JP2007092111A - めっき析出阻害用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロム酸―硫酸混液以外のエッチング処理液、例えば、過マンガン酸塩水溶液を用いた場合や、触媒付着量を多くした場合であっても、めっき用治具の絶縁性コーティング部分に対するめっき皮膜の析出を防止することが可能なめっき析出阻害用組成物を提供する。
【解決手段】樹脂成分100重量部、並びに周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分1〜100重量部を含有することを特徴とするめっき析出阻害用組成物。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂成分100重量部、並びに周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分1〜100重量部を含有することを特徴とするめっき析出阻害用組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、めっき析出阻害用組成物に関する。
樹脂素材からなる樹脂成形品にめっき皮膜を形成する方法としては、無電解めっきを行った後、電気めっきを行う方法が広く行われている。
この方法では、通常、被めっき物に対して脱脂処理を行った後、めっき皮膜の密着性を向上させるためにエッチング処理を行い、その後無電解めっき用の触媒を付与した後、無電解めっき処理が行われている。この処理方法では、従来は、エッチング処理液としてクロム酸−硫酸の混合水溶液が用いられていたが、クロム酸−硫酸混液は、有毒な6価クロムを含むために作業環境に悪影響があり、更に、煩雑な排水処理が必要となる等の問題がある。このため、近年、クロム酸―硫酸混液に代わるエッチング処理液として、過マンガン酸塩水溶液が提案されている。(下記特許文献1〜7参照)。
しかしながら、過マンガン酸塩水溶液をエッチング処理液とする場合には、めっき用治具の絶縁コーティング部分にも無電解めっきが析出し易くなるという欠点がある。これは、従来のクロム酸を含むエッチング処理液を用いる場合には、無電解めっき用治具の絶縁コーティング部分に無電解めっき用の触媒が付着した場合であっても、エッチング処理液中の6価クロムが絶縁コーティング部分に少量残留し、これが触媒毒となって絶縁コーティング部分への無電解めっきの析出を抑制できるが、過マンガン酸塩溶液をエッチング処理液として用いると、触媒毒となる成分が存在しないために、絶縁コーティング部分に触媒成分が付着した場合に無電解めっきの析出を抑制できないことが原因であると考えられる。このため、無電解めっきを行った後、引き続き電気めっきを行う場合には、他の治具に被めっき物を掛け替えることが必要となり、連続した処理で電気めっきを行うことができず、処理工程が煩雑となる。
また、樹脂成形品に対するめっき皮膜の形成方法として、従来の無電解めっき処理に代えて、糖類を還元剤として用いた無電解銅めっき液を用いて、非常に薄い導電性皮膜を形成した後、電気めっき処理を行う方法も行われている(下記特許文献8参照)。この方法は、いわゆるダイレクトめっき法と称される方法であり、導電性皮膜を形成した後、活性化処理を行うことなく、直接電気めっきを行うことができ、処理工程を短縮することが可能である。しかしながら、この方法では、均一な導電性皮膜を形成するために、触媒付与液中の触媒金属濃度を高くしたり、触媒付与時間を長くして、触媒金属の付着量を多くすることが必要となる場合がある。このような場合には、めっき用治具の絶縁コーティング部分にも触媒が多量に付着して、導電性皮膜が形成され易くなり、やはり電気めっき処理を行う前に、めっき用治具の掛け替えが必要となり、処理工程が煩雑になるという問題点がある。
特開昭52−124433号公報
特開昭54−117328号公報
特開昭56−3372号公報
特開昭56−3373号公報
特開平4−36470号公報
特開平5−339738号公報
特開2003−73885号公報
国際公開公報WO98/45505
