JP2007085916A - 電池故障検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 組電池の故障を正確に判定する。
【解決手段】 複数のセル電池が直列に接続された組電池の故障を検出する電池故障検出装置において、抵抗器とリレー接点とを直列に接続したバイパス回路を各セル電池に並列に接続し、各セル電池の両端電圧(セル電圧)と各セル電池の平均セル電圧を検出し、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路する。
【選択図】 図5

Description

本発明は組電池の故障検出装置に関する。
多数のセル電池を直列に接続して高電圧の電源を負荷へ供給する組電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の組電池では、セル電池どうしを端子により直列に接続して高電圧を得ている。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開2003−274502号公報
しかし、上述した従来の組電池では、セル電池どうしを端子により接続しているので、端子に酸化膜が付着して接触抵抗が増加することがあり、セル電圧を検出してセル電池の劣化を判定する場合には、端子の接触抵抗とセル電池の内部抵抗との判別が難しく、セル電池の劣化と誤判定することがある。
抵抗器とリレー接点とを直列に接続したバイパス回路を各セル電池に並列に接続し、各セル電池の両端電圧(セル電圧)と各セル電池の平均セル電圧を検出し、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路する。
本発明によれば、セル電池の接続部に付着した酸化膜を除去して正確なセル電圧を検出でき、セル電池の故障を正確に検出することができる。
本願発明の電池故障検出装置を、エンジンとモーターの両方の駆動力または一方の駆動力により走行するハイブリッド車両の高電圧バッテリーに適用した一実施の形態を説明する。なお、本願発明の電池故障検出装置は、ハイブリッド車両に限定されず、組電池により高電圧を負荷へ供給するあらゆる装置および機器に適用することができる。
図1は一実施の形態のハイブリッド車両の構成を示す。一実施の形態のハイブリッド車両はエンジン1とモーター2を備え、いずれか一方または両方の駆動力により走行する。モーター2は1台で走行駆動、エンジン始動、発電および回生制動の機能を有する。エンジン1とモーター2の駆動力はトランスミッションを介して駆動輪(不図示)に伝達される。
インバーター4はバッテリー5の直流電力を交流電力に変換してモーター2へ供給し、モーター2から走行駆動力を発生させるとともに、モーター2の回生交流電力を直流電力に逆変換し、バッテリー5を充電する。バッテリー5は、図2に示すように、n個のセル電池11〜1nが直列に接続された組電池である。
車両コントローラー6は車速、変速機のシフト位置、ブレーキペダルの踏み込み圧、アクセルペダルの踏み込み量などの車両情報に基づいて車両の所要駆動力を演算し、燃料消費量が最少となるようにエネルギーマネージメントを行ってエンジン1とモーター2のトルク指令を決定する。車両コントローラー6はエンジンコントローラー7を制御してエンジン1の運転と停止、トルクと回転速度を制御するとともに、モーターコントローラー8を制御してモーター2の運転と停止、トルクと回転速度を制御する。
車両コントローラー6はまた、バッテリーコントローラー9を制御してバッテリー5の充放電を制御する。エンジンコントローラー7はエンジン1のスロットルバルブ開閉制御、燃料噴射制御、点火時期制御などを行い、エンジン1のトルクと回転速度を制御する。モーターコントローラー8はモーター2の電圧と電流を制御し、モーター2のトルクと回転速度を制御する。バッテリーコントローラー9はバッテリー5の充放電制御を行うとともに、後述する制御プログラムを実行してバッテリー5を構成するセル電池の故障を判定する。
図2はバッテリー5とバッテリーコントローラー9の詳細な構成を示す。バッテリー5はn個のセル電池11〜1nが直列に接続された組電池であり、セル電池11〜1nは図3に示す端子(タブ)51により接続されている。バッテリーコントローラー9はバッテリー制御回路21、セル制御回路22、電圧計23、電流計24、放電抵抗器31〜3n、バイパスリレー41〜4nなどを備えており、バッテリー5の充放電を制御するとともにセル電池11〜1nの故障判定を行う。
セル制御回路22は、セル電池11〜1nごとの両端電圧(以下、セル電圧という)Vc1〜Vcnを検出し、バイパスリレー41〜4nを開閉して各セル電池11〜1nのセル電圧Vc1〜Vcnが均一になるように制御する。すなわち、充電時に規定のセル電圧に達したセル電池1*(*=1〜n)のバイパスリレー4*をオンし、放電抵抗3*を介して充電電流をバイパスする。
バッテリー制御回路21はCPU21a、メモリ21b、A/Dコンバーター21cなどを備え、車両コントローラー6からの充放電指令にしたがってバッテリー5の充放電を行うとともに、後述する故障判定プログラムを実行してセル電池11〜1nの故障判定を行う。バッテリー制御回路21には、バッテリー5の両端電圧(この明細書ではバッテリー電圧または電池電圧という)VBを測定する電圧計23と、バッテリー5に流れる電流(この明細書ではバッテリー電流または電池電流という)IBを測定する電流計24が接続されている。
ここで、一実施の形態のセル電池11〜1nの故障判定方法について説明する。各セル電池11〜1nの抵抗Rc1〜Rcn[Ω]は、バッテリー5の負荷時のセル電圧Vc1〜Vcn[V]とバッテリー電流IB[A]とに基づいて次式により算出することができる。
Rc1〜Rcn=(Vc1〜Vcn)/IB ・・・(1)
なお、バッテリー5の負荷時とは、図2に示すように、バッテリー負荷であるインバーター4とバッテリー5との間に設置される負荷開閉用リレー4a、4bの閉路時をいう。リレー4a、4bが閉路されると、インバーター4を介してバッテリー5からモーター2へ、またはモーター2からバッテリー5へ電流が流れる。
各セル電池11〜1nは、図4に示すように、セル電池自体と、セル電池の内部抵抗r1と、セル電池接続部の接触抵抗r2との直列回路で等価的に表すことができ、上記(1)式で算出されるセル電池の抵抗Rc1〜Rcnは内部抵抗r1と接触抵抗r2の和と考えることができる。セル電池の内部抵抗r1はセル電池内部の化学変化により発生し、使用年数に応じて徐々に増加する。これに対しセル電池接続部の接触抵抗r2は端子51に酸化膜が付着して増加する。
複数のセル電池11〜1nを直列に接続した組電池5では、上述したようにセル電池11〜1nが経年変化により劣化して内部抵抗r1が徐々に増加する。このとき、セル電池11〜1nごとの劣化度合いは均一ではなくセル電池11〜1nごとに異なるため、劣化による内部抵抗r1に差が生じて各セル電池11〜1nの充電容量にバラツキが生じる。そのため、各セル電池11〜1nのセル電圧Vc1〜Vcn[V]を監視し、セル電圧Vcの最も低いセル電池のセル電圧Vcを基準にして他のセル電池の容量調整を行う。すなわち、他のセル電池のセル電圧Vcが前記基準電圧となるように、他のセル電池のバイパスリレーを閉路して放電電流を流し、他のセル電池のセル電圧を強制的に降下させる。これにより、組電池5を構成するすべてのセル電池11〜1nのセル電圧Vc1〜Vcnが均一になり、組電池5の寿命を長くすることができる。
ところが、このような容量調整を行うと、セル電圧Vcが最も低いセル電池にはセル電圧検出のための微弱電流しか流れず、この状態で長期間使用するとセル電圧Vcが最も低いセル電池の端子51に酸化膜が付着し、接触抵抗r2が増加する。その結果、容量調整を行うときにセル電圧Vc1〜Vcnを正確に測定できなくなって、容量調整を十分に行うことができなくなるので、端子51に付着した酸化膜を除去する必要がある。
なお、セル電池11〜1nの端子に金メッキ処理を施して酸化膜の付着を防止する方法も考えられるが、コストがかかるので採用し難い。
この一実施の形態では、セル電池11〜1nの無負荷時のセル電圧Vc1〜Vcnを測定し、これらの平均セル電圧Vc_aveとの電圧差ΔVc1〜ΔVcnを求め、電圧差ΔVc1〜ΔVcnが大きいセル電池の端子51には酸化膜が付着していると仮定し、そのセル電池のバイパスリレーをオンしてセル電池自体を電源とする放電回路を形成し、放電電流を流して酸化膜を強制的に除去する。
電圧差ΔVc1〜ΔVcnは次式により求める。
ΔVc1〜ΔVcn=|Vc_ave−(Vc1〜Vcn)| ・・・(2)
電圧差ΔVc1〜ΔVcnを判定基準値ΔVcoと比較し、判定基準値ΔVco以上の電圧差ΔVc1〜ΔVcnがあるセル電池に対しては、その端子51に酸化膜が付着していると仮定する。
今、セル電池11の端子51に酸化膜が付着していると仮定すると、セル電池11の接触抵抗r2が大きくなってセル電圧Vc1が増加するが、平均セル電圧Vc_aveはセル電圧Vc1の増加分の1/n(nはセル電池個数)しか増加しない。したがって、判定基準値ΔVcoには、このような関係を考慮し、セル劣化による内部抵抗r1の増加か、または酸化膜の付着による接触抵抗r2の増加かを正確に判定できる値を決定する。
