JP2006247997A - プリンタおよび駆動制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 モータにおけるコギングの影響を排除し、速度変動を抑え、もって印刷品質を高くすることのできるプリンタおよび駆動制御方法を提供すること。
【解決手段】 印刷対象物12に対して印刷を実行するプリンタ10において、インク滴を印刷対象物12に向けて吐出させる印刷ヘッド32と、ブラシ25gおよびコミュテータ25eを具備するモータ25と、モータ25に対して、制御指令に基づくモータ駆動情報を与えるモータ制御手段76と、モータ25におけるコギングの影響を計測する計測手段36,37と、を具備する。ここで、モータ制御手段76は、計測手段36,37での計測結果に基づいて、モータ25に生じるコギングを打ち消すための補正情報を算出して、この補正情報でモータ駆動情報を補正している。
【選択図】 図11

Description

本発明は、プリンタおよび駆動制御方法に関する。
インクジェット方式のプリンタにおいては、近年、印刷画質の高画質化が進展している。かかるプリンタでは、印刷対象物を送り込んで、印刷を実行する際に、キャリッジをキャリッジモータ(以下、CRモータとする。)で駆動させる。この駆動と共に、キャリッジの移動中に印刷ヘッドを駆動させ、印刷対象物の所望の位置にインク滴を吐出している。
かかるキャリッジを駆動するCRモータとしては、コストおよび制御等の行い易さ等の関係から、コミュテータとブラシとを具備するDCモータを用いることが多い。このDCモータは、PID制御により駆動制御され、目標速度に近づける制御を可能としている。なお、CRモータ以外に、紙送りを行う紙送り用モータ(PFモータ)、キャリッジのプラテン等に対する高さ調整を行うためのギャップ調整用モータ等についても、DCモータが用いられることが多い。
ところで、上述のDCモータにおいては、ロータおよびステータ間における磁力の強弱、およびブラシとコミュテータとの間の跨ぎによって、いわゆるコギングが生じる。このため、電流値にも、そのコギングに対応して、リップル(電流リップル)が生じてしまう。ここで、印刷品質に高精細さを求めない場合、コギングの影響を無視しても問題は少ない。しかしながら、印刷品質につき、一層の高精細さを追求する場合、このコギングの影響は無視できない。
かかるコギングによる速度変動が、キャリッジを駆動するキャリッジモータ(CRモータ)で生じると、印刷ムラの原因となるため、好ましくない。ここで、CRモータのコギングによる影響を除去し、キャリッジの速度変動を抑えるための技術としては、特許文献1および特許文献2に開示されているものがある。これらのうち、特許文献1によれば、キャリッジの一走査の速度変動を検知し、この検知によって得られた実際の速度変動とコギング周期等の初期テーブルを参照し、これらの比較演算を行うことで、キャリッジ速度の適正な補正値を決定している。また、特許文献2によれば、最新の検出速度と、それよりも所定の周期前に検出された検出速度を用いて平均速度を算出し、かかる平均速度と目標速度との間の速度偏差に基づいて、モータの速度を制御している。
特開平9−240098号公報(段落番号0028、0031〜0034等参照) 特開2001−103778号公報(段落番号0061,0062他、図2、図3)
上述の特許文献1の技術内容では、コギングによるキャリッジの速度変動を、抑制可能としている。しかしながら、上述の特許文献1においては、速度変動を抑えるための補正量を、どのように付加させるのか、ということについては、何等開示されていない。すなわち、特許文献1においては、補正量を一義的に決定している。そのため、例えばCRモータに、個体ごとの特性のバラつきが生じている場合、一義的な補正量の決定では、印刷品質を一層向上させることが困難となる。
また、特許文献1の技術内容では、コギング周期等の変動と、キャリッジ速度の変動とを比較演算して、補正量を算出している。しかしながら、コギング周期とキャリッジ速度の変動とを比較演算するとしても、その比較演算を具体的にどのようにして行うのかが不明確では、キャリッジ速度を一定に制御するのが困難である。さらに、特許文献1では、コギング周期内の個々のリップルに対応させて、補正量を変動させることが困難である。そのため、特許文献1の技術内容では、印刷品質の向上に一定の限度があり、さらなる印刷品質の向上を図る場合、CRモータのコギングの影響を、一層確実に防止する必要がある。
また、特許文献2の技術内容では、キャリッジモータにおいてコギングの影響が大きく、トルクリップルが大きい場合には、速度変動を完全に抑えるのが難しい。この場合、トルクリップルの小さなキャリッジモータを用いることも考えられるが、その分だけコストがかかるため、好ましくない。さらに、例えば磁性の強いパーマロイ等を金属輪に用いてキャリッジモータから出力されるトルクを大きくしよう、としても、特許文献2の技術内容では、トルクリップルを小さくする必要性から、パーマロイ等を使用することが困難である。そのため、現状では、キャリッジモータに作用するメカ的な負荷を下げるように、各種の駆動部位を管理している。しかしながら、管理項目が増え、製造コストが増える、という問題を有している。
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、モータにおけるコギングの影響を低コストにて排除し、速度変動を抑え、もって印刷品質を高くすることのできるプリンタおよび駆動制御方法を提供しよう、とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、印刷対象物に対して印刷を実行するプリンタにおいて、インク滴を印刷対象物に向けて吐出させる印刷ヘッドと、ブラシおよびコミュテータを具備するモータと、モータに対して、制御指令に基づくモータ駆動情報を与えるモータ制御手段と、モータにおけるコギングの影響を計測する計測手段と、を具備し、モータ制御手段は、計測手段での計測結果に基づいて、モータに生じるコギングを打ち消すための補正情報を算出して、この補正情報でモータ駆動情報を補正するものである。
このように構成した場合には、制御指令に基づくモータ制御情報により、モータを駆動させた場合、計測手段によってモータにおけるコギングの影響が計測される。そして、この計測手段による計測結果に基づいて、モータ制御手段では、コギングを打ち消すための補正情報を算出する。そして、算出した補正情報に基づいて、モータ駆動情報に対して補正を行う。かかる補正により、モータにおけるコギングの影響が解消され、モータの回転がスムーズになり、モータに速度変動が生じるのを防ぐことができる。それにより、モータがプリンタの印刷に係る部位を駆動する場合、該プリンタにおける印刷品質を向上させることが可能となる。
また、上述のようにコギングの影響を解消することができるため、該コギングによって引き起こされる、トルクリップルの小さいモータを使用せずに済む。それにより、トルクリップルの影響が比較的大きな、安価なモータを用いることが可能となり、プリンタの製造コストを低減させることが可能となる。また、トルクリップルが大きくても良いため、トルクマージンを稼ぐためのパーマロイ等を、モータに用いることが可能となる。また、モータに作用するメカ的な負荷の管理からも開放されるため、その管理に要していた分だけ製造コストを削減することが可能となる。
また、他の発明は,上述の発明に加えて更に、モータは、印刷ヘッドを搭載するキャリッジを移動させるキャリッジモータとしたものである。このように構成した場合には、キャリッジモータにおいて、上述のようにコギングの影響が防止可能となる。そのため、プリンタの主走査方向にキャリッジを移動させても、該キャリッジに速度変動が生じるのを防止することが可能となる。また、コギングの影響による速度変動を防止することが可能となるので、均一な速度でキャリッジを走査させながら、印刷対象物にインク滴を滴下させることができる。このため、速度変動に伴なう、印刷ムラが生じるのを防止でき、印刷品質の向上を図ることが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、コギングの影響は、モータにより駆動されるキャリッジの速度変動によって計測されると共に、計測手段は、それぞれの時間におけるキャリッジの位置の計測を行うエンコーダを具備するものである。
このように構成した場合には、コギングの影響は、モータにより駆動されるキャリッジの速度変動を、エンコーダを用いることにより、間接的に計測される。すなわち、コギングの影響は、電流の計測により、より直接的に知ることができる。しかしながら、電流を直接的に計測する場合、電流計測のための測定機器を設置する必要があるため、コストが余分に掛かる。そこで、現状のプリンタが具備するエンコーダを利用すると共に、このエンコーダによってキャリッジの速度変動を間接的に計測することにより、モータに生じているコギングの影響を、概略的に判断することが可能となる。そのため、プリンタに専用の測定機器を設ける必要がなく、その分だけコストを低減することが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、補正情報は、コギングの影響によって生じる電流の変動を打ち消すためにモータに印加する電圧値を変更する補正電圧値であると共に、モータ制御手段は、エンコーダでの位置計測に基づいてキャリッジをその平均速度が目標速度となる状態で駆動させ、この目標速度での駆動においてモータに印加される平均の電圧値を計測し、該平均の電圧値の計測値に基づいて、モータに作用している負荷を算出し、この負荷の算出に基づいて補正電圧値を算出するものである。