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、クロム酸―硫酸混液以外のエッチング処理液、例えば、過マンガン酸塩水溶液を用いた場合や、触媒付着量を多くした場合であっても、めっき用治具の絶縁性コーティング部分に対するめっき皮膜の析出を防止することが可能なめっき析出阻害用組成物を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、めっき用治具に対する絶縁コーティング液として従来用いられている塩化ビニル系、エポキシ樹脂系等の各種の樹脂成分を含むコーティングゾル中に特定の元素を含む化合物を配合した組成物によれば、形成される皮膜はめっき析出を防止する働きが非常に強くなり、例えば、過マンガン酸塩水溶液をエッチング処理液とした場合や、触媒付着量を増加させた場合であっても、めっき皮膜の析出を防止することができ、めっき用治具の絶縁コーティングとして極めて有用性の高いものであることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のめっき析出阻害用組成物、めっき治具用絶縁コーティング用組成物及びめっき用治具を提供するものである。
1. 樹脂成分100重量部、並びに周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分1〜100重量部を含有することを特徴とするめっき析出阻害用組成物。
2. 析出阻害成分が、亜鉛化合物、カドミニウム化合物、水銀化合物、硼素化合物、アルミニウム化合物、インジウム化合物、珪素化合物、ゲルマニウム化合物、錫化合物、硫黄化合物、セリウム化合物及びテルル化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記項1に記載のめっき析出阻害用組成物。
3. 上記項1又は2に記載の組成物からなるめっき治具用絶縁コーティング用組成物。
4. 上記項3に記載の絶縁コーティング用組成物による絶縁コーティングが形成されてなるめっき用治具。
1. 樹脂成分100重量部、並びに周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分1〜100重量部を含有することを特徴とするめっき析出阻害用組成物。
2. 析出阻害成分が、亜鉛化合物、カドミニウム化合物、水銀化合物、硼素化合物、アルミニウム化合物、インジウム化合物、珪素化合物、ゲルマニウム化合物、錫化合物、硫黄化合物、セリウム化合物及びテルル化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記項1に記載のめっき析出阻害用組成物。
3. 上記項1又は2に記載の組成物からなるめっき治具用絶縁コーティング用組成物。
4. 上記項3に記載の絶縁コーティング用組成物による絶縁コーティングが形成されてなるめっき用治具。
本発明のめっき析出阻害用組成物は、樹脂成分と、周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分を含有するものである。
本発明組成物で用いる樹脂成分の種類は特に限定されず、優れた絶縁性能を有し、且つめっき処理の各処理工程で用いる処理液に侵されない皮膜を形成できものから、使用目的に応じて適当な樹脂を選択すればよい。
本発明の組成物での使用に適した樹脂成分の例としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート硬化型のウレタン樹脂等が挙げることができる。これらの樹脂成分は単独又は混合して用いることができる。特に、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリル樹脂と塩化ビニル樹脂の混合物等は取り扱いが良好で、しかもめっき析出防止性能、皮膜性能等が良好である点で好適である。
周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分は、上記した樹脂成分中に配合した場合に、該樹脂成分から形成される皮膜に対するめっきの析出を阻害する働きをするものである。
析出阻害成分の具体例としては、亜鉛化合物、カドミウム化合物、水銀化合物、硼素化合物、アルミニウム化合物、インジウム化合物、珪素化合物、ゲルマニウム化合物、錫化合物、硫黄化合物、セリウム化合物、テルル化合物等を挙げることができ、これらの化合物の内から適宜選択して、一種単独又は二種以上混合して用いればよい。特に、析出阻害成分としては、水に対して難溶性又は不溶性の化合物が好ましく、更に、樹脂成分に対して分散性が良い均一な微粒であって、比重が組成物の比重に近く組成物中で分離し難く、安定性が高く、組成物中や皮膜形成中で分解を生じることがない化合物が好ましい。
