以下に、本発明にかかる無線通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を適用するモバイルIPネットワークの構成図である。図1において、ホームエージェントHAはアクセスルータAR1,AR2に接続され、アクセスルータAR1,AR2は無線基地局AP1,無線基地局AP2をそれぞれ収容している。無線基地局AP1は無線エリアArea#1をカバーし、無線基地局AP2は無線エリアArea#2をカバーしている。MNは移動端末であり、移動端末MNと無線基地局AP1,AP2間は無線で接続される。この場合、移動端末MNは、アクセスルータAR1に収容される通信相手端末(以下相手端末ともいう)CNと無線回線を通じてパケットの送受信を行っている。
図2は、実施の形態1において、移動端末MNと相手端末CNとの間で転送されるIPパケットのヘッダ構成を示す図である。図3は、移動端末MN、アクセスルータAR1,AR2,相手端末CN間での制御メッセージのシーケンスを示す図である。
次に動作について説明する。図1において、移動端末MNは、無線基地局AP1の配下の無線エリアArea#1に存在し、次に無線基地局AP2の配下の無線エリアArea#2に移動するものとする。移動端末MNは、図1の矢印(1)に示すように、通信相手端末CNと無線基地局AP1,アクセスルータAR1を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている。
図1の矢印(1)に対応するIPパケットのヘッダ構成を、図2の(A)、(B)に示す。図2の(A)は移動端末MNから通信相手端末CNへ送信されるIPパケットのヘッダ構成を示しており、宛先アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」、送信元アドレスには移動端末MNのアクセスルータAR1配下での気付けアドレスである「X」を設定し、ホームアドレスオプションヘッダには、移動端末MNのホームアドレスである「A」を設定する。このような移動端末MNからのパケットを受信した通信相手端末CNは、送信元アドレスをホームアドレスオプションヘッダの値「A」で置き換え、その置き換えたアドレス「A」を実際のパケット送信元として認識する。なお、気付けアドレス「X」は、例えば、アクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックスおよび移動端末MNのMACアドレスを用いて作成される。
一方、通信相手端末CNから移動端末MNへ送信されるIPパケットにおいては、図2の(B)に示すように、宛先アドレスには移動端末MNの気付けアドレスである「X」、送信元アドレスには相手端末CNのアドレスである「C」を設定し、ルーティングヘッダには、移動端末MNのホームアドレスである「A」を設定する。この通信相手端末CNからのパケットを受信した移動端末MNは、宛先アドレスをルーティングヘッダの値「A」で置き換え、その置き換えたアドレス「A」を実際のパケット送信先として認識する。
次に、図3を用いて制御情報のシーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、配下の端末に周期的に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(移動端末MNが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)を含めて送信する。
そのルータ広告メッセージを受信した移動端末MNは、無線エリアArea#2(無線基地局AP2の配下)に移動する前に、移動端末MNと通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するため、通信相手端末CNに対して事前位置登録要求メッセージを送信する。なお、この事前位置登録要求メッセージおよびその応答メッセージは図1の矢印(2)に対応する。事前位置登録要求メッセージには、移動端末MNのホームアドレス「A」、および次に移動する無線エリアArea#2における気付けアドレス「Y」を含める。気付けアドレス「Y」は、例えば、アクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックスおよび移動端末MNのMACアドレスを用いて作成される。
通信相手端末CNは、各移動端末MNの気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する位置登録テーブルを有しており、移動端末MNからの事前位置登録要求メッセージを受信する前には、移動端末MNについての位置登録テーブルの内容は、気付けアドレスが「X」(アクセスルータAR1配下での気付けアドレス)、ホームアドレスが「A」となっている。通信相手端末CNは、事前位置登録要求メッセージを受信すると、位置登録テーブルとは別管理される事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」の組を設定記憶し、この設定情報を移動端末MNの次の移動先での位置情報とする。
移動端末MNは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2のネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、図2の矢印(3)に示すように、アクセスルータAR2を介して通信相手端末CNとの通信を開始する。そのときのIPパケットのヘッダ構成を、図2の(C)、(D)に示す。図2の(C)は、移動端末MNから通信相手端末CNへ送信されるパケットのヘッダ構成を示しており、宛先アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」、送信元アドレスには移動端末MNのAR2配下での気付けアドレスである「Y」を設定し、ホームアドレスオプションヘッダには、移動端末MNのホームアドレスである「A」を設定する。このパケットを受信した通信相手端末CNは、送信元アドレスをホームアドレスオプションヘッダの値「A」で置き換え、その置き換えたアドレス「A」を実際のパケット送信元として認識する。
一方、通信相手端末CNから移動端末MNへ送信されるIPパケットについては、図2の(D)に示すように、宛先アドレスには移動端末MNの気付けアドレスである「Y」、送信元アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」を設定し、ルーティングヘッダには、移動端末MNのホームアドレスである「A」を設定する。このパケットを受信した移動端末MNは、宛先アドレスをルーティングヘッダの値「A」で置き換え、その置き換えたアドレス「A」を実際のパケット送信先として認識する。
通信相手端末CNは、図2の(C)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶された移動端末MNについての気付けアドレス(この場合「Y」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「Y」)との一致に基づき、そのパケットが移動先からの新しい経路で転送されたと判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、移動端末MNに対しては新しい位置登録テーブルに従って、図2の(D)に示すへッダを設定してパケットを送信する。
また、移動端末MNは移動完了後にホームエージェントHAに対して、移動端末MNの現在の気付けアドレスとホームアドレスの組を含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、図4に示すように、移動端末MNが移動完了後、相手端末CNに対して移動完了通知メッセージを送信し、相手端末CNがその移動完了通知メッセージの受信により、経路切替えを判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、移動端末MNに対しては新しい位置登録テーブルに従って、図2の(D)に示す各へッダを設定してパケットを送信するようにしてもよい。なお、移動端末MNは、無線機からの無線区間ハンドオーバ完了通知の入力により移動の検出を認識する。
以上のように、実施の形態1では、アクセスルータARは移動端末MNに対して事前に、移動端末MNの次の移動先で用いる気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックスを通知し、移動端末MNはそのネットワークプレフィックスを元に次の移動先で用いる気付けアドレスと移動端末MNのホームアドレスとを含む事前位置登録要求メッセージを相手端末CNに送信し、相手端末CNは、この事前位置登録要求メッセージに基づき移動端末の移動先での気付けアドレスとホームアドレスを記憶しておき、さらに、相手端末CNは移動端末MNからの移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいは移動端末MNからの移動完了通知受信により移動端末MNとの通信経路が切替わったと判断し、移動端末MNに送信するパケットの宛先アドレスに設定する気付けアドレスを移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているので、移動端末MNと通信相手端末CN間では移動直後からホームエージェントHAを介することなく最短かつ最適経路で通信を継続することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、モバイルIPプロトコルを終端する移動端末MNを前提としていたが、実施の形態2では、モバイルIPプロトコルをサポートしない複数の端末を収容するモバイルルータMRを、移動端末MNの位置に配備する場合について示す。実施の形態2において、実施の形態1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
図5は、実施の形態2を適用するネットワークの構成図である。図5において、モバイルルータMRは2つのサブネットワークを収容し、ネットワークプレフィックス「F」のサブネットワークに端末Node1、ネットワークプレフィックス「G」のサブネットワークに端末Node2が存在しているとする。端末Node1は相手端末CNと通信を継続しながら、モバイルルータMRを含めてアクセスルータAR1の配下の無線エリアArea#1からアクセスルータAR2の配下の無線エリアArea#2に移動する。
図6は、実施の形態2において、モバイルルータMRと相手端末CN間で転送されるIPパケットのヘッダ構成を示す図である。図7は、端末Node1、モバイルルータMR、アクセスルータAR1,AR2、相手端末CN間の制御メッセージのシーケンスを示す図である。
次に、動作について説明する。図5において、端末Node1、端末Node2は、モバイルルータMRの配下に存在し、モバイルルータMRは、無線基地局AP1の無線エリアであってかつアクセスルータAR1の配下である無線エリアArea#1に在圏しており、次に無線基地局AP2の無線エリアであってかつアクセスルータAR2の配下である無線エリアArea#2に移動するものとする。
端末Node1は、図5の矢印(5)に示すように、相手端末CNと無線基地局AP1,アクセスルータAR1を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている。図5の矢印(5)に対応するIPパケットのヘッダ構成を、図6の(A)、(B)に示す。図6の(A)は端末Node1から相手端末CNへ送信されるパケットのヘッダ構成を示しており、端末Node1からモバイルルータMRへのヘッダ部には、宛先アドレスとして相手端末CNのアドレスである「C」を、送信元アドレスとして端末Node1のアドレスである「D」を設定する。そして、モバイルルータMRにおいて、アウターヘッダとして、宛先アドレスに相手端末CNのアドレスである「C」、送信元アドレスにモバイルルータMRのアクセスルータAR1配下での気付けアドレスである「X」を追加設定する。このパケットを受信した相手端末CNは、アウターヘッダを削除し、インナーヘッダの送信元アドレス「D」をパケット送信元として認識する。
一方、通信相手端末CNから端末Node1方向へのパケットについては、図6の(B)に示すように、インナーヘッダの宛先アドレスには端末Node1のアドレスである「D」、送信元アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」を設定し、アウターヘッダの宛先アドレスにはモバイルルータMRの気付けアドレスである「X」、送信元アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」を設定する。モバイルルータMRでは、受信したパケットのアウターヘッダを除去して端末Node1に送信する。
次に、図7を用いて制御情報のシーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、配下の端末、モバイルルータに周期的に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(モバイルルータMRが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)を含めて送信する。
そのルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、無線エリアArea#2(AR2の配下)に移動する前に、配下の端末Node1と相手端末CN間での最適化通信経路を設定するため、相手端末CNに対して事前位置登録要求メッセージを送信する。この事前位置登録要求メッセージおよびその応答メッセージは図5の矢印(6)に対応する。モバイルルータMRには、端末Node1のアドレス「D」、および端末Node1が属するサブネットワークのネットワークプレフィックス(この場合「F」)、通信相手端末CNのアドレス「C」が事前に設定されており、モバイルルータMRは、事前位置登録要求メッセージに、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、次に移動する無線エリアArea#2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「Y」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含めて送信する。
相手端末CNにおける、事前位置登録要求メッセージの受信前でのモバイルルータMR対応の位置登録テーブルの内容は、気付けアドレスが「X」(アクセスルータAR1配下での気付けアドレス)、モバイルルータMRのホームアドレスが「A」、対応するネットワークプレフィックスが「F」となっている。相手端末CNは事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「Y」((アクセスルータAR2配下での気付けアドレス)、MRホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
モバイルルータMRは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2におけるネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、通信経路を、図5の矢印(7)で示すように、アクセスルータAR2を介した通信経路に切替える。そのときのIPパケットのヘッダ構成を、図6の(C)、(D)に示す。