このように構成した場合には、モータに印加する電圧値を変更する補正電圧値を、モータに与えられるモータ駆動情報に反映させることにより、コギングに伴なってモータに生じている、電流の変動(電流リップル)を打ち消すことが可能となる。また、エンコーダでの位置計測に基づいて、キャリッジの平均速度を目標速度となるように駆動させ、この目標速度で駆動する場合のモータの平均電圧を計測することにより、モータに作用している負荷が算出される。この負荷の算出に基づけば、モータの種類および特性等を勘案して、概略の補正電圧値を算出することができる。
このように、エンコーダを用いてそれぞれの時間におけるキャリッジの位置を計測すれば、概略の補正電圧値を算出することができる。そして、かかる補正電圧値をモータ駆動情報に反映させれば、コギングの影響によるトルクリップルを抑えることが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、モータは、PWM制御により制御駆動されると共に、補正電圧値は、このPWM制御においてDuty比を変更する値であることとしたものである。
このように構成した場合には、パルス電圧のDuty比を調整するPWM制御により、モータの電圧制御を簡単かつ正確に行うことが可能となる。また、PWM制御を行うことにより、電力の効率を高めることが可能となる。
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、モータ制御手段は、エンコーダで計測されるキャリッジの速度ピークに達する時間よりも所定の時間だけ前の先行予測時間を算出し、この先行予測時間を基準としてモータ駆動情報を補正情報で補正するものである。
このように、キャリッジの速度ピークに達する時間よりも所定だけ前の先行予測時間を算出し、この先行予測時間を基準として、モータ駆動情報を補正情報で補正している。このため、モータに生じるコギングの影響を、良好に打ち消すことが可能となる。すなわち、モータのコギングによって電流の変動(電流リップル)が生じる場合、その電流リップルよりも遅れて、キャリッジの速度が変動する。このため、キャリッジの速度変動よりも前の電流リップルが生じている部位(先行予測時間を基準とする部位)に対応するモータ駆動情報を、補正情報で補正すれば、電流リップルを抑える等のコギングによる影響を抑制することが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、先行予測時間は、エンコーダでのキャリッジの位置の計測において、該キャリッジの速度変化がピークとなる時間を基準とするものである。
このように構成した場合には、キャリッジの速度変化がピークとなる時間は、最も多くの電流がモータに印加され、モータの加速度が最大となる部位に相当する、と推定される。そのため、かかるキャリッジの速度変化がピークとなる時間(先行予測時間)を基準として、その部位に補正情報のピークが重なるようにすれば、モータの電流の変動(電流リップル)を一層良好に抑制することが可能となる。
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、モータ制御手段は、エンコーダでの計測に基づいてキャリッジの速度を計測した後に、再びエンコーダでの計測に基づいてキャリッジの最新の速度を計測し、この最新の速度と、それよりも前のキャリッジの速度とを比較し、この比較の結果得られるキャリッジの速度の変動量に基づいて、先行予測時間の補正を行うものである。
このように構成した場合には、エンコーダを用いて、キャリッジの最新の速度と、それよりも前のキャリッジの速度とを比較することで、モータの速度変動量(加速度)を精度良く算出することが可能となる。そして、かかる速度変動量を用いて、補正情報によりモータ駆動情報を補正してもなお、一定のしきい値以上の速度変動が生じている場合には、先行予測時間を補正する。このようにすれば、先行予測時間を、適切な時間に印加するように補正することができ、電流リップルを一層良好に打ち消すことが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、モータ制御手段は、エンコーダでの計測に基づいてキャリッジの速度を算出し、算出された速度が適正速度範囲内にない場合に、補正電圧値を補正するものである。
このように構成した場合には、算出されたキャリッジの速度が適正速度範囲内にない場合、モータ駆動情報に対して、補正電圧値が反映される。このように、補正電圧値の反映により、キャリッジの速度を適正な範囲に制御することが可能となる。
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、モータ制御手段は、先行予測時間の補正回数、補正電圧値の補正回数または先行予測時間の補正回数と補正電圧値の補正回数の合計回数が一定回数に達した場合に、モータに対する最新の先行予測時間または補正電圧値の算出を行わないものである。
このように構成した場合には、先行予測時間の補正回数、補正電圧値の補正回数、およびこれらの回数の合計回数は、一定回数までしか行われず、その一定回数で打ち切られる。そのため、モータ駆動情報を補正する補正情報が無限にモータに与えられる、いわゆる無限ループに陥るのを防止することができ、プリンタがいつまでたっても動き出さない、といった不具合が生じるのを防止することが可能となる。
さらに、他の発明は、ブラシおよびコミュテータを具備するモータをモータ駆動情報に基づいて駆動させながら、印刷対象物に対する印刷を実行する際の駆動制御方法において、制御指令に基づくモータ駆動情報により、モータの初期駆動動作を行う初期駆動工程と、初期駆動工程においてモータに生じるコギングの影響を計測する計測工程と、計測工程での計測結果に基づいて、モータに生じるコギングを打ち消すための補正情報を算出する補正情報算出工程と、補正情報算出工程で算出された補正情報により、モータ駆動情報を補正するモータ駆動情報補正工程と、を具備するものである。
このように構成した場合には、初期駆動工程においてモータの初期駆動がなされ、計測工程では初期駆動工程においてモータに生じるコギングの影響が計測される。また、補正情報算出工程では、モータに生じるコギングを打ち消すための補正情報が算出される。さらに、補正工程では、補正情報算出工程で算出された補正情報により、モータ駆動情報を補正し、かかる補正の後、モータを補正後のモータ駆動情報で駆動させる。
そのため、モータにおけるコギングの影響が解消され、モータの回転がスムーズになり、モータに速度変動が生じるのを防ぐことができる。それにより、モータがプリンタの印刷に係る部位を駆動する場合、該プリンタにおける印刷品質を向上させることが可能となる。また、上述のようにコギングの影響を解消することができるため、該コギングによって引き起こされる、トルクリップルの小さいモータを使用せずに済む。それにより、トルクリップルの影響が比較的大きな、安価なモータを用いることが可能となり、プリンタの製造コストを低減させることが可能となる。また、トルクリップルが大きくても良いため、トルクマージンを稼ぐためのパーマロイ等を、モータに用いることが可能となる。また、モータに作用するメカ的な負荷の管理からも開放されるため、その管理に要していた分だけ製造コストを削減することが可能となる。
以下、本発明のプリンタの一実施の形態について、図1から図18に基づいて説明する。なお、本実施の形態のプリンタ10は、インクジェット式のプリンタであるが、かかるインクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも良い。
なお、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される設置面1側を指し、上方側とは、設置面1から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ30が移動する方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であって印刷対象物12が搬送される方向を副走査方向とする。また、印刷対象物12が供給される側を給紙側(後端側)、印刷対象物12が排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
プリンタ10は、設置面1に接触するシャーシ11を具備し、このシャーシ11には、各種ユニットが搭載される。各種ユニットには、キャリッジモータ(CRモータ25)によってキャリッジ30を主走査方向に往復動させるキャリッジ機構20、PFモータ45(モータおよび紙送りモータに対応)によって印刷対象物12を搬送する用紙搬送機構40等があり、その他、図2および図10等に示す制御部70が存在する。
