JP2007096063A - レーザ装置、レーザ加工方法、被レーザ加工物及び被レーザ加工物の生産方法。 - Google Patents

レーザ装置、レーザ加工方法、被レーザ加工物及び被レーザ加工物の生産方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 共振器中にモード制限アパーチャを有し、高品質なレーザ光を発生することが可能なレーザ装置を供給する。
【解決手段】 レーザ媒質5と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、レーザ媒質5と部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャ4aを配置し、該モード制限アパーチャ4aにはアパーチャ孔を通過せずに孔周辺部で反射、散乱したレーザ光がレーザ媒質5に入射することを防止する反射防止手段を設ける。
【選択図】 図4

Description

この発明は、共振器中にモード制限アパーチャまたは偏光分離手段を挿入したレーザ装置に関する。
従来例1のレーザ装置を図15に示す。従来例1のレーザ装置では、図示しない励起手段により励起されレーザ媒質5が放出したフォトンがレーザ媒質5の周りにある例えば部分反射鏡2と全反射鏡1からなるレーザ共振器中を往復することによってレーザ媒質中で誘導放出が発生しレーザ光に正帰還が生じレーザ発振が起こる。発振したレーザ光3は共振器中を往復することによりモード制限アパーチャ4で制限され、横モードと呼ばれる固有モードを形成する。この固有モードによりレーザ光のビーム品質が決定される。一般にビーム品質はMと呼ばれる数値で評価可能である。発振したレーザ光6は部分反射鏡2から出力される。この出射ビームにおける偏光、発振波長、出力及びMがレーザ加工における加工品質を決定する(例えば特許文献1)。
従来例2のレーザ装置を図16に示す。従来例2のレーザ装置は、従来例1のレーザ装置にさらにブリュースタープレートなどの偏光分離手段8を設けたものである。これにより、部分反射鏡2から取り出されるレーザ光6の偏光を直線偏光に固定することができる。
特開平4−286174号公報
従来のレーザ装置では、モード制限アパーチャが全反射鏡とレーザ媒質の間に配置されていたので、モード制限アパーチャで発生する回折光が、レーザ媒質で増幅された後にレーザ光が出力される為、ビーム品質が悪化するという問題があった。
また、従来のレーザ装置では、偏光分離手段が全反射鏡とレーザ媒質の間に配置されていたので、偏光分離手段により直線偏光化されたレーザ光が、複屈折性を有する液体や固体のレーザ媒質を通過した後に出力される場合、直線偏光度が悪化するという問題があった。
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、高品質なレーザ光もしくは直線偏光度の高いレーザ光を発生することが可能なレーザ装置を供給することを目的としている。
この発明に係るレーザ装置においては、レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にレーザ光がレーザ媒質に反射することを防止する反射防止手段を設けたモード制限アパーチャを有することを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ装置においては、レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上に前記レーザ媒質側の側面の孔周縁部がレーザ光をレーザ媒質以外の方向に導く傾斜面となっていて前記部分反射鏡側の側面の孔周縁部がレーザ媒質側の孔を部分反射鏡側の孔より小さくするような傾斜面となっているモード制限アパーチャと、前記モード制限アパーチャ周辺に前記傾斜面で反射した光を受けるレーザ用ダンパーと、を有することを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ装置においては、レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上に前記部分反射鏡側の側面の孔周縁部がレーザ媒質側の孔を部分反射鏡側の孔より小さくするような傾斜面となっていて前記レーザ媒質に対向する側面にレーザ光反射防止膜を設けたモード制限アパーチャを有することを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ装置においては、複屈折性を有するレーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上に偏光分離手段を有することを特徴とするものである。
さらに、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャを有することを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ装置においては、レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成し、波長変換素子により高調波レーザ光を出力するレーザ装置において、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャを有することを特徴とするものである。
