JP2007088022A - 積層圧電体 - Google Patents

積層圧電体 Download PDF

Info

Publication number
JP2007088022A
JP2007088022A JP2005271857A JP2005271857A JP2007088022A JP 2007088022 A JP2007088022 A JP 2007088022A JP 2005271857 A JP2005271857 A JP 2005271857A JP 2005271857 A JP2005271857 A JP 2005271857A JP 2007088022 A JP2007088022 A JP 2007088022A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
piezoelectric ceramic
displacement
crystal grain
grain size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005271857A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4901165B2 (ja
Inventor
Shinichi Handa
真一 半田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2005271857A priority Critical patent/JP4901165B2/ja
Publication of JP2007088022A publication Critical patent/JP2007088022A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4901165B2 publication Critical patent/JP4901165B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

【課題】表面に設けられた複数の変位領域または複数の変位素子の変位量ばらつき及び駆動特性の劣化ばらつきを抑制した積層圧電体を提供する。
【解決手段】圧電セラミック層と内部電極層とを積層した積層体の表面に複数の表面電極を備え、前記積層体表面に前記表面電極のそれぞれに対応する変位領域と該変位領域を取り囲むように形成された非変位領域とを具備し、前記圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が前記平均結晶粒径の±15%の範囲内の結晶粒径を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層圧電体に関し、例えば、燃料噴射用インジェクタ、インクジェットプリンタ、あるいは圧電共振子、発振器、超音波モータ、超音波振動子、フィルタあるいは加速度センサ、ノッキングセンサ、およびAEセンサ等の圧電センサなどに適し、特に、広がり振動、伸び振動、厚みたて振動を利用した印刷ヘッドとして好適に用いられる積層圧電体に関するものである。
従来から、圧電磁器を利用した製品としては、例えば、アクチュエータ、フィルタ、圧電共振子(以下、発振子を含む概念である)、超音波振動子、超音波モータ、圧電センサ等がある。
これらの中で、例えばアクチュエータは、電気信号に対する応答速度がμsecオーダーと非常に高速であるため、半導体製造装置のXYステージの位置決め用アクチュエータやインクジェットプリンタの印刷ヘッドに用いられるアクチュエータ等に応用されている。特に、最近のカラープリンタの高速化、低価格化により、インクジェットプリンタ等のインク吐出用アクチュエータへの使用要求が高まっている。
このようなアクチュエータは圧電変位素子が使用されており、例えば、振動板として作用するセラミックス基板と、その上に設けられた第1の電極膜、圧電膜、および第二の電極膜からなる膜型の圧電作動部から構成されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなアクチュエータの振動板として用いられているセラミックス基板は酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などが用いられているが、この様なセラミック基板に圧電変位素子を、100℃以上の高い温度で硬化する接着剤を用いて接着する際には、セラミックス基板と圧電変位素子の線熱膨張係数が異なるために、圧電変位素子に圧縮応力が発生する。圧縮応力により、圧電変位素子の圧電特性が著しく低下するという課題があった。これを解決するために、振動板として用いるセラミックス基板を同一組成の圧電セラミックスで構成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
W02002/073710公報 特開2004−165650公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されている圧電セラミックスをアクチュエータとして用いる場合、同一平面に設けられた複数の圧電変位素子における変位特性がばらつくという問題があった。例えば、振動板上に複数の圧電変位素子を形成した圧電アクチュエータにおいて、前記複数の圧電変位素子間で変位量がばらついていた。
また、圧電変位素子の個別表面電極と共通電極層との間に電界の印加と除去とを繰り返して圧電変位素子の駆動を続けると、複数の圧電変位素子のうち、ある素子の変位量は変わらないが、別の素子の変位量は大きく低下するといった駆動特性の劣化具合がばらつくという問題もあった。
そこで、本発明は、表面に設けられた複数の変位領域または複数の変位素子の変位量ばらつき及び駆動特性の劣化ばらつきを抑制した積層圧電体を提供することを目的とする。
本発明の積層圧電体は、圧電セラミック層と内部電極層とを積層した積層体の表面に複数の表面電極を備え、前記積層体表面に前記表面電極のそれぞれに対応する変位領域と該変位領域を取り囲むように形成された非変位領域とを具備し、前記圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が前記平均結晶粒径の±15%の範囲内の結晶粒径を有することを特徴とするものである。