本発明における使用に適した析出阻害成分の具体例としては、亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、過酸化亜鉛、ケイフッ化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛などを挙げることができ、カドミウム化合物としては、酸化カドミウム、塩化カドミウム、硝酸カドミウム、硫酸カドミウムなどを挙げることができ、水銀化合物としては、塩化第二水銀、酸化第二水銀などを挙げることができ、硼素化合物としては、三酸化硼素、三酸化二硼素、三塩化硼素、ホウフッ化カリウム、硼酸ナトリウム、硼酸、硼酸亜鉛、硼酸アンモニウム、水酸化硼素ナトリウム、過硼酸ナトリウムなどを挙げることができ、アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミナホワイト、珪酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、硫酸アルミニウムアンモニウム等を挙げることができ、インジウム化合物としては、三塩化インジウムなどを挙げることができ、珪素化合物としては、二酸化珪素、珪酸ナトリウム、シリカゲルなどを挙げることができ、ゲルマニウム化合物としては、酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどを挙げることができ、錫化合物としては、塩化第一錫、塩化第二錫、酸化第一錫、酸化第二錫、錫酸カリウム、錫酸ナトリウム、ピロリン酸第一錫、含水酸化第二錫、硫酸第一錫などを挙げることができ、硫黄化合物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどを挙げることができ、セリウム化合物としては、フッ化セリウム、塩化セリウム、酸化セリウム、水酸化セリウム、炭酸セリウム、硫酸セリウム、蓚酸セリウムなどを挙げることができ、テルル化合物としては、塩化テルルなどを挙げることができる。
特に、これらの化合物の内で、均一な微粒子が安価で得られ、めっき抑制効果の高い酸化物が好ましい。本発明において、好適な析出阻害成分は、酸化亜鉛、酸化第二水銀、三酸化硼素、三酸化二硼素、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化第一錫、酸化第二錫、酸化セリウム等であり、特に二酸化珪素、三酸化二硼素などが好ましい。
上記した析出阻害成分は、組成物中に均一に分散できるものであることが好ましい。粒径については特に限定されないが、通常100μm以下であることが好ましく、0.1〜50μm程度であることがより好ましい。
析出阻害成分の使用量は、使用する樹脂成分の種類、使用目的等に応じて適宜決定すればよく、通常、樹脂成分100重量部に対して1〜100重量部程度の範囲とすれば良い。特に形成される皮膜の物性、めっきの析出防止性能等を考慮すると、析出阻害成分の使用量は、樹脂成分100重量部に対して20〜60重量部程度とすることが好ましい。
本発明のめっき析出阻害組成物は、特に、めっき用の治具に対するめっき皮膜の析出を防止する目的で用いるめっき治具用絶縁コーティング用組成物として有用性が高いものである。絶縁コーティング用組成物として用いる場合には、例えば、樹脂成分と析出阻害成分を有機溶媒中に溶解乃至分散させて比較的高粘度のゾルとすればよい。
有機溶剤としては、使用する樹脂成分と析出阻害成分を溶解乃至分散して安定な溶液乃至分散液を形成できるものであれば特に限定なく使用できる。この様な有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤、イソプロピルアルコール(IPA)、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤などを例示することができ、必要に応じて、適宜混合して用いてもよい。有機溶剤の種類や混合比等は、使用する樹脂成分や析出阻害成分に応じて適宜決めればよい。
本発明の組成物では、樹脂成分等の濃度は特に限定的ではなく、使用目的に応じた適度な粘度となるように調節すればよい。通常は、樹脂成分と析出阻害成分の合計量が組成物中で20〜98重量%程度となるように調節すればよいが、めっき治具の絶縁コーティング用組成物、いわゆる絶縁コーティングゾルとして用いる場合には、通常、浸漬法で塗布され、塗布量も多いので、樹脂成分と析出阻害成分の合計量を85〜98重量%程度の高濃度とすることが好ましい。
本発明の組成物は、絶縁コーティング用ゾル等として市販されている製品に、上記した析出阻害成分を配合し、適度な濃度となるように調節することによって得ることもできる。
