以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1である電池システム(蓄電システムに相当する)について説明する。図1は、本実施例である電池システムの構成を示す図である。本実施例の電池システムは、車両に搭載することができる。この車両としては、電気自動車やハイブリッド自動車がある。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、後述する組電池だけを備えている。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、後述する組電池の他に、エンジン又は燃料電池を備えている。
組電池(蓄電装置に相当する)10は、電気的に直列に接続された複数の単電池11を有する。組電池10を構成する単電池11の数は、組電池10の要求出力などを考慮して適宜設定することができる。本実施例では、すべての単電池11が直列に接続されることによって、組電池10が構成されているが、これに限るものではない。具体的には、組電池10には、並列に接続された複数の単電池11が含まれていてもよい。
単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることもできる。
組電池10は、正極ラインPLおよび負極ラインNLを介して、昇圧回路30に接続されている。コンデンサ23は、正極ラインPLおよび負極ラインNLに接続されており、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間における電圧変動を平滑化するために用いられる。
電流センサ22は、組電池10に流れる電流値を検出し、検出結果をコントローラ50に出力する。本実施例では、組電池10を放電したときの電流値として、正の値を用い、組電池10を充電したときの電流値として、負の値を用いている。本実施例では、電流センサ22を負極ラインNLに設けているが、これに限るものではない。電流センサ22は、組電池10に流れる電流値を検出できればよい。例えば、正極ラインPLおよび負極ラインNLの少なくとも一方に電流センサ22を設けることができる。また、正極ラインPLおよび負極ラインNLの一方に対して、複数の電流センサ22を設けることもできる。
正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられており、負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗Rは、互いに直列に接続されているとともに、システムメインリレーSMR−Gに対して並列に接続されている。電流制限抵抗Rは、組電池10の放電によってコンデンサ23をプリチャージするときに、コンデンサ23に突入電流が流れることを抑制するために用いられる。
システムメインリレーSMR−G,SMR−P,SMR−Bのそれぞれは、コントローラ50からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。組電池10を昇圧回路30と接続するとき、まず、コントローラ50は、システムメインリレーSMR−P,SMR−Bをオフからオンに切り替える。これにより、組電池10の放電電流が、電流制限抵抗Rを介してコンデンサ23に流れ、コンデンサ23をプリチャージすることができる。
次に、コントローラ50は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池10および昇圧回路30の接続が完了し、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-ON)となる。コントローラ50には、車両のイグニッションスイッチのオン/オフに関する情報が入力され、コントローラ50は、イグニッションスイッチのオンを受けて、電池システムを起動状態(Ready-ON)とする。
組電池10および昇圧回路30の接続を遮断するとき、コントローラ50は、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bをオンからオフに切り替える。これにより、電池システムは、停止状態(Ready-OFF)となる。イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ50は、電池システムを停止状態とする。
昇圧回路30は、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間における電圧を昇圧してバスラインPB,NBの間に出力する。すなわち、昇圧回路30は、組電池10の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をインバータ42に出力する。バスラインPBは、正極ラインPLと接続され、バスラインNBは、負極ラインNLと接続されている。昇圧回路30は、リアクトル31を有する。リアクトル31の一端は、正極ラインPLと接続され、リアクトル31の他端は、トランジスタ32のエミッタと、トランジスタ33のコレクタとに接続されている。