ここで、キャリッジ機構20について説明する。キャリッジ機構20は、図1および図2に示すように、キャリッジ30を具備している。また、キャリッジ機構20は、支持フレーム21と、この支持フレーム21によって支持されると共に、キャリッジ30を摺動可能に保持するキャリッジ軸24と、後述する遮蔽プレート部22の背面側に配設されているキャリッジモータ(CRモータ25)と、このCRモータ25に取り付けられている歯車プーリ26と、無端のベルト27と、歯車プーリ26との間にこの無端のベルト27を張設する従動プーリ28と、符号板36と、リニア式エンコーダ37と、を備えている。
図1に示すように、支持フレーム21は、遮蔽プレート部22と、遮蔽プレート部22の両端側において、排紙側に向かい折曲された側方プレート部23と、から構成されている。一対の側方プレート部23には、シャーシ11の長手に沿うように、キャリッジ30のスライドをガイドするキャリッジ軸24が支持されている。また、遮蔽プレート部22の背面側には、歯車プーリ26を駆動させるCRモータ25が設けられている。
このCRモータ25は、PWM制御が可能なDCモータであり、パルス電圧の幅(Duty比)を調整することにより、DCモータに印加される平均電圧を調整して、DCモータの駆動制御を行うことが可能となっている。かかるPWM制御においては、全てのパルス幅が均一な等幅パルスを用いる方式、およびパルス幅が変化する不等幅パルスを用いる方式があるが、いずれのパルス信号を用いても良い。また、電圧パルスのDuty比と電圧パルスの周期を種々調整する組み合わせにより、どのようなパルス信号を用いても良い。なお、後述するPFモータ45も、同様にPWM制御可能なDCモータとなっている。
ここで、CRモータ25の概略構成を、図3に示す。この図に示すように、CRモータ25は、ロータ25aと、ステータ25bを具備(図3においては、ハッチングを付した側が、ステータ25b側)し、ロータ25aには、磁界を発生させるためのコイル25dが多数巻回されている。また、ロータ25aには、コミュテータ25eが取り付けられており、そのため、コミュテータ25eは、ロータ25aと共に回転する。コミュテータ25eは、回転軸25fから所定の径だけ離間すると共に、互いに所定のギャップを有する状態で、周方向に複数個(奇数個;本実施の形態では5つ)配置されている。
さらに、ブラシ25gは、CRモータ25のうち、回転軸25fが外部に突出する側とは、反対側に配置される底部カバー(不図示)に、固定的に取り付けられている。ブラシ25gは、プラス側とマイナス側との、2つ存在しており、上述の回転軸25fを挟んで、互いに径方向において対称となる位置に設けられている。また、ステータ25bは、永久磁石25hが筒状の外部ケース25iに取り付けられることにより、構成されている。
以上のような構成のCRモータ25では、一方および他方のブラシ25gが、それぞれ1つのコミュテータ25eのみに接触する場合(跨ぎなし状態)が生じると共に、一方のブラシ25gまたは他方のブラシ25gのみが、隣接する2つのコミュテータ25eの境界に位置し、該2つのコミュテータ25eに同時に接触する場合(跨ぎ状態)の、両方が生じる。ここで、それぞれのコイル25dにおける内部抵抗とみなすと、模式的に図4および図5に示す状態となる。
なお、図4および図5においては、説明上、ブラシ25gをコミュテータ25eの外側に配置している。これら図4(b)および図5(b)に示すように、隣接するコミュテータ25eを結ぶコイル25dの内部抵抗をR1 とすると、図4に示す跨ぎなし状態においては、全体の内部抵抗Rは、Ra=R1 ×6/5となる。一方、図5に示す跨ぎ状態においては、Rb=R1 となる。それにより、跨ぎ状態においては、内部抵抗の全体の抵抗値が小さくなる。
そのため、後述する初期駆動測定時に検出される電流と時間の関係を示すグラフは、図6に示すようになり、ブラシ25gが跨ぎ状態にある場合、内部抵抗の減少分だけ、電流値が上昇している(以下、ブラシ25gが跨ぎ状態の部分で生じる電流値の上昇を、電流リップルとする。)。このとき、電流値の上昇に伴って、CRモータ25で発生する駆動トルクも上昇し(以下、電流リップルに対応したCRモータ25の駆動トルクの上昇を、トルクリップルとする。)、その結果、キャリッジ30の移動速度が電流リップルに対応する分だけ上昇する(以下、電流リップルに対応したキャリッジ30の速度の上昇を、速度リップルとする。)。なお、速度リップルにおいては、キャリッジ30他の慣性(イナーシャ)等の影響により、電流リップルよりも数ステップだけ時間的に遅れた状態で、速度ピークが生じる。
図7等に示すように、プラテン56に対向して、キャリッジ30が設けられている。キャリッジ30には、図1に示すように、K(ブラック)、LM(ライトマゼンタ)、LC(ライトシアン)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各インクをそれぞれ収納している、例えば6つのカートリッジ31が、着脱可能に搭載される。なお、搭載されるカートリッジ31は、6色に限られるものではなく、4色、7色および8色等、何色分であっても良い。また、カートリッジ31に充填されるインクは、染料系インクには限られず、顔料系インク等、他の種類のインクを搭載しても良い。
図7等に示すように、キャリッジ30の下部には、印刷ヘッド32が設けられている。印刷ヘッド32には、不図示のノズルが印刷対象物12の搬送方向に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列を形成している。なお、本実施の形態では、ノズル列は、例えば180個のノズルから構成されており、このうち、180番目のノズルが給紙側、1番目のノズルが排紙側に位置している。
また、キャリッジ30の下部に設けられ、各インクに対応づけられたノズル列には、ノズル毎に、電歪素子の1つであって応答性に優れたピエゾ素子(不図示)が配置されている。ピエゾ素子は、インク通路を形成する壁面に接する位置に設置されていて、このピエゾ素子の作動によって当該壁面が押されて、インク通路の端部にあるノズルからインク滴を吐出することが可能となっている。
なお、印刷ヘッド32は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、その他の方式を用いても良い。その他の方式としては、例えば、インクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、静電気力を利用した静電方式、ミストを電界で制御するミスト方式等が、主な方式として挙げられる。
また、図2等に示すように、キャリッジ機構20には、符号板36と、リニア式エンコーダ37とが設けられている。符号板36は、遮蔽プレート部22のキャリッジ30に対向する面側に取り付けられている。この符号板36には、所定の間隔毎にスリットが形成されている。なお、所定の間隔としては、例えば1/180インチごとにスリットを設けるようにした構成がある。しかしながら、スリットの間隔はこれには限られず、種々変更可能である。また、符号板36およびリニア式エンコーダ37は、計測手段の一部として機能する。また、リニア式エンコーダ37は、エンコーダに対応する。
また、キャリッジ30のうち、符号板36と対向する背面側には、リニア式エンコーダ37が取り付けられている。図8に示すように、リニア式エンコーダ37は、発光ダイオード37aと、コリメータレンズ37bと、検出処理部37cと、を具備している。このうち、検出処理部37cは、複数(例えば4つ)のフォトダイオード37dを具備していて、さらに、信号処理回路37eと、2つのコンパレータ37f,37gとを具備している。
ここで、発光ダイオード37aの両端に抵抗を介して、所定の電圧Vccが印加されると、発光ダイオード37aより光が発せられる。この光は、コリメータレンズ37bに入射され、このコリメータレンズ37bから出射される光は、平行光に整形される。そして、この平行光が符号板36を通過するが、この通過に際して、上述のスリットを通過する。このスリット通過後、平行光は、4つのフォトダイオード37dに入射され、電気信号に変換される。
そして、4つのフォトダイオード37dから出力される電気信号が、それぞれ信号処理回路37eにおいて処理され、コンパレータ37f,37gに信号を出力する。コンパレータ37f,37gでは、それらの信号を比較し、比較した結果をパルス(パルスENC−A,パルスENC−B)として比較する。ここで、出力されるパルスENC−A,パルスENC−Bは、互いに位相が90度だけ異なっている。そのため、CRモータ25が正転状態にあるとき(キャリッジ30がホームポジションから離れる向きに移動しているとき)、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が進行する。また、CRモータ25が逆転状態にあるとき、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れる。