本発明の組成物は、常法に従ってめっきの析出を防止すべき部分に塗布して用いることができる。めっき用治具の絶縁コーティング用組成物として用いる場合には、通常、浸漬法によってめっき用治具に塗布した後、樹脂の種類に応じて、乾燥、加熱、紫外線照射などの適当な方法で皮膜を硬化させることによって、絶縁コーティングを形成することができる。尚、めっき用治具としては、従来から使用されているものと同様のものを使用できる。通常は、銅、銅合金、ステンレス等の各種金属製の治具が最も多く用いられている。
めっき治具用絶縁コーティング用組成物として用いる場合には、形成される皮膜の厚さは、使用目的に応じて従来から用いられている皮膜と同様の範囲の厚さとすれば良く、一般に0.1〜5mm程度の厚さとすれば良い。
本発明のめっき析出阻害用組成物を用いて絶縁コーティングを形成しためっき用治具は、樹脂素材からなる樹脂成形品を被めっき物として、無電解めっき処理と電気めっき処理を行ってめっき皮膜を形成する際に、被めっき物を取り付けるための治具として特に有効に用いることができる。通常、樹脂成形品に対するめっき処理は、脱脂、エッチング、中和、触媒付与、無電解めっき(導体化)、電気めっき等を含む処理工程によって行われる。
本発明組成物を用いて絶縁コーティングを形成しためっき用治具を用いる場合には、絶縁コーティング部分への無電解めっきの析出を防止できるので、無電解めっきに引き続いて電気めっきを行う際に、他の治具に被めっき物を掛け替える必要がなく、連続した処理工程で無電解めっきと電気めっきを行うことができる。
特に、本発明の組成物を用いて絶縁コーティングを形成する場合には、エッチング処理液として、クロム酸―硫酸混液以外の処理液、例えば、過マンガン酸塩水溶液を用いる場合であっても、絶縁コーティング部分に無電解めっきがほとんど析出することがない。このため、過マンガン酸塩水溶液などの安全性の高いエッチング処理液を用いて、めっき用治具を交換することなく、無電解めっきと電気めっきの連続した処理が可能となる。
更に、無電解銅めっき皮膜からなる薄い導電性皮膜を形成した後、電気めっきを行う方法、いわゆるダイレクトめっき法によってめっき処理を行う場合などに、触媒付与量を多くした場合であっても、絶縁コーティング部分へのめっき皮膜の析出がほとんどなく、無電解めっきと電気めっきの連続した処理が可能となる。
本発明のめっき析出阻害用組成物から形成される皮膜は、めっきの析出を防止する働きが非常に強い皮膜となる。
よって、本発明組成物をめっき用治具の絶縁コーティング用組成物として用いることによって、絶縁コーティング部分への無電解めっきの析出を防止でき、治具を交換することなく、無電解めっきと電気めっきを連続して行うことが可能となる。これにより、樹脂成形品に対するめっき処理を行う際の処理効率が大きく向上する。特に、クロム酸―硫酸混液以外のエッチング処理液を用いる場合や、被めっき物に対する触媒付与量を増加させた場合であっても、絶縁コーティング部分へのめっきの析出を防止できるので、めっき工程における各処理方法についての制約が少なくなり、多様な処理方法を採用する各種のめっき方法においても、治具を交換することなく、1ラックによる連続しためっき処理を行うことが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1及び2
軟塩化ビニル系コーティングゾルに二酸化珪素を添加して絶縁コーティング用ゾルを製造した。二酸化珪素の添加量は、樹脂成分100重量部に対して30重量部又は50重量部とした。
実施例1及び2
軟塩化ビニル系コーティングゾルに二酸化珪素を添加して絶縁コーティング用ゾルを製造した。二酸化珪素の添加量は、樹脂成分100重量部に対して30重量部又は50重量部とした。
めっき用治具としてステンレス製の治具を用い、上記した絶縁コーティング用ゾル中に該治具を5秒間浸漬した後、180℃で5分間焼付けた。その後、再度、上記絶縁コーティングゾルに治具を5秒間浸漬した後、180℃で7分間焼付けして絶縁コーティングを形成した。
次いで、表面積0.9dm2のABS樹脂板(ダイヤペット3001M、UMGABS(株)製)を被めっき物として用い、これを上記めっき用治具に取り付けて、下記のめっき工程によってめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
*めっき工程
・ 脱脂:浸漬脱脂用脱脂剤(エースクリーンA−220、奥野製薬工業(株)製)50g/L水溶液に50℃で3分間浸漬。
・ エッチング:無水クロム酸400g/L及び98%硫酸400g/Lを含有する水溶液に70℃で10分間浸漬。
・ 中和:CRPニュートライザー300(奥野製薬工業(株)製)10ml/L水溶液に室温で3分間浸漬。
・ プリディップ:35%塩酸50ml/L水溶液に室温で1分間浸漬。