図5は、バッテリーコントローラー9で実行される電池故障検出プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。ハイブリッド車両のメインスイッチ(不図示)が投入されると、バッテリー制御回路21のCPU21aはこの電池故障検出プログラムを実行する。
ステップ1において電流計24によりバッテリー電流IBを測定し、バッテリー電流IBが予め設定した電流Io以下か否かを判定する。バッテリー電流IBが少ないほど各セル電池11〜1nの内部抵抗r1が小さくなり、各セル電池11〜1nの抵抗Rc1〜Rcnに含まれる接触抵抗r2の割合が大きくなるため、端子51への酸化膜付着を正確に判定できる。したがって、バッテリー電流IBが設定電流Io以下のときはステップ2へ進み、電池故障検出処理を実行する。
なお、この一実施の形態ではバッテリー電流IBが設定値Io以下の少ないときに電池故障検出処理を行う例を示すが、バッテリー電流IBに関わらず予め設定した時間ごとに故障検出処理を行ってもよい。バッテリーの負荷時はセル電池の抵抗に含まれる接触抵抗の割合が小さくなるので、酸化膜付着の判定精度がわずかに低下するが、バッテリーの負荷時、無負荷時を問わず常に故障検出処理を実行するので、電池故障を早期に検出できる。
また、ハイブリッド車両のメインスイッチが投入された起動時のみ電池故障検出処理を行うようにしてもよい。これにより、ハイブリッド車両の運行を開始する前に電池故障を検出することができる。
ステップ2では電圧計23によりバッテリー電圧VBを測定し、セル電池個数nで除して平均セル電圧Vc_aveを演算する。なお、セル制御回路22に内蔵される各セル電池11〜1nのセル電圧測定用電圧計はデジチェーン接続されており、瞬時に各セル電圧Vc1〜Vcnを測定することができない。そこで、電圧計23によりバッテリー電圧VBを測定して平均セル電圧Vc_aveを演算する。
ステップ3でセル制御回路22により各セル電池11〜1nのセル電圧Vc1〜Vcnを測定する。ステップ4において上記(2)式により電圧差ΔVc1〜ΔVcnを演算し、続くステップ5で各電圧差ΔVc1〜ΔVcnを判定基準値ΔVcoと比較する。電圧差ΔVc1〜ΔVcnが判定基準値ΔVco以上のセル電池に対しては、その端子に酸化膜が付着していると仮定してステップ6へ進む。一方、電圧差ΔVc1〜ΔVcnが判定基準値ΔVco以上のセル電池がない場合はステップ1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
ステップ6において電圧差が判定基準値ΔVco以上のセル電池に対して酸化膜除去処理を行う。説明を理解しやすくするために、ここではセル電池11の電圧差ΔVc1が判定基準値ΔVco以上あるものとして説明する。セル電池11のバイパスリレー41を所定時間の間オン(閉路)し、セル電池11の両端を放電抵抗器31で短絡して放電電流を流す。ここで、上記所定時間には、端子に付着した酸化膜を除去可能な最少時間を設定する。
所定時間経過後のステップ7において制御回路22によりセル電池11のセル電圧Vc1を測定し、続くステップ8で上記(2)式により電圧差ΔVc1を演算する。そして、ステップ9で電圧差ΔVc1を上記判定基準値ΔVcoと比較し、電圧差ΔVc1が判定基準値ΔVco以上あるか否かを判定する。電圧差ΔVc1が判定基準値ΔVco以上の場合は、酸化膜除去処理によっても電圧差ΔVc1が低減されないのであるから、セル電池11には酸化膜が付着しているのではなく、セル電池自体が劣化していると判定する。この場合はステップ10へ進み、スピーカー(不図示)によりセル電池11の故障警報を行う。
一方、電圧差ΔVc1が判定基準値ΔVcoより小さい場合は、酸化膜除去処理によって電圧差ΔVc1が減少したのであるから、セル電池11の端子51に付着していた酸化膜は除去されたと判定する。この場合はステップ1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
このように、一実施の形態によれば、複数のセル電池が直列に接続された組電池の故障を検出する電池故障検出装置において、抵抗器とリレー接点とを直列に接続したバイパス回路を各セル電池に並列に接続し、各セル電池のセル電圧と各セル電池の平均セル電圧を検出し、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路するようにしたので、セル電池の接続部に付着した酸化膜を除去して正確なセル電圧を検出でき、セル電池の故障を正確に検出することができる。
