JP2006256229A - ギャップ調整機構、このギャップ調整機構を備えるプリンタおよびギャップ調整方法 - Google Patents

ギャップ調整機構、このギャップ調整機構を備えるプリンタおよびギャップ調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コストの増加を抑えつつ、検出手段における誤認識を防止可能なギャップ調整機構、ギャップ調整機構を備えるプリンタおよびギャップ調整方法を提供すること。
【解決手段】 ギャップ調整機構において、モータ71で発生した駆動力により、印刷ヘッド32の高さ位置を調整する高さ位置調整手段73,74と、モータ71に向け制御情報を送信するモータ出力制御手段86dと、複数の検出子76を具備し、検出子76を検出することで、印刷ヘッド32の高さ位置調整が為されたか否かを検出する検出手段75,77と、検出手段75,77からモータ出力制御手段86dに向かって送信される検出信号の切り替わりの確認の後に、該検出信号に生じる変動を除去するための処理を行う変動除去手段86a,86b,86fと、変動除去手段86a,86b,86fで検出信号の変動除去の処理が為された検出信号を受信する信号受信手段86cと、を具備する。
【選択図】 図12

Description

本発明は、ギャップ調整機構、このギャップ調整機構を備えるプリンタおよびギャップ調整方法に関する。
インクジェット方式のプリンタにおいては、近年、各種の印刷対象物に印刷可能な機種が増えている。かかる印刷対象物の中には、普通紙以外に、専用光沢紙、写真用紙、CD−R等の記録メディア等があり、印刷対象物の種類ごとに、その厚み寸法が異なっている。そして、近年のプリンタには、各種の印刷対象物の全てに対して、印刷品質を確保することが求められている。
上述の要求を満たすため、近年のプリンタには、インク滴を吐出させる印刷ヘッドと印刷対象物との間の距離(プラテンギャップ;以下、これを省略して、PGとする。)を適切な寸法に、しかも自動的に調整する機構(オートプラテンギャップ機構;以下、これを省略してAPG機構とする。)を備える機種がある。なお、APG機構は、例えば特許文献1および特許文献2に開示されているものがある。これらのうち、特許文献1には、紙送りモータを利用した初期のAPG機構が開示されている。また、特許文献2には、ギャップ調整カムの回転により、該ギャップ調整カムと同軸に設けられているキャリッジの高さが切り替えられる機構が開示されている。また、円盤の外周に複数の遮光板を設け、この遮光板の有無を検出センサで検出することにより、印刷対象物の厚みに応じたPGを調整可能としている。
特開平10−211748号公報(図1、図2等参照) 特開2004−314591号公報(段落番号0026、0036,0037他参照)
上述のAPG機構においては、フラグ検出センサにて、フラグを検出することにより、現在のポジションの検出を行っている。ところが、現状のAPG機構においては、フラグ検出センサでの位置認識に誤差が生じる場合がある。この原因としては、例えば、プリンタにおけるメカ的な振動、組み付け精度のバラ付き等によって、フラグが微視的に戻ることが挙げられる。すなわち、フラグ検出センサでの検出状態において、所定の位置のフラグを検出し、そのフラグが戻ってしまうと、H信号からL信号に切り替わった後に、即座にH信号の検出をカウントしてしまう。そのため、実際には次のフラグに到達していないにも拘わらず、該次のフラグに到達した、と判断するケースがある。
このような誤認識を防止するためには、プリンタのAPG機構に関連する部分の剛性を高めたり、組み付け精度を向上させることが考えられる。しかしながら、この場合には、プリンタの基本的な設計を見直したり、材質の変更等を行う必要があり、大幅なコストの増大を招いてしまう。また、各ポジションごとにフラグ検出センサを設ければ、H信号とL信号の切り替わりだけで、ポジションの検出が行える。しかしながら、この場合には、各ポジションごとにフラグ検出センサが必要となるため、コストが上昇してしまう、という問題がある。かかる問題は、フラグの枚数が増大すると顕著となる。すなわち、フラグの枚数の増加に伴ない、誤認識の機会も増大してしまう。
ここで、上述の特許文献1および特許文献2においては、いずれもAPG機構における誤認識防止のための機構については、何等開示されていない。また、特許文献2においても、APG機構の誤認識防止のための機構につき、その詳細が何等開示されていない。そこで、フラグ検出センサの個数を増加させずに、確実なポジションの検出を行えるAPG機構が望まれている。
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、コストの増加を抑えつつ、検出手段における誤認識を防止可能なギャップ調整機構、このギャップ調整機構を備えるプリンタ、およびギャップ調整方法を提供しよう、とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、印刷対象物にインクを吐出する印刷ヘッドと、印刷対象物が送られる紙送り面との間の間隔を調整するギャップ調整機構において、制御情報に基づいて制御駆動されるモータと、モータで発生した駆動力を利用して、印刷ヘッドの紙送り面に対する高さ位置を調整する高さ位置調整手段と、モータに向けて、制御情報を送信するモータ出力制御手段と、高さ位置調整手段の高さ位置と連動する複数の検出子を具備し、モータ出力制御手段からの制御情報に基づいてモータを制御駆動させて検出子を検出することで、高さ位置調整手段での印刷ヘッドの紙送り面に対する高さ位置調整が為されたか否かを検出する検出手段と、検出子の検出に応じて検出手段からモータ出力制御手段に向かって送信される検出信号の印刷ヘッドの高さ位置調整に応じた切り替わりを確認し、その確認の後に、該検出信号に生じる変動を除去するための処理を行う変動除去手段と、変動除去手段で検出信号の変動除去の処理が為された検出信号を受信する信号受信手段と、を具備するものである。
このように構成した場合には、印刷ヘッドの高さ位置調整に際して検出手段から送信される検出信号により、変動除去手段では、検出信号の印刷ヘッドの高さ位置調整に応じた切り替わりの確認の後に、検出信号に生じる変動を除去する処理を行う。それにより、信号受信手段では、検出信号の変動除去が為された状態の検出信号を受信することが可能となる。そのため、信号受信手段では、検出信号の変動による、誤認識を行うことが防止される。
このように、変動除去により検出信号の誤認識が防止される。そのため、例えばメカ的な振動、組み付け精度のバラ付き等によって、検出子が微視的に戻ることがあっても、かかる微視的な戻り等による、検出信号の変動が除去される。それにより、検出子を検出すれば、確実なギャップポジションの判断を行うことができ、検出精度を向上させることができる。また、検出精度を向上させても、ギャップ調整機構におけるメカ的な剛性を高めたり、検出のためのセンサ個数を増加させる等の必要がなくなる。そのため、検出精度を向上させながらも、コストが上昇するのを抑えることが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、変動除去手段は、検出手段からの検出信号を受信すると共に、検出信号の切り替わりが為されたと判断される場合の切り替わり条件を満たした場合に、切り替わりの確認に対応する切替信号を出力する切替検出部と、検出手段からの検出信号を受信すると共に、切替検出部から出力される切替信号も受信可能であり、切替信号を受信した際に、検出信号に対して、該切り替わりの確認の際に検出手段が出力していた検出信号と同様の検出信号を、検出信号の変動に係らず一定の時間長さだけ信号受信手段に向けて出力するマスク処理部と、を具備するものである。
このように構成した場合には、切替検出部においては、検出手段からの検出信号を受信すると共に、この検出信号が切り替わり条件を満たしたか否かが判断される。また、切り替わり条件を満たしたと判断されると、切り替わりの確認に対応する切替信号がマスク処理部に向かって送信される。また、マスク処理部では、検出信号と、切替信号とを受信するが、該切り替わりの確認の際に検出手段が出力していた検出信号と同様の検出信号を、検出信号の変動に係らず一定の時間長さだけ信号受信手段に向けて出力する。このため、かかる一定の時間長さの間は、信号受信手段に向けて、切り替わりの確認が為された際の検出信号を出力し、該検出信号に生じる変動は除去される。そのため、信号受信手段等においては、検出信号が変動することによる、誤認識が防止可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、検出手段は、検出子を検出している間、検出信号の一部分に対応する第1のレベルの信号を切替検出部とマスク処理部とに向けて出力すると共に、検出子を検出していない間、該第1のレベルの信号とは異なると共に検出信号の一部分に対応する第2のレベルの信号を切替検出部とマスク処理部とに向けて出力するものである。