トランジスタ32,33は、バスラインPB,NBの間で、直列に接続されている。ここで、トランジスタ32のコレクタは、バスラインPBと接続され、トランジスタ33のエミッタは、バスラインNBと接続されている。また、トランジスタ32のエミッタは、トランジスタ33のコレクタと接続されている。トランジスタ32,33としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、npn型トランジスタ、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いることができる。
ダイオード34,35は、トランジスタ32,33に対して、それぞれ並列に接続されている。具体的には、ダイオード34,35のアノードが、トランジスタ32,33のエミッタと接続され、ダイオード34,35のカソードが、トランジスタ32,33のコレクタと接続されている。コンデンサ41は、バスラインPB,NBに接続されており、バスラインPB,NBの間における電圧変動を平滑化するために用いられる。
昇圧回路30は、昇圧動作や降圧動作を行うことができる。昇圧回路30が昇圧動作を行うとき、コントローラ50は、トランジスタ33をオンにするとともに、トランジスタ32をオフにする。これにより、組電池10からリアクトル31に電流が流れ、リアクトル31には、電流量に応じた磁場エネルギが蓄積される。次に、コントローラ50は、トランジスタ33をオンからオフに切り替えることにより、リアクトル31からダイオード34を介して、インバータ42に電流を流す。これにより、リアクトル31で蓄積されたエネルギが、昇圧回路30から放出され、昇圧動作が行われる。
昇圧回路30の降圧動作は、インバータ42の出力電力を組電池10に供給するときに行われる。昇圧回路30が降圧動作を行うとき、コントローラ50は、トランジスタ32をオンにするとともに、トランジスタ33をオフにする。これにより、インバータ42からの電流が組電池10に供給され、組電池10の充電が行われる。ここで、インバータ42からの電流がリアクトル31を流れることにより、降圧動作が行われる。
インバータ42は、昇圧回路30から出力された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ(MG)43に出力する。また、インバータ42は、モータ・ジェネレータ43が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を昇圧回路30に出力する。インバータ42は、コントローラ50からの制御信号を受けて動作する。モータ・ジェネレータ43としては、三相交流モータを用いることができる。
モータ・ジェネレータ43は、インバータ42から供給された電気エネルギ(交流電力)を運動エネルギに変換する。モータ・ジェネレータ43は、車輪と接続されており、モータ・ジェネレータ43によって生成された運動エネルギ(回転力)は、車輪に伝達される。これにより、車両を走行させることができる。また、車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ43は、車輪からの回転力を受けて発電する。モータ・ジェネレータ43によって生成された交流電力は、インバータ42に出力される。
監視ユニット21は、組電池10に含まれる各単電池の電圧値及び組電池10の総電圧(端子間電圧)を検出して、検出結果をコントローラ50に出力する。図2は、組電池10および監視ユニット21の詳細な構成例を示している。
図2に示すように、監視ユニット21は、複数の電圧検出ラインL1,L2を介して、各単電池11と接続されている。ここで、図2では省略しているが、監視ユニット21および単電池11の間に位置する電圧検出ラインL1,L2には、スイッチを設けることができる。このスイッチとしては、例えば、フォトMOS(Metal Oxide Semiconductor)リレーを用いることができる。
2つの電圧検出ラインL1は、組電池10の正極端子および負極端子のそれぞれに接続されている。組電池10の正極端子は、図2に示す組電池10の回路構成において、一端に位置する単電池11の正極端子に相当する。組電池10の負極端子は、図2に示す組電池10の回路構成において、他端に位置する単電池11の負極端子に相当する。
電圧検出ラインL2は、電気的に直列に接続された2つの単電池11において、一方の単電池11の負極端子と、他方の単電池11の正極端子とに接続されている。本実施例の電圧検出ラインL2は、直列に接続される単電池11間に接続され、その一部が隣り合う単電池11で共通する1つの電圧検出ラインとして構成されている。
複数の電圧検出ラインL1,L2は、後述するように、コンパレータ21Aの2つの入力端子それぞれに接続される入力ラインLN1,LN2に接続されている。2つの入力ラインLN1,LN2は、複数の電圧検出ラインL1,L2で共有して使用され、各電圧検出ラインL1,L2に設けられたサンプリングスイッチSW21,SW22のオン/オフ操作を通じて、電圧検出ラインL1,L2又は電圧検出ラインL2,L2を介し、検出対象の単電池11の正極側電位及び負極側電位がコンパレータ21Aの各入力端子に順次出力されて電圧が検出される。
