このような制御機構に関する不正の他に、遊技者が実際に遊技釘を外部から不正操作してパチンコ球を入賞口(始動口)に入りやすくするという不正行為も行われている。パチンコ遊技機において遊技者側から見て最も不正行為のインターフェースとなりやすいのは上受け皿に面したパチンコ球を上受け皿に流入させるためのパチンコ球流入口の通路である。これは同流入口の通路壁面に孔を開けて、その孔からワイヤのような細長い道具を使用して遊技面にアクセスして遊技釘を不正に曲げるという操作を行うものである。 この位置は扉枠の奥まった位置にあるため不正操作が発見されにくく、なおかつ遊技面にも近い。更に、不正操作を行う際には遊技者の手は上受け皿付近に置かれなければならないが、遊技者の手がこの付近にあっても遊技において格別不自然に見えないため不正行為者にとっては有利である。
この不正行為は例えば次のような手順で行われる。 図30に示すように、不正行為者は扉枠150の上受け皿151に面したパチンコ球流入口152の内部通路壁面152aに工具を使用して扉枠150の裏面に連通する透孔153を形成する。そして図31に示すようにワイヤ154を透孔153から侵入させ、扉枠150の背後に配置された遊技盤155の遊技面155a上に導く。 このとき、パチンコ遊技機の各部材とワイヤ154との位置関係は次のようになる。正面から目視してレール156はパチンコ球流入口152よりも上方位置に左右に横切るように配置されている。不正行為者はワイヤ154をレール156の前面を交差するように上方に向かって通過させ、更に大入賞口157の側面を通過させて入賞口(始動口)157の上部の2本の命釘となる遊技釘158の図上左方の遊技釘158Aの頭部に引っ掛けるようにする。そしてワイヤ154を強く引っ張ることで入賞口(始動口)159の上部の遊技釘158の間隔を拡げるようにする。これによってパチンコ球が入賞口(始動口)157に入りやすくなって入賞回数が増え、入賞口(始動口)159への入賞の増加に伴って図柄表示装置160で図柄の変動表示が不正前に比べて多く行われることとなり、結果としていわゆる「大当たり」と呼ばれる変動表示後の停止確定図柄が予め設定した特定の当たり図柄になる確率が不当に上昇することとなってしまう。
このような不正を防止するにはワイヤ154が遊技釘158Aに至る途中に遊技釘158Aに達することのできないような何らかの通行妨害手段を追加して設けることが考えられるが、不用意に追加部材を装着することは遊技の邪魔になり、また、パチンコ遊技機は多くの構成部材が狭い領域に集合して組み立てられた精密機械であるため余分なスペースがあまりなく、このような追加部材を装着するのは設計上必ずしも容易ではない。そのため、従来では十分な防止措置が講じられていなかった。 本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、遊技の邪魔にならず、なおかつ狭い機内において扉体側からの不正操作器具の遊技面への不正な侵入を確実に防止することが可能なパチンコ遊技機を提供するものである。
上記の目的を達成するために請求項1の発明では、遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技領域を有する遊技面と、パチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くとともに同遊技領域を区画するレール部材とが配設された遊技体と、同遊技体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖された状態で前記遊技面を目視させるための窓部を有するとともに、同窓部の下方位置に形成され前記遊技面よりも下方位置に配置された通路を介して前記遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチンコ球用受け皿を有する扉体とを備え、前記扉体には後方に向かって突出する突出部が形成され、同扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で同突出部は前記レール部材の外方であって同レール部材と隣接する位置に進出することをその要旨とする。
上記のような構成では、遊技体は遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技領域を有した遊技面を備え、更に、その遊技面の下方にはパチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くレール部材が配設されている。レール部材は遊技領域を区画する。扉体はこのような遊技体の前面に開閉可能に装着されている。遊技体の前面に開閉可能に配置される扉体は窓部を有し、遊技面は窓部を介して前方側から目視可能とされている。また、窓部の下方位置には遊技面よりも下方位置に配置された通路を介して遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチンコ球用受け皿が形成されている。 このような構成において、更に扉体には後方に向かって突出する突出部が形成されている。形成手段や形成場所は特に限定されるものではない。扉体が遊技体に対して閉鎖された状態で突出部はレール部材の外方であって同レール部材と隣接する位置に進出する構成を採用している。ここに、レール部材の外方とはレール部材を挟んで遊技領域とは反対側をいう。遊技体側からはレール部材が突出し、扉体側からは突出部が突出することによる両者の位置関係によって遊技領域と同遊技領域の外側領域との間はストレートな空間ではなくなるため不正操作部材の通過が困難となる。
このような構成とすることによって、扉体が遊技体に対して閉鎖された状態においてパチンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入させても、レール部材と突出部との協同作用によってこの間の空間が屈曲して通過しにくくしなっているため不正操作器具はレール部材を越えて遊技領域に進出しにくくなる。 また、突出部は扉体の開放に伴って扉体とともにレール部材と重複した位置から移動して離間するため、遊技体側の点検のために扉体を開放した際に突出部が点検作業の邪魔になることはない。
また、上記の目的を達成するために請求項2の発明では、遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技領域を有する遊技面と、パチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くとともに同遊技領域を区画す
るレール部材とが配設された遊技体と、同遊技体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖された状態で前記遊技面を目視させるための窓部を有するとともに、同窓部の下方位置に形成され前記遊技面よりも下方位置に配置された通路を介して前記遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチンコ球用受け皿を有する扉体と、板状の透明体と同透明体を保持する保持枠体を有し、前記扉体の背面側に配設されて前記窓部を封塞する透明体ユニットとを備え、前記透明体ユニットの前記保持枠体には後方に向かって突出する突出部が形成され、前記扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で同突出部は前記レール部材の外方であって同レール部材と隣接する位置に進出することをその要旨とする。
