JP2007098678A - インクジェット記録媒体用重合体ラテックス、およびインクジェット記録媒体用塗工組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族共役ジエン系単量体単位、エチレン系不飽和ニトリル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、およびこれらと共重合可能なその他の単量体単位を各々特定量含み、該重合体に特定量の水溶性高分子化合物が結合または吸着していることを特徴とするインクジェット記録媒体用重合体ラテックス。該重合体ラテックスを含有して成る塗工組成物。該塗工組成物を支持体に塗工してなるインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
Description
具体的には、表面強度及び耐水表面強度に優れ、さらにインクジェット印刷時のインク濃度が高く、得られる印刷物が鮮明で、且つ耐候性にも優れたインクジェット記録媒体が求められている。
1. 脂肪族共役ジエン系単量体単位20〜60重量%、エチレン系不飽和ニトリル単量体単位5〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位0〜10重量%、およびこれらと共重合可能なその他の単量体単位0〜75重量%からなる重合体、および水溶性高分子化合物を含んでなるラテックスであり、該重合体100重量部に対して、該水溶性高分子化合物が1〜20重量部結合または吸着していることを特徴とする、インクジェット記録媒体用重合体ラテックス。
2. 前記水溶性高分子化合物がアルコール性水酸基を含有し、かつ重量平均分子量が2000以上である前記1記載のインクジェット記録媒体用重合体ラテックス。
3. 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールである前記1〜2のいずれか一に記載のインクジェット記録媒体用重合体ラテックス
4. 前記1〜3のいずれか一に記載のインクジェット記録媒体用重合体ラテックスを含有してなるインクジェット記録媒体用塗工組成物。
5. 前記4記載のインクジェット記録媒体用塗工組成物を支持体に塗工してなるインクジェット記録媒体。
ここで、該重合体に水溶性高分子化合物が結合または吸着しているとは、重合体ラテックスをフィルムに成膜し、得られたラテックスフィルムを水中に一定の条件下で浸漬させた場合に、該水溶性高分子化合物が該重合体ラテックスのフィルムから分離できないことを意味し、水溶性高分子化合物が水相中に移行しないことにより確認できる。
共役ジエン単量体単位の重合体中の量は、好ましくは25〜55重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。この量が多過ぎるとインク濃度が低下する場合がある。
エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の重合体中の量は、好ましくは7〜45重量%、特に好ましくは9〜35重量%である。この量が多過ぎると表面強度が低下するとともに、得られる記録媒体の白色度が低下する場合がある。
芳香族ビニル単量体単位の重合体中の量は、好ましくは0〜5重量%であり、含まないことが特に好ましい。この量が多過ぎると耐候性に劣る場合がある。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸及びその無水物;マレイン酸ブチル、イタコン酸ブチルなどの多価カルボン酸の部分エステル等;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン系単量体;
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位の重合体中の量は、好ましくは0〜75重量%、更に好ましくは5〜68重量%、特に好ましくは15〜61重量%である。この量が多過ぎると表面強度が低下する場合がある。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等の共役ジビニル化合物;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
また、連鎖移動剤としては、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン類およびα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、重合性単量体100重量部に対して0.2重量部以下が好ましく、0.1重量部以下がさらに好ましく、連鎖移動剤を使用しないことが特に好ましい。
水溶性高分子化合物と重合体との結合様式は特に限定されないが、グラフト結合していることが好ましい。
有するために、塗工組成物へ好ましく配合される。そのような無機空隙形成材としては、例えばシリカ、アルミナなどが挙げられるが、これらは顔料としても機能する。無機空隙形成材の配合量は、重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常100〜1000重量部、好ましくは200〜500重量部の範囲である。無機空隙形成材の配合量が多過ぎると、得られる塗工組成物の成膜性や支持体上への密着性が劣る場合がある。他方、少なすぎても、無機空隙形成材を配合する効果を殆ど得ることができない。