また、本発明の他の積層圧電体は、圧電セラミックスからなる振動板の上に共通電極層、圧電セラミック層をこの順に形成し、さらに前記圧電セラミック層の表面に複数の個別表面電極を形成し、該個別表面電極と、該個別表面電極に対向する共通電極層と、これらに挟持された前記圧電セラミック層とで形成される圧電変位素子が、前記振動板の上に複数形成されてなり、前記圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が前記平均結晶粒径の±15%の範囲内の結晶粒径を有することを特徴とするものである。
前記内部電極層および前記共通電極層の少なくとも一方が銀を80体積%以上の割合で含有する銀−パラジウム合金からなることが好ましい。
圧電セラミックスの結晶粒子の粒径を大きくすると、分域回転歪が大きくなり、大きな変位が得られるものの圧電定数がばらつくが、圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径を1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が前記平均結晶粒径の±15%の範囲内に設定することによって、同一面内に設けられた変位領域または変位素子の圧電特性およびその駆動特性の劣化ばらつきを抑制した積層圧電体を得ることができる。
本発明の積層圧電体は、圧電セラミック層と内部電極層とを積層した積層体の表面に複数の表面電極を備え、前記積層体表面に前記表面電極のそれぞれに対応する変位領域と該変位領域を取り囲むように形成された非変位領域とを具備し、前記圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が前記平均結晶粒径の±15%の範囲内の結晶粒径を有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の積層圧電体の一実施例を示す断面図である。以下、本発明を、図1の構造を有する積層圧電体を例として用いて説明する。
図1によれば、積層圧電体1は、振動板3の上に内部電極層4、圧電セラミック層5をこの順に形成し、さらに圧電セラミック層5の表面に複数の表面電極6を形成する。そして、表面電極6と対向する内部電極層4の対向部位と、表面電極6と、これらの電極4、6に挟まれた領域に存在する圧電セラミック層5とで変位素子7が構成される。
このように、振動板3の表面に複数の変位素子7が形成されており、変位素子7と、その変位素子7に当接する振動板3の部位とで振動部8が形成され、表面電極6と内部電極層4との間に電圧を印加することによって変位素子7が変位するため、変位素子7に当接している振動部もそれに伴って変位し、結果として振動部8全体が変位する。
なお、複数の振動部8は、それぞれの内部電極層4や表面電極6に外部の駆動回路から電圧を印加できるように電気配線を施すことは言うまでもない。
本発明によれば、圧電セラミック層5を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmの範囲内にあり、且つ圧電セラミック層5を構成する圧電セラミック結晶粒子の80%以上が平均結晶粒径の±15%の範囲内の結晶粒径を有するように構成することが重要である。
例えば、圧電セラミック層5を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.5μmであるとすれば、平均結晶粒径1.5μmの「−15%」の値が1.275μmで「+15%」の値が1.725μmであるから、圧電セラミック層5を構成する圧電セラミック結晶粒子の80%以上が1.275〜1.725μmの範囲に入ることが必要となる。
このように、平均結晶粒径および粒径分布を上記の範囲に制御することにより、圧電素子毎の分域回転歪のばらつきを低減し、積層圧電体の面内における圧電特性およびその駆動特性の劣化ばらつきを抑えた積層圧電体を実現することができる。
圧電セラミックスの変位特性は結晶粒子が大きいほど大きくなるが、結晶粒子が大きくなると分域回転歪のばらつきが大きくなるため、平均結晶粒径を上記の範囲に設定することで、圧電定数のばらつきを低減することができる。特に、平均結晶粒径を1.3〜1.7μm、1.4〜1.6μmとすることがばらつきをさらに小さくする点で好ましい。
圧電セラミックスからなる基板を振動板とする圧電アクチュエータや変位素子の周囲に拘束領域を有する構造の圧電アクチュエータでは、変位を繰り返し行うと、振動板や素子周囲の拘束領域である非変位領域から応力が付与されることにより、結晶の配向状態が変化する。その結果、変位領域または圧電変位素子の拘束状態が変化することにより、変位が大きく劣化するが、粒径分布を上記範囲に設定することで結晶配向性の変化を生じにくくでき、基板面内における駆動劣化性のばらつきを低減することができる。
特に、面内における駆動劣化ばらつき抑制のために、平均結晶粒径の±15%の範囲に分布する結晶粒子数を、全粒子数の85%以上、さらには90%以上、より好適には95%以上であることが好ましい。
なお、平均結晶粒径の測定は、電子顕微鏡や光学顕微鏡による観察によりインターセプト法を用いて行うことができる。
圧電セラミック層5は圧電セラミックスからなるものであり、本発明における圧電セラミックスとは、圧電性を示すセラミックスを意味し、Bi層状化合物やタングステンブロンズ構造物質、Nb酸アルカリ化合物のペロブスカイト構造化合物、Pbを含有するジルコン酸チタン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛等を含有するペロブスカイト構造化合物を例示できるが、これら中でもPbを含むジルコン酸チタン酸鉛やチタン酸鉛が、Ag含有電極との濡れ性を高め、Ag含有電極との密着強度を高める点で好ましい。
特に、チタン酸鉛およびチタン酸バリウムが大きな変位を得ることができる点で、また、特に、チタン酸ジルコン酸鉛系化合物であることが、より高いd定数を有する安定な圧電焼結体を得る点で好ましい。
圧電セラミックス層5が、Sr、Ba、Ni、Sb、Nb、Zn、YbおよびTeのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。これによって、より安定した圧電焼結体を得ることができ、例えば副成分としてPb(Zn1/3Sb2/3)OおよびPb(Ni1/2Te1/2)Oとを固溶してなるものを例示できる。