上記のような構成では、遊技体は遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技領域を有した遊技面を備え、更に、その遊技面の下方にはパチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くレール部材が配設されている。レール部材は遊技領域を区画する。扉体はこのような遊技体の前面に開閉可能に装着されている。遊技体の前面に開閉可能に配置される扉体の窓部には背面側に透明体ユニットが配設されている。透明体ユニットは板状の透明体と同透明体を保持する保持枠体を有している。遊技面は窓部を介して前方側から目視可能とされている。また、窓部の下方位置には遊技面よりも下方位置に配置された通路を介して遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチンコ球用受け皿が形成されている。 このような構成において、更に透明体ユニットの保持枠体には後方に向かって突出する突出部が形成されている。形成手段や形成場所は特に限定されるものではない。扉体が遊技体に対して閉鎖された状態で突出部はレール部材の外方であって同レール部材と隣接する位置に進出する構成を採用している。ここに、レール部材の外方とはレール部材を挟んで遊技領域とは反対側をいう。遊技体側からはレール部材が突出し、扉体側からは突出部が突出することによる両者の位置関係によって遊技領域と同遊技領域の外側領域との間はストレートな空間ではなくなるため不正操作部材の通過が困難となる。
このような構成とすることによって、扉体が遊技体に対して閉鎖された状態においてパチンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入させても、レール部材と突出部との協同作用によってこの間の空間が屈曲して通過しにくくしなっているため不正操作器具はレール部材を越えて遊技領域に進出しにくくなる。 また、突出部は扉体の開放に伴って扉体とともにレール部材と重複した位置から移動して離間するため、遊技体側の点検のために扉体を開放した際に突出部が点検作業の邪魔になることはない。 また、突出部は扉体の窓部位置に配置されている透明体ユニットに形成させるだけであるので新たに追加した部材を用意する必要もない。
ここに、遊技体とはパチンコ遊技機の本体となるべきパネル部分を構成する。遊技面を備える他にパチンコ球発射機構や遊技に関する各種制御機構やパチンコ球を貯留するタンク等をそなえており、狭義には一般にパチンコ遊技機で遊技機本体(本体枠)と呼称される構成部分が相当する。遊技体は複数のパネルの複合体であっても構わない。 パチンコ球用受け皿とは一般に上受け皿と下受け皿と呼称されるパチンコ遊技機の皿のどちらをも含む概念である。一般にはより遊技面に近い上受け皿から不正操作は行われるが下受け皿から行う場合も考慮したものである。また、上受け皿と下受け皿のいずれか一方を有する機種を考慮したものでもある。
板状の透明体とは遊技面に接触できないようにその前面を遮蔽して保護するとともに遊技面の目視を可能とする素材であれば限定はされない。一般にガラスやプラスチックから構成される。ガラスは強化ガラスや合わせガラスと使用することが好ましい。また、一枚のみで構成しても複数枚数を前後方向に重複状に配置するようにしても構わない。 レール部材は遊技面を区画する機能を有すると同時にパチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導く機能を兼ねる。前者は一般的なパチンコ遊技機ではいわゆる内レールの機能であり、後者はいわゆる外レールの機能である。本発明における突出部と重複するレール部材とはこの内レールが対応する。
レール部材はその下方域において遊技体前面を横断して少なくとも遊技面の属する上方領域を下方領域と概ね区画できるような形状であれば一般的な遊技面を包囲する円弧状の形状に限定されるものではない。また、レール部材は完全に遊技面を包囲する必要はない。従って、レール部材単独で遊技領域を区画しなくとも他の部材と協同して遊技領域が画定されれば足る。レール部材の材質は一般的にパチンコ遊技機に使用されるものであれば限定されることはない。 また、パチンコ球用受け皿は扉体と一体成形されていても、別体に構成されていても構わない。また、パチンコ球用受け皿としたのは上受け皿と下受け皿の両方ともを備えていないケースを念頭においたものである。
また、上記の目的を達成するために請求項3の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記突出部の隣接する位置とは、前記レール部材と重複する位置であることをその要旨とする。 このように遊技体側からはレール部材を突出させ、扉体側からは突出部を突出させることによって両者を重複(交差しているともいえる)配置させて遊技領域と同遊技領域の外側領域とを概ね遮断させることができる。 このような構成とすることによって、扉体が遊技体に対して閉鎖された状態においてパチンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入させても、レール部材と突出部との協同作用によってこの間の空間が遮蔽されることとなるため不正操作器具をレール部材を越えて遊技領域に進出させることが非常に困難となる。
また、上記の目的を達成するために請求項4の発明では請求項3に記載の発明の構成に加え、前記突出部は前記保持枠体の下部寄りに形成され前記レール部材の下方域と重複するようにしたことをその要旨とする。 つまり、侵入しやすい下方領域を突出部とレール部材との協同によって閉鎖すれば不正侵入防止にとって最も効果的であるためである。レール部材の上方域は侵入路から遠いため、実質上レール部材の上方域から迂回して遊技面に至るというケースが考えにくいためである。そして、保持枠体の全域ではなく、このように最も侵入しやすい箇所にのみ集中して突出部を形成することで、経年使用によって突出部や保持枠体にねじれ等の変形が生じたとしてもレール部材との関係で部材同士が干渉して扉体が遊技体前面に装着されない等の不具合が生じにくくなる。
また、上記の目的を達成するために請求項5の発明では請求項3又は4に記載の発明の構成に加え、前記保持枠体は前記透明体を外周から保持するとともに、同透明体を包囲する同保持枠体の周縁は前記レール部材に略沿って延出され、前記突出部は同周縁に略沿って形成されているようにしたことをその要旨とする。 この構成は、保持枠体が板状の透明体の周縁を囲み、その縁がレール部材に沿っているようなケースを念頭においたものである。これによって透明体を通して突出部がレール部材に沿って延出されているのが不正行為者が外部から目視することができるため、不正行為の抑止効果を期待できる。 尚、保持枠体は前記透明体を外周から保持できる形状であれば、その形状は円環状に限定されるものではない。
更に、突出部が保持枠体の透明体を囲む周縁に略沿って形成されており、その周縁はレール部材の延出方向に略沿っているため、透明体を遊技面の面積に対応した大きな面積に形成することができる。また、透明体を周縁で保持するため保持枠体内部に大きな開口部が形成されることとなるが、このように突出部を周縁に略沿って形成することで強度の向上を図ることが可能となる。
また、上記の目的を達成するために請求項6の発明では請求項5に記載の発明の構成に加え、前記突出部は前記周縁に沿って連続的に形成されてるようにしたことをその要旨とする。