このように構成した場合には、検出手段は、検出子を検出している間、第1のレベルの信号を出力し、検出子を検出していない間は、第2のレベルの信号を出力する。このため、検出子の検出/非検出における、検出信号のレベルの相違により、検出子の検出状態の把握/変動除去の処理が容易となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、変動除去手段は、さらに時間計測のためのタイマ信号を出力するタイマ手段を具備すると共に、切替検出部およびマスク処理部は、共にタイマ信号を受信し、さらに、切り替わり条件は、切替検出部がタイマ信号を受信することにより計測される所定の時間長さの間において、第1のレベルの信号と第2のレベルの信号との間の切り替え状態が継続するものである。
このように構成した場合には、変動除去手段がタイマ手段を備え、切替検出部およびマスク処理部がタイマ信号を受信することにより、時間計測を行うことができ、切替検出部での時間長さの計測により、第1のレベルの信号と第2のレベルの信号との間の検出信号の変動を、所定の時間長さだけ除去しつつ、切替状態を継続可能となる。それによって、検出子の検出精度を向上させることが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、切替部がタイマ信号を受信することにより計測される所定の時間長さの間において、第1のレベルの信号と第2のレベルの信号との間の切り替え状態が継続しなかった場合、マスク処理部は、第1のレベルの信号または第2のレベルの信号のいずれかであって切り替わり前の検出信号を信号受信手段に向けて出力するものである。
このように構成した場合には、第1のレベルの信号と第2のレベルの信号との間の切替状態が継続しない場合、一時的な検出信号の変動であるとして、マスク処理部は、切り替わり前の検出信号を出力する。そのため、一時的な検出信号の変動は、ノイズであるとして除去され、該検出信号の変動を信号受信手段等に向けて出力しないため、検出精度を向上させることが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、信号受信手段は、検出信号の切り替わりの回数をカウントすると共に、この信号受信手段は、カウント数の目標となる目標カウント数との比較を行い、該カウント数が目標カウント数に到達した場合には、信号受信手段は、モータ出力制御手段に対してカウント信号を送信し、該モータ出力制御手段は、カウント信号を受信した場合に、モータの駆動停止に対応する制御情報をモータに向けて送信するものである。
このように構成した場合には、信号受信手段は、検出信号の切り替わりの回数をカウントし、目標カウント数との比較を行うことにより、該カウント数が目標カウント数に到達した場合には、モータ出力制御手段に対して、モータの駆動停止に対応する制御情報を送信する。そのため、複数の検出子を適切な回数だけカウントした場合、適切な位置においてモータを駆動停止させることが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、検出手段は、発光部およびこの発光部で生じた光を受光すると共に該発光部と対向する受光部とを具備し、これらの対向部分が検出領域となるフラグ検出センサを具備すると共に、検出子は、基準部位から外方に向かって突出し、安定領域に対応しかつ光の通過を遮断すると共に、それぞれの検出子が検出領域を通過可能に配置されているものである。
このように構成した場合には、検出子が検出領域に位置する場合、発光部から照射される光を遮断し、受光部では受光できない。それによって、検出子を検出することが可能となり、その検出子に対応する安定領域の位置を検出することが可能となる。すなわち、検出子と安定領域との間の対応付けにより、安定領域の位置検出を、発光部および受光部を用いて行うことが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、切り替わり条件は、複数の検出子のそれぞれに存在すると共に、該切り替わり条件は、モータの正転と逆転とで別途存在するものである。
このように構成した場合には、複数の検出子を検出するごとに適切な切り替わり条件を設定することができると共に、モータの正転と逆転においても、それぞれ適切な切り替わり条件を設定することができる。そのため、検出子の検出後、その検出に対応する安定領域に、確実にモータを停止させることが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、高さ位置調整手段は、高さ位置が固定的に設けられている固定ピンと、印刷ヘッドを有するキャリッジが摺動するキャリッジ軸に取り付けられていると共に、円周方向に沿って半径が変化するカム面を有し、回転によって該カム面が固定ピンに対して摺動することにより、固定ピンに対するキャリッジ軸および印刷ヘッドの高さ位置を調整可能なPGカムと、を具備するものである。
このように構成した場合には、固定ピンに対して、PGカムのカム面が摺動することにより、固定ピンに対するキャリッジ軸の高さ位置を変化させることができる。すなわち、PGカムが回転すると、該PGカムのカム面が摺動し、固定ピンに対するキャリッジ軸の高さ位置を変化させることができる。そのため、キャリッジ軸に沿って移動するキャリッジおよび印刷ヘッドの高さ位置を、変化させることができ、印刷ヘッドと紙送り面との間のギャップ調整を良好に行うことが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、PGカムには、円周方向に沿って移動してもカム面の半径が変化しない領域である複数の安定領域と、隣り合う安定領域の間に位置すると共に、円周方向に沿って移動した場合に、カム面の半径が変化する遷移領域と、を具備するものである。
このように構成した場合には、安定領域に固定ピンが押し付けられても、該安定領域は円周方向に沿って半径が変化しないため、PGカムが回転することがなく、キャリッジ軸の高さ位置を安定的に保持することが可能となり、印刷ヘッドと紙送り面との間のギャップを一定に維持可能となる。また、遷移領域に固定ピンが押し付けられる場合、該遷移領域は円周方向に沿って半径が変化する。そのため、PGカムがこの遷移領域に固定ピンを押し付けた状態において回転すると、キャリッジ軸の高さ位置を変化させることが可能となり、ギャップ調整を良好に行うことが可能となる。
また、他の発明は、上述のギャップ調整機構の各発明を、プリンタに適用したものである。このように構成した場合、変動除去により検出信号の誤認識が防止される。そのため、例えばメカ的な振動、組み付け精度のバラ付き等によって、検出子が微視的に戻ることがあっても、かかる微視的な戻り等による、検出信号の変動が除去される。それにより、検出子を検出すれば、確実なギャップポジションの判断を行うことができ、検出精度を向上させることができる。また、検出精度を向上させても、ギャップ調整機構におけるメカ的な剛性を高めたり、検出のためのセンサ個数を増加させる等の必要がなくなる。そのため、検出精度を向上させながらも、コストが上昇するのを抑えることが可能となる。
また、他の発明は、モータで発生させる駆動力を、印刷対象物が送られる紙送り面とインク滴を吐出する印刷ヘッドとの間の高さ位置調整を行うための高さ位置調整手段に付与し、これらの間の間隔を調整するギャップ調整方法において、モータ出力制御手段からの制御情報に基づいてモータを駆動させ、高さ位置調整手段での印刷ヘッドの高さ位置調整を行う駆動工程と、高さ位置調整手段の高さ位置と連動する複数の検出子の有無の検出に対応して切り替わる検出信号を検出手段から変動除去手段に向けて送信する検出信号送信工程と、検出信号送信工程で送信された検出信号が、検出子の有無に応じて切り替わったか否かを検出する切替検出工程と、切替検出工程において、検出信号の切り替わりが検出された場合に、該切り替わり後に該検出信号に生じる変動を除去するための処理を行う変動除去工程と、変動除去工程で検出信号の変動除去の処理が為された検出信号を受信すると共に、該変動除去後の検出信号の切り替わりの回数をカウントするカウント工程と、カウント工程において、検出信号の切り替わりが目標とするカウント数に達した場合に、モータ出力制御手段に対して、モータの駆動停止に対応する制御情報を送信し、該モータを停止させる駆動停止工程と、を具備するものである。
このように構成した場合には、駆動工程では、モータ出力制御手段からの制御情報に基づいて、モータが駆動され、高さ位置調整手段での印刷ヘッドの高さ位置調整が開始される。また、検出信号送信工程では、高さ位置調整手段の高さ位置と連動する複数の検出子の有無に対応して切り替わる検出信号を変動除去手段に向けて送信する。また、切替検出工程では、検出信号送信工程で送信された検出信号が、検出子の有無に応じて切り替わったか否かが検出される。さらに、変動除去工程では、切替検出工程で検出信号の切り替わりが検出された場合に、該切り替わり後に該検出信号に生じる変動を除去するための処理が行われる。また、カウント工程では、変動除去工程で検出信号の変動除去の処理が為された検出信号を受信し、変動除去後の検出信号の切り替わりの回数がカウントされる。そして、駆動停止工程では、カウント工程でのカウント回数が目標とするカウント数に達した場合に、モータ出力制御手段に対して、モータの駆動停止に対応する制御情報を送信し、モータの駆動を停止させる。
このように、変動除去工程において、検出信号における変動除去が為されることにより、検出信号の誤認識が防止される。そのため、例えばメカ的な振動、組み付け精度のバラ付き等によって、検出子が微視的に戻ることがあっても、かかる微視的な戻り等による、検出信号の変動が除去される。それにより、検出子を検出すれば、確実なギャップポジションの判断を行うことができ、検出精度を向上させることができる。また、検出精度を向上させても、ギャップ調整機構におけるメカ的な剛性を高めたり、検出のためのセンサ個数を増加させる等の必要がなくなる。そのため、検出精度を向上させながらも、コストが上昇するのを抑えることが可能となる。
以下、本発明のギャップ調整機構、このギャップ調整機構を用いたプリンタおよびギャップ調整方法の一実施の形態について、図1から図13に基づいて説明する。なお、本実施の形態のプリンタ10は、インクジェット式のプリンタであるが、かかるインクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも良い。
なお、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される設置面1側を指し、上方側とは、設置面1から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ30が移動する方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であって印刷対象物12が搬送される方向を副走査方向とする。また、印刷対象物12が供給される側を給紙側(後端側)、印刷対象物12が排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
プリンタ10は、設置面1に接触するシャーシ11を具備し、このシャーシ11には、各種ユニットが搭載される。各種ユニットには、キャリッジモータ(CRモータ25)によってキャリッジ30を主走査方向に往復動させるキャリッジ機構20、PFモータ45(モータおよび紙送りモータに対応)によって印刷対象物12を搬送する用紙搬送機構40、後述するプラテン56と印刷ヘッド32との間の距離を調整するオートプラテンギャップ調整機構(APG機構)70等があり、その他、図2および図11等に示す制御部80が存在する。
これらのうち、図1および図2等に示すキャリッジ機構20は、キャリッジ30を具備し、さらに、支持フレーム21と、この支持フレーム21によって支持されると共に、キャリッジ30を摺動可能に保持するキャリッジ軸24と、後述する遮蔽プレート部22の背面側に配設されているキャリッジモータ(CRモータ25)と、このCRモータ25に取り付けられている歯車プーリ26と、無端のベルト27と、歯車プーリ26との間にこの無端のベルト27を張設する従動プーリ28と、符号板36と、リニア式エンコーダ37と、を備えている。
図1に示すように、支持フレーム21は、遮蔽プレート部22と、遮蔽プレート部22の両端側において、排紙側に向かい折曲された側方プレート部23と、から構成されている。一対の側方プレート部23には、シャーシ11の長手に沿い、キャリッジ30の摺動をガイドするキャリッジ軸24が支持されている。キャリッジ軸24は、側方プレート部23に存在する長孔23aに挿通されている。また、遮蔽プレート部22の背面側には、歯車プーリ26を駆動させるCRモータ25が設けられている。なお、CRモータ25は、本実施の形態では、DCモータとなっている。
ここで、側方プレート部23の長孔23aは、その長手方向が上下方向に向かうように設けられている。しかも、長孔23aの短手方向の幅は、キャリッジ軸24の挿通に必要な寸法のみを有している。このため、後述するPGカム73が回動されると、キャリッジ軸24は、長孔23aの内部を、その長手方向に沿って摺動する。
図3等に示すように、プラテン56に対向して、キャリッジ30が設けられている。キャリッジ30には、図2等に示すように、例えば6つのカートリッジ31(K(ブラック)、LM(ライトマゼンタ)、LC(ライトシアン)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等)をそれぞれ脱着可能に搭載している。なお、搭載されるカートリッジ31は、6色に限られず、4色、7色および8色等、何色分であっても良い。また、カートリッジ31に充填されるインクは、染料系インクには限られず、顔料系インク等、他の種類のインクを搭載しても良い。
図3等に示すように、キャリッジ30の下部には、印刷ヘッド32が設けられている。印刷ヘッド32には、不図示のノズルが印刷対象物12の搬送方向に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列を形成している。なお、本実施の形態では、ノズル列は、例えば180個のノズルから構成されており、このうち、180番目のノズルが給紙側、1番目のノズルが排紙側に位置している。
また、ノズル列のノズル毎に、電歪素子の1つであるピエゾ素子(不図示)が配置されている。ピエゾ素子は、インク通路の壁面に接する位置に設置されていて、このピエゾ素子の作動によって当該壁面が押され、インク通路の端部にあるノズルからインク滴を吐出する。なお、印刷ヘッド32は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、その他の方式を用いても良い。その他の方式としては、例えば、インクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、静電気力を利用した静電方式、ミストを電界で制御するミスト方式等が、主な方式として挙げられる。
また、図2等に示すように、キャリッジ機構20は、符号板36と、リニア式エンコーダ37とを有する。符号板36には、所定間隔毎にスリットが形成されている。また、キャリッジ30の符号板36と対向する背面側には、リニア式エンコーダ37が取り付けられている。かかる符号板36、リニア式エンコーダ37により、キャリッジ30の現在の位置を検出可能としている。
また、用紙搬送機構40の詳細について、図3に基づいて説明する。図3に示す用紙搬送機構40は、給紙ローラ41と、ホッパ42と、分離パッド43とを備えている。
図1および図2に示す給紙ローラ41は、ローラ本体41aと、該ローラ本体41aの外周部に巻回されるゴム材41bとを有している。給紙ローラ41の側面視は、略D形を為している。この給紙ローラ41のうち、ゴム材41bの円弧部分により、印刷対象物12のうち、厚みが比較的薄い用紙を送り込む。これと共に、ゴム材41bの平坦部分を利用して用紙を通過させ、排紙ローラ対60に搬送負荷を与えない構成となっている。
ホッパ42は、用紙を載置可能な板状部材であり、上方の回動軸42aを中心に揺動可能となっている。かかる揺動により、ホッパ42の下端部が給紙ローラ41に対して弾性的に圧接/離間する。そのため、ホッパ42が給紙ローラ41に対して圧接方向に揺動すると、ホッパ42上に堆積された用紙の束は給紙ローラ41に圧接する。この圧接状態で給紙ローラ41が回動すると、最上位の用紙が排紙側に送られる。
分離パッド43は、摩擦係数の高い部材からなり、給紙ローラ41と対向する位置に設けられている。給紙ローラ41が回動すると、ゴム材41bの円弧部分と分離パッド43とが圧接する。上述の回動により送られた最上位の用紙は、この圧接部分を通過して排紙側へと進むが、最上位の用紙に伴ない排紙側へと進もうとする次位以降の用紙は、該圧接部分の存在により、その進行が阻止される。それによって、用紙の重送が防止される。
なお、用紙搬送機構40は、分離パッド43を備える方式以外に、リタードローラを具備する方式を採用しても良い。リタードローラを具備する場合、給紙ローラ41とリタードローラの間における回転/停止により、印刷対象物12の先端めくれが生じない状態で、該印刷対象物12の送り込みが可能となる。
また、ホッパ42よりも排紙側には、板状体からなる紙案内44が略水平に設けられている。給紙ローラ41によって送り込まれた用紙の先端は、紙案内44に斜めに当接し、滑らかに排紙側に案内される。また、紙案内44よりも排紙側には、PF駆動ローラ51と、PF従動ローラ52とからなる、PFローラ対50が設けられている。PF従動ローラ52は、バネ54により、PF駆動ローラ51に向かう付勢力を受けている。
そのため、ホッパ42側、または開口部57を通過して搬送されてくる印刷対象物12は、PF駆動ローラ51とPF従動ローラ52との間で、当該印刷対象物12に対して所定の付勢力を与えながら挟持される。また、PF駆動ローラ51は、図1および図2に示すPFモータ45からの駆動力が伝達されて、回転する。そのため、PFモータ45が一定ピッチで1ステップ分だけ作動すると、PFローラ対50で挟持されている印刷対象物12は、当該1ステップ分だけ排紙側に搬送される。
また、PF従動ローラ52は、従動ローラホルダ53の排紙側に軸支されている。従動ローラホルダ53は、回動軸53aを中心に回動可能に設けられている。また、従動ローラホルダ53は、バネ54によって、PF従動ローラ52が常にPF駆動ローラ51に圧接する方向(図3の反時計方向)に回動付勢されている。なお、バネ54は、ねじりコイルバネであり、回動軸53aに挿通されている。一方、PF従動ローラ52は、PF駆動ローラ51と接触する表面は、グリップ体51bよりも低摩擦の部材からなり、この低摩擦の部材は、金属等を材質とする軸体51aの外周面を覆うように設けられている。
また、0桁側(図3の紙面表側;その反対の図3の裏面側は、80桁側)に位置する従動ローラホルダ53近傍には、印刷対象物12の通過を検出する、紙検出器55が設けられている。紙検出器55は、センサ本体部55bと検出レバー55aとを具備している。このうち、検出レバー55aは、その側面形状が略「く」の字形状となっていて、その中央付近の回動軸55cを中心に、回動可能となっている。また、センサ本体部55bは、検出レバー55aの上方に位置していて、発光部(図示せず)および該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備えている。そして、回動軸55cから上側が、回動動作により、発光部から受光部に向かう光の遮断および通過を行う。
したがって、図3に示すように、印刷対象物12の通過に伴って、検出レバー55aが上方に押し上げられるように回動すると、検出レバー55aの上側がセンサ本体部55bから外れる。これにより、受光部が受光状態となって、印刷対象物12の先端の通過を検出する。また、印刷対象物12の後端が、検出レバー55aを通過すると、検出レバー55aが下方に戻る方向に回動する。それにより、受光部が非受光状態に切り替えられ、印刷対象物12の後端の通過を検出する。
また、PF駆動ローラ51の排紙側には、プラテン56および上述の印刷ヘッド32が上下に対向する様に配設されている。プラテン56は、排紙ローラ対60によって印刷ヘッド32の下へ搬送されてくる印刷対象物12を、下方側から支持する。
また、プラテン56よりも排紙側には、上述のPFローラ対50と同様の、排紙ローラ対60が設けられている。排紙ローラ対60は、排紙駆動ローラ61と、排紙従動ローラ62とを具備している。排紙駆動ローラ61は、PFモータ45からの駆動力が伝達されて、回転する。排紙従動ローラ62には、バネ63によって、排紙従動ローラ62が排紙駆動ローラ61に圧接する方向に向かう付勢力が与えられる。
そのため、印刷対象物12は、排紙ローラ対60で挟持される。その状態で、排紙駆動ローラ61が回動すると、図3の左向きに排出される。なお、排紙駆動ローラ61は、印刷対象物12の幅方向に延びる軸体に、ゴムローラが幅方向に間欠配置される構成を採用している。また、PFモータ45は、PF駆動ローラ51と排紙駆動ローラ61とに駆動力を分配させる構成を採用している。しかしながら、PFモータ45以外のモータを設け、そのモータによって排紙駆動ローラ61を駆動させる構成を採用しても良い。
また、上述したホッパ42の下方には、開口部57が設けられている。開口部57は、プリンタ10の後端側における開口部分であり、印刷対象物12を通過させるのに十分な、主走査方向における幅を有している。なお、開口部57を通過させる印刷対象物12の一例としては、例えばトレイに載置された状態のCD−R等が挙げられる。
次に、オートプラテンギャップ機構(APG機構)70の詳細について、図4〜図8に基づいて説明する。図4他に示すように、APG機構70は、キャリッジ軸24の高さ位置を調整する機構である。このAPG機構70は、キャリッジ軸24と、PGモータ71と、PGモータ71からの駆動力を伝達するAPGギヤ輪列72と、PGカム73と、該PGカム73が押し付けられる固定ピン74と、該PGカム73の回動位置の検出のためのフラグ板75と、フラグ検出センサ77と、制御部80とを具備している。
これらのうち、PGモータ71は、プラテンギャップ(PG)調整のための駆動力を与えるためのモータであり、本実施の形態では、DCモータとなっている。かかるPGモータ71は、PWM制御が可能なDCモータであり、パルス電圧の幅(Duty比)を調整することにより、DCモータに印加される平均電圧を調整して、DCモータの駆動制御を行うことが可能となっている。このPWM制御においては、全てのパルス幅が均一な等幅パルスを用いる方式、およびパルス幅が変化する不等幅パルスを用いる方式があるが、いずれのパルス信号を用いても良い。また、電圧パルスのDuty比と電圧パルスの周期を種々調整する組み合わせにより、どのようなパルス信号を用いても良い。なお、CRモータ25、PFモータ45も、同様にPWM制御可能なDCモータとなっている。
また、図5および図6に示すように、APGギヤ輪列72は、複数のギヤから構成されていて、PGカム73を回動させるためにPGモータ71の駆動力を減速して伝達する駆動伝達手段である。かかるAPGギヤ輪列72のうち、最終段の出力歯車72aは、キャリッジ軸24に対して固定的に取り付けられている。また、キャリッジ軸24には、PGカム73も固定的に取り付けられている。
また、図7に示すように、PGカム73は、回転中心に対する半径が、段階的に異なるように設けられているカム部材である。このPGカム73は、プラテンギャップ(PG)を設定可能な個数分設けられている。なお、本実施の形態では、PGカム73の半径は、5つ分設けられていて、かかる5つ分の半径は段階的に変化するように設けられている。図4および図5等に示すように、PGカム73のうち、外周のカム面73aは、固定ピン74に押し付けられている。固定ピン74は、側方プレート部23に固定的に設けられている。このため、PGカム73が回動すると、そのカム面73aの固定ピン74に対する当接により、キャリッジ軸24の高さ位置を変化させることを可能としている。なお、PGカム73および固定ピン74は、高さ位置調整手段を構成する。
ここで、図7に示すように、PGカム73のカム面73aには、安定領域Sと遷移領域Tとが存在する。安定領域Sは、一定の半径を所定の角度範囲内で維持する領域であり、遷移領域Tは、回動するにつれてPGカム73の中心からカム面73aまでの半径が大きくなるか、または小さくなる領域である。本実施の形態では、安定領域Sは、5つ分設けられていて、その半径寸法は、小さい方から大きい方に向けて順に、r1 〜r5 となっている。以下の説明においては、安定領域Sのそれぞれを称呼する場合、半径の小さいほうから順に、安定領域S1〜S5と符号を付して説明する。また、遷移領域Tも同様に、それぞれを称呼する場合、半径の小さいほうから順に、遷移領域T1〜T4と符号を付して説明する。
なお、安定領域Sの数は、5つに限られるものではなく、2つ以上であればいかなる個数であっても良い。また、カム面73aは、その半径が周方向に向かって進行するにつれて徐々に大きく、または小さくなる以外に、カム面73aの中途部分に最大の半径となる安定領域Sが存在する構成としても良く、また使用頻度の高い種類の印刷対象物12の間における半径の切り替えを素早く行えるように、それらを半径に拘わりなく隣り合う配置としても良い。
また、図6に示すように、フラグ板75は、検出手段の一部を構成し、APGギヤ輪列72の中途部分のギヤ72bと同軸かつ同時に回転するように設けられている。フラグ板75は、円盤状部75a(基準部位に対応)の外周側に、突出方向に向かうフラグ76(検出子に対応)が複数設けられることにより、構成されている。このフラグ76は、光を透過させない遮光部分であり、後述するフラグ検出センサ77の検出領域Pを通過する際に、光を遮ることを可能としている。
なお、図8に示すように、本実施の形態では、フラグ板75には、計6枚のフラグ76が設けられている。これらのフラグ76のうち、5枚分のフラグ761〜764(以下、かかる4枚分のフラグ76のそれぞれを称呼する場合、安定領域S1に対応するものから順に、フラグ761〜764と符号を付して説明する。)は、PGカム73の4段分に対応するものである。また、本実施の形態では、さらに、上述した紙案内44のレリース機構(不図示)のためのフラグ76(以下、レリースに対応するフラグ76を称呼する場合、フラグ765と符号を付して説明する。)が1枚設けられている。
また、フラグ板75には、フラグ検出センサ77が近接する状態で配置されている。フラグ検出センサ77は、検出手段の一部を構成し、発光部77aと受光部77bとを有する光センサであり、全てのフラグ761〜765がこの発光部77aと受光部77bとの間の検出領域Pを通過可能に設けられている。なお、図9に示すように、本実施の形態では、いずれかのフラグ76が検出領域Pに存在する場合、フラグ検出センサ77は、Hレベルの信号を発信すると共に、フラグ76が検出領域Pに存在しない場合、Lレベルの信号を発信する。
ここで、フラグ板75とPGカム73との位置関係について述べる。フラグ検出センサ77の検出領域Pにフラグ76が差し掛かる場合、カム面73aのうちいずれかの安定領域Sが固定ピン74と圧接する。しかも、フラグ761は、半径がr1 となる安定領域S1に対応し、以下、同様にフラグ762が半径r2 となる安定領域S2に対応し、フラグ763が半径r3 となる安定領域S3に対応し、フラグ764が半径r4 となる安定領域S4に対応し、フラグ765が、半径がr5 となる安定領域S5に対応する。このように、フラグ検出センサ77がH信号を発信すれば、カム面73aのいずれかの安定領域Sが固定ピン74を圧接する状態となる。
ここで、5つの安定領域S1〜S5のうち、安定領域S1は、固定ピン74とキャリッジ軸24との間の距離が小さく、キャリッジ軸24が最も下方に位置する状態となるため、PGを小さく設定できる。このため、安定領域S1は、専用紙等の印刷品質を高める場合のPGに対応する。以下、同様の考えにより、安定領域S2は、通常の厚みの紙(普通紙等)に対応し、安定領域S3は、普通紙等にこすれが生じる場合のPGに対応する。また、安定領域S4は、CD−R印刷用トレイ等のような最も厚みのあるものに対応する。さらに、安定領域S5は、紙案内44の開放に対応する。
なお、本実施の形態では、安定領域Sに既に差し掛かっている状態でフラグ76のエッジが検出され、H信号が送信されるのが好ましい。このようにすれば、フラグ76の検出に応じて、後述するPGモータ71の停止動作を行う場合、PGの保持を一層確実に行うことが可能となる。しかしながら、フラグ76のエッジと、安定領域Sのエッジとが一致するように構成しても良い。また、H信号は、第1のレベルの信号に対応すると共に、L信号は、第2のレベルの信号に対応している。しかしながら、これらの対応関係を逆にしても良い。
次に、制御部80の構成について、図11等に基づいて説明する。制御部80は、バス80a、CPU81、ROM82、RAM83、キャラクタジェネレータ(CG)84、ASIC85、DCユニット86、PGモータドライバ87、PFモータドライバ88、CRモータドライバ89、ヘッドドライバ90、不揮発性メモリ91等を備えている。
また、CPU81およびDCユニット86には、上述の紙検出器55、不図示の紙幅検出のためのPWセンサ、後述するロータリエンコーダ92、キャリッジ30の移動量を検出する不図示のリニアエンコーダ、プリンタ10の電源をオン/オフする電源SW等)の各出力信号が入力される。CPU81は、ROM82や不揮発性メモリ91等に記憶されているプリンタ10の制御プログラムを実行するための演算処理や、その他の必要な演算処理を行う。
また、ROM82には、プリンタ10を制御するための制御プログラムおよび処理に必要なデータ等が記憶されている。本実施の形態では、ROM82には、印刷対象物12の種類に応じた、駆動制御プログラムの波形情報等が記憶されている。
さらに、ROM82には、PGモータ71の駆動速度の目標となる、目標情報の初期値が記憶されている。また、ROM82には、PGモータ71に印加する電圧のDuty比の制御テーブルの初期値も記憶されている。そのため、ROM82は、記憶手段として機能する。しかしながら、目標情報および制御テーブルは、予め不揮発性メモリ91に記憶させるようにしても良く、この場合には不揮発性メモリ91が記憶手段に対応する。
また、ROM92には、マスク情報テーブルも記憶されている。マスク情報テーブルは、フラグ76を検出した際にフラグ検出センサ77から発せられるH信号/L信号の切り替わりのカウントをキャンセルするためのマスク時間情報を多数備えるテーブルである。すなわち、このマスク制御テーブルは、例えばフラグ76のエッジの検出が確定した後に、所定の時間だけ、H/L信号の切り替わりのカウントをキャンセルするためのマスク時間情報を多数備えている。
なお、かかるマスク情報テーブルは、フラグ761〜765ごとに、それぞれマスク時間情報を有している。また、マスク情報テーブルは、フラグ761〜765を検出する際の、フラグ板75の正転方向と逆転方向とで、それぞれ異なるマスク時間情報を有している。しかしながら、マスク情報テーブルは、全てのフラグ761〜765において、同一のマスク時間情報を有するように構成しても良い。また、マスク情報テーブルは、フラグ板75の正転方向と逆転方向とで、同じマスク時間情報を有するように構成しても良い。また、ROM82にマスク情報テーブルを記憶させずに、不揮発性メモリ91に記憶させるようにしても良い。
なお、キャリッジ軸24を持ち下げる場合、キャリッジ軸24を持ち上げる場合よりも、メカ的な振動が通常は大きい。そのため、キャリッジ軸24を持ち下げる場合のマスク時間長さを、キャリッジ軸24を持ち上げる場合のマスク時間長さよりも長くするように設定しても良い。
また、上述のASIC85は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、インターフェース101を介してコンピュータ100から供給される印刷信号を受け取ることができる。また、RAM83は、CPU81が実行途中のプログラムあるいは、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。
また、不揮発性メモリ91は、インクジェットプリンタ10の電源を切った後も、保持しておくことが必要な各種データを記憶するためのメモリである。なお、本実施の形態では、不揮発性メモリ91には、フラグ検出センサ77による、最終のフラグ761〜765の検出情報(最終停止位置情報)も記憶される。それにより、次回、PGモータ71を駆動させる場合、不図示の制御テーブルのプロファイルのうち、どの位置から制御を開始するのかが、記憶される。
ロータリエンコーダ92は、上述のリニア式エンコーダ37とは異なり、符号板が円盤状に設けられている。しかしながら、それ以外の構成は、リニア式エンコーダ37と同様となっている。
また、DCユニット86は、モータ制御手段に対応し、DCモータであるCRモータ25、PFモータ45、およびPGモータ71等の速度制御を行うための制御回路である。DCユニット86は、CPU81から送られてくる制御命令に基づいて、PGモータ71の速度制御を行うための制御信号(PGモータドライバ87のスイッチング素子をオン/オフさせるためのタイミング信号であり、制御情報に対応)をPGモータドライバ87へ送信する。
このDCユニット86は、所定の制御を行うための駆動制御部分である。かかるDCユニット86によれば、CRモータ25、PFモータ45等のモータの制御も、例えばPID制御部および加速制御部での制御に基づいて行うことができるが、本実施の形態では、これらの部分を省略して、PGモータ71の制御に関する部分につき、図12に基づいて説明する。
図12に示すように、DCユニット86は、切替検出部86aと、マスク処理部86bと、カウンタ86cと、出力制御部86dと、PWM信号生成部86eと、タイマ86fとを具備している。このうち、切替検出部86aは、変動除去手段の一部に対応し、フラグ検出センサ77からの検出信号を受信すると共に、タイマ86fからのタイマ信号も受信する。そして、例えばフラグ検出センサ77からの検出信号のH信号とL信号との間の信号の切り替わりが、切り替わり条件を満たす場合には、マスク処理部86bに向けて切り替わりに対応する切替信号を送信する。
ここで、図10には、H信号の立ち下がり付近および立ち上がり付近を拡大した状態が示されている。この図10には、H信号の立ち下がり付近、立ち上がり付近のそれぞれにおいて、フラグ板75に生じたメカ的な振動、組み付け精度のバラ付き等を原因として、フラグ76が微視的に戻り、その戻りによって、H信号/L信号の変動が検出される状態が示されている。ここで、図10には、タイマ信号も示されているが、かかるタイマ信号の2周期分の間、H信号とL信号との間における切り替わった状態が継続している場合、上述の切替検出手段86aは、切替信号をマスク処理部86bに向けて送信する。
しかしながら、切り替わり条件としては、これには限られず、タイマ信号を3周期以上カウントしても切り替わった状態が継続している場合に、マスク処理部86bに向けて切替信号を送信するようにしても良い。また、その他の条件を、切り替わり条件に設定するようにしても良く、その他の切り替わり条件としては、H信号/L信号のそれぞれの検出時間を累積し、切り替わった側の信号が一定のしきい値を超えた場合を切り替わり条件に設定するようにしても良い。
また、図10においては、H信号/L信号の変動が生じ得る時間領域をt1、H信号の立ち下がりとH信号の立ち上がりとの間のL信号の時間長さをt2とすると、マスク時間Tは、t1<T<t2の条件を満たす。なお、H信号の立ち下がりにおいて変動が生じ得る時間領域t1と、H信号の立ち上がりにおいて変動が生じる時間領域t1とは、同一の時間長さであっても良く、異なる時間長さであっても良い(図10においては、同一の時間長さとしている)。