単電池11と監視ユニット21との間には、電圧検出ラインL1,L2を介して各単電池11に接続される保護回路が設けられている。具体的には、各電圧検出ラインL1,L2に、抵抗R11を設けるとともに、各単電池11に対して電圧検出ラインL1,L2を介してツェナーダイオードDを電気的に並列に接続し、保護回路を形成している。
ツェナーダイオードDのカソードは、単電池11の正極端子と接続されており、カソードおよび正極端子の間の電流経路に抵抗R11が設けられている。ツェナーダイオードDのアノードは、単電池11の負極端子と接続されており、アノードおよび負極端子の間の電流経路に抵抗R11が設けられている。
例えば、許容電流値よりも大きな電流が抵抗R11に流れた際に、抵抗R11が溶断することにより、監視ユニット21および組電池10の電気的な接続を遮断することができる。これにより、組電池10(単電池11)から監視ユニット21に過大な電流が流れてしまうことを抑制できる。
また、ツェナーダイオードDは、組電池10から監視ユニット21に過電圧が印加することを抑制する。例えば、組電池10から監視ユニット21に過電圧が印加されるときに、ツェナーダイオードDに電流が流れることにより、監視ユニット21に過電圧が印加されることを抑制することができる。なお、複数のツェナーダイオードDは、電気的に直列に接続されている。
電圧検出ラインL1には、抵抗R21が設けられており、抵抗R21は、監視ユニット21に含まれている。抵抗R11,R21は、電気的に直列に接続されており、抵抗R11,R21の接続点に対して、ツェナーダイオードDのカソードが接続されている。
電圧検出ラインL2は、監視ユニット21の内部において、2つの分岐ラインL21,L22に分岐されている。分岐ラインL21には、抵抗R21が設けられており、分岐ラインL22には、抵抗R22が設けられている。
電圧検出ラインL2において、抵抗R11,R21は、電気的に直列に接続されており、抵抗R11,R21の接続点には、ツェナーダイオードDのアノードが接続されている。また、電圧検出ラインL2において、抵抗R11,R22は、電気的に直列に接続されており、抵抗R11,R22の接続点には、ツェナーダイオードDのアノードが接続されている。
電圧検出ラインL1および分岐ラインL22には、キャパシタ(フライングキャパシタ)CおよびスイッチSW1が接続されている。具体的には、キャパシタCやスイッチSW1は、抵抗R21およびサンプリングスイッチSW21の間に位置する電圧検出ラインL1と、抵抗R22およびサンプリングスイッチSW22の間に位置する分岐ラインL22とに接続されている。サンプリングスイッチSW21は、電圧検出ラインL1に接続されており、サンプリングスイッチSW22は、分岐ラインL22に接続されている。
また、各単電池11の正極端子および負極端子と接続された2つの電圧検出ラインL2に関して、一方の電圧検出ラインL2における分岐ラインL21と、他方の電圧検出ラインL2における分岐ラインL22には、キャパシタCやスイッチSW1が接続されている。具体的には、キャパシタCやスイッチSW1は、抵抗R21およびサンプリングスイッチSW21の間に位置する分岐ラインL21と、抵抗R22およびサンプリングスイッチSW22の間に位置する分岐ラインL22とに接続されている。ここで、サンプリングスイッチSW21は、分岐ラインL21と接続されており、サンプリングスイッチSW22は、分岐ラインL22と接続されている。
スイッチSW1は、コントローラ50からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。スイッチSW1は、組電池10を構成する、すべての単電池11における電圧値を均等化させるために用いられる。
具体的には、特定の単電池11の電圧値が、他の単電池11の電圧値よりも高いときには、特定の単電池11と電気的に並列に接続されたスイッチSW1をオフからオンに切り替えることにより、特定の単電池11を放電させることができる。すなわち、スイッチSW1をオンにすると、特定の単電池11の放電電流を抵抗R21,R22に流すことができ、特定の単電池11の電圧値を低下させることができる。これにより、特定の単電池11の電圧値を、他の単電池11の電圧値に揃えることができる。
本実施例の監視ユニット21は、電圧検出ラインL1,L2を介して各単電池11それぞれに電圧均等化のための放電回路(均等化回路)が設けられ、抵抗R21,R22は、均等化のための放電電流を流す抵抗として用いられる。これら抵抗R21,R22に直列に接続されるスイッチSW1(均等化スイッチ)と共に放電回路を構成しており、放電回路を介して単電池11の電圧が検出される。なお、本実施例の放電回路は、監視ユニット21内に設けているが、監視ユニット21に対して保護回路との間に個別に設けてもよい。
