略する駆動モータの動力を伝達する中間ギア48とを、一側面16a側に備えている。また、スケール昇降機構44は、他側面16b(図1における左側面、図1参照)側にも同様に、偏心カム45、取付ブラケット46、従動ギア47、中間ギア48および駆動モータ(図示省略)を備えている。これらの構成は、一側面16a側に設けられた構成と共通するため、以下では図示および説明を省略する。なお、図1では便宜上、スケール昇降機構44の図示を省略している。
本形態では、中間ギア48を介して伝達される駆動モータ(図示省略)の動力によって、ガイドシャフト17に固定された従動ギア47が回転する。すなわち、本形態では、ガイドシャフト17が従動ギア47とともに回転する。また、ガイドシャフト17に固定された偏心カム45も回転する。なお、中間ギア48は、直接、駆動モータ(図示省略)に連結されても良いし、所定のギア輪列を介して駆動モータに連結されても良い。
偏心カム45は、外周側にカム面45aが形成された略円盤状の部材である。この偏心カム45は、図6に示すようにたとえば、所定の角度範囲θで回転中心に対する半径が半径r1から半径r1よりも大きな半径r2まで連続的に変化するように形成されている。
取付ブラケット46は、たとえば、平板状の金属部材で形成され、図4に示すように、偏心カム45のカム面45aに当接する当接部46aが形成された基部46bと、リニアスケール31の端部が取り付けられる取付部46cとから構成されている。
基部46bには、ガイドシャフト17を挿通するため、上下方向に長い長穴状の貫通孔(図示省略)が形成されている。この貫通孔は、ガイドシャフト17に対して取付ブラケット46が上下動可能となるように形成されている。基部46bは、図4に示すように、ガイドシャフト17が貫通孔に挿通された状態で、偏心カム45と支持フレーム16の一側面16aとの間に挟まれて配置されている。また、当接部46aは、基部46bからプリンタ1の内側に向かって立ち上がるように形成されている。この当接部46aの図示下面がカム面45aに当接している。さらに、取付部46cは、基部46bの図示上端からプリンタ1の内側に向かって立ち上がるように形成されている。この取付部46cには、リニアスケール31に形成された後述の取付孔31aに係止される係止フック46dが形成されている。なお、取付ブラケット46は、図示を省略する案内手段によって傾くことなく上下動する構成となっている。
駆動モータ(図示省略)が駆動され、ガイドシャフト17とともに偏心カム45が回転すると、カム面45aに沿って当接部46aが昇降する。すなわち、取付ブラケット46に取り付けられたリニアスケール31が昇降する。たとえば、図6に示すように、偏心カム46が時計方向に回転すると、リニアスケール31が上昇する。なお、支持フレーム16の一側面16a側に設けられた取付ブラケット46と、他側面16b側に設けられた取付ブラケット46とは、同期して昇降するように構成されており、リニアスケール31は水平を保った状態で昇降する。
(リニアエンコーダの構成)
図7は、図3のリニアエンコーダ33の概略構成を示す模式図である。図8は、図3のリニアスケール31の80桁側を示す図であり、(A)は、リニアスケール31の正面図、(B)は、リニアスケール31の上面図である。図9は、図3のリニアエンコーダ33から出力される信号波形を示す図であり、(A)は、キャリッジ3が0桁側から80桁側へ移動するときの信号波形を示す図、(B)は、キャリッジ3が80桁側から0桁側へ移動するときの信号波形を示す図である。
リニアスケール31は、上述のように、透明な樹脂等の薄板で長尺状に形成されている。より具体的には、本形態のリニアスケール31は、たとえば、厚さ180μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されている。このリニアスケール31の長手方向の両端側にはそれぞれ、取付ブラケット46の係止フック46dが係止される略矩形状の取付孔31aが形成されている。また、リニアスケール31は、図8等に示すように、キャリッジ3の位置を検出するための位置検出パターン31bと、リニアスケール31の汚れを検出するための汚れ検出パターン31cとを備えている。
位置検出パターン31bは以下のように形成されている。すなわち、印刷用紙Pへ印刷を行うため、位置の検出が必要となるキャリッジ3の検出範囲L(図4および図8参照)では、リニアスケール31の一方の表面に光を遮断する黒色等の印刷が所定間隔で施されている。より具体的には、検出範囲Lでは、図7に示すように、PET製の基材31dの一面(図7では右面)に一定幅Hの黒色の印刷が一定のピッチPで施されている。すなわち、検出範囲Lでは、リニアスケール31に、黒色の印刷部分が縦縞をなすように(図4および図5参照)、主走査方向MSでピッチPを保った状態で、一定幅Hの黒色の印刷がリニアスケール31の短手方向に施されている。この黒色の印刷が施された部分が、フォトセンサ32の発光部41からの光を遮断する第1遮光部31eとなっている。また、各第1遮光部31e間の、黒色の印刷が施されていない部分が、発光部41からの光を透過する第1透光部31fとなっている。このように、検出範囲Lでは、リニアスケール31に、第1遮光部31eと第1透光部31fとが交互に形成されている。なお、第1透光部31fの幅も、第1遮光部31eと同様に一定幅Hとなっている。
汚れ検出パターン31cは、リニアスケール31の長手方向における位置検出パターン31bの外側(端部側)に配置されている。本形態では、図8(A)に示すように、リニアスケール31の80桁側で位置検出パターン31bの外側に隣接するように汚れ検出パターン31cが形成されている。
この汚れ検出パターン31cは、位置検出パターン31bとほぼ同様に形成されている。すなわち、リニアスケール31の80桁側の検出範囲L外には、第1遮光部31eが形成された面と同じ面に光を遮断する黒色等の印刷が所定間隔で施されている。より具体的には、図7における基材31dの右面に一定幅Hの黒色の印刷が一定のピッチPで施されている。すなわち、図8(A)に示すように、80桁側の検出範囲L外でも、黒色の印刷部分が縦縞をなすように、長手方向でピッチPを保った状態で、一定幅Hの黒色の印刷がリニアスケール31の短手方向に施されている。この黒色の印刷が施された部分が、フォトセンサ32の発光部41からの光を遮断する第2遮光部31gとなっている。また、各第2遮光部31g間の、黒色の印刷が施されていない部分が、発光部41からの光を透過する第2透光部31hとなっている。このように、リニアスケール31の80桁側の検出範囲L外では、リニアスケール31に、第2遮光部31gと第2透光部31hとが交互に形成されている。なお、第2透光部31hの幅も、第2遮光部31gと同様に一定幅Hとなっている。
