JP2007095935A - 導電性重合体層の形成方法 - Google Patents

導電性重合体層の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定性の改善された導電性重合体を形成する導電性重合体層形成方法を提供し、これにより、固体電解コンデンサの誘電体として機能する導電性重合体の安定性を増加させ、漏れ電流特性の悪化を防ぎ、収率及び信頼性を改善する。
【解決手段】複数の板状または箔状の基材を平行に配置して導電性重合体層形成用の原料液に浸漬し、基材表面に導電性重合体層を形成する方法において、前記板または箔の面間隔dを板または箔の厚みtの20倍以上とすることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、導電性重合体層の形成方法並びにこれを用いた導電性重合体層を有する板状または箔状部材、特に導電性重合体層を含む固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサに関する。
近年、電気機器のディジタル化、パーソナルコンピュータの高速化に伴い、小型で大容量のコンデンサ、高周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求されており、最近では、かかるコンデンサとして、電子伝導性を有する導電性重合体を固体電解質として用いた固体電解コンデンサが提案されている。
固体電解コンデンサの基本素子は、一般に、図1に断面図で示すように、エッチング処理された比表面積の大きな金属箔からなる陽極基体1に誘電体層(酸化皮膜)2を形成し、その少なくとも一部にマスキング層3を形成し、マスキング層3で隔てられた領域の一方に陰極として固体の半導体層(以下、固体電解質という。)4を形成し、他方を陽極として用いることにより作製される。通常は、固体電解質4上にはさらに導電ペーストなどの導電体層(図示していない。)が形成され、陽極側、陰極側それぞれに、適宜、電極が付加される。ここで、マスキング層3は固体電解質(陰極部分)と陽極基体との絶縁を確実とするためのものである。
一般に、誘電体酸化皮膜上に固体電解質層を形成する手法としては、電解酸化重合法及び化学酸化重合法が知られている。化学酸化重合法は、固体電解質の形成が容易で、短時間に大量生産が可能であるため種々の方法が提案されている。例えば、陽極基体をモノマー含有溶液に浸漬する工程と酸化剤含有溶液に浸漬する工程を交互に繰り返すことにより層状構造を有する固体電解質を形成する方法、層状構造の固体電解質層を形成することなく、コンデンサ素子の細孔内及び外表面に固体電解質を形成する方法として、モノマー化合物含有溶液に陽極基体を浸漬した後、酸化剤溶液中で重合し、酸化剤を洗浄した後に乾燥するサイクルを繰り返す方法が知られている。
上記いずれの方法においても、固体電解コンデンサ素子用導体(陽極基体)をモノマー含有溶液や酸化剤含有溶液に浸漬し引き上げる操作を含むため、浸漬及び引き上げ操作を効率的に行なう必要がある。このため、通常、固体電解コンデンサ素子の製造においてはテンポラリーバーと称される支持部材を用いて複数の素子を同時に処理している。すなわち、図2に示すように、支持部材(テンポラリーバー)11に複数の陽極基体12(誘電体皮膜層を含んでいてもよい。以下、特に誘電体皮膜層を区別する必要がない限り同様。)を溶接等により取り付け(図2(a))、マスキング材3を陽極基体上部に周状に塗布し(図2(b))、テンポラリーバーの上下動により、処理液槽13への浸漬(図2(c))及び引き上げ操作を行ない、必要な厚みの固体電解質層を形成した後、陽極基体12を切断しテンポラリーバー上に残る残片15から分離して(図2(d))コンデンサ用素子14を得ている。
図3に模式的に示すように、テンポラリーバーはさらに複数枚がまとめられて一括して処理され効率化を図っている。図3では紙面奥のテンポラリーバーに固定されたコンデンサ用素子12は見えていないが、各テンポラリーバーには図3前面のテンポラリーバーと同様に複数の陽極基体12が固定され、各テンポラリーバーに固定された陽極基体12の面は実質的に平行になっている(図4参照。なお、図4は図3のA-A’上に存在する隣接する陽極基体12の断面である。)。
上記方法は、多数のコンデンサ用素子を一括して製造し得る点で有利であるが、コンデンサの電気特性(例えば、漏れ電流)が異常な製品が生じることがあり、製品歩留まりの改善に限界があるという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、安定性の改善された導電性重合体層を形成する導電性重合体層の形成方法を提供し、これにより、固体電解コンデンサの品質を安定化させて生産性を向上できる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明者らは、導電性重合体層の形成においては素子の面間隔(図4におけるd)が重要な要素であり、これを一定範囲に限定することにより、コンデンサ諸特性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の導電性重合体層の形成方法並びにこれを用いた固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサを提供する。
1.複数の板状または箔状の基材を平行に配置して導電性重合体層形成用の原料液に浸漬し、基材表面に導電性重合体層を形成する方法において、前記板または箔の面間隔を板または箔の厚みの20倍以上とすることを特徴とする導電性重合体層の形成方法。
2.前記板または箔の面間隔を板または箔の厚みの30〜60倍の範囲とする前記1に記載の導電性重合体層の形成方法。
3.導電性重合体層形成用の原料液が、(i)導電性重合体のモノマー含有液、(ii)導電性重合体のモノマー含有液と酸化剤含有液または(iii)導電性重合体のモノマー含有液、酸化剤含有液及びドーパント能を有する対アニオン含有液との組み合わせである前記1または2に記載の導電性重合体層の形成方法。
4.基材が表面に誘電体皮膜を形成した微細孔を有する弁作用金属材料である前記1〜3のいずれかに記載の導電性重合体層の形成方法。
5.弁作用金属材料が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウムのうち少なくとも一種の金属を含む前記1〜4のいずれかに記載の導電性重合体層の形成方法。
6.複数の板状または箔状の基材を支持部材の下辺に固定し、基材を固定した複数の前記支持部材を基材が平行になるように保持して原料液への浸漬を行なう前記1〜5のいずれかに記載の導電性重合体層の形成方法。
7.前記1〜6のいずれかに記載の方法を用いて表面に導電性重合体層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法。
8.前記1〜6のいずれかに記載の方法を用いて表面に導電性重合体層が形成された板状または箔状部材。
9.基材が表面に誘電体皮膜を形成した微細孔を有する弁作用金属材料であり、前記7に記載の方法により製造された固体電解コンデンサ。
本発明の導電性重合体層の形成方法によれば、重合反応が適切に制御され、形成される導電性重合体層の形状及び安定性が改善される。このため、本発明の導電性重合体層の形成方法を固体電解コンデンサの製造方法に適用すれば、固体電解コンデンサの陰極として機能する導電性重合体層の安定性が増し、漏れ電流特性の劣化が防止されるとともに、形状、収率及び信頼性が向上する。
以下、本発明の方法を構成する各要素及び工程について説明する。
上述のように、複数の基材の表面に導電性重合体層を一括して形成する場合、これらの基材を支持部材に固定し、さらに支持部材を複数まとめて処理する(例えば、図3)。ここで、支持部材11及び基材12は、通常、平板状であり、形状及び寸法はすべて同一である。このため、図4に部分的な断面図として示すように、隣接する支持部材11に固定された基材12の面は実質的に平行である。
本発明では、面間隔(d)を厚み(t)の20倍以上とすることにより、重合に必要な原料液の濃縮を適切な速度で進行させ、安定した重合反応を実現する。比d/tが上記値未満、すなわち、基材寸法に比較して面間隔が広すぎると原料溶液の濃縮に必要な乾燥状態に至らず、導電性重合体層がその形状及び重合度において不安定になる。
前記板または箔の面間隔は、板または箔の厚みの20倍以上であればよいが、比d/tが極端に大きい場合には、同時に処理できる基材の数が少なくなるため生産効率が低下する。100以下が好ましく、乾燥が安定して進行する範囲として30〜60倍の範囲がより好ましい。例えば、基材の厚みtが100μm程度の場合は、3〜6mm程度が好適な範囲となる。
本発明の導電性重合体層の形成方法が適用される対象は、その表面に導電性重合体の形成が可能な材料であれば特に限定されない。もっとも、本発明の導電性重合体層の形成方法は、導電性重合体層が形成される複数の基材の面間隔及び各基材の厚みをもって規定されることから、通常は板状及び箔状の部材に対して適用される。但し、面間隔及び各基材の厚みが観念できる限りにおいて、柱状部材等についても適用可能である。また、板は焼結体等でもよい。
また、本発明の導電性重合体層の形成方法は、特に固体電解コンデンサの製造方法として適しており、この観点からは、固体電解コンデンサ用の基材、典型的には微細孔を有する弁作用金属材料が好ましい。弁作用金属は、好ましくは、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウムまたはこれらの1種以上を含む合金から選択される。固体電解コンデンサの製造方法においては、これらの金属は予め公知の方法によりエッチング処理等をして表面に微細孔を形成する。
寸法は、上記条件を満たす限りにおいて限定されないが、例えば、固体電解コンデンサの製造プロセスでは、前記材料を製品形状に合わせた寸法に裁断したものを使用しており、一般的に厚みが約40〜150μmの箔が使用され、本発明でもこの範囲の箔が好適に使用できる。同様に、大きさ及び形状も用途によって異なるが、固体電解コンデンサ用平板形素子単位としては、幅約1〜50mm、長さ約1〜50mmの矩形の金属箔が好ましく、より好ましくは幅約2〜20mm、長さ約2〜20mm、さらに好ましくは幅約2〜5mm、長さ約2〜6mmである。但し、本発明は固体電解コンデンサの製造に限定されるものではなく、その表面に重合性導電体層を形成する場合に広く応用が可能である。
比d/tを上記範囲内に調整するためには、基材を支持部材に固定し、これら複数の支持部材間の間隔を制御すればよい。このような制御方法としては、所定の厚みtを有する基材について、20×t以上の面間隔となるように溝または固定手段を設けた枠体に支持部材を挿入または固定する方法が挙げられる。基材間の平行性をより確実にするためには、内部に支持部材収容用の空間を有し、空間の相対する壁面に支持部材を挿入する溝を有する枠体が好ましい。あるいは、支持部材に耳を設け、耳部分が所定間隔で握持されるようにしてもよい。複数の支持部材を実質的に平行に保ったまま保持する方法であればどのような方法も利用可能であり、例えば、支持部材間に適当な寸法のスペーサを挿入し、全体をクランプ締めして固定してもよい。
本発明は、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれにも適用できる。従って、導電性重合体層形成用の原料液は、
(i)導電性重合体のモノマー含有液(電解酸化重合)、
(ii)導電性重合体のモノマー含有液と酸化剤含有液(化学酸化重合)、または
(iii)導電性重合体のモノマー含有液、酸化剤含有液及びドーパント能を有する対アニオン含有液との組み合わせ(化学酸化重合)
のいずれも利用可能である。
固体電解質層を形成する材料としては、例えば、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合物が挙げられる。固体電解質を形成する導電性重合体は特に限定されないが、好適なものとして以下の化合物をモノマーとして含む重合体が挙げられる。
チオフェン骨格を有する化合物としては、3−メチルチオフェン、3−エチルオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えばSynthetic Metals誌、1986年、15巻、169頁)で準備できるが、本発明においてはこれらに限るものではない。
また、例えば、多環状スルフィド骨格を有する化合物としては、具体的には1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができ、公知の方法、例えば特開平8−3156号公報記載の方法により準備することができる。
また、例えば、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体や、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体なども使用できる。
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる場合もあり、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
また、ピロール骨格を有する化合物としては、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できるが、本発明においてはこれらに限るものではない。
また、フラン骨格を有する化合物としては、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できるが、本発明においてはこれらに限るものではない。
また、アニリン骨格を有する化合物としては、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2−シアノアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、3,4−ブチレンアニリン、3,4−メチレンジオキシアニリン、3,4−エチレンジオキシアニリン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できるが、本発明においてはこれらに限るものではない。
また、上記化合物群から選ばれる化合物を併用し、3元系共重合体として用いても良い。その際重合性モノマーの組成比などは重合条件等に依存するものであり、好ましい組成比、重合条件は簡単なテストにより確認できる。
本発明において、固体電解質として用いる導電性重合物の製造に用いられる酸化剤は脱水素的4電子酸化反応の酸化反応を十分行わせ得る酸化剤であれば良い。詳しくは、工業的に安価であり、製造上取り扱いが容易である化合物が好まれる。具体的には例えば、FeCl3、FeClO4、Fe(有機酸アニオン)塩等のFe(III)系化合物、または無水塩化アルミニウム/塩化第一銅、アルカリ金属過硫酸塩類、過硫酸アンモニウム塩類、過酸化物類、過マンガン酸カリウム等のマンガン類、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−1,4−ベンゾキノン等のキノン類、沃素、臭素等のハロゲン類、過酸、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸等のスルホン酸、オゾン等及びこれら複数の酸化剤の組み合わせが挙げられる。
この中で、前記Fe(有機酸アニオン)塩を形成する有機酸アニオンの基本化合物としては、有機スルホン酸または有機カルボン酸、有機燐酸、有機硼酸が挙げられる。有機スルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、α−スルホ−ナフタレン、β−スルホ−ナフタレン、ナフタレンジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(アルキル基としてはブチル、トリイソプロピル、ジ−t−ブチル等)等が使用される。
一方、有機カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、蓚酸等が挙げられる。さらに本発明においては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質アニオンも使用されるが、これら有機スルホン酸または有機カルボン酸の例は単なる例示であってこの限りではない。また、前記アニオンの対カチオンはH+、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、または水素原子やテトラメチル基、テトラエチル基、テトラブチル基、テトラフェニル基等で置換されたアンモニウムイオンであるが、本発明においては特に限定を受けない。前記記載の酸化剤のうち、特に好ましくは3価のFe系化合物、または塩化第一銅系、過硫酸アルカリ塩類、過硫酸アンモニウム塩類、マンガン酸類、キノン類を含む酸化剤が好適に使用できる。
本発明において、固体電解質として用いる導電性重合物の製造において、必要に応じて共存されるドーパント能を有する対アニオンは、前記酸化剤から産生される酸化剤アニオン(酸化剤の還元体)を対イオンに持つ電解質化合物または他のアニオン系電解質を挙げることができる。具体的には例えば、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -の如き5B族元素のハロゲン化アニオン、BF4 -の如き3B族元素のハロゲン化アニオン、I-(I3 -)、Br-、Cl-の如きハロゲンアニオン、ClO4 -の如きハロゲン酸アニオン、AlCl4 -やFeCl4 -、SnCl5 -等の如きルイス酸アニオン、あるいはNO3 -、SO4 2-の如き無機酸アニオン、またはp−トルエンスルホン酸やナフタレンスルホン酸、炭素数1乃至5のアルキル置換スルホン酸、CH3SO3 -、CF3SO3 -の如き有機スルホン酸アニオン、またはCF3COO-、C65COO-の如きカルボン酸アニオン等のプロトン酸アニオンを挙げることができる。また同じく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質アニオン等をあげることができるが、必ずしも限定されるものではない。
しかしながら好ましくは高分子系または低分子系の有機スルホン酸化合物、あるいはポリリン酸が挙げられ、望ましくはアリールスルホン酸塩系ドーパントが好適に使用される。例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸及びそれらの誘導体などの塩を用いることができる。
本発明に用いられる固体電解質に使用する導電性重合物を形成するモノマーの濃度はその化合物の置換基の種類や溶媒等の種類によって異なるが、一般的には10-3〜10モル/リットルの範囲が望ましく、また10-2〜5モル/リットルの範囲がさらに好ましい。また反応温度はそれぞれ反応方法によって定められるもので特に限定できるものではないが、一般的には−70℃から250℃の温度範囲で選ばれる。望ましくは−30℃〜150℃であり、さらに−10℃〜30℃の温度範囲で行なわれることが望ましい。
本発明において、用いられる反応溶媒はモノマーあるいは酸化剤、ドーパント能を有する対アニオンを共に、またはそれぞれ単独に溶解可能な溶媒であれば良く、例えばテトラヒドロフランやジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、あるいはジメチルホルムアミドやアセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、クロロホルムや塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶媒、ニトロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、あるいはメタノールやエタノール、プロパノール等のアルコール類、または蟻酸や酢酸、プロピオン酸等の有機酸または該有機酸の酸無水物(例、無水酢酸等)、水、アルコール類またはケトン類あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。また前記酸化剤または/及びドーパント能を有する対アニオン及びモノマーはそれぞれ単独に溶解した溶媒系、すなわち二液系、もしくは三液系で取り扱っても良い。
このようにして製造された固体電解質の電導度は、1S/cm以上であるが、望ましい条件では5S/cm以上、さらに好ましくは10S/cm以上である。
さらに、固体電解質層の表面にカーボンペースト層と金属粉含有導電性層を設けてコンデンサの陰極部が形成される。金属粉含有導電性層は固体電解質層と密着接合し、陰極として作用すると同時に最終コンデンサ製品の陰極リード端子を接合するための接着層となるものであり、金属含有導電性層の厚さは限定されないが、一般には1〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
固体電解コンデンサは陽極部に接合したリードフレームにリード端子を接合し、固体電解質層、カーボンペースト層及び金属粉含有導電性層からなる陰極部にリード線を接合し、さらに全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で封止して得られる。
本発明の方法により形成したコンデンサ用素子は、通常、積層型のコンデンサ素子として用いられる。積層型固体電解コンデンサは、例えば、リードフレーム上にコンデンサ素子を積層することにより形成できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
(実施例1)
厚み110μmの化成アルミ箔(3V化成品)を3.5mm幅に切断したものを13mmずつの長さに切り取り、この箔片の一方の短辺部を金属支持体に溶接により固定した。化成アルミ箔から裁断した際の切口面を化成し、陽極部と陰極部を分離するポリイミド樹脂を、アルミ箔の先端から5mmの部分を中心として0.8mm幅に線状に塗布し乾燥させた後、陰極層である固体電解質を以下のように形成した。
すなわち、金属支持体を多孔質素子の厚みの40倍の幅の間隔で平行に150個並べて固定した冶具を用い、箔の陰極部(3.5mm×4.6mm)を3,4−エチレンジオキシチオフェンを含むイソプロパノール溶液(溶液1)に浸漬し、引き上げて放置した。次に過硫酸アンモニウムを含む水溶液(溶液2)に浸漬し、これを乾燥し、酸化重合を行なった。溶液1に浸漬してから溶液2に浸漬し、酸化重合を行なう操作を繰り返した。50℃の温水で洗浄し、100℃で乾燥させて固体電解質層を形成した。さらに、陰極部にカーボンペースト、銀ペーストで電極を形成し、コンデンサ素子を完成させた。
塗布したマスキング材を含む部分をリードフレーム上に銀ペーストで接合しながら2枚重ね、固体電解質のついていない部分に陽極リード端子を溶接により接続し、全体をエポキシ樹脂で封止し、135℃で2Vの電圧を印加してエージングして合計30個のチップ型固体電解コンデンサを作製した。
これら30個のコンデンサについて、初期特性として120Hzにおける容量と損失係数(tanδ)、100kHzにおける等価直列抵抗(以下ESRとする。)、それに漏れ電流を測定した。尚、漏れ電流は定格電圧2Vを印加して1分後に測定した。測定結果は以下の通りであった。
容量(平均値) :94.2μF
tanδ(平均値) :1.2%
ESR(平均値) :11.4mΩ
漏れ電流(平均値) :0.27μA
また1μA(0.005CV)以上の漏れ電流を不良品とした時の不良率は5%であった。
さらにリフロー試験及びこれに続いて行なった耐湿試験での結果を示した。リフロー試験(ハンダ耐熱性試験とも言う。)は次の方法で評価した。すなわち20個のコンデンサ素子を準備し、該素子を255℃の温度下に10秒間通過させ、この作業を3回繰り返し、定格電圧印加1分後の漏れ電流を測定し、そしてその値が8μA(0.04CV)以上の素子を不良品とした。また、耐湿試験は60℃、90%RHの高温高湿下に500時間放置し、定格電圧印加1分後漏れ電流値が80μA(0.4CV)以上を不良品とした。
リフロー試験後の漏れ電流 :0.35μA
耐湿試験後の漏れ電流 :12.6μA
いずれも不良率0であった。
これらの結果を他の例とともに表1〜2に示す。
(実施例2)
金属支持体を多孔質素子の厚みの25倍の幅の間隔で平行に150個並べて固定した冶具を用いた他は実施例1と同様にしてコンデンサ素子の製造及び試験を行なった。結果を表1〜2に示す。
(比較例1)
金属支持体を多孔質素子の厚みの10倍の幅の間隔で平行に150個並べて固定した冶具を用いた他は実施例1と同様にしてコンデンサ素子の製造及び試験を行なった。結果を表1〜2に示す。
Figure 2007095935
Figure 2007095935
本発明は、安定性の改善された導電性重合層を形成する導電性重合層の形成方法を提供する。従って、導電性重合体層を表面に有する種々の物品において有用であるが、特に、固体電解コンデンサの製造方法に適用することにより、固体電解コンデンサの陰極として機能する導電性重合体層の安定性を増加させ、漏れ電流特性の悪化を防ぎ、収率及び信頼性の向上に寄与し、有用である。
固体電解コンデンサの構造の概略を示す断面図。 固体電解コンデンサの製造プロセスの概略を示す模式図。 本発明の一実施態様における製造プロセスの概略を示す模式図。 図3のA−A’に沿って部分的に切断した図であり、本発明における基材の面間隔(d)及び基材厚み(t)を示す模式図。
符号の説明
1 陽極基体
2 誘電体層(酸化皮膜)
3 マスキング層
4 固体電解質層
5 固体電解コンデンサ素子
10 支持部材(テンポラリーバー)
11 処理液

Claims (9)

  1. 複数の板状または箔状の基材を平行に配置して導電性重合体層形成用の原料液に浸漬し、基材表面に導電性重合体層を形成する方法において、前記板または箔の面間隔を板または箔の厚みの20倍以上とすることを特徴とする導電性重合体層の形成方法。
  2. 前記板または箔の面間隔を板または箔の厚みの30〜60倍の範囲とする請求項1に記載の導電性重合体層の形成方法。
  3. 導電性重合体層形成用の原料液が、(i)導電性重合体のモノマー含有液、(ii)導電性重合体のモノマー含有液と酸化剤含有液または(iii)導電性重合体のモノマー含有液、酸化剤含有液及びドーパント能を有する対アニオン含有液との組み合わせである請求項1または2に記載の導電性重合体層の形成方法。
  4. 基材が表面に誘電体皮膜を形成した微細孔を有する弁作用金属材料である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性重合体層の形成方法。
  5. 弁作用金属材料が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウムのうち少なくとも一種の金属を含む請求項1〜4のいずれかに記載の導電性重合体層の形成方法。
  6. 複数の板状または箔状の基材を支持部材の下辺に固定し、基材を固定した複数の前記支持部材を基材が平行になるように保持して原料液への浸漬を行なう請求項1〜5のいずれかに記載の導電性重合体層の形成方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法を用いて表面に導電性重合体層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法を用いて表面に導電性重合体層が形成された板状または箔状部材。
  9. 基材が表面に誘電体皮膜を形成した微細孔を有する弁作用金属材料であり、請求項7に記載の方法により製造された固体電解コンデンサ。

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