JP2007090616A - 合成樹脂成形品の製造方法及び製造装置 - Google Patents

合成樹脂成形品の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表層側部分は非発泡乃至微細発泡状態で、芯側部分は高発泡状態の合成樹脂製の発泡成形品を成形する製造技術を提供すること。
【解決手段】射出シリンダの長さ方向の途中部の前側位置に超臨界状態の発泡用第1流体14を注入する第1注入ノズル19を、また後側位置に超臨界状態の発泡用第2流体15を注入する第2注入ノズル20を夫々接続しておき、 各射出サイクル毎に、第1流体14が注入された第1溶融合成樹脂層14aと第2流体15が注入された第2溶融合成樹脂層15aとを前後にほぼ隣接する状態に準備し、次に各射出サイクルの射出開始までに、射出シリンダ8のチャンバー18内に第1溶融合成樹脂層14aと、第2溶融合成樹脂層15aとを前後に隣接して並ぶ状態に配置し、次に射出時に、第1溶融合成樹脂層14aを射出後第2溶融合成樹脂層15aを射出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂成形品の製造方法及び製造装置に関し、特に各射出サイクル毎に、第1,第2注入ノズルから発泡用の第1,第2流体を溶融合成樹脂に注入した第1,第2溶融合成樹脂層を射出シリンダ内に前後に隣接する状態に準備し、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出して合成樹脂製発泡成形品を製造する合成樹脂成形品の製造方法及び製造装置に関する。
従来、自動車の内装部品などに用いられる種々の合成樹脂成形品として、軽量化及び剛性を高める為に、超臨界状態の炭酸ガス又は窒素ガスなどの不活性化ガスの発泡剤を溶融合成樹脂に注入したものを金型内に射出充填して発泡させ、合成樹脂内に微細な気泡を無数に形成された成形品(発泡射出成形方法による成形品)が用いられている。ここで、超臨界状態とは、気体の性質と液体の性質を併有した物質の状態であり、物質固有の状態点である気液臨界温度、気液臨界圧力よりも高い温度・圧力での均一相状態をいう。
さらに、特許文献1には、超臨界状態の炭酸ガスや窒素ガス等の不活性ガスを、ガス透過度の高い合成樹脂(ポリエチレンやポリプロピレン等)とガス透過度の低い合成樹脂(液晶性ポリマーやエチレンビニルアルコール等)とを溶融混練した合成樹脂組成物に注入したものを、金型内に射出充填して発泡成形品を成形する製造方法が開示されている。
この製造方法では、発泡樹脂を射出充填後、減圧時に、ガス透過度の高い樹脂に溶解している炭酸ガスの気泡の成長がガス透過度の低い樹脂により阻害されるため、合成樹脂組成物内で微細な気泡が形成される。
特開2003−103556号公報
しかし、従来の発泡射出成形方法において、超臨界状態の炭酸ガスを溶融合成樹脂に注入して成形する場合は、炭酸ガスの溶融合成樹脂に対する高い溶解性により、合成樹脂内に炭酸ガスを微細に分散させて微細な気泡が形成される。そのため、外観性と剛性強度に優れた合成樹脂成形品が得られるが、成形品の軽量化を図ることが難しい。
他方、超臨界状態の窒素ガスを溶融合成樹脂に注入して成形する場合は、窒素ガスは、炭酸ガスよりも溶融樹脂に対する溶解度が低いため、合成樹脂内で高発泡状態の気泡が形成されるので、軽量化を図ることが可能である反面、成形品の剛性強度を高めるのが難しく、成形品の外観表面性状が粗くなるため外観品質を確保することができない。
特許文献1の製造方法では、合成樹脂組成物として、物性の異なる2種類の熱可塑性合成樹脂を加熱溶融した場合、合成樹脂間の溶融粘度が異なるので、分散性や相溶性に問題が生じる。しかも、これらの合成樹脂組成物の混練状態や熱可塑化状態が安定しないので、成形上での課題が大きく、成形品の品質の向上を図るのが難しい。
本発明の目的は、表層側部分は非発泡ないし微細発泡状態で、且つ内側部分は高発泡化した合成樹脂製の発泡合成樹脂成形品を成形する製造方法及び製造装置を提供すること、外観品質に優れ、軽量化でき且つ剛性強度に優れる合成樹脂成形品を製造する製造方法及び製造装置を提供することである。