図6の(C)は、端末Node1からモバイルルータMR、相手端末CN方向へのパケットのヘッダ構成を示しており、端末Node1からのパケットには、宛先アドレスとして通信相手端末CNのアドレスである「C」、送信元アドレスとして端末Node1のアドレス「D」が設定されている。モバイルルータMRでは、このパケットにアウターヘッダを付加するが、アウターヘッダの宛先アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」、送信元アドレスには、モバイルルータMRのアクセスルータAR2配下での気付けアドレスである「Y」を設定する。このパケットを受信した相手端末CNは、アウターヘッダを除去し、インナーヘッダの送信元アドレス「D」をパケット送信元として認識する。
一方、通信相手端末CNから端末Node1方向へのパケットについては、図6の(D)に示すように、アウターヘッダの宛先アドレスにはモバイルルータMRの気付けアドレスである「Y」、送信元アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」が設定され、インナーヘッダの宛先アドレスには端末Node1のアドレス「D」、送信元アドレスには通信相手端末CNのアドレスである「C」が設定される。モバイルルータMRでは、受信したパケットのアウターヘッダを除去して端末Node1に送信する。
通信相手端末CNは、図6の(C)に記載のパケットを受信した場合、、事前位置登録テーブルに記憶されたモバイルルータMRについての気付けアドレス(この場合「Y」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「Y」)との一致に基づき、そのパケットが移動先からの新しい経路で転送されたと判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、ネットワークプレフィックス「F」のアドレスを持つ端末(端末Node1を含む)に対しては、新しい位置登録テーブルに従って、図6の(D)に示す各へッダを設定してパケットを送信する。
また、モバイルルータMRは移動完了後にホームエージェントHAに対して、モバイルルータMRの現在の気付けアドレスとホームアドレスの組を含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、図8に示すように、モバイルルータMRが移動完了後、通信相手端末CNに対して移動完了通知メッセージを送信し、通信相手端末CNがその移動完了通知メッセージの受信により、経路切替えを検出し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、モバイルルータMRに対しては新しい位置登録テーブルに従って、図6の(D)に示す各へッダを設定してパケットを送信するようにしてもよい。なお、モバイルルータMRは、無線機からの無線区間ハンドオーバ完了通知の入力により移動の検出を認識する。
なお、図6のヘッダ構成では、モバイルルータMRから通信相手端末CNへのパケット、および通信相手端末CNからモバイルルータMRへのパケットはともに、アウターヘッダによってカプセル化して送信していたが、図9に示すように、オプションヘッダを用いてヘッダのオーバヘッドを削減することもできる。
図9の(A)は、モバイルルータMRが無線エリアArea#1に在圏する場合の端末Node1→モバイルルータMR→通信相手端末CN方向へのパケットヘッダを示し、図9の(B)は、同じくモバイルルータMRが無線エリアArea#1に在圏する場合の通信相手端末CN→モバイルルータMR→端末Node1方向へのパケットヘッダの構成を示している。図9の(A)では、端末Node1からの送信パケットのヘッダ構成およびその設定内容は図6の(A)と同じであるが、モバイルルータMRから通信相手端末CNに向けては、IPヘッダにホームアドレスオプションヘッダを付加し、送信元アドレスにモバイルルータの気付けアドレス「X」を、ホームアドレスオプションヘッダに、端末Node1からの送信パケットの送信元アドレスである「D」(端末Node1のアドレス)を設定する。
通信相手端末CNでは、受信したパケットのホームアドレスオプションヘッダの内容を、送信元アドレスに設定し、その値(この場合、端末Node1のアドレス「D」)を送信元アドレスと認識する。図9の(B)では、通信相手端末CNからモバイルルータMRに向けては、IPヘッダにルーティングヘッダを付加し、宛先アドレスにモバイルルータの気付けアドレス「X」を、ルーティングヘッダに、端末Node1のアドレスである「D」(端末Node1のアドレス)を設定する。モバイルルータMRは受信したパケットのルーティングヘッダの内容を、送信元アドレスに設定して(この場合、端末Node1のアドレス「D」)、端末Node1に送信する。
図9の(C)は、モバイルルータMRが無線エリアArea#2に在圏する場合の端末Node1→モバイルルータMR→通信相手端末CN方向へのパケットヘッダを示しており、ホームアドレスオプションヘッダに、端末Node1からの送信パケットの送信元アドレスである「D」(端末Node1のアドレス)が設定されている。図9の(D)は、同じくモバイルルータMRが無線エリアArea#2に在圏する場合の通信相手端末CN→モバイルルータMR→端末Node1方向へのパケットヘッダの構成を示しており、ルーティングヘッダに、端末Node1のアドレスである「D」(端末Node1のアドレス)が設定されている。
以上のように、実施の形態2においては、アクセスルータARはモバイルルータMRに対して事前に、モバイルルータMRの次の移動先での気付けアドレスの生成に必要なネットワークプレフィックスを通知し、モバイルルータMRはそのネットワークプレフィックスを元に移動先での気付けアドレスを生成し、配下の端末Node1の通信先である通信相手端末CNに対して、端末Node1と通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するために、モバイルルータMRの次の移動先での気付けアドレス、モバイルルータMRのホームアドレス、および端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、通信相手端末CNにおいて、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレス、および経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを記憶しておき、さらに、通信相手端末CNはモバイルルータMRからの移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいはモバイルルータMRからの移動完了通知受信により、モバイルルータMRの移動に伴い通信経路が切替わったと判断し、経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを持つアドレス宛に送信するパケットに関して、宛先アドレスに設定する気付けアドレスを移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているので、モバイルルータMRに収容される端末Node1と通信相手端末CN間では移動直後から、ホームエージェントHAを介することなく、最短かつ最適経路で通信を継続することができるようになる。
なお、モバイルルータは、上記のように、モバイルルータMR配下の端末Node1の通信相手端末CNだけでなく、あらかじめ指定された通信相手端末、特定サービスクラス/アプリケーションのIPフローの通信相手端末と通信を行うようにしてもよく、このような通信においても、上述した経路最適化処理を行うようにしてもよい。
実施の形態3.
実施の形態1では、移動端末MNの通信相手端末CNがモバイルIPプロトコルをサポートしている場合について述べたが、実施の形態3では実施の形態1における通信相手端末CNがモバイルIPプロトコルをサポートしていない場合に、移動端末MNが移動した直後から、移動端末MNと通信相手端末CN間で最適化経路で通信を開始させるようにしている。実施の形態3において、実施の形態1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
図10は、実施の形態3を適用するネットワーク構成を示すものである。実施の形態3では、図1に示したネットワーク構成に対し、通信相手端末CNの前段に代理ルータ(CN-side proxy Router,C-side proxy Router)10を配備し、代理ルータ10が通信相手端末CNの代わりにモバイルIPプロトコルを終端し、移動端末MNとの間で通信経路最適化手順を実行する。図10に示す通信相手端末CNはモバイルIPプロトコルをサポートしていない。
図11は、移動端末MN,アクセスルータAR1,AR2、代理ルータ10、通信相手端末CN間の制御シーケンスを示す図である。次に、動作について説明する。
図10において、移動端末MNは、無線基地局AP1の配下に存在し、通信相手端末CNと無線基地局AP1,アクセスルータAR1、代理ルータ10を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている。移動端末MNが無線基地局AP1の配下(無線エリアArea#1=アクセスルータAR1の配下)に在圏するときの、移動端末MNと代理ルータ10間のIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態1の図2の(A),(B)と同じである。また、移動端末MNが無線基地局AP2の配下(Area#2=アクセスルータAR2の配下)に移動したときの移動端末MNと代理ルータ10間のIPパケットのヘッダ構成は、同じく、実施の形態1の図2の(C)、(D)と同じである。
一方、図10の矢印(8)で示す通信相手端末CNと代理ルータ10間でのパケットについては、通信相手端末CNからは、宛先アドレスを移動端末MNのホームアドレス「A」に、送信元アドレスに通信相手端末CNのアドレス「C」を設定したパケットを、一方、代理ルータ10からは、宛先アドレスを通信相手端末CNのアドレス「C」に、送信元アドレスに移動端末MNのホームアドレス「A」を設定したパケットを送信する。これは、通信相手端末CNに対してはモバイルIPを意識しない通信を行わせるためである。
次に、図11を用いて制御シーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、周期的に配下の端末に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(移動端末MNが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)を含めて送信する。
そのルータ広告メッセージを受信した移動端末MNは、無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動する前に、移動端末MNと通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するため、通信相手端末CNを収容する代理ルータ10に対して事前位置登録要求メッセージを送信する。なお、移動端末MNは、通信相手端末CNに対応する代理ルータ10のアドレスを事前に取得しておくものとする。この事前位置登録要求、およびその応答メッセージは図10の矢印(2)に対応する。事前位置登録要求メッセージには、移動端末MNのホームアドレス「A」、および次に移動する無線エリアArea#2における気付けアドレス「Y」を含める。
代理ルータ10は、各移動端末MNの気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する位置登録テーブルを有しており、移動端末MNからの事前位置登録要求メッセージを受信する前には、移動端末MNについての位置登録テーブルの内容は、気付けアドレスが「X」(アクセスルータAR1配下での気付けアドレス)、ホームアドレスが「A」となっている。代理ルータ10は、事前位置登録要求メッセージを受信すると、位置登録テーブルとは別管理される事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」の組を設定記憶し、この設定情報を移動端末MNの次の移動先での位置情報とする。
代理ルータ10は、実施の形態1の通信相手端末CNと同様に、移動端末MNからの図2の(C)に示すパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶された移動端末MNについての気付けアドレス(この場合「Y」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「Y」)との一致に基づき、そのパケットが移動先からの新しい経路で転送されたと判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、移動端末MNに対しては新しい位置登録テーブルに従って、図2の(D)に示すへッダを設定してパケットを送信する。
また、移動端末MNは移動完了後にホームエージェントHAに対して、移動端末MNの現在の気付けアドレスとホームアドレスの組を含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、図12に示すように、移動端末MNが移動完了後、代理ルータ10に対して移動完了通知メッセージを送信し、代理ルータ10がその移動完了通知メッセージの受信により、経路切替えを判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、移動端末MNに対しては新しい位置登録テーブルに従って、図2の(D)に示す各へッダを設定してパケットを送信するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態3では、アクセスルータARは移動端末MNに対して事前に、移動端末MNの次の移動先での気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックスを通知し、移動端末MNはそのネットワークプレフィックスを元に気付けアドレスを生成し、通信相手端末CNの代わりにモバイルIPプロトコルを終端する代理ルータ10に対して移動端末MNと通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するために、移動端末MNの移動先での気付けアドレスとホームアドレスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、代理ルータ10で移動先での気付けアドレスとホームアドレスを記憶し、さらに、代理ルータ10は移動端末MNからの移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいは移動端末MNからの移動完了通知受信により、移動端末MNの移動に伴い通信経路が切替わったと判断し、移動端末MNに送信するパケットの宛先アドレスに設定する気付けアドレスを記憶した移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているので、移動端末MNとモバイルIPプロトコルをサポートしない通信相手端末CN間で、移動直後からホームエージェントHAを介することなく、最短かつ最適経路で通信を継続することができる。
実施の形態4.