さらに、前記レーザ媒質は固体媒質であることを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ装置においては、複屈折性を有するレーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成し、波長変換素子により高調波レーザ光を出力するレーザ装置において、前記レーザ媒質と前記波長変換素子の間のレーザ光路上に偏光分離手段を有することを特徴とするものである。
さらに、前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャを有することを特徴とするものである。
さらに、前記レーザ媒質が固体媒質であることを特徴とするものである。
さらに、前記波長変換素子が前記共振器の内部に配置されたことを特徴とするものである。
さらに、前記波長変換素子が前記共振器の外部に配置されたことを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ加工方法においては、発振したレーザ光をモード制限アパーチャ通過後、部分反射鏡を通過させて、被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、発振したレーザ光がレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャを通過し、アパーチャ孔周辺部のレーザ光がアパーチャ孔周縁部の傾斜面によりレーザ媒質以外の方向に導かれてレーザ用ダンパーで受けられることを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ加工方法においては、発振したレーザ光をモード制限アパーチャ通過後、部分反射鏡を通過させて、被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、
発振したレーザ光がレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャにより切り出され、前記レーザ媒質に対向するアパーチャ側面に設けられたレーザ光反射防止膜によりアパーチャ孔周辺部のレーザ光の反射が抑えられていることを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ加工方法においては、発振したレーザ光を偏光分離手段により直線偏光化した後、部分反射鏡を通過させて、被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、発振したレーザ光が複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化されることを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ加工方法においては、発振したレーザ光をモード制限アパーチャ通過後、波長変換素子により高調波化して被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、発振したレーザ光が固体媒質であるレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャを通過することを特徴とするものである。
この発明に係るレーザ加工方法においては、発振したレーザ光を偏光分離手段により直線偏光化し、波長変換素子により高調波化して被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、発振したレーザ光が複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化されることを特徴とするものである。
この発明に係る被レーザ加工物の生産方法においては、レーザ光を発振し、レーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャの孔周辺部のレーザ光をアパーチャ孔周縁部の傾斜面によりレーザ媒質以外の方向に導いてレーザ用ダンパーで受け、モード制限アパーチャを通過し、部分反射鏡を通過したレーザ光を被レーザ加工物に照射するものである。
この発明に係る被レーザ加工物の生産方法においては、レーザ光を発振し、レーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャの孔周辺部のレーザ光の反射を前記レーザ媒質に対向する側面に設けたレーザ光反射防止膜により抑え、モード制限アパーチャを通過し、部分反射鏡を通過したレーザ光を被レーザ加工物に照射するものである。
この発明に係る被レーザ加工物の生産方法においては、レーザ光を発振し、固体媒質であるレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャを通過後、波長変換素子により高調波化して被レーザ加工物に照射するものである。