特に、Aサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素を含有することが望ましい。アルカリ土類元素としては特にBa、Srが高い変位を得られる点で好ましく、Baを0.02〜0.08モル、Srを0.02〜0.12モル含むことが特に正方晶組成が主体の組成の場合に大きな変位を得るのに有利である。
例えば、Pb1−x―ySrBa(Zn1/3Sb2/3(Ni1/2Te1/2Zr1−a−b−cTi+αwt%Pb1/2NbO(0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.05≦a≦0.1、0.002≦b≦0.01、0.44≦c≦0.50、α=0.1〜1.0)で表されものである。
また、本発明によれば、圧電セラミック層5と同時焼成で作製した内部電極層4が、銀を80%以上、特に85体積%以上、さらに90体積%以上、より好適には93体積%以上含む銀−パラジウム合金からなり、これにより電極の収縮による圧縮応力を低減する効果が期待できる。
さらに、焼成後の積層圧電体の内部に発生する残留応力の大きさを100MPa以下に制御することが好ましい。残留応力を低減するための手段としては、内部電極厚みを薄くする方法、内部電極中にセラミックスフィラーを含有させる方法を用いることができる。
また、内部電極層4の凝集を抑制するために、内部電極層の平均粒子径は0.1〜5.0μm、特に0.5〜3μm、さらには1〜2μmが好ましく、また、さらに密着強度を高め、残留応力を低減して圧電特性d31をより安定化させるため、電極の少なくとも一部、特に内部電極層2は圧電セラミックスを含むことが好ましい。
この圧電セラミックスは、銀パラジウム合金の総量を100体積%とした時に10〜60体積%、特に18〜50体積%、更には20〜30体積%の割合で含まれるのが、圧電セラミック層1と電極間の密着強度を高めながら残留応力を低減させるために好ましい。さらに、内部電極層4に存在する圧電セラミックスが圧電セラミック層5と略同一の組成であることが密着性をより高め、より安定した駆動のために好ましい。
次に、本発明の積層圧電体の製造方法について、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTと言う)を圧電セラミックスとして用いた場合について説明する。
まず、原料として、純度99%以上、平均粒子径1.2μm以下のPZT粉末を、圧電セラミックス粉末として準備する。焼成後に圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均粒子径を1.2〜1.8μmに制御するためには、平均粒子径を1.2μm以下、特に1μm以下、さらには0.8μm以下の原料粉末を用いることが好ましい。
また、原料粉末の粒径ばらつきは小さい方が好ましい。特に最大粒径を2μm以下、特に1.8μm以下、さらには1.6μm以下とすること、粒径ばらつきが平均粒径の±20%以内にすることが好ましい。±20%以内であれば焼成中に小さい粒子は消失し、平均結晶粒径を±15%以内にすることが可能であるが、そのためには焼成条件を精密制御する必要がある。より簡単に粒径分布を制御するためには、原料粉末の粒径ばらつきを±15%以内、特に±10%以内に設定することが好ましい。
この圧電セラミックス粉末に適当な有機バインダーを添加してテープ状に成形し、作製したグリーンシートの一部に内部電極層としてAg−Pdペーストを塗布して積層し、さらに、10〜50MPaの圧力で加圧して積層体を作製した後、所望の形状にカットする。
なお、グリーンシートの焼結前の生密度が4.5g/cm以上であることが好ましい、焼結体密度を4.5g/cm以上に上げることにより、より低温での焼成が可能であり、さらに生密度を上げると、Pbの蒸発を抑制することが可能である。
得られたグリーンシートを、400℃程度で脱バインダーを行いその後焼成する。
焼成条件は、原料粉末の粒径によって異なるが、圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均粒子径が1.2〜1.8μmとなるように設定する。例えば、平均粒径が1.6μmのPZT粉末を用いた場合、焼成温度を800〜1100℃、特に850〜1050℃、さらには870〜970℃、焼成時間を0.5〜3時間、特に1〜2.5時間に設定すれば良い。
また、Pbのような揮発性の高い元素を含む原料を採用する場合、Pb分圧の高い焼成雰囲気を用いること、または密閉容器にて焼成することが好ましい。
さらに、焼成雰囲気ガスとして酸素を用い、酸素濃度を大きくすることによって、結晶粒径の粒成長を抑制できる。
このように焼成を行って表面に形成した複数の電極を分極して本発明の積層圧電体を完成することができる。
なお、PZT以外の圧電セラミックスを用いた場合でも、PZTの場合と同様にして本発明を実施することができる。
本発明の積層圧電体は、面内における圧電特性およびその駆動特性の劣化ばらつきを抑制しているため、液体噴射用インジェクタ、インクジェットプリンタ、あるいは圧電共振子、発振器、超音波モータ、超音波振動子、フィルタあるいは加速度センサ、ノッキングセンサ、およびAEセンサ等の圧電センサなどに用いることができる。また、電気信号に対する応答速度が10−6秒台と非常に高速であるため、半導体製造装置のXYステージの位置決め用圧電アクチュエータやインクジェットプリンタの印刷ヘッドに用いられる圧電アクチュエータ等に応用されている。
特に、広がり振動、伸び振動、厚みたて振動を利用した圧電アクチュエータとして印刷ヘッドに採用すれば、ノズル間でインク吐出特性ばらつきが小さく、高精細で色むらの少ない印刷を実現することができる。例えば図2に記載の印刷ヘッドとして本発明の積層圧電体を使用することができる。
図2(a)によれば、圧電アクチュエータ1が、流路部材13の上に設けられた構造を有する。流路部材13は、複数の液体加圧室13aが隔壁13bによって仕切られ、液体加圧室13aは圧電アクチュエータ1に当接するように並設されている。