実施の形態2では、移動端末MNの通信相手端末CNがモバイルIPプロトコルをサポートしている場合について述べたが、実施の形態4では実施の形態2における通信相手端末CNがモバイルIPプロトコルをサポートしていない場合に、移動端末MNが移動した直後から、移動端末MNと通信相手端末CN間で最適化経路で通信を開始させるようにしている。実施の形態4において、実施の形態2と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
図13は、実施の形態4を適用するネットワーク構成を示す図であり、実施の形態4では、図5に示したネットワーク構成に対し、通信相手端末CNの前段に代理ルータ(CN-side proxy Router,C-side proxy Router)10を配備し、代理ルータ10が通信相手端末CNの代わりにモバイルIPプロトコルを終端し、移動端末MNとの間で通信経路最適化手順を実行する。図10に示す通信相手端末CNは、モバイルIPプロトコルをサポートしていない。
図14は、実施の形態4における端末Node1、モバイルルータMR、アクセスルータAR1,AR2、代理ルータ10間での制御シーケンスを示す図である。次に、動作について説明する。図13において、端末Node1、端末Node2は、モバイルルータMRの配下に存在し、モバイルルータMRは無線エリアArea#1(無線基地局AP1の無線エリアでかつアクセスルータAR1の配下)に在圏しており、端末Node1は代理ルータ10に収容されている通信相手端末CNと無線基地局AP1,アクセスルータAR1を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている。
端末Node1が無線基地局AP1の配下(無線エリアArea#1=アクセスルータAR1の配下)に在圏するときの、端末Node1、モバイルルータMRおよび代理ルータ10間のIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で用いた図6の(A)、(B)あるいは図9の(A),(B)と同じである。また、移動端末MNが無線基地局AP2の配下(Area#2=アクセスルータAR2の配下)に移動したときの端末Node1、端末Node1、モバイルルータMRおよび代理ルータ10間のIPパケットのヘッダ構成は、同じく、実施の形態2で用いた図6の(C)、(D)あるいは図9の(C),(D)と同じである。
一方、図13の矢印(8)で示す通信相手端末CNと代理ルータ10間でのパケットについては、通信相手端末CNからは、宛先アドレスを端末Node1のアドレス「D」に、送信元アドレスに通信相手端末CNのアドレス「C」を設定したパケットを、一方、代理ルータ10からは、宛先アドレスを通信相手端末CNのアドレス「C」に、送信元アドレスに端末Node1のアドレス「D」を設定したパケットを送信する。これは、通信相手端末CNに対してはモバイルIPを意識しない通信を行わせるためである。
次に、図14を用いて制御シーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、周期的に配下の端末、モバイルルータに送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(モバイルルータMRが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)を含めて送信する。
そのルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動する前に、配下の端末Node1と通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するため、通信相手端末CNが収容される代理ルータ10に対して事前位置登録要求メッセージを送信する。この事前位置登録要求およびその応答メッセージは図13の矢印(6)に対応する。モバイルルータMRには、端末Node1のアドレス「D」、およびそのネットワークプレフィックス「F」、その通信相手である通信相手端末CNに対応する代理ルータ10のアドレスを事前に設定しておくものとする。そして、モバイルルータMRが代理ルータ10に送信する事前位置登録要求メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、次に移動する無線エリアArea#2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「Y」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
代理ルータ10は、モバイルルータMRの気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する位置登録テーブルを有しており、モバイルルータMRからの事前位置登録要求メッセージを受信する前には、モバイルルータMRについての位置登録テーブルの内容は、気付けアドレスが「X」(アクセスルータAR1配下での気付けアドレス)、ホームアドレスが「A」、対応するネットワークプレフィックスが「F」となっている。代理ルータ10は、事前位置登録要求メッセージを受信すると、位置登録テーブルとは別管理される事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」((アクセスルータAR2配下での気付けアドレス)、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」の組を設定記憶し、この設定情報をモバイルルータMRの次の移動先での位置情報とする。
モバイルルータMRは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2におけるネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、図13の矢印(7)に示すように、端末Node1と通信相手端末CN間のパケットを、アクセスルータAR2を経由する新経路で転送開始する。
代理ルータ10は、実施の形態2の通信相手端末CNと同様に、図6の(C)、あるいは図9の(C)に記載のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶されたモバイルルータMRについての気付けアドレス(この場合「Y」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「Y」)との一致に基づき、そのパケットが移動先からの新しい経路で転送されたと判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、モバイルルータMRに対しては新しい位置登録テーブルに従って、図6の(D)あるいは図9の(D)に示すへッダを設定してパケットを送信する。
また、モバイルルータMRは移動完了後にホームエージェントHAに対して、モバイルルータMRの現在の気付けアドレスとホームアドレス、および収容しているサブネットのネットワークプレフィックスを含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、図15に示すように、モバイルルータMRが移動完了後、代理ルータ10に対して移動完了通知メッセージを送信し、代理ルータ10がその移動完了通知メッセージの受信により、経路切替えを判断し、位置登録テーブルの気付けアドレスの内容を、事前位置登録テーブルの気付けアドレスの内容に置き換え(気付けアドレスX→Yへ)、以降、端末Node1に対しては新しい位置登録テーブルに従って、図6の(D)、あるいは図9の(D)に示す各へッダを設定してパケットを送信するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態4においては、アクセスルータARはモバイルルータMRに対して事前に、モバイルルータMRの次の移動先での気付けアドレスの生成に必要なネットワークプレフィックスを通知し、モバイルルータMRはそのネットワークプレフィックスを元に移動先での気付けアドレスを生成し、配下の端末Node1の通信先である通信相手端末CNの代理としてモバイルIPプロトコルを終端する代理ルータ10に対して端末Node1と通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するために、モバイルルータMRの次の移動先での気付けアドレス、モバイルルータMRのホームアドレス、および端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、代理ルータ10において、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレス、および経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを記憶し、さらに、代理ルータ10はモバイルルータMRからの移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいはモバイルルータMRからの移動完了通知受信により、モバイルルータMRの移動に伴い通信経路が切替わったと判断し、経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを持つアドレス宛に送信するパケットに関して、宛先アドレスに設定する気付けアドレスを移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているので、モバイルルータに収容される端末Node1とモバイルIPプロトコルをサポートしない通信相手端末CN間で、移動直後から、ホームエージェントHAを介することなく、最短かつ最適経路で通信を継続することができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、移動端末MNの通信相手端末CNが移動端末MNの移動により変更となる場合において、移動端末MNが移動した直後から移動端末MNと変更後の通信相手端末CN間で最適化経路通信を開始できるようにしている。
図16は、実施の形態5におけるネットワーク構成を示す図である。図16において、移動端末MNの通信相手端末CNは、無線エリアArea#1ではCN1、移動後の無線エリアArea#2ではCN2となり、旧通信相手端末CN1のIPアドレスを「C」、新通信相手端末CN2のIPアドレスを「E」とする。
図17は、実施の形態5における制御シーケンスを示した図である。つぎに、動作について説明する。図16において、移動端末MNは、無線基地局AP1の配下に存在し、旧通信相手端末CN1と無線基地局AP1,アクセスルータAR1を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている(図16の矢印(1)の経路)。移動端末MNが無線基地局AP1の配下(無線エリアArea#1=アクセスルータAR1の配下)に在圏するときの、移動端末MNと旧通信相手端末CN1間のIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態1で用いた図2の(A)、(B)と同じである。
つぎに、図17を用いて制御情報のシーケンスについて説明する。アクセスルータAR1は、周期的に配下の端末に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(移動端末MNが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)、さらには新無線エリアArea#2における新通信相手端末CN2のアドレス「E」を含めて送信する。
そのルータ広告メッセージを受信した移動端末MNは、無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動する前に、移動端末MNと通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するため、新通信相手端末CN2に対して事前位置登録要求メッセージを送信する。この事前位置登録要求メッセージの送信の際、通信相手端末CN2のアドレスは、ルータ広告メッセージに含まれているアドレス「E」を用いる。事前位置登録要求およびその応答メッセージは図16の矢印(2)に対応する。事前位置登録要求メッセージには、移動端末MNのホームアドレス「A」、および次に移動する無線エリアArea#2における気付けアドレス「Y」を含める。
新通信相手端末CN2は、移動端末MNの現在用いている気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する位置登録テーブルと、移動端末MNの移動後に用いる気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する事前位置登録テーブルとを有しており、通信相手端末CN2は、事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」の組を設定記憶する。
移動端末MNは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2のネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、図16の矢印(3)で示すように、アクセスルータAR2を介して新通信相手端末CN2との通信を開始する。そのときのIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態1で用いた図2の(C)、(D)と同じであるが、アドレス「C」がアドレス「E」となる。
新通信相手端末CN2は、移動端末MNから図2の(C)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶された移動端末MNについての気付けアドレス(この場合「Y」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「Y」)との一致に基づき、移動端末MNが無線エリアArea#2に移動してきたと判断し、事前位置登録テーブルの内容を位置登録テーブルに移し、これ以降、移動端末MNに対してはその位置登録テーブルの内容に従って、図2の(D)のヘッダ構成で、送信元アドレスとしてアドレス「E」を設定して送信する。
移動端末MNは移動完了後にホームエージェントHAに対して、移動端末MNの現在の気付けアドレスとホームアドレスを含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、移動端末MNは、実施の形態1において図4を用いて説明したように、無線エリアArea#2(無線基地局AP2の配下=アクセスルータAR2の配下)に移動した直後に、新通信相手端末CN2に対して移動完了通知を送信し、通信相手端末CN2が移動完了通知の受信をもって、移動端末MNが無線エリアArea#2に移動してきたと判断するようにしても良い。
また、上記では、ルータ広告に移動端末MNの移動先での新通信相手端末CN2のアドレスを含めていたが、アクセスルータが移動端末MNに対して別のメッセージにて移動先での新通信相手端末CN2のアドレスを通知するようにしても良い。また、ホームエージェントHAが移動端末MNからの位置登録メッセージを受けて、専用のメッセージにて移動先での新通信相手端末CN2のアドレスを移動端末MNに通知するようにしてもよく、さらには移動先での新通信相手端末CN2のアドレスを位置登録応答メッセージに含めるようにしても良い。あるいは、ホームエージェントHAが移動端末MNからの位置登録メッセージを受けたことを契機として次の移動先における通信相手端末CN2に移動端末MNに対してアドレスを通知することを指示し、次の移動先における通信相手端末CN2から専用のメッセージにて通信相手端末CN2のアドレスを移動端末MNに通知するようにしてもよい。
さらに、移動先での通信相手端末CNのアドレスにとどまらず、次の移動先では現在圏エリアで有効な通信相手端末CNを使用するか否かを示す指示情報、あるいは通信相手端末の利用可能状態(故障、一時的に使用不可)を併せて移動端末MNに通知するようにしても良い。
以上のように、実施の形態5においては、アクセスルータARは移動端末MNに対して事前に、移動端末MNの次の移動先での気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックスおよび移動先での移動端末MNの通信相手端末CN2のアドレスを通知し、移動端末MNはそのネットワークプレフィックスを元に気付けアドレスを生成し、通知された移動先での通信相手端末CN2のアドレスに対して、移動端末MNの移動先での気付けアドレスとのホームアドレスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、通信相手端末CN2で移動先での移動端末MNの気付けアドレスと移動端末MNのホームアドレスを記憶しておき、さらに、移動先での通信相手端末CN2は移動端末MNから移動後の新しい経路でのパケット受信検出あるいは移動端末MNからの移動完了通知受信により、移動端末MNが当該無線エリアに移動してきたと判断し、移動端末MNに送信するパケットの宛先アドレスに事前に通知されていた気付けアドレスを設定するようにしているので、移動端末MNと移動先での通信相手端末CN2間では移動直後から、移動端末MNから見て通信相手端末CNが変更になっても、ホームエージェントHAを介することなく最短経路で通信を開始することができる。
実施の形態6.
実施の形態6では、移動端末MNの通信相手端末CNがモバイルIPをサポートしていない場合において、移動端末MNの通信相手端末CNが移動端末MNの移動により変更となるときに、移動端末MNが移動した直後から移動端末MNと変更後の通信相手端末CN間で最適化経路で通信を開始できるようにしている。
図18は、実施の形態6におけるネットワーク構成を示す図である。図18において、移動端末MNの通信相手端末CNは、無線エリアArea#1ではCN1、移動後の無線エリアArea#2ではCN2となり、旧通信相手端末CN1のIPアドレスを「C」、新通信相手端末CN2のIPアドレスを「E」とする。通信相手端末CN1,CN2は、モバイルIPをサポートしておらず、通信相手端末CN1の前段には、通信相手端末CN1の代理でモバイルIPプロトコルを終端する代理ルータ10が設けられ、通信相手端末CN2の前段には、通信相手端末CN2の代理でモバイルIPプロトコルを終端する代理ルータ11が設けられている。
図19は、実施の形態6における制御シーケンスを示した図である。次に動作について説明する。図18において、移動端末MNは、無線基地局AP1の配下に存在し、通信相手端末CN1と無線基地局AP1,アクセスルータAR1を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている(図18の矢印(1)の経路)。移動端末MNが無線基地局AP1の配下(無線エリアArea#1=アクセスルータAR1の配下)に在圏するときの、移動端末MNと通信相手端末CN間のIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態1で用いた図2の(A)、(B)と同じである。
次に図19を用いて制御シーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、周期的に配下の端末に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(移動端末MNが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)、さらには無線エリアArea#2における通信相手端末CN2のアドレス「E」および通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11のIPアドレス「J」を含めて送信する。
このルータ広告メッセージを受信した移動端末MNは、無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動する前に、移動後の通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11に対して事前位置登録要求メッセージを送信する。この事前位置登録要求およびその応答メッセージは図18の矢印(2)に対応する。すなわち、移動端末MNでは、ルータ広告メッセージに含まれている代理ルータ11のIPアドレス「J」を用いて、代理ルータ11に送信する事前位置登録要求メッセージを作成して送信する。事前位置登録要求メッセージには、移動端末MNのホームアドレス「A」、および次に移動する無線エリアArea#2における移動端末MNの気付けアドレス「Y」を含める。
代理ルータ11では、移動端末MNの現在用いている気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する位置登録テーブルと、移動端末MNの移動後に用いる気付けアドレスとホームアドレスとの対応関係を記憶する事前位置登録テーブルとを有しており、代理ルータ11は、事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」の組を設定記憶する。
移動端末MNは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2のネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、アクセスルータAR2、代理ルータ11を介して通信相手端末CN2との通信を開始する。このとき、移動端末MNは、新しい通信相手端末CNのアドレスとして通信相手端末CN2のアドレスを用いて通信を開始する。そのときのIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態1で用いた図2の(C)、(D)と同じであるが、アドレス「C」がアドレス「E」となる。
代理ルータ11は、移動端末MNから図2の(C)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶された移動端末MNについての気付けアドレス(この場合「Y」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「Y」)との一致に基づき、移動端末MNが無線エリアArea#2に移動してきたと判断し、事前位置登録テーブルの内容を位置登録テーブルに移し、以降、移動端末MNに対してはその位置登録テーブルの内容に従って、図2の(D)のヘッダ構成で、送信元アドレスとしてアドレス「E」を設定して送信する。
移動端末MNは移動完了後にホームエージェントHAに対して、移動端末MNの現在の気付けアドレスとホームアドレスを含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、移動端末MNは、図12に示したように、無線エリアArea#2(無線基地局AP2の配下=アクセスルータAR2の配下)に移動した直後に、代理ルータ11に対して移動完了通知メッセージを送信し、代理ルータ11がその移動完了通知メッセージの受信により、移動端末MNが無線エリアArea#2に移動してきたと判断し、事前位置登録テーブルの内容を位置登録テーブルに移し、以降、移動端末MNに対してはその位置登録テーブルの内容に従ってパケットを送信するようにしてもよい。
また、上記では、ルータ広告に移動端末MNの移動先での通信相手端末CN2のアドレスと、この通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11のアドレスを含めていたが、これら通信相手端末CN2のアドレスおよび代理ルータ11のアドレスを別のメッセージにて移動端末MNに通知するようにしても良い。。また、ホームエージェントHAが移動端末MNからの位置登録メッセージを受けて、専用のメッセージにてこれらのアドレス情報を移動端末MNに通知するようにしてもよく、さらにはこれらアドレス情報を位置登録応答メッセージに含めるようにしても良い。さらに、これらのアドレス情報の他に、代理ルータの有無を示す情報を含めるようにしても良い。
以上のように、実施の形態6においては、アクセスルータARは移動端末MNに対して事前に、移動端末MNの次の移動先での気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックス、移動先での移動端末MNの通信相手端末CN2のアドレスおよび通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11のアドレスを通知し、移動端末MNはそのネットワークプレフィックスを元に気付けアドレスを生成し、通知された代理ルータ11のアドレスに対して、移動端末MNの移動先での気付けアドレスとのホームアドレスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、代理ルータ11で移動端末MNの移動先での気付けアドレスとホームアドレスを記憶し、さらに、代理ルータ11は移動端末MNから移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいは移動端末MNからの移動完了通知受信により、移動端末MNが当該無線エリアに移動してきたと判断し、移動端末MNに送信するパケットの宛先アドレスに事前に通知されていた気付けアドレスを設定し、さらに移動端末MNは移動後に新しい通信相手端末CNのアドレスを用いて通信相手端末CNと通信するようにしているため、移動端末MNとモバイルIPをサポートしない通信相手端末CN2間で移動直後から、移動端末MNから見て通信相手端末CNが変更になっても、ホームエージェントHAを介することなく最短かつ最適経路で通信を開始することができる。
実施の形態7.
実施の形態7では、モバイルルータMRに収容された端末が、移動先で異なる通信相手端末CNと通信を行う際に、端末と通信相手端末CNの間で経路最適化を行う場合について説明する。
図20は、実施の形態7におけるネットワーク構成を示す図である。図20において、端末Node1の通信相手端末CNは、無線エリアArea#1ではCN1、移動後の無線エリアArea#2ではCN2となり、旧通信相手端末CN1のIPアドレスを「C」、新通信相手端末CN2のIPアドレスを「E」とする。
図21は、実施の形態7における制御シーケンスを示した図である。次に動作について説明する。図20において、端末Node1を収容するモバイルルータMRは、無線基地局AP1の配下に存在し、端末Node1は無線エリアArea#1に対応する通信相手端末CN1と無線基地局AP1,アクセスルータAR1を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている(図20の矢印(5)の経路)。モバイルルータMRが無線基地局AP1の配下(無線エリアArea#1=アクセスルータAR1の配下)に在圏するときの、端末Node1と通信相手端末CN1間のIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で用いたの図6の(A),(B)あるいは図9の(A),(B)と同じである。
次に図21を用いて制御シーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、周期的に配下の端末、モバイルルータMRに送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(モバイルルータMRが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)、さらには無線エリアArea#2における通信相手端末CN2のアドレス「E」、複数のエリアで一意の値となる通信相手端末CNの識別情報(ID)を含めて送信する。
このルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、無線エリアArea#2(AR2の配下)に移動する前に、端末Node1の移動後の通信相手である通信相手端末CN2に対して、事前位置登録要求メッセージを送信する。この事前位置登録要求およびその応答メッセージは図20の矢印(9)に対応する。モバイルルータMRには、端末Node1のアドレス「D」、端末Node1が所属するネットワークプレフィックス「F」、端末Node1の通信相手である通信相手端末CNのIDの対応関係を事前に設定しておくものとする。モバイルルータMRは、ルータ広告に含まれるIDから対応する端末Node1のネットワークプレフィックスを検索し、ルータ広告メッセージに含まれている通信相手端末CN2のIPアドレス「E」に対して事前位置登録要求メッセージを送信する。事前位置登録要求メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、次に移動する無線エリアArea#2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「Y」、および端末Node1が属するサブネットのネットワークプレフィックス「F」を含める。
通信相手端末CN2は、モバイルルータMRの現在用いている気付けアドレスとホームアドレスと端末Node1に対応するネットワークプレフィックスの対応関係を記憶する位置登録テーブルと、移動端末MNの移動後に用いる気付けアドレスとホームアドレスと最適化対象のネットワークプレフィックスの対応関係を記憶する事前位置登録テーブルとを有しており、通信相手端末CN2は、事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」、最適化対象のネットワークプレフィックス「F」の組を設定記憶する。
また、モバイルルータMRは、ルータ広告メッセージに含まれる通信相手端末CN2のアドレス「E」をそのIDに対応する端末Node1に通知する。
モバイルルータMRは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2のネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するかあるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、通信経路をアクセスルータAR2を介した通信経路に切替える。その際に、モバイルルータMRは、端末Node1に対して、移動通知メッセージを送信する。端末Node1は、モバイルルータMRからの移動通知メッセージの受信を契機に、通信相手端末CN2との通信を開始する。端末Node1と通信相手端末CN2間で転送されるIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で説明した図6の(C),(D)あるいは図9の(C),(D)と同じであるが、アドレスが「C」が通信相手端末CN2のアドレス「E」となる。
通信相手端末CN2は、モバイルルータMRから図6の(C)あるいは図9の(C)のパケットを受信した場合、前述と同様にして、移動端末MNが無線エリアArea#2に移動してきたと判断し、事前位置登録テーブルの内容を位置登録テーブルに移し、以降、端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックス「F」を宛先アドレスに含むパケットに対しては、位置登録テーブルの内容に従って、図6の(D)あるいは図9の(D)のヘッダ構成で、送信元アドレスとしてアドレス「E」を設定して送信する。
モバイルルータMRは移動完了後にホームエージェントHAに対して、モバイルルータMRの現在の気付けアドレスとホームアドレスの組を含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、モバイルルータMRは、実施の形態2の図8を用いて説明したように、無線エリアArea#2(無線基地局AP2の配下=アクセスルータAR2の配下)に移動した直後に、通信相手端末CN2に対して移動完了通知を送信し、通信相手端末CN2がその受信をもって、モバイルルータMR、およびそれに収容される端末Node1が無線エリアArea#2に移動してきたと判断するようにしても良い。
また、上記では、ルータ広告に端末Node1の移動先での通信相手端末CN2のアドレス、およびIDを含めていたが、これらのアドレス情報(通信相手端末CN2のアドレスおよびID)をモバイルルータMRに対して別のメッセージにて通知ようにしても良い。また、ホームエージェントHAがモバイルルータMRからの位置登録メッセージを受けて、上記アドレス情報を専用のメッセージにて、あるいは位置登録応答メッセージにてモバイルルータMRに通知し、モバイルルータMRから端末Node1に上記アドレス情報を通知するようにしても良い。
以上のように、実施の形態7においては、アクセスルータARはモバイルルータMRに対して事前に、モバイルルータMRの次の移動先での気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックス、移動先での端末Node1の通信相手端末CN2のアドレス、および複数のエリアで一意の値である通信相手端末CN群のIDを通知し、モバイルルータMRはそのネットワークプレフィックスを元に気付けアドレスを生成し、通知された通信相手端末CN2のアドレスに対して、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレス、および経路最適化対象のネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、通信相手端末CN2で移動先でのモバイルルータMRの気付けアドレス、ホームアドレスおよび対応するネットワークプレフィックスを記憶し、さらに、通信相手端末CN2はモバイルルータMRから移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいはモバイルルータMRからの移動完了通知受信により、当該無線エリアにモバイルルータが移動してきたと判断し、経路最適化対象のネットワークプレフィックスを宛先アドレスに含むパケットをモバイルルータMRに送信する際、そのパケットの宛先アドレスに、事前に通知されていた気付けアドレスを設定するようにしているので、端末Node1と通信相手端末CN2間では移動直後から、モバイルルータMRに収容される端末Node1から見て通信相手端末CNが変更になっても、ホームエージェントHAを介することなく最短かつ最適経路で通信を開始することができる。
実施の形態8.
実施の形態8では、モバイルルータMRに収容された端末が、モバイルIPプロトコルをサポートしない通信相手端末と通信する場合で、かつ移動先で異なる通信相手端末と通信を行う場合について説明する。
図22は、実施の形態8におけるネットワーク構成を示す図であり、端末Node1の通信相手端末CNは、無線エリアArea#1ではCN1、移動後の無線エリアArea#2ではCN2となり、旧通信相手端末CN1のIPアドレスを「C」、新通信相手端末CN2のIPアドレスを「E」とする。さらに通信相手端末CN1、CN2の代わりにモバイルIPプロトコルを終端する代理ルータ10,11が配備される。
図23は、実施の形態8における制御シーケンスを示した図である。次に動作について説明する。図22において、端末Node1を収容するモバイルルータMRは、無線基地局AP1の配下に存在し、端末Node1は無線エリアArea#1に対応する通信相手端末CN1と無線基地局AP1,アクセスルータAR1、代理ルータ10を介し、ホームエージェントHAを経由せずに通信を行っている(図22の矢印(5),(9)の経路)。モバイルルータMRが無線基地局AP1の配下(無線エリアArea#1=アクセスルータAR1の配下)に在圏するときの、端末Node1と代理ルータ10間で転送されるIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で用いた図6の(A)、(B)あるいは図9の(A),(B)と同じである。
一方、図22の矢印(9)で示す通信相手端末CN1と代理ルータ10間のパケットについては、通信相手端末CN1からは、宛先アドレスを端末Node1のアドレス「D」に、送信元アドレスに通信相手端末CN1のアドレス「C」を設定したパケットを、一方代理ルータ10からは、宛先アドレスを通信相手端末CN1のアドレス「C」に、送信元アドレスに端末Node1のアドレス「D」を設定したパケットを送信する。また、図22の矢印(4)で示す端末Node1とモバイルルータMR間のパケットについては、端末Node1からは、宛先アドレスを通信相手端末CN1のアドレス「C」に、送信元アドレスに端末Node1のアドレス「D」を設定したパケットを、モバイルルータMRからは宛先アドレスを端末Node1のアドレス「D」に、送信元アドレスに通信相手端末CN1のアドレス「C」を設定したパケットを転送する。
次に図23を用いて制御シーケンスを説明する。アクセスルータAR1は、配下の端末、モバイルルータに周期的に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(モバイルルータMRが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)、さらには無線エリアArea#2における通信相手端末CN2のアドレス「E」、複数のエリアで一意の値となる通信相手端末CN2のID、および通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11のアドレス「J」を含めて送信する。
このルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動する前に、端末Node1の通信相手である通信相手端末CN2に対して、事前位置登録要求メッセージを送信する。この事前位置登録要求およびその応答メッセージは図22の矢印(6)のシーケンスに対応する。モバイルルータMRには、端末Node1のアドレス「D」、およびそのネットワークプレフィックス「F」、その通信相手である通信相手端末CNのIDの対応関係を事前に設定しておくものとする。モバイルルータMRは、ルータ広告に含まれるIDから、対応する端末Node1のネットワークプレフィックスを検索し、上記ルータ広告メッセージに含まれている代理ルータ11のアドレスに対して事前位置登録要求メッセージを送信する。事前位置登録要求メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、および次に移動する無線エリアArea#2における気付けアドレス「Y」、および端末Node1が属するサブネットのネットワークプレフィックス「F」を含める。
代理ルータ11は、端末の現在用いている気付けアドレスとホームアドレスとネットワークプレフィックスとの対応関係を記憶する位置登録テーブルと、端末の移動後に用いる気付けアドレスとホームアドレスとネットワークプレフィックスとの対応関係を記憶する事前位置登録テーブルとを有しており、代理ルータ11は、事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」、最適化対象のネットワークプレフィックス「F」の組を設定し、保存しておく。
また、モバイルルータMRは、ルータ広告メッセージに含まれる通信相手端末CN2のアドレス「E」をそのIDに対応する端末Node1に通知する。
モバイルルータMRは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2のネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、通信経路をアクセスルータAR2を介した通信経路に切替える。その際に、端末Node1に対して、移動通知メッセージを送信する。端末Node1は、移動通知メッセージの受信を契機に、通信相手端末CN2との通信を開始する。その際、端末Node1と通信相手端末CN2の代理となる代理ルータ11間で転送されるIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で説明した図6の(C)、(D)あるいは図9の(C)、(D)と同じであるが、アドレス「C」が通信相手端末CN2のアドレス「E」となる。
通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11は、モバイルルータMRから図6の(C)あるいは図9の(C)のパケットを受信した場合、モバイルルータMRとそれに収容される端末Node1が無線エリアArea#2に移動してきたと判断し、事前位置登録テーブルの内容を位置登録テーブルに移し、以降、端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックス「F」を宛先アドレスに含むパケットに対しては、位置登録テーブルの内容に従って、図6の(D)あるいは図9の(D)のヘッダ構成で、送信元アドレスとしてアドレス「E」を設定して送信する。
モバイルルータMRは移動完了後にホームエージェントHAに対して、モバイルルータMRの現在の気付けアドレスとホームアドレスの組を含む位置登録メッセージを送信し、ホームエージェントHAに位置変更を通知する。
なお、モバイルルータMRは、実施の形態3の図12を用いて説明したように、無線エリアArea#2(無線基地局AP2の配下=アクセスルータAR2の配下)に移動した直後に、代理ルータ11に対して移動完了通知を送信し、代理ルータ11がその受信をもって、モバイルルータMR、およびそれに収容される端末Node1が無線エリアArea#2に移動してきたと判断するようにしても良い。
また、上記では、ルータ広告に端末Node1の移動先での通信相手端末CN2のアドレス、ID、および通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11のアドレス「J」を含めていたが、これらの情報(通信相手端末CN2のアドレス、ID、代理ルータ11のアドレス)をモバイルルータMRに対して別のメッセージにて通知ようにしても良い。また、ホームエージェントHAがモバイルルータMRからの位置登録メッセージを受けて、上記アドレス情報を専用のメッセージにて、あるいは位置登録応答メッセージにてモバイルルータMRに通知し、モバイルルータMRから端末Node1に上記アドレス情報を通知するようにしても良い。
以上のように、実施の形態8においては、アクセスルータARはモバイルルータMRに対して事前に、モバイルルータMRの次の移動先での気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックス、移動先での端末Node1の通信相手端末CN2のアドレス、複数のエリアで一意の値である通信相手端末CN群のID、および通信相手端末CN2に対応する代理ルータ11のアドレスを通知し、モバイルルータMRはそのネットワークプレフィックスを元に気付けアドレスを生成し、通知された代理ルータ11のアドレスに対して、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレスおよび経路最適化対象のネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、代理ルータ11において移動先でのモバイルルータMRの気付けアドレス、ホームアドレスおよび対応するネットワークプレフィックスを記憶しておき、さらに、代理ルータ11はモバイルルータMRから移動後の新しい経路でのパケット受信検出、あるいはモバイルルータMRからの移動完了通知受信により、当該無線エリアにモバイルルータが移動してきたと判断し、経路最適化対象のネットワークプレフィックスを宛先アドレスに含むパケットをモバイルルータMRに送信する際、そのパケットの宛先アドレスに、事前に通知されていた気付けアドレスを設定するようにしているので、端末Node1とモバイルIPプロトコルをサポートしない通信相手端末CN2間で、移動直後から、モバイルルータMRに収容される端末Node1から見て通信相手端末CNが変更になっても、ホームエージェントHAを介することなく最短かつ最適経路で通信を開始することができる。
実施の形態9.
実施の形態9では、移動端末MNの通信相手端末CNが、移動端末MNの移動により変更になる場合、移動端末MNに対して通信相手端末CNのアドレス変更を隠蔽する経路最適化について説明する。
実施の形態9が適用されるネットワーク構成は図16に示したものと同じである。図24は、実施の形態9における制御メッセージのシーケンスを示す図である。図25は、実施の形態9における通信相手端末CNのアドレス変更を隠蔽するためにアクセスルータで行うアドレス変換方法を示す図である。
次に動作について説明する。図24において、アクセスルータAR1は、通信相手端末CNのアドレスとして、仮想アドレスと実IPアドレスとの対応表を記憶しており、配下の端末に周期的に送信するルータ広告メッセージに、無線基地局AP1が接続されるアクセスルータAR1のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線エリアArea#1のプレフィックス)、および無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(移動端末MNが次に移動する無線エリアArea#2のプレフィックス)、さらには通信相手端末CNの仮想アドレス(エニーキャストアドレス)CN−Aを含めて送信する。
このルータ広告メッセージを受信した移動端末MNは、移動後の通信相手端末CN2のアドレスとしてCN−Aを記憶する。また、移動端末MNは無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動する前に、通信相手端末CN2に対して事前位置登録要求メッセージを送信する。その際、通信相手端末CN2のアドレスとしては、記憶した仮想アドレスCN−Aを用いる。
あて先アドレスに仮想アドレスCN−Aを設定された事前位置登録要求メッセージを受信したアクセスルータAR1は、メッセージ種別が「事前位置登録要求」と認識すると、図25の(A)に示すように、受信した事前位置登録要求メッセージの宛先アドレスを仮想アドレスCN−Aから通信相手端末CN2のIPアドレス「E」に変更して、通信相手端末CN2に送信する。なお、アクセスルータAR1では、事前位置登録要求メッセージを受信した時に、仮想アドレスCN−Aを変換するアドレス情報「E」を事前に取得しておくものとする。
また、アクセスルータAR1は、事前位置登録要求メッセージを受信したした際、事前位置登録要求メッセージの送信元アドレス領域に含まれるアドレス(移動端末MNの気付けアドレス「X」)を記憶しておき、宛先アドレスとしてアドレス「X」を含むパケットを受信した際に、そのパケットが事前位置登録応答メッセージであることを検出した場合、図25の(B)に示すように、送信元アドレスを「X」から「CN−A」に変更して、移動端末MNに送信する。
通信相手端末CN2では、上記事前位置登録要求メッセージをアクセスルータAR1から受信すると、移動端末MNに対応する事前位置登録テーブルに、事前位置登録要求メッセージに含まれる、気付けアドレス「Y」、ホームアドレス「A」の組を設定記憶しておく。
移動端末MNは、アクセスルータAR2から無線エリアArea#2のネットワークプレフィックスを含むルータ広告を受信するか、あるいは無線基地局AP2との無線リンク確立を検出するかのいずれかの条件で、アクセスルータAR2経由の通信経路で通信相手端末CN2との通信を開始する。
アクセスルータAR2は、宛先アドレスに仮想アドレスCN−Aを含む移動端末MNから通信相手端末CN2に向けたパケットを受信した場合、図25の(A)に示すように、仮想アドレス「CN−A」を通信相手端末CN2のアドレス「E」に変更して、通信相手端末CN2に送信する。また、アクセスルータAR2は、通信相手端末CN2からパケットヘッダの送信元アドレスに通信相手端末CN2のアドレス「E」を含むパケットを受信した場合、図25の(B)に示すように、アドレス「E」を仮想アドレス「CN−A」に変更して、移動端末MNに送信する。なお、アクセスルータAR2を介した移動端末−通信相手端末CN2間のパケットは、移動端末MNの気付けアドレスが「Y」となるため、アクセスルータAR2を介した移動端末−通信相手端末CN2間のパケットについては、図25の(A)、(B)における送信元あるいは宛先アドレスに含まれるアドレス「X」は「Y」となる。なお、アクセスルータAR2では仮想アドレスCN−Aに対応する通信相手端末CN2のアドレス「E」を事前に設定しておくものとする。
通信相手端末CN2は、移動端末MNから新たな経路でのパケットを受信したことを検出した場合、事前位置登録テーブルの内容を位置登録テーブルに移し、以降、移動端末MNに対してはその位置登録テーブルの内容に従ってヘッダ部を作成する。
なお、上記では、ルータ広告に通信相手端末CNの仮想アドレス「CN−A」を含めるようにしていたが、移動端末MNに対して別のメッセージにて仮想アドレス「CN−A」を通知するようにしても良い。また、ホームエージェントHAが移動端末MNからの位置登録メッセージを受けて、専用のメッセージにて仮想アドレス「CN−A」を通知するようにしてもよく、さらには位置登録応答メッセージに仮想アドレス「CN−A」を含めるようにしても良い。さらに、アクセスルータAR1が、事前位置登録要求を受信した場合に、仮想アドレスCN−Aを変換する際、移動端末MNの移動方向により、次の通信相手端末CNが異なる場合には、移動端末MNが送信する事前位置登録要求の中に、移動方向を示すフラグ、あるいは気付けアドレスの変更履歴情報を含め、アクセスルータAR1がその情報から移動端末MNの移動先を特定し、移動先での通信相手端末CNのアドレスに変換するようにしても良い。
以上のように、実施の形態9においては、アクセスルータARは移動端末MNに対して、通信相手端末CNの仮想アドレスを通知し、さらに事前に、移動端末MNの次の移動先での気付けアドレスを生成するために必要なネットワークプレフィックスを通知するようにしており、移動端末MNはそのネットワークプレフィックスを元に気付けアドレスを生成し、通知された仮想アドレス宛に、移動端末MNの移動先での気付けアドレスとのホームアドレスを含む事前位置登録要求メッセージを送信し、アクセスルータARは事前位置登録要求メッセージを捕捉し、仮想アドレスを次の移動先での通信相手端末CNのアドレスに変換して通信相手端末CNに送信し、通信相手端末CNでは移動端末MNの移動先での気付けアドレスとホームアドレスを記憶し、さらに、通信相手端末CNは移動端末MNから移動後の新しい経路でのパケット受信検出により、通信経路が切替わったと判断し、通信相手端末CNから移動端末MNに送信するパケットの宛先アドレスに事前に通知されていた気付けアドレスを設定するようにしており、移動端末MNは仮想アドレスを用いて通信相手端末CNと通信するが、アクセスルータにて、仮想アドレスと実際に通信を行う通信相手端末CNのアドレスを変換するようにしているため、移動端末MNは通信相手端末CNの変更を意識することなく、かつ移動端末MNと通信相手端末CNは移動直後からホームエージェントHAを介することなく最短かつ最適経路で通信を開始することができる。
実施の形態10.
実施の形態10においては、モバイルルータMRに収容された端末の通信相手端末CNが、モバイルルータMRおよび端末の移動により変更になる場合、モバイルルータMRに収容された端末に対して通信相手端末CNのアドレス変更を隠蔽する経路最適化について説明する。
実施の形態10が適用されるネットワーク構成は図20に示したものと同じである。図26は、実施の形態10における制御メッセージのシーケンスを示す図である。図27は、実施の形態10における通信相手端末CNのアドレス変更を隠蔽するためにアクセスルータで行うアドレス変換方法を示す図である。
次に動作について説明する。図26において、モバイルルータMRは、通信相手端末CNに対する仮想アドレス(エニーキャストアドレス)と端末Node1との対応表をあらかじめ保持し、端末Node1に通信相手端末CNに対応する仮想アドレスを事前にあるいは周期的に通知する。このとき、モバイルルータMRは、通信相手端末CNに対応する仮想アドレスを、(a)複数の端末Nodeに対してそれぞれ通知する、(b)複数の端末Nodeが同一の通信相手端末CNと通信する場合には、グループマルチキャストで通知する、あるいは(c)ブロードキャストで全ての端末Nodeに一斉に通知するのいずれかの方法で通知する。
アクセスルータAR1、モバイルルータMR、通信相手端末CN2、ホームエージェントHAの動作は、実施の形態7と以下の点を除いて同じであり、重複する説明は省略する。異なる点は、モバイルルータMRは、無線エリアArea#2(アクセスルータAR2の配下)に移動後、端末Node1から宛先アドレスに仮想アドレスCN−Aを含むパケットを受信した場合、図27の(A)に示すように、仮想アドレス「CN−A」をアクセスルータAR1からのルータ広告に含まれる通信相手端末CN2のアドレス「E」に変更して、アウターカプセルヘッダによってカプセル化してアクセスルータAR1を介して通信相手端末CN2に送信するとともに、図27の(B)に示すように、通信相手端末CN2からのパケットのアウターカプセルヘッダを削除し、インナーヘッダの送信元アドレスに含まれる通信相手端末CN2のアドレス「E」を仮想アドレス「CN−A」に変更して端末Node1に送信する点である。
以上のように、実施の形態10においては、アクセスルータARはモバイルルータMRに対して、次の移動先での通信相手端末CN2の実アドレスを通知し、モバイルルータMRが、次の移動先での通信相手端末CN2に対して事前位置登録要求メッセージを送信し、通信相手端末CN2では移動端末MNの移動先での気付けアドレスとホームアドレスを記憶するとともに、移動後の新しい経路でのパケット受信検出により、通信経路が切替わったと判断し、通信相手端末CN2からモバイルルータMRに収容される端末Node1に送信するパケットの宛先アドレスに事前に通知されていた気付けアドレスを設定し、モバイルルータMRに収容される端末Node1は仮想アドレスを用いて通信相手端末CN2と通信するが、モバイルルータMRにおいて、仮想アドレスと実際に通信を行う通信相手端末CN2のアドレスを変換するようにしているため、モバイルルータMRに収容される端末Node1は通信相手端末CNのアドレス変更を意識することなく、かつ、端末Node1と通信相手端末CNは移動直後からホームエージェントHAを介することなく最短かつ最適経路で通信を開始することができる。
実施の形態11.
実施の形態11では、2つの無線システム(無線システムA,B)の無線カバーエリアがオーバラップし、一方の無線システムA(以下無線Aと略す)の無線エリアが隣のエリアと接するように連続的に配置され、他方の無線システムB(以下無線Bと略す)の無線エリアが不連続にスポット的(間欠的)に配置される場合、スポット的に配置された無線システムBの無線エリア内においてのみ、モバイルルータMRに収容された端末、あるいは移動端末MNが、通信相手端末CNと通信する際の経路最適化について説明する。例えば、無線システムAは、狭帯域通信システムであり、無線システムBは広帯域通信システムである。
図28は、実施の形態11におけるネットワーク構成を示す図である。図28において、り、モバイルルータMRは、無線システムAのエリア#A1内では無線基地局AP1と、無線システムBのエリアArea#B1内では無線基地局AP3と、無線システムAのエリアArea#A2内では無線基地局AP2と、無線システムBのエリアArea#B2内では無線基地局AP4とそれぞれ通信可能であり、モバイルルータMRに収容される端末Node1は通信相手端末CNと、無線BのエリアArea#B1およびArea#B2内でのみ通信を行う。無線基地局AP1,AP3は、アクセスルータAR1に接続され、無線基地局AP2,AP4は、アクセスルータAR2に接続されている。図29は、実施の形態11における制御メッセージのシーケンスを示す図である。
次に動作について説明する。図28において、端末Node1を収容するモバイルルータMRは、当初、無線Aの無線基地局AP1の配下に存在する。そのとき、図29に示すように、無線Aの無線基地局AP1を収容するアクセスルータAR1は、周期的に、無線基地局AP1が接続されるインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(在圏する無線Aの無線エリアArea#A1のプレフィックス)、無線Aの隣接無線基地局AP2が接続されるアクセスルータAR2のインタフェース回線に割当てられたネットワークプレフィックス(モバイルルータMRが次に移動する無線Aの無線エリアArea#A2のプレフィックス)、および次に移動する無線Bの無線エリアArea#B1のネットワークプレフィックスをルータ広告にて報知している。
このルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、無線BのArea#B1(無線基地局AP3の配下)に移動する前に、配下のNode1と通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するため、通信相手端末CNに対して無線Bエリア#B1用事前位置登録要求メッセージを、無線Aの無線基地局AP1、アクセスルータAR1を介して送信する。なお、モバイルルータMRには、Node1のアドレス「D」、およびそのネットワークプレフィックス「F」、その通信相手端末CNのアドレス「C」を事前に設定しておくものとする。事前位置登録要求メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「J」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
また、モバイルルータMRはホームエージェントHAに対して、無線Aの無線エリアArea#A1の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Aの無線エリアArea#A1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「X」、及び配下のネットワークのプレフィックス「F」を含める。
通信相手端末CNは、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「J」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
モバイルルータMRが移動し無線Bの無線エリアArea#B1内に到達すると、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線Bの接続通知が送信される。モバイルルータMRは、この無線Bの接続通知を受信すると、端末Node1に接続通知を送信する。
端末Node1は、モバイルルータMRから接続通知を受け取ると、通信相手端末CNと通信を開始する。モバイルルータMRは、通信相手端末CN宛のパケットを端末Node1から受信すると、無線基地局AP3,アクセスルータAR1を介して、通信相手端末CNにパケットを転送する。その際、モバイルルータMRが通信相手端末CNに転送するIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で用いた図6の(A)あるいは図9の(A)と同じである。ただし、この場合は、アウターヘッダの送信元アドレスのアドレス「X」は、モバイルルータMRの無線Bの無線エリアArea#B1における気付けアドレス「J」となる。
通信相手端末CNは、図6(A)あるいは図9(A)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶されたモバイルルータMRについての気付けアドレス(この場合「J」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「J」)との一致に基づき、モバイルルータMRが無線Bの無線エリアArea#B1に移動してきたと判断し、モバイルルータMRさらに端末Node1にパケットを転送する際には、図6の(B)あるいは図9の(B)に示したIPパケットを生成して送信する。この場合、アウターヘッダの宛先アドレスのアドレス「X」は、アドレス「J」となる。
このようなIPヘッダにより、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAを経由せずに、無線基地局AP3,アクセスルータAR1を介して、通信相手端末CNと直接通信が可能になる。
なお、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線Bの無線エリアArea#B1の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「J」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
一方、モバイルルータMRが移動し、無線Bの無線エリアArea#B1からはずれた場合、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線B切断通知が送信される。モバイルルータMRは、無線B切断通知を受信すると、端末Node1に切断通知を送信する。端末Node1は切断通知を受信すると、無線B経由での通信相手端末CNへのパケット転送を停止する。
モバイルルータMRは、無線Aを用いて(無線基地局AP1、アクセスルータAR1を経由して)、ホームエージェントHAおよび通信相手端末CNに対して、それぞれ、無線Bの無線エリアArea#B1から移動し、無線Bでの通信が不可になったことを示すため、位置登録取り消しメッセージを送信する。これらの位置登録取り消しメッセージでは、メッセージに含まれる有効時間(Life Time)領域を0に設定したものとする。
なお、アクセスルータAR1は、モバイルルータMRが無線Bに接続された後は、無線Bの無線基地局AP3を介して、無線Bの無線エリアArea#B1におけるネットワークプレフィックス、および次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)におけるネットワークプレフィックスを含むルータ広告を周期的に送信している。
無線Bの無線エリアArea#B1内で、上記ルータ広告を受信したモバイルルータMRは、次の無線Bの次移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)におけるネットワークプレフィックスを記憶しておき、無線B切断通知受信後に、無線A(無線基地局AP1、アクセスルータAR1)を介して、通信相手端末CNに、次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)における気付けアドレスを含む事前位置登録メッセージを送信する。この事前位置登録メッセージには、無線Bの無線エリアArea#B2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「K」(このアドレスは、前記ルータ広告のネットワークプレフィックスとモバイルルータMRのMACアドレスから生成する)、モバイルルータMRのホームアドレス「A」および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含む。
通信相手端末CNは、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「K」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
また、モバイルルータMRはアクセスルータAR1から無線Aを介して受信したルータ広告に含まれる無線Aの次移動先(無線Aの無線エリアArea#A2)でのネットワークプレフィックスから、無線エリアArea#A2での気付けアドレス「Y」を生成し、モバイルルータMRのホームアドレス「A」を含めてホームエージェントHAに、位置登録メッセージを送信する。
モバイルルータMRがさらに移動し無線Bの無線エリアArea#B2内に到達すると、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線Bの接続通知が送信される。モバイルルータMRは、無線Bの接続通知を受信すると、端末Node1に接続通知を送信する。
端末Node1は、モバイルルータMRから接続通知を受け取ると、通信相手端末CNと通信を開始する。モバイルルータMRは、通信相手端末CN宛のパケットを端末Node1から受信すると、無線基地局AP4,アクセスルータAR2を介して、通信相手端末CNにパケットを転送する。その際、モバイルルータMRが通信相手端末CNに転送するIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態2で用いた図6の(A)あるいは図9の(A)と同じである。ただし、この場合は、アウターヘッダの送信元アドレスのアドレス「X」は、モバイルルータMRの無線Bの無線エリアArea#B2における気付けアドレス「K」となる。
通信相手端末CNは、図6(A)あるいは図9(A)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶されたモバイルルータMRについての気付けアドレス(この場合「K」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「K」)との一致に基づき、モバイルルータMRが無線Bの無線エリアArea#B2に移動してきたと判断し、モバイルルータMRさらに端末Node1にパケットを転送する際には、図6の(B)あるいは図9の(B)に示したIPパケットを生成して送信する。この場合、アウターヘッダの宛先アドレスのアドレス「X」は、アドレス「K」となる。
このようなIPヘッダにより、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAを経由せずに、無線基地局AP4,アクセスルータAR2を介して、通信相手端末CNと直接通信が可能になる。
モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線Bの無線エリアArea#B2の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「K」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
その後、モバイルルータMRが移動し無線Bの無線エリアArea#B2からはずれた場合、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機からモバイルルータMRに対して無線B切断通知が送信される。モバイルルータMRは、無線B切断通知を受信すると、端末Node1に切断通知を送信する。端末Node1は切断通知を受信すると、無線B経由での通信相手端末CNへのパケット転送を停止する。
なお、通信相手端末CNはモバイルルータMRからの移動完了通知の受信により、通信経路が切替わったと判断するようにしても良い。
以上のように、実施の形態11では、モバイルルータMRが常時通信可能な無線システムAのエリアと、エリアが不連続に配置されスポット的な通信を行う無線システムBのエリアが同一場所にオーバラップして配置される無線システムにおいて、アクセスルータARは無線Aまたは無線Bを用いてモバイルルータMRに対して事前に、無線Bのエリアでの気付けアドレスの生成に必要なネットワークプレフィックスを通知し、モバイルルータMRはそのネットワークプレフィックスを元に無線Bのエリアでの気付けアドレスを生成し、配下の端末Node1の通信先である通信相手端末CNに対して、端末Node1と通信相手端末CN間での最適化通信経路を設定するために、無線Bのエリアでの気付けアドレス、モバイルルータMRのホームアドレス、および端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを無線Aを用いて送信し、通信相手端末CNにおいて、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレス、および経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを記憶しておき、さらに、通信相手端末CNはモバイルルータMRからの移動後の気付けアドレスを送信元アドレス領域に持つパケット受信により、モバイルルータMRの移動に伴い通信経路が切替わったと判断し、経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを持つアドレス宛に送信するパケットに関して、宛先アドレスに設定する気付けアドレスを記憶している移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているので、モバイルルータMRに収容される端末Node1と通信相手端末CN間では移動直後から、ホームエージェントHAを介することなく、最短経路で通信を継続することができる。
実施の形態12.
実施の形態11では、端末Node1の通信相手端末CNが1つの場合における経路最適化の方法を示したが、実施の形態12では、実施の形態11と同様、2つの無線システムA,Bの無線カバーエリアがオーバラップしている無線システムにおいて、端末Node1の通信相手端末CNが移動先ごとに異なる場合についての経路最適化について説明する。
図30は、実施の形態12におけるネットワーク構成を示す図である。図30において、モバイルルータMRは、無線Aのエリア#A1内では無線基地局AP1と、無線BのエリアArea#B1内では無線基地局AP3と、無線AのエリアArea#A2内では無線基地局AP2と、無線BのエリアArea#B2内では無線基地局AP4とそれぞれ通信可能であり、モバイルルータMRに収容される端末Node1は通信相手端末CNと、無線BのエリアArea#B1およびArea#B2内でのみ通信を行う。ただし、端末Node1は無線BのエリアArea#B1では通信相手端末CN1と、無線BのエリアArea#B2では通信相手端末CN2と通信する。図31は、実施の形態12における制御メッセージのシーケンスを示す図である。
次に動作について説明する。図30において、端末Node1を収容するモバイルルータMRは、当初、無線Aの無線基地局AP1の配下に存在する。そのとき、図31に示すように、無線Aの無線基地局AP1を収容するアクセスルータAR1は、周期的に、在圏する無線Aの無線エリアArea#A1のプレフィックス、無線Aの次移動先の無線エリアArea#A2のプレフィックス、無線Bの次移動先の無線エリアArea#B1におけるプレフィックス、および無線エリアArea#B1における通信相手端末CN1のアドレスをルータ広告にて報知している。
このルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、端末Node1に対して通信相手端末CN1のアドレスを通知するとともに、無線Bの無線エリアArea#B1(無線基地局AP3の配下)に移動する前に、配下のNode1と通信相手端末CN1間での最適化通信経路を設定するため、通信相手端末CN1に対して無線Bエリア#B1事前位置登録要求メッセージを、無線Aの無線基地局AP1、アクセスルータAR1を介して送信する。この事前位置登録要求メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「J」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
また、モバイルルータMRはホームエージェントHAに対して、無線Aの無線エリアArea#A1の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Aの無線エリアArea#A1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「X」、及び配下のネットワークのプレフィックス「F」を含める。
通信相手端末CN1は、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「J」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
モバイルルータMRが移動し無線Bの無線エリアArea#B1内に到達すると、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線Bの接続通知が送信される。モバイルルータMRは、この無線Bの接続通知を受信すると、端末Node1に接続通知を送信する。
端末Node1は、モバイルルータMRから接続通知を受け取ると、通信相手端末CN1と通信を開始する。モバイルルータMRは、通信相手端末CN1宛のパケットを端末Node1から受信すると、無線基地局AP3,アクセスルータAR1を介して、通信相手端末CN1にパケットを転送する。その際、モバイルルータMRが通信相手端末CN1に転送するIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態11と同様、実施の形態2で用いた図6の(A)あるいは図9の(A)と同じである。ただし、この場合は、アウターヘッダの送信元アドレスのアドレス「X」は、モバイルルータMRの無線Bの無線エリアArea#B1における気付けアドレス「J」となる。
通信相手端末CN1は、実施の形態11と同様、図6(A)あるいは図9(A)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶されたモバイルルータMRについての気付けアドレス(この場合「J」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「J」)との一致に基づき、モバイルルータMRが無線Bの無線エリアArea#B1に移動してきたと判断し、モバイルルータMRさらに端末Node1にパケットを転送する際には、図6の(B)あるいは図9の(B)に示したIPパケットを生成して送信する。この場合、実施の形態11と同様、アウターヘッダの宛先アドレスのアドレス「X」は、アドレス「J」となる。
このようなIPヘッダにより、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAを経由せずに、無線基地局AP3,アクセスルータAR1を介して、通信相手端末CN1と直接通信が可能になる。
なお、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線Bの無線エリアArea#B1の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「J」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
一方、モバイルルータMRが移動し、無線Bの無線エリアArea#B1からはずれた場合、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線B切断通知が送信される。モバイルルータMRは、無線B切断通知を受信すると、端末Node1に切断通知を送信する。端末Node1は切断通知を受信すると、無線B経由での通信相手端末CNへのパケット転送を停止する。
モバイルルータMRでは、無線Aを用いて(無線基地局AP1、アクセスルータAR1を経由して)、ホームエージェントHAおよび通信相手端末CN1に対して、それぞれ、無線Bの無線エリアArea#B1から移動し、無線Bでの通信が不可になったことを示すため、位置登録取り消しメッセージを送信する。
なお、アクセスルータAR1は、モバイルルータMRが無線Bに接続された後は、無線Bの無線基地局AP3を介して、無線Bの無線エリアArea#B1におけるネットワークプレフィックス、次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)におけるネットワークプレフィックスおよび無線B次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)における通信相手端末CN2のアドレスを含むルータ広告を周期的に送信している。
無線Bの無線エリアArea#B1内で、上記ルータ広告を受信したモバイルルータMRは、端末Node1に対して無線Bの次の無線エリアArea#B2で通信相手端末CN2のアドレスを通知するとともに、次の無線Bの次移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)におけるネットワークプレフィックスから無線エリアArea#B2での気付けアドレス「K」を生成しておき、無線B切断通知受信後に、無線A(無線基地局AP1、アクセスルータAR1)を介して、通信相手端末CN2に、次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2)における気付けアドレス「K」を含む事前位置登録メッセージを送信する。この事前位置登録メッセージには、無線Bの無線エリアArea#B2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「K」(このアドレスは、前記ルータ広告のネットワークプレフィックスとモバイルルータMRのMACアドレスから生成する)、モバイルルータMRのホームアドレス「A」および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含む。
通信相手端末CNは、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「K」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
また、モバイルルータMRはアクセスルータAR1から無線Aを介して受信したルータ広告に含まれる無線Aの次移動先(無線Aの無線エリアArea#A2)でのネットワークプレフィックスから、無線エリアArea#A2での気付けアドレス「Y」を生成し、モバイルルータMRのホームアドレス「A」を含めてホームエージェントHAに、位置登録メッセージを送信する。
モバイルルータMRがさらに移動し無線Bの無線エリアArea#B2内に到達すると、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線Bの接続通知が送信される。モバイルルータMRは、無線Bの接続通知を受信すると、端末Node1に接続通知を送信する。
端末Node1は、モバイルルータMRから接続通知を受け取ると、通信相手端末CN2と通信を開始する。モバイルルータMRは、通信相手端末CN2宛のパケットを端末Node1から受信すると、無線基地局AP4,アクセスルータAR2を介して、通信相手端末CN2にパケットを転送する。その際、モバイルルータMRが通信相手端末CNに転送するIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態11と同様、実施の形態2で用いた図6の(A)あるいは図9の(A)と同じである。ただし、この場合は、アウターヘッダの送信元アドレスのアドレス「X」は、モバイルルータMRの無線Bの無線エリアArea#B2における気付けアドレス「K」となり、通信相手端末CNのアドレス「C」は通信相手端末CN2のアドレス「E」となる。
通信相手端末CN2は、図6(A)あるいは図9(A)のパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルに記憶されたモバイルルータMRについての気付けアドレス(この場合「K」)と、受信したパケットのヘッダ部の送信元アドレス領域に設定された送信元アドレス(この場合「K」)との一致に基づき、モバイルルータMRが無線Bの無線エリアArea#B2に移動してきたと判断し、モバイルルータMRさらに端末Node1にパケットを転送する際には、図6の(B)あるいは図9の(B)に示したIPパケットを生成して送信する。この場合、アウターヘッダの宛先アドレスのアドレス「X」は、アドレス「K」となり、通信相手端末CNのアドレス「C」は通信相手端末CN2のアドレス「E」となる。
このようなIPヘッダにより、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAを経由せずに、無線基地局AP4,アクセスルータAR2を介して、通信相手端末CN2と直接通信が可能になる。
モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線Bの無線エリアArea#B2の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「K」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
その後、モバイルルータMRが移動し無線Bの無線エリアArea#B2からはずれた場合、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機からモバイルルータMRに対して無線B切断通知が送信される。モバイルルータMRは、無線B切断通知を受信すると、端末Node1に切断通知を送信する。端末Node1は切断通知を受信すると、無線B経由での通信相手端末CNへのパケット転送を停止する。
なお、通信相手端末CN1,CN2はモバイルルータMRからの移動完了通知の受信により、通信経路が切替わったと判断するようにしても良い。
以上のように、実施の形態12では、モバイルルータMRが常時通信可能な無線システムAのエリアと、エリアが不連続に配置されスポット的な通信を行う無線システムBのエリアが同一場所にオーバラップして配置される無線システムにおいて、移動先エリアで、モバイルルータMR配下の端末Node1の通信相手端末CNが異なる場合、アクセスルータARは無線Aまたは無線Bを用いてモバイルルータMRに対して事前に、無線Bのエリアでの気付けアドレスの生成に必要なネットワークプレフィックスと移動先での通信相手端末CNのアドレスを通知し、モバイルルータMRは前記ネットワークプレフィックスを元に無線Bのエリアでの気付けアドレスを生成し、通知された通信相手端末CNのアドレスに対して、無線Bのエリアでの気付けアドレス、モバイルルータMRのホームアドレス、および端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを無線Aを用いて送信し、通信相手端末CNにおいて、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレス、および経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを記憶しておき、さらに、通信相手端末CNはモバイルルータMR側の移動検出によりモバイルルータMRの移動に伴い通信経路が切替わったと判断し、経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを持つアドレス宛に送信するパケットに関して、宛先アドレスに設定する気付けアドレスを移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているので、モバイルルータMRに収容される端末Node1と通信相手端末CN間では移動直後から、ホームエージェントHAを介することなく、最短かつ最適経路で通信を継続することができる。
実施の形態13.