なお、パルスENC−A,パルスENC−Bの1周期Tは、符号板36のスリット間隔に対応しており、キャリッジ30が各スリットを移動する時間に等しくなっている。
また、用紙搬送機構40の詳細について、図7に基づいて説明する。図7に示す用紙搬送機構40は、給紙ローラ41と、ホッパ42と、分離パッド43とを備えている。
図1および図2に示すPFモータ45によって回動駆動される給紙ローラ41は、ローラ本体41aと、該ローラ本体41aの外周部に巻回されるゴム材41bとを有している。また、この給紙ローラ41の側面視は、略D形を為している。この給紙ローラ41のうち、ゴム材41bの円弧部分によって、印刷対象物12のうち、厚みが比較的薄い用紙を送り込むと共に、ゴム材41bの平坦部分によって用紙を通過させて、排紙側の排紙ローラ対60による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
ホッパ42は、その上面に用紙を載置可能な板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられている。また、ホッパ42は、上部に設けられた回動軸42aを中心に揺動可能に設けられている。そして、図示しないカム機構での揺動によって、下端部が給紙ローラ41に対して弾性的に圧接するか、または離間する。したがって、ホッパ42が給紙ローラ41に対して圧接方向に揺動すると、ホッパ42上に堆積された用紙の束は給紙ローラ41に圧接する。かかる圧接状態で給紙ローラ41が回動すると、堆積された用紙の最上位のものが排紙側へと送られる。
分離パッド43は、摩擦係数の高い部材からなり、給紙ローラ41と対向する位置に設けられている。給紙ローラ41が回動すると、ゴム材41bの円弧部分と分離パッド43とが圧接する。給紙ローラ41の回動により送られた最上位の用紙は、この圧接部分を通過して排紙側へと進むが、最上位の用紙に伴なって排紙側へと進もうとする次位以降の用紙は、かかる圧接部分の存在により、排紙側への進行が阻止される。それによって、用紙の重送が防止される。
なお、用紙搬送機構40は、分離パッド43を備える方式以外に、リタードローラを具備する方式を採用しても良い。リタードローラを具備する場合、給紙ローラ41とリタードローラの間における回転/停止により、印刷対象物12の先端めくれが生じない状態で、該印刷対象物12を送り込むことが可能となる。
また、用紙搬送機構40の排紙側には、板状体からなる紙案内44が略水平に設けられている。給紙ローラ41によって送り込まれた用紙の先端は、紙案内44に斜めに当接し、滑らかに排紙側に案内される。また、紙案内44よりも排紙側には、PF駆動ローラ51と、PF従動ローラ52とからなる、PFローラ対50が設けられている。ここで、PF従動ローラ52は、後述するバネ54の付勢力(弾性力)の作用によって、常時PF駆動ローラ51に向かう付勢力を受けている。
そのため、ホッパ42側、または後述する開口部57を通過して搬送されてくる印刷対象物12は、PF駆動ローラ51とPF従動ローラ52との間で、当該印刷対象物12に対して所定の付勢力を与えながら挟持(ニップ)する。また、PF駆動ローラ51は、図1および図2に示すPFモータ45からの駆動力が伝達されて、回転する。そのため、PFモータ45が一定ピッチで1ステップ分だけ作動すると、PFローラ対50で挟持されている印刷対象物12は、当該1ステップ分だけ排紙側に搬送される。
また、PF従動ローラ52は、従動ローラホルダ53の排紙側に軸支されている。従動ローラホルダ53は、回動軸53aを中心に回動可能に設けられている。また、従動ローラホルダ53は、弾性部材としてのバネ54によって、PF従動ローラ52が常にPF駆動ローラ51に圧接する方向(図7の反時計方向)に回動付勢されている。なお、バネ54は、ねじりコイルバネであり、回動軸53aに挿通されている。
一方、PF従動ローラ52は、PF駆動ローラ51と接触する表面は、上述のグリップ体51bよりも低摩擦の部材(図示せず)から成り、この低摩擦の部材は、金属等を材質とする軸体51aの外周面を覆うように設けられている。
また、0桁側(図7の紙面表側;その反対の図7の裏面側は、80桁側)に位置する従動ローラホルダ53近傍には、印刷対象物12の通過を検出する、紙検出器55が設けられている。紙検出器55は、センサ本体部55bと検出レバー55aとを具備している。このうち、検出レバー55aは、その側面形状が略「く」の字形状となっていて、その中央付近の回動軸55cを中心に、回動可能に設けられている。また、センサ本体部55bは、検出レバー55aの上方に位置していて、発光部(図示せず)および該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備えている。そして、検出レバー55aの回動軸55cから上側が、その回動動作により、発光部から受光部に向かう光の遮断および通過を行うように構成されている。
したがって、図7に示すように、印刷対象物12の通過に伴って、検出レバー55aが上方に押し上げられるように回動すると、検出レバー55aの上側がセンサ本体部55bから外れる。これによって、受光部が受光状態となって、印刷対象物12の先端の通過を検出する。また、印刷対象物12の後端が、検出レバー55aを通過すると、検出レバー55aが下方に戻る方向に回動する。それにより、受光部が非受光状態に切り替えられ、印刷対象物12の後端の通過を検出する。
また、PF駆動ローラ51の排紙側には、プラテン56および上述の印刷ヘッド32が上下に対向する様に配設されている。プラテン56は、ガイド部材に対応し、排紙ローラ対60によって印刷ヘッド32の下へ搬送されてくる印刷対象物12を、下方側から支持する。
ここで、プラテン56の側断面図を、図9に示す。図9に示すように、プラテン56には、該プラテン56の基準平面56aから上方に向かい、リブ57a,57b,57c(摺動部に対応)が突出している。これらリブ57a,57b,57cは、副走査方向に連なって設けられており、印刷対象物12を良好に搬送可能としている。
また、リブ57aは、主走査方向において、他のリブ57aと一定間隔を有した状態で、間欠的に設けられており、隣り合うリブ57a,57aの間には、上述の基準平面56aが存在している。しかしながら、プラテン56は、規定の印刷対象物12に対して、縁まで印刷する、縁無し印刷に対応させる必要がある。そのため、基準平面56aのうち、規定の印刷対象物12の縁が差し掛かる部分には、副走査方向に沿っていると共に、下方に向かって凹んでいる、凹部(不図示)が設けられている。また、リブ57aとリブ57b、およびリブ57bとリブ57cとの間には、主走査方向に延びる凹部58a,58b(非摺動部に対応)が存在している。
また、プラテン56よりも排紙側には、上述のPFローラ対50と同様の、排紙ローラ対60が設けられている。排紙ローラ対60は、排紙駆動ローラ61と、排紙従動ローラ62とを具備している。排紙駆動ローラ61は、PFモータ45からの駆動力が伝達されて、回転する。また、排紙従動ローラ62には、バネ63によって、排紙従動ローラ62が常に排紙駆動ローラ61に圧接する方向に向かう付勢力が与えられる。
そして、印刷対象物12は、所定の付勢力が与えられながら、排紙ローラ対60で挟持(ニップ)される。その状態で、排紙駆動ローラ61が回動すると、図7の左向きに排出される。なお、排紙駆動ローラ61は、印刷対象物12の幅方向に延びる軸体に、ゴムローラが幅方向に間欠配置される構成を採用している。また、上述のPFモータ45は、その駆動力をPF駆動ローラ51と排紙駆動ローラ61とに分配させる構成を採用している。しかしながら、PFモータ45以外に、別途のモータを設け、そのモータによって排紙駆動ローラ61を駆動させる構成を採用しても良い。
また、上述したホッパ42の下方には、開口部57が設けられている。開口部57は、プリンタ10の後端側における開口部分であり、印刷対象物12を通過させるのに十分な、主走査方向における幅を有している。なお、開口部57を通過させる印刷対象物12の一例としては、例えば厚みのあるフォトスタンド紙が挙げられる。
次に、制御部70の構成について、図10等に基づいて説明する。制御部70は、バス70a、CPU71、ROM72、RAM73、キャラクタジェネレータ(CG)74、ASIC75、DCユニット76、PFモータドライバ77、CRモータドライバ78、ヘッドドライバ79、不揮発性メモリ80等を備えている。なお、制御部70のうち、DCユニット76は、単独で、または他の構成との協働により、計測手段の一部、モータ制御手段として機能する。
また、CPU71およびDCユニット76には、上述の紙検出器55、不図示の紙幅検出のためのPWセンサ、後述するロータリエンコーダ81、キャリッジ30の移動量を検出する不図示のリニアエンコーダ、プリンタ10の電源をオン/オフする電源SW等)の各出力信号が入力される。
CPU71は、ROM72や不揮発性メモリ80等に記憶されているプリンタ10の制御プログラムを実行するための演算処理や、その他の必要な演算処理を行う。
