JP2007084528A - クラゲ由来のコラーゲン及びその分解物 - Google Patents
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Abstract
コラーゲンおよびコラーゲン分解物を提供することを目的とする。
【解決手段】
[1]クラゲを60〜150℃の温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲン。
[2]酸、アルカリ及びプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群より選ばれるい
ずれか1つによりクラゲを処理して得られる、クラゲ由来のコラーゲン分解物。
[3]上記[1]に記載のクラゲ由来のコラーゲンを処理して得られる、上記[2]に記
載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。
【選択図】 なし
Description
由来のコラーゲン及びその分解物に関する。
組織を構成する主要タンパクである。動物の骨、皮膚、靭帯又は腱を酸又はアルカリで処
理することにより、粗コラーゲンが得られ、こうして得られた粗コラーゲンを加熱抽出し
て得られたコラーゲン抽出物、コラーゲン分解物等の変性コラーゲンは、医薬品や化粧品
に広く使用されてきた。すなわち、カプセルの材料、可塑性ゼラチンの基礎剤等として医
薬の分野において、また、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等のムコ多糖との相溶性、
及びエタノールとの相溶性に優れるため、化粧品の分野においても種々の化粧品に配合さ
れてきた。
入手できるため、牛や豚等の大動物の骨や皮膚が用いられてきた(以下、従来例1という
、非特許文献1参照)。
よる感染症の発生等が確認されており、コラーゲンの原料として用いる牛や豚がウイルス
に感染していないことが確認されない限り、安全性が保障されないというリスクがある。
そして、こうしたリスクは、こうした動物由来の変性コラーゲンにマイナスのイメージを
与えるものともなっている。
使用せず、鮭等の魚類の皮や鱗を原料として使用する技術が開発されている(以下、従来
例2という、特許文献1参照)。
新田ゼラチン株式会社ホームページ"3.ゼラチンの原料(コラーゲン)"、インターネット<http://www.nitta-gelatin.co.jp/gelatin_labo/3.html>
牛や豚の骨や皮膚等を使用した場合には、従来例1に示されるような方法を採用する限り
、製品の安全性をどのように保障していくかという問題がある。
除するという観点からは優れた方法である。しかし、コラーゲンの原料の安定した確保と
いう面からは問題が残る。
ゲンを調製することについての要望が大きくなってきている。
ラーゲンが本発明の目的に適うことを見出した。
さらに検討を続けた結果、クラゲ由来のコラーゲンに対して特定の処理を行うことによ
り、優れた物性を有するコラーゲン分解物が得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。
[1]クラゲを60〜150℃の温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲンを
提供するものであり、
[2]酸、アルカリ及びプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群より選ばれるい
ずれか1つによりクラゲを処理して得られる、クラゲ由来のコラーゲン分解物を提供する
ものであり、
[3]上記[1]に記載のクラゲ由来のコラーゲンを処理して得られる、上記[2]に記
載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[4]前記クラゲは、鉢虫綱根口クラゲ目に属するクラゲ又は鉢虫綱旗口クラゲ目に属す
るクラゲであることを特徴とする、上記[2]または[3]のいずれかに記載のクラゲ由
来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[5]前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタ
イプクラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプ
クラゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、上記[1]に記載のクラ
ゲ由来のコラーゲンを提供するものであり、
[6]前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタ
イプクラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプ
クラゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、上記[2]〜[4]のい
ずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[7]前記複数の酵素は、少なくとも、エンドプロテアーゼ活性を有する酵素であって、