キャパシタCは、電圧検出ラインL1,L2又は電圧検出ラインL2,L2を介して、単電池11と電気的に並列に接続されているため、キャパシタCには、単電池11に蓄えられた電荷がチャージされる。これにより、キャパシタCの電圧値は、単電池11の電圧値と等しくなる。
各単電池11の正極端子と接続されたサンプリングスイッチSW21は、入力ラインLN1を介してコンパレータ21Aの正極側入力端子に接続され、各単電池11の負極端子と接続されたサンプリングスイッチSW22は、入力ラインLN2を介してコンパレータ21Bの負極側入力端子に接続されている。
各サンプリングスイッチSW21,SW22は、コントローラ50からの制御信号を受けてオンおよびオフの間で切り替わる。また、複数のサンプリングスイッチSW21,SW22は、マルチプレクサによって構成することができる。
特定の単電池11に対応したサンプリングスイッチSW21,SW22だけをオンにすると、コンパレータ21Aは、特定の単電池11の電圧値(特定の単電池11に対応するキャパシタCの電圧値)を出力する。このように、各単電池11に対応したサンプリングスイッチSW21,SW22を順次オンにすることにより、各単電池11の電圧値を順次検出することができる。
さらに、本実施例の監視ユニット21は、2つの電圧検出ラインL3が設けられ、組電池10の総電圧V_totalを検出することができる。2つの電圧検出ラインL3は、組電池10の正極端子および負極端子のそれぞれに接続されている。このとき、電圧検出ラインL3は、上述した電圧検出ラインL1と基本的に同様の構成であるが、電圧検出ラインL1とは独立した電圧検出経路、言い換えれば、電圧検出ラインL1,L2の単電池11の電圧検出経路との電気的接続がない個別の総電圧用の電圧検出経路となるように、組電池10の正極端子および負極端子のそれぞれに接続されている。
図2の構成において2つの電圧検出ラインL3は、電圧検出ラインL1,L2と同様に、コンパレータ21Aの2つの入力端子それぞれに接続される入力ラインLN1,LN2に接続されている。2つの電圧検出ラインL3それぞれには、直列に接続される抵抗R11,R21が設けられるとともに、組電池10の正極端子(一端に位置する単電池11の正極端子)と入力ラインLN1との間にサンプリングスイッチSW21が、組電池10の負極端子(他端に位置する単電池11の負極端子)と入力ラインLN2との間にサンプリングスイッチSW21が設けられている。2つの入力ラインLN1,LN2は、電圧検出ラインL1,L2に加えて電圧検出ラインL3で共有して使用される。
2つの電圧検出ラインL3間には、キャパシタ(フライングキャパシタ)Ctが設けられている。具体的には、キャパシタCtは、抵抗R21およびサンプリングスイッチSW21の間に位置する電圧検出ラインL3と、抵抗R21およびサンプリングスイッチSW22の間に位置する電圧検出ラインL3とに接続されている。キャパシタCtは、単電池11の電圧を検出するためのキャパシタCの耐電圧よりも大きい耐電圧を有しており、例えば、満充電時において組電池10を構成する複数の単電池11が直列接続された際の合計電圧に応じた耐電圧とすることができる。
各電圧検出ラインL3,L3に設けられたサンプリングスイッチSW21,SW22のオン/オフ操作を通じて、電圧検出ラインL3,L3を介し、組電池10の正極側電位及び負極側電位がコンパレータ21Aの各入力端子に出力されて当該組電池10の総電圧V_totalが検出される。
このように本実施例の電池システムは、監視ユニット21が組電池10を構成する複数の単電池11それぞれの電圧を検出するとともに、組電池10の総電圧V_totalを検出する。このため、電池システムは、複数の単電池11の電圧を検出する第1電圧センサと、組電池10の総電圧V_totalを検出する第2電圧センサとを備えていることになり、図2の構成では、1つの監視ユニット21で第1電圧センサ及び第2電圧センサの2つの機能を実現した一例を示している。
コントローラ50は、メモリ51を有しており、メモリ51は、コントローラ50が特定の処理(特に、本実施例で説明する処理)を行うときに用いられる情報を記憶している。本実施例では、メモリ51がコントローラ50に内蔵されているが、メモリ51は、コントローラ50の外部に設けられていてもよい。
コントローラ50は、監視ユニット21によって検出された電圧値や、電流センサ22によって検出された電流値に基づいて、組電池10の充放電を制御することができる。コントローラ50は、監視ユニット21と一体であってもよいし、電流センサ22などのセンサ類と一体であってもよい。
例えば、コントローラ50は、監視ユニット21によって検出された電圧値を監視することにより、組電池10の過充電状態や過放電状態を把握することができる。すなわち、検出された電圧値が上限電圧値よりも高いとき、コントローラ50は、組電池10が過充電状態であると判別することができる。また、検出された電圧値が下限電圧値よりも低いとき、コントローラ50は、組電池10が過放電状態であると判別することができる。