実施の形態12では、無線システムBのエリアは不連続でスポット的に配置されていたケースを示したが、実施の形態13では、無線システムBのエリアが居所的に連続して複数配置される場合のモバイルルータMR配下の端末Node1と通信相手端末CN1、CN2間の経路最適化について説明する。
図32は、実施の形態13におけるネットワーク構成を示す図である。モバイルルータMRは、無線Aのエリア#A1内では無線基地局AP1と、無線Bのエリア#B1-1内では無線基地局AP3-1と、無線Bのエリア#B1-2内では無線基地局AP3-2と、無線Aのエリア#A2内では無線基地局AP2と、無線Bのエリア#B2-1内では無線基地局AP4-1と、無線Bのエリア#B2-2内では無線基地局AP4-2とそれぞれ通信可能であり、モバイルルータMRに収容される端末Node1は通信相手端末CNと、無線BのエリアArea#B1-1,Area#B1-2およびArea#B2-1,Area#B2-2内でのみ通信を行う。ただし、端末Node1は無線BのエリアArea#B1-1,Area#B1-2では通信相手端末CN1と、無線BのエリアArea#B2-1,Area#B2-2では通信相手端末CN2と通信する。図33は、実施の形態13における制御メッセージのシーケンスを示す図である。
次に動作について説明する。図32において、端末Node1を収容するモバイルルータMRは、最初は、無線Aの無線基地局AP1の配下に存在し、無線AのエリアArea#A1内を移動し、無線BのエリアArea#B1-1,#B1-2へと移動するとする。なお、無線AのエリアArea#A1は、無線BのエリアArea#B1-1,#B1-2のエリアとオーバラップしており、無線Bで通信している間も、無線Aを用いてアクセスルータAR1、ホームエージェントHA、あるいはネットワーク内の他の装置と通信することは可能である。その後、モバイルルータMRは、無線Aの無線基地局AP2の配下に移動し、さらに無線BのエリアArea#B2-1,#B2-2に移動するとする。無線AのエリアArea#A2は、無線BのエリアArea#B2-1,#B2-2のエリアとオーバラップしている。
無線Aの無線基地局AP1を収容するアクセスルータAR1は、周期的に、在圏する無線AのエリアArea#A1のプレフィックス、無線Aの次に移動するエリアArea#A2のプレフィックス、無線BのエリアArea#B1-1におけるプレフィックス、およびArea#B1-1における通信相手端末CN1のアドレス「C」をルータ広告にて報知している。
このルータ広告メッセージを受信したモバイルルータMRは、端末Node1に対して通信相手端末CN1のアドレスを通知するとともに、無線BのエリアArea#B1-1(無線基地局AP3-1の配下)に移動する前に、通知された通信相手端末CN1のアドレスに対して無線Bエリア#B1-1用事前位置登録要求メッセージを、無線Aの無線基地局AP1、アクセスルータAR1を介して送信する。この事前位置登録要求メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線BのエリアArea#B1-1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「J」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
また、モバイルルータMRはホームエージェントHAに対して、無線AのエリアArea#A1の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線AのエリアArea#A1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「X」、及び配下のネットワークのプレフィックス「F」を含める。
通信相手端末CN1は、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「J」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
モバイルルータMRが移動し無線Bの無線エリアArea#B1-1内に到達すると、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線BのエリアArea#B1-1への接続通知が送信される。モバイルルータMRは、この無線エリアArea#B1-1の接続通知を受信すると、端末Node1に接続通知を送信する。
端末Node1は、モバイルルータMRから接続通知を受け取ると、通信相手端末CN1と通信を開始する。モバイルルータMRは、通信相手端末CN1宛のパケットを端末Node1から受信すると、無線基地局AP3−1,アクセスルータAR1を介して、通信相手端末CN1にパケットを転送する。その際、モバイルルータMRが通信相手端末CN1に転送するIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態12と同様である。
通信相手端末CN1は、実施の形態12と同様、端末Node1からのパケットを受信した場合、事前位置登録テーブルの記憶内容に基づき、モバイルルータMR(端末Node1)が無線Bの無線エリアArea#B1-1に移動してきたと判断し、事前位置登録テーブルの記憶内容で位置登録テーブルの記憶内容を更新するとともに、モバイルルータMRさらに端末Node1にパケットを転送する際には、更新した位置登録テーブルの記憶内容に対応するIPパケットを生成して送信する。
このようなIPヘッダにより、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAを経由せずに、無線基地局AP3−1,アクセスルータAR1を介して、通信相手端末CN1と直接通信が可能になる。
なお、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線Bの無線エリアArea#B1-1の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B1-1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「J」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
アクセスルータAR1は、モバイルルータMRが無線エリアArea#B1-1に移動してきた後は、無線Bの無線基地局AP3−1を介して、無線Bの無線エリアArea#B1-1におけるネットワークプレフィックス、次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B1-2)におけるネットワークプレフィックスを含むルータ広告を周期的に送信している。
このルータ広告を受信したモバイルルータMRは、次の移動先(無線BのArea#B1-2)におけるネットワークプレフィックスから気付けアドレス「L」を生成し、無線A(無線A基地局AP1、アクセスルータAR1)を介して、通信相手端末CN1に、次の移動先である無線BのエリアArea#B1-2における気付けアドレス「L」を含む事前位置登録メッセージを送信する。この事前位置登録メッセージには、無線BのエリアArea#B1-2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「L」、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含む。
通信相手端末CN1は、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「L」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
モバイルルータMRが無線BのエリアArea#B1-1からエリアArea#B1-2に移動した場合、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線BのエリアArea#B1-2への接続通知が送信される。
モバイルルータMRは、この接続通知の受信を契機に、通信相手端末CN1宛のパケットを無線基地局AP3−2およびアクセスルータAR1の経路を介して転送する。その際、モバイルルータMRが通信相手端末CN1に転送するIPパケットのヘッダ構成は、実施の形態12と同様である。
通信相手端末CN1は、モバイルルータMRから新しい気付けアドレス「L」を送信元アドレスに持つパケットを受信すると、事前位置登録テーブルの記憶内容から経路が変更になったと認識し、モバイルルータMR配下の端末Node1の属するプレフィックス「F」宛のパケットを受信した際には、新たな気付けアドレス「L」宛にパケットを送信する。
なお、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線Bの無線エリアArea#B1-2の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線Bの無線エリアArea#B1-2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「L」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含める。
アクセスルータAR1は、モバイルルータMRが無線エリアArea#B1-2に移動してきた後は、無線Bの無線基地局AP3−2を介して、無線Bの無線エリアArea#B1-2におけるネットワークプレフィックス、次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2-1)におけるネットワークプレフィックス、およびエリアArea#B2-1における通信相手端末CN2のアドレス「E」を含むルータ広告を周期的に送信している。
このルータ広告を受信したモバイルルータMRは、次の移動先(無線BのエリアArea#B2-1)におけるネットワークプレフィックスから気付けアドレス「K」を生成しておくとともに、端末Node1に対して、次の移動先での通信相手端末CN2のアドレス「E」を送信する。
一方、モバイルルータMRの移動により無線BのArea#1-2の外に移動した場合、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線BのArea#B1-2の切断通知が送信される。モバイルルータMRは、無線BのArea#B1-2切断通知を受信すると、端末Node1に切断通知を送信する。端末Node1は切断通知を受信すると、無線B経由での通信相手端末CN1へのパケット転送を停止する。
また、モバイルルータMRは、無線Aを用いて(無線基地局AP1、アクセスルータAR1を経由して)、ホームエージェントHA、および通信相手端末CN1に対して、それぞれ、無線BのArea#B1-2から移動し、無線Bでの通信が不可になったことを示すため、位置登録取り消しメッセージを送信する。次に、無線A area#A2に移動したことを、例えば、図示していないが無線A対応の無線機からの接続通知により検出した際、モバイルルータMRはホームエージェントHAに対して、無線AのエリアArea#A2の位置登録を行う。この位置登録メッセージには、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、無線AのエリアArea#A2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「Y」、及び配下のネットワークのプレフィックス「F」を含める。
その後、モバイルルータMRは、無線A(無線Aの基地局AP1、アクセスルータAR1)を介して、通信相手端末CN2に、次の移動先である無線BのエリアArea#B2-1における気付けアドレス「K」を含む事前位置登録メッセージを送信する。この事前位置登録メッセージには、無線BのエリアArea#B2-1におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「K」、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含む。
通信相手端末CN2は、上記事前位置登録要求メッセージを受信すると、事前位置登録テーブルに、気付けアドレス「K」、ホームアドレス「A」、対応するネットワークプレフィックス「F」を設定し記憶しておく。
モバイルルータMRが移動し無線BのエリアArea#B2-1内に到達すると、モバイルルータMRに接続された無線B対応の無線機から、モバイルルータMRに対して無線BのArea#B2-1のの接続通知が送信される。モバイルルータMRは、この接続通知を受信すると、端末Node1に接続通知を送信する。
端末Node1は、モバイルルータMRから接続通知を受け取ると、通信相手端末CN2と通信を開始する。モバイルルータMRは、通信相手端末CN2宛のパケットを受信すると、無線基地局AP4-1,アクセスルータAR2を介して、通信相手端末CN2にパケットを転送する。その際の端末Node1、モバイルルータMR、通信相手端末CN2間で転送されるパケットヘッダの構成は、実施の形態12と同じである。ただし、通信相手端末CNのアドレスが格納される部分(アドレス「C」が格納)には、通信相手端末CN2のアドレス「E」が設定される。
通信相手端末CN2は、モバイルルータMRから新しい気付けアドレスを送信元アドレスに持つパケットを受信すると、事前位置登録テーブル記憶内容に基づいて経路が変更になったと認識し、モバイルルータMR配下の端末Node1の属するプレフィックス「F」宛のパケットを受信した際には、新たな気付けアドレス「K」宛にパケットを送信する。
無線BのArea#B2-1のエリアでは、アクセスルータAR1は、無線Bの無線基地局AP4−1を介して、無線Bの無線エリアArea#B2-2におけるネットワークプレフィックス、次の移動先(無線Bの無線エリアArea#B2-2)におけるネットワークプレフィックスを含むルータ広告を周期的に送信している。
このルータ広告を受信したモバイルルータMRは、次の移動先(無線BのエリアArea#B2-2)におけるネットワークプレフィックスから気付けアドレス「M」を生成し、無線基地局AP2を介して、通信相手端末CN2に事前位置登録メッセージを送信する。この事前位置登録メッセージには、無線BのエリアArea#B2-2におけるモバイルルータMRの気付けアドレス「M」、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、および端末Node1が属するネットワークのプレフィックス「F」を含む。
また、モバイルルータMRは、ホームエージェントHAに対して、無線BのエリアArea#B2-1での気付けアドレス「Y」、モバイルルータMRのホームアドレス「A」、気付けアドレスに対応するネットワークプレフィックス「F」を含む位置登録メッセージを送信し、該当するネットワークプレフィックス「F」を宛先アドレスに含むパケットを、対応する気付けアドレス「Y」宛に転送できるようにしておく。
モバイルルータMRがさらに移動し、無線BのエリアArea#B2-2のエリア内に移動した場合には、無線Bの無線機からArea#2-2接続通知が送信されるため、それを契機に、Area#B2-2で用いる気付けアドレス「M」を用いて通信を開始する。
以上のように、実施の形態13では、モバイルルータMRが常時通信可能な無線システムAと、エリアが不連続に配置されスポット的な通信を行う無線システムBが、同一場所にオーバラップして配置される場合で、かつ無線システムBが局所的に連続的に配置される場合、アクセスルータARは無線Aまたは無線Bを用いてモバイルルータMRに対して事前に、最も近い無線Bのエリア#B1-1での気付けアドレスの生成に必要なネットワークプレフィックスを通知し、モバイルルータMRはこのネットワークプレフィックスを元に無線Bのエリア#B1-1での気付けアドレスを生成し、通信相手端末CNのアドレスに対して、無線Bのエリアでの気付けアドレス、モバイルルータMRのホームアドレス、および端末Node1の属するサブネットのネットワークプレフィックスを含む事前位置登録要求メッセージを無線Aを用いて送信し、通信相手端末CNにおいて、モバイルルータMRの移動先での気付けアドレスとホームアドレス、および経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを記憶しておき、モバイルルータMRから移動後の新しい経路でのパケット受信検出より、モバイルルータMRの移動に伴い通信経路が切替わったと判断し、経路最適化対象となるネットワークプレフィックスを持つアドレス宛に送信するパケットに関して、宛先アドレスに設定する気付けアドレスを記憶している移動後の気付けアドレスに切替えるようにしているため、モバイルルータMRに収容される端末Node1と通信相手端末CN間では移動直後から、ホームエージェントHAを介することなく、最短経路で通信を継続することができる。さらに、無線Bのエリア#B1-1において、隣接するエリア#B1-2で用いる気付けアドレスを事前に通信相手端末CNに事前位置登録メッセージで通知するようにしているため、スポット通信区間が連続する場合でも、移動直後から、ホームエージェントHAを介することなく、最短経路で通信を継続することができる。
なお、上記では、アクセスルータは、移動先でのネットワークプレフィックスをルータ広告で通知していたが、移動先でのネットワークプレフィックスを含む専用のメッセージにて通知するようにしても良い。