この発明に係る被レーザ加工物においては、発振したレーザ光を偏光分離手段により直線偏光化し円形に照射して加工された被レーザ加工物において、発振したレーザ光を複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化して照射することを特徴とするものである。
この発明に係る被レーザ加工物においては、偏光分離手段により直線偏光化され、波長変換素子により高調波化されたレーザ光を円形に照射して加工された被レーザ加工物において、発振したレーザ光を複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化して照射することを特徴とするものである。
上記のように構成されたレーザ装置においては、共振器往復後における誘導増幅光を部分反射鏡で取り出す直前にモード制限アパーチャで切りだしている為、レーザ光の取り出しまでに余分な回折光が増幅されず、ビーム品質の向上が可能となる。
また、アパーチャ孔周辺で散乱されるレーザ光がレーザ媒質に入射することを防ぎ、レーザ品質の劣化を抑えることができる。
また、共振器往復後における誘導増幅光を部分反射鏡で取り出す直前に偏光分離手段で直線偏光にしている為、複屈折性を有するレーザ媒質による余分な楕円偏光が発生せず、レーザ光において略完全な直線偏光取りだしが可能となる。
以下、本発明にかかるレーザ装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置の基本的概念を説明するレーザ装置の概略構成図である。レーザ装置はレーザ媒質5、レーザ媒質5を挟んでレーザ光路上に対向している部分反射鏡2と全反射鏡1、レーザ媒質5と部分反射鏡2との間のレーザ光路上に配置される固有モードを制限するモード制限アパーチャ4により構成されている。
図2はモード制限アパーチャのアパーチャ孔周辺部分の公知の形状の一例である。図3はモード制限アパーチャのアパーチャ孔周辺部分の公知の形状の別の例である。図4は本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置のモード制限アパーチャ4aのアパーチャ孔周辺部拡大図である。
図1のように構成されたレーザ装置においては、レーザ媒質5を往復し増幅されたレーザ光3を、モード制限アパーチャ4で切りだし部分反射鏡2から取り出す為、従来のレーザ装置でモード制限アパーチャ4をレーザ媒質5と全反射鏡1の間のレーザ光路上に配置した場合と比較して、モード制限アパーチャ4で切り出した光のうち部分反射鏡2による光の取り出しまでに余分な回折光が増幅されないため、ビーム品質の向上が可能となる。
しかし、アパーチャの孔部分が図2のような形状であるとアパーチャの両端部(c1、c2)の2箇所でビームが切られることになり、レーザ品質上好ましくない。図3のようにアパーチャの孔部分を先細りの勾配状にすることにより、2箇所でビームが切られることは避けられる。しかし、アパーチャ形状を図3のようにしても、モード制限アパーチャ4´で切り出されなかったレーザ光がアパーチャ孔周辺で散乱し、それがレーザ媒質5に入射することにより、レーザ品質の劣化が生じる場合がある。
そこで、モード制限アパーチャを図4のように、アパーチャ孔周辺部に鏡面仕上げのテーパーを設け、さらに、モード制限アパーチャ4a周辺にレーザ光を受けるダンパー11を配置する。このような構成にすることで、モード制限アパーチャで切り出されなかったレーザ光がテーパー部で反射しダンパー11で受けられるので、レーザ媒質5に入射することがない。
ダンパーには、アルミニウムを材質とし、封孔処理済アルマイト処理された光吸収体が考えられる。
これにより、モード制限アパーチャ4aで切り出した光のうち部分反射鏡2による光の取り出しまでに余分な回折光が増幅されず、さらにアパーチャ孔周辺で散乱したレーザ光がレーザ媒質に入射しないので、レーザ品質の向上が可能となる。
この場合、レーザ光のいわゆるMが良化するので、レーザ加工における加工物上での焦点深度(コンフォーカルパラメータ)とビーム径との積が小さくなり、小径加工や厚板の加工が可能になるという効果がある。
上記、実施の形態1はレーザ媒質に固体、液体、または気体を用いた全てのレーザ装置について適用可能である。
図5は本発明の実施の形態2にかかるレーザ装置のモード制限アパーチャ4bのアパーチャ孔周辺部拡大図である。モード制限アパーチャ4bのレーザ媒質側の側面にレーザ光反射防止膜12が設けてある。
モード制限アパーチャ4bで切り出されなかったレーザ光はアパーチャのレーザ媒質5側の側面に設けられた反射防止膜により反射、散乱することがない。反射防止膜には例えばアルマイト処理層がある。
これにより、アパーチャ孔周辺でレーザ光が散乱することがなく、レーザ品質の向上が可能となる。
図6は本発明の実施の形態3にかかるレーザ装置の概略構成図である。配置構成は図1と同様であるが、図6ではモード制限アパーチャ4の代わりにブリュースタープレートなどの直線偏光を選択する偏光分離手段8を、Nd:YAGなどの複屈折性を有する光学異方性結晶、いわゆる固体ロッド、からなるレーザ媒質5aと部分反射鏡2との間のレーザ光路上に配置する。
上記のように構成されたレーザ装置においては、複屈折性を有するレーザ媒質5aをレーザ光3が往復することにより発生した楕円偏光を、偏光分離手段8で直線偏光に固定し部分反射鏡2から取り出す為、従来のレーザ装置のように偏光分離手段8をレーザ媒質5と全反射鏡1の間のレーザ光路上に配置した場合と比較して、部分反射鏡2による光の取り出しまでに複屈折性を有するレーザ媒質5aにおいて余分な楕円偏光が発生しない。
これにより、出力するレーザ光6には直線偏光以外の余分な偏光成分が含まれず、略完全な直線偏光取りだしが可能となる。
ここで、円偏光を得るためにλ/4板を用いると、略完全な直線偏光をλ/4板に入射できるので、略完全な円偏光が得られ、銅箔貫通加工などの金属加工時における真円度が増大する。
図7は本発明の実施の形態4にかかるレーザ装置の概略構成図である。配置構成は図6と同様であるが、図7ではさらにモード制限アパーチャ4を、複屈折性を有するレーザ媒質5aと部分反射鏡2との間のレーザ光路上に配置する。
上記のように構成されたレーザ装置においては、共振器中を往復し増幅されたレーザ光3をモード制限アパーチャ4で切りだし部分反射鏡2から取り出す為、従来のレーザ装置のようにモード制限アパーチャ4をレーザ媒質5と全反射鏡1の間のレーザ光路上に配置した場合と比較して、切り出した光のうち部分反射鏡2による光の取り出しまでに余分な回折光が増幅されないため、ビーム品質の向上が可能となる。
また、複屈折性を有するレーザ媒質5aを往復することにより発生した楕円偏光を、偏光分離手段8で直線偏光に固定し部分反射鏡2から取り出す為、従来のレーザ装置のように偏光分離手段8を複屈折性を有するレーザ媒質5aと全反射鏡1の間のレーザ光路上に配置した場合と比較して、部分反射鏡2による光の取り出しまでに複屈折性を有するレーザ媒質5aにおいて余分な楕円偏光が発生しないため、レーザ光6には直線偏光以外の余分な偏光成分が含まれず、略完全な直線偏光取りだしが可能となる。
これにより、小径加工や厚板の加工が可能になり、また、銅箔貫通加工などの金属加工時における真円度が増大する。
ここで、モード制限アパーチャ4を実施の形態1におけるモード制限アパーチャのようにアパーチャ孔周辺にテーパー部を設け、アパーチャ周辺にダンパーを配置したものにしてもよい。また、実施の形態2におけるモード制限アパーチャのように、アパーチャのレーザ媒質側の側面に反射防止膜を設けたものにしてもよい。
図8は本発明の実施の形態5にかかるレーザ装置の概略構成図である。発振したレーザ光3は非線形光学結晶である波長変換結晶7により基本波の一部を2倍高調波に変換される。全反射鏡1a及び1bは基本波及び2倍高調波のいずれに対しても全反射となるような反射特性を持つ。折り返しミラー9は基本波に対して全反射であり2倍高調波に対しては全透過となるような透過特性を持ち、2倍高調波のレーザ光6はここから出力される。複屈折性を有するレーザ媒質5aと折り返しミラー9との間のレーザ光路上に偏光分離手段8が配置されている。波長変換結晶7は折り返しミラー9と全反射鏡1bとの間に配置される。
このような構成においては、複屈折性を有するレーザ媒質5aを往復することにより発生した楕円偏光を偏光分離手段8で直線偏光に固定し波長変換結晶7に入射させるため、直線偏光以外の余分な偏光成分が含まれない略完全な直線偏光を波長変換結晶7に入射させることが可能となる。
一般に波長変換結晶7は、その結晶軸に対する入射光の入射角度や偏光依存性によって変換効率(入射光強度に対する出射光強度)が異なり、変換効率は入射光の偏光が直線偏光である場合が最も高い。ここでは波長変換結晶7とレーザ媒質5の間のレーザ光路上に偏光分離手段8を配置しているため、波長変換結晶7には直線偏光以外の余分な偏光成分を含まない略完全な直線偏光が入射され、そのため最も高い変換効率で基本波を第2高調波に変換することが可能となる。
図9は本発明の実施の形態6にかかるレーザ装置の概略構成図である。モード制限アパーチャ4は固体媒質であるレーザ媒質5bと折り返しミラー9との間のレーザ光路上に配置されている。
上記のように構成されたレーザ装置においては、共振器中を往復し増幅されたレーザ光3をモード制限アパーチャ4で切りだした後に波長変換結晶7に入射させるため、ビーム品質の高いレーザ光を波長変換結晶7に入射させることが可能となる。
ここで、全反射鏡側に置いた場合より余分な回折光が増幅されないためビーム品質の良いビームが発振器出口で得られる。特にレーザ媒質5bが固体媒質の場合、上記のようにビーム品質の良いビームのほうが固体媒質の熱レンズ効果による集光性が良化し、ビーム径が小さくなることにより波長変換結晶内におけるレーザ光のパワー密度が増大し、さらに変換効率が増大可能となる。
図10は本発明の実施の形態7にかかるレーザ装置の概略構成図である。モード制限アパーチャ4と偏光分離手段8をともに、固体媒質でありかつ複屈折性を有しているレーザ媒質5cと折り返しミラー9の間のレーザ光路上に配置する。
これにより、直線偏光以外の余分な偏光成分が含まれない略完全な直線偏光を波長変換結晶7に入射させることが可能となり、また、余分な回折光が増幅されないためビーム品質の良いビームとなり、波長変換結晶7での変換効率が向上する。
ここで、モード制限アパーチャ4は実施の形態1におけるモード制限アパーチャ4aのようにアパーチャ孔周辺にテーパー部を設け、アパーチャ周辺にダンパーを配置したものにしてもよい。また、実施の形態2におけるモード制限アパーチャ4bのように、アパーチャのレーザ媒質側の側面に反射防止膜を設けたものにしてもよい。
図11は本発明の実施の形態8にかかるレーザ装置の概略構成図である。発振したレーザ光3は波長変換結晶7で発振基本波の一部を2倍高調波に変換される。全反射鏡1、部分反射鏡2は複屈折性を有するレーザ媒質5aを挟んでレーザ光路上に対向配置されている。レーザ光10は波長変換結晶7により部分反射鏡2から出力されるレーザ光6が2倍高調波に変換されたものである。偏光分離手段8は複屈折性を有するレーザ媒質5aと部分反射鏡2との間のレーザ光路上に配置されている。実施の形態6はいわゆる内部変換型であるのに対し、本実施の形態はいわゆる外部変換型のレーザ発振器である。
このような構成においては、複屈折性を有するレーザ媒質5aを往復することにより発生した楕円偏光を偏光分離手段8で直線偏光に固定し部分反射鏡2を透過するので、直線偏光以外の余分な偏光成分が含まれない略完全な直線偏光を波長変換結晶7に入射させることが可能となる。
一般に波長変換結晶7は、その結晶軸に対する入射光の入射角度や偏光依存性によって変換効率(入射光強度に対する出射光強度)が異なり、変換効率は入射光の偏光が直線偏光である場合が最も高い。そのため最も高い変換効率で基本波を第2高調波に変換することが可能となる。
図12は本発明の実施の形態9にかかるレーザ装置の概略構成図である。モード制限アパーチャ4は固体媒質のレーザ媒質5bと部分反射鏡2との間のレーザ光路上に配置されている。
上記のように構成されたレーザ装置においては、共振器中を往復し増幅されたレーザ光3をモード制限アパーチャ4で切りだした後に部分反射鏡2を透過させるので、ビーム品質の高いレーザ光を波長変換結晶7に入射させることが可能となる。
全反射鏡側に置いた場合より余分な回折光が増幅されないためビーム品質の良いビームが発振器出口で得られる。特にレーザ媒質5が固体媒質の場合、上記のようにビーム品質の良いビームのほうが固体媒質の熱レンズ効果による集光性が良化し、ビーム径が小さくなることにより波長変換結晶内におけるレーザ光のパワー密度が増大し、さらに変換効率が増大可能となる。
ここで、モード制限アパーチャ4は実施の形態1におけるモード制限アパーチャ4aのようにアパーチャ孔周辺にテーパー部を設け、アパーチャ周辺にダンパーを配置したものにしてもよい。また、実施の形態2におけるモード制限アパーチャ4bのように、アパーチャのレーザ媒質側の側面に反射防止膜を設けたものにしてもよい。
図13は本発明の実施の形態10にかかるレーザ装置の概略構成図である。モード制限アパーチャ4と偏光分離手段8をともに固体媒質でありかつ複屈折性を有しているレーザ媒質5cと部分反射鏡2の間のレーザ光路上に配置している。
これにより、直線偏光以外の余分な偏光成分が含まれない略完全な直線偏光を波長変換結晶7に入射させることが可能となり、また、余分な回折光が増幅されないためビーム品質の良いビームとなり、波長変換結晶7での変換効率が向上する。
ここで、モード制限アパーチャ4を実施の形態1におけるモード制限アパーチャ4aのようにアパーチャ孔周辺にテーパー部を設け、アパーチャ周辺にダンパーを配置したものにしてもよい。また、実施の形態2におけるモード制限アパーチャ4bのように、アパーチャのレーザ媒質側の側面に反射防止膜を設けたものにしてもよい。
図14は本発明の実施の形態10にかかるレーザ装置の全体概略図である。モード制限アパーチャ4と偏光分離手段8をともに固体媒質でありかつ複屈折性を有しているレーザ媒質5cと部分反射鏡2の間のレーザ光路上に配置している。レーザ光10は波長変換結晶7により部分反射鏡2から出力されるレーザ光6が2倍高調波に変換されたものである。ビームスプリッター13で反射したレーザ光が伝送光路系14によって集光光学系15まで導かれ、被レーザ加工物16に照射される。
以上、この発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきた。図面ではモード制限アパーチャと偏光分離手段の配置順が部分反射鏡からみて偏光分離手段、モード制限アパーチャの順となっているが、これに限定されるものではなく、モード制限アパーチャを部分反射鏡側に配置しても同様の効果を得ることができる。