上限電圧値や下限電圧値は、組電池10(単電池11)の入出力特性などを考慮して予め設定することができ、上限電圧値や下限電圧値に関する情報は、メモリ51に記憶しておくことができる。組電池10が過充電状態であるときには、組電池10の充電を許容する上限電力を低下させることにより、組電池10の充電を制限することができる。また、組電池10が過放電状態であるときには、組電池10の放電を許容する上限電力を低下させることにより、組電池10の放電を制限することができる。
また、コントローラ50は、監視ユニット21によって検出された電圧値と、電流センサ22によって検出された電流値とを用いて、組電池10(単電池11)の抵抗値を算出(推定)することができる。組電池10(単電池11)の劣化が進行するほど、組電池10(単電池11)の抵抗値が上昇するため、組電池10(単電池11)の抵抗値を推定することにより、組電池10(単電池11)の劣化状態を把握することができる。
なお、コントローラ50は、昇圧回路30、インバータ42およびモータ・ジェネレータ43毎に設けることも可能であり、後述する電圧検出処理や異常検出処理を行うための別途のコントローラを、車両制御と独立して設けることも可能である。つまり、車両全体の制御を司る中央制御装置が、各部を制御したり、各部の制御毎の個別のコントローラを設けて中央制御装置が個別の各コントローラと接続される構成であってもよい。
しかしながら、監視ユニット21が故障等していると、単電池11の電圧値及び組電池10の総電圧を精度良く検出できず、これらの組電池10の充放電制御や組電池10の状態把握を適切に行うことができない。
そこで、本実施例では、組電池10の総電圧V_totalと組電池10を構成する直列に接続された単電池11それぞれの各電圧値の合計値とを比較して、監視ユニット21の異常等(例えば、放電回路のスイッチSW1(均等化スイッチ)のリーク故障など)を検出する異常検出処理を行う。
上述のように本実施例の電圧検出処理では、監視ユニット21が電圧検出の指令値を受けて動作することで各単電池11の電圧値及び組電池10の総電圧V_totalが検出されるが、コントローラ50は、所定のサンプリング間隔(所定の時間間隔)で各単電池11の電圧値及び組電池10の総電圧V_totalを順次検出する。
図7に示すように、例えば、図2に示す構成において直列に接続された複数の単電池11を上から順に、1番目の単電池11の電圧値を時刻t1において検出し、2番目の単電池11の電圧値を時刻t2において検出し、3番目の単電池11の電圧値を時刻t3において検出し、最後に時刻t12において組電池10の総電圧V_totalを検出することができる。各時刻間は、サンプリング間隔に相当する。
この場合、2番目に検出された単電池11の電圧値の時刻t2は、1番目の単電池11の電圧値を検出した時刻t1よりも1サンプリング間隔遅れた時刻であり、3番目に検出された単電池11の電圧値の時刻t3は、1番目の単電池11の電圧値を検出した時刻t1よりもさらに2サンプリング周期遅れた時刻となる。このため、例えば、単電池11が11個で構成されている場合、最後に検出される単電池11の電圧値は、1番目の単電池11の電圧値を検出した時刻t1からサンプリング周期×10の時間経過後に検出されることになる。
さらには、直列に接続された単電池11の各電圧値を検出した後の時刻t12で電圧センサ24よる組電池10の総電圧V_totalの検出を行うと、総電圧V_totalは、一番最初に単電池11の電圧値を検出が行われた時刻t1からサンプリング周期×11の時間経過後に検出されることになる。
一方で、組電池10を充放電するときには、モータ・ジェネレータ43の回転や昇圧回路30のスイッチング動作等によって発生するリプル電流が、組電池10に流れる電流に含まれることがある。組電池10に流れる電流にリプル電流が含まれていると、監視ユニット21によって検出される電圧値それぞれにバラツキが発生する。
つまり、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンされた昇圧回路30等の負荷に接続された状態では、組電池10にはリプル電流が流れるとともに、リプル電流に応じた電圧変動が発生するため、互いに異なる検出タイミングで検出される単電池11の各電圧値及び組電池10の総電圧V_totalにバラツキが発生してしまう。
図6は、リプル電流が発生しているときの電圧値の挙動(一例)を示している。図6に示すように、リプル電流によって電流値が周期的に変化している(変動周期Tで変化している)とき、電圧値もリプル電流の周期的な変動に合わせて変動する。例えば、監視ユニット21は、時刻taで単電池11Aの電圧値Vaを検出し、時刻tbで単電池11Bの電圧値Vbを検出する。時刻ta,tbの間隔は、監視ユニット21による検出タイミングのずれとなるので、図6に示すように、リプル電流に伴う電圧変動によって検出される電圧値Va,Vbは互いに異なってしまう。