圧電アクチュエータ1は、振動板3上に共通電極4、圧電セラミック層5をこの順に形成し、さらに圧電セラミック層5の表面に表面電極6を複数設けている。表面電極6は、図2(b)に示したように、圧電セラミック層5の表面に複数配列されることにより、表面電極6とその表面電極6に対向する領域の共通電極4とこれらに挟まれた圧電セラミック層5とで構成される圧電変位部7が複数形成されたものである。
この圧電アクチュエータ1は、液体加圧室13aの直上に表面電極6が位置するようにして流路部材13上に配置している。
このような印刷ヘッドは、共通電極4と所定の表面電極6との間に電圧を印加して表面電極6直下の圧電セラミック層5を変位させることにより、圧電変位部7とそれに当接する振動板で構成される変位領域が液体加圧室13aの体積を変化させるように変形し、液体加圧室13a内のインクを加圧して、流路部材13の底面に開口したインク吐出口18よりインク滴を吐出することができる。
このような印刷ヘッドを用いることによって、高精細で色むらの少ない印刷を容易に実現することができる。
本発明の積層圧電体を作製し、これを圧電アクチュエータとして図3に示すインクジェット印刷ヘッドに応用した。
まず、原料として、純度99.5%で平均粒径および粒径分布を表1に示したチタン酸ジルコン酸鉛を含有する圧電セラミックス粉末を準備した。その組成は、Pb0.8Sr0.1Ba0.1(Zn1/3Sb2/30.08(Ni1/2Te1/20.07Zr0.4Ti0.45を99.5質量%と、Pb1/2NbOを0.5質量%であった。
なお、原料粉末の平均粒径の測定はレーザ回折散乱法によって、散乱光の強度と散乱角度から求めた。また、粒径のばらつきは平均粒径を中心にして±何%に入っているかで評価した。表中の数値が20の場合は±20%以内であることを示している。
また、電極の平均粒径測定も同様にして行った。
グリーンシートは、上記圧電用セラミック粉末に、水系バインダーとしてブチルメタクリレート、分散剤にポリカルポン酸アンモニウム塩、溶剤にイソプロビルアルコールと純水を各々添加して混合し、このスラリーをドクタープレード法によりキャリアフィルム上に、厚さ30μmのシート形状に作製した。
グリーンシートの生密度は、寸法を測定して体積を寸法から算出するとともに、重量を測定して生密度を測定した。
得られたグリーンシートを矩形形状に切断し、一部のグリーンシートには内部電極層ペーストを、振動板用のグリーンシートの表面に厚さ4μmで印刷し、内部電極層を形成した。内部電極層ペーストは、表1に示した材質、平均粒径およびAg含有割合を示す原料粉末を使用した。
さらに、内部電極層が印刷された面を上向きにして振動板グリーンシートの上に圧電セラミックス層用グリーンシートを積層し、加圧して積層成形体を得た。
この積層成形体を400℃、10時間脱脂処理した後に、温度制御精度±2%の精度を有する焼成炉にて表1に示す焼成条件にて積層成形体を焼成し、圧電セラミック層と振動板と内部電極層とからなる積層圧電体を作製した。
なお、酸素濃度は、窒素ガスとのガスの流量比から換算した。
得られた積層圧電体の表面に設けられた圧電セラミック層の格子定数比c/a、残留応力、気孔率、結晶粒径を測定した。
格子定数比c/aの測定は、X線回折による回折ピークから格子定数を算出し、c軸の格子定数をa軸の格子定数で割ってc/aを算出した。
気孔率はアルキメデス法により測定した。
銀の含有量は、予め作製しておいた検量線を用いて、蛍光X線分析により定量分析を行った。
圧電セラミック層の結晶粒子の結晶粒径は光学顕微鏡2000倍にて基板面内10箇所の写真撮影を行い、各箇所においてインターセプト法によって10個の粒子の結晶粒径を測定し、合計100個の結晶粒子の結晶粒径を測定した。そして、最小値、最大値および平均値を算出した。
次に、積層体表面片側に表面電極3を縦横それぞれ10列ずつ、合計100個形成した。表面電極は、スクリーン印刷にてAuペーストを塗布した後、これを700℃、30分間大気雰囲気中で焼付けて形成した。得られた積層圧電体の厚みは表面電極を含めて約50μmであった。
最後に、図3に示した変位測定用の印刷ヘッドを作製した。すなわち、表面電極6のそれぞれに対して外部配線を接続し、各表面電極6に対して独立して電圧を供給できるようにした。また、積層圧電体の振動板3側に、流路部材13を各表面電極6と液体加圧室13aとが対応する位置に配置するように貼り付けた。
得られた印刷ヘッドの内部電極層と表面電極間の厚み方向に3kV/mmの直流電圧を5分間印加して全ての変位素子7を分極した。その後、変位素子を矩形波2kHz、1kV/mmの電界強度で駆動させ、その時の変位量を初期値としてレーザードップラー変位計で開口部28から測定し、圧電変位素子のうち20個の変位素子の変位を評価した。次に、100時間連続で駆動させて耐久試験を行い、試験終了後に再度変位を測定し、初期値に対する耐久後の変位の劣化率を求めた。劣化率は、初期値をYa、耐久後の値をYbとしたとき、(Yb−Ya)/Yaで定義される。また、ばらつきは平均値を中心に最も大きく平均値からそれた値と平均値との差を平均値に対する百分率で表示した。
結果を表1に示した。
Figure 2007088022
本発明の試料No.2〜7、9〜11および13〜24は、変位初期値が70nm以上、そのばらつきが10%以内、劣化率の平均値が5%以内、劣化率の分布が5%以内であった。
一方、圧電セラミック層の結晶粒子の結晶粒径が1μmと小さい本発明の範囲外の試料No.1は変位初期値が70nm未満であった。
また、圧電セラミック層の結晶粒子の結晶粒径が2μmと大きい本発明の範囲外の試料No.8は劣化率の平均値が5%より大きかった。
また、結晶粒径の分布が15%を越える本発明の範囲外の試料No.8は劣化率の分布が5%より大きかった。
本発明の積層圧電体の構造を示す概略断面図である。 本発明の積層圧電体を圧電アクチュエータとして用いた印刷ヘッドの構造を示すもので、(a)は概略断面図、(b)は平面図である。 実施例で用いた本発明の積層圧電体の、測定用流路部材に積層圧電体を接合した構造を示すもので、(a)は概略断面図、(b)は平面図である。
符号の説明
1・・・積層圧電体
2・・・変位素子
3・・・振動板
4・・・内部電極層
5・・・圧電セラミック層
6・・・表面電極
7・・・変位素子
8・・・変位部
13・・・流路部材
13a・・・液体加圧室
13b・・・隔壁
18・・・インク吐出口