第2透光部31hには、第2透光部31hの発光部41からの光の透過面積および透過率を第1透光部31fの発光部41からの光の透過面積および透過率よりも小さくする遮光パターン31kが形成されている。本形態では、遮光パターン31kは、リニアスケール31の長手方向に対して傾斜した斜線状の光遮断部31mによって形成されている。より具体的には、基材31dの表面に、光を遮断する黒色等の印刷が長手方向に対してたとえば、45°傾斜した斜線状に、かつ、一定のピッチで施されることで複数の光遮断部31mが形成されている。そして、この複数の光遮断部31mによって遮光パターン31kが形成されている。この遮光パターン31kによって、第2透光部31hの光の透過面積は、第1透光部31fの光の透過面積に対し一定の比率となっている。すなわち、第2透光部31hの光の透過率は、第1透光部31fの光の透過率に対し一定の比率となっている。たとえば、第2透光部31hの光の透過面積は、第1透光部31fの光の透過面積の85%となっている。また、第2透光部31hの光の透過率を、たとえば、第1透光部31fの光の透過率の85%としても良い。
なお、本形態では、図8(A)に示すように、リニアスケール31には複数(たとえば、3つ)の第2透光部31hが形成され、複数の第2透光部31hの透過面積または透過率は等しくなっている。しかし、複数の第2透光部31hの透過面積または透過率は必ずしも等しくなっている必要はなく、第2透光部31hの透過面積または透過率はそれぞれ異なっていても良い。また、第1遮光部31e、第2遮光部31gおよび光遮断部31mを構成する黒色の印刷部分の厚さはたとえば、5μmであり、基材31dの厚さに比べ、非常に薄くなっている。そのため、図8(B)では、第1遮光部31e、第2遮光部31gおよび光遮断部31mの図示を省略している。
図8に示すように、リニアスケール31には、発光部41および受光部42の清掃を行う清掃部材83、83が固定されている。より具体的には、扁平な直方体状に形成された清掃部材83、83が、リニアスケール31の長手方向における汚れ検出パターン31cの外側(端部側)で、リニアスケール31の両面のそれぞれに両面テープや接着剤等の固定手段によって固定されている。すなわち、清掃部材83、83は、リニアスケール31の長手方向における検出パターン31bの外側(端部側)に固定されている。換言すると、清掃部材83、83は、位置検出パターン31bが形成される領域とは異なる領域でリニアスケール31に固定されている。本形態では、図8に示すように、リニアスケール31の80桁側で汚れ検出パターン31cの外側に隣接するように清掃部材83、83が固定されている。
清掃部材83、83は、たとえば、ウレタン樹脂等の多孔性物質やフェルト、あるいはゴム等で形成されている。また、図8(B)に示すように、2枚の清掃部材83、83の厚さとリニアスケール31の基材31dの厚さとの和が、発光部41に形成された後述の発光面41aと受光部42に形成された後述の受光面42aとの距離とほぼ同じか、わずかに大きくなるように、2枚の清掃部材83、83は形成されている。そのため、フォトセンサ32がリニアスケール31の長手方向に移動すると、清掃部材83、83は発光面41aおよび受光面42aに当接して、発光面41aおよび受光面42aの清掃が行われる。
フォトセンサ32は、図2および図3に示すように、略直方体形状のハウジングを備えている。このフォトセンサ32では、ハウジングの一側面(図2の下面)からハウジングの中央部にかけて、凹部32aが形成されている。この凹部32aにおいて相対向する2つの面(図2の左右方向で対向する2つの面)の一方に発光部41が配設され、他方に受光部42が配設されている。より具体的には、図2等に示すように、キャリッジ3側の面に発光部41が配設されている。凹部32aにおいて相対向する2つの面のうち、発光部41が配設された面が発光面41aとなり、受光部42が配設された面が受光面42aとなっている。発光面41aと受光面42aとの距離は、たとえば、0.5mm〜1.5mmとなっている。
また、図2等に示すように、フォトセンサ32は、発光部41の発光面41aと受光部42の受光面42aとによってリニアスケール31を挟み込むように、キャリッジ3に固定されている。そして、リニアエンコーダ33では、発光部41からリニアスケール31に向かって発光され第1透光部31fや第2透光部31kを透過した光を受光部42が受光して、所定の出力信号が出力される。
発光部41は、図7に示すように、発光素子50と、発光素子50から出射された光を平行光にするコリメータレンズ51とを備えている。また、発光面41aには、発光素子50からの光を透過するレンズ(図示省略)が固定されている。発光素子50は、たとえば発光ダイオードである。この発光素子50には、可変抵抗52を介して電流が供給されている。そのため、この可変抵抗52によって、発光素子50からの発光量を増減することができる。なお、初期状態では、リニアエンコーダ33での適切な位置検出が可能な範囲で、発光素子50からの発光量は可能な限り低くしておくことが好ましい。このようにすると、発光部41での消費電力を低減することができる。
受光部42は、図7に示すように、基板53と、この基板53上に形成された4つの受光素子54〜57とを備えている。また、受光面42aには、発光素子50からの光を透過するレンズ(図示省略)が固定されている。受光素子54〜57は、たとえばフォトダイオードであり、受光光量に応じたレベルの信号を出力する。また、受光部42は、図7に示すように、第1から第4の4つのアンプ58〜61と、第1差動信号生成回路63と、第2差動信号生成回路64とを備えている。なお、以下では、4つの受光素子54〜57を区別して表記する場合には、第1の受光素子54、第2の受光素子55、第3の受光素子56および第4の受光素子57と表記する。
4つの受光素子54〜57は、キャリッジ3の移動方向に沿って、基板53上に配置されている。具体的には、第1の受光素子54と第3の受光素子56とは、それぞれから出力されるレベル信号の位相が180°異なるように配置されている。また、第2の受光素子55と第4の受光素子57とは、それぞれから出力されるレベル信号の位相が180°異なるように配置されている。たとえば、第1の受光素子54と第3の受光素子56との配置ピッチ、および第2の受光素子55と第4の受光素子57との配置ピッチは、第1遮光部31eと第1透光部31fとによって形成される明暗のピッチPの2分の1となっている。さらに、第1の受光素子54と第2の受光素子55とは、それぞれから出力されるレベル信号の位相が90°異なるように配置されている。たとえば、第1の受光素子54と第2の受光素子55とは、明暗のピッチPの4分の1の配置ピッチで配置されている。