評価方法を以下に説明する。
重合体ラテックスの重量平均粒子径は、コールターLS230(コールター社製粒子径測定機)で測定した。
(2)重合体に結合または吸着した水溶性高分子化合物の量(部)
水酸化ナトリウムでpHを7に調整した、固形分濃度30%の重合体ラテックス40gを枠付きガラス板(16cm×23cm)に流延し、100℃にて減圧乾燥して、膜厚0.3mmの重合体ラテックスのフィルムを得た。このフィルムを約4cm四方の正方形にカットし、80メッシュの金網のかごに約0.5gを精標(A)して入れて、そのまま20℃の蒸留水100mlに60時間浸漬する。次いで300mlの蒸留水で洗浄後、金網のかごに残るフィルムを100℃で減圧乾燥し、残留物の重量(B)を測定した。浸漬前後のフィルム重量(A)、(B)、および重合時の仕込み量から計算される浸漬前フィルム中の水溶性高分子化合物量(C)を下記式(1)に当てはめて、使用した水溶性高分子化合物量に対する、重合体に結合または吸着した水溶性高分子化合物の割合(%)を算出した。
得られた水溶性高分子化合物の割合から、重合体100重量部に対して、水溶性高分子化合物が結合または吸着したの部数を算出した。
前記(2)と同様に作成した重合体ラテックスのフィルム0.5gを80メッシュの金網のかごに入れて、それを20℃のテトラヒドロフラン100mlに24時間浸漬した後、金網のかごに残るフィルムを100℃で減圧乾燥し、残存率を計算して不溶分量を求めた。
(4)ガラス転移温度
重合体ラテックスを枠付きガラス板に流延し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に48時間放置して、乾燥し、重合体ラテックスのフィルムを得た。
上記フィルムのガラス転移温度を、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製:SSC5200)を用いて、開始温度−100℃、昇温速度5℃/分の条件で測定した。
印刷インク(タック値:TV−20)0.4cm3をゴムロールに付着させたRIテスター(明石製作所製)を用いて、本願のインクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工して得られたインクジェット記録媒体に4回重ね刷りした。紙面の剥がれ(ピッキング)状態を観察し5点法で評価した。点数の高いものほどドライピック強度が高い。
(6)耐水表面強度
本願のインクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工して得られたインクジェット記録媒体に、モルトンロールで水を塗布し、次に印刷インク(タック値:TV−14)0.4cm3をゴムロールに付着させたRIテスターを用いてベタ刷りした。紙面の剥がれ(ピッキング)状態を観察し5点法で評価した。点数の高いものほど耐水表面強度が高い。
本願のインクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工して得られたインクジェット記録媒体を5cm角に切り出して耐候性測定用試験片とした。得られた試験片をカーボンアーク灯式のサンシャインウェザーメーターを用いて、紫外線を20時間照射した、紫外線照射前後におけるインクジェット記録媒体の変色を目視にて下記基準により評価した。
○:ほとんど変色なし
△:やや変色有
×:かなり変色あり
23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、インクジェットプリンター(PM−870C:セイコーエプソン社製)を用いて、インクジェット記録媒体に、黒(BK)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)各々のインクをベタ塗り印刷した。この印刷物の各インクのベタ部の印字濃度を、マクベスインキ濃度計を用いて測定した。数値が高いほど、印字濃度が濃いことを示す。
(9)鮮明性
23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、インクジェットプリンター(PM−870C:セイコーエプソン社製)を用いて、インクジェット記録媒体に印字した。この印字のインクのにじみ具合を下記の基準で目視にて評価した。
○:にじみ無し
△:ややにじみ有り
×:明らかににじみ有り
23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、インクジェットプリンター(PM−870C:セイコーエプソン社製)を用いて、インクジェット記録媒体に、日本規格協会発行の標準画像データ(画像ネーム:N5A)を印刷した。
光学顕微鏡を用い、印刷ドット100個について、その最大径を測定し、数平均した値で示す。この数値が小さいほど、ドット再現性に優れることを示す。
(11)ドロップ吸水
得られたインクジェット記録媒体の表面に、蒸留水5μリットルを滴下し、滴下した蒸留水がすべてインクジェット記録媒体に吸収されるまでの時間を測定した。蒸留水が吸収されるたことは、目視にて確認した。
蒸留水が吸収される時間が早いほどインク受理性、鮮明性に優れる。
(12)接触角