・ 触媒化:パラジウム−錫コロイド(CRPキャタリストK、奥野製薬工業(株)製)30ml/L及び35%塩酸250ml/Lを含有する水溶液に30℃で6分間浸漬。
・ 導体化(無電解銅めっき):Cuを含有する導電性皮膜形成水溶液(無電解銅めっき液)(CRPセレクターA 150ml/L、CRPセレクターB 200ml/L、奥野製薬工業(株)製)に45℃で3分間浸漬。
・ 電気めっき:硫酸銅250g/L、98%硫酸50g/L、塩素イオン50ppm、光沢剤(CRPカッパーA 0.5ml/L、CRPカッパーMU 5ml/L)を含有する電気銅めっき液を用い、含燐銅板を陽極とし、被めっき物を陰極として緩やかな空気攪拌を行いながら液温25℃、電流密度3A/dm2で30分間電気銅めっきを行った。
*めっき工程
・ 脱脂:浸漬脱脂用脱脂剤(エースクリーンA−220、奥野製薬工業(株)製)50g/L水溶液に50℃で3分間浸漬。
・ エッチング:無水クロム酸400g/L及び98%硫酸400g/Lを含有する水溶液に70℃で10分間浸漬。
・ 中和:CRPニュートライザー300(奥野製薬工業(株)製)10ml/L水溶液に室温で3分間浸漬。
・ プリディップ:35%塩酸50ml/L水溶液に室温で1分間浸漬。
・ 触媒化:パラジウム−錫コロイド(CRPキャタリストK、奥野製薬工業(株)製)30ml/L及び35%塩酸250ml/Lを含有する水溶液に30℃で6分間浸漬。
・ 導体化(無電解銅めっき):Cuを含有する導電性皮膜形成水溶液(無電解銅めっき液)(CRPセレクターA 150ml/L、CRPセレクターB 200ml/L、奥野製薬工業(株)製)に45℃で3分間浸漬。
・ 電気めっき:硫酸銅250g/L、98%硫酸50g/L、塩素イオン50ppm、光沢剤(CRPカッパーA 0.5ml/L、CRPカッパーMU 5ml/L)を含有する電気銅めっき液を用い、含燐銅板を陽極とし、被めっき物を陰極として緩やかな空気攪拌を行いながら液温25℃、電流密度3A/dm2で30分間電気銅めっきを行った。
比較例1
軟塩化ビニル系コーティングゾル中に二酸化珪素を添加することなく、その他は実施例1と同様にしてめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
軟塩化ビニル系コーティングゾル中に二酸化珪素を添加することなく、その他は実施例1と同様にしてめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
実施例3〜5
軟塩化ビニル系コーティングゾルに、酸化カドミウム、三酸化二硼素又は酸化セリウムを、樹脂成分100重量部に対して50重量部添加して絶縁コーティング用組成物を調整した。
軟塩化ビニル系コーティングゾルに、酸化カドミウム、三酸化二硼素又は酸化セリウムを、樹脂成分100重量部に対して50重量部添加して絶縁コーティング用組成物を調整した。
めっき用治具としてステンレス製の治具を用い、上記した絶縁コーティング用ゾル中に該治具を5秒間浸漬した後、180℃で5分間焼付けた。その後、再度、上記絶縁コーティングゾルに治具を5秒間浸漬した後、180℃で7分間焼付けして絶縁コーティングを形成した。
次いで、実施例1と同様の被めっき物に対して、実施例1と同様の工程でめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
実施例6〜8
軟塩化ビニル系コーティングゾルに二酸化珪素を添加して絶縁コーティング用ゾルを製造した。二酸化珪素の添加量は、樹脂成分100重量部に対して20重量部、30重量部又は50重量部とした。
軟塩化ビニル系コーティングゾルに二酸化珪素を添加して絶縁コーティング用ゾルを製造した。二酸化珪素の添加量は、樹脂成分100重量部に対して20重量部、30重量部又は50重量部とした。
めっき用治具としてステンレス製の治具を用い、上記した絶縁コーティング用ゾル中に該治具を5秒間浸漬した後、180℃で5分間焼付けた。その後、再度、絶縁コーティングゾルに治具を5秒間浸漬した後、180℃で7分間焼付けして絶縁コーティングを形成した。
次いで、表面積0.9dm2のABS樹脂板(ダイヤペット3001M、UMGABS(株)製)を被めっき物として用い、これを上記めっき用治具に取り付け、エッチング処理液として過マンガン酸ナトリウム水溶液を用いて下記のめっき工程でめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
*めっき工程
・ 脱脂:浸漬脱脂用脱脂剤(エースクリーンA−220、奥野製薬工業(株)製)50g/L水溶液に50℃で3分間浸漬。