本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置の基本概念を説明するレーザ装置の概略構成図である。 従来のモード制限アパーチャのアパーチャ孔形状の一例である。 従来のモード制限アパーチャのアパーチャ孔形状の別の例である。 本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置のモード制限アパーチャのアパーチャ孔周辺拡大図である。 本発明の実施の形態2にかかるレーザ装置のモード制限アパーチャのアパーチャ孔周辺拡大図である。 本発明の実施の形態3にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態4にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態5にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態6にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態7にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態8にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態9にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態10にかかるレーザ装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態10にかかるレーザ装置の全体概略図である。 従来例1を示すレーザ装置の概略構成図である。 従来例2を示すレーザ装置の概略構成図である。
符号の説明
1 全反射鏡
1a、1b 基本波及び2倍高調波いずれに対しても全反射となるような反射特性を持つ全反射ミラー
2 部分反射鏡
3 レーザ光
4 モード制限アパーチャ
5 レーザ媒質
6 出力レーザ光
7 波長変換結晶
8 偏光分離手段
9 基本波に対して全反射であり、2倍高調波に対しては全透過となるような透過特性を持つ折り返しミラー
10 2倍高調波化された出力レーザ光
11 ダンパー
12 反射防止膜
13 ビームスプリッター
14 伝送光路系
15 集光光学系
16 被レーザ加工物

Claims (22)

  1. レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、
    前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にレーザ光がレーザ媒質に反射することを防止する反射防止手段を設けたモード制限アパーチャ
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  2. レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、
    前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上に前記レーザ媒質側の側面の孔周縁部がレーザ光をレーザ媒質以外の方向に導く傾斜面となっていて前記部分反射鏡側の側面の孔周縁部がレーザ媒質側の孔を部分反射鏡側の孔より小さくするような傾斜面となっているモード制限アパーチャと、
    前記モード制限アパーチャ周辺に前記傾斜面で反射した光を受けるレーザ用ダンパーと、
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  3. レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、
    前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上に前記部分反射鏡側の側面の孔周縁部がレーザ媒質側の孔を部分反射鏡側の孔より小さくするような傾斜面となっていて前記レーザ媒質に対向する側面にレーザ光反射防止膜を設けたモード制限アパーチャ
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  4. 複屈折性を有するレーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成するレーザ装置において、
    前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上に偏光分離手段を有することを特徴とするレーザ装置。
  5. 前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャを有することを特徴とする請求項4に記載のレーザ装置。
  6. レーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成し、波長変換素子により高調波レーザ光を出力するレーザ装置において、
    前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャ
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  7. 前記レーザ媒質は固体媒質であることを特徴とする請求項6に記載のレーザ装置。
  8. 複屈折性を有するレーザ媒質と全反射鏡と部分反射鏡により共振器を構成し、波長変換素子により高調波レーザ光を出力するレーザ装置において、
