JP4961861B2 - 組電池のバラツキ検知装置 - Google Patents
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Description
このような組電池においては、充放電を繰り返したり、長期間放置したりすると、各セルの自己放電、劣化等の差に基づいて各セルの容量(SOC)にバラツキが発生する。そして各セル間に容量バラツキが発生すると、組電池の使用可能電力が制限されるため、できるだけバラツキを抑制する必要がある。そのため容量(SOC)と相関のある無負荷時の電圧(いわゆる開放電圧)を検出することによって容量バラツキを検出し、容量を均一に調整する処理を行っている。従来は、上記のように開放電圧を測定するため、特許文献1に記載のように、無負荷時にのみ計測するように構成していた。
(1)車両走行前にキースイッチをオンにした時点から組電池と負荷(インバータや電動機)が接続(図1のリレー10、11がON)されるまでの間
(2)車両走行後にキースイッチをオフにした時点(組電池とインバータや電動機が遮断され電流が流れていない状態)から所定時間が経過して組電池の状態が安定した時点
しかし、上記(1)においては、全てのセルの計測を行うのに時間がかかり、計測が終了するまで車両を発進させることができないので、運転者に不満を与えるという問題があった。また、車両の停止から起動までの時間が非常に短い場合(例えば荷物の積み下ろしのため数秒〜数十秒停車した場合)には、電池が無負荷状態に戻りきっていない(電圧が安定せず変化している状態)ため容量バラツキを正確に検出することが出来ないという問題もある。
また、上記(2)においては、車両走行後に所定時間以上経過しないと計測出来ないので、例えばタクシーのように一台の車両を複数の運転者が交代で次々に運転するような使用状態(シェアリング運転)では、停止時間が短い(若しくは長時間停止することがない)ため容量バラツキを検出することが困難になり、そのため過充電や過放電になって電池の寿命を低下させるおそれがある、という問題があった。
本発明は上記の問題を解決するため、組電池の各セル間の容量バラツキを負荷時にも計測することの出来る組電池のバラツキ検知装置を提供することを目的とする。
組電池を構成する各セルの電圧(端子電圧:以下同じ)を順次計測する場合、負荷時では負荷の変動に応じて電圧、電流が変動するので、負荷時に計測すると、各セルの計測時点(読み込み時点)毎に負荷の変動に応じて電流、電圧が異なるため、全セルを同じ条件で計測することができず、したがって各セル間の容量バラツキを正確に検出することが出来ない。しかし、前記のように同時に計測したセル電圧と総電圧とを比較すれば各セル毎の計測時点が異なっても、総電圧によって標準化できる。すなわち、組電池の総電圧は、全セルの端子電圧の総和(すなわち組電池としての端子電圧)であり、負荷状態(電流)が変化して各セルの電圧が変化すれば、それに対応して総電圧も変化する。そのため総電圧と一つのセルの電圧とを同時に計測し、その計測時点における総電圧と当該セルの計測値とを比較すれば、各セルの読み込み時点における負荷状態(電流)の変化によって各セル毎の計測値が変動しても、比較する対象である総電圧も対応して変化しているので、各セル毎の計測時点が異なっても、総電圧によって標準化できる。そのため、負荷状態の変動に拘りなく大きな容量バラツキが発生しているセルを検知することが出来る。
図1において、1は組電池であり、複数のセル2(二次電池ユニットまたはキャパシタ)が直列または直並列に接続されている。セル2の数は例えば電気自動車用の組電池では数百個である。3はセル2の端子電圧を検出する電圧センサ、4は放電用の抵抗、5は半導体スイッチであり、抵抗3と半導体スイッチ5はバラツキ調整のための放電回路を形成している。なお、本発明において、容量とは残容量(SOC:State Of Charge)を表す。また、バラツキとは容量のバラツキを意味する。
また、リレー10、11は組電池1と負荷であるインバータ12と間の導通/遮断を行うものであり、図示しないキースイッチによって制御される。なお、リレー10、11がOFFの場合には、無負荷状態であると判断出来る。
バラツキ検知部8は例えばCPUやメモリ等からなるコンピュータで構成されており、各セル2毎に設けられている電圧センサ3の値を読み込む。この際、A/D変換器の個数や入力ポート数の制約から多数の電圧値を一度に読み込むことは出来ず、順次読み込むことになるので、セル数が数百個の場合には数秒程度の時間がかかる。そのため本発明においては、総電圧センサ7で検出した組電池1の総電圧と、一つのセル2の検出値とを同時に読み込み、この総電圧と一つのセルの電圧とを同時に計測する(読み込む)処理を全てのセルについて順次行い、計測した各セル電圧と同時に計測した総電圧とをそれぞれ比較することにより、バラツキが所定値以上のセルを検知する(詳細後述)。なお、2つ程度の電圧値を同時に読み込むことは可能である。
図2において、ステップS1では、キースイッチが投入されることによって全体の装置が起動される。
ステップS2では無負荷時のバラツキ検知処理を行う。この状態はステップS3でリレーがONされる前なので無負荷状態であることは問題ない。なお、電流センサ6における検出値が0の場合にも無負荷状態と判断出来る。
上記のように、ステップS2における無負荷時のバラツキ検知処理は、起動からリレー10、11がONになるまでの間にのみ行われるが、必ずしも完了する必要はないので、直ちに車両を発進させたい場合(例えば運転者がキースイッチ投入直後にアクセルを操作した場合等)には、バラツキ検知を中断して後述するステップ3に進んでリレー10、11をONにして車両を発進させることが出来るので、従来のように運転者に不満を与えるおそれがない。
ステップS5では、総電圧(組電池の端子電圧)を計測し、ステップS6では今回計測順番のセルの電圧(セルの端子電圧)を計測する。なお、この総電圧とセル電圧の計測、読み込みは同時に行う。