また、ROM72には、プリンタ10を制御するための制御プログラムおよび処理に必要なデータ等が記憶されている。本実施の形態では、ROM72には、印刷対象物12の種類に応じた、駆動制御プログラム、図13に示す補正テーブル、および補正値D(t)の波形情報等が記憶されている。この駆動制御プログラムは、後述する図14に示すフローチャートに対応した、リニア式エンコーダ37の検出に基づくCRモータ25の制御駆動を可能としている。また、ASIC75は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、インターフェース91を介してコンピュータ90から供給される印刷信号を受け取ることができる。
RAM73は、CPU71が実行途中のプログラムあるいは、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。また、不揮発性メモリ80は、インクジェットプリンタ10の電源を切った後も、保持しておくことが必要な各種データを記憶するためのメモリである。
なお、ロータリエンコーダ81は、上述のリニア式エンコーダ37とは異なり、符号板が円盤状に設けられている。しかしながら、それ以外の構成は、リニア式エンコーダ37と同様となっている。また、本実施の形態では、ロータリエンコーダ81の符号板に設けられている複数のスリットのスリット間隔は、1/180インチとなっていると共に、PFモータ45が1スリット分だけ回転すると、1/1440インチだけ、印刷対象物12が搬送されるように構成されている。しかしながら、スリット間隔および搬送ピッチは、これには限られず、種々設定することが可能である。
また、DCユニット76は、DCモータであるCRモータ25、PFモータ45の速度制御を行うための制御回路である。DCユニット76は、CPU71から送られてくる制御命令、後述するロータリエンコーダ81の出力信号、および紙検出器55の出力信号に基づいて、PFモータ45およびCRモータ25の速度制御を行うための各種演算を行い、その演算結果に基づいて、PFモータドライバ77およびCRモータドライバ78へ、モータ制御信号(アナログ電流であり、モータ駆動情報に対応)を送信する。
このDCユニット76は、所定の制御(本実施の形態では、PID制御、補正処理部76nに基づく制御)を行うための駆動制御部分である。詳しくは、図11に示すように、DCユニット76は、位置演算部76aと、減算器76bと、目標速度演算部76cと、速度演算部76dと、減算器76eと、比例要素76fと、積分要素76gと、微分要素76hと、加算器76iと、D/Aコンバータ76jと、タイマ76kと、加速制御部76mと、補正処理部76nとを具備している。
これらのうち、位置演算部76aは、図12に示すように、リニア式エンコーダ37の出力パルスENC−A(以下、パルスAとする),ENC−B(以下、パルスBとする)の各々の立ち上がりおよび立ち下がりエッジを検出し、検出されたエッジの個数を計数することにより、搬送距離を算出する。
この計数においては、CRモータ25の正転または逆転に対応させて、1個のエッジの検出の度に「+1」または「−1」を加算している。パルスAとパルスBの各々の周期は、符号板のスリット間隔に等しく、かつパルスAとパルスBは、90度の位相差がある。そのため、上述の計数における「1」は、エンコーダ37の符号板のスリット間隔の1/4に相当する。また、CRモータ25が1スリット間隔に対応する分だけ回転すると、1/180インチだけキャリッジ30が移動するが、この場合には、エンコーダ37の解像度は、1/4×1/180より、1/720インチとなる。
また、減算器76bは、目標位置と、位置演算部76aのカウント値との位置偏差を演算する。また、目標速度演算部76cは、減算器76bで算出された位置偏差に基づいて、CRモータ25の目標速度を演算する。この場合、目標速度は、位置偏差にゲインKpを乗算することにより、算出される。ゲインKpは、位置偏差を適切に減じることができる値に設定される。
また、速度演算部76dは、リニア式エンコーダ37の出力パルスA,Bに基づいて、CRモータ25の実際の駆動速度を演算する。この場合、リニア式エンコーダ37の出力パルスA,Bの各々の立ち上がりおよび立ち下がりエッジを求め、エッジ間の時間間隔をを例えばタイマ76kによってカウントする。また、減算器76eは、目標速度と、実際の駆動速度との差をとって速度偏差を演算する。
さらに、比例要素76fは、算出された速度偏差に所定の定数Gpを乗算し、その結果を出力する。この比例要素76fを通過する経路が、PID制御におけるP制御機能に相当する。また、積分要素76gは、速度偏差に所定の定数Giを積算し、その結果を出力する。この積分要素76gを通過する経路が、PID制御におけるI制御機能に相当する。また、微分要素76hは、現在の速度偏差と、1つ前の速度偏差との差に所定の定数Gdを乗算し、その結果を出力する。この微分要素76hを通過する経路が、PID制御におけるD制御機能に相当する。なお、比例要素76f、積分要素76g、および微分要素76hの演算は、エンコーダ37の出力パルスAの1周期毎を、例えば該パルスAの立ち上がりエッジの同期して行う。
また、比例要素76f、積分要素76g、微分要素76hでのそれぞれの出力は、加算器76iで加算される。この加算後、D/Aコンバータ76jに向けて出力され、このD/Aコンバータ76jからアナログ電流が、CRモータドライバ78に向けて出力され、CRモータ25は、このアナログ電流に基づいて、CRモータドライバ78によって駆動される。その他、タイマ割り込み信号を発生させるタイマ76k、およびタイマ割り込み信号に基づいて所定の電流値を積算する加速制御部76mが設けられており、これらは、比例要素76f、積分要素76gおよび微分要素76hを用いたPID制御における、加速/減速制御に用いられる。
また、補正処理部76nからの出力は、加算器76pで加算される。この補正処理部76nは、図13に示す補正テーブルを有している。この補正テーブルは、後述する制御フローにおいて算出された負荷に応じて、補正情報および補正電圧値に対応する補正量D(t)を決定するものである。なお、その詳細については、後述する。
また、CRモータドライバ78は、例えば複数のトランジスタを配置したブリッジ回路を具備しており、D/Aコンバータ76jの出力に基づいて、それぞれのトランジスタをオンまたはオフさせることにより、運転モード(正転および逆転の両方あり)、ブレーキモード、停止モードの切り替えが可能となっている。なお、CRモータドライバ78は、CRモータ25に対して、PWM制御が為された適切なパルス電圧を出力する。それによって、CRモータ25を駆動制御する。また、PFモータドライバ77も、CRモータ25と同様に、DCユニット76からのモータ制御信号に基づいて、PFモータ45を制御駆動する。また、ヘッドドライバ79は、CPU71からの駆動制御を行う信号に基づいて、印刷ヘッド32に存在するピエゾ素子を制御駆動する。
また、上述の制御部70における各構成は、信号線であるバス70aによって接続されている。かかるバス70aにより、CPU71、ROM72、RAM73、CG74、ASIC75、不揮発性メモリ80等は相互に接続され、これらの間でデータの授受を可能としている。
なお、CRモータドライバ78を介してD/Aコンバータ76jから出力されるアナログ電流は、電圧のDuty比調整を行うPWM制御に対応したものとなっている。そして、かかる電圧のDuty比調整に対応するアナログ電流が、CRモータ25に印加される。
また、プリンタ10は、インターフェース91を具備している。このインターフェース91を介して、コンピュータ90が接続されている。
以上のような構成を用いて、プリンタ10を作動させる場合の制御の詳細について、図14に基づいて説明する。
まず、ユーザが、プリンタ10の電源SWをオンにする(ステップS10)。すると、プリンタ10は、初期駆動動作(CRメジャメントともいう。)を実行する(ステップS11;初期駆動工程に対応)。この初期駆動動作においては、印刷対象物12が存在しなく、しかも印刷ヘッド32に存在するピエゾ素子を駆動しない状態で、CRモータ25のみを駆動させる。
ここで、CRメジャメントを含めて、キャリッジ30は、図15に示すグラフのような速度変動を生じる。この図15に示すように、キャリッジ30は、0桁から80桁側に向かい、停止した状態から所定の速度Vaまで加速され(0≦t≦t1 )、一定の速度で走査し(t1 ≦t≦t2 )、減速して停止する(t2 ≦t≦t3 )。また、80桁側から0桁側に向かい、キャリッジ30は、今度は逆方向の移動(加速、一定速、減速の移動)を行う。
なお、かかる図15に基づく移動は、CRメジャメントの場合のみならず、通常の印刷動作に際しても、同様となっている。この場合、プリンタ10のサイズ等の制限により、印刷ヘッド32の駆動は、一定の速度で走査している場合のみならず、加速領域および減速領域においても行われるようにするのが好ましい。加速領域および減速領域においても、印刷ヘッド32が駆動される場合、後述する各ステップは、キャリッジ30(印刷ヘッド32)が一定の速度で走査している場合のみならず、加速領域/減速領域にある場合においても実行される。しかしながら、一定の速度で走査している場合のみ、後述する各ステップを実行するように設定することも可能である。
上述のCRモータ25の駆動に際して、CPU71は、CRモータ25に与えられる負荷計測を行う(ステップS12;計測工程に対応)。この負荷計測においては、まず、CPU71からDCユニット76に対して、CRモータ25を起動させるための制御指令が送信され、この制御指令により、加速制御部76mは、D/Aコンバータ76jに対して、初期電流値I0 に対応するデジタル信号を送信する。そして、D/Aコンバータ76jが電流値I0に対応したアナログ電流が出力される。このアナログ電流は、ドライバに入力されると共に、CRモータ25の駆動に適した電圧/電流とし、CRモータ25に印加する。
この場合、CRモータ25には、パルス電圧のON/OFFの幅を適宜の割合とすることで、該CRモータ25の駆動を制御する、PWM制御が為された電流によって駆動される。ここで、負荷計測においては、符号板36およびリニア式エンコーダ37を用いた計測により、キャリッジ30の平均速度が目標速度となるように駆動させる。また、このCRモータ25の駆動は、いわゆるPID制御に基づいて駆動制御され、上述の比例要素76f、積分要素76g、微分要素76h等の加算等の協動によって、一定時間後に、目標速度に到達して、定常状態となる。なお、以下、定常状態における電流リップルの制御に関して説明する。
ここで、キャリッジ30を目標速度で駆動する場合、電流リップル(図6および図16のピーク値aを取る部分)が大きいと、CRモータ25に印加される電圧のDuty比が高くなり、逆に、電流リップルが小さいと、CRモータ25に印加される電圧のDuty比が小さくなる。そこで、CRモータ25の特性に基づいて、予め実験等で求めた基準のDuty比と比較演算することにより、CRモータ25に与えられる負荷を算出することができる。
次に、上述のステップS12における負荷計測に基づいて、Duty比を変更する補正電圧である補正量D(t)が決定される(ステップS13;補正情報算出工程の一部)。この補正量D(t)は、補正処理部76nにおいて決定されると共に、例えば、図13に示すテーブルに基づいて為される。このテーブルに基づいて例示説明すると、計測された負荷の上限値が100gcm以下の場合には、負荷が軽いため、コギングの影響が小さく、そのため、補正量D(t)を、常時0としている。しかしながら、負荷が大きくなるにつれて、コギングの影響が相対的に大きくなり、補正する必要性も増大する。このため、計測された負荷の上限値が100gcm以上、150gcmの場合には補正量は15、上限値が150gcm以上、180gcmの場合には、補正量D(t)は30等としている。
なお、補正量D(t)は、電流リップルを無くすべく、そのコギングが発生していると推測される部位においてDuty比のパルス幅を変更するものであり、補正量D(t)が正の値を持つ場合には、Duty比は0%に近づき、逆に補正量D(t)が負の値を持つ場合には、Duty比は100%に近づく(図16参照)。
また、補正量D(t)は、図16に示すように、電流が一定の値となるように印加するものである。ところが、上述のプリンタ10の構成においては、CRモータ25を流れる電流値を直接測定するための構成を具備していない。このため、補正量D(t)は、上述の負荷の算出から電流値を推測し、それによって決定されるものとなっている。この補正量D(t)は、Duty比を調整することにより、CRモータ25を流れる電流値を変更し、それによって電流リップルを打ち消すものである。また、図16においては、補正量D(t)のピーク値a(Duty比が最も低い部分)は、電流リップルにおける最大値に対応させている。そのため、電流リップルにおいて、最大値に達するまでの間の部位は、ピーク値aよりも大きなDuty比の電圧が印加されるように制御されている。この場合、ピーク値をaとする補正量D(t)は、予め定められたプロファイルに基づいて、Duty比を調整するものであっても良いが、例えば、CRモータ25の加速度をCPU71等で演算することにより、補正量D(t)のピーク値a以外の部分について、算出するようにしても良い。
続いて、上述のようにして、決定/算出された補正値D(t)で、コギングが発生すると推測される部位のDuty比を補正する状態で、速度変動を計測する(ステップS14)。この計測においても、上述のステップS13と同様に、リニア式エンコーダ37を介して速度変動を計測する。この場合、それぞれの時間におけるキャリッジ30の位置を計測することにより、キャリッジ30の単位時間当たりの位置変動を算出でき、CRモータ25の速度変動を計測することができる。なお、この速度計測は、速度演算部において、計測することが可能である。
次に、上述のステップS14で計測された速度変動が、補正必要な速度変動であるか否かを判断する(ステップS15;補正情報算出工程の一部)。この判断は、速度変動が一定のしきい値を超えているか否か(図16に示す速度のしきい値の上限側と下限側のいずれかを越えているか否か)によって行う。すなわち、速度変動が、目標とする速度に対して、しきい値となる所定のパーセントだけ越えている場合には、補正が必要であると判断して、補正を行うことを決定する。逆に、速度変動が一定のしきい値を超えていない場合には、補正が不要であると判断して、補正を行わないことを決定する。なお、この判断は、図11における補正処理部76nにおいて為される。
なお、上述のステップS15において、計測された速度変動が、補正必要な速度変動ではないと判断された場合(Noの場合)には、電流が一定の値となっているものとして、以後のフローを行わずに、電流リップルを抑える制御を終了する。
上述のステップS15において、補正が必要であると判断された場合(Yesの場合)、続いて、補正処理が1回目か否かを判断する(ステップS16;補正情報算出工程の一部)。この判断は、後に補正量D(t)を印加するタイミングである、先行予測時間を設定するために用いられる。
上述のステップS16において、補正処理が1回目であると判断された場合(Yesの場合)、補正量D(t)を印加する補正タイミング(先行予測時間)を調整する(ステップS17;補正工程の一部)。この補正タイミングを算出する手法としては、リニア式エンコーダ37での位置計測によって算出される、速度がピークとなる地点から、所定のステップ(時間)だけずらすことにより行われる。この場合、n番目の電流リップルにおいて速度がピークとなる位置をPn とすると、補正タイミングR=Pn −bにより求められる。ここで、この式におけるbは、実際にプリンタ10に実装される所定の種類のCRモータ25を用いて実験等することにより求められた、規定の値となっている。また、この補正タイミングRにおいて、補正量D(t)のピーク値aが印加されるように、制御が為される。
また、この調整に際しては、上述のように、予め定められた規定の値bを、速度がピークとなる位置Pn から減算する場合には限られず、他の手法を用いて調整するようにしても良い。例えば、リニア式エンコーダ37での特定の時間におけるそれぞれの位置計測により、速度を算出し、さらに速度変化を算出することにより、CRモータ25の加速度を算出することができる。このため、この加速度に基づいて、調整を行うようにしても良い。すなわち、速度変化(加速度)が一定の基準を超える場合、その越えた地点が、コギングによる電流リップルが生じている地点である、と推測できる。特に、加速度が最大となる部分は、電流リップルのピークに対応するため、加速度の最大値を計算によって算出し、そこに補正値D(t)のピーク値aが印加されるようにしても良い。
なお、このステップS17が終了した後に、再び上述のステップS14に戻る。
また、上述のステップS16において、補正処理が1回目ではないと判断された場合(Noの場合)、続いて、前回の速度変動量と比較して、補正タイミングが最適か否かを判断する(ステップS18;補正情報算出工程の一部)。この判断は、速度がピークとなる部位が、上述のステップS17において算出される、速度がピークとなる位置Pn からずれるか否かにより判断することができる。
すなわち、電流リップルを抑えるべく、図16に示すようなDuty比の電圧を印加した場合、その印加のタイミングがずれると、例えば、図17に示すようになる。この場合、電流リップルの波形が、図6に示す初期のものとはずれるため、図17に示すように、速度変動も一定のしきい値を越える場合も生じる。そして、この速度変動がしきい値を超えているか否かによって、補正タイミングが適正か否かを判断する。
上述のステップS18において、補正タイミングが最適でないと判断された場合(Noの場合)、補正タイミングの調整を行う(ステップS19;補正工程の一部)。この調整においては、上述のステップS17において算出された位置から、1ステップ分だけそれぞれずらすことにより行われる。すなわち、このステップS19においては、補正タイミングR=Pn −b±1により求められる。
なお、上述のステップS19においては、補正タイミングの調整は、1ステップ分だけずらす場合には限られず、例えば、補正タイミングの最適位置からのずれ量が大きい場合、mステップずつずらすようにして調整しても良い。また、このステップS19の終了後、後述するステップS22に進行する。