・ エッチング1:過マンガン酸ナトリウム100g/Lを含有する水溶液に50℃で10分間浸漬。
・ エッチング2:98%硫酸600g/Lを含有する水溶液に60℃で5分間浸漬。
・ マンガン除去:樹脂表面に吸着したマンガンを除去するための水溶液(OPC−1300、奥野製薬工業(株)製)に40℃で3分間浸漬。
・ プリディップ:35%塩酸50ml/L水溶液に室温で1分間浸漬。
・ 触媒化:パラジウム−錫コロイド(CRPキャタリストK、奥野製薬工業(株)製)30ml/L及び35%塩酸250ml/Lを含有する水溶液に30℃で6分間浸漬。
・ 導体化:Cuを含有する導電性皮膜形成水溶液(CRPセレクターA 150ml/L、CRPセレクターB 200ml/L、奥野製薬工業(株)製)に45℃で3分間浸漬。
・ 電気めっき:硫酸銅250g/L、98%硫酸50g/L、塩素イオン50ppm、光沢剤(CRPカッパーA 0.5ml/L、CRPカッパーMU 5ml/L)を含有する電気銅めっき液を用い、含燐銅板を陽極とし、被めっき物を陰極として緩やかな空気攪拌を行いながら液温25℃、電流密度3A/dm2で30分間電気銅めっきを行った。
*めっき工程
・ 脱脂:浸漬脱脂用脱脂剤(エースクリーンA−220、奥野製薬工業(株)製)50g/L水溶液に50℃で3分間浸漬。
・ エッチング1:過マンガン酸ナトリウム100g/Lを含有する水溶液に50℃で10分間浸漬。
・ エッチング2:98%硫酸600g/Lを含有する水溶液に60℃で5分間浸漬。
・ マンガン除去:樹脂表面に吸着したマンガンを除去するための水溶液(OPC−1300、奥野製薬工業(株)製)に40℃で3分間浸漬。
・ プリディップ:35%塩酸50ml/L水溶液に室温で1分間浸漬。
・ 触媒化:パラジウム−錫コロイド(CRPキャタリストK、奥野製薬工業(株)製)30ml/L及び35%塩酸250ml/Lを含有する水溶液に30℃で6分間浸漬。
・ 導体化:Cuを含有する導電性皮膜形成水溶液(CRPセレクターA 150ml/L、CRPセレクターB 200ml/L、奥野製薬工業(株)製)に45℃で3分間浸漬。
・ 電気めっき:硫酸銅250g/L、98%硫酸50g/L、塩素イオン50ppm、光沢剤(CRPカッパーA 0.5ml/L、CRPカッパーMU 5ml/L)を含有する電気銅めっき液を用い、含燐銅板を陽極とし、被めっき物を陰極として緩やかな空気攪拌を行いながら液温25℃、電流密度3A/dm2で30分間電気銅めっきを行った。
比較例2
軟塩化ビニル系コーティングゾル中に二酸化珪素を添加することなく、その他は実施例6と同様にしてめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
軟塩化ビニル系コーティングゾル中に二酸化珪素を添加することなく、その他は実施例6と同様にしてめっき処理を行い、絶縁コーティング上と被めっき物に析出する電気めっき皮膜の有無を目視で判定した。結果を下記表1に示す。
以上の結果から明らかなように、特定の析出阻害成分を含有する本発明の組成物を用いて絶縁コーティングを形成しためっき用治具を用いることにより、エッチング処理液としてクロム酸−硫酸混液を用いた実施例1〜5と、エッチング処理液として過マンガン酸ナトリウム水溶液を用いた実施例6〜8のいずれのめっき工程を採用する場合にも、絶縁コーティング上へのめっき皮膜の析出を防止できることが判る。
Claims (4)
- 樹脂成分100重量部、並びに周期律表の第12族元素を含む化合物、第13族元素を含む化合物、第14族元素を含む化合物及び第16族元素を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる析出阻害成分1〜100重量部を含有することを特徴とするめっき析出阻害用組成物。
- 析出阻害成分が、亜鉛化合物、カドミニウム化合物、水銀化合物、硼素化合物、アルミニウム化合物、インジウム化合物、珪素化合物、ゲルマニウム化合物、錫化合物、硫黄化合物、セリウム化合物及びテルル化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項1に記載のめっき析出阻害用組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物からなるめっき治具用絶縁コーティング用組成物。
- 請求項3に記載の絶縁コーティング用組成物による絶縁コーティングが形成されてなるめっき用治具。
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