次に、ステップS7では、バラツキ検知条件が満足されているか否かを判断する。このバラツキ検知条件とは、バラツキ検知を行うのに適した状態か否かを判断するものであり、例えば、下記のような条件である。
ステップS7=NOの場合には、以後のバラツキ検知処理を行わず、直ちにステップS5へ戻る。
ステップS8でYESの場合には、当該セルがバラツキセルであると判断し、ステップS9でバラツキ調整を行う。バラツキ調整は前記のように半導体スイッチ5に信号を送ってオンにし、抵抗4を介してセル2を放電させることにより、セル2の電圧を総電圧の平均値まで低下させる、あるいは予め定められた所定の電圧値まで低下させる等によって行う。なお、平均よりも電圧の低い(すなわち平均よりも容量が小さい)セルをバラツキセルとして検出する場合には、当該セルに充電する回路を設ける。
ステップS12では、n=n+1としてセルの順番を1つインクリメントしてステップS5へ戻る。なお、nが全セル数の場合、つまり全てのセルについての処理が終了した場合には、n=0に戻る。
図3のフローチャートは、前記図2におけるステップS8をステップS13と入れ替えたもの、つまりバラツキと判定する条件が異なるものであり、他の部分は同じである。
ステップS13では、セル電圧にセル数を乗算した値と同時に検出した総電圧との差が所定値以上か否かを判断する。なお、この場合にも電圧の高いセルをバラツキセルとして検出しているので、ステップS13に記載のように「セル電圧×セル数−総電圧>所定値」を判断しているが、電圧の低いセルをバラツキセルとして検出する場合には「総電圧−セル電圧×セル数>所定値」とすればよいし、両方を検出する場合には「|セル電圧×セル数−総電圧|>所定値」とすればよい。
図4において、Vaは総電圧のセル1個当たり平均値、棒グラフは各セル電圧、黒い棒グラフはバラツキが大きくバラツキセルと判断されたものを示す。
また、期間t1は充電電流が所定値以下の状態、期間t2は放電電流が所定値以下の状態、期間t3は充放電電流が非常に少ない状態である。このような状態では前記ステップS7のバラツキ検知条件が満足されており、バラツキ検知処理を行っている。
図4に示すように、負荷時には負荷状態(電流)の変動によってセル電圧が変動するが、それに応じて総電圧および総電圧の平均値も変動するので、負荷状態が変動してもセル電圧に基づいて容量バラツキを検出することが出来る。
3…電圧センサ 4…抵抗
5…半導体スイッチ 6…電流センサ
7…総電圧センサ 8…バラツキ検知部
9…電動機制御部 10、11…リレー
12…インバータ 13…電動機
Claims (11)
- 充放電可能なセルを複数個直列接続した組電池における各セル間の容量のバラツキを検知する装置であって、
各セルの端子電圧をそれぞれ計測する電圧センサと、
組電池全体の端子電圧である総電圧を計測する総電圧センサと、
組電池の入出力電流を検出する電流センサと、
負荷時において、前記総電圧と一つのセルの電圧とを同時に計測する処理を全てのセルについて順次行い、計測した各セル電圧と同時に計測した総電圧とをそれぞれ比較することにより、容量バラツキが所定値以上のセルを検知するバラツキ検知手段と、
を備えたことを特徴とする組電池のバラツキ検知装置。 - 前記バラツキ検知手段は、計測したセル電圧と同時に計測した総電圧とを比較し、両者の差が所定値以下のセルを容量バラツキが発生しているセルとして検知することを特徴とする請求項1に記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 前記バラツキ検知手段は、計測したセル電圧を同時に計測した総電圧のセル1個当たり平均値と比較し、両者の差が所定値以上のセルを容量バラツキが発生しているセルとして検知することを特徴とする請求項1に記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 前記バラツキ検知手段は、計測したセル電圧にセル数を乗算した値を同時に計測した総電圧と比較し、両者の差が所定値以上のセルを容量バラツキが発生しているセルとして検知することを特徴とする請求項1に記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 前記バラツキ検知手段は、負荷状態が所定の検知条件を満たしている場合にのみ、前記バラツキ検知処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 前記検知条件は、前記電流センサで検出した入出力電流が所定値以下の低負荷時であることを特徴とする請求項5に記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 前記検知条件は、前記電流センサで検出した入出力電流が所定値以上の値から所定値以下に低下した後、所定時間以上経過した時であり、負荷電流が所定値以上から所定値以下に低下してから所定時間の間は、前記バラツキ検知処理をしないことを特徴とする請求項5に記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 容量バラツキが発生しているセルとして検知された回数が多いセルを注目セルとして記憶し、他のセルに優先して前記バラツキ検知処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 無負荷時においてバラツキ検知処理が完了した場合には負荷時におけるバラツキ検知処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 前記バラツキ検知処理において容量バラツキが発生しているセルとして検知されたセルに対してバラツキ調整を行う手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載の組電池のバラツキ検知装置。
- 予め定められた所定の複数回以上容量バラツキが発生しているセルとして検知されたセルに対してのみバラツキ調整を行うことを特徴とする請求項10に記載の組電池のバラツキ検知装置。
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