また、上述のステップS18において、補正タイミングが最適であると判断された場合(Yesの場合)、次に、前回の速度変動と比較して、CRモータ25に印加された最新の補正量D(t)が、最適であるか否かを判断する(ステップS20;補正情報算出工程の一部)。この判断は、最新の速度変動における速度ピークが、一定のしきい値を超えているか否かにより、判断することができる。すなわち、図18に例示するように、補正量D(t)の印加による、Duty比の低下が小さい(ピーク値aまでのDuty比の偏差が小さい)場合、速度変動がしきい値を越えてしまう場合も生じる。このため、補正量D(t)の振幅を調整し、速度変動がしきい値を超えないように制御(調整)する。なお、このステップS20の判断において、調整が不要であると判断された場合(Noの場合)、以後のフローを行わずに、調整を終了させる。
ステップS20の判断において、一定のしきい値を超えていると判断する場合(Yesの場合)、補正量D(t)の増減を行う(ステップS21;補正工程の一部)。この増減においては、例えば、補正量D(t)のピーク値aを、ピーク値a±1に変更すると共に、補正量D(t)の全体を、ピーク値a±1への増減に比例させる(補正量D(t)の振幅を変化させる)ことにより行うことができる。
上述のステップS21の次に、補正処理回数のインクリメントを行う(ステップS22)。この場合、補正処理回数Nを、前回までの処理回数nに1を加算し、N=n+1とする。
ステップS22におけるインクリメントが終了した後に、補正処理回数Nが10回に到達したか否かを判断する(ステップS23)。すなわち、所定の補正処理回数で、上述のCRモータ25の制御を終了させないと、キャリッジ30は、印刷を行わない状態で、無限に動き続けることになる。かかる無限ループを避けるために、補正処理回数が一定の回数(上述の例では、10回)に到達した場合には、電流値リップルの補正のための処理を終了するようにしている。
なお、上述のステップS23における判断において、10回に到達したと判断される場合(Yesの場合)、以後のフローを行わずに、調整を終了させる。また、10回に到達していないと判断される場合(Noの場合)、再び上述のステップS14に戻る。以上のようにして、キャリッジ30の速度制御が行われている。
このような構成のプリンタ10および駆動制御方法によれば、CRモータ25に生じる、電流リップルを打ち消すことが可能となる。すなわち、CRモータ25においては、コギングの影響が解消され、該CRモータ25の回転がスムーズになる。それにより、電流リップルにより生じていたトルクリップルを抑えることが可能となり、CRモータ25の駆動により、キャリッジ30を主走査方向に移動させつつ印刷を行う場合、印刷ヘッド32の主走査方向における、速度バラつきを抑えることが可能となる。
したがって、印刷対象物12には、速度バラつきが抑えられた状態でインク滴が吐出されるため、印刷ムラが生じるのを防ぐことができる。そのため、プリンタ10を用いた印刷では、印刷品質を向上させることが可能となる。
また、上述のようにコギングの影響を解消することができるため、該コギングによって引き起こされるトルクリップルの小さい、高性能なCRモータを使用せずに済む。それにより、トルクリップルが比較的大きな、安価なCRモータ25を用いることが可能となり、プリンタ10の製造コストを低減させることが可能となる。また、CRモータ25は、トルクリップルが大きくても構わない。そのため、トルクマージンを稼ぐためのパーマロイ等の金属輪を、CRモータ25に用いることが可能となる。また、CRモータ25に作用するメカ的な負荷の管理からも開放されるため、その管理に要していた分だけ製造コストを削減することが可能となる。
また、コギングの影響は、CRモータ25により駆動されるキャリッジ30の速度変動によって計測される。しかも、この計測は、符号板36およびリニア式エンコーダ37を用いて行われる。そのため、CRモータ25におけるコギングの影響は、キャリッジ30の速度変動を計測することにより、間接的に計測される。
すなわち、コギングの影響は、電流の計測により、より直接的に知ることができる。しかしながら、電流を直接的に計測する場合、電流計測のための測定機器を設置する必要があり、測定機器を備えさせる分だけコストが余分に掛かる。そこで、現状のプリンタ10が具備する符号板36、リニア式エンコーダ37を利用すると共に、これらによってキャリッジ30の速度変動を間接的に計測することにより、CRモータ25に生じているコギングの影響を、概略的に判断することが可能となる。そのため、プリンタ10に専用の測定機器を設ける必要がなく、その分だけコストを低減することが可能となる。
また、本実施の形態では、符号板36およびリニア式エンコーダ37での位置計測に基づいて、キャリッジ30を目標速度となる平均速度で駆動させている。そして、この目標速度での駆動において、D/Aコンバータ76j等で与えられる平均の電圧値を計測し、該平均の電圧値の計測値に基づいて、CRモータ25に作用している負荷が算出され、その算出に基づいて補正量D(t)を算出している。
このように、CRモータ25に作用している負荷を算出することにより、図13に示す補正テーブルの中から、電流リップルを良好に打ち消すのに適した補正量D(t)を、選出することが可能となる。それにより、CRモータ25に作用している負荷に適していない補正量D(t)がCRモータ25に付与されずに済み、CRモータ25の制御を一層良好に、しかも早く行うことが可能となる。
さらに、CRモータ25は、PWM制御により制御駆動される。しかも、補正量D(t)は、このPWM制御においてDuty比を変更するものである。このため、CRモータ25の電圧制御を簡単かつ正確に行うことが可能となる。また、PWM制御を行うことにより、電力の効率を高めることが可能となる。
また、上述の実施の形態においては、補正量D(t)は、キャリッジ30の速度ピークに達する時間よりも所定の時間だけ前の補正タイミングである、補正タイミングR=Pn −bにおいて、印加されている。このため、CRモータ25に生じるコギングの影響を、一層良好に打ち消すことが可能となる。すなわち、CRモータ25に電流リップルが生じる場合、その電流リップルよりも遅れて、キャリッジ30の速度が変動する。このため、キャリッジ30の速度変動よりも前の補正タイミングRに、補正量D(t)を印加すれば、電流リップルを抑えることが可能となる。
なお、上述の先行予測時間に対応する補正タイミングRは、符号板36およびリニア式エンコーダ37でのキャリッジ30の位置の計測において、速度変化がピークとなる時間を基準している。ここで、キャリッジ30の速度変化がピークとなる時間は、最も多くの電流がCRモータ25に印加され、その加速度が最大となる部位に相当する、と推定される。そのため、キャリッジ30の速度変化がピークとなる時間を基準として、その部位に補正量D(t)のピーク値aが重なるようにすれば、CRモータ25の電流リップルを一層良好に抑制することが可能となる。
また、上述に加えて、符号板36およびリニア式エンコーダ37を用いてキャリッジ30の速度を一度計測した後に、再びキャリッジ30の最新の速度を計測し、この最新の速度と、それよりも前のキャリッジ30の速度とを比較している。このように、繰り返して数回速度を計測し、これらを比較することにより、補正タイミングRを、最適な場所(先行予測時間)に補正することができ、電流リップルを一層良好に打ち消すことが可能となる。
さらに、符号板36およびリニア式エンコーダ37を用いてキャリッジ30の速度を計測することにより、CRモータ25に印加された最新の補正量D(t)を加算した場合のキャリッジ30の速度変動が、最適であるか否かを判断することができる。この場合、速度変動における速度ピークが、一定のしきい値を超えているか否かにより、判断することができる。このため、キャリッジ30の速度が適正速度範囲内にない場合、CRモータ25に印加される電圧に対して、補正量D(t)が加算され、キャリッジ30の速度を適正な範囲に制御することが可能となる。
また、本実施の形態では、補正タイミングRと、補正量D(t)との合計の補正処理回数が一定回数に達した場合に、CRモータ25に対する、以後の補正処理を行わないように制御している。そのため、CRモータ25に対する補正が無限に行われる、いわゆる無限ループに陥るのを防止することができ、プリンタ10がいつまでたっても動き出さない、といった不具合が生じるのを防止することが可能となる。
以上、本発明の位置実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、PWM制御により、CRモータ25を駆動制御する場合について説明している。しかしながら、CRモータ25の駆動制御は、必ずしもPWM制御を行う場合には限られない。例えば、PWM制御を行わずに、所定の値の電圧値を印加する場合、かかる電圧値を適宜調整することにより、CRモータ25を流れる電流値を調整するようにしても良い。