そして、図7に示すように、図2に示す構成において監視ユニット21が直列に接続された複数の単電池11を上から順に、異なる各検出タイミングで単電池11それぞれの電圧値を検出しつつ、監視ユニット21での各単電池11の電圧検出後の異なる時刻t12で組電池10の総電圧V_totalを検出すると、総電圧V_totalに対し、時刻t1〜t11それぞれに検出された各電圧値には、リプル電流に伴う電圧変動が検出誤差(同期ずれ量)として含まれてしまうことになる。
言い換えれば、同じ検出タイミングで各単電池11の電圧値と組電池10の総電圧V_totalとが検出できれば、リプル電流に伴う同期ずれ量が0となり、総電圧V_total及び各時刻t1〜t11で検出される各電圧値の合計値の間で同じ検出誤差がそれぞれ含まれることになるので、総電圧V_totalと単電池11それぞれの各電圧値の合計値とを比較して、監視ユニット21の異常を検出することができる。
しかしながら、監視ユニット21での各単電池11の電圧検出が互いに異なる検出タイミングで行われ、かつ各単電池11の検出タイミングと異なる別の検出タイミングで組電池10の総電圧V_totalの検出が行われると、異なる検出タイミングそれぞれの同期ずれ量が、検出誤差として各時刻t1〜t11で検出される各電圧値の合計値に含まれてしまう。
このため、総電圧V_totalを検出した時刻t12を基準とすると、時刻t1〜t11で検出される各電圧値には、リプル電流に伴う電圧変動に応じた各電圧変動量(矢印で示す変動量)がそれぞれ含まれることになり、各時刻t1〜t11で検出される各電圧値の合計値には、時刻t12で検出される総電圧V_totalに対する同期ずれ量(検出誤差)が累積して含まれることになる。なお、総電圧V_totalを電圧検出の順序で一番最初の時刻t1で検出してその後の時刻t2〜時刻t12で各単電池11の電圧を検出する場合も同様である。
このように、単電池11の各電圧値及び組電池10の総電圧V_totalを異なる検出タイミングで検出する場合、検出タイミングのずれに応じた同期ずれ量が検出誤差として各時刻t1〜t11で検出される各電圧値の合計値に含まれることから、時刻t12で検出される総電圧V_totalと各時刻t1〜t11で検出される各電圧値の合計値とを比較しても、監視ユニット21の異常を精度良く検出することができない。
そこで、本実施例では、複数の単電池(蓄電ブロックに相当する)11それぞれの各電圧及び組電池10の総電圧V_totalを互いに異なる検出タイミングで順次検出する電圧検出処理を行う場合に、順次検出される電圧の検出順序において組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングを中央又は中央付近となるように変更する。
具体的には、各時刻t1〜t11で検出される各単電池11の検出タイミングにおいて、各単電池11の検出順序の中央又は中央付近に総電圧V_totalの検出タイミングを組み込み、総電圧V_totalの検出タイミングを単電池11の各電圧の検出途中に変更する。このように構成することで、単電池11の各電圧値及び組電池10の総電圧V_totalを互いに異なる検出タイミングで検出する場合であっても、検出タイミングのずれに応じた同期ずれ量(検出誤差)を抑制することができ、総電圧V_totalと単電池11の各電圧値の合計値とを比較して監視ユニット21の異常を精度良く行えるようにする。
図3は、本実施例の電池システムにおいて、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングを各単電池11それぞれの検出順序の中央付近とした電圧検出処理を示した図である。
図3の例においても図7に示したように、図2に示す構成において監視ユニット21が直列に接続された複数の単電池11を上から順の検出順序でかつそれぞれ異なる検出タイミングで単電池11それぞれの電圧値を検出している。このとき、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングは、時刻t1〜t12の各検出タイミング全体において中央又は中央付近である時刻t6の検出タイミングとすることができる。
組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングが時刻t6である場合、時刻t6を基準として前後の時刻t1〜t5,時刻t7〜t12で検出される単電池11の各電圧値には、図7の例と同様にリプル電流に伴う電圧変動量(矢印で示す変動量)がそれぞれ含まれるものの、総電圧V_totalを検出した時刻t6を基準とすると、時刻t1〜t5で検出される単電池11の電圧値V1〜V5に含まれる各同期ずれ量と、時刻t7〜t12で検出される単電池11の電圧値V6〜V11に含まれる各同期ずれ量とは、電圧変動に対して正負が逆になる。
すなわち、総電圧V_totalを検出した時刻t6時点を同期ずれ量の基準とすれば、時刻t6よりも前に検出された単電池11の電圧値V1〜V5に含まれる各同期ずれ量をプラス、時刻t6よりも後に検出される単電池11の電圧値V6〜V11に含まれる各同期ずれ量をマイナスとして捉えることができる。このため、総電圧V_totalを検出する時刻t6の検出タイミング前後の時刻t1〜t5,時刻t7〜t12それぞれで検出される各電圧値の合計値に含まれる同期ずれ量は、総電圧V_totalを検出した時刻t6時点の同期ずれ量の基準値(例えば、0)とすることで、総電圧V_totalに対して互いに相殺されることになる。