また、キャリッジ3が移動すると、発光部41と受光部42との間において、リニアスケール31が相対的に移動する。リニアスケール31の相対的な移動に伴って、受光素子54〜57はその受光光量に応じたレベルの信号を出力する。すなわち、第1透光部31fや第2透光部31hの位置に対応する受光素子54〜57は、ハイレベルの信号を出力し、第1遮光部31eや第2遮光部31gの位置に対応する受光素子54〜57は、ローレベルの信号を出力する。このように、受光素子54〜57は、リニアスケール31の相対移動速度(キャリッジ3の移動速度)に応じた周期で変化するレベル信号を出力する。
図7に示すように、第1から第4の4つのアンプ58〜61および、第1差動信号生成回路62、第2差動信号生成回路63は、基板53上に配設されている。
第1のアンプ58には、第1の受光素子54が接続され、第1のアンプ58は、第1の受光素子54から出力されたレベル信号を増幅した信号を出力する。第2のアンプ59には第2の受光素子55が接続され、第2のアンプ59は、第2の受光素子55が出力するレベル信号を増幅した信号を出力する。第3のアンプ60には第3の受光素子56が接続され、第3のアンプ60は、第3の受光素子56が出力するレベル信号を増幅した信号を出力する。第4のアンプ61には第4の受光素子57が接続され、第4のアンプ48は、第4の受光素子57が出力するレベル信号を増幅した信号を出力する。
第1のアンプ58と第3のアンプ60とは、第1差動信号生成回路62へ、増幅したレベル信号を出力する。第1のアンプ58により増幅されたレベル信号は、第1差動信号生成回路62の非反転入力端子に入力され、第3のアンプ60により増幅されたレベル信号は、第1差動信号生成回路62の反転入力端子に入力される。第1差動信号生成回路62は、非反転入力端子に入力される第1のアンプ58の出力信号のレベルが、反転入力端子に入力される第3のアンプ59の出力信号のレベルより高い場合、ハイレベルを出力し、逆の場合には、ローレベルを出力する。すなわち、第1差動信号生成回路62は、図9に示すように、第1遮光部31eと第1透光部31fとによって形成される明暗のピッチPに対応した周期Tのデジタル的な波形のA相信号SG1を出力する。
第2のアンプ59と第4のアンプ61とは、第2差動信号生成回路63へ、増幅したレベル信号を出力する。第2のアンプ59により増幅されたレベル信号は、第2差動信号生成回路63の非反転入力端子に入力され、第4のアンプ61により増幅されたレベル信号は、第2差動信号生成回路63の反転入力端子に入力される。第2差動信号生成回路63は、非反転入力端子に入力される第2のアンプ59の出力信号のレベルが、反転入力端子に入力される第4のアンプ61のレベルより高い場合、ハイレベルを出力し、逆の場合には、ローレベルを出力する。すなわち、第2差動信号生成回路63は、図9に示すように、第1遮光部31eと第1透光部31fとによって形成される明暗のピッチPに対応した周期Tのデジタル的な波形のB相信号SG2を出力する。
上述のように、第1の受光素子54から出力されるレベル信号と、第2の受光素子55から出力されるレベル信号とは位相が90°異なっている。そのため、図9に示すように、第1差動信号生成回路62から出力されるA相信号SG1と、第2差動信号生成回路63から出力されるB相信号SG2とは、位相が90°ずれている。
なお、図9(A)では、キャリッジ3が0桁側から80桁側へ移動するときの信号波形を示し、図9(B)では、キャリッジ3が80桁側から0桁側へ移動するときの信号波形を示している。すなわち、図9(A)に示すように、B相信号SG2がローレベルでA相信号SG1が立ち上がる場合(または、B相信号SG2がハイレベルでA相信号SG1が立ち下がる場合等)には、キャリッジ3が0桁側から80桁側へ移動している。また、図9(B)に示すように、B相信号SG2がローレベルでA相信号SG1が立ち下がる場合(または、B相信号SG2がハイレベルでA相信号SG1が立ち上がる場合等)には、キャリッジ3が80桁側から0桁側へ移動している。
また、発光部41から発光される光は、リニアスケール31の短手方向(図8(A)の上下方向)では、図8(A)に示すように、所定の幅Wでリニアスケール31に照射されている。より具体的には、第2透光部31hに斜線状の光遮断部31mが形成されていても、第2透光部31hに汚れが生じていなければ、リニアスケール31の長手方向における第2透光部31hの一部に発光部41からの光を完全に遮断する部分が生じないような短手方向の所定の幅Wで、発光部41からリニアスケール31に光が照射されている。そのため、第2透光部31hに光遮断部31mが形成されていても、リニアスケール31に汚れが生じておらず、かつ、キャリッジ3が一定速度で移動する場合であれば、リニアスケール31の汚れ検出パターン31cが形成された部分をフォトセンサ32が通過するときには、リニアスケール31の位置検出パターン31bが形成された部分をフォトセンサ32が通過するときと同じ周期のA相信号SG1およびB相信号SG2がリニアエンコーダ33から出力される。
(プリンタの概略動作)
以上のように構成されたプリンタ1では、給紙ローラ12や分離パッド13によってホッパ11からプリンタ1の内部に取り込まれた印刷用紙Pを、PFモータ5で回転駆動されたPF駆動ローラ6で副走査方向SSへ送りながら、CRモータ4で駆動されたキャリッジ3が主走査方向MSで往復移動する。キャリッジ3が往復移動する際には、印刷ヘッド2からインク滴が吐出され、印刷用紙Pへの印刷が行われる。また、印刷用紙Pへの印刷が終了すると、排紙駆動ローラ15等によって印刷用紙Pはプリンタ1の外部へ排出される。
キャリッジ3が移動すると、リニアエンコーダ33からA相信号SG1およびB相信号SG2が出力される。出力されたA相信号SG1およびB相信号SG2は、制御部37の所定の処理回路(たとえば、ASIC等)へ入力される。入力されたリニアエンコーダ33からのA相信号SG1およびB相信号SG2を利用して、制御部37の所定の処理回路は、キャリッジ3の位置、速度および移動方向の検出(すなわち、CRモータ4の回転位置、回転方向および回転速度の検出)を行う。そして、検出結果に基づいて、プリンタ1の制御を行う。たとえば、CRモータ4の回転速度の制御等を行う。
(リニアスケールの汚れ検出時のプリンタの動作)
図10は、図3のリニアスケール31の汚れ検出時におけるプリンタ1の一連の動作を示すフローチャートである。図11は、図3のリニアスケール31の汚れ検出動作の一例を示すフローチャートである。図12は、図3のリニアスケール31の汚れ検出動作の他の例を示すフローチャートである。図13は、図3のリニアスケール31に汚れが生じた時のリニアエンコーダ33から出力される信号波形の例を示す図である。図14は、図8のE部を拡大して示す部分拡大図である。
印刷用紙Pへの印刷を行うため、印刷ヘッド2からインク滴が吐出されると、印刷ヘッド2からインク滴が吐出される際等に、インク滴の一部が霧状になって空気中を浮遊するインクミストが発生する。このインクミストは、プリンタ1の内部を浮遊し、リニアスケール31やフォトセンサ32の発光面41a、受光面42aに汚れとして付着する。インクミストによってリニアスケール31や、発光面41a、受光面42aに汚れが生じると、キャリッジ3の位置や速度等を適切に検出することができなくなるため、プリンタ1では、リニアスケール31の汚れの検出が行われる。以下、リニアスケール31の汚れ検出時におけるプリンタ1の一連の動作を説明する。
図10に示すように、まず、制御部37がリニアスケール31の汚れの検出タイミングであるか否かを判断する(ステップS1)。リニアスケール31の汚れの検出タイミングは、たとえば、1枚の印刷用紙Pへの印刷終了後、または、プリンタ1の電源投入時である。リニアスケール31の汚れの検出タイミングが1枚の印刷用紙Pへの印刷終了後であると、検出回数を増やすことができ、リニアスケール31の汚れを適切なタイミングで検出することができる。また、リニアスケール31の汚れの検出タイミングがプリンタ1の電源投入時であると、立上げ時のプリンタ1の初期動作でリニアスケール31の汚れ検出が可能となり、別途、リニアスケール31の汚れの検出動作を行う必要がなくなる。そのため、リニアスケール31の汚れの検出動作によるロスタイムをなくすことができる。
また、リニアスケール31の汚れの検出タイミングは、たとえば、プリンタ1の電源投入後の一定時間t1経過後、また、その後は一定時間t2経過後ごとであっても良い。この場合、一定時間t1と一定時間t2とは同じで時間であっても良いし、異なる時間であっても良い。さらに、リニアスケール31の汚れの検出タイミングは、電源投入後の一定枚数n1の印刷用紙Pへの印刷終了後、また、その後は一定枚数n2の印刷用紙Pへの印刷終了後ごとであって良い。この場合、一定枚数n1と一定枚数n2とは同じで枚数であっても良いし、異なる枚数であっても良い。さらにまた、リニアスケール31の汚れの検出タイミングは、プリンタ1の電源投入後の一定時間t1の経過と、一定枚数n1の印刷用紙Pへの印刷の終了とのいずれか早い方、また、その後は一定時間t2の経過と、一定枚数n2の印刷用紙Pへの印刷の終了とのいずれか早い方といったように、経過時間と印刷枚数との両者を利用してリニアスケール31の汚れの検出タイミングを定めても良い。なお、印刷枚数で検出タイミングを定める場合には、A4サイズの用紙へ縁無し印刷したときの枚数換算で一定枚数n1やn2を定めても良い。
ステップS1で、検出タイミングでないと判断されると、リニアスケール31の汚れの検出は行われず、プリンタ1はたとえば、待機状態となったり、次の印刷用紙Pへの印刷を行う。一方、ステップS1で検出タイミングであると判断されると、キャリッジ3がホームポジションあるいは所定の位置へ移動する(ステップS2)。
その後、所定の前処理を行う(ステップS3)。ステップS3では、たとえば、可変抵抗52を調整することで発光素子50からの発光量を増減する。後述のように、第2透光部31hに付着したインクミストにより(すなわち、第2透光部31hの汚れにより)、第2透光部31hの、リニアスケール31の長手方向の一部に、所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が発生すると、または、第2透光部31hで、所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光が遮断されると、リニアスケール31に汚れが生じていることが検出される。そのため、発光素子50からの発光量が多ければ、第2透光部31hにインクミストが付着していても、第2透光部31hの汚れの程度が大きくなければ、リニアスケール31の汚れは検出されない。また、発光素子50からの発光量が少なければ、第2透光部31hの汚れの程度が小さくても、リニアスケール31の汚れが検出される。このように、発光素子50からの発光量を増減することで、リニアスケール31の汚れの程度を検出することが可能となる。なお、ステップS3での前処理は必ずしも必要でなく、このステップS3を省略しても良い。
ステップS3での前処理が終了すると、実際にリニアスケール31の汚れの検出と、必要に応じた処理を行う(ステップS4)。ステップS4では、図11に示すように、まず、CRモータ4の駆動電圧の設定を行う(ステップS11)。より具体的には、加速が完了した後のキャリッジ3が略一定速度で移動するように、一定の駆動電圧を設定する。また、CRモータ4の駆動時間の設定を行う(ステップS12)。より具体的には、ホームポジションあるいは所定の場所に位置するキャリッジ3に固定されたフォトセンサ32がリニアスケール31の汚れ検出パターン31cの部分を略一定速度で通過するようにCRモータ4の駆動時間を設定する。
その後、上述のように設定された駆動電圧および駆動時間でCRモータ4を駆動する(ステップS13)。CRモータ4の駆動によってキャリッジ3が移動し、キャリッジ3に固定されたフォトセンサ32はリニアスケール31に対して相対移動する。この相対移動によって、リニアエンコーダ33は、たとえば、周期TのA相信号SG1およびB相信号SG2を出力する。リニアエンコーダ33の出力信号であるA相信号SG1およびB相信号SG2は制御部37に入力される。すなわち、制御部37は、リニアコーダ33の出力信号を取得する(ステップS14)。