このような構成とすることで、途中に隙間(切れ目)無く突出部があたかも帯のように長く延出形成されることとなるため、不正行為者が切れ目を狙って不正操作器具を遊技面に侵入させるということが不可能となる。特に、突出部は窓部からどのように配設されているかを目視することも可能であるため、一部にでも切れ目があればそれを狙って不正操作器具を侵入させる可能性が強い。このように突出部を連続的に形成することは不正行為の抑止効果から好ましい。 また、このような構成は言い換えれば請求項1〜5においては突出部を保持枠体から突出形成させる際に部分的にのみ形成させてもよい(つまり一部に形成されていない箇所があってもよい)ことの裏返しでもある。
また、上記の目的を達成するために請求項7の発明では請求項1〜6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記突出部は庇状に後方に張り出して形成するようにしたことをその要旨とする。
これによって、レール部材と重複するために必要かつ十分な突出量のみを突出させることができ、保持枠体の遊技体前面に面した後方部分全体が不必要にレール部側に張り出すことがなくなるため、特にスペースに余裕のない透明体ユニット周辺のスペースの無駄をなくすことができる。また、突出部がレール部と重複する場合にはレール部の周辺部材と干渉しないように「逃げ」(つまり突出部が遊技体側に突出できるだけの余地)を形成する必要が生じる場合がある。その場合に、突出部が庇状であれば「逃げ」量は少なくてよいため、遊技体側に大きな設計変更が求められることもない。また、庇状に後方に張り出したリブ構造は保持枠体の強度の向上に寄与する。
また、上記の目的を達成するために請求項8の発明では請求項1〜7のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記突出部の上部には前記扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で前記レール部材との間に介在される封塞部材が配設されることをその要旨とする。
このような構成では、レール部材と突出部との間に封塞部材が介在されることとなるため隙間が更に小さくなることから、結果としてより不正行為が行いにくくなる。また、突出部と封塞部材を接合することで突出部の強度の向上が図られる。
また、上記の目的を達成するために請求項9の発明では請求項1〜7のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記レール部材の裏面には前記扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で前記突出部との間に介在される封塞部材が配設されることをその要旨とする。 この構成は上記請求項6における封塞部材を突出部側ではなくレール部材側に配設したものである。 このような構成では、封塞部材は遊技者から見えないので、封塞部材をかいくぐって不正操作用具を遊技領域方向に進出させることが困難となる。
また、上記の目的を達成するために請求項10の発明では請求項1〜9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記封塞部材を可撓性材料から構成するようにしたことをその要旨とする。
封塞部材を可撓性材料から構成することによって封塞部材は押圧に対して容易に変形可能となる。そのため、レール部材と突出部との間の隙間が一定ではなく、例えば封塞部材の一部のみがレール部材に干渉する場合でもそれは単に撓んでいるだけであるのでその部分が食い込んで扉体の開放ができなくなるということがない。むしろ、密閉性の向上にも寄与することとなる。 また、封塞部材を突出部の上部に配設する場合では封塞部材がしっかりと固定され、レール部材に吊り下げる場合に比べて封塞部材が脱落する可能性は低くなる。 ここに可撓性材料から構成した封塞部材としては中空或いは中実のエラストマー製のパッキン等が挙げられる。封塞部材は途中切れ間なく配設させることと装着作業の利便の点から紐状体
であることがより好ましい。
また、上記の目的を達成するために請求項11の発明では請求項1〜10のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記扉体は左右いずれか一方に形成された上下に延びる開閉軸線を軸心として回動可能とされ、前記突出部に縦成分がある場合に同扉体の開閉時に同突出部が前記レール部材と干渉する可能性があれば、同レール部材との間隔を離間させて同突出部と同レール部材との干渉を防止するようにしたことをその要旨とする。
ここに、パチンコ遊技機の左右方向を横、上下方向を縦とする。例えば、図32に示すように遊技面161を包囲するレール部材(ここでは内レール)162を考えた場合、P付近ではレール部材162は水平に延出されているため縦成分はほとんどなく、Q付近では斜めになっているので若干縦成分を含み、R付近では垂直に延出されているためほとんど縦成分のみである。 図33に示すように、このようなレール部材162を有する遊技体163の前面に扉体164が配設されているものとする。扉体164の背面には透明体ユニット165が配設され、レール部材162の外方に突出部166が重複して配置されているものと仮定する。
このような状態で図34に示すように扉体が左右いずれか一方に形成された上下に延びる開閉軸167を軸心として開放された場合に、突出部の延出方向に縦成分があると開放とともにレール部材162よりも開閉軸167側に存在する突出部166も開閉軸線を軸心として回動しレール部材162方向に接近する挙動を示すこととなる。そして、図34(a)及び(b)に示すように突出部166がレール部材162に近接しているとレール部材162に干渉してしまう可能性が生じる。 そのため上記構成では、縦成分がある場合にはそれを考慮して干渉しない程度に突出部とレール部材の間隔を離間させるようにしている。つまり扉体を開放しても突出部がレール部材に干渉しないような構成としている。これによって、扉体のスムーズな開放が可能となる。
一般にパチンコ遊技機では図32のようにレール部材(内レール)162は円弧状であるため、遊技面の下方領域つまり、最も侵入されやすいP位置では縦成分が少ないため突出部とレール部材の間隔を大きく離間させる必要はない。一方、レール部材の左右寄り(R位置)では縦成分が顕著であるため突出部とレール部材の間隔を離間させる必要がある。しかし、突出部とレール部材の間隔を離間させると侵入しやすくはなるものの、左右寄りはパチンコ球用受け皿の通路から比較的遠いため侵入されにくい位置であることからこのような構成であっても実際上問題は少ない。 ここに、縦成分が多いほどレール部材との間隔を離間させることが好ましく、その場合に離間量は縦成分が多くなるにつれて徐々に増加させてもよく、段階的に一定領域については一定量だけ増加させるようにしてもよい。
また、上記の目的を達成するために請求項12の発明では請求項3〜11のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記扉体は左右いずれか一方に形成された上下に延びる開閉軸線を軸心として回動可能とされ、前記突出部に縦成分がある場合に同扉体の開閉時に同突出部が前記レール部材と干渉する可能性があれば、同レール部材との重複量を減少させて同突出部と同レール部材との干渉を防止するようにしたことをその要旨とする。
請求項11と同様に突出部の延出方向に縦成分がある場合には図34及び図35に示すように突出部とレール部材の干渉の問題が生じる。そこで、縦成分がある場合には突出部とレール部材との重複量を減少させるようにしたものである。これによって、扉体のスムーズな開放が可能となる。
一般にパチンコ遊技機ではレール部材(内レール162)は図32のように円弧状であるため、遊技面の下方領域つまり、最も侵入されやすいP位置では縦成分が少なくないため突出部とレール部材の重複量を減少させる必要はない。一方、レール部材の左右寄り(R位置)では縦成分が顕著であるため突出部とレール部材との重複量を減少させる必要がある。しかし、突出部とレール部材と重複量を減少させると侵入しやすくはなるものの、左右寄りはパチンコ球用受け皿の通路から比較的遠いため侵入されにくい位置であることからこのような構成であっても実際上問題は少ない。また、パチンコ遊技機の左右寄りはスペース的な余裕がないため、請求項11のように突出部とレール部材の間隔を離間させることが設計上困難な場合があるが、このように重複量を減少させるならばそのような問題は生じない。 ここに、縦成分が多いほどレール部材との重複量を減少させるようにすることが好ましく、その場合に重複量は縦成分が多くなるにつれて徐々に減少させてもよく、段階的に一定領域については一定量だけ減少させるようにしてもよい。また、もっとも縦成分の大きな位置ではレール部材との重複量を0としても構わない。
上記各請求項に記載された発明では、不正行為者がパチンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入させたとしても、遊技体側のレール部材と、扉体側に形成された突出部との位置関係によって不正操作器具をレール部材を越えて遊技領域方向に進出させることが困難となるため、遊技面への不正なアクセスを確実に防止することが可能となる。
以下、本発明の各実施の形態について図面に基づいて説明する。 図1〜図6に示すように、パチンコ遊技機11は支持枠体としての外枠12を備えている。外枠12は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に取り付けられる。外枠12は上下左右の各枠板12a〜12dによって四角形に枠組みされた木製の枠体とされている。下部枠板12d上面には幕板13が配設されている。 外枠12内には本体枠14が装着されている。遊技体の一部をなす本体枠14はパチンコ遊技機の構造的な中核を形成するパネル状の構成部材であって、外枠12内において幕板13上に配置されている。図4及び図5に示すように、本体枠14は正面視において略長方形の外郭を備えたABS製のパネルとされている。本体枠14は正面から見て左方寄りにおいて上下に配設された開閉金具15の開閉軸線P(図4参照)を軸心として外枠12に対して前方側に開放可能とされている。
図5及び図6に示すように、本体枠14の下部領域には本体枠側機構部16が形成されている。本体枠側機構部16を正面から見て右方にはパチンコ球発射ユニット17が配設されている。パチンコ球発射ユニット17はソレノイド等から構成された発射部18と、発射部18にパチンコ球を順に送出する送球部19及び補助レール20から構成されている。本体枠側機構部16の正面から見て左方には上部パチンコ球流入路21と下部パチンコ球流入路22がそれぞれ配設されている。両パチンコ球流入路21,22間にはバイパス通路23が形成されている。下部パチンコ球流入路22の上方にはファール球通路24が形成されている。バイパス通路23及びファール球通路24はユニット化されている。本体枠側機構部16の裏面側にはすべての遊技球を回収して一旦機外に放出させるための遊技球回収通路26が形成されている(図4参照)。
本体枠側機構部16の上方には遊技盤取り付けスペース25が形成され、遊技盤27が同スペース25内に配設されている。同スペース25は遊技盤27が載置される棚部28(図4参照)と、略楕円形状に切り欠き形成された窓孔29を有している。窓孔29の周囲は棚部28に載置された遊技盤27の前面周縁が当接する前板部30とされている。図4に示すように、木製の遊技盤27の外郭は略正方形形状とされ、棚部28に載置された状態で図示しない係止手段によって前板部30に対して圧着固定される。図6に示すように、遊技盤27は同スペース25に配設された状態で前面に形成された遊技面27aが窓孔29から前方に露出される。窓孔29を包囲する壁面31の一部は後述する遊技領域の一部を画定する。
遊技体の一部をなす遊技盤27には遊技面27aから裏面に貫通する大小複数の開口部が形成され、各開口部にはそれぞれ目的に応じた各種装飾パネルが併設されている。遊技盤27の略中央には可変表示ユニット35が配設されている。可変表示ユニット35は大型の液晶ディスプレイ36を備えている。図4に示すように可変表示ユニット35は遊技盤27背面に配置される表示制御装置37を備えている。可変表示ユニット35の直下には始動口38が配置されており、さらにその下方にいわゆる大入賞口と呼称される可変入賞装置39が配置されている。可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート40が配置され、始動口38の左右両側方向には一般入賞口41がそれぞれ複数配置されている。遊技盤27の最下部位置にはアウト口42が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口42を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤27の表面には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の遊技釘が植設されている。また、風車43等の各種部材(役物)が配設されている。
遊技盤27の遊技面27a上には、外レール51とレール部材としての内レール52が装着されている。遊技盤27が本体枠14の遊技盤取り付けスペース25に配設された状態で両レール51,52及び前記本体枠14側の窓孔29を包囲する壁面31の一部によって遊技面27aに遊技領域が画定されている。 図6に示すように、外レール51は前記パチンコ球発射ユニット17の補助レール20の正面から見て左斜め上方であって、同補助レール20の延長方向にファール球通路24上方の空間を隔てた位置にその基端が配置されている。外レール51は基端から時計回り方向に円弧状に上方に延出され遊技面27aの頂点から若干進んだ位置(遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略2時方向位置)にその先端が配置されている。
内レール52は遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略4時方向に基端が配置されている。内レール52は基端から時計回り方向に円弧状に下方に延出され、前記アウト口42前面を略水平に横切った後、外レール51の内周側を上方に向かって延出され、遊技面27aの頂点の手前位置(遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略10時方向位置)にその先端が配置されている。内レール52の先端には遊技面27aに打ち出された遊技球(パチンコ球)の逆進を防止するための片持ちの舌片が形成された逆進防止部材55が装着されている。円弧状の内レール52の最下方位置はアウト口42と交差する位置とされている。両レール51,52は正面から見てアウト口42の左方位置から逆進防止部材55位置(つまり内レール52の先端)にかけて隣接して配置されパチンコ球発射通路49が形成されている。
外レール51及び内レール52は帯状の同幅に形成されたステンレス製薄板条体から構成されている。図6に示すように、両レール51,52の一側には適度な間隔を開けて釘53が突設されている。両レール51,52は遊技面27a側縁部に対して釘53を食い込ませて固定されている。両レール51,52は遊技面27aに対して前方に向かって略垂直に立設されている。本実施の形態では両レール51,52の幅は16.5mmとされている。 外レール51の先端と内レール52の基端との間には両レール51,52は配設されておらず、窓孔29の内周壁56によって遊技領域が画定されている。内側壁56は両レール51,52の曲率に略応答した曲率で弧状の壁面として構成されている。
遊技球(パチンコ球)はパチンコ球発射ユニット17によって打ち出されると補助レール20を滑走した後、外レール51に乗り移り外レール51を更に滑走しながら外レール51と内レール52との間のパチンコ球発射通路49を上方に向かって進み遊技面27aに飛び出す。この時、パチンコ球発射ユニット17による
打ち出し力が弱く補助レール20から外レール51に乗り移ることができなかったり、外レール51に乗り移っても遊技領域まで至らなかったパチンコ球は落下してファール球通路24に導かれる。 遊技領域に放出された遊技球は落下しながら遊技釘、装飾パネルあるいは各種役物等と干渉して弾かれながら降下し、途中始動口38、可変入賞装置39及び一般入賞口41に入賞する球以外はすべて内レール52上に落下し、同内レール52を伝わって最下部位置のアウト口42に導かれる。入賞した入賞球、アウト口42に導かれたアウト球は遊技盤27背面の遊技球回収通路26に集合し、機外に一旦放出される。
本体枠14の前面には扉体としての扉枠61が配設されている。図1、図2、図8及び図9に示すように、扉枠61は本体枠14の正面から見た外郭と略一致した長方形形状の外郭の正面形状を有している。扉枠61は本体枠14に対して開閉可能に取り付けられている。扉枠61は本体枠14と同様前記開閉金具15の開閉軸線Pと同軸に取り付けられた開閉金具54を軸心として前方側に開放可能とされている。そのため、本体枠14は外枠12に対して開閉可能とされるとともに、扉枠17は外枠12と本体枠14のそれぞれに対して独立して開閉可能とされている。扉枠61はABS樹脂製のパネル体であって、内部に縦横に配設された図示しない合金製の補強リブによって補強されている。
図1、図8及び図9に示すように、扉枠61には遊技者が遊技面27aを目視するための窓部としての目視用窓孔62が形成されている。目視用窓孔62は略楕円形状に形成され、扉枠61が本体枠14に対して閉鎖された状態で同本体枠14側の窓孔29と対峙する。図9に示すように、扉枠61の裏面側であって目視用窓孔62の周囲には後述するガラスユニット75の位置決め用の取り付けスペース57が形成されている。取り付けスペース57の周囲には所定の位置(本実施の形態では3箇所)にガラスユニット75固定用のクランプレバー58が配設されている。クランプレバー58周辺の構造については後述する。扉枠61の裏面側であって目視用窓孔62の上部には横長の収容部59が形成されている。収容部59内にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。収容部59及びクランプユニット60周辺の構造については後述する。
扉枠61の前面側であって、目視用窓孔62の左右及び上方には前方に膨出した装飾用パネル63が配設されている。装飾用パネル63内にはスピーカ装置65(図8及び図9参照)や図示しない装飾ランプが配設されている。目視用窓孔62の下方位置には、前側へ膨出した第1の膨出部66が設けられ、その第1の膨出部66内側が上受け皿67とされている。上受け皿67は後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながらパチンコ球発射ユニット17に導くための球貯留部である。上受け皿67内部の上流位置には裏面に連通する通路68が形成されている(図8及び図9参照)。同通路68は前記本体枠14側の上部パチンコ球流入路21と接続され後述する遊技球供給装置121から供給されるパチンコ球を上受け皿67に導入させる。
第1の膨出部66の下方位置には、前側へ膨出した第2の膨出部70が設けられ、その第2の膨出部70内側が下受け皿71とされている。下受け皿71はバイパス通路23及びファール球通路24から流下するパチンコ球を貯留したり、遊技者の能動的な操作に基づいて上受け皿67から流下させたパチンコ球を貯留するための補助的な球貯留部である。 装飾用パネル63、第1の膨出部66及び第2の膨出部70は全体としてデザイン的な統一が図られている。 正面から見て下受け皿71の左方には灰皿72が配設されている。下受け皿71の右方にはパチンコ球発射ユニット17と連動する遊技球打ち出し用ハンドル73が前方に突出形成されている。
図8に示すように、扉枠61の裏面には透明体ユニットとしてのガラスユニット75が配設されている。ガラスユニット75は扉枠61に形成された前記取り付けスペース57内に配置されている。図10〜図20に基づいてガラスユニット75について説明する。 ガラスユニット75は、モールド成形によって一体的に製造されたABS樹脂製のガラスフレーム76を備えている。ガラスフレーム76には前後二枚のガラス板77,78が所定間隔を開けて平行に装着されている。本実施の形態では、ガラスフレーム76が保持枠体に相当し、ガラス板77,78が透明板に相当する。 ガラスフレーム76は楕円環状の外形形状を有し、細枠部79と細枠部79の一部が外方に拡張された膨出部80とから基本形状が構成されている。 細枠部79は周方向に延出された平板部81と平板部81内周において径方向に突起した凸条82を備えている。凸条82はガラスフレーム76の全周に渡って延出され、同凸条82に包囲された内周は楕円形状をなしている。図15に示すように、ガラスフレーム76には平板部81の凸条82によって分割された内周面81a,81bと凸条82の両側面82a,82bとによって前後にガラス板支持部83a,83b構成されている。 図15に示すように、平板部81の前面81Aと後面81Bとの間がガラスフレーム76の厚みLとされている。
膨出部80はガラスフレーム76の扉枠61への装着状態で正面からみて細枠部79の左斜め下方向の側部(背面からの目視となる図8では右斜め下方向の側部)から外方に向かって膨出状に形成されている。膨出部80の厚み(幅)は細枠部79の平板部81と同幅に形成されている。つまり膨出部80も平板部81の前面81A及び後面81Bとによって画定される厚みLに構成されている。。 膨出部80は頂点が丸く面取りされた略二等辺三角形の外形形状とされている。膨出部80の表面側(図11で示される面)には凹部84が形成されている。図11及び図16に示すように、凹部84内においてリブ85で区画された収容領域Sには乾燥剤86が収容されている。図10に示すように、膨出部80の表面側においては細枠部79から膨出部80方向に延設された平板部81は膨出部80の外郭に沿って凹部84を包囲するように配置されている。また、膨出部80の表面側においては凸条82の側面82aは細枠部79から膨出部80方向に延設され平板部81に沿って凹部84を包囲するように配置されている。 一方、膨出部80の脊面側(図10で示される面)では平板部81及び凸条82の側面82bは膨出部80方向に延設されず楕円環状を構成する。
ガラスフレーム76には扉枠61への装着状態で正面からみて(図11の状態)左側上部位置に上部ブラケット88が形成されている。上部ブラケット88先端には下方に向かって突起した回動軸89が形成されている。膨出部80の外方には下部ブラケット90が形成されている。下部ブラケット90先端には下方に向かって突起した回動軸91が形成されている。両回動軸89,91の軸心は同一直線上に存在する。 ガラスフレーム76の上部ブラケット88と膨出部80の間には側部耳板部93が張り出し形成されている。膨出部80の下方位置には下部耳板部94が外方に向かって張り出し形成されている。
図10に示すように、上部ブラケット88、膨出部80、側部耳板部93及び下部耳板部94はそれぞれ隣接する部分と一体的に連結されガラスフレーム76裏面の側方位置にガラスフレーム76の湾曲に沿った、つまり内レール52の湾曲に略沿った平板状の封塞板部92を形成する。封塞板部92の裏面は平板部81の後面81Bと同一平面上にある。 細枠部79の上部には左右一対のフック95が形成されている。ガラスフレーム76の扉枠61への装着状態で正面からみて右側の上下寄りには位置決め用の位置決め板96が併設された2つの押さえ板97が外方に向かって張り出し形成されている。細枠部79の下部には押さえ板98が外方に向かって張り出し形成されている。これらフック95及び押さえ板97,98も平板部81の厚み内に収まっている。
図10、図12〜図15に示すように、ガラスフレーム76において平板部81の後面81Bから後方に向かって突出部としての庇部99が突設されている。図12、図17等に示すように、庇部99の内周面(図10において上方)は平板部81の内周面81bと面一とされ、膨出部80から下部側の押さえ板97の間にかけて配設されている。図11及び図12に示すように、庇部99は左右両サイド寄りを除いて同幅(本実施の形態では5mm)に形成され、左右両サイド寄りでは面取りされて端方向ほど突出量が少なくなるように先細りとされたテーパ部99aが形成されている。特にパチンコ球発射通路49に面したテーパ部99aではこのように先細りに構成した結果、一旦打ち出した遊技球が遊技面27aに達せずパチンコ球発射通路49を落下してくる場合であってもパチンコ球はテーパ部99aと接触するだけで庇部99に強く衝突することがないため庇部99が割れたりひびが入ったりする不具合が生じることがなく、当接に伴う異音が発生することもない。 平板部81の後面81Bは庇部99を除いてガラスフレーム76の裏面側における本体枠14への最接近位置とされ、図12〜図14に示すように、平板部81の裏面側端面、上部ブラケット88の裏面、膨出部80の裏面、側部耳板部93の裏面及び下部耳板部94の裏面の各面はそれぞれ平板部81の後面81Bと同一平面上に存在する。つまり、ガラスフレーム76は庇部99以外に後面81Bが属する平面F(図12及び図13参照)よりも後方側に突出することはない。
図17に示すように、前記ガラス板77,78はそれぞれ装着されるガラスフレーム76のガラス板支持部83a,83bの形状(平板部81の内周面81a,81b形状と考えてもよい)に対応した外形形状を備えている。前面側ガラス板77は膨出部80に対応して異形に構成され、後面側ガラス板78は楕円形状に構成されている。本実施の形態では前面側ガラス板77は強化ガラス製とされ厚みは3.2mmとされている。また、後面側ガラス板78は間にフィルムを介在させた二枚合わせの合わせガラス製とされ厚みは4.2mmとされている。
ガラス板77,78はガラスフレーム76に対して凸条82を挟んでそれぞれガラス板支持部83a,83bに嵌合されている。両ガラス板77,78によって挟持された内部空間は密閉状態で、かつ上記乾燥剤86によって乾燥状態に保持されている。 図15に示すように、両ガラス板77,78は外周縁を平板部81の内周面81a,81bに当接させた状態で接着剤としてのグルー剤(図示せず)によって凸条82の両側面82aに対して貼着されている。図21〜図24に図示されるようにガラス板77,78の外表面位置はそれぞれ平板部81の前後面81A,81Bと面一ではなくわずかに前後面81A,81Bより内方に後退した位置(約1mm程度の後退量)とされている。
図8及び図9に示すように、ガラスユニット75の前記回動軸89,91は扉枠61の裏面に配設された上下の軸受け金具100に軸支されている。ガラスユニット75は回動軸89,91を軸心として扉枠61に対して後方側に開放可能とされている。ガラスユニット75は扉枠61の裏面に対して密着させられた状態で前記フック95及び押さえ板97,98において固定部材によって固定されている。図18〜図20に基づいて2点鎖線で包囲された領域R1及び領域R2における固定状態について説明する。
まず、領域R1について説明する。図8、図9及び図20に示すように、収容部59内にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。本実施の形態ではクランプユニット60の基本的な構造のみを説明する。クランプユニット60のケース105内中央にはレバー106が回動軸104によって回動可能に軸支されている。ケース105内においてレバー106を挟んだ左右位置であって、かつ前後方向にずれた位置にクランプ
ピン107,108がそれぞれ配設されている。両クランプピン107,108は同形状に構成された部材をそれぞれ左右方向に先端が向くように逆向きに対向配置したものであって、両クランプピン107,108の基部寄りはレバー106の回動軸104を挟んで対向する部位に軸支されている。その結果、両クランプピン107,108とレバー106との間にリンク機構が形成される。両クランプピン107,108はレバー106の回動に伴って長孔110に案内されてケース105を左右にスライド移動する。
レバー106が図20(a)に示す前方へ突出した位置にある場合には両クランプピン107,108はケース105内に退避されている。そして、レバー106を図20(b)のケース105の厚み内に収容される位置に回動させることで両クランプピン107,108はそれぞれ先端がケース105から左右方向に突出する。 このような構成において、図20(a)に示すような両クランプピン107,108をケース105内に退避させた状態、つまり両クランプピン107,108がフック95と干渉しない状態でフック95を収容部59内に収容させる。つまり、クランプユニット60のケース105が左右のフック95間に配置されることとなる。そして、図20(b)に示すようにレバー106を回動させることで両クランプピン107,108をケース105から突出させ左右のフック95の前方位置まで進出させる。これによって、フック95は両クランプピン107,108によって押さえられ扉枠61側に固定されることとなる(図8の状態)。
次に領域R2について説明する。尚、本実施の形態ではクランプレバー58は3箇所に配設されているが、説明の重複を避けるため詳しい説明は領域R2で代表させることとする。 ガラスユニット75は前記取り付けスペース57内に配置されている。図19に示すように、位置決め板96に形成された位置決め孔110内には扉枠61裏面に形成された位置決めピン111が配置されている。クランプレバー58は回動軸112と押圧アーム113を備えている。クランプレバー58の押圧アーム113は図8に示す使用時において図18(b)及び図20の実線で示す位置で押さえ板97を固定している。 一方、扉枠61裏面上のクランプレバー58に隣接する位置にはストッパ115及び押圧丘116が形成されている。押圧丘116はなだらかに湾曲した丘状の突起体であって、押圧アーム113の裏面と干渉してクランプレバー58の遊動を防止する。従って、クランプレバー58は非使用時には押圧アーム113がストッパ115に当接するとともに押圧丘116に保持されて図18(a)及び図20の仮想線で示す位置で保持される。
図2、図3及び図4に示すように、本体枠14(遊技盤27)の背面には各種制御装置が重複状に配置されている。制御装置は大きく3つにユニット化されており、タンク120や遊技球を供給するための遊技球供給装置121、保護カバー123等を備えた第1ユニット124、主制御装置や音声ランプ制御装置を備えた第2ユニット125、払出制御装置、発射制御装置及び電源装置を備えた第3ユニット126から構成されている。
次に、このように構成されたパチンコ遊技機11において、扉枠61の裏面に配設されたガラスユニット75と本体枠14側の遊技盤27との関係について主として図6、図7及び図21〜図24に基づいて説明する。図7は図6を補填する図であって、本体枠14側について遊技面27a以外の部分を省略し、ガラスフレーム76について膨出部80における凹部84の構造を省略して重ね合わせたものである。パチンコ遊技機11では前後方向に重複する部材の相互の部材の線図が交錯して分かりにくくなるため、単一の図面で部材の重複状態を図示するのは困難である。そのため、本発明の要部以外の従属的な部材について省略して図7を表したものである。
図6及び図7に示すように、本体枠14に対して扉枠61を閉鎖した状態においては、ガラスフレーム76の凸条82によって包囲された内側領域は略遊技領域と略一致する。このとき、本実施の形態ではガラスフレーム76(平板部81)の後面81Bと遊技面27aとの間隔は19.5mmに設定され、同じく後面81Bと内レール52前端との間隔は3mmに設定されている。このようなガラスフレーム76と遊技面27aとの間隔はパチンコ球の大きさや遊技面27aに配置された各種部材(液晶ディスプレイ36や風車43等)の突出量や遊技釘の突出量を考慮して設定されたものである。これによって遊技面27aに前面は遊技面27aに接触することなく、扉枠61背面に配設されたガラスユニット75が配置されることとなり、なおかつ遊技領域を落下してくる遊技球(パチンコ球)が内レール52とガラスユニット75との隙間から本体枠14と扉枠61の間にこぼれ落ちてしまうこともない。 また、本体枠14に対して扉枠61を閉鎖した状態においては、図7に示すように、封塞板部92は外レール51と内レール52の間に形成されるパチンコ球発射通路49を概ね封塞するようにその前面に配置される。つまり、パチンコ球発射通路49は前方側が封塞板部92によって封塞され、後面側ガラス板78が面することがないので、パチンコ球発射通路49を通過するパチンコ球が後面側ガラス板78に当接してガラス面に傷がついたり割れたりするといった不具合が生じることはない。
図7に示すように、凸条82によって画定されるガラスフレーム76の内周は内レール52近傍であって内レール52の下側(広義には外側)に配置されている。上記のようにガラスフレーム76の後面81Bと内レール52前端との間隔は3mmとされているが、後面81Bから後方に最長5mmの庇部99が突出されているため、図22〜図24に示すように、内レール52と庇部99とは重複配置されることとなる。図7における、内レール52の最下部位置となるA−A位置においては庇部99は後面81Bから後方に5mm突出するため、図21に示すように内レール52前端と2mmの重複となる。また、A−A位置から若干左右方向に振った位置、例えばB−B位置でも庇部99は後面81Bから後方に5mm突出するため、図22に示すように内レール52前端と2mmの重複となる。
しかし、最下部位置から離間して内レール52に縦成分が増えてくる位置(ここでは湾曲した内レール52の両サイド寄り)では扉枠61開放時に内レール52と庇部99の干渉を防止する必要がある。本実施の形態では例えば図12等に示すように庇部99は縦成分が大きくなるにつれて左右両サイド寄りでは端方向ほど突出量が少なくなるよう先細りに構成されている。従って、例えばC−C位置では図23に示すように内レール52前端との重複量は上記位置よりも少なくなっている(ここでは半分程度)。 このように庇部99は内レール52の下部の比較的広い範囲において内レール52の下側に重複配置されることとなる。 また、受け皿67裏面の通路68から比較的離間したD−D位置には内レール52は配置されていない。但し、この位置では遊技領域を画定する窓孔29の一部壁面31が若干遊技領域側にオフセットしており、図24に示すようにガラスフレーム76が前板部30と重複されている。
以上のように構成することによって上記実施の形態では次のような効果を奏する。(1)もし、ガラスフレーム76に庇部99が形成されていなければ、ガラスフレーム76と内レール52前端との間には隙間が形成されることとなり、不正を試みる者は図7に示すように通路68の壁面裏面に連通する透孔を形成して、ワイヤのような細長い道具を差し入れてこの隙間からワイヤを遊技面27aに導くことが可能である。 しかし、本実施の形態では本体枠14に扉枠61を閉鎖させた状態では内レール52に対して庇部99は同内レール52の下部位置に重複状に配置されることとなるため、ワイヤを差し入れようとしてもこれらの重複関係によって隙間が遮蔽されるため、ワイヤを遊技面27aに導くことが困難になる。また、例え導くことが可能であっても操作に非常に時間がかかる傾向となるため抑止効果が大きい。結果として、遊技釘の間隔を拡げるような不正行為が行いにくくなる。
(2)庇部99は内レール52の下側位置で重複しているため、遊技領域に何らの構造上の変化はなく、遊技者は庇部99の有無によって遊技内容に影響を受けることはない。 また、庇部99は扉枠61の開放に伴って扉枠61とともに内レール52と重複した位置から移動して離間するため、本体枠14側の点検のために扉枠61を開放した際に庇部99が点検作業の邪魔になることはない。
(3)上記実施の形態ではガラスフレーム76の下側位置に庇部99を形成している。もちろん理論的には上記実施の形態よりも広範囲に、つまりガラスフレーム76の上部方向にも庇部99を形成することは可能である。しかし、あまり広範囲に庇部99を形成するとガラスフレーム76に経年使用や熱によってねじれのような変形を生じた場合、庇部99が内レール52と干渉してしまう可能性もある。しかし、本実施の形態では必要最小限の範囲で庇部99を形成しているためそのような不具合は生じにくい。
(4)従来から扉枠61の裏面に配設されているガラスフレーム76に庇部99を形成したため、不正防止のために追加した部材を敢えて扉枠61と本体枠14の間に配置させるものではないので、大きな設計変更はなく、組立・点検時において余分の部材を配設したことによる作業の遅延が生じることもない。
(5)ガラスフレーム76は中央に大きな開口部を有し、細枠部79のような細い部材を有することからねじれ等で比較的変形しやすい構造である。しかし庇部99を形成することによって、強度が向上することとなる。
(6)庇部99はガラスフレーム76の後面81Bから後方に張り出すように突出するが、それほどの厚みを有していないので、突出方向に配置される遊技盤27側の部材と干渉しにくく、また、庇部99と干渉しないように遊技盤27側側に「逃げ」を設定する場合も大きな設計変更を必要とすることがない。
(7)庇部99はガラスフレーム76の湾曲に沿ってガラス板77,78にごく近い位置に形成されているため、扉枠61前方から遊技中に遊技者がガラス板77,78を通して庇部99を目視することが可能である。つまり、不正防止措置が施されていることが外部から見えるため潜在的にワイヤのような細長い道具を使用した不正を防止する抑止効果を期待できる。
(8)内レール52は円弧状に形成されているため、左右両サイド寄りでは縦成分が発生する。その際に庇部99が後方にあまり長く突出していると扉枠61の回動に伴って一緒に回動し、庇部99が内レール52と干渉して扉枠61を開放できない可能性が生じる。 しかし、本実施の形態では庇部99は縦成分が大きくなる左右両サイド寄りでは縦成分の増大に伴って突出量を減少させているため、扉枠61の開放に伴う部材干渉が生じないようになっている。
本発明は以下のような態様に変更して実施することが可能である。 ・図25に示すように、庇部99の上面にシリコーンゴム製の封塞部材としての紐部材121を固着してもよい。紐部材121は可撓性のある断面円形の中実体であって、庇部99の長手方向全長に渡って後面側ガラス板78に接して配設されている。 このような紐部材121を配設すれば上記の実施の形態の効果に加えて以下のような効果が奏される。、(1)内レール52と庇部99との間がより狭まり、不正操作器具の挿入が更に困難となる。(2)庇部99の根本に紐部材121を固着することで庇部99自体の強度の向上が図られる。(3)紐部材121は可撓性があるため押圧に対して容易に変形可能となる。そのため、内レール52と庇部99との間に多少の広狭があって部分的に紐部材121が内レール52に当接しても変形するため、紐部材121が
干渉することによって扉枠61が本体枠14に閉鎖されなくなってしまうという不具合が生じにくい。また、紐部材121を内レール52に積極的に当接させることで、むしろこの間の密閉性の向上にも寄与することとなる。 尚、紐部材の断面形状は方形でも構わない。また、方形であると取り付け面が平面であるので取り付けやすくなる。また、シリコーンゴム製以外のスポンジのような弾性かつ可撓性部材を使用することも可能である。
・図26(a)及び(b)に示すように、紐部材121を庇部99の根本に固着するのではなく、庇部99の先端寄りに固着することも可能である。図26(a)は比較的庇部99と内レール52の重複量が大きい実施の形態である。また、図26(b)は重複量はそれほどではないが、庇部99と内レール52がより近い実施の形態である。これらのような構成では内レール52によって遊技者から紐部材121が見えなくなるため、例え不正操作用具を巧みに操って庇部99と内レール52の間を縫って進出させようとしても見えにくい紐部材121が邪魔となって進出させることは極めて困難になる。従って、より不正が行いにくくなる。
図25の変形例として扉枠61の閉鎖の際に内レール52と紐部材121とをより密着させるようにしてもよい。その際に図29に示すように紐部材121に内レール52方向に傾斜した傾斜部121aを形成するような断面形状に構成することも可能である。このように構成すれば扉枠61の閉鎖とともに徐々に傾斜部121aは内レール52の下面と接するようになり更に紐部材121は押圧されていくこととなって両者の密着度が増すため不正操作器具の挿入がより一層困難となる。また、紐部材121が内レール52前端で押しつぶされたり過剰な摩擦力によって紐部材121が庇部99から引き剥がされたりするようなこともなくなる。傾斜部121aの形状は図29に限定されることはない。
・紐部材121を内レール52側裏面に装着することも可能である。 ・紐部材121は必ずしも可撓性がなくとも構わない。上記(1)の効果が期待できるためである。 ・紐部材121は内レール52や庇部99の全長に配設されていなくとも構わない。
図25に示すように、庇部99の両サイド寄りを上記実施の形態のように先細りにしなくて、全長に渡って同じ幅で構成してもよい。例えば、図27に示すように、重複配置される内レール52と庇部99との間隔を、扉枠61を開放しても庇部99が内レール52に当たらない程度に十分離間させていればよいからである。
上記実施の形態では庇部99はガラスフレーム76にモールド成形によって一体的に形成されていたが、図28に示すように、庇部99を別体で構成しガラスフレーム76の後面81Bに固定するようにしてもよい。また、固定は接着剤で取れないようにしてもよく、ネジ122等の締着部材で着脱可能にしてもよい。
・上記ガラスフレーム76の構成は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態ではガラスユニット75は扉枠61に対して回動して開閉可能とされていたが、開閉できなくとも構わない。また、扉枠61へのガラスユニット75の装着方法は特に限定はされない。つまり、上記のようにクランプユニット60やクランプレバー58を使用せず他の固定手段を使用することも自由である。
・上記実施の形態ではガラスフレーム76の下側位置に庇部99を形成するようにしたが、この形成位置の周囲に庇部99を更に延長して形成するようにしてももちろん構わない。 ・上記実施の形態ではガラスフレーム76の凸条82によって画定される内周は略楕円環状とされていたが、例えば円形や方形であっても構わない。また、庇部99は平板部81に沿って延出されており、結局ガラス板77,78に沿って延出されることとなっていたが、必ずしもガラス板77,78に沿って延出される必要はない。 ・上記実施の形態ではガラスフレーム76から突出部としての庇部99が突出することとなっていたが、本発明は本来突出部の形成位置としてガラスフレーム76に限定されるものではない。
・上記実施の形態のパチンコ遊技機11では扉枠61に上受け皿67、下受け皿71、遊技球打ち出し用ハンドル73が配設されていたが、本発明は扉枠61とは別体のパネル体に下受け皿や、遊技球打ち出し用ハンドルを配設するようにしたパチンコ遊技機に応用することも自由である。 ・上記実施の形態においてはいわゆる第1種始動口付きパチンコ遊技機に応用したが、レール部材と扉体側に形成させた突出部との関係で不正防止が可能なパチンコ遊技機であれば機種は問わない。 ・上記実施の形態では図12〜図14に示すように庇部99の左右両サイド寄りにテーパ部99aを形成するようにしたが、パチンコ球発射通路49を落下してくるパチンコ球が庇部99に衝突しないようにすることを目的とするのであれば、パチンコ球発射通路49に面した側のみにテーパ部99aを形成するようにしてもよい。また、落下してくるパチンコ球の庇部99への衝突を回避できれば上記テーパ部99a以外の形状であっても構わない。 その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
上記請求項に適宜追加可能な上記実施の形態から把握できる本発明のその他の技術的思想について下記に付記として説明する。 (1)前記突出部は同レール部材が装着される基体(扉枠或いは保持枠体)とは別体に構成され、同基体に対して着脱可能とされていることを特徴とする上記各請求項に記載のパチンコ遊技機。 これによって、突出部に不具合が生じた場合に突出部のみを交換することができる。 (2)前記突出部は同レール部材が装着される基体(扉枠或いは保持枠体)とは別邸に構成され、同基体に対して着脱不能に固着されていることを特徴とする上記各請求項に記載のパチンコ遊技機。 このような構成であれば、特に既に設置済みの突出部のないパチンコ遊技機でも接着剤等で簡単に突出部を装着させることが可能となる。 (3)前記封塞部材は前記突出部の先端寄り上面に配設され、同突出部は前記レール部材と重複していることを特徴とする上記請求項8以下に記載のパチンコ遊技機。。 このような構成では封塞部材がレール部材に隠されて遊技者から見にくく、封塞部材をかいくぐって不正操作用具を遊技領域方向に進出させることが困難となる。 (4)前記庇状に後方に張り出した突出部の少なくともパチンコ球発射通路に面した端部はパチンコ球発射通路を逆進するパチンコ球が衝突しないように逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項7〜12もしくは付記1〜3のいずれかに記載のパチンコ遊技機。 ここに、逃げ部とは上記実施の形態ではテーパ部99aが相当する。逃げ部としたのはパチンコ球が直接突出部(上記実施の形態では庇部99)に衝突しない形状であれば特に限定されないことを意図する。
11…パチンコ遊技機、14…遊技体としての本体枠、27…遊技体の一部をなす遊技盤、27a…遊技面、52…レール部材としての内レール、61…扉体としての扉枠、62…窓部、67…パチンコ球用受け皿としての上受け皿、68…通路、77,78…透明体としてのガラス板、75…透明体ユニットとしてのガラスユニット、76…保持枠体としてのガラスフレーム、99…突出部としての庇部。