このように、電圧の検出順序において中央又は中央付近で組電池10の総電圧V_totalを検出することで、総電圧V_totalの検出タイミング前後の単電池11の各電圧に含まれる電圧変動に伴う各同期ずれ量(検出タイミングのずれに起因した電圧変動に伴う各検出誤差)が、単電池11の各電圧値を合計した場合に総電圧V_totalの検出タイミング時の検出誤差を基準として互いに相殺される。言い換えれば、単電池11の各電圧に含まれる各同期ずれ量の合計値を、総電圧V_totalの検出タイミング時の同期ずれ量と同じに又は近づけることができる。このため、検出タイミングのずれに起因した電圧検出の検出誤差が抑制され、総電圧V_totalと総電圧V_totalの検出タイミング前後の時刻t1〜t5,時刻t7〜t12で検出される各電圧値の合計値とを比較して、監視ユニット21の異常を精度良く検出することができる。
特に、本実施例では、電圧の検出順序において中央又は中央付近で組電池10の総電圧V_totalを検出するように単電池11の各電圧を順次検出する電圧検出のスケジューリングを変更するだけで、検出タイミングのずれに起因した電圧検出の検出誤差が抑制することができ、監視ユニット21の異常を精度良く検出することができる。このため、検出誤差を考慮した別途の補正処理や他の回路構成を必要とせず、容易かつ安価に監視ユニット21の異常を精度良く検出することができる。
また、監視ユニット21は、電圧検出ラインL3を設けることで、放電回路と電気的に接続される電圧検出ラインL1,L2と独立した電圧検出経路で組電池10の総電圧V_totalを検出している。つまり、電圧検出ラインL3は、放電回路との電気的な接続がない独立した電圧検出ラインとして組電池10の正極端子及び負極端子それぞれに接続される。このため、検出される組電池10の総電圧V_totalは、例えば、放電回路のスイッチSW1(均等化スイッチ)のリーク故障の影響を受けないので、総電圧V_totalと単電池11の合計値とを比較して、監視ユニット21の異常を精度良く検出することができる。
なお、本実施例では、所定のサンプリング間隔で複数の単電池11それぞれの各電圧と組電池10の総電圧V_totalとを検出するが、このサンプリング間隔は、モータ・ジェネレータ43の回転や昇圧回路30の動作に応じて発生する電圧変動の周期(リプル電流の変動周波数)よりも、順次検出される電圧の検出順序に応じた電圧検出数及びサンプリング間隔に基づく電圧検出時間が短くなる時間間隔に設定することができる。
具体的には、図3の例に示すように、単電池11の数に応じた電圧検出数にサンプリング間隔を乗じた電圧検出時間が、リプル電流に伴う電圧変動の周期よりも短くなるように、サンプリング間隔を規定することで、総電圧V_totalの検出タイミング前後の単電池11の各電圧に含まれる電圧変動に伴う各同期ずれ量が、単電池11の各電圧値を合計した際に総電圧V_totalの検出タイミング時の検出誤差を基準として互いに相殺され易くなる。
また、リプル電流に応じた電圧変動の周期のうち、整流回路を用いて周波数の大きい成分を除去し、周波数が小さい電圧変動状況下で複数の単電池11それぞれの各電圧と組電池10の総電圧V_totalとを検出できる電圧検出時間に対応したサンプリング間隔を設定することもできる。
図4は、本実施例の電圧検出処理及び電圧センサの異常検出処理のフローチャートである。電圧検出処理及び異常検出処理は、コントローラ50によって遂行される。なお、電圧検出処理及び異常検出処理は個別のタイミングで各々実行してもよく、また、負荷と接続された状態(例えば、充放電制御中)において行うことができる。
図4に示すように、コントローラ50は、各単電池11の電圧及び組電池10の総電圧V_totalを検出する(ステップS101)。単電池11の電圧検出は、1つ又は所定数のブロック単位で行うことができる。
コントローラ50は、例えば、図2に示す構成において、直列に接続された単電池11の一番最初の単電池11から順次電圧を検出することができる。コントローラ50は、電圧検出ラインを介して単電池11に接続されるそれぞれのスイッチSW21,SW22のオン/オフ制御を行い、順次各単電池11の電圧を検出することができる。なお、単電池11の各電圧を検出する順序は、直列に接続された単電池11の一番最初の単電池11から順でなくてもよく、直列に接続された単電池11群の中で任意の単電池11から順次各電圧を検出するようにしてもよい。
コントローラ50は、ステップS102において組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングであるか否かを判別し、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングであれば、組電池10の総電圧V_totalを検出する。