また、上述の実施の形態においては、各電流リップルの全てに対して、一義的な補正量D(t)を印加するようにしている。しかしながら、補正量D(t)は、各電流リップルのバラつきに応じて、それぞれの電流リップル毎に、独自の波形を有するように制御しても良い。例えば、各電流リップルのピーク値に対応させて、補正量D(t)のピーク値aを変更するようにしても良く、また補正量D(t)のピーク値a以外の波形も、独自の波形を有するように制御しても良い。
この場合において、補正量D(t)を、予め定められたプロファイルとはせずに、図11に示す比例要素76f、積分要素76g、微分要素76hと同様の各要素を用いて、PID制御により、補正量D(t)を算出するようにしても良い。なお、かかるトルクリップルの打ち消しのためのPID制御は、CRモータ25の停止状態から加速および定常速度で駆動させる場合のPID制御と比較して、制御する速度の範囲が全く異なるため、通常、ゲインが異なる。そのため、トルクリップルの打ち消しのためのPID制御を行う場合、専用のゲインを、各要素に与えるようにするのが好ましい。
また、上述の実施の形態では、CRモータ25の往復動のいずれにおいても、同じ波形の補正量D(t)を印加すると共に、同じステップだけ前の補正タイミングR=Pn −bにおいて補正量D(t)のピーク値aが印加されるように制御されている。しかしながら、CRモータ25の往路および復路のぞれぞれにおいて、印加される補正量D(t)、および補正量D(t)を印加するタイミングを変更するようにしても良い。すなわち、一般に、DCモータにおいては、正転および逆転のそれぞれにおいて、その特性が異なっている。そのため、CRモータ25の正転および逆転におけるそれぞれの特性に対応させて、印加される補正量補正量D(t)、および補正量D(t)を印加するタイミングを変更するようにしても良い。なお、この場合も、各電流リップルのバラつきに応じて、それぞれの電流リップル毎に、独自の波形を有するように制御しても良い。
また、上述の電流リップルの制御を行うモータとしては、CRモータ25には限られず、PFモータ45に対しても、同様の制御を行うようにしても良い。さらに、プリンタ10が具備する、インクの吸引動作を行うための、ポンプユニット中のポンプモータ、およびプラテンギャップを調整するモータに対しても、同様の制御を行うようにしても良い。
また、CRモータ25等のモータのコギングリップルの補正に限らずに、他の部位におけるメカ的な速度変動に対しても、本発明を適用することが可能となる。例えば、キャリッジ30に対して駆動力を伝達するベルト27の歯数ピッチの周期、CRモータ25、PFモータ45等の各種モータが具備するピニオンギヤの周期、駆動系のダンピング成分による周期等が挙げられる。また、これらメカ的な速度変動と、モータのコギングリップルとを合成した周期的な速度変動に対しても、本発明を適用することも可能である。
本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。 プリンタの構成を示す概略図である。 CRモータの概略構成を示す平面断面図である。 跨ぎ状態にある場合のCRモータの様子を示す模式図である。 跨ぎなし状態にある場合のCRモータの様子を示す模式図である。 補正前の電流、速度およびDutyの各プロファイルを示す図である。 プリンタの紙送りに関する部分の一側断面図である。 リニア式エンコーダの構成を示す模式図である。 プラテン付近の形状を示す側断面図である。 プリンタの各種制御を行う制御部のブロック図である。 DCユニットの概略構成を示すブロック図である。 エンコーダの出力パルスを示す図である。 電流リップル補正のための補正テーブルを示す図である。 CRモータにおける電流リップル補正を示すフローチャートである。 キャリッジが移動した場合の定型的な速度変化を示す図である。 補正後の電流、速度およびDutyの各プロファイルを示す図である。 補正のタイミングがずれたときの各プロファイルを示す図である。 補正量D(t)が小さい場合の各プロファイルを示す図である。
符号の説明
10…プリンタ、12…印刷対象物、20…キャリッジ機構、25…CRモータ、27…ベルト、30…キャリッジ、31…カートリッジ、32…印刷ヘッド、33…ノズル列、33a…ノズル、34…PWセンサ、36…符号板(計測手段の一部)、37…リニア式エンコーダ(計測手段の一部)、40…用紙搬送機構、45…PFモータ、50…PFローラ対、70…制御部、72…ROM、76…DCユニット(計測手段の一部、モータ制御手段に対応)、80…不揮発性メモリ、81…ロータリエンコーダ

Claims (11)

  1. 印刷対象物に対して印刷を実行するプリンタにおいて、
    インク滴を上記印刷対象物に向けて吐出させる印刷ヘッドと、
    ブラシおよびコミュテータを具備するモータと、
    上記モータに対して、制御指令に基づくモータ駆動情報を与えるモータ制御手段と、
    上記モータにおけるコギングの影響を計測する計測手段と、
    を具備し、
    上記モータ制御手段は、
    上記計測手段での計測結果に基づいて、上記モータに生じる上記コギングを打ち消すための補正情報を算出して、この補正情報で上記モータ駆動情報を補正する、
    ことを特徴とするプリンタ。
  2. 前記モータは、印刷ヘッドを搭載するキャリッジを移動させるキャリッジモータであることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
  3. 前記コギングの影響は、前記モータにより駆動されるキャリッジの速度変動によって計測されると共に、前記計測手段は、それぞれの時間における前記キャリッジの位置の計測を行うエンコーダを具備することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
  4. 前記補正情報は、前記コギングの影響によって生じる電流の変動を打ち消すために前記モータに印加する電圧値を変更する補正電圧値であると共に、
    前記モータ制御手段は、
    前記エンコーダでの位置計測に基づいて前記キャリッジをその平均速度が目標速度となる状態で駆動させ、
    この目標速度での駆動において前記モータに印加される平均の電圧値を計測し、
    該平均の電圧値の計測値に基づいて、前記モータに作用している負荷を算出し、
    この負荷の算出に基づいて上記補正電圧値を算出する、
    ことを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
  5. 前記モータは、PWM制御により制御駆動されると共に、前記補正電圧値は、このPWM制御においてDuty比を変更する値であることを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
  6. 前記モータ制御手段は、前記エンコーダで計測される前記キャリッジの速度ピークに達する時間よりも所定の時間だけ前の先行予測時間を算出し、この先行予測時間を基準として前記モータ駆動情報を前記補正情報で補正することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のプリンタ。
  7. 前記先行予測時間は、前記エンコーダでの前記キャリッジの位置の計測において、該キャリッジの速度変化がピークとなる時間を基準とすることを特徴とする請求項6記載のプリンタ。
  8. 前記モータ制御手段は、
    前記エンコーダでの計測に基づいて前記キャリッジの速度を計測した後に、再び前記エンコーダでの計測に基づいて前記キャリッジの最新の速度を計測し、
    この最新の速度と、それよりも前の前記キャリッジの速度とを比較し、この比較の結果得られる前記キャリッジの速度の変動量に基づいて、前記先行予測時間の補正を行うことを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載のプリンタ。
  9. 前記モータ制御手段は、
    前記エンコーダでの計測に基づいて前記キャリッジの速度を算出し、
    算出された速度が適正速度範囲内にない場合に、前記補正電圧値を補正することを特徴とする請求項8記載のプリンタ。
  10. 前記モータ制御手段は、前記先行予測時間の補正回数、前記補正電圧値の補正回数または前記先行予測時間の補正回数と前記補正電圧値の補正回数の合計回数が一定回数に達した場合に、前記モータに対する最新の前記先行予測時間または前記補正電圧値の算出を行わないことを特徴とする請求項8または9記載のプリンタ。
  11. ブラシおよびコミュテータを具備するモータをモータ駆動情報に基づいて駆動させながら、印刷対象物に対する印刷を実行する際の駆動制御方法において、
    制御指令に基づくモータ駆動情報により、上記モータの初期駆動動作を行う初期駆動工程と、
    上記初期駆動工程において上記モータに生じるコギングの影響を計測する計測工程と、
    上記計測工程での計測結果に基づいて、上記モータに生じる上記コギングを打ち消すための補正情報を算出する補正情報算出工程と、
    上記補正情報算出工程で算出された補正情報により、上記モータ駆動情報を補正する補正工程と、
    を具備することを特徴とする駆動制御方法。
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