また、一実施の形態によれば、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路した後に、そのセル電池のセル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上ある場合には、そのセル電池が故障していると判定するようにしたので、セル電池の接続部に付着した酸化膜により接触抵抗が増大したのか、セル電池の劣化により内部抵抗が増大したのかを正しく判定することができ、セル電池の故障を正確に検出できる。
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、バッテリー5が組電池を、セル制御回路22がセル電圧検出手段を、電圧計23およびバッテリー制御回路21が平均セル電圧検出手段を、バッテリー制御回路21が制御手段を、電流計24が電流検出手段をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項との対応関係になんら限定も拘束もされない。
一実施の形態のハイブリッド車両の構成を示す図である。 一実施の形態のバッテリーとバッテリーコントローラーの構成を示す図である。 セル電池の端子を示す図である。 セル電池の等価回路を示す図である。 一実施の形態の電池故障検出プログラムを示すフローチャートである。
符号の説明
4 インバーター
4a、4b 負荷開閉用リレー
5 バッテリー
9 バッテリーコントローラー
11〜1n セル電池
21 バッテリー制御回路
22 セル制御回路
23 電圧計
24 電流計

Claims (6)

  1. 複数のセル電池が直列に接続された組電池の故障を検出する電池故障検出装置において、
    抵抗器とリレー接点とを直列に接続したバイパス回路を各セル電池に並列に接続するとともに、
    各セル電池の両端電圧(以下、セル電圧という)を検出するセル電圧検出手段と、
    各セル電池の平均セル電圧を検出する平均セル電圧検出手段と、
    セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、前記バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路する制御手段とを備えることを特徴とする電池故障検出装置。
  2. 請求項1に記載の電池故障検出装置において、
    前記制御手段は、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、前記バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路した後に、そのセル電池のセル電圧と平均セル電圧との差が前記所定値以上ある場合には、そのセル電池が故障していると判定することを特徴とする電池故障検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電池故障検出装置において、
    前記平均セル電圧検出手段は、組電池の両端電圧を検出する組電池電圧検出手段を有し、組電池の両端電圧を組電池を構成するセル電池の個数で除して前記平均セル電圧を検出することを特徴とする電池故障検出装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の電池故障検出装置において、
    組電池に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
    前記制御手段は、組電池に流れる電流が所定値以下のときに、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、前記バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路することを特徴とする電池故障検出装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の電池故障検出装置において、
    前記制御手段は、予め設定した時間ごとに、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、前記バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路することを特徴とする電池故障検出装置。
  6. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の電池故障検出装置をハイブリッド車両に搭載される組電池に適用し、
    前記制御手段は、ハイブリッド車両のメインスイッチが投入されたときに、セル電圧と平均セル電圧との差が所定値以上のセル電池に対し、前記バイパス回路のリレー接点を所定時間閉路することを特徴とする電池故障検出装置。
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