その後、制御部37はリニアスケール31に汚れが生じているか否かを判断する(ステップS15)。リニアスケール31にインクミストが付着すると、たとえば、図14に示すように、第2透光部31hにもインクミストの付着部分D1、D2、D3が生じる。そして、付着部分D1、D2および光遮断部31mによって、第2透光部31hには、リニアスケール31の長手方向の一部で所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じる。あるいは、インクミストの付着によって、第2透光部31hで発光部41からの光が遮断される。リニアスケール31の長手方向の一部に所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じると、あるいは、第2透光部31hで所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光が遮断されると、リニアエンコーダ33から出力されるA相信号SG1やB相信号SG2の周期に変動が生じる。本形態では、リニアエンコーダ33から出力されるA相信号SG1やB相信号SG2の周期に所定の変動が生じたときに、リニアスケール31の長手方向の一部に所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じている、あるいは、第2透光部31hで発光部41からの光が遮断されていると判断する。そして、その状態では、リニアスケール31に汚れが生じていると判断する。
より具体的には、ステップS15では、汚れ検出パターン31cが形成された部分をフォトセンサ32が通過する際のA相信号SG1やB相信号SG2の周期(または、周波数)が基本となる周期T(または、周波数)の±x%(たとえば、±15%)の範囲から外れているか否かを判断する。A相信号SG1やB相信号SG2の周期が基本となる周期Tの±x%の範囲から外れていない場合には、汚れ検出パターン31cが形成された部分でも、リニアエンコーダ33での正確な位置の検出は可能(すなわち、正確な読取は可能)となる(ステップS16)。すなわち、この場合には、第2透光部31hには、リニアスケール31の長手方向の一部で所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じておらず、また、第2透光部31hで所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光が遮断されていないため、リニアスケール31に汚れが生じていないと判断する。また、リニアスケール31に汚れが生じていないため、リニアエンコーダ33での適切な位置検出が可能であると判断する。
リニアスケール31に汚れが生じていないと判断すると、CRモータ4の駆動時間が設定時間以上であるか否かを判断する(ステップS17)。CRモータ4の駆動時間が設定時間未満である場合には、ステップS14へ戻って、制御部37は、リニアコーダ33の出力信号を取得する。また、CRモータ4の駆動時間が設定時間以上である場合には、CRモータ4を停止する(ステップS17)。たとえば、キャリッジ3がホームポジションに位置した状態で、CRモータ4を停止して、ステップS4でのリニアスケール31の汚れの検出が終了する。
一方、たとえば、図13(A)に示すように、A相信号SG1やB相信号SG2の周期T1が周期Tの±x%の範囲から外れている場合には、図14に示すように、付着部分D1、D2および光遮断部31mによって、第2透光部31hには、リニアスケール31の長手方向の一部で所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じており、汚れ検出パターン31cが形成された部分では、リニアエンコーダ33での正確な位置の検出は不可能(すなわち、正確な読取は不可能)となる(ステップS19)。すなわち、この場合には、リニアスケール31に汚れが生じていると判断する。また、リニアスケール31に汚れが生じているため、そのままの状態では、リニアエンコーダ33で誤った位置検出が行われる可能性が高いと判断する。リニアスケール31に汚れが生じていると判断すると、CRモータ4を停止する(ステップS20)。
なお、図14に示すように、第2透光部31hに、付着部分D1、D2および光遮断部31mによって、リニアスケール31の長手方向の一部に所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じる場合には、図13(A)に示すように、A相信号SG1やB相信号SG2の周期T1は周期Tに比べ短くなる。これに対し、インクミストによって、第2透光部31hが所定の幅Wの範囲にわたって遮断される場合には、A相信号SG1やB相信号SG2の周期は周期Tに比べ長くなる。
ステップS20でCRモータ4を停止すると、プリンタ1は所定の処理を行う(ステップS21)。リニアスケール31に汚れが生じている場合には、フォトセンサ32の発光面41aや受光面42aにも汚れが生じていると推定される。そのため、ステップS21では、発光面41aや受光面42a(具体的には、発光面41aや受光面42aに固定されたレンズ(図示省略))の清掃を行う。より具体的には、まず、CRモータ4でキャリッジ3を80桁側の所定の位置まで移動する。その後、この所定の位置と、発光面41aおよび受光面42aと清掃部材83、83とが当接して発光面41aおよび受光面42aの清掃が行われる位置との間をキャリッジ3が所定の回数、往復移動するように、所定の電圧でCRモータ4を駆動する。すなわち、キャリッジ3の往復移動によって、清掃部材83、83で発光面41aおよび受光面42aの清掃を行う。
なお、ステップS21では、さらに、リニアスケール31の清掃を行っても良い。リニアスケール31の清掃によって、リニアエンコーダ33での誤検出を確実に防止することが可能となる。
また、ステップS21では以下の処理を行う。
たとえば、ステップS21では、何枚の印刷用紙Pへ印刷を行うとリニアスケール31に汚れが生じるか、または、リニアスケール31の汚れの検出タイミングが所定時間ごとにある場合には、どれぐらいの時間、印刷を行うとリニアスケール31に汚れが生じるかを確認する。より具体的には、リニアスケール31に汚れが生じるまでの印刷枚数や印刷時間を制御部37が算出する。この確認によって、リニアスケール31に汚れが生じるまでの印刷枚数や印刷時間の把握が可能となる。
また、ステップS21では、たとえば、プリンタ1の本体シャーシ8に取り付けられた液晶ディスプレイ等の表示装置(図示省略)に、リニアスケール31に汚れが生じているとの注意メッセージや、リニアスケール31の汚れに起因するエラーメセージ、あるいは、リニアスケール31の清掃が必要である旨のメッセージを表示する。これらのメッセージの表示によって、リニアスケール31に汚れが生じていることをユーザに知らせることができ、リニアスケール33での誤検出によるプリンタ1の動作不良を防止することが可能になる。
さらに、ステップS21では、たとえば、プリンタ1の動作を停止して、プリンタ1を使用不可とする。プリンタ1を使用不可とすることで、リニアスケール33での誤検出によるプリンタ1の動作不良を防止し、キャリッジ3の暴走等によるユーザの怪我等を防止することができる。また、ステップS21では、その後さらに所定時間印刷をした後、または、さらに所定枚数の印刷をした後に、プリンタ1が動作を停止するように、制御部37が所定の設定を行っても良い。
さらにまた、ステップS21では、たとえば、制御部37は、キャリッジ3の移動速度の上限を設定する。リニアスケール31に汚れが生じて、第1透光部31fを透過して受光部42で受光される光量の低下等が生じても、キャリッジ3の移動速度がある程度遅ければ、リニアエンコーダ33での誤検出は回避することができる。そのため、キャリッジ3の移動速度の上限を設定することで、リニアスケール31に汚れが生じていても、リニアエンコーダ33での誤検出を防止することが可能となる。その結果、プリンタ1では、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能となる。なお、ステップS21では、PF駆動ローラ6による印刷用紙Pの送り速度の上限を設定しても良い。
また、ステップS21では、たとえば、可変抵抗52を調整して、発光素子50からの発光量を増加する。発光素子50の発光量を増加することで、リニアスケール31に汚れが生じていても汚れの程度がそれ程大きくなければ、プリンタ1では、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能となる。この場合、発光素子50の発光量は可変抵抗52で調整できるため、発光素子50の発光量の増加を容易に行うことができる。なお、発光素子50の発光量は、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能と程度の増加率で、可変抵抗52によって段階的に増加させても良い。この場合には、発光部41での消費電力の低減が可能となる。
さらに、ステップS21では、たとえば、スケール昇降機構44がリニアスケール31を下降させる。すなわち、リニアスケール31において、発光部41からの光が照射される所定の幅Wの部分(図8(A)参照)を上側へ相対移動する。リニアスケール31の短手方向を高さ方向としてリニアスケール31が支持フレーム16に取り付けられているため、印刷ヘッド2からのインクの吐出によって生じるインクミストは、リニアスケール31の下側部分に付着し、リニアスケール31の下側部分に汚れが生じやすくなる。そのため、スケール昇降機構44がリニアスケール31を下降させることで、汚れの少ないリニアスケール31の上側部分を利用したキャリッジ3の位置検出が可能となる。その結果、プリンタ1では、さらに所定枚数あるいは所定時間の印刷が可能となる。
以上のようなステップS21での処理が終了すると、ステップS4でのリニアスケール31の汚れの検出および処理が終了する。
なお、上述した例では、ステップS15で、汚れ検出パターン31cが形成された部分をフォトセンサ32が通過する際のA相信号SG1やB相信号SG2の周期(周波数)が基本となる周期T(周波数)の±x%(たとえば、±15%)の範囲から外れているか否かを判断することで、リニアスケール31に汚れが生じているか否かを判断する。この他にもたとえば、図12に示すフローチャートのように、汚れ検出パターン31cが形成された部分をフォトセンサ32が通過する際のA相信号SG1とB相信号SG2との位相に逆転が生じているか否かを判断する(ステップS25)ことで、リニアスケール31に汚れが生じているか否かを判断しても良い。
より具体的には、以下のように、リニアスケール31に汚れが生じているか否かを判断しても良い。すなわち、たとえば、図13(B)に示すように、キャリッジ3が0桁側から80桁側へ移動する際、B相信号SG2がローレベルのときに立ち上がっていたA相信号SG1が、B相信号SG2がハイレベルのときに立ち上がる(すなわち、A相信号SG1とB相信号SG2との位相に逆転が生じる)場合、図14に示すように、付着部分D1、D2および光遮断部31mによって、リニアスケール31の長手方向の一部に所定の幅Wの範囲にわたって、発光部41からの光を遮断する部分が生じている。そのため、汚れ検出パターン31cが形成された部分では、リニアエンコーダ33での正確な位置の検出は不可能(すなわち、正確な読取は不可能)となる(ステップS19)。この場合には、リニアスケール31に汚れが生じていると判断する。また、リニアスケール31に汚れが生じているため、そのままの状態では、リニアエンコーダ33で誤った位置検出が行われる可能性が高いと判断する。
また、ステップS15とステップS25との組合せでリニアスケール31に汚れが生じているか否かを判断しても良い。すなわち、汚れ検出パターン31cが形成された部分をフォトセンサ32が通過する際のA相信号SG1やB相信号SG2の周期(周波数)が基本となる周期T(周波数)の±x%の範囲から外れているか否かを判断するとともに、汚れ検出パターン31cが形成された部分をフォトセンサ32が通過する際のA相信号SG1とB相信号SG2との位相に逆転が生じているか否かを判断することで、リニアスケール31に汚れが生じているか否かを判断しても良い。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のリニアエンコーダ33は、発光面41aや受光面42aに当接して、発光面41aや受光面41aの清掃を行う清掃部材83、83を備えている。そのため、発光面41aや受光面41aの汚れを除去することができ、リニアエンコーダ33での誤検出の発生を抑制することができる。また、本形態では、清掃部材83、83はリニアスケール31に固定されている。そのため、キャリッジ3の位置検出を行う際に、発光面41aや受光面42aに常時当接しない位置で、リニアスケール31に清掃部材83、83を固定することができ、その結果、キャリッジ3の位置検出精度の低下を抑制することができる。
特に、本形態では、清掃部材83、83は、位置検出パターン31bが形成される領域と異なる領域でリニアスケール31に固定されている。そのため、キャリッジ3の位置検出に影響を与えることなく、発光面41aや受光面42aの清掃を行うことができる。すなわち、キャリッジ3の位置検出精度を低下させることなく、清掃部材83、83によって、発光面41aや受光面42aの清掃を行うことができる。
本形態では、清掃部材83、83は、リニアスケール31の長手方向における位置検出パターン31bの外側に配置されている。そのため、印刷用紙Pへの印刷時に0桁側から80桁側へ移動するキャリッジ3をさらに、リニアスケール31の長手方向へ移動させるという簡易な構成で、すなわち、キャリッジ3の位置検出時に、リニアスケール31の長手方向に移動する発光部41および受光部42をさらに、リニアスケール31の長手方向へ移動させるという簡易な構成で、発光面41aや受光面42aの清掃を行うことができる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
上述した形態では、キャリッジ3(具体的にはフォトセンサ32)がリニアスケール31の長手方向に移動することで、清掃部材83、83が発光面41aおよび受光面42aに当接して、発光面41aおよび受光面42aの清掃が行われている。この他にもたとえば、リニアスケール31の長手方向で、清掃部材83、83と発光面41aおよび受光面42aとの位置合わせをした後に、スケール昇降機構44でリニアスケール31を上下動させることで、清掃部材83、83によって、発光面41aおよび受光面42aの清掃を行っても良い。
また、上述した形態では、リニアスケール31の80桁側に清掃部材83、83が固定されているが、リニアスケール31の0桁側で、位置検出パターン31bの主走査方向MSの外側に清掃部材83、83が固定されても良い。
さらに、上述した形態では、清掃部材83、83は、リニアスケール31の長手方向における位置検出パターン31bの外側に固定されている。この他にもたとえば、図15に示すように、リニアスケール31の短手方向で位置検出パターン31bに隣接するように、リニアスケール31の両面のそれぞれに清掃部材83、83を固定しても良い。この場合には、リニアスケール31の長手方向で、リニアエンコーダ33の小型化を図ることができる。また、この場合であっても、清掃部材83、83は、位置検出パターン31bが形成される領域と異なる領域でリニアスケール31に固定されているため、キャリッジ3の位置検出に影響を与えることなく、発光面41aや受光面42aの清掃を行うことができる。すなわち、キャリッジ3の位置検出精度を低下させることなく、清掃部材83、83によって、発光面41aや受光面42aの清掃を行うことができる。
また、リニアスケール31の短手方向で位置検出パターン31bに隣接するように、リニアスケール31に清掃部材83、83を固定する場合、図15に示すように、位置検出パターン31bの下側に清掃部材83、83を固定しても良いし、位置検出パターン31bの上側に清掃部材83、83を固定しても良い。また、位置検出パターン31bの上下両側に清掃部材83、83を固定しても良い。
なお、図15に示すように、リニアスケール31の短手方向で位置検出パターン31bに隣接するように、リニアスケール31の両面に清掃部材83、83が固定される場合、印刷用紙Pへの印刷時には、発光部41と受光部42とは、リニアスケール31の位置検出パターン31bを挟み込むように対向している。そして、発光面41aおよび受光面42aの清掃時には、スケール昇降機構44でリニアスケール31を上下動させることで、清掃部材83、83を発光面41aおよび受光面42aに当接させて、発光面41aおよび受光面42aの清掃を行う。また、スケール昇降機構44によって、リニアスケール31を上昇(または下降)させた後、CRモータ4を駆動して、キャリッジ3をリニアスケール31の長手方向に移動させることで、清掃部材83、83によって、発光面41aおよび受光面42aの清掃を行うこともできる。
さらにまた、上述した形態では、リニアエンコーダ33を例に本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、ロータリエンコーダ36にも適用可能である。以下、ロータリエンコーダ36に本発明の構成を適用した場合の形態を説明する。
たとえば、図16(A)に示すように、回転可能な回転部材87に固定されたブラケット86に制御基板85を介してフォトセンサ35が固定されている。また、ロータリスケール34の外周端側に形成された位置検出パターン34bよりも、ロータリスケール34の径方向内側で、ロータリスケール34の両面には、清掃部材83、83が固定されている。なお、図16(B)は、図16(A)のF−F断面を示している。
図16に示すロータリエンコーダ36では、印刷用紙Pへの印刷時等にPF駆動ローラ6の位置検出を行う際には、発光部81と受光部82とは、ロータリスケール34の位置検出パターン34bを挟み込むように対向している。そして、発光素子81の発光面81aおよび受光素子82の受光面82aの清掃時に、回転部材87を中心としてブラケット86とともにフォトセンサ35を揺動させることで、清掃部材83、83を発光面81aおよび受光面82aに当接させて、発光面41aおよび受光面42aの清掃を行う。また、清掃部材83、83が発光面81aおよび受光面82aに当接するまでフォトセンサ35を回動させた後に、PFモータ5を駆動することで、ロータリスケール34を回転させて、発光面81aおよび受光面82aの清掃を行っても良い。
このように、図16に示すロータリエンコーダ36であっても、PF駆動ローラ6の位置検出を行う際に、発光面81aや受光面82aに常時当接しない位置で、ロータリスケール34に清掃部材83、83を固定することができ、その結果、PF駆動ローラ6の位置検出精度の低下を抑制することができる。また、清掃部材83、83は、位置検出パターン34bが形成される領域と異なる領域でロータリスケール34に固定されているため、PF駆動ローラ6の位置検出に影響を与えることなく、発光面81aや受光面82aの清掃を行うことができる。さらに、清掃部材83、83が、位置検出パターン34bよりもロータリスケール34の径方向の内側に配置されているため、ロータリスケール34の径方向で、ロータリエンコーダ36の小型化を図ることができる。
また、上述した形態および図16のロータリエンコーダ36では、リニアスケール31やロータリスケール34の両面に清掃部材83、83が固定されている。この他にもたとえば、リニアスケール31やロータリスケール34の片面のみに清掃部材83を固定して、発光面41a、81aまたは受光面42a、82aのいずれか一方のみの清掃を行うようにしても良い。
さらにまた、上述した形態では、リニアスケール31に汚れが生じている場合に、発光面41aや受光面42aにも汚れが生じていると推定し、発光面41aや受光面42aの清掃を行っている。この他にもたとえば、リニアスケール31の汚れの検出とは関係なく、所定枚数あるいは所定時間の印刷終了後に発光面41aや受光面42aの清掃を行って良い。また、所定の印刷モード(たとえば、印刷用紙Pの全面に印刷を行う全面印刷モードや写真の印刷を行う写真印刷モード等)で印刷した後に発光面41aや受光面42aの清掃を行って良い。
また、上述した形態では、スケール昇降機構44は、支持フレーム16の一側面16aの内側でガイドシャフト17に固定された偏心カム45と、一側面16aの外側でガイドシャフト17の先端に固定された従動ギア47とを備えている。この他にもたとえば、図17に示すスケール昇降機構84のように、偏心カム45に相当する偏心カム85と従動ギア47とが一体で形成され、この一体となった偏心カム85と従動ギア47とが、一側面16aの外側でガイドシャフト17の先端に回転可能に取り付けられても良い。この場合には、図17に示すように、取付ブラケット46には、当接部46aが、基部46bからプリンタ1の外側に向かって立ち上がるように形成され、偏心カム85のカム面85aに当接している。また、カム面85aはカム面45aと同様に形成されている。なお、この場合には、ガイドシャフト17は回転しない。また、図17では、図5で図示した構成と共通する構成には、同一の符号を付している。
さらに、図15に示すように、リニアスケール31の短手方向で位置検出パターン31bに隣接するように清掃部材83、83が固定される構成においては、プリンタ1が、印刷ヘッド2のノズル面(図2の下面)とプラテン7との隙間(ギャップ)を調整するギャップ調整機構70(図18等参照)を備えていれば、このギャップ調整機構70で発光面41aおよび受光面42aの清掃を行っても良い。すなわち、ギャップ調整機構70で、キャリッジ3に取り付けられたフォトセンサ32をキャリッジ3とともに上下動させ、清掃部材83、83によって発光面41aおよび受光面42aの清掃を行っても良い。以下、ギャップ調整機構70の概略構成を説明する。
ギャップ調整機構70は、カム機構によって、ガイドシャフト17を支持フレーム17に対して昇降させる構成となっている。このギャップ調整機構70は、支持フレーム16の一側面16a側および他側面16b側の両側に設けられている。以下では、支持フレーム16の一側面16a側に設けられたギャップ調整機構70を例に、ギャップ調整機構70の構成を説明する。図18から図20に示すように、ギャップ調整機構70は、ガイドシャフト17の0桁側の端部側に固定された偏心カム71と、ガイドシャフト17の0桁側の端部に固定された第1従動ギア72と、駆動モータ73の動力を第1従動ギア72に伝達するギア輪列74と、一側面16aに固定され、偏心カム71のカム面71aが当接する固定ピン75と、偏心カム71の回転位置を検出する検出板76およびフォトセンサ77と、ギア輪列74に連結され検出板76を回転させる第2従動ギア78とを備えている。
図18に示すように、支持フレーム16の一側面16aには、上下方向に長い長穴状の貫通孔16cが形成されている。ガイドシャフト17は貫通孔16cに挿通されている。また、一側面16aから突出したガイドシャフト17の端部に、偏心カム71と第1従動ギア72とが内側からこの順番で固定されている。固定ピン75は、貫通孔16cの下側に固定され、固定ピン75には、キャリッジ3等の重量によって、偏心カム71のカム面71aが所定の当接力で当接している。また、偏心カム71のカム面71aは、回転中心に対する半径が段階的に変化するように形成されている。たとえば、印刷ヘッド2のノズル面とプラテン7とギャップを5段階で調整できるように、偏心カム71の回転中心に対するカム面71aの半径は、円周方向で5段階に変化している。
検出板76は、図20に示すように、円盤状に形成されるとともに、円周方向外側に伸びる複数の検出部76aを備えている。そして、この検出部76aをフォトセンサ77が検出する構成となっている。また、検出板76は、所定の軸等を介して第2従動ギア78に固定され、第2従動ギア78と一体で回転する。
以上のように構成されたギャップ調整機構70では、駆動モータ73が回転すると、ギア輪列74を介して第1従動ギア72に駆動モータ73の駆動力が伝達され、第1従動ギア72とともに、ガイドシャフト17および偏心カム71が回転する。偏心カム71が回転すると、偏心カム71の回転中心となるガイドシャフト17と、偏心カム71のカム面71aが当接する固定ピン75との距離が変動し、支持フレーム16に対して、ガイドシャフト17が昇降する。すなわち、キャリッジ3が昇降する。また、第2従動ローラ78にも、ギア輪列74を介して駆動モータ73の駆動力が伝達され、検出板76は第2従動ギア78と一体で回転する。そして、偏心カム71の回転位置が検出される。
さらに、上述した形態のリニアスケール31の汚れ検出時のステップS3の前処理として、副走査方向SSで発光部41側または受光部42側にリニアスケール31を平行移動しても良い。上述のように受光部41はコリメータレンズ51を備えている。しかし、受光部41から発光される光は完全な平行光にはならない。そのため、リニアスケール31が受光部42に近い場合の方が受光部42での適切な検出を行いやすくなる。したがって、リニアスケール31を発光部41側に移動すると、第2透光部31hの汚れの程度が小さくても、リニアエンコーダ33から出力されるA相信号SG1やB相信号SG2の周期に変動が生じやすい。すなわち、リニアスケール31の汚れが検出されやすい。また、リニアスケール31を受光部42側に移動すると、第2透光部31hの汚れの程度が大きくなければ、リニアエンコーダ33から出力されるA相信号SG1やB相信号SG2の周期に変動が生じにくい。すなわち、リニアスケール31の汚れは検出されにくい。このように、ステップS3で、リニアエンコーダ31を発光部41側または受光部42側に移動させることで、リニアスケール31の汚れの程度を検出することが可能となる。
また、上述した形態では、液体吐出装置としてプリンタ1を例に本発明の構成を説明したが、本発明の構成は、たとえば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置等のインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置にも適用可能である。なお、これらの液体吐出装置で吐出される液体は、たとえば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク等を含む液体や、加工液、遺伝子溶液等になる。
1 プリンタ(液体吐出装置)、2 印刷ヘッド(液体吐出部)、3 キャリッジ(被検出物)、6 PF駆動ローラ(被検出物)、31 リニアスケール(スケール)、31b・34b 位置検出パターン、33 リニアエンコーダ(位置検出装置)、34 ロータリスケール(スケール)、36 ロータリエンコーダ(位置検出装置)、41・81 発光部、41a・81a 発光面、42・82 受光部、42a・82a 受光面、83 清掃部材、P 印刷用紙(媒体)。