    前記レーザ媒質と前記波長変換素子の間のレーザ光路上に偏光分離手段を有することを特徴とするレーザ装置。
  9. 前記レーザ媒質と前記部分反射鏡の間のレーザ光路上にモード制限アパーチャを有することを特徴とする請求項8に記載のレーザ装置。
  10. 前記レーザ媒質が固体媒質であることを特徴とする請求項9に記載のレーザ装置。
  11. 前記波長変換素子が前記共振器の内部に配置されたことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のレーザ装置。
  12. 前記波長変換素子が前記共振器の外部に配置されたことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のレーザ装置。
  13. 発振したレーザ光をモード制限アパーチャ通過後、部分反射鏡を通過させて、被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、
    発振したレーザ光がレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャを通過し、
    アパーチャ孔周辺部のレーザ光がアパーチャ孔周縁部の傾斜面によりレーザ媒質以外の方向に導かれてレーザ用ダンパーで受けられることを特徴とするレーザ加工方法。
  14. 発振したレーザ光をモード制限アパーチャ通過後、部分反射鏡を通過させて、被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、
    発振したレーザ光がレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャにより切り出され、
    前記レーザ媒質に対向するアパーチャ側面に設けられたレーザ光反射防止膜によりアパーチャ孔周辺部のレーザ光の反射が抑えられていることを特徴とするレーザ加工方法。
  15. 発振したレーザ光を偏光分離手段により直線偏光化した後、部分反射鏡を通過させて、被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、
    発振したレーザ光が複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化されることを特徴とするレーザ加工方法。
  16. 発振したレーザ光をモード制限アパーチャ通過後、波長変換素子により高調波化して被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、
    発振したレーザ光が固体媒質であるレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャを通過することを特徴とするレーザ加工方法。
  17. 発振したレーザ光を偏光分離手段により直線偏光化し、波長変換素子により高調波化して被加工物に照射して加工を行うレーザ加工方法において、
    発振したレーザ光が複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化されることを特徴とするレーザ加工方法。
  18. レーザ光を発振し、
    レーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャの孔周辺部のレーザ光をアパーチャ孔周縁部の傾斜面によりレーザ媒質以外の方向に導いてレーザ用ダンパーで受け、
    モード制限アパーチャを通過し、部分反射鏡を通過したレーザ光を被レーザ加工物に照射する被レーザ加工物の生産方法。
  19. レーザ光を発振し、
    レーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャの孔周辺部のレーザ光の反射を前記レーザ媒質に対向する側面に設けたレーザ光反射防止膜により抑え、
    モード制限アパーチャを通過し、部分反射鏡を通過したレーザ光を被レーザ加工物に照射する被レーザ加工物の生産方法。
  20. レーザ光を発振し、
    固体媒質であるレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置されたモード制限アパーチャを通過後、波長変換素子により高調波化して被レーザ加工物に照射する被レーザ加工物の生産方法。
  21. 発振したレーザ光を偏光分離手段により直線偏光化し円形に照射して加工された被レーザ加工物において、
    発振したレーザ光を複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化して照射することを特徴とする被レーザ加工物。
  22. 偏光分離手段により直線偏光化され、波長変換素子により高調波化されたレーザ光を円形に照射して加工された被レーザ加工物において、
    発振したレーザ光を複屈折性を有するレーザ媒質と部分反射鏡の間のレーザ光路上に配置された偏光分離手段により直線偏光化して照射することを特徴とする被レーザ加工物。
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