請求項1の合成樹脂成形品の製造方法は、前端のノズル部から成形金型へ溶融合成樹脂を射出する射出シリンダを有する射出成形機を用いて合成樹脂製の発泡成形品を製造する方法において、射出シリンダの長さ方向途中部のうちの前後に離隔した前側位置と後側位置のうち、前側位置に発泡用の第1流体を注入する第1注入ノズルを予め接続すると共に、後側位置に溶融合成樹脂に対する溶解度が第1流体よりも低い発泡用の第2流体を注入する第2注入ノズルを予め接続しておき、各射出サイクル中の所定時期に射出シリンダ内の溶融合成樹脂に第1,第2注入ノズルから第1,第2流体を注入して、射出シリンダ内に第1流体が注入された第1溶融合成樹脂層を前側に、第2流体が注入された第2溶融合成樹脂層を後側にほぼ隣接する状態に準備する第1工程と、次に、各射出サイクルの射出開始までに、射出シリンダの前端側部分内に第1溶融合成樹脂層を前側に,第2溶融合成樹脂層を後側に並ぶ状態に配置する第2工程と、次に、各射出サイクルの射出時に、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出する第3工程とを備えたことを特徴とするものである。
射出成形機の射出シリンダには、射出シリンダ内に発泡用の第1,第2流体を夫々注入する第1注入ノズルと第2注入ノズルとが、夫々、射出シリンダの長さ方向途中部の前後に離隔する前側位置と後側位置に予め接続されている。
まず、第1工程において、射出シリンダ内に投入された合成樹脂が前方へ流動し、各射出サイクル中の所定時期に、第1注入ノズルから発泡用の第1流体、第2注入ノズルから発泡用の第2流体が溶融合成樹脂に夫々注入され、射出シリンダ内で、第1溶融合成樹脂層が前側に、第2溶融合成樹脂層が後側に、それらが前後にほぼ隣接する状態に準備される。発泡用の第2流体は、溶融合成樹脂に対する溶解度が発泡用の第1流体よりも低いものである。
次に、第2工程において、各射出サイクルの射出開始までに、第1溶融合成樹脂層が前側、第2溶融合成樹脂層が後側に並ぶ状態で射出シリンダの前端側部分内に配置される。次に、第3工程において、各射出サイクルの射出時に、射出シリンダの前端のノズル部から成形金型へ第1溶融合成樹脂層が射出されてから第2溶融合成樹脂層が射出されて合成樹脂成形品が製作される。この場合、成形品の表層側部分は、第1流体のガスで微細発泡した合成樹脂(但し、非発泡の合成樹脂を含む)で形成され、成形品の芯側部分が第2流体のガスで高発泡した合成樹脂で形成される。
請求項2の合成樹脂成形品の製造方法は、請求項1の発明において、第2流体が、超臨界状態の不活性ガスであることを特徴とするものである。
請求項3の合成樹脂成形品の製造方法は、請求項1又は2の発明において、第1流体が、第2流体とは異なる超臨界状態の不活性ガスであることを特徴とするものである。
請求項4の合成樹脂成形品の製造方法は、請求項1〜3の何れかの発明において、第1流体が超臨界状態の炭酸ガスであり、第2流体が超臨界状態の窒素ガスであることを特徴とするものである。
請求項5の合成樹脂成形品の製造方法は、請求項1〜4の何れかの発明において、第1流体が発泡した合成樹脂で成形品の表層側部分を形成し、第2流体が発泡した合成樹脂で成形品の芯側部分を形成してなる発泡成形品を製造することを特徴とするものである。
請求項6の合成樹脂成形品の製造装置は 前端ノズル部から成形金型へ溶融合成樹脂を射出する射出シリンダを有し、合成樹脂製の発泡成形品を製造する製造装置において、前記射出シリンダの長さ方向途中部のうちの前後に離隔した前側位置と後側位置のうち、前記前側位置に接続された第1注入ノズルと、前記後側位置に接続された第2注入ノズルとを有し、発泡用の第1流体を前側の第1注入ノズルに、また、溶融合成樹脂に対する溶解度が第1流体よりも低い発泡用の第2流体を後側の第2注入ノズルに供給可能な流体注入手段と、各射出サイクル毎に、射出シリンダ内に、第1注入ノズルから第1流体を溶融合成樹脂に注入した第1溶融合成樹脂層を前側に、第2注入ノズルから第2流体を溶融合成樹脂に注入した第2溶融合成樹脂層を後側に準備し、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出するように射出シリンダ及び流体注入手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