また、マスク処理部86bは、変動除去手段の一部に対応し、フラグ検出センサ77からの検出信号を受信する。これと共に、上述の切替検出部86aからの切替信号を受信し、さらに、タイマ86fからのタイマ信号も受信する。これと共に、マスク処理部86bは、カウンタ86cに向けて、切り替わりに対応したカウント信号を出力する。かかるマスク処理部86bにおいては、切替検出部86aからの切り替わりを検知した制御信号を受信すると、フラグ検出センサ77からの検出信号を所定の時間だけマスキングする処理を行い、切替検出部86aで切り替わりが検出された後の、H/L信号の間における信号の切り替えを所定時間キャンセルすべく、検出の際と同じ信号を、カウンタ86cに向けて出力する。
また、カウンタ86cは、信号受信手段に対応し、フラグ検出センサ77から送信され、マスキング処理が適宜為されるH信号の立ち上がり/立ち下がり個数をカウントし、該カウントによって得られたカウント信号を出力制御部86dに出力する。なお、カウンタ86cは、H信号の立ち上がり/立ち下がり個数のうち、いずれをカウントしても良く、また両方をカウントするようにしても良い。また、モータ出力制御手段に対応する出力制御部86dには、CPU81からの制御指令、カウンタ86cからのカウント信号、およびタイマ86fからのタイマ信号が入力される。ここで、この場合の制御指令は、RAM83に記憶されているカウント数に関する情報である。そして、このカウンタ86cからのカウント信号とCPU81からの制御指令(カウント数)とを比較し、目標とするカウント数に達した場合には、減速に対応する制御信号をPWM信号生成部86eに出力し、その後一定時間経過後に停止に対応する信号を出力する。
また、PWM信号生成部86eは、出力制御部86dからの制御信号(Duty比情報に対応)に基づいて、所定のPWM信号をPGモータドライバ87に対して出力する。ここで、出力制御部86dからPGモータドライバ87に向けて出力される制御信号は、該PGモータドライバ87に存在する不図示のスイッチング素子をオン/オフさせるためのタイミング信号である。また、PGモータドライバ87には、別途、一定の電圧が入力される。そして、PGモータドライバ87は、PGモータ71に向けて、該電圧のオン/オフが制御された、ノコギリ歯状のアナログ電流を出力する。
また、タイマ86fは、変動除去手段の一部およびタイマ手段に対応し、タイマ信号を、切替検出部86a、マスク処理部86b、出力制御部86dに向けて出力する。ここで、タイマ信号は、例えば1周期が1msec2対応する、といった具合に、非常に短い時間周期を計測可能となっている。
なお、上述のマスク処理部86bにおいては、フラグ検出センサ77からのH信号/L信号の間の切り替わりが、切り替わり条件を満たさない場合(本実施の形態では、タイマ信号の1周期分のみの切り替わりが検出された場合)には、該H信号/L信号の間の信号の切り替えは、ノイズであるとして、ノイズ除去処理を行うようにする。このようにすれば、1周期分の一時的なH信号/L信号の間の検出信号の切り替わりが、除去可能となり、かかる一時的な検出信号の切り替わりがカウンタ86cに入力されるのが防止される。
また、上述の制御部80における各構成は、信号線であるバス80aによって接続されている。かかるバス80aにより、CPU81、ROM82、RAM83、CG84、ASIC85、不揮発性メモリ91等は相互に接続され、これらの間でデータの授受を可能としている。
また、プリンタ10は、インターフェース101を具備している。このインターフェース101を介して、コンピュータ100が接続されている。
以上のような構成を用いて、プリンタ10のAPG機構70を作動させる場合の制御の詳細について、図13の制御フローに基づき、以下に説明する。
プリンタ10の電源オンの状態において、印刷対象物12の種類が切り替えられた場合、CPU81は、ROM82に記憶されている、PGモータ71の駆動のための不図示のDuty比の制御テーブルを読み出すと共に、マスク情報テーブルも読み出される(ステップS10)。
次に、CPU81は、DCユニット86に対して、上述の制御テーブルを反映させた状態で、PGモータ71を起動させるための制御指令を、出力制御部86dに向けて発する。その制御指令が出力制御部86dに入力されると、該制御指令に対応する制御信号をPWM信号生成部86eに向けて送信する。そして、PWM信号生成部86eは、PGモータドライバ87を介して、初期起動トルクのDuty比に対応する電流をPGモータ71に流す。それにより、PGモータ71は、起動が開始されると共に、フラグ検出センサ77もH信号/L信号のいずれかの出力を開始する(ステップS11;駆動工程および検出信号送信工程に対応)。
次に、フラグ検出センサ77からの検出信号の受信により、マスク処理部86bは、切替検出部86aから切替信号を受信したか否かを判断する(ステップS12)。この場合、切替検出部86aは、フラグ検出センサ77からH信号/L信号の検出信号を受信し、H信号とL信号との間の検出信号の切り替わりが、切り替わり条件を満たした場合に、その切り替わりを確認するための切替信号をマスク処理部86bに向けて送信する。そして、マスク処理部86bは、かかる切替信号を受信したか否かを判断する。
なお、上述のステップS12の判断においては、切替検出部86aが、検出信号の切り替わりが、切り替わり条件を満たしたか否かを検出する、と言い換えることも可能である。本実施の形態では、検出信号が切り替わった状態が、タイマ信号の2周期分継続した場合、切り替わり条件を満たすものと判断する。逆に、検出信号が切り替わった状態が、タイマ信号の2周期分継続しない場合、切り替わり条件を満たさないものと判断する。
ステップS12の判断において、切替信号を受信したと判断される場合(Yesの場合)、マスク処理部86bは、切替信号を受信し、フラグ検出センサ77からの検出信号に対してマスク処理を行う(ステップS13;変動除去工程に対応)。このマスク処理により、フラグ検出センサ77からの検出信号には、マスク処理が施され、切替信号を受信した後には、例えフラグ検出センサ77が切替信号の検出の際とは異なる検出信号を送信しようとしても、切替信号の検出の際の検出信号と同じ信号が、カウンタ86cに送信される。
なお、このマスク処理を行った後に、カウンタ86cにおいて、カウント数を更新する処理を行う(ステップS14;カウント工程に対応)。しかしながら、このステップS14のカウント数更新は、例えば後述するマスク処理の終了(ステップS17)等、マスク処理の他の処理の後に実行するようにしても良い。
また、ステップS12の判断において、切替信号を受信していないと判断される場合(Noの場合)には、マスク処理部86bは、フラグ検出センサ77からの検出信号に対して、ノイズ除去処理を行う(ステップS15)。それにより、タイマ信号の1周期分だけのH信号/L信号の間の検出信号の切り替わりが生じた場合でも、その切り替わりによる影響を、カウンタ86cに伝達せずに済む。
ステップS14に続いて、タイマ86fにおいて、所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS17)。この判断において、所定時間が経過したと判断される場合(Yesの場合)には、マスク処理部86bにおけるマスク処理を終了する(ステップS17)。逆に、所定時間が経過していないと判断される場合(Noの場合)には、ステップS13に戻り、マスク処理を継続する。
以上のようにして、マスク処理が適切に為される。また、タイマ信号の1周期分だけの検出信号の切り替わりが生じた場合でも、その影響を除去可能となる。
続いて、フラグ76の検出信号(H信号)の立ち上がりエッジの検出が、目標とするカウント数に達したか否かを判断する(ステップS18;駆動停止工程の一部)。すなわち、目標のカウント数に達する場合、印刷対象物12の種類に対応した安定領域Sが、固定ピン74を押し付けている状態となり、目標とするPGに調整された状態となる。そこで、目標カウント数に達したと判断される場合(Yesの場合)には、出力制御部86d、PWM信号生成部86eおよびPGモータドライバ87を介して、PGモータ71の駆動を停止させる(ステップS19;駆動停止工程の一部)。それにより、以後の処理を終了させる。
また、ステップS18において、目標とするカウント数に達していないと判断される場合(Noの場合)、上述のステップS12に戻り、新たな切替信号を受信したか否かを判断し、上述したようなフローを継続する。
以上のような各ステップを経ることにより、フラグ検出センサ77からの検出信号が、切り替わり条件を満たした場合、切替検出部86aは、切替信号をマスク処理部86bに向けて送信し、マスク処理が実行される。また、かかるマスク処理は、H信号の立ち下がり部分と、H信号の立ち上がり部分とのそれぞれにおいて実行される。しかしながら、H信号の立ち下がり部分、立ち上がり部分のいずれかにおいて、誤検出の問題が生じない場合には、誤検出の問題が生じ部分のみにおいて、マスク処理を実行するようにしても良い。
このような構成のAPG機構70、このAPG機構70を用いたプリンタ10およびギャップ調整方法によれば、印刷ヘッド32の高さ位置調整に際してフラグ検出センサ77から送信される検出信号は、切替検出部86a、マスク処理部86bに送信され、切替検出部86aでのH信号/L信号の間の検出信号の切り替えの検出の後に、マスク処理部86bによってこれらの間の変動を除去する処理が為される。それにより、カウンタ86cでは、検出信号の変動除去が為された状態で、検出信号を受信することが可能となる。そのため、検出信号が変動することによる、カウンタ86cでの誤認識が防止される。
このように、誤認識を防止することにより、例えばAPG機構70におけるメカ的な振動、組み付け精度のバラ付き等によって、フラグ76が微視的に戻ることがあっても、かかる微視的な戻り等による、検出信号の変動が除去される。それにより、フラグ76を検出すれば、確実なギャップポジションの判断を行うことができ、検出精度を向上させることができる。また、検出精度を向上させても、APG機構70におけるメカ的な剛性を高めたり、検出のためのフラグ検出センサ77の個数を増加させる等の必要がなくなる。そのため、検出精度を向上させながらも、コストが上昇するのを抑えることが可能となる。
また、切り替わり条件を満たした場合に、切り替わりの確認に対応する切替信号を出力する切替検出部86aと、フラグ検出センサ77からの検出信号を受信すると共に、切替検出部86aから送信される切替信号を受信するマスク処理部86bと、を備える。このため、マスク処理部86bにおいて、切替信号が受信されると、一定の時間長さだけマスク処理が実行され、検出信号の間の変動が除去される。そのため、カウンタ86cにおいて、誤認識が為されるのを確実に防止することができる。
さらに、フラグ検出センサ77は、H信号およびL信号を出力し、これらH信号およびL信号を切替検出部86aおよびマスク処理部86bで受信することにより、フラグ76の検出状態の把握/変動除去の処理が容易となる。また、タイマ86fが存在し、このタイマ86fから出力されるタイマ信号を切替検出部86a、マスク処理部86b等で受信すれば、これらの間で時間計測を行うことができる。すなわち、切替検出部86aでH信号/L信号が変動した時間長さ(本実施の形態では、タイマ信号で2周期分)を計測すれば、切り替わり条件を満たしたことを確認することができる。また、マスク処理部86bでは、タイマ信号の受信に基づいて、所定の時間長さだけマスク処理を行うことが可能となる。それによって、検出精度を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、切り替わり条件を満たさなかった場合に、マスク処理部86bは、検出信号の切り替わりが為される前の検出信号を出力する。そのため、検出信号に一時的な変動(本実施の形態では、タイマ信号で2周期に満たない変動)が生じた場合、かかる変動をノイズであるとして除去可能となる。それにより、かかる一時的な変動が出力されずに済み、カウンタ86cにおいて誤った検出信号を送信せずに済む。このため、カウンタ86cにおける検出精度を一層向上させることが可能となる。
さらに、カウンタ86cでは、検出信号の切り替わりの回数がカウントされ、そのカウント回数が目標カウント数に到達した場合には、カウンタ86cは、出力制御部86dに対して、PGモータ71の駆動停止に対応する制御信号をモータに向けて送信する。このため、フラグ76を適切な回数だけカウントした場合、適切な位置においてPGモータ71を駆動停止させることが可能となり、的確なPG調整を行うことが可能となる。
また、フラグ検出センサ77は、発光部77aと受光部77bを備え、さらに、フラグ板75は、複数のフラグ76を有している。このため、フラグ76が検出領域Pに位置する場合、発光部77aから照射される光を遮断し、受光部77bでは受光できない。それによって、フラグ76を検出することが可能となり、そのフラグ76に対応させている安定領域Sの位置を検出することが可能となる。すなわち、カム面73aにおける所定の安定領域Sが固定ピン74を押し付けている状態のときに、所定のフラグ76が検出領域Pに差し掛かるようにすれば、安定領域Sの位置検出を、発光部77aおよび受光部77bを用いて行うことが可能となる。
さらに、フラグ検出センサ77がフラグ76を検出している間は安定領域Sに対応すると共に、フラグ76を検出していない間は、遷移領域Tに対応している。しかも、フラグ76を検出している間、フラグ検出センサ77はH信号を送信すると共に、フラグ76を検出していない間、L信号を送信している。このため、PGカム73が、現在、安定領域Sにあるのか、遷移領域Tにあるのかを判断することが可能となる。
また、本実施の形態では、切り替わり条件は、複数のフラグ76のそれぞれに設けられていて、しかも、切り替わり条件は、PGモータ71の正転と逆転とで別途存在している。このため、それぞれのフラグ76/PGモータ71の回転方向に応じた、最適な切り替わり条件を設定することが可能となる。特に、PGモータ71の正転と逆転とでは、キャリッジ軸24を持ち上げるか、持ち下げるかにより、PGモータ71に作用する負荷が変化し、その駆動速度が変化する。このため、切り替わり条件を適切に設定することで、カウンタ86cにおけるH信号/L信号の誤検出を防止することが可能となる。
さらに、本実施の形態では、PGカム73が回転し、固定ピン74に対してカム面73aが摺動することにより、固定ピン74に対するキャリッジ軸24の高さ位置を変化させている。そのため、キャリッジ軸24に沿って移動する印刷ヘッド32の高さ位置を確実に変動させることができ、PG調整を良好に行うことが可能となる。さらに、PGカム73には、カム面73aまでの半径が変化しない安定領域Sと、該半径が変化する遷移領域Tと、を有している。このため、安定領域Sに固定ピン74が押し付けられる場合、PGカム73は回転することがなく、キャリッジ軸24の高さ位置を安定的に保持することが可能となり、プラテンギャップ(PG)を一定に維持可能となる。また、遷移領域Tに固定ピン74が押し付けられ、その状態でPGカム73が回転すると、キャリッジ軸24の高さ位置を変化させることが可能となり、PG調整を良好に行うことが可能となる。
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、モータをPGモータ71として説明している。しかしながら、モータは、PGモータ71には限られず、他のモータを利用しても良い。他のモータとしては、例えばPFモータ45が挙げられる。この場合、特に、PFモータ71の駆動力を、APG機構に分配する構成において、本発明を用いるようにしても良い。また、PFモータ45以外に、例えば、インクを吸引させるためのポンプモータに対して、同様の制御を行うようにしても良い。
また、上述の実施の形態における切替検出部86a、マスク処理部86b、カウンタ86c等は、所定の回路等のハードウエア的な構成、所定のプログラムを読み込むことにより構成されるソフトウエア的な構成のいずれであっても良い。
さらに、上述の実施の形態では、マスク情報テーブルは、それぞれのフラグ76ごとに切り替わり条件が設定されていて、しかもPGモータ71の正回転と逆回転とで、それぞれ別個の切り替わり条件が設定されている。しかしながら、切り替わり条件は、全て同じ条件に設定しても良い。
また、上述の実施の形態では、PWM制御により、PGモータ71を駆動制御する場合について説明している。しかしながら、PGモータ71の駆動制御は、必ずしもPWM制御を行う場合には限られない。例えば、PWM制御を行わずに、所定の値の電圧値を印加する場合、かかる電圧値を適宜調整することにより、PGモータ71を流れる電流値を調整するようにしても良い。また、PGモータ71に対して、電圧制御ではなく、電流制御を行う場合にも、本発明を適用することが可能である。
また、上述の実施の形態では、PGカム73と固定ピン74とにより、高さ位置調整手段を構成しているが、高さ位置調整手段は、これに限られるものではない。例えば、ネジ機構によってキャリッジ軸24等の高さ位置を調整する高さ位置調整手段としても良く、その他の機構を用いるようにしても良い。
さらに、上述の実施の形態では、検出手段は、フラグ板75と、フラグ検出センサ77とにより構成されている。しかしながら、検出手段はこれに限られるものではない。例えば、フラグ板75を用いる以外にも、例えば円盤を貫通するスリットを、所定のピッチで周方向に形成し、該スリットを介した光の受光/遮断により、安定領域Sへの到達を検出するようにしても良い。また、接触式のセンサを設けると共に、フラグ76への該センサの接触により、安定領域Sへの到達を検出するようにしても良い。