Claims (3)

  1. 圧電セラミック層と内部電極層とを積層した積層体の表面に複数の表面電極を備え、前記積層体表面に前記表面電極のそれぞれに対応する変位領域と該変位領域を取り囲むように形成された非変位領域とを具備し、前記圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が前記平均結晶粒径の±15%の範囲内の結晶粒径を有することを特徴とする積層圧電体。
  2. 圧電セラミックスからなる振動板の上に共通電極層、圧電セラミック層をこの順に形成し、さらに前記圧電セラミック層の表面に複数の個別表面電極を形成し、該個別表面電極と、該個別表面電極に対向する共通電極層と、これらに挟持された前記圧電セラミック層とで形成される圧電変位素子が、前記振動板の上に複数形成されてなり、前記圧電セラミック層を構成する圧電セラミック結晶粒子の平均結晶粒径が1.2〜1.8μmであり、且つ前記圧電セラミック結晶粒子の80%以上が平均結晶粒径の±15%以内の結晶粒径を有することを特徴とする積層圧電体。
  3. 前記内部電極層および前記共通電極層の少なくとも一方が銀を80体積%以上の割合で含有する銀−パラジウム合金からなることを特徴とする請求項1または2記載の積層圧電体。


JP2005271857A 2005-09-20 2005-09-20 積層圧電体 Expired - Fee Related JP4901165B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005271857A JP4901165B2 (ja) 2005-09-20 2005-09-20 積層圧電体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005271857A JP4901165B2 (ja) 2005-09-20 2005-09-20 積層圧電体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007088022A true JP2007088022A (ja) 2007-04-05
JP4901165B2 JP4901165B2 (ja) 2012-03-21