この合成樹脂成形品の製造装置は、射出シリンダと、流体注入手段と、これら射出シリンダと流体注入手段を制御する制御手段とを備えている。流体注入手段は、射出シリンダの長さ方向途中部のうちの前後に離隔した前側位置と後側位置に夫々に接続された第1,第2注入ノズルにより、発泡用の第1,第2流体を射出シリンダ内へ注入する。但し、第2流体は溶融合成樹脂に対する溶解度が第1流体よりも低いものである。
各制御サイクル毎に、制御手段で射出シリンダと流体注入手段を制御することにより、射出シリンダ内に、第1流体を注入した第1溶融合成樹脂層が前側に、第2流体を注入した第2溶融合成樹脂層が後側に準備され、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層が射出される。こうして成形される成形品の表層部は、第1流体で微細発泡した第1溶融合成樹脂層の微細発泡合成樹脂で形成され、成形品の芯側部分は、第2溶融合成樹脂層の第2流体で高発泡合成樹脂で形成される。
請求項1の発明によれば、第1注入ノズルから第1流体を注入した第1溶融合成樹脂層と、第2注入ノズルから第2流体を注入した第2溶融合成樹脂層とを射出シリンダ内の前側位置と後側位置とに隣接する状態に準備し、それらを射出シリンダの前端側部分内に移動させ、射出時、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出する。
第1流体は、第2流体よりも溶融合成樹脂に対する溶解度が高いものであるため、第1溶融合成樹脂層は微細発泡体を形成し、第2溶融合成樹脂層は大きな気泡の高発泡体を形成する。成形金型内への射出時、第1溶融合成樹脂層は第2溶融合成樹脂層よりも先に射出されるため、成形金型のキャビティ壁面側(成形品の表層側部分)に微細発泡の成形体部分を形成し、第2溶融合成樹脂層は、キャビティ内部側(成形品の芯側部分)に高発泡の成形体部分を形成する。
こうして、成形品の表層側部分を微細発泡の合成樹脂成形体とし、成形品の芯側部分を高発泡の合成樹脂成形体とすることができるから、外観と表面性状の品質に優れ、軽量でソフトな手触りで強度・剛性に優れる成形品を成形することができる。
しかも、第1流体と第2流体とを射出シリンダの途中部の前側位置と後側位置とに注入し、射出時、第1流体が溶解し発泡した第1溶融合成樹脂層を先に、第2流体が溶解し発泡した第2溶融合成樹脂層をその直後に射出するという簡単な方法で実現することができる。
請求項2の発明によれば、第2流体が超臨界状態の不活性ガスであるので、液体なみに高密度で気体なみの拡散性と低粘度を有し、溶融合成樹脂に多量に溶解させて、超臨界状態の不活性ガス以外のガスで発泡させる場合と比較して格段に微細な発泡セルを有する発泡体を形成することができる。
請求項3の発明によれば、第1流体が、第2流体とは異なる超臨界状態の不活性ガスであるので、請求項2に説明したのと同様に、第1流体を溶融合成樹脂に多量に溶解させて、超臨界状態の不活性ガス以外のガスで発泡させる場合と比較して格段に微細な発泡セルを有する発泡体を形成することができる。第1流体が第2流体とは異なる流体であるので、これら第1,第2流体により異なる発泡状態の発泡体部分(成形品部分)を形成することができる。
請求項4の発明によれば、第1流体が超臨界状態の炭酸ガスであり、第2流体が超臨界状態の窒素ガスであり、通常の合成樹脂に対して、炭酸ガスの方が窒素ガスよりも溶解度が高いため、溶融合成樹脂に分子レベルで溶解するため炭酸ガスを注入した合成樹脂は微細発泡体となり、窒素ガスを注入した合成樹脂は炭酸ガスを注入した合成樹脂よりも格段に高発泡となる。炭酸ガスも、窒素ガスも安価であり、取り扱い易いガスであるため、製作費を抑制でき、実用化する上で有利である。
請求項5の発明によれば、第1流体が発泡した合成樹脂で成形品の表層側部分を形成し、第2流体が発泡した合成樹脂で成形品の芯側部分を形成してなる発泡成形品を製造するので、外観と表面性状の品質に優れ、軽量であって強度・剛性に優れる成形品を成形することができる。
請求項6の発明によれば、合成樹脂製の発泡成形品を製造する製造装置に、射出シリンダの長さ方向の途中部の前側位置と後側位置に、第1,第2注入ノズルを接続し、流体注入手段により、第1注入ノズルから第1流体を、また、第2ノズルから第2流体を夫々射出シリンダ内に注入可能にし、制御手段で射出シリンダと流体注入手段を制御することにより、溶融合成樹脂に第1,第2流体を夫々注入した第1,第2溶融合成樹脂層を射出シリンダ内に前後に隣接状に準備し、射出時、第1溶融合成樹脂層を射出後に連続的に第2溶融合成樹脂層を射出するように構成したので、請求項1と同様に、表層側部分が微細な発泡体からなり芯側部分が高発泡体からなる合成樹脂成形品であって、外観と表面性状の品質に優れ、軽量であって強度・剛性に優れる成形品を成形することができる。
本発明の合成樹脂成形品の製造技術は、各射出サイクル毎に、2種類の不活性ガスからなる超臨界状態の流体を2本の注入ノズルから射出シリンダ内の溶融合成樹脂に注入し、溶融合成樹脂に対する溶解度の高い第1流体を前側の注入ノズルから注入して第1溶融合成樹脂層を形成すると共に、溶融合成樹脂に対する溶解度の低い第2流体を後側の注入ノズルから注入して第2溶融合成樹脂層を形成し、これらを前後位置関係を保持したまま、射出シリンダの前端側部分のチャンバー内へ移送し、射出時、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出し、成形品の表層側部分を第1溶融合成樹脂層が固化した微細発泡体で形成し、成形品の芯側部分を第2溶融合成樹脂層が固化した高発泡体で形成するものである。
以下、本発明の実施例を図面及び表に基づいて説明する。
図1に示すように、合成樹脂成形品の製造装置1は、射出成形機2と、流体注入手段3と、制御手段4等で構成されている。射出成形機2は、合成樹脂の加熱・可塑化と射出等を行なう射出ユニット5と、成形金型6の開閉、高圧保持及び成形品の取り出し等を行なう型締めユニット30等で構成されている。
射出ユニット5には、前端のノズル部7から成形金型6内へ溶融合成樹脂を射出する射出シリンダ8と、回転可能で進退移動可能なスクリュ13と、このスクリュ13を回転駆動すると共に前後方向に進退駆動する駆動装置10などを有する。射出シリンダ8の外周部には、ホッパー9から射出シリンダ8内へ投入された合成樹脂を加熱するバンドヒータ11が複数設けられている。
射出シリンダ8は円筒状の筒体で形成され、シリンダ前部8aとシリンダ後部8bとを有する。射出シリンダ8の前端側部分内には、射出直前の溶融合成樹脂を収容するチャンバー18が各射出サイクル毎に形成される。シリンダ後部8bには、その内部へペレット状の合成樹脂原料を投入するホッパー9と、各射出サイクル毎にスクリュ13の回転数から金型6内へ射出する合成樹脂量を計量する計量部12とが設けられている。
シリンダ前部8aには、シリンダ後部8bからシリンダ前部8aに搬送された溶融合成樹脂に流体注入手段3により発泡用の第1,第2流体14,15が注入されるガス注入部16と、第1流体14を溶融合成樹脂に注入した第1溶融合成樹脂層14a(図4参照)を前側に,第2流体15を溶融合成樹脂に注入した第2溶融合成樹脂層15a(図4参照)を後側にほぼ隣接する状態を維持したまま混練する混練部17とが設けられている。
ガス注入部16は、射出シリンダ8の長さ方向の途中部(シリンダ前部8aの後部)に設けられ、この射出シリンダ8の途中部の前側位置と後側位置には、流体注入手段3の第1注入ノズル19と、第2注入ノズル20とが前後に所定距離離隔した状態に接続されている。混練部17は、ガス注入部16よりも前側に設けられている。チャンバー18は、射出シリンダ8の前端側部分内に形成される空間であって、各射出サイクルにおいて、スクリュ13が射出完了位置から後方へ後退したとき形成される空間である。
スクリュ13は、射出シリンダ8内に配置され、このスクリュ13の先端部には円錐状のヘッド部23が形成され、ヘッド部23の後側近傍部には逆止弁付きの第1逆流防止部24が設けられ、長さ方向の途中部には逆止弁付きの第2逆流防止部25が形成されている。スクリュ13の外周側部分には、螺旋状の第1,第2スパイラル部材26,27が取付けられている。スクリュ13の後端部は駆動装置10に接続されている。
駆動装置10には、スクリュ13を回転させる油圧又は電動式のスクリュ回転モータを有する回転装置28と、油圧又は電動式モータによりスクリュ13を進退移動方向に強力に進退移動させる加圧ユニット28などが設けられている。
次に、型締めユニット30について説明する。
型締めユニット30には、固定型32と、固定型32に対して型開きできる可動型31とからなる成形金型6と、固定型32を固定する金型取付盤33と、可動型31を固定する金型取付動盤34と、駆動装置35などが設けられている。本実施例の場合の固定型32は、例えば断面「コ字」形状の成形品を成形する雌側の型であり、その底部36には溶融樹脂の流入孔38が形成され、この流入孔38が金型取付盤33の流入孔39を介して射出シリンダ8の前端のノズル部7に接続されている。
可動型31は、前記の成形品を成形する雄側の型であり、型締めした状態では、可動型31の凸部41が、固定型32の凹部に突入して、所定の厚さのある断面「コ字」形状のキャビティ43が形成される。図2に示すように、可動型31には、表層側部分から抜けるガスを吸引するガスベント44が溶融合成樹脂流動末端部に設けられている。尚、金型取付動盤34と成形金型6には、この他に、ガイドピンやエジェクタピン、型冷却装置などが設けられている。駆動装置35は型締め用の油圧シリンダを有し、そのピストンロッド45が金型取付動盤34の後端に連結されている。この駆動装置35により金型取付動盤34と可動型31が連動して進退駆動され、型締め・型開きがなされる。
次に、流体注入手段3について説明する。
流体注入手段3は、射出シリンダ8内のガス注入部16へ発泡用の第1,第2流体14,15を夫々注入する第1,第2注入ノズル19,20と、発泡用の第1,第2流体14,15を供給するための流体供給手段46とを有する。射出シリンダ8の途中部のうちの、前側位置に第1注入ノズル19が接続され、後側位置に第2注入ノズル20が接続されている。
流体供給手段46は、二酸化炭素ボンベ47、窒素ボンベ48から夫々供給された不活性ガスである二酸化炭素ガス(CO2 ガス)、不活性ガスである窒素ガス(N2 ガス)を超臨界状態のCO2 流体(第1流体14)と、超臨界状態のN2 流体(第2流体15)にするSCF装置48(超臨界流体発生装置)(例えば、米国Trexel社製)と、この超臨界状態の第1,第2流体14,15を第1,第2注入ノズル19,20に夫々供給するSCF供給装置49とを有する。
SCF供給装置49内には、第1,第2流体用の操作可能なチェックバルブ49a,49bが設けられている。ここで、SCF装置48で発生する超臨界状態のCO2 流体14,N2 流体15の臨界温度と臨界圧力は、表1に示す通りであり、本実施例の場合、例えばポリプロピレン製の発泡成形品を製造するが、溶融ポリプロピレンに対するN2 流体15の溶解度は、CO2 流体14の溶解度よりもかなり小さい。
Figure 2007090616
次に、射出シリンダ8と型締めユニット30と流体注入手段3を制御する制御ユニット4について説明する。制御ユニット4は、射出シリンダ8の駆動装置10と、型締めユニット30の駆動装置35と、流体注入手段3のSCF装置48とSCF供給装置49とに接続され、これらを制御するものである。この制御ユニット4は、駆動装置10,35の駆動系を制御すると共に、各射出サイクル中の所定時期に、SCF装置48から供給されたCO2 流体14とN2 流体15を夫々第1,第2注入ノズル19,20からガス注入部16に注入するようにSCF供給装置49のチェックバルブ48a,48bの開閉を制御する。
次に、以上説明した合成樹脂成形品の製造装置1を用いて合成樹脂成形品を製造する方法について、図3に示す各射出サイクルの製造工程図に基づいて説明する。尚、図3中のPi(i=1,2,・・)は各工程を示す。
図3に示すように、P1において、ホッパー9に投入された粒状の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)がシリンダ後部8b内に投入され、P2において計量部12により、スクリュ13の回転数から金型6内へ射出する合成樹脂が計量され、バンドヒータ11により合成樹脂が溶融される。
P3において、回転装置28のスクリュ回転モータにより、スクリュ13が回転開始される。P4において、図4に示すように、ガス注入部16において、流体注入手段3から供給された超臨界状態のCO2 流体14と超臨界状態のN2 流体15とが、夫々、第1,第2注入ノズル19,20からシリンダ前部8a内へ注入され、CO2 流体14が注入された第1溶融合成樹脂層14aと、N2 流体15が注入された第2溶融合成樹脂層15aが前後に隣接して並ぶように準備され、これらが前後の位置関係を維持したままシリンダ前部8aの混練部17に移送されて、CO2 流体14が注入された第1溶融合成樹脂層14aが前側に位置し、N2 流体が注入された第2溶融合成樹脂層15aが後側にほぼ隣接して位置する状態に準備される。
P5において、スクリュ13が後退駆動されつつ、1ショット分の第1,第2溶融樹脂層14a,15aが、回転中のスクリュ13の第2スパイラル部材26により、チャンバー18に搬送される。P6において、スクリュ13の回転と後退が停止されて、図5に示すように、射出開始までに、チャンバー18に1ショット分の第1,第2溶融合成樹脂層14a,15aが前後に隣接状に並ぶ状態に準備して配置される。
P7において、金型6を型締めした後、P8において、加圧ユニット29の駆動により、スクリュ13が高速に且つ強力に前進駆動されて、第1,第2溶融合成樹脂層14a,15aを加圧して、P8において、金型6のキャビティ43内へ第1溶融合成樹脂層14aを射出してから連続的に第2溶融合成樹脂層15aが射出充填され、キャビティ43の内壁面に接する側の部分(成形品の表層側部分)が第1溶融合成樹脂層14aが固化した発泡合成樹脂で形成され、キャビティ43の内壁面から離隔する中心側部分(成形品の芯側部分)が第2溶融合成樹脂層15aが固化した発泡合成樹脂で形成される。加圧射出時には、第1,第2逆止部24,25により、第1,第2溶融樹脂層14a,15aの後方への逆流が防止される。
P9において、射出後、キャビティ43内に充填された第1,第2溶融合成樹脂層14a,15aは、キャビティ43の内壁面に接する第1溶融合成樹脂層14aから固化し始める。その固化に伴う第1,第2溶融合成樹脂層14a,15aの収縮を補うため、充填完了後もスクリュ13に加圧を続けつつ後充填を行い、合成樹脂成形品が十分に固化(凝固)するまで加圧保持と冷却が実行される。
P10において、型開きを行い、コアバック方式により圧力が開放されて、成形品の芯側部分の発泡が促進される。P11において、エジェクト機構を介して取出された成形品21においては、図6に示すように、表層側部分21aが、CO2 流体14が微細化発泡し固化した第1溶融合成樹脂層14aで形成され、芯側部分6bが、N2 流体15が高発泡し固化した第2溶融合成樹脂層15aで形成されている。
ここで、図4に示す状態は、スクリュ13が前進移動して、第1溶融合成樹脂層14aを射出後連続的に第2溶融合成樹脂層15aを射出した直後の状態を示し、この状態で、シリンダ後部8b内においては、ホッパー9から合成樹脂が投入充填され、バンドヒータ11により加熱溶融されて溶融合成樹脂Saとなる。シリンダ前部8a内においては、前半部分に第1,第2溶融合成樹脂層14a,15aが前後に隣接状に並び、後半部分に第1,第2溶融合成樹脂14b,15bが前後に隣接状に並ぶように準備され、2ショット分の第1,第2溶融合成樹脂層14a,14b;15a,15bが準備される。
図5に示す状態は、図4の状態からスクリュ13が後退しつつ回転し、前進側にある第1,第2溶融合成樹脂14a,15aがチャンバー18に移送・収納された状態を示す。このとき、チャンバー18内には、スパイラル部材26により搬送された第1溶融合成樹脂14aが前側に位置し、第2溶融合成樹脂層15aが後側に隣接状に並ぶ状態に配置される。シリンダ前部8aにおいては、第1,第2溶融合成樹脂層14b,15bの後方に、シリンダ後部8bの溶融合成樹脂Sbが新たな溶融合成樹脂Saとして移送される。
射出時、スクリュ13が前進駆動され、チャンバー18内の第1溶融合成樹脂層14aを射出後連続的に第2溶融合成樹脂15aが射出されると、溶融合成樹脂Saがガス注入部16位置に搬送されて、第1,第2注入ノズル19,20からCO2 流体14とN2 流体15が夫々溶融合成樹脂Saに注入される。このとき、CO2 流体14及びN2 流体15の注入時期は、N2 流体15の注入済みの第2溶融合成樹脂層15bに、CO2 流体14を注入して混合させないように、制御ユニット4により、SCF供給装置49のチェックバルブ49a,49bの開閉動作が制御される。それ故、CO2 流体14及びN2 流体15の注入は、各射出サイクルのうちの所定の時期に行なわれる。
次に、前記の合成樹脂成形品の製造装置1の作用効果について説明する。
各射出サイクル毎に、流体供給手段46から供給される発泡用の第1,第2流体14,15が、第1,第2注入ノズル19,20から射出シリンダ8内のガス注入部16へ夫々注入され、第1流体14を注入した第1溶融合成樹脂14aと、第2流体15を注入した第2溶融合成樹脂層15aとが射出シリンダ8内に前後に隣接して並ぶように準備され、射出時に、第1溶融合成樹脂層14aを射出後連続的に第2溶融合成樹脂層15aを射出するように射出シリンダ8と型締めユニット30と流体注入手段3とが制御手段4により制御される。
そのため、射出後、金型6の内壁面に接する部分(成形品の表層側部分)が固化した微細発泡の第1溶融樹脂層14aで形成され、成形品の芯側部分が固化した高発泡の第2溶融樹脂層15aで形成されるため、外観と表面性状の品質に優れ、軽量でソフトな手触りの強度・剛性に優れる成形品21を成形することができる。通常の射出成形装置に、第1,第2注入ノズル19,20と、流体注入手段3、制御ユニット4などを追加することで、この合成樹脂成形品の製造装置1を実現できるため、設備コスト的に有利で、簡単に実施可能である。
前記の合成樹脂成形品の製造方法によれば、射出シリンダ8の途中部の前後の位置に離隔して配置接続された第1,第2注入ノズル19,20から、射出シリンダ8内の溶融合成樹脂に臨界状態のCO2 流体14とN2 流体15を夫々注入し、これらの位置関係を保持したまま射出シリンダ8内の第1溶融合成樹脂層14aと第2溶融合成樹脂層15bを移送してチャンバー18内へ移送して準備し、射出時に、第1溶融合成樹脂層14aを射出してから連続的に第2溶融合成樹脂層15aを射出することで、キャビティ43の内壁面側の部分(成形品の表層側部分)を固化した微細発泡の第1溶融合成樹脂層14aで形成し、キャビティ43の中心側部分(成形品の芯側部分)を固化した高発泡の第2溶融合成樹脂層15aで形成するので、外観と表面性状の品質に優れ、軽量でソフトな感じの強度・剛性に優れる成形品を成形することができる。
ここで、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1]実施例では、第1流体14を超臨界状態のCO2 流体、第2流体15を超臨界状態のN2 流体としたが、これらの流体以外にその他、ヘリウム、水素、酸素、アルゴン、メタンなどを超臨界状態にして使用することもできる。但し、第2流体は、第1流体よりも溶融合成樹脂に対する溶解度が低いものであることが必要である。
2]実施例では、合成樹脂としてポリプロピレン樹脂を一例としたが、その他の種々の合成樹脂(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)を採用してもよい。
3]その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例を部分的に変更した形態でも実施可能であり、本発明はそのような変更形態をも包含するものである。
本発明の実施例に係る合成樹脂成形品の製造装置の概略構成図である。 金型(可動型)の正面図である。 合成樹脂成形品の製造方法の工程図である。 射出直後の射出シリンダ内の状態を説明する説明図である。 射出直前の射出シリンダ内の状態を説明する説明図である。 合成樹脂成形品の断面図である。
符号の説明
1 合成樹脂成形品の製造装置
2 射出成形機
3 流体注入手段
4 制御手段
6 成形金型
8 射出シリンダ
14 第1流体
14a 第1溶融合成樹脂層
15 第2流体
15a 第2溶融合成樹脂層
19 第1注入ノズル
20 第2注入ノズル
21 合成樹脂成形品

Claims (6)

  1. 前端のノズル部から成形金型へ溶融合成樹脂を射出する射出シリンダを有する射出成形機を用いて合成樹脂製の発泡成形品を製造する方法において、
    前記射出シリンダの長さ方向途中部のうちの前後に離隔した前側位置と後側位置のうち、前記前側位置に発泡用の第1流体を注入する第1注入ノズルを予め接続すると共に、前記後側位置に溶融合成樹脂に対する溶解度が第1流体よりも低い発泡用の第2流体を注入する第2注入ノズルを予め接続しておき、
    各射出サイクル中の所定時期に射出シリンダ内の溶融合成樹脂に第1,第2注入ノズルから第1,第2流体を注入して、射出シリンダ内に第1流体が注入された第1溶融合成樹脂層を前側に、第2流体が注入された第2溶融合成樹脂層を後側にほぼ隣接する状態に準備する第1工程と、
    次に、各射出サイクルの射出開始までに、射出シリンダの前端側部分内に第1溶融合成樹脂層を前側に、第2溶融合成樹脂層を後側に並ぶ状態に配置する第2工程と、
    次に、各射出サイクルの射出時に、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出する第3工程と、
    を備えたことを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記第2流体が、超臨界状態の不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記第1流体が、第2流体とは異なる超臨界状態の不活性ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記第1流体が超臨界状態の炭酸ガスであり、前記第2流体が超臨界状態の窒素ガスであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の合成樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記第1流体が発泡した合成樹脂で成形品の表層側部分を形成し、前記第2流体が発泡した合成樹脂で成形品の芯側部分を形成してなる発泡成形品を製造することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の合成樹脂成形品の製造方法。
  6. 前端ノズル部から成形金型へ溶融合成樹脂を射出する射出シリンダを有し、合成樹脂製の発泡成形品を製造する製造装置において、
    前記射出シリンダの長さ方向途中部のうちの前後に離隔した前側位置と後側位置のうち、前記前側位置に接続された第1注入ノズルと、前記後側位置に接続された第2注入ノズルとを有し、発泡用の第1流体を前側の第1注入ノズルに、また、溶融合成樹脂に対する溶解度が第1流体よりも低い発泡用の第2流体を後側の第2注入ノズルに供給可能な流体注入手段と、
    各射出サイクル毎に、射出シリンダ内に、第1注入ノズルから第1流体を溶融合成樹脂に注入した第1溶融合成樹脂層を前側に、第2注入ノズルから第2流体を溶融合成樹脂に注入した第2溶融合成樹脂層を後側に準備し、第1溶融合成樹脂層を射出後連続的に第2溶融合成樹脂層を射出するように射出シリンダ及び流体注入手段を制御する制御手段と、 を備えたことを特徴とする合成樹脂成形品の製造装置。
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