本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。 プリンタの構成を示す概略図である。 プリンタの紙送りに関する部分の一側断面図である。 APG機構の一部を示す斜視図である。 APG機構の一部を示す側面図である。 APG機構のギヤ輪列、PGカム、フラグ板の配置を示す斜視図である。 PGカムの形状を示す平面図である。 フラグ板の形状およびフラグ検出センサの配置を示す斜視図である。 フラグ検出センサによる検出信号を示す図である。 H信号の境界付近とタイマ信号との対応関係の拡大図である。 プリンタの各種制御を行う制御部のブロック図である。 DCユニットの概略構成を示すブロック図である。 マスク処理における制御の様子を示すフローチャートである。
符号の説明
10…プリンタ、12…印刷対象物、20…キャリッジ機構、30…キャリッジ、32…印刷ヘッド、40…用紙搬送機構、45…PFモータ、50…PFローラ対、70…APG機構、71…PGモータ(モータに対応)、72…ギヤ輪列、73…PGカム(高さ位置調整手段の一部に対応)、74…固定ピン(高さ位置調整手段の一部に対応)、75…フラグ板(検出手段の一部に対応)、76…フラグ(検出子に対応)、77…フラグ検出センサ(検出手段の一部に対応)、80…制御部、82…ROM、83…RAM、86…DCユニット、86a…切替検出部(変動除去手段の一部)、86b…マスク処理部(変動除去手段の一部)、86c…カウンタ(信号受信手段に対応)、86d…出力制御部(モータ出力制御手段に対応)、86e…PWM信号生成部、86f…タイマ(変動除去手段の一部、タイマ手段に対応)、87…PGモータドライバ、89…ヘッドドライバ、91…不揮発性メモリ

Claims (12)

  1. 印刷対象物にインクを吐出する印刷ヘッドと、印刷対象物が送られる紙送り面との間の間隔を調整するギャップ調整機構において、
    制御情報に基づいて制御駆動されるモータと、
    上記モータで発生した駆動力を利用して、上記印刷ヘッドの上記紙送り面に対する高さ位置を調整する高さ位置調整手段と、
    上記モータに向けて、制御情報を送信するモータ出力制御手段と、
    上記高さ位置調整手段の高さ位置と連動する複数の検出子を具備し、上記モータ出力制御手段からの上記制御情報に基づいて上記モータを制御駆動させて上記検出子を検出することで、上記高さ位置調整手段での上記印刷ヘッドの上記紙送り面に対する高さ位置調整が為されたか否かを検出する検出手段と、
    上記検出子の検出に応じて上記検出手段から上記モータ出力制御手段に向かって送信される検出信号の上記印刷ヘッドの高さ位置調整に応じた切り替わりを確認し、その確認の後に、該検出信号に生じる変動を除去するための処理を行う変動除去手段と、
    上記変動除去手段で上記検出信号の変動除去の処理が為された上記検出信号を受信する信号受信手段と、
    を具備することを特徴とするギャップ調整機構。
  2. 前記変動除去手段は、
    前記検出手段からの前記検出信号を受信すると共に、前記検出信号の切り替わりが為されたと判断される場合の切り替わり条件を満たした場合に、前記切り替わりの確認に対応する切替信号を出力する切替検出部と、
    前記検出手段からの前記検出信号を受信すると共に、上記切替検出部から出力される上記切替信号も受信可能であり、上記切替信号を受信した際に、前記検出信号に対して、該切り替わりの確認の際に前記検出手段が出力していた前記検出信号と同様の検出信号を、前記検出信号の変動に係らず一定の時間長さだけ前記信号受信手段に向けて出力するマスク処理部と、
    を具備することを特徴とする請求項1記載のギャップ調整機構。
  3. 前記検出手段は、
    前記検出子を検出している間、前記検出信号の一部分に対応する第1のレベルの信号を前記切替検出部と前記マスク処理部とに向けて出力すると共に、
    前記検出子を検出していない間、該第1のレベルの信号とは異なると共に前記検出信号の一部分に対応する第2のレベルの信号を前記切替検出部と前記マスク処理部とに向けて出力する、
    ことを特徴とする請求項2記載のギャップ処理機構。
  4. 前記変動除去手段は、さらに時間計測のためのタイマ信号を出力するタイマ手段を具備すると共に、
    前記切替検出部および前記マスク処理部は、共に上記タイマ信号を受信し、
    さらに、前記切り替わり条件は、前記切替検出部が上記タイマ信号を受信することにより計測される所定の時間長さの間において、前記第1のレベルの信号と前記第2のレベルの信号との間の切り替え状態が継続するものである、
    ことを特徴とする請求項3記載のギャップ調整機構。
  5. 前記切替部が前記タイマ信号を受信することにより計測される所定の時間長さの間において、前記第1のレベルの信号と前記第2のレベルの信号との間の切り替え状態が継続しなかった場合、前記マスク処理部は、前記第1のレベルの信号または前記第2のレベルの信号のいずれかであって前記切り替わり前の前記検出信号を前記信号受信手段に向けて出力する、
    ことを特徴とする請求項4記載のギャップ調整機構。
  6. 前記信号受信手段は、前記検出信号の切り替わりの回数をカウントすると共に、この信号受信手段は、カウント数の目標となる目標カウント数との比較を行い、
    該カウント数が目標カウント数に到達した場合には、前記信号受信手段は、前記モータ出力制御手段に対してカウント信号を送信し、
    該モータ出力制御手段は、上記カウント信号を受信した場合に、前記モータの駆動停止に対応する前記制御情報を前記モータに向けて送信する、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のギャップ調整機構。
  7. 前記検出手段は、
    発光部およびこの発光部で生じた光を受光すると共に該発光部と対向する受光部とを具備し、これらの対向部分が検出領域となるフラグ検出センサを具備すると共に、
    前記検出子は、基準部位から外方に向かって突出し、前記安定領域に対応しかつ光の通過を遮断すると共に、それぞれの上記検出子が上記検出領域を通過可能に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のギャップ調整機構。
  8. 前記切り替わり条件は、複数の前記検出子のそれぞれに存在すると共に、該切り替わり条件は、前記モータの正転と逆転とで別途存在することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のギャップ調整機構。
  9. 前記高さ位置調整手段は、
    高さ位置が固定的に設けられている固定ピンと、
    前記印刷ヘッドを有するキャリッジが摺動するキャリッジ軸に取り付けられていると共に、円周方向に沿って半径が変化するカム面を有し、回転によって該カム面が上記固定ピンに対して摺動することにより、上記固定ピンに対する上記キャリッジ軸および前記印刷ヘッドの高さ位置を調整可能なPGカムと、
    を具備することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のギャップ調整機構。
  10. 前記PGカムには、
    円周方向に沿って移動しても前記カム面の半径が変化しない領域である複数の安定領域と、
    隣り合う前記安定領域の間に位置すると共に、円周方向に沿って移動した場合に、前記カム面の半径が変化する遷移領域と、
    を具備することを特徴とする請求項9記載のギャップ調整機構。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のギャップ調整機構を備えることを特徴とするプリンタ。
  12. モータで発生させる駆動力を、印刷対象物が送られる紙送り面とインク滴を吐出する印刷ヘッドとの間の高さ位置調整を行うための高さ位置調整手段に付与し、これらの間の間隔を調整するギャップ調整方法において、
    モータ出力制御手段からの制御情報に基づいて上記モータを駆動させ、上記高さ位置調整手段での上記印刷ヘッドの上記高さ位置調整を行う駆動工程と、
    上記高さ位置調整手段の高さ位置と連動する複数の検出子の有無の検出に対応して切り替わる検出信号を検出手段から変動除去手段に向けて送信する検出信号送信工程と、
    上記検出信号送信工程で送信された上記検出信号が、上記検出子の有無に応じて切り替わったか否かを検出する切替検出工程と、
    上記切替検出工程において、上記検出信号の切り替わりが検出された場合に、該切り替わり後に該検出信号に生じる変動を除去するための処理を行う変動除去工程と、
    上記変動除去工程で上記検出信号の変動除去の処理が為された上記検出信号を受信すると共に、該変動除去後の上記検出信号の切り替わりの回数をカウントするカウント工程と、
    上記カウント工程において、上記検出信号の切り替わりが目標とするカウント数に達した場合に、上記モータ出力制御手段に対して、上記モータの駆動停止に対応する制御情報を送信し、該モータを停止させる駆動停止工程と、
    を具備することを特徴とするギャップ調整機構。
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