得られたインクジェット記録媒体の表面に蒸留水1μリットルを滴下し、滴下して5秒経過時の接触角をDropMaster700(協和界面科学社製)を用いて測定した。
接触角が小さいほどインク受理性、及び鮮明性に優れる。
(重合体ラテックス)
耐圧オートクレーブ(1)に、脱イオン水130部、表1に示す単量体および副資材を仕込み、混合、撹拌して単量体乳化物を得た。PVA205(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、分子量30,000)は、水溶性高分子化合物のポリビニルアルコールである。また、ラウリル硫酸ナトリウムは、乳化重合において一般的に使用されている公知の界面活性剤である。
温度計を備えた耐圧オートクレーブ(2)に、脱イオン水47部、エタノール4部を仕込み、80℃に昇温した。80℃に維持した状態で、過硫酸カリウム2.0部を脱イオン水35部に溶解した開始剤溶液を添加し、次いで、直ちに前記の単量体乳化物を4時間半かけて添加した。添加終了後、更に3時間重合反応を継続した後、冷却して反応を終了させた。それぞれの重合転化率は93〜95%であった。得られたラテックスから、未反応単量体を除去した後、固形分濃度30%、ラテックスpHを水酸化ナトリウム水溶液で7に調整して、重合体ラテックス1A〜3Aおよび1B〜4Bを得た。それぞれの重量平均粒子径、テトラヒドロフラン不溶分含量、ガラス転移温度を表1に示す。
分散機中で、シリカ(ファインシールX−45:トクヤマ製)100部、ポリリン酸ナトリウム0.5部を水に分散させ、次いで、10%に調整したポリビニルアルコール(PVA117:クラレ製)を固形分で15部と、前記の各重合体ラテックスを固形分で15部、それぞれ添加し、30分間混合させ、固形分濃度20%の塗工組成物を得た。
実施例1〜3のラテックスを用いて得られた塗工組成物を200メッシュのステンレス金網を用いてろ過したところ、ステンレス金網上に残った凝集物は無く、配合安定性が良好であった。
この塗工組成物を坪量が130g/m2の上質原紙に、乾燥重量が片面15g/m2となるようにワイヤーバーを用いて両面塗工し、120℃の熱風乾燥機で60秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿槽で5時間静置し、インクジェット記録媒体を得た。重合体ラテックス1A〜3Aおよび1B〜4Bを用いて作製したインクジェット記録媒体について、各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
重合体ラテックス1Aの代わりに、PVA−117を15部使用した以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度14%の塗工組成物を得た。この塗工組成物を用いて作製したインクジェット記録媒体について、各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
水溶性高分子化合物が重合体に結合または吸着しているものの、エチレン性不飽和単量体単位、又は芳香族ビニル単量体単位が本願の範囲を外れる重合体ラテックス1B及び3Bを用いて作製したインクジェット記録媒体は、インク濃度が低く、耐候性にも劣ることが分かる。(比較例1および3)。
脂肪族共役ジエン系単量体単位が本願の範囲よりも低く外れる重合体ラテックス2Bを用いて作製したインクジェット記録媒体は、表面強度、耐水表面強度及び鮮明性にも劣ることが分かる。(比較例2)
界面活性剤の存在下で製造し、水溶性高分子化合物を後から添加した重合体ラテックス4Bを用いて作製したインクジェット記録媒体は、水溶性高分子化合物の重合体への結合または吸着量が本願規定の範囲より低く外れ、表面強度、耐水表面強度、耐候性、インク濃度が低く、鮮明性にも劣ることが分かる(比較例4)。
本発明の重合体ラテックスの代わりに、ポリビニルアルコールを用いて作製した記録シートは、表面強度、耐水表面強度、インク濃度が低く、鮮明性にも劣ることが分かる。(比較例5)
Claims (5)
- 脂肪族共役ジエン系単量体単位20〜60重量%、エチレン系不飽和ニトリル単量体単位5〜60重量%、芳香族ビニル単量体単位0〜10重量%、およびこれらと共重合可能なその他の単量体単位0〜75重量%からなる重合体、および水溶性高分子化合物を含んでなるラテックスであり、該重合体100重量部に対して、該水溶性高分子化合物が1〜20重量部結合または吸着していることを特徴とする、インクジェット記録媒体用重合体ラテックス。
- 前記水溶性高分子化合物がアルコール性水酸基を含有し、かつ重量平均分子量が2000以上である請求項1記載のインクジェット記録媒体用重合体ラテックス。
- 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールである請求項1〜2のいずれか一に記載のインクジェット記録媒体用重合体ラテックス
- 請求項1〜3のいずれか一に記載のインクジェット記録媒体用重合体ラテックスを含有してなるインクジェット記録媒体用塗工組成物。
- 請求項4記載のインクジェット記録媒体用塗工組成物を支持体に塗工してなるインクジェット記録媒体。
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