至適pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であることを特徴とする、上記[2],[3
],[4]または[6]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するも
のであり、
[8]前記複数の酵素は、少なくとも、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼと、種麹由来
のエンドプロテアーゼとを含むことを特徴とする、上記[2],[3],[4],[6]
または[7]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[9]前記複数の酵素による処理は、40〜60℃にて12〜24時間攪拌するものであ
ることを特徴とする、上記[2],[3],[4],[6],[7]または[8]のいず
れかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[10]分子量が、7,000〜9,000であることを特徴とする、上記[2],[3
],[4],[6],[7],[8]または[9]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラ
ーゲン分解物を提供するものであり、
[11]クラゲに当該クラゲの重量の40〜60重量%の水と、
所定量の酸、アルカリ及びエンドプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群から
選ばれるいずれか1つと、
を添加する分解物添加工程と、
40〜70℃で12〜24時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法を提供するものであり、
[12]前記所定量の複数の酵素は、当該クラゲの重量の0.5〜2重量%のエンドプロ
テアーゼ活性を有する酵素と、1.5〜3.5重量%の少なくともエンドプロテアーゼ活
性を有する他の酵素とであることを特徴とする、上記[11]に記載のクラゲ由来のコラ
ーゲン分解物の製造方法を提供するものであり、
[13]前記複数の酵素の一方は、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素
であり、前記他の酵素は、種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有する酵素で
あって、いずれのエンドプロテアーゼも至適pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であ
ることを特徴とする、[11]に記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法を提供
するものであり、
[14]前記乾燥工程は、スプレードライ法又は凍結乾燥法によって行われることを特徴
とする、[11]〜[13]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方
法を提供するものであり、
[15]クラゲに、当該クラゲの重量の50重量%の水と、
当該クラゲの重量の1重量%のロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素と
、
当該クラゲの重量の2.5重量%の種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有
する他の酵素と、
を添加する酵素添加工程と、
50℃で17時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法を提供するものである。
を提供することができる。さらには吸湿性および保湿性の高いクラゲ由来のコラーゲン分
解物を提供することができる。
本発明に使用するクラゲとしては、例えば、刺胞動物鉢虫綱(Scyphomedusae)根
口クラゲ目(Rhizostomeae)に属する食用のクラゲ、胞動物鉢虫綱(Scyphomedusae)旗
口クラゲ目(Semaeostomeae)に属する食用のクラゲ等を挙げることができる。
触手がないことが特徴的である。
ミチャイナタイプ」、「キャノンボールタイプ」及び「ボールタイプ」と総称されている
5種類を、原料入手の容易性から好適に使用することができる。
、ミャンマー、フィリピン、ベトナムの近海で水揚げされるものであり、東南アジアで水
揚げされるクラゲの大部分を占める。傘の形状が半球形で、透明に近い乳白色であること
から、このように総称される。このタイプのクラゲは、中国で水揚げされる葉腕海▲テツ
▼(Lobonema smithi)、擬葉腕海▲テツ▼(Lobonemoides gracilis)等と同種である。
げされるものであり、形状、特徴及び品質が中国産クラゲに似ていることからこのように
呼ばれている。我国の備前クラゲ(Rhopilema esculetum)に類似している。
等の近海で水揚げされるものであり、外観と形状とが上記のチャイナタイプに似ているこ
とからこのように呼ばれている。備前クラゲの一種である。
であり、傘の形はベレー帽であることからこのように呼ばれている。越前クラゲ(Stomol
ophus)の一種である。
ものであり、深い半球状の形状を有することからこのように呼ばれている。