Family

ID=37974743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005271857A Expired - Fee Related JP4901165B2 (ja) 2005-09-20 2005-09-20 積層圧電体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4901165B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010527143A (ja) * 2007-05-11 2010-08-05 エプコス アクチエンゲゼルシャフト 圧電積層素子

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0769722A (ja) * 1993-09-01 1995-03-14 Toyota Motor Corp アクチュエータ用圧電体の製造方法
JPH08104568A (ja) * 1994-09-30 1996-04-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電セラミックスおよびその製造方法
JPH10279354A (ja) * 1997-03-31 1998-10-20 Hitachi Metals Ltd 圧電セラミックスおよび圧電トランス
JP2001068754A (ja) * 1999-08-30 2001-03-16 Kyocera Corp アクチュエータ用圧電部材及びその製造方法
JP2001287986A (ja) * 2000-01-31 2001-10-16 Murata Mfg Co Ltd 圧電セラミックスおよびその製造方法
JP2003095751A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Sumitomo Chem Co Ltd 非鉛圧電性セラミック粉末
JP2004002069A (ja) * 2002-05-30 2004-01-08 Tdk Corp 圧電磁器の製造方法および圧電素子の製造方法
JP2004146774A (ja) * 2002-08-27 2004-05-20 Kyocera Corp 積層圧電体、アクチュエータ及び印刷ヘッド
JP2005089293A (ja) * 2003-08-13 2005-04-07 Sakai Chem Ind Co Ltd ペロブスカイト化合物粉体の製造方法
JP2005159042A (ja) * 2003-11-26 2005-06-16 Kyocera Corp 圧電アクチュエータ及び液体噴出装置