なお、コントローラ50は、開始時点からの検出回数をカウントアップしてメモリ51に記憶しておき、予め設定されている単電池11の電圧検出数に基づいて、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングであるか否かを判別することができる。例えば、電圧検出数が11である場合、検出順序で6番目又は6番目の前後の順番である場合、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングであると判別することができる。
また、単電池11の電圧検出数に基づいて、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングを中央又は中央付近に組み込んだ電圧検出順序を予めメモリ51に記憶しておき、開始時点からの検出順序をモニタリングして、組電池10の総電圧V_totalの検出順序となった場合に、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングであると判別することができる。
コントローラ50は、ステップS102において組電池10の総電圧V_totalの検出タイミングであると判別された場合、ステップS103において電圧検出ラインL3,L3のサンプリングスイッチSW21,SW22をオフからオンに切り換え(他の電圧検出ラインL1,L2のサンプリングスイッチSW21,SW22は全てオフ)、組電池10の総電圧V_totalを検出する。コントローラ50は、組電池10の総電圧V_total後、監視ユニット21に対して残りの単電池11の各電圧を検出するように制御する。
コントローラ50は、各単電池11の電圧及び組電池10の総電圧V_totalが検出されると(ステップS104)、ステップS105に進み、電圧センサの異常検出処理を行う。
コントローラ50は、ステップ105において検出された各単電池11の電圧の合計値を算出する。そして、算出された合計値と組電池10の総電圧V_totalを比較し、例えば、両者の差分が閾値αよりも小さい場合は、ステップS106に進み、正常判定を行う。一方、両者の差分が閾値αよりも大きい場合には、ステップS107に進み、異常判定を行う。
コントローラ50は、ステップS107における異常判定に伴い、監視ユニット21の異常状態をユーザ等に知らせる警告処理(例えば、警告ランプの点灯や音声又は表示部を介したメッセージ出力)を行うことができる。
図5は、本実施例の変形例を示す図である。上記説明では、監視ユニット21が複数の単電池11の電圧を検出する第1電圧センサ及び組電池10の総電圧V_totalを検出する第2電圧センサの双方の機能を備えているが、図5の例は、例えば、監視ユニット21が複数の単電池11の電圧を検出する第1電圧センサの機能のみを備え、組電池10の総電圧V_totalを検出する個別の電圧センサを用いている。
図5に示すように、電圧センサ24は、コンデンサ23の電圧値を検出して、検出結果をコントローラ50に出力する。コンデンサ23は、組電池10の正極ラインPLと負極ラインNLとに接続されているので、電圧センサ24は、コンデンサ23の電圧を組電池10の電圧(組電池10の端子間電圧であり、複数の単電池11で構成された組電池10の総電圧)として検出することができる。
このように、2つの電圧センサ(電圧センサ24,監視ユニット21)を用いて、電圧センサ24で組電池10の総電圧V_totalを検出し、監視ユニット21で組電池10を構成する複数の単電池11それぞれの電圧のみを検出するように構成することができる。
そして、図3の例に示すように、監視ユニット21が直列に接続された複数の単電池11を上から順の検出順序でかつそれぞれ異なる検出タイミングで単電池11それぞれの電圧値を検出しつつ、組電池10の総電圧V_totalの検出タイミング(時刻t1〜t12の各検出タイミング全体において中央又は中央付近)において電圧センサ24が組電池10の総電圧V_totalを検出する。
したがって、検出タイミングのずれに起因した電圧検出の検出誤差が抑制され、時刻t6において電圧センサ24で検出される総電圧V_totalと総電圧V_totalの検出タイミング前後の時刻t1〜t5,時刻t7〜t12において監視ユニット21で検出される各電圧値の合計値とを比較して、監視ユニット21の異常を精度良く検出することができる。
なお、図5の例では、電圧センサ24による総電圧V_totalの検出タイミングは、監視ユニット21による単電池11の電圧検出のタイミングと、同時となるように制御することもできる。つまり、複数の単電池11それぞれの各電圧の検出順序において中央又は中央付近の順番の検出タイミングで単電池11の電圧と総電圧V_totalの双方を同時に検出することができる。例えば、単電池11の各電圧の検出タイミングと総電圧V_totalの検出タイミングとを時系列に互いに異なるように設定するのではなく、単電池11の各電圧検出タイミング時刻t1〜t11の時刻t6において、単電池11の電圧値と総電圧V_totalとを双方同時に検出するようにしてもよい。