コクラゲ、エビクラゲ、ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲ、サカサクラゲ、ミズクラゲ、ユ
ウレイクラゲ、アカクラゲ等を挙げることができる。
、チャイナタイプクラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ、ボ
ールタイプクラゲ等が好ましい。
前記クラゲは一種もしくは二種以上を使用することができる。
ともできるし、水揚げ後、前記クラゲを食塩、ミョウバン、重炭酸ナトリウムを用いて処
理し、最終的に塩分濃度16〜17%の塩蔵品としたクラゲ等を本発明の原料として使用
するこもできる。
塩蔵品を使用する場合には、前記塩蔵品を水に漬けて塩抜きし、水切りを行い、この水
切り後のクラゲを使用することが好ましい。
前記温水によりコラーゲンを抽出する操作の前に、前記クラゲは細かく刻んでおくこと
が好ましい。
前記クラゲを細かく刻む方法としては、例えば、前記クラゲを裁断機、ミンチ機、サイ
レン、カッター等の一種もしくは二種以上の装置を用いて行う方法を挙げることができる
。
次に前記クラゲに対し、水切りした後の前記クラゲの重量を基準として、1/10〜3
0倍、好ましくは1/3〜1倍の範囲の重量の温水により抽出する。
前記温水の温度範囲は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃の範囲がより好ま
しく、90〜110℃の範囲であればさらに好ましい。
100℃以上の温水は、加圧釜等を用いて容器内部の圧力を1気圧以上に設定する等の
方法により得ることができる。
前記クラゲから温水によりコラーゲンを抽出する時間は、5分〜6時間の範囲であるこ
とが好ましく、30分〜2時間の範囲であればさらに好ましい。
プレードライによる方法、凍結乾燥による方法等により水分を除去することにより、本発
明のクラゲ由来のコラーゲンを得ることができる。
前記抽出液から水分を除去する際には、予め浸透膜等を利用した逆浸透操作、蒸留操作
等の方法により前記抽出液を濃縮する操作を実施することができる。
本発明の「クラゲ由来のコラーゲン分解物」は、コラーゲンの立体構造である三重らせ
んが壊れた、いわゆるゼラチンのほか、グルタミンやアスパラギンのアミド基の−NH2
が失われているものや共有結合が切断されたもの、及び色素等をも含む変性コラーゲンを
意味する。本明細書中においては、「クラゲ由来のコラーゲン分解物」は、上記の意味で
使用するものとする。
来のコラーゲンを使用して得ることもできるし、前記クラゲから得ることもできる。
前記温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲンを使用してコラーゲン分解物
を得る場合には、上述したクラゲ由来のコラーゲンに所定量の水と複数のプロテアーゼと
を加えて、所定の温度で所定の時間攪拌し、ここで得られた抽出物を乾燥することによっ
て得ることができる。
同様に前記クラゲからコラーゲン分解物を得る場合には、上述したクラゲを細かく刻み
、ここに所定量の水と複数のプロテアーゼとを加えて、所定の温度で所定の時間攪拌し、
ここで得られた抽出物を乾燥することによって得ることができる。
であることが、抽出効率及び作業性の面から好ましい。水の量が約40重量%未満では、
固形物の濃度が高くなりすぎて攪拌が困難となり、逆に60重量%以上となると、固形物
の濃度が低くなりすぎて抽出効率が低下することによる。細切りしたクラゲの重量の約4
5〜55重量%の水を添加することがさらに好ましく、約50重量%の水を添加すること
が最も好ましい。
なお、前記温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲンを使用する場合には、
前記温水抽出前のクラゲの重量と得られたコラーゲンの重量との割合から算出された前記
温水抽出前のクラゲの重量の約40〜60重量%の水を使用すればよい。
とが、分解効率、得られた分解物の保湿性、味及び製造コストの面から好ましい。
プロテアーゼと、種麹由来のエンドプロテアーゼであって、至適pHが6〜8.5、至適
温度が約45〜約70℃のものを組み合わせると、高い分解効率の下で保湿性に優れる分
解物を得られること、得られた分解物の味がよいことから応用範囲が広がること、及びコ
ストパフォーマンスがよいという利点がある。
では、基質特異性が異なるために、これらを組み合わせることにより、クラゲから抽出さ
れた粗コラーゲンを効率よく分解して、コラーゲン分解物を得ることができるという利点
がある。
Aspergillus oryzae、Aspergillus niger等を挙げることができる。
な特性を有する株を選択し、使用することができる。
ーゼ活性を有する酵素であって、上記と同様の至適温度及び至適pHを有数するものを組
み合わせることにより、所望の分子量のコラーゲン分解物を、容易に得ることが可能とな
る。
登録商標、Nobozymes社製)、呈味性を向上させるFlavourzyme(登録商標、Nobozymes社
製)等の市販品を使用してもよい。
クラゲの重量の約0.5〜約2重量%のAlcalaseと、約1.5〜約3.5重量%のFlavo
urzymeとを組み合わせて、所定の処理条件の下で処理することにより、所望の分子量のク
ラゲ由来のコラーゲン分解物を得ることができる。
、0.5重量%未満では苦味が出るため味覚の面から好ましくない。一方、2重量%を超
えても効果は2重量%以下の場合と相違がなく、コストのみが上昇するからである。Alca
laseの添加量は、分解効率と好ましい味の分解物を得られるかどうかとの関係から、約0
.75〜1.5重量%とすることが好ましく、上述したクラゲ重量の約1重量%とするこ
とが最も好ましい。
たのは、1.5重量%未満では所望の分解物が得られず、3.5重量%を超えても効果は
3.5重量%以下の場合と相違がなく、コストのみが上昇するだけだからである。Flavou
rzymeの添加量は、約2〜3重量%とすることが得られる分解物の量と保湿性とのバラン
スの関係からより好ましく、上述したクラゲ重量の約2.5重量%とすることが最も好ま
しい。
テアーゼ活性とエキソペプチドチダーゼ活性という2つの酵素活性を有しており、酵素の
複合製剤である。このため、基質特異性が異なり、Alcakaseではプロリンやグルタミン酸
、Flavourzymeではアルギニンやスレオニンとなっている。このため、これらを併用する
と、後述するような分子量のコラーゲン分解物を得ることが可能となる。
失活を防ぎつつ、効率良くクラゲ由来のコラーゲン分解物を得るために、約47〜約55
℃で処理を行うことが好ましく、約50℃で処理を行うことが最も好ましい。
未満では十分な量のクラゲ由来のコラーゲン分解物を得ることができず、また、24時間
以上行ってもクラゲ由来のコラーゲン分解物の収量は増加しないことによる。より好まし
くは約14〜約20時間であり、約17時間処理することが最も好ましい。
100回転/分として17時間行うこととすると、分解効率の面から好適である。
来のコラーゲン分解物を得ることができる。この乾燥は、例えば、スプレードライ法やフ
リーズドライ法等によって行うことができる。
を得ることができる。例えば、分子量7,000Da〜9,000Daのコラーゲン分解
物を得ることができる。
とを使用したが、水に代えて、酸やアルカリを使用して、本発明のコラーゲン分解物を得
ることもできる。
酸や乳酸等の有機酸を使用することができる。また、アルカリとしては、例えば、1〜1
5%濃度の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等を使
用することもできる。
を60〜150℃の温水で加熱した混合物、または湯切りをした加熱後のクラゲを使用す
ることができる。前記温度は80〜120℃の範囲であることが好ましく、90〜110
℃の範囲であればさらに好ましい。
前記温水によりクラゲを加熱する時間は、5分〜6時間の範囲であることが好ましく、
30分〜2時間の範囲であればさらに好ましい。
なお、加圧容器を使用することにより100℃を超える温水を得ることができる。
前記酵素を使用する際には、前記酵素が失活しない温度まで前記加熱後のクラゲを冷却
してからコラーゲン分解操作を行うことが好ましい。
に何ら限定されるものではない。
(1)原料
原料としては、瀬戸内海から水揚げされたミズクラゲを使用した。コラーゲン抽出に用
いる水は水道水を利用した。
(2)コラーゲンの抽出
上述した800gのミズクラゲを、裁断機、ミンチ機又はサイレンとカッターを用いて
細かく刻み、ここに400gの水を加えて、沸騰状態(約100℃)にて1時間100回
転/分で攪拌し、コラーゲンを含有する抽出液を得た。
槽(ASONE社製、TR-1A)を使用した。
て、流量約1kg/時間、熱風入口温度を180℃、出口温度を100℃に設定して、ス
プレードライ法により乾燥し、クラゲ由来のコラーゲンを得た。
得られた抽出液の乾燥には、小型スプレードライ機L−8(大川原化工機株式会社製)
を使用した。
(1)原料及び試薬等
原料としては、漂白加工前のホワイトタイプクラゲ(塩蔵品、マルトモ(株)製)を使
用した。
る酵素としては、Alcalase及びFlavourzyme(いずれもNobozyme社製)を購入し、使用し
た。Alcalase及びFlavourzymeの性質は下記の通りである。
タンパク質分解酵素である。この酵素は、主要なコンポーネントをズブチリシンA(また
は、Subtilisin Carisberg)とする、分子量27,300のエンドペプチドチダーゼであ
る。
触媒部位はセリンであり、インスリン3のβ鎖の酸化の際には、4−5、9−10、11
−12、15−16、及び26−27の結合をアタックする。
ージ醗酵して得られたプロテアーゼとペプチドチダーゼの複合産物であり、エンドプロテ
アーゼ活性とエキソペプチドチダーゼ活性の双方の活性を備えている。
適pH範囲は、ほぼ7.0である。至適温度は、約50℃である。
槽(ASONE社製、TR-1A)を使用した。
を使用した。
泳動装置(AE-6350MCP)を使用した。
上述した漂白加工前のホワイトタイプクラゲ800gを、2,400mlの水に30分
程度浸漬後笊切りし、これを2〜3度繰り返して塩抜きをした。塩抜き後のクラゲの重量
は800gであった。
ここに400gの水と、上記のAlcalase8.0g及びFlavourzyme20gを加えて、50
℃にて17時間、上記の装置を用いて、100回転/分で攪拌し、コラーゲン分解物を含
有する抽出液を得た。
りを、上述した小型スプレードライ機L−8を用いて、流量約1kg/時間、熱風入口温
度を180℃、出口温度を100℃に設定して、スプレードライ法により乾燥し、クラゲ
由来のコラーゲン分解物(サンプル1)を得た。
(1)クラゲ由来のコラーゲン分解物の分子量の測定
分子量の測定は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって行っ
た。上述したATTO ラピダス・ミニスラブ電気泳動装置を使用し、実施例2で得られ
たクラゲ由来のコラーゲン分解物(サンプル1)について下記の条件で測定を行った。
変性 95℃ 5分間
ゲル濃度 15%
定電圧 300V、40mA
染色 銀染色
マーカーとしては、トリオースリン酸イソメラーゼ(26,625Da)、ミオグロビ
ン(16,950Da)、α−ラクトアルブミン(14,437Da)及びアプロチニン(
6,512Da)を使用した。分子量の測定を行った結果を図1に示す。
れたコラーゲン分解物の分子量は約8,000Daと推定された。
比較して1/3の量を吸着させた後に測定を実施したものであり、クロマトグラム1およ
び2は最初の吸着量に違いがあるだけで使用した内容は全く同じである。
ついで、実施例2で得られたコラーゲン分解物の吸湿性について試験を行った。下記表
1〜3に記載されたクラゲコラーゲンは、実施例2で得られたクラゲ由来のコラーゲン分
解物を意味する。
各種の動物に由来するコラーゲン分解物の吸湿性と比較するために、分子量の比較的近
い下記の試料1〜5を使用した。また、ヒアルロン酸については、優れた吸湿性を有する
ため、クラゲ由来のコラーゲン分解物の吸湿性の判断指標とするために、対照試料として
使用した(試料番号6)。
げ、40℃、湿度90%の条件下で24時間放置し、経時的な重量の変化を調べた。
結果は、各資料1g当たりの吸湿量(g)に換算し、吸湿量で示した。結果を表2及び図
2に示す。
とすると、試料No.1(クラゲ由来のコラーゲン分解物)を除いて、0.5〜0.7と
ヒアルロン酸よりも吸湿性が低いことが示された。一方、試料No.1(クラゲ由来のコ
ラーゲン分解物)は、3時間後の吸湿量が約3と高い値を示し、吸湿性の高いことが示さ
れた。
1のその後の重量の変化を見ると、24時間後で3.63と吸湿量はさらに増加しており
、試料No.1の吸湿量は、ヒアルロン酸とほぼ同様であることが示された。
にて24時間静置した後の重量変化を測定した。この重量変化は各サンプルの保湿性に対
応するものである。結果を表3に示す。
て非常に高い吸湿性を有するとともに、保湿性にも優れるものであることが示された。
(1)酵素の配合比と分解率との検討
各酵素の配合量をクラゲの重量に対して、下記表3に示すように変更した他は、実施例
2と同様にしてコラーゲンの分解率を検討した。
合割合における分解率(%)を示した。
配合割合が5.0重量%までは、分解効率は配合割合の上昇に依存して上昇し、7.5重
量%となると低下が見られた。また、Flavourzymeの配合割合を2.5重量%とした場合
には、Alcalaseの配合割合が2.0重量%に達するまでは分解効率は上昇し、4.0重量
%では低下が見られた。
配合割合を1.25重量%以上7.5重量%未満の範囲とすると、分解効率が高いことが
示された。
(2)酵素の配合比と吸湿性との検討
各酵素の配合量をクラゲの重量に対して、下記表4に示すように変更した他は、実施例
2と同様の処理を行い、得られた各分解物の吸湿量(g)を、実施例2と同様にして測定
した。
ourzymeの配合割合の上昇につれて増加することが示された。また、Flavourzymeの配合割
合を2.5重量%とすると、Alcalaseの配合割合の上昇につれて増加することが示された
。
各酵素の配合量をクラゲの重量に対して、下記表5に示すように変更した他は、実施例
1と同様に処理し、得られた分解物の食味を、6名のパネラーにより5段階で評価した。
数値が大きいほど、味がよいことを示す。
avourzymeの配合割合が2.5重量%のときに最も良い評価となった。
様の工程により塩抜きを実施した。
ついで塩抜きしたホワイトタイプクラゲを用いて、実施例1の場合と全く同様の工程に
よりクラゲ由来のコラーゲンを得た。これをサンプル2とする。
施例2の場合と同様の工程によりクラゲ由来のコラーゲン分解物を得た。これをサンプル
3とする。
例5で得られたクラゲ由来のコラーゲン)、サンプル3(実施例6で得られたクラゲ由来
のコラーゲン分解物)およびサンプル4(実施例1で得られたクラゲ由来のコラーゲン)
を用いて、実施例3の表2の場合と全く同様に吸湿試験を行った。
前記サンプル1の3時間後の増加重量を100とし、前記サンプル1と同じ重量を秤量
した場合の、前記サンプル1に対する各サンプルの重量割合の経時的変化を表7に示した
。
また、この結果を図3に示した。
、安全性が高いとともに、保湿性に優れており、医薬品、または化粧品の分野において、
保湿剤や水分調節剤として有用である。さらに、本発明のクラゲ由来のコラーゲンの製造
方法および本発明のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法によれば、上記のような性
質を有するコラーゲンおよびコラーゲン分解物をそれぞれ効率よく製造することができる
。
Claims (15)
- クラゲを60〜150℃の温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲン。
- 酸、アルカリ及びプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群より選ばれるいずれ
か1つによりクラゲを処理して得られる、クラゲ由来のコラーゲン分解物。 - 請求項1に記載のクラゲ由来のコラーゲンを処理して得られる、請求項2に記載のクラ
ゲ由来のコラーゲン分解物。 - 前記クラゲは、鉢虫綱根口クラゲ目に属するクラゲ又は鉢虫綱旗口クラゲ目に属するク
ラゲであることを特徴とする、請求項2〜3のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン
分解物。 - 前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタイプ
クラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプクラ
ゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、請求項1に記載のクラゲ由来
のコラーゲン。 - 前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタイプ
クラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプクラ
ゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記
載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。 - 前記複数の酵素は、少なくとも、エンドプロテアーゼ活性を有する酵素であって、至適
pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であることを特徴とする、請求項2,3,4また
は6のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。 - 前記複数の酵素は、少なくとも、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼと、種麹由来のエ
ンドプロテアーゼとを含むことを特徴とする、請求項2,3,4,6または7のいずれか
に記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。 - 前記複数の酵素による処理は、40〜60℃にて12〜24時間攪拌するものであるこ
とを特徴とする、請求項2,3,4,6,7または8のいずれかに記載のクラゲ由来のコ
ラーゲン分解物。 - 分子量が、7,000〜9,000であることを特徴とする、請求項2,3,4,6,
7,8または9のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。 - クラゲに当該クラゲの重量の40〜60重量%の水と、
所定量の酸、アルカリ及びエンドプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群から
選ばれるいずれか1つと、
を添加する分解物添加工程と、
40〜70℃で12〜24時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。 - 前記所定量の複数の酵素は、当該クラゲの重量の0.5〜2重量%のエンドプロテアー
ゼ活性を有する酵素と、1.5〜3.5重量%の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有
する他の酵素とであることを特徴とする、請求項11に記載のクラゲ由来のコラーゲン分
解物の製造方法。 - 前記複数の酵素の一方は、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素であり
、前記他の酵素は、種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有する酵素であって
、いずれのエンドプロテアーゼも至適pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であること
を特徴とする、請求項11に記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。 - 前記乾燥工程は、スプレードライ法又は凍結乾燥法によって行われることを特徴とする
、請求項11〜13のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。 - クラゲに、当該クラゲの重量の50重量%の水と、
当該クラゲの重量の1重量%のロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素と
、
当該クラゲの重量の2.5重量%の種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有
する他の酵素と、
を添加する酵素添加工程と、
50℃で17時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。
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