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0769722A (ja) * 1993-09-01 1995-03-14 Toyota Motor Corp アクチュエータ用圧電体の製造方法
JPH08104568A (ja) * 1994-09-30 1996-04-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電セラミックスおよびその製造方法
JPH10279354A (ja) * 1997-03-31 1998-10-20 Hitachi Metals Ltd 圧電セラミックスおよび圧電トランス
JP2001068754A (ja) * 1999-08-30 2001-03-16 Kyocera Corp アクチュエータ用圧電部材及びその製造方法
JP2001287986A (ja) * 2000-01-31 2001-10-16 Murata Mfg Co Ltd 圧電セラミックスおよびその製造方法
JP2003095751A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Sumitomo Chem Co Ltd 非鉛圧電性セラミック粉末
JP2004002069A (ja) * 2002-05-30 2004-01-08 Tdk Corp 圧電磁器の製造方法および圧電素子の製造方法
JP2004146774A (ja) * 2002-08-27 2004-05-20 Kyocera Corp 積層圧電体、アクチュエータ及び印刷ヘッド
JP2005089293A (ja) * 2003-08-13 2005-04-07 Sakai Chem Ind Co Ltd ペロブスカイト化合物粉体の製造方法
JP2005159042A (ja) * 2003-11-26 2005-06-16 Kyocera Corp 圧電アクチュエータ及び液体噴出装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010527143A (ja) * 2007-05-11 2010-08-05 エプコス アクチエンゲゼルシャフト 圧電積層素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP4901165B2 (ja) 2012-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4422973B2 (ja) 積層圧電体、アクチュエータ及び印刷ヘッド
JP4911907B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び液体吐出装置
US8100515B2 (en) Multilayer piezoelectric actuator and liquid discharge head
JP2006269916A5 (ja)
JP4803956B2 (ja) 圧電セラミックスおよびこれを用いた積層型圧電素子並びに噴射装置
JP2012080121A (ja) 積層圧電体、圧電アクチュエータおよび印刷ヘッド
JP5001534B2 (ja) 圧電アクチュエータおよび吐出装置
JP2007123483A (ja) 圧電アクチュエータ及び液体吐出装置
JP4977380B2 (ja) 圧電アクチュエータおよびその駆動方法、並びに印刷ヘッド
JP2004165650A (ja) アクチュエータ及び印刷ヘッド
JPWO2002029129A1 (ja) 圧電薄膜及びその製造方法、並びにその圧電薄膜を備えた圧電素子、並びにその圧電素子を用いたインクジェットヘッド、並びにそのインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置
JP4901165B2 (ja) 積層圧電体
JP4485140B2 (ja) 圧電アクチュエータおよびその製造方法
JP2007290374A (ja) 印刷ヘッドの製造方法および印刷ヘッド
JP2005041053A (ja) 液体吐出装置
JP4907858B2 (ja) 圧電アクチュエータ、その製造方法及び印刷ヘッド
JP5178065B2 (ja) 圧電セラミックス、圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッド
JP5096659B2 (ja) 圧電アクチュエータおよび印刷ヘッド
JP4965724B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び印刷ヘッド
JP5328750B2 (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JP2006073672A (ja) 積層圧電体、その製造方法、圧電アクチュエータおよび印刷ヘッド
JP4766827B2 (ja) 圧電積層体の製造方法
JP2006237077A (ja) 積層圧電体及び圧電アクチュエータ
JP4157368B2 (ja) アクチュエータの製造方法
JP4299578B2 (ja) 圧電磁器及びその製造方法、アクチュエータ及び印刷ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080314

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111129

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4901165

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150113

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees